W H ━O シリーズ G M P 非無菌医薬品の 空調システム 監修 平原茂人 白木澤治 O P Se ― GM 監修 平原茂人 白木澤治 5 r s ie WH 非無菌医薬品の空調システム 5 WHO―GMP シリーズ 5 WHO ― GMP シリーズ ⑤ 非無菌医薬品の空調システム 本書は下記の WHO Technical Report Series を WHO の許可を得て翻訳したものである。 ―S upplementary guidelines on good manufacturing practices for heating, ventilation and airconditioning systems for non-sterile pharmaceutical dosage forms. WHO Technical Report Series, No. 961, Annex 5, 2011 Copyright Ⓒ 2011 World Health Organization All rights reserved. No part of this publication may be reproduced or transmitted in any form or by any means, electoronic or mechanical, including photocopying, recording, or any information storage and retrieval system, without permission in writing from the publisher. なお,翻訳の内容について,WHO は責任を負わない。 本書は WHO Technical Report Series を忠実に訳すよう努めているが,もし日本語訳の内容に疑義が 生じた場合は,WHO Technical Report Series 原著を参照すること。 Japanese language edition Ⓒ 2014 by Jiho, Inc. なお,本書 37 ページ以降の解説は本書のための特別寄稿で,日本の読者向けの書き下ろしである。 本書の記載内容に関連して生じたいかなる問題についても,WHO はその責任を負わない。 The Japanese edition : ISBN978-4-8407-4631-1 監修者 平原 茂人(ひらばら しげと) 白木澤 治(しろきざわ おさむ) 特別寄稿者(執筆順) 光吉 浩(みつよし ひろし) 白井 俊光(しらい としみつ) 宮本 貴之(みやもと たかゆき) 浦山 由巳(うらやま よしみ) 平原 茂人(ひらばら しげと) 白木澤 治(しろきざわ おさむ) 亀卦川 聰(きけがわ さとし) 堀江 匠(ほりえ たく) 那須川真澄(なすかわ ますみ) WHO-GMP シリーズ⑤ 非無菌医薬品の空調システム 発刊にあたって WHO は,2010 年及び 2011 年に興味深い多くの GMP 関連基準を発刊しました。 今回は,下記に示す「非無菌医薬品の空調システム」の翻訳版と解説資料を提供することに しました。 ◦WHO Technical Report Series, No. 961, Annex 5, 2011:Supplementary guidelines on good manufacturing practices for heating, ventilation and air-conditioning systems for non-sterile pharmaceutical dosage forms. (非無菌製剤の空調システムに関する GMP 追加指針) 日本は,PIC/S に 2014 年 7 月 1 日より加盟し,GMP を取り巻く内外の情勢は大きく変化し ている。 「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の取扱いについ て」 (一部改正施行通知:薬食監麻発 0830 第 1 号,平成 25 年 8 月 30 日付)では,GMP 省令 に PIC/S ガイドが一部取り込まれ,各医薬品会社においては,品質リスクマネジメントの活用 等 Continued Process Validation の考え方を取り入れた新バリデーション基準への対応など, やるべきことが増大してきている。 本書の資料には,WHO Technical Report Series, No. 937, Annex 2, 2006 から追記・修正・ 削除についてできる限り記載をしている。 関係各位におかれましては,この本を活用され,お役に立てていただければ幸いです。 本書作成にご尽力をいただきました執筆者の皆様に感謝いたします。また,本書の企画・出 版の労をお取りいただいた「株式会社じほう」の編集部の皆様に深く感謝いたします。 