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もくじ
●はじめに···································································································3
第1章 「ネーミング」をビジネスにするまで ···························································· 6
1・「名前」にとても興味のあった子ども時代························································· 6
ネーミングのベースは「落語」 / 「異名」でキャラが際だつ / 「襲名」=ブランディング / 「差別化」
と「威嚇」効果
2・自ら、初めての「異名」を名乗った大学生時代··················································· 12
珍しい名前で、得をする / 「芸名」が、人前に立つ勇気をくれた / 「異名」は、パワードスーツ /
「北風小象夫」の誕生
3・他人に「名付け」をしてあげたブログ時代························································· 17
ブログで再び「北風小象夫」登場 / 「異名」とは、キャラを演じること / そして「北風一家」が生まれる
/ 「名付け親」は帝王になれる / ネーミングから生まれる「ブルー・プラネット」
4・「ネーミング」が仕事になったFacebook時代······················································ 24
Facebookで「起業」を目指す / Facebookにも「北風小憎夫」登場 / 「異名」のパワーで快進撃 /
密室型、劇場型、そして爆発型 / 名前がアクセル、名前がブレーキ / そして「Facebookプロデューサ
ー・六本木辰也」へ
第2章 いますぐ「名前」を変えなさい··································································· 33
最も大事な「プロフィール写真」 / ネーミングは「無料」でできる
①目立つ、インパクトを与える、憶えやすい·························································· 35
②愛称、愛着=愛される················································································ 36
③差別化できる、キャラが立つ·········································································38
④ブランドができる······················································································· 39
⑤シリーズ展開できる··················································································· 41
⑥照れ、迷い、恥ずかしさがなくなる、潜在能力が解放される····································42
⑦なりたい自分になれる················································································ 44
第3章 Facebook時代のネーミング····································································· 48
Facebookは「個人」のためのツール
①「過去の成功事例」から「未来の可能性」へ······················································· 49
②「無難・安全」から「何でもあり」へ··································································· 50
③「会議」から「この指とまれ」へ······································································· 50
④「万人向け」から「あなただけ」へ···································································· 52
⑤「予算」から「無料」へ················································································· 53
⑥「ニーズに合わせる」から「ニーズを作る」へ······················································ 54
第4章 「革命的」ネーミング実例集····································································· 57
商品ではなく「個人」を売る / あなたは「特別な存在」
【例1】夢は日本のスティーブ・ジョブス!ホテルを愛する冒険好きな大人が集まる日本最大のコミ
1
ュニティ「ホテルラバーズ」総帥=橋本 祐造さん····················································· 59
①夢は日本のスティーブ・ジョブス!(有名人 勝手に七光りテクニック)······················· 60
②ホテルを愛する冒険好きな大人が集まる日本最大のコミュニティ(=一目瞭然テクニック、対象
限定テクニック)····························································································· 62
③ホテルラバーズ「総帥」(=肩書き独占テクニック、肩書きブカブカテクニック)·············· 63
【例2】ミラクルメイクで10若返り! 日本唯一のタイムスリップ・メイキャッパー、アンチエイジング
化粧家=高橋由香利さん················································································· 64
④日本唯一のタイムスリップ・メイキャッパー(新語で日本一テクニック)························65
【例3】日本初のFacebook自治体! 北海道北見市の複合型焼き肉コミュニティ「北見ニクマチ」
················································································································ 67
地域活性化は「市民」発 / 北見市は「日本一の、焼き肉のまち」 / 「北見ニクマチ」とは? / 「よそ
者」から見た異世界
第5章 あなたのネーミングを考えよう! ······························································· 74
あなたの人生の「棚卸し」
●ネーミングのための質問集·········································································· 75
●自己紹介フォーマット················································································· 78
①夢は ( やりたいこと、なりたいもの )!························································· 80
②日本一の ( 場所 )から、·········································································· 81
③日本一の ( あなた )が、·········································································· 82
④日本中の ( 対象 )のために、⑤日本一の ( 商品・サービス )をお届け!··········· 83
⑥名づけて ( 商品名、プロジェクト名 )!························································ 83
●ネーミングの普及方法················································································ 84
●「ノート」で自己紹介を発信··········································································· 85
●ネーミング・コミュニティ「革命ネミングス」··························································87
あとがき······································································································ 89
【六本木辰也 大全集】···················································································· 92
【六本木辰也 指導料金】················································································· 94
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【注意事項】
★本書の著作権は、六本木辰也にあります。
★上記の者の許可なく、本書の一部または全部を複製、流用、転用、記載、転売する事を禁じます。
★本書を著者以外から入手された場合はご一報ください。
★本書を参考にされる場合は、あくまでも「自己責任」でお願いします。
万一トラブルが発生いたしましても、一切の責任は負いかねますのでご了承ください。
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●はじめに
本書は、私・六本木辰也が、約1年3ヶ月に渡り、Facebookなどで実践してきた「ネーミング」と「セ
ルフ・ブランディング」の具体的手法、そして重要性についてまとめたものです。
いかにして、無名の一般人が、1年ちょっとの間に「日本一有名なFacebookプロデューサー」と呼
ばれるようになったのか。やりたいことを、次々と実現させることができたのか。
その体験が、読者の皆さんの参考になればと思い、本書を執筆しました。
初めに結論を言ってしまえば、「セルフ・ブランディング」とはすなわち「有名になる」ことです。「有
名になる」とは、文字通り「名を売る」「名を上げる」、つまり、より多くの人に、名前を知ってもらうこと
です。
「六本木辰也」という名前を見ただけで、「ああ、あのFacebookの」「有名なプロデューサーの」と、
反応してくれる人を増やすこと。これが「有名になる=セルフ・ブランディング」だと、私は認識してい
ます。
しかし、今までの常識では、「有名になる」というのは、非常に大変なことでした。
自分の「強み」を分析し、「市場」を調査して「競合」を避け、コツコツと地道な努力を続けるうちに、
ようやく「実績」がついて、周りの人から認められる。最初は「知る人ぞ知る」存在だったのに、徐々
に「町内の有名人」になり、「地域(市、県)の有名人」になる。まずここまでで、普通の人なら5年~
10年の歳月を必要としていたでしょう。
その後、たまたまテレビに出るとか、新聞に載るとかの「僥倖」に恵まれたごく一部の人だけが、全
国的な有名人になっていきます。が、そうなるには、それこそ宝くじに当たるくらいの「幸運」と、たゆ
まぬ努力が必要でした。ただ有名になるだけだったら、何かの事件・事故に巻き込まれるか、自ら起
こすかのほうが、よほど簡単でしょう。
これが「今まで」の常識でしたが、そこに「Facebook」が登場し、状況は大きく変わりました。
現在では、Facebookやtwitterなどの「SNS」を上手に活用すれば、有名になるまでの期間は、大幅
に短縮できます。
また、有名人になる確率も、「宝くじなみ」から「五分五分」くらいまでには上昇しました。
実際、私自身がFacebookという「ツール」の特質を知り、それを最大限に活用することで、ごく短期
間に「有名になる」という目標を実現することができたのです。
そもそも、私がFacebookを始めた最大の目的は「有名になる」ことでした。
過去の著作にも書きましたが、私は以前、足利市の小中学校PTA連合会の役員をやっていました。
その間、足利市の行政や教育委員会、市長、学校の先生、教頭、校長、多くの保護者や父兄、各
学校のPTA会長など、多くの人と会い、情報交換をしました。
その結果、「このままでは、足利市の子どもたちに、未来はない」ということを痛感しました。
しかし、その事実をどうやって改善していけばいいのか。
私は、生まれは足利市ではなく、群馬県伊勢崎市なので、要するに「よそ者」です。そして、足利市
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のような地方の町は、「よそ者」の意見などは、絶対に聞き入れません。足利市の人も、「足利の唯
一の売りは、閉鎖的なところ」と、胸を張っているくらいです(笑)。
つまり、何か伝えたいことがあって、それを足利市の「中から」「下から」発信しても、絶対に トップ
の所までは届かないし、届いたとしても「ご苦労様」で終わりなのです。
では、どうすれば、足利市の子どもたちに、少しでもよい未来を渡せるよう、足利市の現状を改善
することができるのか? それを考えた結果、私は「日本一有名な、足利市民になろう」と、決意した
のです。
具体的には、全国ネットのテレビやラジオに出たり、雑誌に載ったり、本を出したりして、自らの「発
言力」を高めていきます。そして、足利市の現状と未来を全国にアピールして、国会議員や県議・市
議、知事や市長と「対マンで」意見を伝えよう、と思ったのです。
つまり、足利市を「中から」「下から」ではなく、「外から」「上から」改善しよう、そのためにはまず、
全国的に有名になろう。
こう決意して、Facebookに取り組んだのが、2011年の2月でした。
それから一年とちょっと経過し、今の私は、日本全国から講演に招かれる程度には、有名になるこ
とができました。生まれ故郷の群馬県伊勢崎市では、市議会の議長から呼ばれ、伊勢崎市という自
治体をFacebookでプロデュースしてほしいと依頼されました。
また、岐阜県の養老という小さな町でも、「養老の滝の若返り伝説」をモチーフに、「日本最古のア
ンチエイジング・パワースポット、養老町」というプロジェクトを発足させました。
他にも、北海道の北見市で「Facebookで自治体を活性化」というテーマの講演をしたことがきっか
けで、日本初のFacebook自治体「北見ニクマチ」の誕生に立ち会うこともできました。もちろん、地域
のマスコミからも取材され、新聞やラジオなどにも頻繁に登場しています。
また先日は、私自身が代表を務める「マキコミワークス」という、Facebookでの実践グループが、あ
の銀座の帝国ホテルで、決起大会を開催するまでになりました。
いま現在、日本のFacebookで「六本木辰也」という名前は、毀誉褒貶はあるものの、決して無視で
きないほどの存在になっているようです。これこそが「名を上げる」ということです。
このように、わずか一年とちょっとで「有名人」になるために、私が何をしてきたか。
もちろん、それなりにコツコツと、地道な努力と発信は続けてきました。
でも、それ以上に私は、とにかくまずは「名を上げる」「目立つ」ことを重視し、実践してきたのです。
「少しずつ実績を積み重ねて、やがて有名になる」のではなく、「一気に有名になってしまって、その
あとから実績を積み上げていく」という、通常とは逆のルートをたどってきました。
今までは、何か欲しいものがあれば、コツコツとお金を貯めて、満額貯まったところでようやく、待
望の品を購入する、というやり方が主流でした。しかし私は、まずクレジットカードで欲しいものを買
ってしまってから、仕事して働いて、ローンを払っていく、というやり方を選択したわけです。
「功成り名遂げる」という言葉があります。まず、成功してから、名声が世間に認められる、という
意味です。しかし現代では、「名成り功遂げる」……まず名を上げてから、その名に恥ずかしくない
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だけの仕事をしていく。こちらのほうが、より早く、よりダイナミックに、目的が達成できると思ったの
です。
そうでもしなければ、まったく無名な一個人の私が、いわゆる「業界人」の助けは一切借りずに、一
年でここまで「有名」になることは、まず不可能だったと言えます。
いま私は、自らの体験と実績を踏まえ、Facebookや著書を通じて、「インパクトのあるネーミング」
の重要性、作り方、名乗り方、浸透のさせ方などを、毎日発信しています。
さらに、セミナーや講演で、また個別のコンサルティングで、より具体的で即効性のある方法を、直
接ご指導もしています。
その結果、かつての私のように、まったくの無名だった人たちが、「やりたいことがある」「それをか
なえるために」「有名になりたい」という希望を現実にして、次々に夢をかなえています。
その、夢をかなえる第一歩となるのが、インパクトのある「ネーミング」を考え出し、自ら名乗り、ま
ずは手っ取り早く有名になることなのです。
本書は、東京から遠方に住んでいて、なかなか私のセミナーや講演に来ることが出来ない方や、
コンサルティングを受ける時間が取れない方のために書きました。私がいつも考え、提唱している
「巻き込み」の手法は、むしろそういった地方、遠隔地、田舎に住んでいる人にとって、より効果的だ
からです。
これについては本編の中で、北海道北見市という、マイナーだった自治体を一気にメジャーにした
「北見ニクマチ」というプロジェクトを例に、わかりやすく解説していきます。
本書を読んでくださった皆さんが、自分自身の「ネーミング」を創り出し、それによって有名になり、
「夢」を実現してくれれば、それが私にとって最大の喜びとなります。
さあそれでは、「インパクトのあるネーミング」を生み出す方法を、これから本編の中で、具体的に
解説していきましょう。
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第1章 「ネーミング」をビジネスにするまで
それにしても私自身、まさか「ネーミング=名付け」を仕事にするとは、そして「名付け」がビジネス
として成立するとは、無名時代には夢にも思っていませんでした。
この章では、そもそもなぜ私が「ネーミング」というものを重視するようになったのかを、改めて振り
返ってみます。幼少の頃から現在までの体験を整理すると、次のようになります。
1・「名前」にとても興味のあった子ども時代
2・自ら、初めての「異名」を名乗った大学生時代
3・他人に「名付け」をしてあげたブログ時代
4・「ネーミング」が仕事になったFacebook時代
以下、順に説明していきます。
1・「名前」にとても興味のあった子ども時代
私の名前「六本木辰也」は、他の人からよく、「珍しいですね」と言われます。それどころか「芸名で
すか?」と、真顔で聞かれることも少なくありません。
もちろん、戸籍や免許証にも載っている、れっきとした本名です。
私が生まれたのは群馬県の伊勢崎市ですが、「六本木」という名字は、それほど珍しいものでは
