GT-SUITE V2016 新機能

GT-SUITE V2016 新機能
2016 年 6 月
株式会社 IDAJ 解析技術 2 部
GT-SUITE V2016 は、以下のような既存機能の改善、新機能の追加が行われております。
1.シミュレーション環境
<GT-ISE>
・メニュー機能の強化(リボンスタイルのツールバー、ユーザーショートカットの作成など)
・ソルバーの起動時間を大幅に短縮(特に大規模モデルで効果大)
・数式の作成と編集が簡単に扱える、Formula Editor 機能の導入
・モデルにおけるフロー回路の定義と、各回路のソルバーの設定項目の選択を自動化
・データロガーなどから一般的に出力される MDF(Measurement Data Format)ファイルの読み込みに対応
<GT-POST>
・ウィンドウ内に余白なしでプロットを表示する"Normal"モードを追加
・FE データセットの 3D アニメーションに、詳細な 3D メカニカル剛体モデルを重ね描きプロットする機能を追加
・データロガーなどから一般的に出力される MDF(Measurement Data Format)ファイルの読み込みに対応
・プロットウィンドウでのアニメーション表示に、プログレスバーを追加(任意のフレームで停止可能)
<GEM3D>
・3D パイプの変換中に、(例えばマフラー内部のような)パイプ壁面上のパンチ穴の区間を自動的に識別して変換
・ローカルの直交座標を基準に、対話型で並進や回転を行うことができる新しい Move 機能
・離散化プレビュー画面で熱容量(GEMThermalMass)を表示・編集する機能
・3D CAD データから、メカニカルとサーマル両方の 3D FE メッシュを生成・出力できる 3D FE Meshing ツールの統合
・隣接する熱容量とフローボリュームの伝熱面積を算出し、接続(対流熱伝達)が設定可能
・3D CAD データから、弾性壁面のパイプ要素に直接変換が可能
・3D CAD データからの変換中に、分岐管ポートの水力直径または等価直径の特定が可能
・タンク内の液面の挙動(スロッシング)を簡易的に扱う"3D Tank"への変換に対応
<VTDesign>
・一部の OEM が採用している"DACS"ツールに相当する入力方式に対応
・コマンドライン実行をサポート
・エクスポート時の接触入力、ジャーナル支持、粗さ、スプリングアニメーションなどのプレフィル機能が改良
・kinematic/quasi-dynamic ソルバーの応答時間が改善
<Direct Optimizer>
・GEM3D モデルおよび COOL3D モデルのパラメータを直接最適化(Advanced Direct Optimizer)
・目的関数"Target"と独立変数"Sweep"の組み合わせで、誤差和の最小化が可能(Advanced Direct Optimizer)
・分散コンピューティングで最適化を実行する場合の速度を改善(Advanced Direct Optimizer)
・Modeling Applications フォルダに、最適化に関する専用のマニュアルを追加
2.流体・油圧シミュレーション
<一般的な流体モデル>
・分岐管のポートに、ポート番号だけではなく、テキスト名も割り当てられるように
・車両挙動によって生じる加速度の影響を受け、タンクやオイルパン内で気液の界面の向きが変化する"Tank3D"
・一般的なサプライヤーのデータシートやテストデータからチェックバルブ特性を指定する"CheckValve"
・分岐管の熱伝達係数の予測機能が大幅に改善
<CFD 連成>
・ターボ機械の 3D CFD フルモデルやハーフモデル(コンプレッサ、タービン単体)との連成のため、各種連携機能を強化
・CFD から受け取った単一の化学種を、GT-SUITE 側で指定した組成比の複数化学種にマッピングする機能
・CONVERGE™ Lite が v2.3 にアップグレード(新しい乱流モデル、線形圧力方程式ソルバー、全エネルギーソルバーなど)
3.エンジンシミュレーション
<シリンダモデル>
・SI 乱流火炎モデルの改善(スワール流れの考慮、3D CFD に十分匹敵する K-k-ε乱流モデルの実装)
・DIPulse が、RT ソルバー(HiL、SiL 用)上でも利用可能