平成 26 年 9 月 監修者を代表して 平原 茂人 WHO ― GMP シリーズ ⑤ 非無菌医薬品の空調システム 目 次 WHO technical report series 非無菌医薬品の空調システムに関する GMP 追加指針(訳) ………………… 1 非無菌医薬品の空調システムに関する GMP 追加指針 解説…………… 37 1.はじめに 2.適用範囲 3.用語解説 4.防護 5.塵埃制御 6.環境の保護 7.HVAC システム及び機器類の設計 8.コミッショニング,適格性評価及びメンテナンス 9.建屋 Supplementary guidelines on good manufacturing practices for heating, ventilation and air-conditioning systems for non-sterile pharmaceutical dosage forms 非無菌医薬品の 空調システムに関する GMP 追加指針 目次 3 世界保健機関 WHO Technical Report Series, No. 961, Annex 5, 2011 Supplementary guidelines on good manufacturing practices for heating, ventilation and air-conditioning systems for non-sterile pharmaceutical dosage forms. 非無菌医薬品の空調システムに 関するGMP追加指針 目次 1.はじめに 2.適用範囲 3.用語解説 4.防護 4.1 製品と作業者 4.2 空気ろ過 4.3 一方向気流 4.4 流入 4.5 交叉汚染 4.6 置換コンセプト(低差圧,多風量) 4.7 差圧コンセプト(高差圧,少風量) 4.8 物理的バリヤーコンセプト 4.9 温度及び相対湿度 5.塵埃制御 6.環境の保護 6.1 一般事項 6.2 排気中の塵埃 6.3 蒸気,煙の除去 7.HVAC システム及び機器類の設計 7.1 一般的事項 7.2 空気配分 7.3 循環システム 7.4 全外気システム 7.5 システムに付随する機器類 8.コミッショニング,適格性評価及びメンテナンス 8.1 コミッショニング 8.2 適格性評価 8.3 メンテナンス 9.建屋 3.用語解説 5 GMP 製造環境 製品の保護 作業者の保護 環境の保護 製品の保護 (製品とスタッフ) 塵埃との 接触の防止 塵埃の 放出の防止 製品交叉汚染 からの保護 ヒュームとの 接触の防止 ヒュームの 放出の防止 温度と湿度の 補正 容認される 快適な環境 放出物質の 漏洩を避ける システム システムバリデーション 図1 このガイドラインはここに示すダイアグラムに示された順序に 従って各種のシステム上の判断基準に言及するものである。 3.用語解説 以下に述べる定義は,このガイダンスに使用されている用語に対して適用されるものである。他の文 脈や背景においては異なった意味で用いられることがある。 許容基準(acceptance criteria) 試験結果が許容可能と考えられる,測定可能な条件。 処置基準値(action limit) 重要パラメーターが許容基準を超えた場合,処置基準値に達したこととなる。処置基準値を超えた 結果は,特定の措置や調査を必要とする。 換気回数(air changes per hour;ACPH) 部屋に供給される空気の容積(m3/hr)をその部屋の容積(m3)で割ったもの。 空調機(air-handling unit;AHU) 空調機は,空気の条件を整え,施設内に要求される空気を提供する役割を果たす。 エアロック(airlock) 2 つ以上の扉を持つ閉じられた空間であり,これは 2 つ以上の部屋の間に置かれる。例えば,清浄 度クラスの異なった部屋の間に置かれ,それらの部屋に出入りする際の気流の制御を目的としている。 エアロックは,人又は物用に設計され,使用される(PAL;personnel airlock =人用エアロック, 4.防護 11 図 2 “竣工時(as-build)”条件 図 3 “非作業時(at-rest)”条件 図 4 “作業時(operational)”条件 の存在しない状態で行うこと。固形製剤施設では,通常,一定量の塵埃が発生するので,クリ ーンエリアのクラス確認は,“ 非作業時 ” 条件で評価される。 4.1.10 “ 作業時 ” 条件における作業室のクラス確認試験は,通常の生産工程中,すなわち,その作業 室で機器が運転状態にあり,通常の数の作業者が存在する状態で行う。一般的に,“ 作業時 ” 条 件で試験を行う作業室は,短いクリーンアップ時間の後に,“ 非作業時 ” のクリーンエリアのク ラスへと清浄化され得るべきである。クリーンアップ時間は,バリデーションを通じて決定す べきであり,一般的に 20 分程度である。 