ありません。小学校、中学校、高校とも、一学年に最低でも一人はいるような、ありふれた名前です。
文具店などに行くと、三文判がケースに入って売っていますが、「六本木」というハンコは普通にあ
ります。伊勢崎市の他に、前橋市、高崎市、渋川市などに多い名字のようです。
ちなみに、群馬県の桐生市には、「毒島」と書いて「ぶすじま」と読む名字が多いですが、「六本木」
はそれより、若干ポピュラーな名前です。
というわけで、「六本木」という名字は、群馬県では特別にインパクトのある名字ではないのですが、
それでも「小林」とか「石原」「児島」に比べれば、マイノリティの部類に入ります。そのせいか、子ども
時代の私は、人一倍「名前」というものについて、関心を持っていました。
小学生の頃、「テレビジョッキー」という番組があったことを憶えているでしょうか。土居まさるが司
会をしていて、毎週さまざまな「珍人」が出演していました。賞品としてもらえる「白いギター」や「エド
ウィンのジーンズ」は、子供心にもうらやましかったものです。
この番組では、毎週「珍名クイズ」をやっていたのですが、それこそ「六本木」どころじゃないような、
珍しい名前の人が登場していました。
そして私は、そういう珍名を「ノート」に書いて憶えるような、そういう子どもだったのです。
今でも記憶に残っているのは、数字の「一」と書いて「にのまえ」さん。なるほど、確かに一は「二の
前」ですからね。
また、「小鳥が遊ぶ」小鳥遊と書いて「たかなし」さん。これは、鷹のような怖い鳥がいないので、小
鳥が安心して遊べる、という意味でしょう。
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さらに、「四月一日」と書いて「わたぬき」さん。季節が暖かくなって、着物から「綿」を抜くから。同じ
く「八月一日」と書いて、初穂を摘む季節だから「ほづみ」さんとか。「七五三」と書いて「しめ」、「祝」
と書いて「ほおり」さんには、実際に会ったことがあります。
と、こういうことを、妙に憶えている子どもだったのです。元来、子どもというのは、大人から見ると
どうでもいい知識をよく憶えているものですが、私の場合はその対象が「人名」だったわけですね。
よく、駅の名前をぜんぶ暗記してしまうような小学生がいて、彼らは「鉄道オタク」すなわち「鉄ちゃ
ん」と呼ばれているのですが、私なんかはさながら「名っちゃん」ですね(笑)。
◆ネーミングのベースは「落語」
そのときに溜め込んだ知識で、大人になった今でも憶えているのが、落語でおなじみの「寿限無」。
説明する必要もないほど有名な落語ですが、要するに「やたらと長い名前」ということで、
「寿限無寿限無五劫の擦り切れ海砂利水魚の水行末雲来末 風来末食う寝る処に住む処やぶら
小路の藪柑子パイポパイポ パイポのシューリンガンシューリンガンのグーリンダイグーリンダイの
ポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助」
と、算数の九九より前に、暗唱していた記憶があります。
落語には、他にも「名前」をテーマにした演題が多く、「たらちね」などが有名ですね。長屋の八五
郎のところに、厳格な漢学者に育てられた娘が嫁に来て、名前を聞かれた返事に、「 清(きよ)です」
と答えれば済むところを、
「自らことの姓名は、父は元京の産にして、姓は安藤、名は慶三、字を五光。母は千代女と申せし
が、わが母三十三歳の折、ある夜丹頂の鶴を夢見てわらわを孕めるが故、垂乳根の胎内を出でし
ときは鶴女と申せしが、それは幼名、成長の後これを改め、清女と申し侍るなり」
「……ずいぶん長え名前だね、すまねえが紙に書いてくれ」
というギャグなどは、子供心にも爆笑ものでした。
今になって思えば、この「やたらと長い肩書きを名乗る」という方法論など、私のネーミング手法に
は、「落語」から得たテクニックが多く反映しているような気がします。
◆「異名」でキャラが際だつ
中学時代の私は、さらに「落語」周辺の文化にハマっていきました。私の世代で落語、というのは、
かなり珍しかったのですが、そこはへそ曲がりな私のこと、世間の流行りすたりには興味のない性
格でしたからね。
都筑道夫(つづきみちお)、という小説家のことをご存じの方はいますか? 主にショート・ショート
や、シリーズ物のミステリを数多く書いた、ちょっとマニアックな職人タイプの作家です。
私は中学生の頃、角川文庫から出ていたこの人の本に、すっかりハマリました。その頃の角川文
庫は、横溝正史や森村誠一、赤川次郎などの本を次々に映画化して、大ヒットを飛ばしていたので
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すが、マイナー好みの私は、ちょっと影の薄い都筑道夫の作品に惹かれていたのです。
この作家の代表作と言えるのが、「なめくじ長屋捕物さわぎ」という、いわゆる「捕物帖」の連作シリ
ーズです。ビートたけし主演・たけし軍団助演でテレビドラマ化されたこともあるので、ご存じの方も
多いでしょう。
江戸は神田橋本町の貧乏長屋――通称「なめくじ長屋」に住むものもらいや大道芸人たちが、口
止め料や解決料欲しさに、江戸の町に起こる数々の奇妙な事件を解決していく、という筋立てです。
「鑑識」とか「化学的鑑定」などがない時代、当時の人間だったら「たたり」「物の怪」「神隠し」とかで
済ませてしまうような怪事件を、あくまでも「論理的」に謎解きしていくという、さすが「職人作家」らし
い手の込んだシリーズでした。
さて、このシリーズで、ストーリー以上に私がもっとも惹きつけられたのが、登場する主要キャラク
ターたちの「ネーミング」でした。
なにしろ主役を務める連中は、「士農工商」の枠にも入れないような、大道芸人、曲芸師、ものもら
いなどの「アウトロー」ばかりです。彼らはそもそも「戸籍」がなかったり、訳あって社会をドロップアウ
トした連中ですから、「銭形平次」「長谷川平蔵」というような、立派な名前は持っていません。
たぶん、仲間同士とはいいながら、お互いの名前も素性も知らないし、詮索しようとも思わなかっ
たのでしょう。今でいえば「ホームレス」みたいな感じですよね。
そこで彼らには、名前の代わりに「あだ名」「ニックネーム」が与えられたわけです。
たとえば、主役の探偵役を務めるのは、もとは立派なサムライとおぼしき浪人姿、剣の達人で、な
ぜか論理的な考えの持ち主。いつも酒を飲みながら大道に座って「砂絵」を書き、おひねりをもらっ
て暮らしている、この人のあだ名が「センセー」。
ちなみに、黒澤明の「用心棒」「椿三十郎」でも、用心棒はなぜか「先生」と呼ばれるもの、と相場が
決まっていたので、そのパロディーなのかもしれません。
そして、センセーのワトソン役を務める「マメゾー」は、投げた豆を箸でつまんで「お手玉」するほど
の曲芸師。ちなみに「豆蔵」とは、大道で芸を見せる軽業師・曲芸師・手品師を表す符丁です。
同様に、大道芝居の女役を演じている、今で言えばおネエキャラの「オヤマ」。河童のマネをして
歩き回り、おひねりを頂戴して暮らしている「カッパ」、同じく熊のマネをしている「アラクマ」、幽霊の
キャラで売っている「ユータ」。ちなみに「ユータ」とは、寄席の符丁で「幽霊」のこと。今で言えば、無
職の人を「プー太郎」略して「プータ」というようなものですね。
その他にも、牛頭天王のコスプレをしている「テンノー」、願人坊主の「ガンニン」、人間ポンプの「イ
ブクロ」など、中学生の私にとっては、まったく人外の濃いキャラが、続々と登場していました。
そして、その頃の私には、彼らにつけられた「あだ名」が、うらやましくてしょうがなかったのです。
ほんらい捕物帖というのは時代劇の一種なので、基本的に使われるのは漢字・ひらがなだけで、
カタカナ、横文字、英語は滅多に出てきません。そんな和風の文章の中に、いきなり「センセー」「マ
メゾー」「テンノー」「ユータ」など、カタカナ名前のキャラが出てくると、まるで時代劇にカウボーイが
現れたような、強烈な「インパクト」が生まれていました。
これはもちろん、作家・都筑道夫の「発明」だと思いますが、まるで登場人物にピンスポットが当て
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られたように「目立ち効果」をもたらす、すごい方法だなーと、感心したのを憶えています。
そしてもう一つの効果としては、「オヤマ」「ガンニン」「アラクマ」のように、本名以外の「異名」を与
えられることによって、そのキャラの個性が際だち、感情移入がしやすくなる、ということです。
一言で言えば「キャラが立つ」ということです。
私がいま、Facebookで自ら実践し、他の人にも指導している「ネーミング」「セルフ・ブランディング」
というのは、とどのつまりは平凡な一個人を「目立たせる」「キャラを立たせる」という作業です。
そのための、極めて簡単で効果的な方法とは、その人に「異名」を与えることなのですが、まさか
30年近く前に読んだ本から得た知識が、現在の私のビジネスに直結しているとは。
人生における、特に若い頃のインプットは、やがて意外なところで芽を出し、何らかの形で役に立
つものだなあと、改めて実感しました。「読書の効用」とは、こういうときに出てくるんですね。
◆「襲名」=ブランディング
また「落語文化」に話を戻せば、落語家や歌舞伎役者の「名前」にも、他の業界とは違う、独特なも
のがありますね。
一般的に、落語家になるためには、誰か一人の「師匠」を決めて、その人に弟子入りするところか
ら始めます。
そして、ある程度の修行を積み、なんとか一人前の落語家らしくなったら、師匠から 「襲名=名付
け=ネーミング」してもらえます。この際、弟子の名前には、師匠の名前から一部を譲る、というのが
一般的です。
たとえば「柳家小さん」の弟子だったら、「柳家小せん」「さん助」「小三治」「小きん」という具合。あ
の立川談志も小さんの弟子でしたが、談志を名乗る前は「小ゑん」「小よし」という名前でした。
同じように、林家三平の弟子なら「こん平」「珍平」「しん平」という具合で、「とんでん平」なんてのも
いました。あの「林家ぺー」も、もとは落語家で「林家ぺー平(ぺーぺー)」という名前でした。
それから、立川談志の弟子は「談志楼」「藤志楼(高田文夫)」「談春」「談慶」「笑志」「志らく」など。
人にふざけた名前をつけるのが好きな談志だけに、「談奈」「談プ」「寸志」「孔志」なんてのもいまし
た。たけし軍団の「ダンカン」も、もとは談志の弟子で「談かん」です。
このように、師匠から一門の弟子に名前の一部を譲る「襲名」という制度は、いかにも古くさく封建
的に見えますが、いま改めて「ネーミング」「ブランディング」という観点から見ると、実に合理的&効
果的であることがわかります。寄席で落語を聞くお客さん=ユーザーの身になれば、名前を見ただ
けで、「コイツは、誰々師匠の弟子だな」ということがすぐにわかるからです。そして、その誰々師匠
のファンであれば、その弟子もついでにファンになり、ごひいきにしてもらえる可能性が高いでしょう。
たとえば「コイツは三平の弟子だから、落語は下手でもバカバカしくておかしいだろう」とか「コイツ
はあの談志の弟子だから、どこか見所があるんだろう」と、お客が勝手に期待してくれるのです。
単なる「名前」なのに、それだけで勝手に評価が高まる ……。これぞまさしく「ブランドネーム戦略」
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に他なりません。
そして、現代において、この戦略を非常に上手く取り入れてるのが、皆さんもご存じの「Apple」です。
アップルの商品やサービスには、いずれも「i」の一文字が入っています。
たとえば「iMac」「iPod」「iPhone」「iPad」「iTunes」「iCloud」。ユーザーがこれらを見れば、「あっ、アッ
プルが新しいのを出した」と、一目瞭然でわかるのです。
ですから、もしもアップルが落語を始めたら(あり得ませんが)、きっとこういう名前をつけるはずで
す。
「林檎亭あっぷる」
「林檎亭あいまっく」
「林檎亭あいほん」
「林檎亭あいちゅん」……。
と、このように、世界を代表するハイテク企業の商品名と、落語家の名前には、市場が勝手に価値
を判断し、勝手に信頼してくれる。そういう共通点があるのです。
名前だけで、勝手に信頼してもらえる。これこそが「ブランド力」「ネーミング力」というものです。
◆「差別化」と「威嚇」効果
さて、中学から高校へと進むにつれ、さらに私の「名前マニア」ぶりに拍車がかかります。落語から
派生して、歌舞伎、浪曲、浪花節の世界にまで興味の幅が広がりました。
が、私が興味を持っていたのは、ストーリーとか歴史ではなく、あくまでも芸人の名前や、物語の
登場人物の名前でした。
「かっこいい名前」や「インパクトのある異名」を、古典の中から探し出すことに夢中になったのです。
「異名」というのは、簡単にいいますと、「あだ名」「ニックネーム」のことです。
また、名前の前に「○○の誰それ」みたいにつく、一種の「枕詞」みたいなものでもあります。浪花
節で有名な「清水の次郎長」「森の石松」「桶屋の吉五郎」「吉良の仁吉」みたいな、こういうやつで
すね。
これらは、住んでいた「地名」や「職業」が、異名になった例ですが、人間、あまりにも有名になると、
住んでいる地名を言うだけで、特定の人を示すようになるんです。
落語家で言えば「黒門町」といえば桂文楽、「目白」といえば柳家小さんのことです。他にも、黒門
町や目白に住んでいた落語家はいただろうに、あまりにも文楽や小さんが有名すぎたので、陰に隠
れてしまったのですね。
ということは、逆に言えば、「地名」が異名になるようになれば、その人は相当な有名人、という証
拠になるのです。かつての田中角栄も「目白」でしたし、吉田茂が「大磯」と呼ばれたのも、彼らの大
物ぶりを物語っていますね。
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さらに、地名ではなく「動物の名前」を言っただけで、誰のことだかわかる、というのも、よく考えれ
ば相当な有名人ですよね。これは、特に昔の戦国武将に多かった例ですが、「猿」といえばズバリ秀
吉、「狸」といえばズバリ家康を指します。他にも「竜」といえば、ご存じ独眼竜・正宗でしょう。
考えてみれば戦国武将も「一国一城の主」という点では、現在の経営者とか、アーティストと同じ立
場です。いかにして「名を売るか」が重要でした。だからこそ「虎」とか「 竜」とか、強そうなイメージを
自分につけて、「ブランド力」を上げようとしていたのでしょう。 もちろんそこには「ハッタリ」も多分に
含まれていたでしょうけど。
この「ハッタリ名前」が一番顕著だったのは、昭和のプロレスの世界でしょうね。
私は、プロレスのバトルそのものにはあまり興味がなかったのですが、破天荒で絢爛、そしてハチ
ャメチャなプロレスラーの異名には、大いにしびれていました。
「燃える闘魂」「鉄人」「鉄の爪」「狂犬」「インドの猛虎」 とか、「テキサスの暴れ馬」「地獄の料理人」
「人間山脈」など、もう何がなんだかわからない名前のオンパレード。
こんな異名を聞いて、どんな激しいファイトをするのか、想像するだけでも楽しかったものです。
これらの「異名」が、レスラーにもたらす効果は2つあります。
1つはもちろん、他のレスラーとの「差別化」ですね。
プロレスはショービジネスの世界ですから、当然「目立ってナンボ」。誰からも覚えられるようなイン
パクトある異名がつけば、それだけで有利になります。
そしてもう1つは、対戦相手や客に対し、自分の強さをより大きく見せる……つまり「威嚇」の効果
でしょう。
この「自分を大きく見せる」というのも、ネーミングの大きな効用の一つです。あとの章でも詳しく説
明しますので、覚えていてください。
なお、話は逸れますが、いまや国民的マンガになった「ワンピース」の登場人物にも、この「異名」
によるキャラ立てが効果的に活用されていますよね。
ただし、主人公の「麦わらのルフィ」の仲間には、他にかっこいい異名を持っているのは「海賊狩り
のゾロ」「鉄人フランキー」くらいしかいないのが残念です。むしろ、敵キャラ、脇キャラの方に、強そ
うな異名が多いですね。
「斧手のモーガン」
「白猟のスモーカー」
「百計のクロ」
「道化のバギー」
「赤髪のシャンクス」
「火拳のエース」
「不死鳥マルコ」
「鉄壁のパール」
などが、私のお気に入りです。
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いま、ワンピースを読んでいるちびっ子の中にも、おそらくこの「異名」「通り名」の魅力に憧れてる
子も多いでしょう。そういう子どもの中には、もしかすると将来は私のように「命名屋」みたいな異名
を名乗る子も出てくるかもしれません。
やっぱり人間って、本能として、自分の本名以外の「異名」を一つ二つ、持ちたがるものだと思いま
すね。
と、こんなことばかりを考えていた、中学・高校時代の私でした。
2・自ら、初めての「異名」を名乗った大学生時代
いよいよ大学生になった私は、実家を出て、新潟市でひとり暮らしを始めました。
このとき、初めて群馬県を離れた私は、自分の名字である「六本木」が、非常に珍しい名前である、
ということにようやく気づいたのです。
会う人、会う人に「六本木です」と名乗るだけで、
「本名ですか?」
「珍しいですね」
のオンパレード。
いきなり笑い出すヤツもいて、「なんて失礼なんだろう」と思いましたね。
中には、
「東京の六本木と、同じロッポンギですか?」
と聞いてくる人もいました。
他に、どういうロッポンギがあるというんでしょうか?
またある書店では、本を注文するときに名前を聞かれて、「ロッポンギです」と答えたところ、何度も
何度も聞き直されたあげく、
「ろぽぎ」
とメモされたこともありました。
そんな間抜けな名前があるかい!
落語「妾馬」の志ん生バージョンでは、八五郎がお城の門番から名前を聞かれて、
「名は何と申すか」
「(巻き舌で)八五郎ってんでえ」
「なに?」
「ハッチゴロ~ってんでえ」
「……チョーロメと申すか」
「チョーロメなんて間抜けな名前があるかい」
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という爆笑のやりとりがありましたが、まさにそれと同じ体験をしましたね。
◆珍しい名前で、得をする
それにしても、確かに「六本木」というのは、東京にある町の名前ですが、他にも「渋谷さん」「青山
さん」「赤坂さん」「上野さん」は珍しがられない、というのが不思議でしたね。
その原因を自分なりに分析してみました。
一つの名字の中に、
「ろっ」
という促音(はねる音)、
「ぽん」
という破裂音、そして
「ぎ」
という濁音が入り交じる構成を、実際に声に出して発音すると、
「ろっ。ぽん! ぎー。」
と、かなりコミカルな響きになるため、聞いていて違和感があるのではないでしょうか。
なにしろ、他に日本の地名で「ぽん」という破裂音が使われているのは、京都の「先斗町(ぽんとち
ょう)」くらいです。
北海道に行けばいろいろありますが、あれはアイヌ語ですからね。
そんなわけで、「六本木」という名前には、かなりのインパクトがあるということを私は、大学生にな
って学びました。
しかし、それにしては解せないのが、私たちの住んでいる国の名前です。
「日本」と書いて「にほん」とも読めば、「にっぽん」とはねる場合もあるじゃないですか。
これ「ろっぽんぎ」と似た発音ですよね。
そう考えると、あながち「六本木」は、珍しい名前とはいえないのではないでしょうか?
まあ、そんなことはともかく、私は自分の名前のおかげで、春の大学キャンパスの中では、一躍有
名人になってしまったのでした。
そして、このとき初めて、
「名前が珍しいってのは、人におぼえてもらいやすくて、得なんだな」
と実感したのです。
これはのちのち、私が今のように「名前で商売」するようになってからは、さらに親に感謝するよう
になりました。
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◆「芸名」が、人前に立つ勇気をくれた
ところで、いま思い出してみると、中学~高校時代の私は、どっちかというと暗くておとなしい少年
でした。
なにしろ、子どものくせに、落語とか浪曲、都筑道夫の捕物帖なんて渋い本ばかり読んでいたくら
いですから、当然、女の子にも縁がありませんでした。
しかし、大学生になったとたん、自分の名前が「珍しい」という理由で、けっこう同級生の中でも有
名人になり、女の子の友達もチョコチョコできたのです。
高校時代は男子校でしたから、その嬉しがりぶりを想像してください。女子大生のお友達ですよ!