・DIPulse で、ガス噴射およびマルチインジェクタの設定や、デュアルフューエルの予測的な燃焼モデリングが可能
・筒内からクランクケースへの吹き抜けを考慮する、新しい"Blowby"モデル
・TPA(Three Pressure Analysis)で、筒内圧シフトの自動調整機能が改善
・最小限の入力項目で掃気プロフィールを容易に調整できる、新しい"EngCylScavFunction"掃気モデル
・"Emission"フォルダ内の RLT 値"Brake Specific NOx"の定義式の見直し
・EngCylinder に、燃料の吹き抜け量を示す新しい RLT 値"Fuel Blow-Through Fraction"の追加
<インジェクタ>
・従来の"InjMultiProfileConn"よりも、設定の容易な新しい"InjRateMapConn"インジェクタテンプレート
<ターボ過給>
・入力設定が容易で、物理式によって完全に補外されたタービンマップを生成する"TurbineMapParam"テンプレート
・タービンマップの効率を、ベアリング摩擦に対して調整することが可能
・コンプレッサパーツで、体積流量のコンタープロットが出力可能
<非線形音響モデル>
・ワンクリックで、音響ポスト処理のデータを保存するオプションを追加
・Green および Smith の気流音モデルで係数のチューニングが可能
・マイクロフォンから出力されるソースファイル(.unv)に、予測された気流音が加味されるように
・マイクロフォンで気流音の指向性(半球面/球面)が考慮可能
<線形音響モデル>
・過去のシミュレーション結果を参照する場合の、質量流量の初期化ルーチンを改良
<高速実行モデル・平均値モデル・リアルタイムモデル>
・モデルの縮退化や調整のすべてのステップを事前にセットアップし、単一バッチで実行できる改良版 FRM Converter
<後処理モデル>
・"CatalystBrick"および"DieselParticFilter"テンプレートの、形状と伝熱の入力・設定が簡便化
・"CatalystBrick"が充填層反応触媒(packed bed reactor)のモデル化に対応
・DPF の Soot 反応に対して、"SurfaceReactions"を使用してターンオーバー数(1/s)の設定が可能
・擬似定常流ソルバーにおける時間刻みを過渡的に変更可能
・外部制御信号を用いた化学反応のアクティブ/非アクティブの切り替えが可能
4.車両熱マネジメント(VTM)シミュレーション
・熱容量のポートに、ポート番号だけではなく、テキスト名も割り当てられるように
・GEM3D で生成されたカスタムメッシュにより、エンジン全体の伝熱構造をモデリングすることが可能
・アイドルストップのようなエンジン停止イベントの際、制御信号によりシリンダ構造への入熱を無効化することが可能
・シャフト速度の代わりに、(PWM のような)入力信号を用いて制御するタイプの、新しい電動ファンモデル
・流体温度が変化した際のポンプ性能について、流体物性(密度や粘性)の変化に基づいて予測する機能
・マルチパスのプレート式熱交換器のモデル化に対応
・熱交換器のスケーリングに適した、新しい圧力損失キャリブレーションのオプション
5.COOL3D アンダーフードシミュレーション
・コンポーネントの配置について、相対位置による移動・修正が可能
・形状(3D モデル)をケース間で変更している場合、GT-ISE の Case Setup から各ケースの 3D モデルを直接表示
6.空調・排熱回収シミュレーション
・NIST Refprop が最新リリースのソースコード(9.1)にアップグレード
・"Phase Change Material"(PCM:蓄熱式)エバポレータのサンプルモデルを追加
・離散化されたキャビン空間と、Thermoanalytics 社の TAITherm (Radtherm) ソフトウェアとの連成機能
7.油圧系・空気力学と燃料噴射シミュレーション
・各種バルブの油圧力モデルが改良(一部のバルブでは、流体慣性効果を持つスクイズ減衰も考慮)
・GDI のレール圧力について、PID ゲイン調整が不要なモデルベースコントローラ("RailPressureControllerGDI")
・ポンププランジャのトライボロジーの有限要素 HD 解析が可能に
・任意形状のアーマチャに作用するスクイズ減衰力の考慮