4.1.11 原材料及び製品は,製造の全ての段階を通して,汚染及び交叉汚染から防護すべきである(4.5 の交叉汚染の項も参照されたい)。 注 :汚染物質は建物が不適切(例えば,貧弱な設計,レイアウト,又は仕上げ仕様)であっ たり,清浄化の手順が貧弱であったり,作業者により汚染物質が持ち込まれたり,製造プロ セスが貧弱であったり,HVAC システムが脆弱であったりすると生じる。 4.1.12 浮遊汚染物質は,効果的な換気及びろ過により制御すべきである。 4.1.13 外部由来の汚染物質は,供給空気の効果的なろ過により除去すべきである(封じ込め及び外 。 部汚染物質からの防護を高める隔壁を持った建物レイアウトの例として,図 5 を参照されたい) 12 翻訳 非無菌医薬品の空調システムに関するGMP追加指針 クリーンルーム 人の動線 補助区域 人の動線 室外環境 清浄区域 プロセス・コア 最終製品搬出 廃棄物 材料搬入 図 5 隔壁による封じ込め制御概念 図 6 乱流による汚れた空気の希釈 床に近いところでの排気は,塵埃抑制目的には最適である。 図 7 一方向気流による汚れた空気の置換 しかし,不可欠ではない。(床に近いところでの排気は,グ レード A,B,C では不可欠である。) 4.1.14 内部で発生する汚染物質は,当該室の汚染物質の希釈又はフラッシングにより,又は気流の 向きを変えることで制御すべきである(浮遊汚染物質のフラッシング法の事例は図 6 及び図 7 を 参照されたい)。 4.1.15 浮遊粒子と,それをろ過する度合いは,要求される製品の防護のレベルに関連する重要パラ メーターと考えるべきである。 4.1.16 作業者は汚染源となるべきではない。 4.1.17 各種区域に関しての空気清浄度と防護のレベルは,製造する製品,使用するプロセス,及び 。 劣化に対する当該製品の感受性に従って決定すべきである(表 1) 4.2 空気ろ過 注 :ろ過された空気の清浄度は,汚染の防止及び交叉汚染の管理に重要な役割を果たす。 4.2.1 各種用途に必要とされるフィルターの種類は,外部空気と(もしそれが該当するならば)リ ターン空気の品質,そしてまた換気回数に依存する。 表 2 は,医薬品製造施設において異なる 28 翻訳 非無菌医薬品の空調システムに関するGMP追加指針 HEPAフィルター 2次フィルター 送風機 冷却コイル 1次フィルター F 空調機 S = 給気 R = リターン空気 F = 外気 S 給気 S R リターン空気 R R 低い位置に リターン 口を持つ 作業室 R R S R 部屋 1 R 天井に S リターン口 を持つ 作業室 部屋 2 図 22 空調機に HEPA フィルターを持つ空調システム 2次フィルター 送風機 冷却コイル 1次フィルター F 空調機 S = 給気 R = リターン空気 F = 外気 R S S R R S 部屋 3 HEPAフィルター Production room with horizontal ADAF R S S S HEPA フィルター Production room with low-level return air S Production room with vertical ADAF R R 部屋 4 図 23 水平一方向気流,垂直一方向気流,乱気流 S R R 部屋 5 非無菌医薬品の 空調システムに関する GMP 追加指針 解 説 本ページ以降は,日本オリジナルの書き下ろしの内容です。 本書の記載内容に関連して生じたいかなる問題についても,WHO は責任を負いません。 解説目次 1.はじめに 2.適用範囲 3.用語解説 4.防護 4.1 製品と作業者 4.2 空気ろ過 4.3 一方向気流 4.4 流入 4.5 交叉汚染 4.6 置換コンセプト(低差圧,多風量) 4.7 差圧コンセプト(高差圧,少風量) 4.8 物理的バリヤーコンセプト 4.9 温度及び相対湿度 5.塵埃制御 6.環境の保護 6.1 一般事項 6.2 排気中の塵埃 6.3 蒸気,煙の除去 7.HVAC システム及び機器類の設計 7.1 一般的事項 7.2 空気配分 7.3 循環システム 7.4 全外気システム 7.5 システムに付随する機器類 8.コミッショニング,適格性評価及びメンテナンス 8.1 コミッショニング 8.2 適格性評価 8.3 メンテナンス 9.建屋 特別寄稿者(担当項目) 光吉 浩 塩野義製薬株式会社 白井 俊光 近藤工業株式会社 宮本 貴之 株式会社大気社 浦山 由巳 千代田化工建設株式会社 平原 茂人 平原エンジニアリングサービス株式会社 白木澤 治 ファルマ・ソリューションズ株式会社 亀卦川 聰 平原エンジニアリングサービス株式会社 堀江 匠 株式会社大気社 那須川真澄 株式会社シーエムプラス 4.1 4.2 4.3 4.4,4.5,9 4.6,4.7 4.8,4.9,5,6.1 - 6.3 7.1,7.2 7.3 - 7.5 8 2.適用範囲 39 非無菌医薬品の空調システムに関する GMP 追加指針 解説 1.