ここで、「どうせなら、もっと女の子にモテたい!」と思った私は、人前で話をすることすら苦手だっ
たのに、なんと「音楽サークル」に入ってしまったのです。ちなみに「フォーク村」という、ナウいヤン
グが集まるサークルでした。
このサークルには、年3回の「コンサート」と、年1回の「ライブハウス」、計4回のステージがありま
した。
その内容を具体的に言うと、春には新入生に対する「サークル勧誘のプレゼン」という意味合いの、
「新歓コンサート」を開催します。ここに出られるのは、「フォーク村」というサークルを代表するような、
どこに出しても恥ずかしくない実力者だけでした。
次に、7月に行われる、通称「夏コン」。これは、その年にサークルに入部したすべての一年生に、
ステージに立つチャンスが与えられます。
いや、チャンスというより、実は「強制」でした。なぜかこのサークルでは「幽霊部員」の存在を認め
ておらず、どんなに忙しくても、最低でも年に1回はステージに立たないと除名する、という厳しい掟
があったのです。
そのため、この「夏コン」までには、他のサークルとの掛け持ちが忙しいヤツ、ナンパ目的で入った
ヤツなどは、淘汰されていったのです。
そして秋、学園祭の季節に、3日間連続で開催されるのが「ライブハウス」でした。
教育学部の大きな教室を借り切って、朝から晩まで演奏し、軽食やドリンクを売って飲み代を稼ぐ、
という催しでしたが、この時は1年生から4年生、留年組まで含めて、すべての部員が必ず一度は、
ステージに立つことが義務づけられました。
ただし、朝から晩までの長丁場なので、1人1回の出番では間が持たず、就職が内定してヒマな4
年生などが、一人で弾き語り、デュオ、バンドを組んで演奏するなど、3つも4つも掛け持ちしていま
した。
新一年生も、ここで場数を踏み、またさまざまな形での「チャレンジ」をすることもできるので、ライ
ブハウスが終わればようやく「一人前」と見なされ、歌や演奏もいっちょまえになるのでした。
そして年の最後、12月には「クリスマス・コンサート」。これに出られるのは、卒業が決まった4年生
と、そのサポートにつく後輩が中心でした。さすがにアマチュアとはいえ、4年もの年季を積めばか
なりレベルも上がり、そのままプロとして通用するのでは?と思わせるような先輩が何人もいました。
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さて、だいぶ説明が長くなりましたが、私もこの「フォーク村」に4年間在籍し、へたっぴながらも数
多くのステージに立ってきました。
もともと、中学生の頃からギターは弾いていましたが、人前で歌って演奏するなんて、田舎の少年
には経験のないことです。
しかも、高校を卒業して、たった一人で新潟まで出てきた新一年生にとって、大学の先輩というの
はほとんど「大人」に見えました。いや実際、理系では5回生、6回生なんてのもざらにいて、こういう
人たちは正直「オッサン」としか見えませんでした。
まるで「花の応援団」に出てくる凶暴な先輩みたいなのも実際にいて、そんな人の前で歌を歌うわ
けですから、当時の私はたいそう緊張しました。
いまでこそ、セミナーや講演の際は、50人だろうが100人だろうが、まったく動じることはないのです
が、この頃はまだ、ウブな少年でしたからね。人前で歌を歌うなんて、プレッシャーを通り越して「苦
痛」ですらありました。
そんなシャイな私に、ステージに立つ「勇気」を与えてくれたもの。
それが、いわゆる「芸名」だったのです。
本名の「六本木辰也」として、ステージに立って歌ったりするのは苦痛でしたが、なぜか別の「芸
名」を名乗りさえすれば、不思議と緊張しないでいられたのです。
いや、というか、むしろノリノリでした。
自分とは、別の「キャラ」を演じることにより、舞台に立つ緊張感やプレッシャーから解放されてい
たのだと思います。
◆「異名」は、パワード・スーツ
この経験で、私は初めて、なぜ芸能人の多くは「サンプラザ中野」とか「カールスモーキー石井」な
んて芸名を名乗るのか、よく理解できました。
いくら芸能人といっても、素の自分、リアルな自分で人前に立つのは、怖かったり恥ずかしかった
りするのです。
でも、そこで「異名」を名乗ることによって、その恥ずかしさが消える。それどころかむしろ、スーパ
ーなパワーが体に宿る。だからこそ、人前でどんなパフォーマンスでもできるし、普段からは考えら
れないようなエネルギーを放出することもできる。
それが実感できました。
つまり「異名」には、本人の持つ潜在的なパワーを、実力以上に引き出して輝かせる、という効果
もあるのです。
クラーク・ケントが、モロボシダンが、スーパーマンやウルトラセブンに変身するように。
私たちも、「異名」を名乗ることで、実力以上のスーパーマンに変身することができる。 つまり「異
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名」とは、一種のパワード・スーツである、ということを学びました。
ついでに言えば、芸能人が派手なメイクや、派手な帽子をかぶったりするのも同じです。
あれは、いわば「仮面ライダー」の仮面みたいなもので、素の自分から「スター」に変身するために
必要な衣装なのです。
私自身、最近では人前に出るときには、必ず眉をメイクするようになって、初めてその心境がわか
りました。もう、眉毛を描かずに、人前に出ることはできませんね。
こうして私は、本名の「六本木辰也」ではなく、さまざまな「芸名」を名乗っては、ステージに上るよう
になりました。その「芸名」を考えることが、本当は一番楽しかったのかもしれません。
たとえば、夏のコンサートでは友人と二人組のフォークデュオ「サマーズ」を結成し、私が「真夏日
あつし」。相棒が「熱帯夜ムレ造」を名乗り、暑苦しいラブソングを歌いました。
また、秋のライブハウスでは、同じ友達と「オータムズ」を結成、「秋野夕陽」と「照山もみぢ」という、
しょうもない名前を名乗りました。
こんな、私たちの悪ふざけにバカ受けした先輩が、冬のコンサートでは「おでん」というグループを
組み、
「いわし つみれ」
「青首大根」
という芸名を名乗ったときには、大笑いしました。
また、この先輩たちが、名前はくだらないくせに異常に歌がうまく、泣かせるハーモニーを聞かせて
くれた、という点にも感動しましたね。
◆「北風小象夫」の誕生
こうして「異名」を名乗ることで、私は人前に立つことが怖くなくなりました。
最初のうちは、人前に出るのが苦痛、なんて言ってたくせに、4年生最後の「クリコン」出演を残す
のみとなったときには、
「もうこれで、人前で目立つことは終わりだな」
と、悲しい気分にすらなったものです。
さて、この大学生活最後の「クリコン」で私は、ギター一本弾き語りで出演することにしました。
そのときに名乗った芸名が、私にとっては因縁の深い、
「北風小象夫」
だったのです。
もちろん当初は、このクリコン1回限りの「思いつき」の芸名であって、まさかその後、社会に出て
から再び、いやみたび、「北風小象夫」の名を使うことがあるとは、このときは夢にも思いませんでし
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た。そりゃそうですよね。
それはまた、後の章で詳しくお話ししますが、この大学時代を通して、私が学んだことは二つあり
ました。
まず「六本木辰也」みたいな、インパクトのある珍しい名前は、人からおぼえてもらいやすい、とい
う利点があること。
そして、本名以外の「異名」を名乗ると、照れや恥ずかしさや恐怖心がなくなって、人前に出ること
が苦でなくなること、でした。
このことは、皆さん自身の「ネーミング」を考えるときに、とても参考になると思います。
3・他人に「名付け」をしてあげたブログ時代
さて、大学を卒業した私は、地元のとある企業に新卒入社しました。
Facebookプロデューサーとして独立し、自分のやりたいことだけをやって暮らしている今となっては
信じられませんが、私にも一応20年ほどのサラリーマン経験があるのです。
その間、結婚したり、子どもができたり、転職したりと、まあ人並みの波瀾万丈、山あり谷ありの人
生でしたが、30歳をいくつかすぎると、さすがに「人生」がつまらなくなってきました。
「先が見えた」という感じ、これは誰でも味わうでしょう。
ちょうどその頃、いわゆる「ブログ」というものが、流行し始めていました。
私も「何か、変わるかもしれない」と思い、1日に10時間までという、今となっては考えられない、定
額制のダイヤルアップ回線を契約して、「楽天ブログ」を開設してみたのです。
◆ブログで再び「北風小象夫」登場
当時はまだまだ「ブロガー」なんて言葉も生まれていなかったと思います。田舎の町では、「インタ
ーネットをやるのは不良」と、初期のビートルズみたいな見られ方をしていました。
つまり、もしブログをやっている、なんてことが会社にバレたら、会社をクビになるかもしれない。
「ブログなんかやるのは変わり者」だと、いや実際、10年前はそんな状況だったのですよ。
そこで私も、ブログを始めるにあたり、勤め人だったので本名は使えない。何か「ハンドルネーム
(ネット上の芸名)」を考える必要がありました。
このときに思い出したのが、ちょうど10年前、大学を卒業するときのステージで名乗った、
「北風小象夫」
という芸名だったのです。
そもそもこの名前は、つけた当時はまったく何も考えず、ただ「クリスマス・コンサート」に出るからと
いう安直な理由で「北風小僧」にしようと思っただけです。そして、来てくれたお客さんの中から抽選
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で一名に、ハウスシチューをプレゼントしただけです。
ただ、それだけだと安易なので、ちょうどその頃とんねるずがテレビでやっていた、
「保毛尾田保毛男(ほもおだほもお)」
みたいなノリで「小象夫(こぞお)」にしたまでです。
本当に、何の思想もないネーミングでした。
ただ、自分としては、この名前で出たそのときのステージが、割と出来がよかったため、なんとなく
この名前に愛着があったのです。
ということで私は、30代前半のある日突然、楽天ブログにおいて「北風小象夫の跳梁跋扈(ちょうり
ょうばっこ)!」というブログを開設したのです。この時点では、どんな内容にするかも決めていませ
んでした。
しかし、いざブログを書くといっても、正体は隠しているので「何を書いたらいいの?」と悩みました。
下手に身のまわりのことを書いたら、会社にバレてしまうかもしれません。
参考までにと、他の人のブログを読んでみても、「映画を見ました」「本を読みました」「ラーメンを食
べました」「終わり」という感じで、これはこれで、まったく面白くもなんともない。
じゃあどうしようかな……と考えたあげく、そうだ! とひらめきました。
◆「異名」とは、キャラを演じること
大学時代には、ステージに立つたびにいろいろな芸名を名乗って、違うキャラクターを演じて、そ
の「キャラ」に合わせた曲を作ったりしていたことを思い出したのです。
たとえば「北風小象夫」というキャラは、当時はやっていた「トレンディ系ラブソング」を思い切りおち
ょくった「女王様」という曲や、マスコミの過剰報道を皮肉る「死者の歌」など、世の中に冷水をぶっか
けるような、キツい歌を歌うキャラでした。
だったら、その北風小象夫がWebの世界にやってきて、ブログをやったらこうなるだろう! という、
設定を考えたのです。そうしたら、たちどころにコンセプトがまとまりました。
そこで、知り合いにお願いして描いてもらったイメージイラストが、こちらです。
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見ての通り、三度笠に合羽、というのは昔の股
旅・渡世人、国定忠治とか木枯らし紋次郎のイメ
ージです。これは、当時の私が、渡世人で有名
な群馬県に住んでいたからですね。
そして、ギターを抱えてスーツを着てるというの
は、ミュージシャンとしての北風小象夫の「邪悪
な流し」というキャラ設定。つまり、世の中のこと
を斜めに見て、皮肉たっぷりの歌を歌うよ、とい
うイメージですね。
さらに、当時の私は重度のニコチンおたくだっ
たので、くわえタバコから盛大に煙を吐き、それ
がドクロになっていますが、これはタイムボカン
のイメージですね。
これが「北風小象夫」というネーミングから生み出されたキャラクターです。それを、私が「演じる」と
いう設定にしたら、とたんにブログが面白くなったのです。
もしも今あなたが「Facebookやブログをやっているけれど、ちっとも面白くない」というのなら、もし
かしたら「役の設定」と「なりきり」が足りないのかもしれません。
ともかくこうして私は、子どもの頃からの憧れだった「清水の次郎長」とか「木枯らし紋次郎」みたい
な「渡世人」キャラになることができたのです。「三つ子の魂百まで」とはよくいったもので、潜在意識
にずーっと残ってるってことでござんしょうねえ。
あ、いま思わず出てしめえやしたが、キャラを「渡世人」としたことで、「私」じゃなくて「あっし」、「そ
うです」じゃなくて「そうでござんす」と、口調までキャラづけしたのです。
そこに、落語から吸収したそれっぽい「江戸っ子弁」、さらにフーテンの寅さんみたいな香具師のタ
ンカもゴッチャにして、北風小象夫はこんなことをしゃべるキャラになりました。
「へい、おひけえなすって。さっそくのおひけえ、ありがとうござんす。それにしても何ですねえ、こ
うせちがれえ世の中になっちゃ、あっしみてえな渡世人は、おまんまの食い上げでござんすよ」
すると、自分でも驚いたのですが、この口調だと、いくらでも、ナンボでも、ネタが続いたんです。
書く内容は、その日のニュースに「北風小象夫」がインネンをつけたり、子どもの頃から好きだった
落語、言葉遊び、川柳、駄洒落、なぞかけ、などのどうでもいいことばっかりだったのですが、そのネ
タが出るわ出るわ。
まさに、30数年生きてきた「蓄積」を、北風小象夫のキャラを通して、世界中に発信することができ
たのでした。
そして、さらに驚いたことには、その内容が世間に受けたんです!
ま、もともとのネタがネタですから、そんなに大メジャーになったわけではないですが、そういうの
が好きな、マニアックな、洒落のわかる、いわゆる「ビートたけしのオールナイトニッポン」が好きそう
な人からは、
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「面白いです」
「もしかして、プロの放送作家?」
なんて感心されることもありました。
のちに、あの「トリビア」の監修をつとめた唐沢俊一からも、「この人の駄洒落のセンスは、私に近
い」と褒められた(?)ことさえありました。
生まれて初めて開設したブログが、こんなにも評判になって、私はとっても嬉しく感じました。まる
で、初打席でホームランを打ったような、奇跡的なブレイクでしたね。
何より私が嬉しかったのは、どんなド素人でもインターネット、ブログがあれば、自分の考えを発信
できる。存在をアピールできる。それによって、人を喜ばせることができる、という事実でした。
いまとなっては当たり前ですが、10年前、まだ月に10時間以内のダイヤルアップ回線があった時
代にこれを実感する人は、それほど多くなかったですよ。まさに「革命的」だと思いましたね。
当然、私はブログにはまりました。いま振り返ればよくもまあ、「月10時間」という制約の中で、あれ
だけ大量の記事を書き、アップし、ファンとやり取りすることができたと感心します。
それまでの私は、
「自分には、何の取り柄もないなあ」
「なんとなく、ここまで来ちゃったなあ」
「このまま、年とって死ぬだけかなあ」
なんてブルーな感覚で生きていたのに、そんな私が発信することを面白がり、応援してくれる人が
全国にできたのですから!
