お客様の声 建設・防災分野 製造分野 情報・通信分野 意思決定・合意形成分野 マーケティングコンサルティング導入事例 株式会社伊東屋 様 「顧客購買行動分析にそってレイアウト 変 更 を 行 っ た と こ ろ、平 均 購 入 点 数・ 客単価共にアップしました」 株式会社伊東屋 販売戦略本部 マーケティング部システム管理室 マネージャー 吉村 恒人氏 根強いファンを持つ文房具専門店「伊東屋」では、2009 年単位面積あたりの ると言われています。1つ1つの商品がどちらの買い方をされてい 売上アップを目的に「店内レイアウトコンサルティング」を受け、レイアウ るのか、実際の POS データ(レジレシート)を用いて分析し、お客 ト変更を行った。その結果、平均購入点数 4.0%、客単価 3.4% の増加があった。 様の行動をモデル化してシミュレーションしました。その結果から 同社 販売戦略本部マーケティング部システム管理室マネージャー 吉村恒人氏 にプロジェクト内容と効果について伺った。 1904 年和漢洋文房具店として 銀座で創業 店舗レイアウトを変更して、売上へのインパクトを検証しました。 分析を行った店舗は、銀座本店、玉川店、青葉台店の3店舗で、用 いたのは次のデータです。1と3はこのシミュレーションのために 新たに収集しました。 1.防犯カメラの画像から、来店人数のカウントとお客様の動線な どを収集 ― 伊東屋さんについて教えてください 2.3年分(2007 年∼ 2009 年)のレジデータ 伊東屋は、1904 年(明治 37 年)6 月、銀座 3 丁目に『和漢洋文房具・ 3.店頭での来店者アンケート(200 名) STATIONERY』の看板を掲げて誕生しました。 「POS データ分析」やアンケートから「目的買い」される商品と「つ 一貫して時代の一歩前を歩こう、文房具販売を通して文化の担い手 いで買い」される商品を推定し、「人流分析」と併せてお客様の購買 であり続けようと努力し、銀座の街の発展とともに伊東屋も大きく 行動モデルを作成します。それと並行して、「キーグラフ分析 (※)」 なりました。 を用いて商品間の併買関係を分析し、併買行動が起きやすい店内レ 伊東屋はここ数年間に渡って改革を進めてきました。ロゴの変更、 topdrawer という小型店舗展開もその一環ですが、来年 (2013 年 ) 初頭に銀座本店の建て替えに入り、2015 年 6 月に再オープンいた します。構造計画研究所に依頼した店内レイアウトコンサルティン イアウト案を作成し、コンピュータ上に3種類の仮想店舗を作りま した。そして、前掲の購買行動モデルを仮想店舗上でシミュレーショ ンし、効果が大きい案を採用して、実際の店舗のレイアウト変更を 行いました。 グもその1つです。 ※キーグラフ分析 東京大学大学院工学系研究科教授・大澤幸生氏が提唱する分析手法。テキスト・データを 併買関係を分析し、シミュレーションによって 店内レイアウトを変更 ー 店内レイアウトコンサルティングとはどのような ものですか お客様の商品購入には、「目的買い」と「ついで買い」の2種類があ 用いて、ある単語の出現頻度と共起関係を可視化する。出現頻度の多い単語だけではなく、 出現頻度は少ないが、出現頻度が高い単語と一緒に出現し、文脈上重要な単語を可視化さ せることで、新たな仮説や知見、セグメントなどを発掘する。 まとめて置いた方がいいのか、散らして置いた方がいいのか。これ 長年にわたって蓄積された ノウハウの定量化の遅れ は女性のお客様を繋ぎとめるキーポイントで、併買される商品の近 くの見えるところに置くべき商品だとわかりました。 単品のデータとはそういうものではないでしょうか。「どこどこの メーカーのボールペンがこれだけ売れてます」「では次は もっとあ ― 当時どのような課題がおありでしたか ちこちに置いてみよう」とか「面積を倍にしよう」とか、これまで 伊東屋には長い歴史の中で蓄積されてきたノウハウや勘とでもいう はそういう見方をしていました。このコンサルティングでは、そう ようなものがあって、「この時期はこれが売れる」「こういうタイプ いう見方をせず、「これを買う人はあれも買うよ」という併買関係に のお客様はこのような商品を好む」など、売り場ごとにノウハウが 注目したことが大きな収穫でした。 あります。ベテラン社員は「お客様を一見しただけで欲している商 品がわかる」とも言うのですが、それは、その社員が店頭に立って 掴み取ってきたもので、言わば定性的なデータです。先輩から後輩 に継承されてきた面と、自ら現場で掴み取らなければならない面が ありました。 「こうした方が売上が良くなる」「こうすることによってお客さんは マルチエージェント・シミュレーション 喜んでくださる」など定性的なノウハウを定量的データにできない かということが課題でした。 店内レイアウトの変更で、 「平均購入点数」「客単価」が共に増加 ― コンサルティングを受けてわかったことはありま すか 最大の成果は、シミュレーションによって、これまでの伝承や勘で の運営が間違っていなかったと裏づけられたことです。 これまで単品ごとの売上額や商品の購入層などのデータはありまし たが、POS データの詳細な分析はしていませんでした。これを買っ た人はこの商品も一緒に買っているなど、併買傾向を分析したのは 今回が初めてでした。 今後の期待 ― 構造計画研究所のコンサルティングを受けてから 2年が経ちますが、その後の変化があればお聞かせく ださい 実は自社で似たようなことができないかとやってみましたが、分析 の対象となる情報が多すぎて、自社内で行うには負荷が高く、かな り大変でした。 構造計画研究所のように客観的な視点で、課題を整理・分析し、シミュ レーションを行い、意思決定を支援してくれる機関に依頼すること が成果を出す近道です。そして、社内にも分析を受け進言する人間 がいるべきで、そういう人材を育てることがコンサルティング結果 ― レイアウト変更の結果、売上の変化はありましたか マルチ・エージェント・シミュレーションを参考にレイアウト変更 を行った結果、前年同月比で、1人あたり平均購入点数で 4.0%、客 単価では 3.4% 増加しました。 実はこのレイアウト変更以外にも、併買関係の分析から、重要な気 づきが得られました。それはシールなんですが、ついで買いされる を社内に活かすために大切だと考えています。 これまでは、なにかを実施するときの根拠は熟練者の勘、または売 上か利益率しかありませんでした。今後はこれまで以上に戦略的な 売り場レイアウトや予算が組めるようになっていくと思っています。 継続して行うことでもっと見えてくることがあると思いますので、 今後も構造計画研究所には相談に乗っていただきたいと思います。 モノの TOP だったことがわかりました。玉川店のお客様は女性が7 割以上で、女性が必ず買う商品と言ってもいいくらいです。 取材日:2012 年 10 月 株式会社伊東屋について 設立:1904 年 6 月 本社所在地:東京都中央区銀座 ホームページ:www.ito-ya.co.jp フルインタビューの内容は Web からご覧いただけます ▶ www.kke.co.jp/solution/casestudy/marketingconsulting_itoya.html ※本インタビュー内容は全て取材日時点の情報に基づくものであり、最新の情報とは異なる場合がございます。あらかじめご了承ください。 この事例に関するお問い合わせ TEL E-Mail 03-5342-1025 sdm-mkt@kke.co.jp Web 株式会社構造計画研究所 社会デザイン・マーケティング部 iit.kke.co.jp この事例で使われているソリューション マーケティング コンサルティング *調査・分析を行っている弊社創造工学部の ページにリンクしています ※記載されている製品名および会社名は各社の商標又は登録商標です。
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