はじめに 空調(Heating, ventilation and air-conditioning;HVAC)は,品質が確保された医薬品を確実に製造する上 で重要な役割を果たす。よく設計された空調システムはまた,作業者に対しても快適な条件を提供する。この ガイドラインは,固形製剤の製造に用いられるシステムに関する推奨事項に焦点を当てたものである。またこ のガイドラインは,固形製剤の製造設備に関連しない他のシステムや構成要素にも言及しているが,これは固 形製剤設備と他のシステムに対する要求事項の比較を行うことを助けるものである。 空調システムの設計は,エアロックの位置,出入り口,及びロビーのような事項に関する建築上のレイアウ トに影響を与える。建築的要素は,室間差圧カスケード及び交叉汚染管理に影響をもたらす。汚染及び交叉汚 染の防止は,空調システムを設計する上で,必須の考慮事項である。空調システムの設計は,これらの重要な 側面をふまえ,医薬品製造プラントの概念設計段階から考慮すべきである。 温度,相対湿度及び換気は,適切なものとすべきであり,製造及び保管中に医薬品の品質や,機器の正確な 運転に悪影響を与えるべきではない。 この文書は,医薬品の製造業者及び医薬品製造施設の査察官に対して,空調システムの設計,設置,適格性 評価及びメンテナンスに関するガイダンスを与えることを目的としている。これらのガイドラインは,Good manufacturing practices for pharmaceutical products(1)の内容を補足することを目的としており,この上位 ガイドと関連付けで読むべきである。したがって,このガイドラインが示す追加的基準は,上位ガイドに述べ られている一般的要求事項に対する補足と考えるべきである。 2.適用範囲 これらのガイドラインは,主として,固形製剤製造施設の空調システムに関する設計と GMP 要求に焦点を 当てたものである。固形製剤の製造施設に対するシステム設計の原則の多くは,液剤,クリーム及び軟膏製造 のような他の施設に対しても適用される。しかし,これらのガイドラインは,無菌医薬品の製造施設に対する 要求事項はカバーしていない。また,ハザード製品を取り扱う施設に特有の要件もカバーしていない。ハザー ド製品製造施設に関するガイドラインは,WHO の別なガイドラインでカバーされる。 これらのガイドラインは,医薬品の製造業者と GMP 査察官基本的ガイドとして使用することを目的として いる。これらのガイドラインは,具体的な要件や設計パラメーターについて規範を示すことは目的としていな い。クリーンエリアの状態に影響する多くのパラメーターがあるため,ある一つのパラメーターだけを分離し て特定の要求事項を定めることは困難である。 多くの医薬品製造業者が,それぞれに異なる自社の設備設計及び適格性評価の基準と要求事項を持っている。 したがって,設計パラメーター及びユーザー要求仕様は,費用対効果に優れた設計でありながら,全ての法的 基準に適合し,確実に製品の品質と安全性を守るために,各プロジェクトで現実に即して定めるべきである。 このマニュアルで取り上げる 3 つの主要な観点は「製品保護」,「作業者防護」及び「環境保護」において,空 調システムが果たす役割である(図 1)。 製造される製品を考慮してシステムの設計を行うこと。複数の異なる製品を製造する施設は,単一製品を製 造する施設に比べて,交叉汚染の管理に関してより厳格な設計が求められる。 40 解説 非無菌医薬品の空調システムに関するGMP追加指針 解説 GMP 製造環境 製品の保護 作業者の保護 環境の保護 製品の保護 (製品とスタッフ) 塵埃との 接触の防止 塵埃の 放出の防止 製品交叉汚染 からの保護 ヒュームとの 接触の防止 ヒュームの 放出の防止 温度と湿度の 補正 容認される 快適な環境 放出物質の 漏洩を避ける システム システムバリデーション 図1 このガイドラインはここに示すダイアグラムに示さ れた順序に従って各種のシステム上の判断基準に言 及するものである。 本書に記される指針は,固形製剤に対するものであるが,液剤,クリーム及び軟膏製造のような他の 剤形の非無菌製剤の製造施設の空調にも適用できると述べられている。剤形により,取り扱う原料及び 中間製品の状態(粉末,液体,クリーム等),粉末の量や,製造工程の特性(開放/閉鎖,エネルギー) が異なることから,潜在的な交叉汚染のリスクは,大きく異なる。ほかの剤形の空調設備に本書の考え 方を適用するにあたっては,製品特性及び製造工程の特性に基づき,リスクアセスメントを行うことが 推奨される。 また,本書は無菌製剤に特有の要件をカバーしていないと述べられているが,空調設備の基本的な機 能や構成については,共通の部分もあり,参考となる点は多い。 一方,ハザード製品を取り扱う施設に特有の要件もカバーしていないと述べられているが,ハザード 製品を扱う場合にのみ,必要となると考えられる事項も散見される。