それが、楽しくない、うれしくないはずはありません。
ただし、もちろんこれは「六本木辰也」という私ではなく、「北風小象夫」という異形のキャラに対す
る虚構の人気だ、くらいのことは、私にも冷静に分かっていました。
なにしろ、ブログを通じて仲良くなって、実際に会ったりしたファンに対してすら、私は本名を明かし
ませんでしたからね。
当時は「ハンドルネーム」だけで人と接するのが常識で、「実名を出すと危ない」と考える人がほと
んどでした。いまのFacebookに慣れた目で見ると、隔世の感がありますね。
しかし、あと10年もすれば、ハンドルネームを使っている人は「何らかの理由で、顔を出せない可
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哀想な人」みたいな見られ方をするようになるでしょう。
◆そして「北風一家」が生まれる
そんなわけで、自分の人気は、北風小象夫という「虚構」に対する人気である、ということが分かっ
ていましたから、私はもっともっとファンを喜ばせるために、「北風小象夫」の虚構性を高めていきま
した。
わかりやすく言えば、ブログの中での「ごっこ遊び」を、真剣にやり続けたのです。
要するに「落語家ごっこ」と「渡世人ごっこ」です。
ブログを続けるうちに、私にも「ファン」が増えてきたのですが、どういうわけだか彼らは私を「師匠、
師匠」と呼んでくれるのです。別に何を教えていたわけでもないのですが、せっかくなのでそういう人
たちを、私の「弟子」にすることにしました。
ここでも、子どもの頃から憧れていた落語家の世界を、バーチャル体験することができたのです。
そして、このときになって初めて「北風」という名字は、落語家で言えば「亭号」みたいに使えるな、
と気がついたのです。運命というのは、実に良くできていると感心しましたね。
というわけで、弟子の第1号には「北風ぴい子」。第2号には「北風ぷう子」とつけました。どちらも、
平凡な主婦でした。
もちろん、元ネタは童謡の「たきび」で、
♪北風ぴいぷう 吹いている
から持ってきたものですが、ホントに二人のために誂えたようにピッタリの名前でした。
その後も続々と弟子が増えたのですが、ここでまた私にアイデアが「降りてきて」、せっかく「北風」
なんだからと、全員「冬」に関係のある名前で統一したのです。
思いつくままに挙げてみると、
北風ふぶき、北風みぞれ、北風ひさめ、北風はやて、北風豪雪、北風さぶ郎。
これは、「風の又三郎」と、冬だから「さぶ~」と、そして「サブカルチャー」が好きな人だったので「さ
ぶ郎」という、見事なトリプル・ミーニングの名前でした。これでもし、彼がホモだったら、さらに完璧で
したね。
北風小ゆき、北風雪うさぎ、北風真ふゆ、北風みとん、北風ますく。このあたりは、可愛い名前でし
ょう。
北風なだれ、北風どなべ、北風はなったれ。こうなると、完全にギャグの世界ですよね。
それにしても、あの林家三平一門や落語立川流、そしてたけし軍団にも負けないくらいの、バカバ
カしくも面白い、素敵な名前のオンパレードだったなあと自画自賛してしまいます。
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◆「名付け親」は帝王になれる
なお、このような名前をつけるにあたっては、その人の個性とか、考え方とか、趣味とかをしっかり
リサーチしたうえで、なるべくキャラクターにぴったりの名前をつけてあげようと、頭を絞って考えまし
た。
「なんでこんな苦労を?」と思うほど苦しかったのですが、そこはやっぱり「名付け親」なんですから、
仕方がないです。
でも、そうやって苦しんでつけてあげると、もらった相手も「いや、何もそこまで……」と思うくらい、
喜んでくれました。
「せっかくいただいた名前なので、一生名乗ります!」
なんて言って、本当にハンドルネームを変えてしまったのもいたくらいですから。 まさに、何もそこ
まで、ですね。
しかし、このように「人に名前をあげる」と、非常に喜ばれるということを、このときに学びました。
そして、名前をつけた弟子が増えれば増えるほど、当然 「師匠」としての私の格は、上がっていき
ます。
最終的に、私が「弟子」として名前を与えた人は、総勢で30名ほどだったと思います。その中には、
会社の社長もいたし、どっかの主婦もいたし、テレビのディレクター など、いろいろな職業の人がい
ました。そしてなぜか、彼らのほとんどは、当時の私よりも年上でした。
しかし、不思議なことに、一度でも「弟子」として名前を与えてしまうと、その人はいつまでも、私の
弟子として、どういうわけか「絶対服従」するのです。年齢差も関係なく、弟子は弟子の立場のまま
なのです。
さらに、新しい弟子が入ってくると、古い弟子が「しきたり」を教えたり、
「おい、親分に粗相のないようにな」
なんて、まさに落語家の一門か、博徒の一家みたいなことが本当に起こるようになりました。
もちろんそれは、彼らも彼らなりに「ごっこ」を楽しんでいたからです。
それが私にもわかったので、よけい面白がって、
「親分の言うことが聞けねえのか」
「親分が白と言ったら、サンコンも白だ」
「文句のある奴は破門だ」
と、封建的な暴君を「演じて」楽しんだのです。
そして、新しく弟子になった者のために「襲名披露」を開いたり、「おひけえなすって。手前生国と発
しますところ……」という「仁義」の切り方を教えてあげたり、事情があってブログをやめる弟子には
「破門状」を出したりと、まさにやりたい放題でした。
自分が子どもの頃から大好きだった、演芸や、任侠や、ナンセンスな味わいをごちゃまぜにした
「北風ワールド」を作り出し、その親分として私は君臨したのです。
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◆ネーミングから生まれる「ブルー・プラネット」
この「北風一家」というお遊びは、約2年ほど続きました。
一時は楽天ブログ内で「アンチ」から叩かれるほどの隆盛を誇りましたが、ギャグの限界を感じた
私が突然「解散」を言い出し、わざわざ国定忠治のふるさと、群馬県で「解散式」を行いました。
群馬県の新田郡には「三日月村」という、なんとあの木枯らし紋次郎の「テーマパーク」があるので
すが、東京から電車で3時間もかかるようなところに、日本各地から 10名弱の「子分」どもが集まっ
てくれたのです。
みんなで旅館に泊まり、温泉に浸かり、近くを散策したりと、まあいわゆる「オフ会」を楽しんだわけ
ですが、周りで見ていた人たちは、大勢の男女が私に、
「親分、こちらで写真を撮りましょう」
「親分、何か食べませんか」
「親分、ジュース買ってきて」
と呼び掛けているのを見て、ものすごく怪訝な顔をしていたのが印象的でした。
ちなみに、ここまでの2年間、私が「北風小象夫」という名で一世を風靡し、解散式まで執り行った
ことは、身近な人間には誰一人、家族にすら知られることはありませんでした。
その後私は、楽天ブログから足を洗って堅気に戻り、「北風」の名も封印して 、また地味な会社員
生活に戻ります。
しかし、それから、また10年後。みたび、私が「北風」の封印を解くことになるとは、夢にも思いませ
んでした……。
それはまた、次の章でお話しするとして、ここまでの経験から、私が学んだことをまとめます。
「名付け親」というのは、一つの「世界」を新たに創造し、そこの創造主として、あたかも「帝王」とし
て君臨することができるのです。
私も、実社会では地味なサラリーマンでしたが、ブログの中では 「北風一家」という荒くれ者集団を
束ねる親分。子分は、私の言うことには絶対服従、口答えしたら即破門…みたいな「封建制度ごっ
こ」を、楽しむことができました。
また、子分も、そんな私から「ムチャぶり」されることを、怖がりながらも喜んでいたのです。
先日、当時の子分の一人から、この頃の思い出を聞かせてもらったのですが、
「あの2年間はホント、親分がいつ、何を言い出すかわからないので、睡眠時間が減りました」
「親分の巻き込みは、ホントにえげつなかった」
なんて言っていました。つまり、それだけ夢中になって、楽しんでいたということですよね。
このように「ネーミング」というのは、一つの世界……新しい「ワールド」を作る、ということです。そ
して、ワールドを作った人は「帝王」として、他の人にムチャぶりとか要求とかをしても、嫌がられるど
ころか、むしろ喜ばれるのです。
では、もしもこのときの私が、子分から「上納金」を取っていたとしたら、どうだったでしょう。
23
たぶん、シャレというか、「楽しいから」という理由で、ほとんどの人がお金を出しただろうと思いま
す。
つまり、ここが大事です。
「ネーミング」で結ばれた関係というのは、「コミュニティビジネス」という、新たな市場を創出するの
です。
そして「名付け親」は、その市場、その世界、そのワールドの「帝王」として、「まんなか」として、お
金をもらっても文句を言われない存在になるのです。私が、本書で皆さんにお伝えしたい「ネーミン
グ戦略」の本質とは、まさにこの「人間心理」の理解と応用なのです。
よく「ブルーオーシャン戦略」とかいって、「競争相手が『少ない』市場に行きましょう」なんていうコ
ンサルがいます。しかし、私からすれば、そんなのはちっとも「楽」じゃないと思いますね。
競合が「少ない」ではなく、「いない」ところに参入すればいいじゃないですか。そういう市場を、自ら
作ればいいじゃないですか。ちょうど、新しい「惑星」を一つ、作るように。
この、いわば「ブループラネット戦略」を可能にするのが、私は「ネーミングビジネス」だと思うので
す。この件につきましては、また後の章で、詳しくお話しましょう。
ちなみに、この人間心理を「悪い方」に使ったのが、そうです、オウム真理教です。信者に「ウッパ
ラヴァンナー」とか「マイトレーヤ」とか「ミラレパ」なんて珍妙な名前をつけて、高いお金を払わせて
いたのですが、あの「払ってしまう心理」というのが、私にはよく理解できるのです。
4・「ネーミング」が仕事になった Facebook 時代
さて、「北風小象夫」の名前を封印してから、また10年の歳月が流れました。
2011年初頭、私はFacebookを始めましたが、このときはもう「目的」がはっきりしていました。
「足利市を有名にするため」と、もう一つは「独立するため」です。
Facebook で「起業」を目指す
◆Facebook
あの「リーマンショック」が起こったとき、私はこの耳で、はっきりと聞きました。日本という「タイタニ
ック号」の船底に、大きな氷山が「ガツン!」とぶつかった音を。
(詳細は、私の電子書籍第1作「革命的Facebook講座」所収の「Facebookとは、「イカダ」でできた
新大陸である。」をお読みください)
その瞬間、私は「このままサラリーマンを続けていたら、間違いなく逃げ遅れる」と直感しました。
それまでは、そこそこいい給料をもらっていたのですが、
「一刻も早く逃げ出さなければ、いつかは船(会社)と一緒に沈んでしまう」
という恐怖に駆られたのです。
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「自分と家族だけでもいいから、何とか助かろう」
と、焦る私の目の前に現れた、小さな救命イカダが「Facebook」だったのです。
私は、そのイカダに飛び乗り、沈むゆく船から脱出を計りました。つまり 「一日も早く、Facebookで
収入を得られるようにしよう」と思ったのです。
早い話が「週末起業」を志したわけですね。
しかし、いざスタートしたはいいものの、何をやっていいのか、さっぱり分からないのが Facebookで
した。最初のうちは、真っ暗闇の海に放り出されたような、試行錯誤の日々が続きました。
そのうち、私は自己流で「Facebookの航海法」をマスターし、「お友達を一日に100人増やす方法」
を編み出しました。これを、Facebookの「ノート」に書いて発表、連載することで、一気にブレイクする
ことができたのです。
ここから後の、私の「快進撃」につきましては、すでに3冊の電子書籍に一切合切、まとめて発表し
ました。Facebookで「独立」するまでの方法を知りたい方は、そちらに「投資」してください。
●お友達を一日に100人増やす方法を知りたい方は
→【初級編】「革命的Facebook講座」5000円
ダウンロード版 http://iinejapan.cart.fc2.com/ca3/1/p-r1-s/
●ノートを書いて夢をかなえる方法を知りたい方は
→【応用編】「夢をかなえるノート塾」4000円
ダウンロード版 http://iinejapan.cart.fc2.com/ca3/3/p-r3-s/
●Facebookで人を巻き込み、日本を変えたい方は
→【実践編】「人を巻き込むFacebook」5000円
ダウンロード版 http://iinejapan.cart.fc2.com/ca3/9/p-r-s/
CD-R版 http://iinejapan.cart.fc2.com/ca4/10/p-r-s/(在庫僅少)
Facebook にも「北風小憎夫」登場
◆Facebook
このとき、Facebookでの「ブレイク」のきっかけをつかむため、私はみたび「北風」の名を使うことを
決意したのです。
大学生のクリコンのときと、10年前の楽天ブログのとき。
いずれも「北風」という名は、なぜだか私に、パワーを与えてくれる、縁起のいい名前でした。「北風
小象夫」の名を使うと、まるで今まで閉じこめられていた本来の潜在能力が、解き放たれたような感
じがしたのです。
だから、Facebookも「北風」で始めれば、ある程度まではすぐに行くだろう。すぐに人気が出るだろ
う。10年間で蓄積されてきた、自分の潜在能力が解放されるだろう、と思いました。うまいことを言え
ば、もう一度「北風」を吹かせることによって、私の船出を応援してもらおうと思ったのです。
しかし、一度ならず、二度も封印した名前だし、「北風一家」を解散したときには、当時の子分たち
に「復活は二度とない」と大見得を切った手前、そのまま同じ名前を使うことには抵抗がありました。
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だから私は、「北風小象夫」を「北風小"憎"夫」とマイナーチェンジしたのです。
「小憎(にく)らしい夫、と書いて小憎夫です」というつかみも考えました。もし、当時の子分から突っ
込まれたら、
「トランクスが来たことによって、未来が変わったんだ」
と、ドラゴンボールを読んだことのない人には分からないギャグで返そうとも思っていました。
そしてキャラクターも、世をすねた「邪悪な流し」ではFacebookで受け入れられませんから、もっと
明るくポジティブに、
「Facebookで、世の中を楽しくさせる革命家」
と位置づけたのです。ちょうどその頃、中東では「Facebook革命」が起こり、エジプトやチュニジア
の政権がひっくり返ったりしていたので、非常にタイムリーでした。
何でも「思いつき」でやってるように見える私も、実は一つのことを行う前には、きっちり戦略を立て
ているのですよ。これは、テストの前の日に「ぜんぜん勉強やってない」と言いながら、実はしっかり
やってた中学校時代からの方針です。
ただし、Facebookは「実名」が絶対条件です。この頃には、10年前と違ってブログもだいぶ普及し
てましたし、もし会社にバレてガタガタ言われたら辞めよう、とまでおもっていましたから、普通に「六
本木辰也」で登録しました。
そして、Facebookでは名前の他に「愛称」も表示できますので、そこに「北風小憎夫」と入れたので
す。これで準備が整い、私の潜在能力が引き出されてきました。
◆「異名」のパワーで快進撃
私は当時、毎日毎日、100人のFacebookユーザーにお友達申請して、100人から承認をもらう、と
いう離れ業を、たぶん日本人の中で初めてやりました。
そのやり方は、電子書籍の第1作目に書きましたのでここでは繰り返しませんが、いま思えば 「六
本木辰也」そして「北風小憎夫」というネーミングにインパクトがあった ので、思わず「承認」してしま
う人が多かったのではないか、と分析します。
そして、今となっては笑い話ですが、私のことを承認してくれた人のうち何人かが、
「六本木辰也さんと北風小憎夫さん、どっちが本名ですか?」
と、真顔で聞いてきたことです。
どこの世界に「北風小憎夫」なんて本名の人間がいるというんでしょうか。あなたは 「泉ピン子」や
「玉袋筋太郎」に「本名ですか」と聞きますか?
