越淡麗 - 新潟県農業総合研究所

(発行 新潟県農業総合研究所)
《研究紹介》
待望の酒米新品種「越淡麗(こしたんれい)」誕生!!
作物研究センター
酒米の最高峰と言われる「山田錦」以上の酒造特性を有し 、
「コシヒカリ 」の後に収穫できる晩生の
熟期で、しかも「コシヒカリ」並の栽培特性をもつ品種を目指し、酒造特性にとことんこだわった選
抜を行った結果 、15年におよぶ試験研究を経て、
「山田錦」を母、
「 五百万石 」を父とする交配組合せ
の中から、両者の長所を併せ持つ画期的な酒米新品種「越淡麗」を開発した。
越淡麗
越淡麗
山田錦
五百万石
玄
米
来 歴 と 特 徴
交配組合せ
特
徴
大吟醸酒用40%精白米
精米歩合(%)
母:「山田錦」× 父:「五百万石」
① 成熟期は9月20日頃で、
「五百万石」
(9月3日)、「コシヒカリ」(9月15日)
より遅く、「山田錦」(10月2日)より
早い晩生。
② 大粒で玄米タンパク質含有率が低く、
40%以上の高度な精白にも耐える。
内
醸造用アルコール
添加あり
醸造用アルコール
添加なし
70
60
本醸造酒
純米酒
(玄米酒含む)
50
吟醸酒
40
大吟醸酒
純米吟醸酒 純米大吟醸酒
五百万石
品 種
越淡麗
容
◎研究紹介
待望の酒米新品種「越淡麗(こしたんれい)
」誕生!!
おやまぼくちの栽培技術と蕎麦製造に向けた効率的調製法
耐久性の高い暗渠の疎水材
◎新しい研究の話題
黒毛和種肥育牛への稲発酵粗飼料給与技術
グルテンを使わない「米粉100%パン」誕生!
◎トピックス
佐渡の新しい食材「トキ色メロン」の開発
(作物研究センター)
(中山間地農業技術センター)
(基盤研究部)
(畜産研究センター)
(食品研究センター)
(佐渡農業技術センター)
1
《研究紹介》
耐久性の高い暗渠の疎水材
基盤研究部
暗渠排水の疎水材としてのもみ殻は、酸化的条件下では微生物により分解を受けやすく、暗渠排水
機能が低下する。もみ殻を半炭化やアセチル化及びポリフェノール(柿渋)塗布することにより耐久
性が増し、透水性も向上する。
また、杉チップは腐食も遅く、透水性にも優れ、疎水材として適している。
半 炭 化
アセチル化
2%NaOH分解率(%)
30
25
20
15
10
5
ND
0
無処理A
柿渋塗布
杉チップ
半炭化
アセチル化
柿渋塗布
無処理B
杉チップ
360日培養
150日培養
図 各種疎水材の加工処理後の耐久性
(ND:検出限界値未満)
《トピックス》
佐渡の新しい食材「トキ色メロン」の開発
佐渡農業技術センター
トキは環境保全のシンボルと同時に佐渡にとって強力な観光資源となるため、佐渡を訪れる観光客
にデザートなどで提供できるトキの羽色をしたメロンの開発が要望された。
そこでトキの羽色の「淡い橙色」をイメージする果肉色の品種選定や、甘くておいしい果実を安定
して生産する方法、佐渡に適する栽培時期などを地元と一緒になって取り組んでいる。
トキ色メロン
トキの羽
(3列風切り羽)
現地のハウス栽培の果実
現地のトンネル作型での収穫
2
《新しい研究の話題》
黒毛和種肥育牛への稲発酵粗飼料給与技術
畜産研究センター
一般的に黒毛和種肥育牛には稲わら以外の粗飼料を与えないことが多いものの、代替え飼料として
近年作付面積が急増している稲発酵粗飼料の利用技術を検討中。20ヵ月齢から出荷までの8ヵ月間給
与した場合、稲発酵粗飼料に含まれるβ-カロテンの影響で皮下脂肪色はやや黄色化するものの格付基
準に影響する程度ではなく、現在までのところ脂肪交雑等の肉質等級には影響しない。
稲発酵粗飼料の切断面
稲発酵粗飼料を給与した
試験区(左)と稲わらを
給与した対照区(上)の
枝肉断面
稲発酵粗飼料を食べる黒毛和牛
《新しい研究の話題》
グルテンを使わない「米粉100%パン」誕生!
食品研究センター
従来、米パンの製造には小麦グルテンを必要としていたが、このたび小麦グルテンを全く使わずに
「米粉100%パン」を製造する技術を、食品研究センターで開発した(特許申請中)
。
従来の米粉パン
米粉100%パン
<原 料>
<原 料>
酵素処理米粉 小麦グルテン
砂糖 食塩 乳製品 など
イースト
油脂
酵素処理米粉 増粘多糖類 イースト
砂糖 食塩 乳製品 など
小麦グルテンを入れないと米パンは膨らまない
油脂
小麦グルテンを使わずに米パンができる!
グルテンなくても
米パン膨らむには
食パンタイプ
米粉100%パンの特徴
▲
● 低カロリー化が可能
従来の米粉パンなどに比べて水分が高いため
固形分(カロリー)を減らすことが可能
● 日持ち性が大幅に向上
従来の米粉パンと比べてソフトでしっとりと
した感じ、軟らかさも長続き
▲
蒸しパンタイプ
● 小麦アレルギーの方にも対応
小麦由来の原料を一切使用せずに製造できる
ため、小麦アレルギーの方にも対応可能
3
《研究紹介》
おやまぼくちの栽培技術と蕎麦製造に向けた効率的調製法
中山間地農業技術センター
おやまぼくちは、その葉の裏の繊維(毛)を「蕎麦」や笹だんご等のつなぎ材料に利用でき、地域
特産物として有望な品目である。今まで、その栽培法や葉裏の繊維の効率的な調製方法が確立されて
いなかったが、栽培から調製までの技術を体系化できた。
栽培技術の開発
調製方法の開発
(中山間地農業技術センター)
(食品研究センター)
①黒マルチ栽培をすると収量が増加するだけでな
く、除草労力と土砂の跳ね上がりによる汚損が軽
減できる。
①収穫した生葉を平型乾燥機等を利用し80℃の
温風で4∼5時間通風乾燥。
②乾燥した葉を圧延ロールに2回通し葉脈を破壊。
②抽たいすると翌年の収量が低下するので、随時花
蕾を摘除して開花・結実を回避する。
③年数の経過とともに収量が低下するので、作業効
率の面から3年で改植する。
③カッターミルで2分間粉砕。
④篩目2㎜の回転篩いにかける。
(ライスグレーダー等を活用)
③④を繰り返す。
黒マルチ試験の様子
花蕾摘除の様子
葉裏繊維(毛)を利用
調製後の繊維(毛)
にいがた農総研だより
第7号【2005年(平成17年)2月発行】
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基盤研究部
作物研究センター
畜産研究センター
食品研究センター
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〒940-0826
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長岡市長倉町857
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