首都圏北部4大学連合(4u) 第17回 新技術説明会キャラバン隊(2012.1.25 於:前橋テルサ) 振動切削による表面マイクロ テクスチャ製造用金型の製作と応用 茨城大学 工学部 知能システム工学科 教授 清水 淳 教授 周 立波 准教授 小貫 哲平 講師 尾嶌 裕隆 技術職員 山本 武幸 nLab (Nano-Engineering Laboratory) 研究の背景(光散乱) 研究の背景(表面テクスチャ) ・ 微小テクスチャによる表面機能向上は多分野で活用 例: 光散乱・反射防止、親水・疎水性制御、摩擦・摩耗・潤 滑特性制御、面積増大による反応の活性化など ナノ親水タイル http://inax.lixil.co.jp/products/tile/the me/maintenance/theme1.html#nanoK nLab (Nano-Engineering Laboratory) 反射防止構造 http://www.ostec.or.jp/ tec/area/a/a.html 研究の背景(反射防止) 散乱による反 射光の再入射 界面における 屈折率の急変 による反射 空気 (屈折率 1) 高さ ⇒吸収率増大 1 誘電体 (屈折率 n) 散乱により分 散照射できる 反射光 吸収光 高さ 光波長以下 屈折率の緩や かな変化によ る反射防止 吸収光 1 微小表面凹凸の有無による光散乱と反射の相違 (分光レイジングソフトSPRAYによる解析結果) nLab (Nano-Engineering Laboratory) 研究の背景(テクスチャ製造法) 手 法 利 点 問題点 リ ソ グ ラ フ ィ ー 凹凸の微細性(< 数十 (MEMS) nm)・均一性、大量生産 2次元構造、特殊装置、薬品処 理、小面積加工、材質 エッチング 大面積、大量生産 凹凸の均一性、薬品処理、材質 粒子集積 凹凸の均一性、周期性 凹凸サイズ・形状(> 数m、球 状)、密着強度、材質 噴射 低コスト、大量生産 凹凸サイズ・形状均一性、粒径 fsパルスレーザ 凹凸の均一性(数百nm 周期・規模)、大面積 波長依存性(凹凸サイズ・周期 は限定)、光学特性 レーザ 非接触加工、高速 スポットサイズ依存性(> 数m) 放電 非接触加工 加工単位 > m、加工時間 FIB nmオーダ加工 極微小面積 切削 多品種少量生産 凹凸サイズ、加工時間、工具 転写(塑性・射出) 低コスト、大量生産 凹凸サイズ、金型製造 nLab (Nano-Engineering Laboratory) 屈折率 平面 入射光 入射光 n n 屈折率 反射防止構造 nLab (Nano-Engineering Laboratory) 研究の背景(反射防止の現状・課題) ・各種ディスプレイ等に実用: プラスチックフィルム上に、上 から順に、①防汚コート層、②反射防止膜、③ハードコー ト層、が塗布されるもので、工程数が多い。 ・Si単結晶太陽電池では、異方性エッチングによる不均一 寸法のテクスチャ上に反射防止膜を塗布し実用 ・SiC上(パナソニック、反射防止レンズ用)やグラッシー カーボン(東理大、反射防止フィルム用)上において、レジ ストを利用した電子線加工とドライエッチングを利用した 金型製造とスプレーやタッチパネルなどでは、反射防止 膜が転写加工例がある。特殊設備必須等の問題あり。 ⇒ 汎用の加工装置により低コストで均一かつ 微小なテクスチャ加工を実現するには? nLab (Nano-Engineering Laboratory) 研究の目的 適用例:色素増感太陽電池 利点 微小振動援用切削による表面マイクロ テクスチャ転写加工用金型の製造と応用 ・低コストで製造可能 ・構成要素は安全かつ安価 ・室内でも発電 検討内容 課題 ・切込み深さ方向への微小振動を付与した切削によ るテクスチャ金型の製造(多様なサイズに対応) ・陽極酸化によるテクスチャ金型の表面改質(硬化と ナノ構造付与) ・透明樹脂電極への表面テクスチャの転写 ・色素増感太陽電池への適用と評価 nLab (Nano-Engineering Laboratory) ・変換効率が小さい 30% 単結晶シリコン 色素増感太陽電池 11% ・耐久性(電解質の揮発など) 高効率化の一手法 透明電極の両面にテクスチャを設け入射面 で光散乱と反射低減,電極面でTiO2への光入射率向上 nLab (Nano-Engineering Laboratory) 検討の概略 微小テクスチャ金型の加工装置 ナノ・マイクロテクスチャ金型 非導電性樹脂(太陽光入射側) PC スピンドル 透明樹脂電極 導電性膜(太陽光出射・TiO2吸着)側 NC制御盤 ナノ・マイクロテクスチャ金型 ②転写加工 ①テクスチャ金型製造 振動切削(引っかき)+陽極酸化 光散乱および反射低減 両面テクスチャ付き透明樹脂電極 電極面(TiO2粒子)への光入射率向上 nLab X軸 Z軸 C軸 送り速度 1~1260[mm/min] 1~1260[mm/min] 1~5000[mm/min] 位置制御の分解能 0.00001[mm] 0.00001[mm] 0.00001[deg] ストローク 60[mm] 150[mm] nLab (Nano-Engineering Laboratory) テクスチャ加工の概要 (Al) (Nano-Engineering Laboratory) アルミニウム 工具 エッジ角度 先端半径 切込み深さ(平均) 単結晶ダイヤモンド三角錐圧子 90° 0.8 m (若干摩耗あり、初期 0.1 m) 9 m 0.04 m/s 工具振動周波数 44 m/rev 900 Hz 工具振動振幅 6 m 加工環境 ドライ 送り nLab 3[nm] 30[m] 工作物 切削速度 (塑性変形無考慮 の場合の模式図) FTS 微小振動切削条件 工具形状・軌跡を 工作物表面へ転写 微小硬度計用 ダイヤモンド圧 子を利用(初期 先端R<100nm) Fast Tool Servo (ピエゾアクチュエータ) ピエゾドライバ +コントローラ 陽極 酸化 (アル マイト 処理) (Nano-Engineering Laboratory) nLab (Nano-Engineering Laboratory) 陽極酸化後の表面テクスチャ 陽極酸化実験の概要 陽極酸化条件 陽極 陰極 Al Al 電解液 1%酢酸水溶液 陽極酸化装置 80V 電圧 時間 1時間 電極間距離 15mm 実体像 レーザ顕微鏡像 V 電源 + - nLab 電解液 陽極Al 陰極Al Al2O3 nLab (Nano-Engineering Laboratory) 振動援用切削による表面テクスチャ 実体像 A (Nano-Engineering Laboratory) 転写加工の概要 レーザ顕微鏡像 nLab nLab (Nano-Engineering Laboratory) 透明電極光入射面への転写結果 (Nano-Engineering Laboratory) 色素増感太陽電池への適用 入射面 導電面 TiO2ペースト 色素 電解液 色素増感太陽 電池の概略 20mm 色素増感太陽電池の構成要素 nLab (Nano-Engineering Laboratory) 電解液 ヨウ素溶液(イソジン) 透明電極 透明電極 試作した色素増感 太陽電池の外観 対極 アルミ板 色素 ハイビスカスティー (エタノール湯銭抽出) TiO2ペースト 精製水 : TiO2粉末 : PEG = 9 : 3 : 1 nLab 環境負荷がないも のを用い、低予算 で検討中 (Nano-Engineering Laboratory) 発電試験の結果 検討結果のまとめ 開放電圧Voc 開放電圧 Voc[V] 1.02 0.98 最大出力・効率 1 0.97 0.97 0.94 0.92 0.93 0.91 0.9 最大出力 Pmax W/mm2 最大効率 0.0415 0.848 0.0366 0.748 テ ク ス チャあり テ ク ス チャなし 0.86 A B C テクスチャ a b c テクスチャ あり なし (平均 0.98 V) (平均 0.92 V) 表面微小テクスチャ製造用金型の開発と応用を目指 し切込み深さ方向への微小振動を援用した切削によ り切削テクスチャ表面の創成を試み、それを陽極酸化 することにより金型を製造した。その金型で透明樹脂 電極へ表面テクスチャを転写し、色素増感太陽電池 に利用し,発電効率を評価した。その結果,数十m規 模の三次元構造を無数に有する金型の転写による表 面微細構造付き透明電極を用いた色素増感太陽電 池における発電効率向上がみられた。 (H23年度末) ⇒ 課題:テクスチャの微小化はじめ多数 nLab (Nano-Engineering Laboratory) テクスチャの微小化(現状) テクスチャのさらなる微小化や切りくず レス化(完全に掘起しのみ)に着手中 (以下は3m未満の構造群の例) nLab (Nano-Engineering Laboratory) 提案技術の特徴、想定される用途 提案技術の特徴 ・旋盤にFTS(Fast Tool Servo)や超音波振動子などを追加 することで金型製造可能 ・MEMS用の特殊装置や有毒な薬品を要しない ・アクチュエータ制御次第で多様な凹凸形状・周期に対応 想定される用途 ・各種ディスプレイ、タッチパネル、太陽電池透明電極など ・レンズ表面や反射鏡表面 (以上は金型として) ・代替関節表面やしゅう動要素の直接テクスチャ加工など nLab (Nano-Engineering Laboratory) 実用化への課題、企業への期待 実用化への課題 ・ロール・トゥ・ロール加工への展開 精密旋盤上でのロール金型製造 ・専用アクチュエータ開発(振動高周波化、運動複雑化) ・切削(引っかき)工具の改良 ・テクスチャ形状・寸法と加工条件の関係解明 ・テクスチャ形状と光学特性の関係解明 など 企業への期待 課題は多いものの、各種助成制度を利用するなどし、 共同研究を進展・実用化できればと思う。 nLab (Nano-Engineering Laboratory) nLab (Nano-Engineering Laboratory) お問い合わせ先 茨城大学 産学官連携イノベーション創成機構 ●コーディネーター 宇都木 勲 TEL: 0294-38 -7092 FAX: 0294-38 -5240 e-mail: utsugi@mx.ibaraki.ac.jp ●4u担当 友田 和美 e-mail: ccrd-iu@ml.ibaraki.ac.jp または、茨城大学 工学部 知能システム工学科 本研究課題の代表者 清水 淳 TEL&FAX: 0294-38 -5192 e-mail: jshimizu@mx.ibaraki.ac.jp nLab (Nano-Engineering Laboratory)
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