まあ、それくらい「六本木辰也」というのは芸名くさい名前だった、という証明になるエピソードでし
たね。
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それでも私は「目立つためには、まだ地味だ」と思い、自分に肩書き、キャッチフレーズをつけてい
きました。
当時、マンガで流行っていた「ONE PIECE」に出てくる「革命家 モンキー・D・ドラゴン」をパクって、
「いいね!革命家 六本木・D・辰也」
という「異名」も名乗ることにしたのです。
結果、私のキャッチフレーズを整理しますと、
「いいね!革命団団長 北風小憎夫。その正体は、いいね!革命家 六本木・D・辰也」
という、ややこしいものになったのです。
(イメージイラスト)
これが結局、大当たりしました。
私は、「運勢を変えるなんとかネーム」とか「姓名判断」などは、やってもらったことはありません。
それは「インチキだから」と思っているからではなく「自分でできるから」なのです。
名前を変えたり、新しい名前をつけたりすることで、人間の運勢は、確かに変わります。私の場合
は、それを実体験でわかっているので、人に頼らなくても自分でできる、という話です。
(ただしもちろん、中にはインチキな人もいますので、それは気をつけてください)
さて、私が自分につけた「ネーミング」。その効果は、やはり絶大でした。
何人か、センスのいい人、見所のある人を見つけては、「北風○○」の名をプレゼントし「北風の一
味 いいね!革命団」に入れていったのですが、またまたあっという間に「アンチ」が生まれるほどの
大ブレイクを果たしてしまいました。
やはり「北風ワールド」は、Facebookでもうまくいったのです。
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◆密室型、劇場型、そして爆発型
Facebookに関してはまったくの素人で、一人のお友達もいない状態で始めた私が、そのわずか3
ヶ月後には「いいね数ランキング」で全国7位になったのも、このときの大ブレイクのおかげです。
楽天ブログのときには、1年かかったことが、Facebookではわずか2ヶ月で、ピークを迎えてしまっ
たのです。
ここで私は、ブログとFacebookとの「本質的な違い」が、自分なりにわかったと思います。以下、非
常に大事な部分なので、注意してお読みください。
Facebookを始めたばかりのとき、ブログと比較して、Facebookは「劇場型」、ブログは「密室型」だ
と私には思えました。
ブログというのは基本的に、こちらから「見に行く」という手間をかけないと、内容がわかりません。
そもそも、そんなブログが存在していることすら、わかってもらえないのです。
もちろん、各ブログサービスとも、新しい日記が更新されたら「新着」みたいなサービスはあります。
が、それがあったとしても、もともと自分が「お気に入り」に入れているブログでもない限り、見に行く
ことは少ないでしょう。
これを逆に「運営側」から見れば、何とかして多くの人から「お気に入り」してもらって、一生懸命に
更新して、よっぽど話題になって、マスコミや有名ブロガーにでも取り上げられない限り、ブログとい
うのはブレイクしないのです。
ごく一部のファンだけに支えられている、「一見さんお断り」の老舗みたいな密室性。それが、ブロ
グにはあると思います。
ところが一方、Facebookの方では、日々の投稿にしても、それに対するコメントにしても、写真やノ
ートにしても、すべてがオープンです。ニュースフィードに、次から次へと、新しい情報が流れてくる
ので、ちょっとでも目を引くようなものだったら、即座に「シェア」で広められます。
昨日までの無名人が、今日はいきなりブレイクして有名人。そういうことが、普通に起きる世界で
す。
そして、ここが重要な点ですが、その「ブレイク」は、ある程度「戦略」として演出できるのです。
具体的に言ってしまえば、何人かでグループを作り、その人たちが下準備をして、役割を分担して、
いちにのさん、でノートや写真やイベントを「シェア」しまくれば、あっという間に「流行」が作り出せて
しまいます。
役割を振られた人たちが、自分の役を演じるので、これを「劇場型」と呼ぶことができます。
たとえば、誰かが何かのイベントページを立ち上げたら、グループの人たちが、それを一斉にシェ
ア、そして「参加」を押します。
すると、その様子が、一斉にニュースフィードに流れますので、それを見ている他の人たちは、まる
でテレビの臨時ニュースのように、注目させられます。
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それを見れば、まったく関係ない第三者でも、「何だろう?」と興味を持ちますよ。そして、一人でも
内容に共感し、思わず「参加」を押してしまえば、ここから「ブレイク」がスタートするのです。
もちろん私は、実際いままでに何度も、このブレイクを人為的に作り出してきました。だからこそ
「日本一のFacebookプロデューサー」と呼ばれるわけですが、それは実際、可能なのです。
(さらに詳しい方法は、電子書籍第3作「人を巻き込むFacebook」に書きましたので、参照してくだ
さい。)
ということで、Facebookは本来「劇場型」ですが、その特性を最大限に活用することで、さらに 爆発
的なムーブメントを生み出す「爆発型」にまで成長するツールだと私は思っています。
たとえばの話、もしも秋元康が、Facebook上で「AKB48の新メンバー募集」を仕掛けたら、どうなる
か想像してみてください。「爆発的なムーブメント」を通り越して「パニック」になると思います。
Facebookには、そこまでのパワーがあります。
◆名前がアクセル、名前がブレーキ
さて、話がネーミングからそれて、マーケティングの話になってしまいました。もとの「北風の一味」
に戻しましょう。
こうして、私のシナリオ通り、新しい「北風○○」の名前が生まれるたびに、Facebook上で「北風の
一味」「いいね!革命団」そして、私の名前は大きくなっていきました。
どこにでもいる普通の人が、ある日いきなり「北風○○」とネーミングされ、その様子がFacebook上
でシェアされ、一夜にして有名人になっていく。
次に、その人と仲のいいお友達が、巻き込まれるように別の「北風○○」となり、またその様子が、
Facebookの「六本木辰也劇場」で公開されていく。これはもう、一つの「ドラマ」です。
そして、Facebookのすごいところは、そのドラマの「課程」「プロセス」「ストーリー」までもが、日本全
国の人と「共有」されるところです。
マンガ「ONE PIECE」が、あれだけの人気を長年に渡ってキープしているのは、何故だかわかりま
すか? 物語の基本構造が「仲間集め」だからです。
古今東西、ありとあらゆる物語において、もっとも面白いのは、序盤の「仲間集め」の部分です。
ONE PIECEは、あえてその「仲間集め」を、何度も何度も、重層的に繰り返しているからこそ、いつ読
んでも面白いし、先が気になってしまうのです。
同じように「北風の一味」も、毎日のように新しい仲間、魅力的な仲間が生まれてくる、そのストー
リーの基本構造に加え、見ている人がそれに「参加」までできたのですから、盛り上がらないはずが
ないですよね。まるで、マンガ「ONE PIECE」の中に、自分も入ったような、めくるめく毎日を体験して
いたことでしょう。
以上が、私がFacebookで「北風ワールド」を展開し、人気を創り上げてきた課程のすべてです。当
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時は黙っていたことも多いのですが、さすがに時効なので書いてしまいました。
しかし、ここまでブレイクするのに必要とした時間は、本当に3~4ヶ月でした。私が「北風ワール
ド」を仕掛け始めたのは2011年の3月でしたが、はやくもその5ヶ月後、8月にはもう、この一味は
「解散」しました。
ブログでは、解散するまで2年かかりましたが、Facebookでは5ヶ月。この「サイクルの早さ」も、
Facebookの特徴の一つです。
解散した理由は様々ですが、この本の趣旨「ネーミング」に絞ってお話するならば、
「北風の一味」
「革命家」
という、いままでのブレイクに絶対必要だったネーミングが、逆に私の足を引っ張り、首を絞めるよ
うになってきたのです。つまり、今まではネーミングが「アクセル」の役目を果たしていたのですが、
途中から「ブレーキ」になってきたのです。
Facebookでブレイクしたおかげで、私には日本全国から「講演」「セミナー」のお呼びがかかるよう
になりました。Facebookから、リアル社会に飛び出して活動するようになったのです。
つまり、当初Facebookを始めた目的の一つ、「Facebookで起業する」が、現実となってきたのです。
しかしそのときに、困ったことが起きました。それは、私の肩書きである「革命家」が、会場の人に
「不信感」を与えるようになったのです(笑)。
ま、いま考えれば、当たり前のことですけどね。いきなり「会場を貸してください」と現れた男が、
「革命家」と書かれた名刺を出すのですから。
これが東京だったら、いろんな人がいますから、「へえ、珍しい肩書きですね」くらいで済むのです
が、私が住んでいる足利市なんかでは、ホテルでこの名刺を出した瞬間、受付嬢の顔が強ばり、慌
てて上司を呼んできました。
どうやら「革命家」が会場を借りにきたので、火炎瓶や手榴弾でも売るのかと思われたのでしょう
(笑)。いや、冗談のようですが、ホントの話ですよ。
私がFacebookを始めたそもそもの目的は、「有名になって、足利市をどうにかする」と「Facebookで
独立する」だったのですが、もう何度も新聞などに登場し、ある程度は有名になったので、これ以上
は「革命家」の名前にこだわる必要はなくなりました。
Facebook プロデューサー・六本木辰也」へ
◆そして「Facebook
そう判断した私は、「北風の一味」を解散し、「北風小憎夫」の名をみたび封印し、「革命家」の肩書
きさえ返上しました。
そして、プロフィール写真もスーツにネクタイに変え、新たに名乗ったネーミングが、
「日本一のFacebookプロデューサー」
だったのです。
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この方向転換によって、私のところには講演、セミナー、コンサルティングの依頼が来るようになり、
目的の一つであった「独立」を果たすことができました。しかも、個人コンサルティングのほとんどは、
「いいネーミングをつけてほしい」
というご依頼です。
まさに私は、自分がいちばん大好きな「名づけ」を、ビジネスにすることができたのです。
もしもあのまま、いつまでも「革命家」という勲章にしがみついていたら、今の私はなかったでしょう。
ここから得た私の経験は、以下の二つです。
①どんなに人気を得たネーミングであっても、自分のやりたいことに合わなくなったら、未練を持た
ずに捨てるべき。
②ネーミングを変えることによって、それにふさわしい人が、また集まってくる。
ここでのイメージチェンジによって、それまでの私のファンは、ほとんどがいなくなりました。
でもその代わりに、また全国から、新しい層のファンが定着しつつあります。
こうやって、何度でも、自分の殻を破り、脱皮していくことが「成功」には必要であり、またそれを何
度でも繰り返せるのが、Facebookのすごいところだと思います。
Facebookをやっていれば、必ず成功します。成功するまで続ければいいのです(笑)。
そして年が明けて2012年、私は「日本一のFacebookプロデューサー」に、また新たなネーミングを
付け加えました。それが「マキコミワークス代表 六本木辰也」です。
「マキコミワークス」とは、私の前作「人を巻き込むFacebook」を読み、Facebookでのマーケティン
グを実践したい、という方だけが自発的に入会した、私が主催のグループです。
「人を巻き込むFacebook」は5000円しますから、それだけの投資をしてでも、私とともにFacebook
マーケティングを学びたい、という人たちの集まりなので、誰もが一様に意識が高く、行動も早く、話
も伝わります。
4月には、「マキコミワークス決起大会」というネーミングの、実は単なるオフ会を、あの銀座の帝
国ホテルで開催しましたが、メンバー総数50人中、約半分の25名が集まりました。
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集合写真を見ていただいてもわかるように、皆さんの体からは、ただ者ではない「オーラ」が出て
います。いずれも、これからの日本を支え、引っ張り、変えていくという気概に満ちた皆さんです。
「北風の一味」は、確かに、関係する人たちを楽しく、面白く、幸せにしました。それは、Facebookの
初期には、絶対に必要なことでした。
でも「マキコミワークス」には、それとはまた違って、リアル社会を変えていこう、日本をよくしていこ
う、という使命があります。
この本が出る頃、出たあとには、どうなっているのか分かりませんが、いまの時点では確かに、
Facebookの中で「マキコミワークス・ワールド」は異彩と存在感を放っています。
つまり私は、「マキコミワークス代表」というネーミングを名乗っただけで、こういう人たちを引き寄
せたのです。
と、第1章は以上になります。私が物心ついてから現在までの、「ネーミング」についての記憶や実
践について、事実に即して語ってきました。
次の第2章では、今までの私の個人的な体験から、誰にでも共通するような「普遍的」な法則性な
どを抜き出し、整理してみたいと思います。
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第2章 いますぐ「名前」を変えなさい
さて、第1章をお読みになって、
「自分も何か、いい異名があったら、名乗ってみたい」
と思っていただければ幸いですが、いかがでしょう。
もしもあなたが、Facebookを「遊び、なれ合い、暇つぶし」だけで使っているのではなく、
「仕事に役立てよう」
「何かを成し遂げよう」
と思われているのなら、いますぐにでも素晴らしい「ネーミング」を考え、自ら名乗るべきだと思いま
す。これからの時代のブランディングにおいて、2番目に重要なのが「ネーミング」です。
◆最も大事な「プロフィール写真」
ちなみに、一番目は何かというと、それは「プロフィール写真」です。人間は、第一印象でほとんど
が決まるからであって、ネーミングが効果を発揮するのは、その第一印象をクリアしてからの問題に
なるからです。
就職試験で言えば、履歴書の書類選考を通って、面接にまで進めてから、ようやく「ネーミング」に
興味を持ってもらえるのです。
もしここで、「履歴書」に写真が貼ってなかったり、プリクラ写真が貼ってあったら、その人は面接に
進めるでしょうか? そんなわけはありませんよね。
でも、どういうわけか「Facebookを仕事に役立てたい」と言っている人のほとんどが、適当なプロフ
ィール写真を、適当に使っています。これでは、まず「社会人」としての常識を疑われてしまいますが、
なぜか多くの人が、そこのところを勘違いしていますね。
だからこそ、いち早く「完璧な」プロフィール写真を使えば、それだけで差別化でき、それだけで信
頼され、それだけで仕事が増えるので、まさに「誰もやっていない」今こそが、プロフィール写真を変
える最大のチャンスなのです。
本書のテーマは「ネーミング」ですので、ここではこれ以上、プロフィール写真の重要性については
触れません。でも「百聞は一見にしかず」、試しに私のプロフィール写真をご覧ください。
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この写真一枚を完成させるために、私は20万円ほどを自己
投資しました。
プロの「モテ色」コーディネーターに、一番似合うネクタイを
銀座三越で選んでもらい、「小顔エステ」で顔の輪郭をスッキ
リさせ、カリスマ美容師にヘアカットをお願いし、歯をホワイト
ニングで白くさせ、当日はプロのメイクさんに顔と髪を作って
もらい、東京のスタジオでプロのカメラマンによる撮影、およ
び修整という過程を経て、ようやく完成した一枚の「作品」で
す。
この写真を見てから、「日本一のFacebookプロデューサー」というネーミングを見てもらえば、ウソ
だと思う人は少ないでしょう。だから、ここで20万円を投資しても、すぐに仕事で回収できるのです。
◆ネーミングは「無料」でできる
このように、ブランディングにおいて一番大切なのはプロフィール写真、ということがお分かりかと
思います。
「ネーミング」の重要性は、その次になりますが、しかしネーミングには、プロフィール写真にはない
メリットがあります。
それは「タダ」ということです。
もちろん、D通とか、H報堂とかの広告代理店に頼めば、べらぼうな料金を取られた上に、しょぼい
ネーミングを納品してくれます。また、会社で社員を集めて「ネーミング会議」をすれば、社員の人件
費と時間、弁当代というコストがかかります。
でも、自分でネーミングを考えれば、いくつ考えようと、どんなに派手なのを考えようと、すべてタダ
です。そして、優れたネーミングを一つ考えれば、後述するような素晴らしい効果、利益をもたらして