この点については,各章の解説に て個別に論じる。 3.用語解説 換気回数(air changes per hour;ACPH) 部屋に供給される空気の容積(m3/hr)をその部屋の容積(m3)で割ったもの。 部屋の空気を 1 時間当たりに入れ替える回数。例えば,部屋の容積が 100 m3 で,部屋に供給される 空気の量(送風量)が 2,000 m3/hr の場合,換気回数は,20 回/hr(= 2,000/100)となる。 空調機(air-handling unit;AHU) 空調機は,空気の条件を整え,施設内に要求される空気を提供する役割を果たす。 空調機は,フィルター・冷却コイル・加熱コイル・加湿器・送風機等で構成される。 76 解説 非無菌医薬品の空調システムに関するGMP追加指針 解説 8.3.5 いかなるメンテナンス作業であっても,汚染の可能性を含め,製品品質へのインパクトを見つけ出す ために,注意深く評価すべきである。 メンテナンス作業も,製造環境の汚染の一因となる。このため,持ち込み工具の清掃,メンテナンス 作業員の服装,作業後の清掃なども含め,作業方法は十分考慮する必要がある。 8.3.6 メンテナンス作業は,通常,生産時間外となるようにスケジュールをすべきである。そして,いかな るシステム停止も,空調システムが停止したことによる当該区域の適格性再評価の必要性という観点で 評価すること。 故障による機器の交換が行われた場合など,再評価が必要になる。 メンテナンスはあらかじめ作業内容が設定された定型作業かもしれない。しかし,それを単なる繰り 返し作業とせず,製品品質に影響を及ぼす可能性を見つけ出し,予防措置を講じる機会とする姿勢がと ても大切である。 9.建屋 Annex 2 にはこの項はなく,Annex 5 から追記された。空調システムを考える上で部屋のレイアウ トを含めた建屋は基本であることから,追記されたと思われる。 9.1 空調システムの効率的な運転と達成される清浄度レベルは適切なレイアウトと建物の仕上げによること から,次に述べる項目を考慮すること。 ◦作 業 員 用 エ ア ー ロ ッ ク(personnel airlocks;PAL) や 原 材 料 用 エ ア ー ロ ッ ク(material airlocks; MAL),更衣室や出入り口などの適切なエアーロックを異なる清浄度間の通行を防護するために設け るべきである。これらは給気と排気システムが適切に配置されていなければならない。 ◦エアーロック,更衣室や出入り口などの区域は,要求された圧力カスケードが達成できるように設計 されるべきである。 ◦圧力カスケードや,気流方向,作業者及び原材料動線を示す詳細な図面を作成し維持されるべきである。 ◦可能な場合,作業者や原材料は清浄度の高い区域から低い清浄度区域に移動し,また高い清浄度区域 に戻るべきではない。(もし低い清浄度区域から高い清浄度区域に移るのであれば更衣や除染の手順に 従うべきである。) ◦更衣室の最終段階は,非作業時において,その先に続く区域の GMP のクラス分けにおけるグレード と同じであるべきである。 各エアーロックには,給気と排気又はそのどちらかを適切に設け,規定の清浄度と室圧を維持するこ と。 低い清浄度区域から高い清浄度区域への作業員や原材料の移動は避けられないので,清浄度に見合っ た更衣や原材料の清掃などのための部屋を設計時に考慮する必要がある。 WHO‒GMP シリーズ⑤ 非無菌医薬品の空調システム 定価 本体 4,000 円(税別) 平成 26 年 9 月 20 日 発 行 監 修 ひらばら しげ と しろ き ざわ おさむ 平原 茂人 白木澤 治 発行人 武田 正一郎 発行所 株式会社 じ 101−8421 東京都千代田区猿楽町 1−5−15(猿楽町 SS ビル) 電話 編集 03 −3233−6361 販売 03 −3233−6333 振替 00190−0−900481 <大阪支局> 541−0044 大阪市中央区伏見町 2−1−1(三井住友銀行高麗橋ビル) 電話 06 −6231−7061 ほ う ©2014 Printed in Japan 組版・印刷 図書印刷(株) 本書の複写にかかる複製,上映,譲渡,公衆送信(送信可能化を含む)の各権利は 株式会社じほうが管理の委託を受けています。 <(社)出版者著作権管理機構 委託出版物> 本書の無断複写は著作権法上での例外を除き禁じられています。 複写される場合は,そのつど事前に, (社)出版者著作権管理機構(電話 03−3513−6969, FAX 03−3513−6979,e-mail:info@jcopy.or.jp)の許諾を得てください。 万一落丁,乱丁の場合は,お取替えいたします。 ISBN 978−4−8407−4631−1
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