8.潤滑回路シミュレーション
<ベアリング>
・ベアリング中心線からオフセットしたグルーブとホールに対応("JournalBearingFlow"、"JournalBearing")
・3 つ以上のグルーブ、4 つ以上のホール、最大合計 8 つまで対応("JournalBearingFlow"、"JournalBearing")
・異なる荷重角度で、複数の荷重変形プロフィールを指定("JournalBearingFlow"、"JournalBearing")
・油膜圧力、密度、キャビテーションなどの 3D アニメーション("JournalBearingHD(3D)"、"ThrustBearingHD")
<ポンプ>
・CAD 形状から複雑なボリュームとポート面積プロフィールを計算する、詳細外接ギヤポンプのための新しいスクリプト
9.一般的な機械系シミュレーション及びソルバー
・薄膜のレイノルズ方程式など、大規模な non-stiff 問題に適した、"Explicit-Adams-PECE"という新しい積分法
・特に FE モデルに適した、“Sloan”と呼ばれる新しい行列最適化法(ODEControl)
・MechModelPlots3D アニメーションに 2D および 3D のフレキシブルボディを表示可能
・フレキシブルボディの計算に陰的積分法を使用した場合、全体の速度がアップし、精度が向上
10.バルブトレインシミュレーション
・タペットやバルブなど、ガイド付き物体の 2 次的な運動および摩擦を計算する、新しい"PistonBearing"テンプレート
・"PoppetValve*"テンプレートの、バウンス関係のロジックが拡張され、全体的な信頼性が向上
・ばね疲労計算用に、リファレンス用のばね材料を GT ライブラリに追加
11.クランクトレインシミュレーション
・周波数領域の計算で、分岐、再合流、回転、並進、固定端、速度境界などを考慮することができる、新しい解法
・PistonCylConn(スカート部)の準静的解法が改善
・クラッチ動作やファイアリング時の荷重によるスローの"広がり"と、スラストベアリングへ掛かるフリクションが計算可能
12.ギア・チェーン・ベルト駆動シミュレーション
・平均速度および周期的な偏差を入力して、周期的に変動する速度を定義可能
・プーリーに関して、ベルトの巻着いている入口部、中央部、出口部の三か所の局所ベルト滑りをプロット
・歯付きタイミングベルトの、ベルト歯形状とスプロケット歯形状をユーザー定義(円弧と直線)で設定可能
13.連成と”X”-in-the-Loop シミュレーション
・全てのプラットフォームで、FMI 2.0 をサポート
・インポート時に、FMU のシミュレーションタイプ(co-simulation/model-exchange)を自動判別
・エクスポート時に FMU にソルバーを含めず、実行時にインストール先の GT-SUITE ソルバーをコールするオプション
・Simulink が規定の停止時間に達したときに、GT-SUITE のシミュレーションを強制終了するオプション
・"SimulinkHarness"を含む GT-SUITE モデルに対して、GT S-function を自動的に作成および接続するユーティリティ
・'Export to MEX'オプションが、Linux プラットフォーム向けにも対応
・FMU や MEX に含まれるソルバーに関して、パッチ版やアーカイブ版の選択にも対応
14.制御ライブラリ
・"ControllerTurboRack"コントローラが、ラックポジション 1 以上までマップが設定された可変タービンにも対応
・"ControllerTurboWG"と"ControllerTurboRack"が、コンプレッサの上流・下流いずれからの燃料噴射にも対応
・"SampledOutput"テンプレートで保存するデータポイントの上限が、40000 点まで引き上げ
・"MonitorLinear"と"MonitorRadial"について、ワイヤレスの信号入力に対応
以上
【ご不明な点等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。】
株式会社 IDAJ GT-SUITE 技術サポート
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