くれます。
ですから、もしいますぐに、プロフィール写真に投資するお金がないのであれば、まずはいの一番
に、優れたネーミングを考えることに専念しましょう。
以下、この第2章では、優れたネーミングがあなたにどのようなメリットをもたらすかを、第1章から
実例を抜き出し、また私自身の体験を踏まえて、列挙してみましょう。
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①目立つ、インパクトを与える、憶えやすい
これはもう、私自身が「六本木辰也」という本名で、イヤというほど立証しました。
私と初めて名刺交換した人は、必ず名刺をガン見して、「……すごいお名前ですねえ」と感心してく
れます。そして「決して忘れません」とも、付け加えてくれます。
これは、私のようなコンサルタント、顔と名前が売り物の商売をしている人間にとって、どれほどの
メリットか、わかる人にはわかりますよね。。
他にも、いわゆる「さむらい業」の人とか、フリーランス、アーティストにとっては、名前を覚えてもら
えるかどうかは、はっきり言って死活問題です。
その点、私は、たまたま持って生まれた名前が、すでにある種のブランドになっているのです。こ
れが東京の地名でも、「巣鴨」とか「亀有」「鶯谷」なんかだと、ちょっとイメージ的に単価が下がりま
すよね。
やっぱり、あのリッツ・カールトンやヒルズ六本木、ミッドタウンや高級クラブなどがある「六本木」だ
からこそ、意味があるのです。
もちろん、私も子どもの頃、若い頃は、名前を言って笑われたり、「五本木さん」「渋谷さん」なんて
寒いジョークでからかわれたりして、コンプレックスを感じていたこともありました。また、足利市の病
院などで、大きな声で「六本木さ~ん」なんて呼ばれると、そこにいる人全員からガン見される、とい
うデメリットもあります。
でも、これからの社会、特にFacebookのような「実名重視」のSNSが一般的になる時代においては、
そのコンプレックスはアドバンテージに、デメリットはメリットに、逆転することがわかっています。価
値観が逆転することを「革命」と言いますが、まさに今は全世界規模で「実名革命」が起きているの
です。
今では、初めて会った人に「六本木辰也です」と名乗れば、
「ああ! あの、Facebookで有名な」
と言われることも増えてきました。
そうでなくても「アレ? どっかで聞いたことある!」まで言われる確率は、かなり高くなっています。
そりゃ、一度聞いたら忘れない名前ですからね。
ちょうど、売り出し中の若手お笑い芸人くらいのポジションにはいるわけですが、しかしお笑い芸人
が「どっかで聞いた!」レベルまでなるには、相当の下積みとプロモーションが必要です。それを私
の場合は、ただ「本名のインパクト」だけでクリアしているのですから、親に感謝するしかありません。
逆に、平凡な名前、間違えやすい名前、どこにでもいる名前、憶えにくい名前の人は、たぶん私と
は別種の苦労や、コンプレックスを抱えているのではないでしょうか。これからの「個人力」が必要な
時代には、かなりのハンディキャップになるでしょう。
というのも、もはや「大企業は安心」という神話は完全に崩壊し、「会社にいるより、フリーの方が安
心」と言う人が出てくるほどに、社会の構造は激変しました。「あと何年かで、会社はなくなる」なんて
言う人までいるくらいです。
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そこにタイミング良く現れたのが、実名主義のFacebook。すでに登録者は9億人を超えています。
これはもう「個人の時代」「実名の時代」と断言してもいいでしょう。
日本のマスコミは、あえて気づかないふりをしていますが、Facebookによって「実名主義」が流行っ
たわけではありません。実名で活動する必要性を、多くの人が感じていたところにFacebookが現れ
たからこそ、多くの人が飛びついたのです。
しかし、そんな時代なのに、平凡なよくある名前、たとえば(同姓同名の方がいらっしゃいましたら、
ご勘弁ください)「さとうこういち」さんとか「よしだかずお」さんとか「やまだようこ」さんのように、同姓
同名が何万人もいるような人。
あるいは、「村山秀和」さんや「山村和秀」さん、「中田弘幸」さんや「田中幸弘」さんのように、上下
を間違えられても気づかれないような方は、この先「名前を、おぼえてもらえない」ということで、かな
り損をする可能性があります。
今までに、郵便の宛先や書類などで、このような間違いを一度ならず体験したことのある人は、今
すぐ本名そのものを、もっと憶えられやすく変えるか、Facebook上だけでも「異名」を使うか、「田中
ゆきひろ」のように漢字をひらがなにする、あるいはそれこそ「ニックネーム」「異名」「屋号」をつける
などの工夫をして、どうにか「目立つ」「インパクトある」名前にしないと、ブランディングどころの話で
はなく、「その他大勢」の中に埋もれてしまうでしょう。
ただし、ニックネームをつける際に注意してほしいのが、とんでもなく「ダサい」、それを通り越して
「痛い」「むごたらしい」ニックネームを、平気でつけてしまう人がいます。実際に、私もFacebook上で
何人も見かけましたが、あまりのむごたらしさに目を背け、「見なかったこと」にした人もたくさんいま
す。それは、ブランディングはブランディングでも「負のブランディング」にしかなりません。
そのような「痛ネーム」をつけてしまう人というのは、得てして他人のアドバイスを聞かないか、なに
か宗教的な境地に達してしまっている人がほとんどなので、私もあえて注意はしません。
②愛称、愛着=愛される
たとえば東京にも「柴又」とか「深川」「向島」「黒門町」「根津」など、情緒あふれる素敵な地名がた
くさんあります。
また、それこそ「六本木」とか「新宿」「渋谷」「原宿」「表参道」「青山通り」など、歌謡曲のタイトルや
歌詞になるような、詩的な地名もあります。こういうところは「ネーミング」という観点からすると、非常
に正解なわけですね。
そこに住む人にとっては「愛着」が沸くし、よその人にとっては「どんな町なんだろう」と、イメージが
広がります。
一方、区画整理などで、「光町」「朝日町」「日ノ出町」「緑町」「駅前通」なんて、単なる記号のような、
漠然としてありふれた町名に変えられちゃうところもあります。住む人も、愛着が沸かず、引っ越す
にも未練が残らないでしょうね。
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これを、人の名前に置き換えてみれば、「独特」なネーミングがどれだけ大切か、よく分かると思い
ます。
やってること自体はたいしたことなくても、「柳葉」とか「地井」「錦織」 なんて名前の方が、「松田」
「近藤」「小林」みたいな人より、存在感がありませんか。
その上、「ギバちゃん」「ちいちい」「ニッキ」みたいに、愛称で呼ばれることさえあります。こうなると、
芸能人としては、名前に感謝するしかないですね。
いや、これを「芸能人の話でしょ」と、軽く考えないでください。Facebookなどをやっている人は、私
も含めて、すでに「有名人」「芸能人」と、土俵は同じなのです。たぶん、Facebookをやっている芸能
人の中で、私よりよっぽど「無名」な人は、たくさんいるはずです。そして「六本木って名前は、美味し
いよな」とか、話しているに違いないのです。
もし、自分の名前が地味だったり、ありふれている場合には、「肩書き」や「職種」を自ら「愛称」にし
てしまう、という有効な手もあります。
たとえば私は、ただでさえ本名が派手なのに、楽天ブログ時代には 「親分」と呼ばれていました。
そしてFacebookでは「団長」と呼ばれ、今は「代表」と呼ばれています。というか、呼んでもらうように
しています。
理由は簡単で、「団長」とか「代表」の二文字だけで、私のことを思い出してもらえるようになるから
です。
有名人というのは、有名になればなるほど、そして親近感を持たれるほど、名前を呼ばれる機会
が減ります。田中角栄が「目白」と呼ばれたように、住んでいる地名だけで伝わるようにもなるし、
「教授」と言っただけで、坂本龍一か、篠沢教授か、この二人に絞られるでしょう。
他にも「殿」といえばビートたけし、「大将」といえば萩本欽一、「家元」といえば立川談志、「ボス」と
いえば石原裕次郎、「ミスター」といえば長嶋茂雄、「閣下」といえばデーモン小暮、「カントク」とカタ
カナでいえば山本晋也です。
「ダチョウのリーダー」といえば、誰もがあの「ヤー!」とやっている、まんなかの背の高い人を思い
出すでしょう。でも、あの人の名前は? と聞いたとき、「肥後克広」と正確に答えられる人は(別に
隠しているわけでもないのに)、かなり少ないと思います。
このように、役職や職業、ニックネームやあだ名などを含めた、いわゆる「愛称」だけで「あの人」と
特定できるようになれば、それはもう相当なブランディングが完了しているということです。 また、逆
に言えば、個人をブランディングしたいなら、本名以外の「愛称」があったほうが、圧倒的に認知され
るのが早い、ということです。
「カツマー」「ホリエモン」「ハンカチ王子」といえば、日本人ならほとんどの人が知っていると思いま
す。でも、彼らの名前を「勝間和代」「堀江貴文」「斎藤佑樹」とパッとフルネームで答えられる人は、
かなり少ないはずです。
そのくらい「愛称」というのは、本名に比べて、人の記憶に残りやすいのです。
私が「いいね!革命団 団長」をやめてから、もう3ヶ月が経ちますが、未だに私のことを「団長」と
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愛情を持って呼ぶ人は後を絶たないし、今後もいなくなることはないでしょう。それほど、私の存在
感は強く、多くの人から愛され、おぼえられたという証拠です。
③差別化できる、キャラが立つ
ネーミングで「ブランディング」する場合、これがもっとも大切です。
名前だけで、他と差別化できる。名前だけで、キャラクターが浮かんでくる。これを「キャラが立って
いる」といいます。
目安でいえば、誰に名前を言っても、
「ああ、あの……」
と、うなづいてもらえるレベル。ここまで来れば、その人の知名度は、東証一部上場企業みたいな
ものです。
そして、ここが大切なのですが、「ああ、あの……」の「あの……」の後は、何でもかまいません。
もちろん「あの綺麗な」「あのイケメンな」「あの話題の」「あのベストドレッサーの」みたいに、プラス
の側面で認知されていれば、もう何も言うことはありません。
でも逆に、マイナスなイメージで認知されているとしたら……?
たとえば私だったら、
「あの生意気な」
「あの偉そうな」
「あの悪名高い」
と、マイナス評価のオンパレードです。私の悪口を言うためだけに集まっているグループには、メン
バーが数百人もいるという噂です。
でも、これでも充分、「ブランディング」になるのです。
「六本木辰也って知ってる?」
「ああ、あの、2ちゃんねるでさんざん悪口書かれている人ね」
これでもいいのです。ぜんぜんありがたいです。
なぜかというと、「ああ、あの……」と思い出してもらえる人というのは、せいぜい1000人に一人、
5000人に一人という「有名人」だからです。
「悪名は無名にまさる」と、昔から言います。たとえ悪口であろうと、話題にされないよりは、千倍、
万倍も有利なのです。
小沢一郎氏がいい例ですが、あれだけ日本中から悪口を言われている政治家は、他にいません。
でも、その陰には「こんな人いたっけ?」という政治家が、何百人もいるのです。どうせ政治家やるの
なら、名前が売れてなくちゃ、次の選挙じゃ受かりません。
それに私だって、多くの人が「詐欺だ」「インチキだ」「売名行為だ」とさんざん騒いでいますが、もし
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本当に私がその通りなら、とっくにツブれているか、「名誉毀損だ」とか言って訴訟を起こしています。
さんざん悪口を言われているにも関わらず、こうして平然としていられるのですから、それは私に
「実力」がある、という証拠です。彼らは一生懸命、私がどれだけスゴイかを、証明してくれてるので
す。
しかも、そんな私に講演やコンサルタントを依頼してくる方というのは、「実力があるから、悪口を
言われるんですよね」くらいのことは「当たり前」として、よく分かっている人たちです。おかげで、み
んなが悪口言ってるから、という理由だけで、自分も尻馬に乗って悪口をいうような、付和雷同レベ
ルの人とはつき合わなくて済むのです。
どうぞ、100人でも200人でも、束になってかかってきてください。私とあなたたちとでは、実力が全
然違うのですから。
……と、こんな偉そうなことを言えるのも「六本木辰也って、あの生意気な人でしょ」という「キャラ」
ができているおかげなのです。
だから、有名になりたいのなら、「あのケチな」でも「あのスケベな」でも、「あのお節介な」「あの涙
もろい」「あのハゲ」でも、何でもいいから「あの……」で語られる人になることです。これが立派な差
別化、キャラが立ったということです。
芸能人だって、「抱かれたい男No.1」「抱かれたくない男ワースト1」というのが毎年ありますが、記
憶に残るのは「抱かれたくない男」の方です。
だから、「抱かれたい男」の3番とか4番とか、中途半端な位置にいるよりは、「抱かれたくない男」ワ
ーストワンになるほうが、圧倒的ぶっちぎりで「有利」。そっちのほうが、仕事がたくさん来るんです
から。
もっともこれは「ネーミング」だけの問題ではなく、「行い」「ルックス」などが、大きな要素です。しか
し、地味なルックスをカバーするのが「派手なネーミング」であるし、他の人と同じようなことをやって
いても「○○流」みたいなネーミングをつければ、そこに光を当てることもできます。
やはり、「ネーミングを制する者は、市場を制す」です。
④ブランドができる
これも強いですね。ブランドとは、私の定義では「文句あんのか」「イヤなら帰れ」です。そこまで言
い切っても、文句を言わせない。誰にも頭を下げない、ペコペコしない。これこそ「ブランド」です。
一流の高級ブランドは、決して値下げしません。なぜなら、値下げをしないのがブランドだからです。
私は「日本一の天才カリスマFacebookプロデューサー」という、そうとうな「どやネーム」を名乗って
います。先ほども言いましたが、twitterや2ちゃんねる、たまにFacebookで激しく糾弾されています
が、それは願ったりかなったりなのです。
なぜなら私は、わざと相手を怒らせるように、挑発しているのですから。
そんな基本的な戦術、分かる人はみんな分かっているのですが、ときどき挑発に引っかかる人が
いてくれます。そういう人を見ると感謝で胸がいっぱいになります。だって、頼んでもいないのに、私
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の名前を大騒ぎして広めてくれてるんですよ。
悪口だろうが何だろうが、「話題になる」ということは「売れてる」ということです。「有名」ということで
す。「売名行為」と言われたら、「その通りだ」とよけいに胸を張りましょう。
悪口を言われるからこそ、ブランドなのです。ブランドだから、悪口を言われるのです。悪口とブラ
ンドは裏表で、悪口を取ったらブランドじゃなくなります。
ホントに私、このブランドのせいで助かってますよ。たとえば「日本一の天才カリスマFacebookプロ
デューサーの六本木辰也、待望の新刊が完成しました!」とtwitterでつぶやくだけで、たくさんの人
が「リツイート」してくれるのです。これはもう、無料で「宣伝」してくれてるのと同じなんですよ。どんど
ん活用しなきゃ。
……と、こんな話をコンサルですると、
「そんなに悪口言われて、売り上げが下がったりしないんですか」
と言われます。大丈夫です。売り上げは、悪口の量が増えれば、つまり「話題」になればなるほど
上がります。
もちろん、商品やサービスの質が悪いのに、誇大広告しているようじゃダメですよ。それは悪口で
はなくて「クレーム」です。
そうじゃなくて、商品ではなく、あなたの「態度」や、私の「日本一の天才Facebookプロデューサー」
という「肩書き」に対する悪口は、いくらでも言わせておけばいいのです。
彼らは、私たちの商品やサービスに悪口を言ってるんじゃなくて、「天才」「日本一」というネーミン
グに対して、騒いでいるのです。
もちろんそれは「やっかみ」です。悔しいからです。自分も「天才」とか「日本一」と言いたいのに言
えない。だからピーチク言ってるだけです。
そして、ピーチク言われれば言われるほど、世間の注目は集まります。そのとき、こちらとしては
堂々としていればいいのです。
「天才なんですって?」
「はいそうです」
「日本一なの?」
「ええそうです」
と、自信満々な顔をしていればいいのです。そして、この一言。
「文句があるなら、お帰りください」
こういわれて、帰る人はほっとけばよろしい。きっと3日後には「お願いします」とやってきます。
実際に私、自分の発想は「天才的」だと思っていますし、「日本一のFacebookプロデューサー」だっ
て「事実」であって、決して誇大広告ではないのです。
なぜかって?
「Facebookプロデューサー」という職業は、日本で私しかいないからです(笑)。
だったら当然「日本一」でしょ?
