し お り 図書館通信 み な み ☆ 紅い葉を 2015年10月 愛媛県立宇和島南中等教育学校 「本棚からの考察」 英語科 氏名 竹田 智水 先日久しぶりに実家に帰省した。ここぞとば かりにごろごろ 寛 いでいたら、母親が、本の 整理をするから手伝えと命じてきた。 先年他界した祖父を筆頭に、父も私も妹も 本が好きだ。家に4人も本好きがいると、困っ たことが起こる。お互い世代や性別が違うし、 妹と私でも理系・文系の違いがあって、興味関 心は多岐にわたるので、必然様々な種類かつ半 端ない量の本がたまるのだ。自分たちの部屋は 言うに及ばず、居間のソファの陰、廊下の隅っ こなど、置けそうなありとあらゆる場所に本が 積み重なっていた。見かねて母親が、あふれた 分を納戸に収納しようと思い立ったようだ。 母親が次々と本を抱えて持ってくるのを私 が納戸の棚に入れていく。大きさで揃えるか、 それともジャンルで揃えるか、いやそれぞれの 所有で並べるか、などと考えながら眺めている と、『おばけのてんぷら』という絵本が目に飛 び込んできた。なんとも懐かしい。記憶してい る限り、初めて買ってほしいとねだった本だ。 手にとって読み返してみる。うさこの揚げるて んぷらのにおいに惹かれてやってきたお化け が、逆にてんぷらにされ食べられてしまうとい うかなりシュールなお話だ。だけど絵がとても チャーミングで何よりてんぷらがおいしそう。 がぜん食欲を掻き立てられ、当時から食い意地 が張っていた私は購入を希望したのだろう。 昔から、「本が欲しい」と言えば、たとえそ れがばかばかしい漫画や雑誌であろうとも、両 親や祖父母は必ず買ってくれた。小さいころは、 本などよりおもちゃが欲しくて泣きわめいてい た。しかしそんなことをしてもなかなか買って もらえなかったので、いつの間にか諦めて、す くつろ そろ そろ ひ か んなり買ってくれるなら、本でいいやと子供心 に考えたのだと思う。それ以来ずっと、楽しみ は本になった。 文庫本は文庫本でまとめることにしよう。 中学校時代に乱読したアガサ・クリスティシリ ーズを順番に並べる。人間関係は、すべてこの ミステリーから学んだ。『オリエント急行の殺 人』や『ナイルに死す』など名探偵ポワロの作 品もよいが、はまるきっかけになったミス・マ ープルが推理する『動く指』が一番のお気に入 り。ちょっと読んでみようか・・・抜けている。 たぶん妹の部屋だ。アガサ・クリスティだけは 彼女と趣味が合う。くたびれたナイロン袋の中 に『寄生獣』を発見。最近では映画にもなった が、この漫画を見たのは大学生のころだ。SF は苦手だったけれど、勧められてしぶしぶ読ん でみたらとてつもなく面白かった。私に新しい 世界を教えてくれたその人は、今や無二の親友 だ。思わずその場で手を止め、4巻まで読破。 そしてなんとなく気が付いた。どんな本を 読んできたのか。それはすなわち自分がどうい うふうに成長を遂げてきたのかということと同 じではないかと。その時々で自分が興味を持っ た本は、その時の自分が欲していた知識であり 憧れた世界だ。今、目の前に積まれてあるのは、 本だが本ではない。くだらなくてもありふれて いても、難解すぎて意味がわからなくても、そ れこそ自分の歴史そのものだ。 であるならばむしろ、本棚には、読んだ年ご とに本を並べていくのがいいんじゃないか。こ うしてはいられない、総入れ替えだ!3段目ま で棚に納まっていた本をもう一度出そうとした その時、追加を運んできた母親が一言。 「もう、手伝わなくて結構。」 栞にはさむ 読み始め☆ 9月までの貸出冊数は、前期生4.2冊 後期生2.0冊とやや低調です。まもなく読書週間 《10月27日~11月9日》を迎えます。是非この機会に本に親しんでみてください。 先日、読書標語を募集したところ、各クラスからいろいろ(学級全員のところもあれば、10 人以下の学級も・・・)出していただきました。ありがとうございました。図書委員による投票 の結果、下記のように決まりましたので、発表します。(各クラスから出してもらった標語は一 覧表にして図書館に貼っていますので、御覧ください。) 【最優秀】 紅い葉を 栞にはさむ 読み始め (6-1) 【優秀】 本には言葉が埋まっている 言葉には想いが詰まってる(4-2) 秋の夜に 飽くることなき 読書かな (参考までに・・・次点は「読め 読むんだ (6-2) ジョー」(3-1)でした。) 図 図書 書委 委員 員お おす すす すめ めの の本 本 『路地裏のあやかしたち』 行田尚希【著】 2年3組 今西 絢音 高校生の小幡洸之介は、 画家である父の作品が夜に なると動き出すという現象 に悩まされていた。事件を 解決してくれる場所がある と耳にして、怪しげな日本 家屋を訪れた。そして、そ こで目にしたのは・・・ どこか懐かしくて、ほほえましい人間と 妖怪の不思議な物語。 (※ このシリーズは、現在3巻まで図書館 にあります。) 『陽だまりの彼女』 越谷オサム【著】 4年4組 東 茉希 交通広告代理店の営業マン である奥田浩介は、打ち合わ せの場で、中学時代の同級生、 渡来真緒と再会し、再び恋に おちる。しかし、幸せな結婚 生活を送る中、真緒に異変が ・・・。日に日に弱っていく 真緒。そして真緒は浩介の前から姿を消して しまう。 真緒はなぜ消えてしまったのか?彼女の正 体とは?笑顔あり、感動ありのファンタジー なラブストーリー。 ※ 図書館で購入してほしい本の希望を採りたいと思います。(4月に続いて2回目です。 かつ、今年度最終です。)希望がある人は、各学級の図書委員か赤松にお知らせください。 締切りは、10月16日(金)です。(本の価格や内容によっては、購入できない場合 もありますので、御了承ください。) 今月は、『0能者ミナト9』『心霊探偵八雲 裁きの塔』『掟上今日子の備忘録』『掟上今日子の 挑戦状』『奥の奥の森の奥にいる』『空想科学「日本昔話」読本』などみなさんの興味のありそう な本を注文しています。10月中旬には届くと思いますので、楽しみにしていてください。
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