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詐欺じゃありませんよ(笑)。どっちかというと「ギャグ」の部類に入ります。実は、この手法も、子ど
もの時に「落語」から学んだのです。
いま「笑点」にも出ている春風亭昇太の師匠、春風亭柳昇が「つかみ」のギャグとして、毎回必ずこ
う言っていたのです。
「わたくしは、春風亭柳昇と申しまして、大きな事を言うようですが、今や春風亭柳昇と言えば、我
が国では……、わたし一人でございます」
これと同じように、今やFacebookプロデューサーと言えば、我が国では六本木辰也ひとりでござい
ます。
要するに、これが「ブランド」を作るコツです。どんな手を使ってでも、注目されれば勝ちなのです。
それでもまだ「悪口が怖い」と思いますか? とんでもない、悪口は味方です。
たとえば、ドリフがやっていた「全員集合」って番組。PTAから「下品だ」「低俗だ」「子どもに見せら
れない」と、ワースト番組堂々の第一位に輝き、「子どもに見せるな運動」までやられたのです。
それで、番組がつぶれたかといえば、とんでもない。最高視聴率は、なんと50.5%という、テレビ史
上空前絶後、絶対にあり得ないほどの視聴率を記録したのです。
これがもし、ワースト番組に選ばれなかったとしたら、そこまでの視聴率には行かなかったでしょう。
人間とは「見るな、見るな」と言われれば、逆に見たくなる生き物ですからね。
後に、ドリフのリーダー、いかりや長介氏は、ワースト番組になったことについて、こう本心を述べ
ています。
「涙が出るほどありがたかったですよ。タダで宣伝してくれるんだから」
世の中、どうやったってアンチは出ます。でも、ちゃんとやってれば、そのアンチの 10倍、ファンが
つくのです。
10人のアンチが出たところで、そっちの言うことを聞いてしまえば、反対の100人のファンが離れて
いきます。たとえ100人に嫌われたって、1000人に好かれればいいじゃないですか。
いままでの日本では、こうは行きませんでした。地元で100人の敵を作ってしまっては、生きていく
ことができませんでした。
でも、いまはFacebookで、日本全国にお友達が作れるのです。たとえ、地元の全員に嫌われたっ
て、日本中から好かれれば、充分にやっていけます。むしろ、真の「地域活性化」というのは、荒療
治が必要ですから、地元の全員を敵に回すくらいしないと、実現できないのです。
ただし、気をつけてほしいのは、ただ「嫌われればいい」「悪口を言われればいい」というわけでは
ありませんよ。
自分のやること、売る商品には、絶対の自信がある。日本一、いや世界一だと思っている。 そうい
う人だからこそ、悪口を言われても、ビクともしないのです。
それに対してつべこべ言われるのは、大歓迎ということです。「イヤならいいよ、あんたには売らな
いから。他に買う人は、いっぱいいるんだから」と、こう言い切れるのがブランドです。
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⑤シリーズ展開できる
第1章で、落語家の亭号や、アップルの「i○○」のところでもお話しましたが、一つブランドネーム
ができると、あとは非常にラクになります。
先行するブランドの、名前の一部をくっつけるだけで「ああ、あの有名な○○の……」と、ただそれ
だけで注目されて、ただそれだけで格が上がるのです。
商品であれば、憶えてもらいやすくなり、店に並べられやすくなり、手にとってもらい、買ってもらい
やすくなるのです。
タバコだったら「セブンスター」「セブンスター・ボックス」「セブンスター・ライト」「セブンスター・カスタ
ムライト」と出れば、セッタ好きならとりあえず買ってみますし、ニンテンドーが「マリオ ○○」を出せ
ば、これもとりあえず売れますからね。
また、ビジネス書でも、一冊当たると次から次へと、 「~の法則」「~ハックス」「~しなさい」「非常
識な~」「なぜ~なのか」「凡人の~」「残念な~」をくっつけた2匹目、3匹目のドジョウがわさわさ涌
いて出てきます。
私は、そういうのはあまり好きじゃなかったので、いままで4冊出した本のタイトルは、
「革命的Facebook講座」
「夢をかなえるFacebookノート塾」
「人を巻き込むFacebook」
「Facebookの顔と顔」
と、すべてバラバラに変えてきましたが、本書のタイトルでは「革命家」というブランドを意識して、
「Facebookプロデューサー六本木辰也の『革命的ネーミング講座』」にしました。
当初は「アイデアを活かすも殺すもネーミング」にしようと思ってましたが、いまひとつ語呂が合わ
なかったので。
と、このように、一発ブランドが当たると、あとが非常にラクになるのです。
前の章でお話しした「北風ブランド」がまさにそれで、昨日まではそこらへんのおっちゃん、おばは
ん、兄ちゃん、姉ちゃんだった人が、ある日突然「北風○○」という名前を襲名したとたんに、一躍有
名人になる、というシンデレラチックなブランディングを、私はずいぶんしてきました。
その知名度を利用して、自分のやりたいことをかなえた人もいれば、おかしな方向へ行っちゃった
人もいますが、そこまでパワーのあるブランド名であった「北風」だけに、「私にもください」という人、
もらって狂喜乱舞する人、もらえなくてひがむ人などが、当時の楽天ブログ、Facebookにはたくさん
いました。
これこそ「ブランド」の証拠でしょうね。
いまの私は新たに、北海道北見市に「北見ニクマチ」という地域ブランドを仕掛けています。どんな
商品でも「北見ニクマチ」というネーミングを冠すれば、ブランドとしてビジネスになる、ということを実
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践中です。やがて近いうちに、「ニクマチラーメン」「ニクマチ焼きそば」などの食べ物の他に、「ニク
マチ下敷き」「ニクマチえんぴつ」などのブランドシリーズ商品が登場すると思いますので、楽しみに
していてください。
⑥照れ、迷い、恥ずかしさがなくなる、潜在能力が解放される
高校生までは、どちらかというと地味で目立たない、おとなしい性格の少年だった私、六本木辰也
が、今のようにイケイケになったきっかけ。
それは、大学で音楽サークルに入り、人前で歌うプレッシャーを払拭するため、様々な 芸名を名乗
ってそのキャラを「演じる」ことで、照れや恥ずかしさを払拭したことです。その後の「出たがり」ぶり
は、皆さんもよく知るところでしょう。
そう、私に「行動する勇気」を与えてくれたのが、「秋野夕陽」や「真夏日あつし」、そして「北風小象
夫」などの芸名、ステージネームでした。他にも「すいれん六」「パンジャ六」「ヒルズ六本木」「ガガー
リン六本木」など、あまたの芸名を使い分けてきました。
その芸名を名乗ることで、その役割を演じることで、照れや見栄や恥ずかしさがなくなり、素の自
分にはできないことができ、言えないことが言えるようになったのです。自分には「こんな隠れた才
能があったのか」と、驚くことも多いです。
実際いまでも、「Facebookプロデューサー六本木辰也」は、本当の、素の、生の、プレーンな「六本
木辰也」とは、自分の中では完全に別物です。
ちょっと前までは、「六本木・D・辰也」と「D」を入れることで、これを「芸名」としてい ました。芸名と
いうのは、芸能人にとっての「メイク」みたいなもので、それがないと恥ずかしくて人前に出られない
んですね。ようやく今では自信もついて、「D」がなくても今のキャラを演じることができるようになりま
した。
だから私は、個人コンサルでも、「こんなネーミングはどうですか」と、かなり派手な、強気な、突飛
な「異名」をクライアントに提示します。それこそ「日本一の」「美しすぎる」「最強の」くらいは当たり前
です。
だいたい、私が「日本一」と名乗るからこそ、北海道とか長野の人が、私を講演に呼んでくれるの
です。そして、来場のお客さんに「今日は、日本一の方に来ていただきました」と紹介してくれるので
す。
それなのに、当の本人の私が「いやいや、とんでもない。私なんて、たいしたことありませんよ」な
んていったら、どうなりますか? 集まった人たちは白けるし、呼んでくれた人の顔に泥を塗ることに
なりますよね。だから私は、自分のためではなくて、本を読んだり、コンサルを受けたり、セミナーに
来てくれる人のために「日本一」と名乗っているのです。
と、こう説明しても
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「いや~しかし、とてもそんなの、私には恥ずかしくて」
と尻込みする人がいますが、それは違います。
私に言わせれば、異名を名乗るから恥ずかしいんじゃなくて、名乗らないから恥ずかしいのです。
今の私は、どこでも誰にでも、「日本一のFacebookプロデューサー」と平気で自己紹介します。確
かに、最初はちょっとだけ抵抗がありましたが、今はすっかり慣れました。
逆に、これを言わないとなんだか落ち着きません。
最近の私は、人前に出るときは必ず、自分で「眉毛」を描いています。一度、メイクさんに描いても
らって以来、やめられなくなりました。だって、描いた方がきりっとしてかっこいいから。私は仕事柄、
誰かとツーショット写真を撮ることが多いですが、そのときに眉毛を描き忘れていると、ついつい顔を
背けるようになってしまいました。
異名もこれと同じです。名乗ることで、自分をかっこよく見せてくれます。一度、それに慣れてしまえ
ば、名乗らないほうが逆に恥ずかしくなります。
そして、いま話したようなことは、「成功者」だったら、誰でも知っています。だから、あなたがどんな
に大きな肩書きを名乗っても、彼らは決して笑いません。笑うのは、 中途半端なプチ成功者だけで
す。
本当の成功者は、誰もが「自分はすごい」「自分は一流だ」「自分は天才だ」と思っています。
なぜなら、未だかつてこの世には、
「自分はダメだ」「自分はイマイチだ」「自分はまだまだだ」
と思っていて、成功した人は一人もいないからです。
⑦なりたい自分に成長できる
自分に、大きすぎるくらいの「ネーミング」をつければ、照れや迷いが払拭される。そしていつしか、
その大きなネーミングが、自分にピッタリのブランドになっている……。
これは、古今東西、ありとあらゆる「成功本」に書かれている、基本中の基本、当たり前中の当たり
前の「法則」です。一般的には「セルフイメージ」と言われています。
要するに「自分は日本一だ」と言い続けていれば、本当に日本一になれる、ということです。何らか
のジャンルで日本一になった人は、誰でも必ず例外なく、「自分は日本一になれる」と信じて行動し
た人だけです。
しかし、面白いことに、「成功本」をたくさん読む人ほど、自分に自信がないんですよね。「そうか、
セルフイメージを上げるのが大事なのか!」と感心はするものの、じゃあ何かハデなネーミングをす
るかと思えば、「自分はまだまだ……」としぼんでしまいます。これじゃ、いつまでたっても成功はしま
せんね。
実は「成功本」というのは、本当は成功したくない人が読むのです。本当に成功する人なら、あん
な本に書いてある程度のことは、一冊読めば理解し、すぐに行動に移しています。本書も同じです
(笑)。
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さて、人間は、目標がなければ動きません。そしてその目標は、大きくなければやる気が出ませ
ん。
そして目標は、具体的でなければいけません。
「金持ちになりたい」とか「有名になりたい」では漠然としていて、結局は目標がないのと同じことで
す。
私のコンサルは、実のところ、その「目標」を聞き出し、設定するところまでがほとんど、と言って も
いいかもしれません。クライアントの皆さんは、自分の「目標」って意外とはっきりしていないし、あっ
たとしてもどうやって近づいたらいいのか、わかっていないのです。
だから私は、コンサルの前半はほとんど、質問に徹します。
「将来は、どうなりたいんですか?」
「有名になりたいです」
「具体的には?」
「本を出したいです」
「タイトルは?」
「まだ書いてもいないのに、決まってません」
「じゃ決めましょう。どこの出版社から出したいですか?」
「えっ、コネあるんですか?」
「ないですよ。でも、なければ作ればいいでしょう。どこの出版社がいいですか?」
「わかりません」
「好きな作家は?」
「○○さんです」
「代表作は?」
「○○です」
「出した出版社は?」
「確か、○○社です」
「じゃあ、そこから出しましょう。いつ出しますか?」
「できれば今年中に」
「わかりました。じゃあ、Facebookをどう活用すれば可能になるか、一緒に考えましょう」
「はい」
「で、タイトルは?」
こんな感じで、いつの間にか、
「日本一のカリスマ○○主婦が教える、アホでも○○できる方法」なんて本が、12月○日に○○社
から発売され、○○書店でサイン会を開く、なんて「目標」が設定されるのです。あとは、それをいか
にして達成するかを考えればいいのです。
ここまで目標が具体的になれば、それはもう「夢」とか「願望」ではなくて、ただの「予定」になりま
す。「月曜日に車を洗車して、火曜日にスーツをクリーニングに出して」と同じように、その予定をこ
なしていけばいいようになります。
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もちろん、すべてが予定通りにいくわけじゃないし、期日をオーバーしてしまうこともあります。でも
それは、単に「予定が変更」になっただけであって、「不可能」になったわけではありません。ただ、ク
リーニングを火曜日に出す予定が、水曜日になっただけのことです。
ここまで具体的に、リアルな目標が決まることで、やっと「ネーミング」が考えられるし、キャッチコピ
ーや、毎日やるべきことなどが決まってくるのです。
ちなみに、私の目標は、
「滝クリとテレビに出ること」と、「六本木のTSUTAYAで『六本木辰也のサイン会』をすること」です。
そのために「日本一のFacebookプロデューサー」を名乗っているのです。
日本一のFacebookプロデューサーならば、滝クリとテレビに出てもおかしくないし、TSUTAYAでサ
イン会したいなら、日本一のFacebookプロデューサーになるのが手っ取り早いですからね。あとは、
その予定を実現させていくだけです。
このように考えると、優れた「ネーミング」というのは「すでに確定した未来」と考えられることができ
ます。だからこそ、現在の自分より、かなり大きめの目標を立て、派手すぎるくらいのネーミングをつ
けたほうがいいのです。
それをちまちま、「いや~日本一なんて、町内一でいいです」なんて小さいことを言っていたら、絶
対にそれ以上には行けません。
中学1年生の男子に、学生服を買うときのことを思いだしてください。小学校を卒業した時点での
体格に合わせて、学ランを買う親がいますか? そんなのを買ってしまったら、あっという間に窮屈
になって、体の成長が止まってしまいます。
だから普通は、二回りも、三回りも大きめの、ブカブカな学ランを買うのです。やがて3年もすれ
ば、あんなにブカブカだった学ランが、ピッタリちょうどよくなります。そしたらまた、新しい高校用の
学ランに買い直せばいいのです。
このように、今の自分にとっては「大きすぎる」くらいのネーミングをつければ、それに近づくことが
できます。逆に、今の自分に合わせたネーミングをつけてしまったら、もう一生、そこから先には成
長できません。
だから皆さん、ネーミングを考えるのなら、最低でも「日本一」をつけましょう。誰も突っ込みゃしま
せんし、突っ込まれたら「目標です」と笑ってりゃいいのです。
中には「昔からの友達が、からかったり、笑ったりするから恥ずかしい」なんて人がいますが、そん
な友達とは絶交すればいいだけの話です。人の夢を笑うようなレベルの低い人間を、友達にしてお
く価値などありません。100人と絶交しても、1000人の新しいお友達を作ればいいのです。
だから私は、コンサルで、
「こんなネーミングはどうですか?」
「いや~私なんて、とてもとても、そんなの無理です、できません」
という人には、
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「そうですね、無理ですね、じゃあやめておきましょう」
と、コンサル料と交通費をもらって帰ってしまいます。そりゃ、本人が「無理だ」っていうんだから、ど
うにもしようがないでしょう。
以上、第2章では、優れたネーミングがあなたにもたらす効果を概説してきました。
他にも、
⑧新しい市場が創出できる
⑨競合がいなくなる
⑩お客を選ぶことができる
こんなメリットもあるのですが、これに関しては「実例」を挙げてお話しした方が早いでしょう。次の
章で具体的に説明します。
ここまで読んで、自分でも「ネーミング」を考えてみよう、と思った方のみ、先にお進みください。
そして「考える時間が惜しい」「自分ではいい案が出ない」という方は、私にコンサルをご依頼くださ
い。
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第3章 Facebook 時代のネーミング
さて、この先に話を進めていく前に、確認しておきたいことがあります。
いま本書を読んでいるあなたは、まさか「広告代理店」とか、大企業の「マーケティング部」とかに
務めている社員の方ではありませんよね? そして、自分の会社の白物家電とか、夏の販売キャン
ペーンの参考にするために、この本を読んでいるわけではないですよね?
ましてや、自治体の観光局とか、観光協会、商工会議所の方でもありませんよね?
もし、そうだとしたら、粗探しが目的でもない限り、いますぐ本書を読むのはやめましょう。お時間の
無駄です。
Facebook は「個人」のためのツール
◆Facebook
本書はあくまでも「個人」、フリーランス、せいぜい中小企業の経営者向けに書いています。
確かにこれまでも「ネーミング」について書かれた本はたくさんありました。しかしそれらは、いずれ
も「大企業」や大きな自治体が、莫大な予算をかけて、コピーライターや広告代理店と契約して、そ
の結果「たまたま成功した」実績だけを、さも得意げに自慢したものが中心です。
ですから、もしあなたが企業や自治体などの組織に務めていて、企画やプレゼンの参考にしようと
思うなら、本書ではなくそっちを読んだ方が、よほど気休めになるでしょう。本書の内容を組織に応
用するのは、不可能です。
そもそも基本的に、Facebook自体、「組織」には向いていません。個人の力を、大企業と肩を並べ
るくらいまで引き出すことはできるかもしれませんが、逆に大企業を、さらに大きくするためには、ま
ったく不向きです。
むしろ、無駄な労力や費用、つまらない誹謗中傷が増えるだけなので、税金対策や予算の消化目
的、随意契約による天下り業者への入金、そして「他がやってるから」というアリバイ目的でもない限
り、組織がFacebookを使うのはやめたほうがいいでしょう。
マスコミはよく、「Facebookが就活に役立つ」なんて噂を書いていますが、これも私から見れば矛
盾しているとしか思えません。
なぜなら、大企業は、社員にFacebookをやらせないからです。社内の愚痴や批判、企業秘密やス
キャンダルを、外に流されては困るからです。だから、もし新卒社員が Facebookをやっていたら、
「会社かFacebook、どっちかをやめて」と迫るはずです。そんな企業が、Facebookで新卒採用なん
て、ありえない話です。
一方、企業から見て、もしも「この学生は、ぜひうちに欲しいな」と思わせるくらい、しっかりと
Facebookをやっている若者がいたとして、彼はFacebookを就活に役立てようと思うでしょうか?
いや、それだけのスキルがあれば、わざわざ会社に入ってこき使われるより、自分で起業して稼ぐ
に決まっています。仮に一瞬だけ、安定した給料に惹かれて入社したとしても、すぐに社内の雰囲
気や、硬直した人事制度、そして馬鹿な上司にあきれかえって、退職してしまうでしょう。
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というわけで、「Facebookで新卒採用」というのは、「男子生徒が女子校に入学」と同じくらい、珍し
いことなのです。
このように世の中は、Facebook「以前」と「以後」とで、大きく常識や仕組みが変わっています。
それを踏まえて本書では、これからの「Facebook時代」には、どのようなネーミング戦略、マーケテ
ィング戦略をしたらよいかを、整理していきます。
①「過去の成功事例」から「未来の可能性」へ
ネーミングに限らず、「これから」Facebookを活用していく上で、もっとも重要な観点がこれです。
これからの時代、「過去の成功事例」は、一切アテになりません。
私自身、自分が一年前にやってうまくいったことが、今もそのまま通用するとはサラサラ思ってい
ません。だからこそ、こうやって年に3回は新刊を書き下ろし、過去を切り捨て、現在を棚卸しし、未
来を予測して、目標を立て直しています。私が本を書くのは、過去の遺産を自慢するためではなく、
未来を予言するためです。
これからは、何が成功するか、誰にもわからない時代です。だからこそ「成功事例は、自分がこれ
から作る」くらいの気持ちでなければいけません。
私が、そこらへんの本屋で売ってるFacebook本をまったく読まないのは、どうせどっかの大企業や
アメリカの企業が、「こうしたらうまくいきました、ああしたらうまくいきました」という結果論を書いてい
るだけの、大学生のレポートに過ぎないからです。
また一時期、ドラッカーがもてはやされましたが、彼の言っていることも、ふだんFacebookをやって
いる私たちにとっては「常識」に過ぎないようなことばかりでした。
「ワクワク、ドキドキする仕事をしなさい」とか「自らを陳腐化させ、過去の栄光を捨てなさい」なん
て、「外から帰ってきたら、手を洗いなさい」と同じくらい、当たり前の話ですよね。
だけど、それに「目からウロコが落ちました!」と感動したり、ありがたげに引用してる人がいて、本
当に驚きました。
あの人達を見ていると、実はまったくドラッカーを理解・実践できていない、ということに気づきま
す。自分にはできないから、感動するんです。 彼らのウォールを見ていても、ちっともワクワク、ド
キドキしないし、自分を陳腐化するにはプライドがありすぎるし、過去の栄光にドップリ浸かってるよ
うにしか見えないですからね。
ということで、本書でも、いわゆるそこらへんの「ネーミング本」にあるような「過去の成功事例」、た
とえば「写ルンです」とか「無印良品」とか「からまん棒」とか「ブルーレット置くだけ」みたいな 「たまた
まヒットした、過去の栄光」について分析することは、いっさいやりません。
すべて、いま現在、そして「これから」について、私にわかることだけ、やってきたことだけを例に出
してお話ししていきます。
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②「無難・安全」から「何でもあり」へ
企業・お役所の人には絶対に言えない言葉。それが「何でもあり」です。
なぜなら、企業・お役所がもっとも重視するのは、「秩序」と「ルール」と「安定」、つまり最終的には
「自己保身」と「延命」です。
だから、ちょっとでも自分たちに傷がつくようなリスクは、絶対に冒しません。つまり「無難・安全」こ
そが最良ということになり、ネーミングについても「どこからも、誰からも、文句が出ないように」これ
が最終的な着地点です。だから、大企業や自治体の考えるネーミングは、どれもこれも「つまらな
い」のです。
一方、私たちのような個人にとって「無難」でいることは最悪の選択、「安全策」を採ることほど危険
なことはありません。
「無難な人」というのは、女性から見て「いいひと。」で終わる男性みたいなもので、何の魅力も存
在価値もない、ということです。そういう人に興味を持つ人はいないし、仕事を発注する人も、商品を
買う人もいません。
だから私たち個人は、「目立つため」=ブランディングするためには「何でもあり」という覚悟を持た
なければいけないのです。
もちろん「ウソ」や「ネガティブキャンペーン」などは、あとで自分の首を絞めるだけだから、やらない
ほうがいいですが(やってる人も多いですが)、人を傷つけない範囲での「ホラ」「ハッタリ」「すっとぼ
け」、「パクリ」「便乗」「七光り」、「サクラ」「根回し」「自作自演」 、それこそプラスになるならミニスカや
セミヌードを披露するくらいの覚悟がなければ「日本一」には到底なれません。
「ネーミング」においても、お友達から「何だこれ?」「変なの!」「かっこ悪いよ」「ダサー」と言われ
るくらいでなければ、人の心には残りません。笑われたり、ボロクソ言われたり するだけ幸せです。
なぜならそれは、「目立っている」証拠だからです。
それがイヤな人、恥ずかしい、できないという人は、個人で生きることはやめて、企業や役所の中
で生きることを選択したほうが「無難」だと思います。
しかし、私はここで予言してしまいますが、おそらく20年後は完全に「個人の時代」になっているで
しょう。
そして、その頃に大学、大企業、役所に進む人は世間から、
「何の才能もなかったのね」
という目で見られるようになるでしょう。
③「会議」から「この指とまれ」へ
かつて、商品やサービスの「ネーミング」を決めるときには「会議」がつきものでした。
50
私もかつてはサラリーマンでしたから、イヤと言うほど会議を経験しました。本当にイヤになって、
やめちゃいましたけど。
毎回、会議のたびに、何十人もいる役職者全員に、読み切れないほどの資料の束が配られます。
そして、おのおのが勝手に言いたいことを言って、ちっとも話はまとまりません。
「そもそも、この商品でいいんでしょうか」と、そこまで話を戻すヤツ、
「私は、この商品は売りたくない」と、給料もらって君が代斉唱しない先生みたいなことを言うヤツ、
「あのとき、あなたはこう言ったでしょ」と、結婚式のことをいつまでも持ち出す奥さんみたいなヤツ
などがいて、いつも会議は紛糾していました。
そして結局、全員の意見をまとめていくうちに、カドが取れて、丸くなって、 結局は一番つまらない
案が通ってしまう。そんなことが何度もありました。
かつての日本なら、会社が利益を出していたので、そういう無駄な幹部を飼っておく余裕、無駄な
時間を費やす余裕もありましたが、もうこれからは、そんな会社は真っ先に潰れます。
これからは、ネーミングや戦略を決めるときには、会議やミーティングで無駄な時間を費やすので
はなく、リーダーがいきなり「独断」で決めて、その後はFacebookに「投げて」しまうほうが、よっぽど
いいものが生まれます。
実際に私は、あるプロジェクトやネーミングを決めるときには、いっさい誰にも相談しませんし、意
見も聞きません。
ただし、意見は聞きませんが「反応」は気にします。案を投げてみて、その人が賛成したら、「じゃ
あ、やめとこう」とか、逆に反対されたら「よし、やろう」という感じで、アタリをつけていきます。
そしておもむろに、独断でスパッと決めたネーミングを発表し、あとは Facebook上に「投げて」しま
います。あとは、それに熱狂的に「賛同」してくれる人だけを集めればいいのです。
つまり「この指とまれ」です。とまった人だけを、相手にすればいいのです。
そして、その「賛同してくれる」人、この指にとまってくれる人の「母数」を多く集めるという観点にお
いて、Facebookはお友達が多い方が有利なのです。5000人のお友達のうち、100人がこの指にとま
ってくれれば、そのネーミングは大成功なのです。
また「地域活性化」に関するネーミングであれば、地元の人が猛反対しても、全国の人が面白がっ
てくれるほうを選ぶべきです。なぜなら、本当に地域を活性化しようと思うなら、地域の「中」ではなく
「外」から、観光客を、つまりお金を持ってくるように仕掛けなければいけないからです。
だいたい、地域をそこまで悪くしたのは、地域のボスたちです。そのボスたちや、彼らが選んだ政
治家に任せておいては、地域は余計に悪くなる、ということに、どうして気がつかないのでしょうか。
しかし、多くの「Facebookで地域活性化」グループは、とにかく内輪で、身内で、自分たちだけで面
白がるほうを選びがちです。そういう閉鎖性こそが、地域を衰退させてきたんだということに、気がつ
かないんですね。つまり、地域そのものが「お役所化」しているということでしょう。
本当に地域を活性化しようと思うなら、たった一人で、日本中のFacebookのお友達に向かって、
「こんなこと考えたんだけど、誰か一緒にやらない?」
「この指、とまらない?」
51
と呼び掛けた方が、はるかに優秀で乗りのいい人たちが集まります。そちらと話をしたほうが、よっ
ぽど建設的、かつ効果的ですよ。
あの「日本初、そして唯一の、Facebookでの地域活性化の成功モデル」北見ニクマチが上手くいっ
たのは、実は「この指とまれシステム」が最大の理由なのです
④「万人向け」から「あなただけ」へ
企業や自治体は、不特定多数を相手にしています。
だから、商品やサービスを開発するときでも、顔の見えない「たくさんの人」を想定しています。
でも、その結果、できた商品やサービスは「誰も欲しくないもの」になってしまうのです。「不特定多
数」の「万人向け」を目指した結果、漠然としたものができてしまうのです。
そして、同じように「不特定多数」をターゲットにしている競合は、たくさんいますから、別の企業が
また似たような、漠然とした商品を出してきます。すると、勝負を決するのは、より広告宣伝費にお
金をかけた方、より商品を安く売った方になりますが、それだと利益がどんどん削られていくので、
勝っても負けても「不毛な消耗戦」となってしまうのです。
だからこれからは、Facebookで、まったく逆のことをやればいいのです。
不特定多数は、初めから相手にしません。逆に、たくさんのお友達の中から、 誰か一人を想定し、
その人が喜ぶような商品を開発、あるいはサービスを提案すればいいのです。 お友達を具体的に
指名し、「あなたのために作った商品です」と言い切れば、喜ばない人はいませんよね。
そして、ここからがFacebookの面白いところですが、そのやり取りは、全国の何千人、何万人とい
う他のお友達が、リアルタイムで見ているのです。すると、その「ある人」と、同じような人、似たよう
な人は、必ず何百人もいるはずですから、
「それ、いいですね!」
「私にもください」
「こっちが先よ」
と、いつの間にかクチコミで、わらわらと集まってくるのです。
「万人向け」で、結局は誰からも喜ばれないものを作るのと、「あなただけ」でたった一人を喜ば
せ、それが周りに波及していくのと。どっちの仕事が、やり甲斐があるでしょう? ワクワクするでしょ
う?
当然、「あなただけ」のほうですよね。ドラッカーが言う「ワクワクする仕事をしなさい」とは、こういう
ことなのです、たぶん。
つまり、今までのやり方は、大きな網を海に投げて、最終的に引っかかった人を相手にするやり方
でした。しかしFacebookでは逆に、初めからたった一人を一本釣りし、その人が釣れたら、他に広げ
ていくというやり方が有効なのです。
これを私はセミナーでは、「一点突破の全面展開」と説明しています。さらに、もっとわかりやすくす
52
るために、
「水鉄砲で、石の壁に穴を空けるには、どうしたらいいですか?」
と質問します。そう、答えは「水鉄砲の穴を小さくする」ですよね。
穴を小さく絞れば、そこに水圧が集中して、硬い石の壁にも穴が空くのです。そしたら、あとは壁の
向こうで、好きなようにやればいいのです。
ちなみに先日、雑誌を読んでいたら、私と同様に「一点突破の全面展開」を信条としている政治家
がいて、驚きました。大阪の橋下市長でした。
⑤「予算」から「無料」へ
いままでのネーミング・マーケティング戦略では、バカ高い予算を使って、プロジェクトを組み、市場
をリサーチし、対象をセグメントし、会議を重ね、モニターにアンケートをとり、テスト販売し、宣伝して
販売と、とにかく金のかかるやり方をやっていました。
それだけに、万に一つも失敗はできませんので、慎重に慎重を重ね、リスクを減らし、保険をかけ
て、責任を分散し、そして結局できあがったものは箸にも棒にもかからない、毒にも薬にもならない、
何の魅力もない商品、というのがよくある話でした。当然、儲かるのはD通やH報堂を初めとする広
告代理店だけ、という話がいくらでもありました。
つまり、余計なお金をかければかけるほど、失敗の確率が高まっていったのです。もちろん、中に
は成功するのもありますが、それはホントに「たまたま」運が良かったからに過ぎません。「市場のニ
ーズをつかんだ」とか「主婦の感覚にマッチした」なんて理屈は、すべて後付けです。ニーズをつか
んで上手くいくなら、潰れる会社はありません。
これからは、もうこのように、ムダな予算をドブに捨ててもいい、なんて太っ腹な会社は少ないでし
ょう。そこに現れたのが、Facebookなのです。
私の他にも腐るほどいる、プロのFacebookのコンサルはよく、「Facebookの特性は、双方向性で」
とか、「顧客ニーズをセグメントしやすく」とか、わけの分からない寝言を言いますが、私からすれ
ば、Facebookの利点は、たった一つに集約できます。
それは「無料である」ということです。
無料だから、いくらでもテストができます。無料だから、何回でも失敗できます。そして無料だから
こそ「知恵と工夫」と「センス」が磨かれるのです。
そうやって、何度も挑戦しているうちにコツがわかってきて、いつか一気にブレイクする日が来るの
です。
「麻雀で、必ず勝つ方法」って、ご存じですか?
「勝つまでやめない」これです(笑)。
Facebookもそれと同じで、成功するまで、何度でも何度でも、失敗すればいいのです。必ず、いつ
かは成功します。
53
具体的にFacebookでネーミングを考えるときは、何でも思いつくままに、ウォールに「投げて」しま
うといいでしょう。事前リサーチがしたいなら、ウォールでお友達に聞けばいいのです。
AかBか、どっちかに迷ったら、「いいね!」の数が多い方にすればいいでしょう。消費者の生の反
応が、タダで聞けるのですから、もう代理店にムダ金を払う必要はありません。
それから、新しいアイデアが生まれたとき、「じっくり煮詰めて」なんて悠長なことを言っていたら、こ
れからの世の中にはついていけません。
私は、誰かのコンサルをしていて、いいネーミングやアイデアが浮かんだら、その場でウォールに
投稿してしまいます。
「いま、こういう人のコンサルしていて、こんなアイデアが生まれたんですけど、面白くないです
か?」
その場で、テスト・マーケティングができます。そこで反応があればGo、なければボツ。また、次を
考えればいいのです。どうせ、元手はタダなんですから。
なお、もちろんここで一番大切なのは、大多数の意見に従う、という民主主義ではいけないという
ことです。あくまでも最終決定は、自分自身の独断で決めてください。
なぜなら「独断」と書いて「ブランド」と読むからです。自分が「いい」と思うことを、独断で決められ
る人だけが「カリスマ」になれるし「ブランド」を作れるのです。
「しかし、そんなに何でもかんでもオープンにして、せっかくのアイデアがパクられたらどうします
か?」
パクらせればいいじゃないですか。そのアイデアが、優れているという証拠です。
Facebookのいいところは、すべてがオープンなところです。だから、誰かが私のアイデアや企画を
パクれば、それはみんなに知れることです。
「あの人、他人のアイデアをパクったわよ」という評判は、たちまちのうちに広がるでしょう。
実際に、私が始めた「いいね!交換会」をパクっている人たちは、プロアマ問わずたくさんいます。
でもそれは、私にとっては「勲章」なので、どうぞどんどんパクって構いません。パクリが増えれば増
えるほど、オリジナルの私は、格が上がります。そして、パクリがオリジナルを超えることはありませ
ん。
なぜなら、いくら「結果」や「形」だけをパクったところで、私の「発想」や「価値観」「考え方のプロセ
ス」は、誰にもわからない、マネできないという自信があるからです。
パクられたら、また考えればいい。
こういう発想は、私をパクっている「パクリスト」の皆さんには、絶対に出てこないでしょう。
⑥「ニーズに合わせる」から「ニーズを作る」へ
前章の最後に、「ネーミングの効用」として、
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⑧新しい市場が創出できる
⑨競合がいなくなる
⑩お客を選ぶことができる
この3つの説明を後回しにしていましたね。ここで説明します。
「ニーズを作る」これも、本書の重要なテーマです。
いままでのネーミングとかマーケティングとかは、「いかに、市場に合わせるか」「いかに、ニーズを
つかむか」これを一生懸命、考えていたと思います。
そして、その結果、まったく何も面白くない、エッジの取れた無難な商品が生まれ、瞬く間に市場か
ら消えていってしまったのです。
でもこれからは、市場に合わせる必要はありません。ニーズをつかむ必要もありません。
なぜなら、市場やニーズは、自ら新しく創り出すものだからです。それを可能にするのが「ネーミン
グ」とFacebookです。
「ネーミングを制するものは、市場を制す」。私の考えた格言です。
一つの優れたネーミングは、その周りに市場を生み出し、雇用を生み出し、社会現象を巻き起こし
ます。
いままでの「ブルーオーシャン」戦略というのは、限られた市場の中で、「まだ競合が少ないところ」
を探し出して、そこに活路を見いだしましょうという、非常にせせこましい考え方でした。これからは、
ネーミング一つで、新たに肥沃な「惑星」を創り出し、そこに町を創ればいいのです。これが「ブルー
プラネット戦略」です。
Facebookでの実例は、また次の章でお話ししますので、ここではわかりやすい例を挙げましょう。
「ストーカー」というネーミングが、ストーカー被害を増やしたのです。
「セクハラ」というネーミングが、セクハラ被害を増やしたのです。
それまでも、若い女性の後をつけ回したり、周りをうろついたり、部屋を覗いたりする男はいまし
た。でも、そういう人たちは「つきまとい」「粘着」「出歯亀」「変態」など、それぞれのケースで、それぞ
れに呼ばれていました。
また、若いOLのおケツを撫でたり、カラオケで肩を抱いたり、やらしい目で見たりする上司もいまし
た。でも、それぞれ「スケベ」「エロ」「欲求不満」など、様々な呼び方で呼ばれていたのです。
そこに「ストーカー」そして「セクハラ」という、ズバリなネーミングが生まれた瞬間……。
全国から「ストーカーに遭いました!」「セクハラされました!」という通報が、一気に殺到したので
す。
それまで、世間の空気の中を、シャボン玉のように漂っていた「スケベ」「変態」「エロ」「変質者」み
たいな単語が、「ストーカー」「セクハラ」というキャッチーなネーミングに吸収されて、「ビッグバン」の
ように爆発したのです。
それによって、今までは陰に隠れていた、潜在的なストーカー候補、セクハラ未満にまで光が当た
り、「あっちでもストーカー」「こっちでもセクハラ」と大騒ぎになったわけです。
55
こうして「ストーカー市場」が創出され、防犯ブザーや、護身術の業者に仕事が発生しました。同様
に「セクハラ市場」が生まれ、弁護士やカウンセラーにも仕事ができたのです。
「ネーミングが市場を創る」ということが、感覚として理解できたでしょうか?
ちなみに、私の考えでは、「うつ病」というのも、ネーミングが市場を創った一例だと思っています。
それまでの、漢字が難しい「躁鬱病」が、ひらがなで「うつ病」になった瞬間、「うつ病マーケット」が生
まれ、カウンセラーや医者や薬屋に、新たな需要が発生したのではないでしょうか? まあ、素人考
えですけど。
と、以上のように、一つの優れた「ネーミング」があれば、新しい市場を創り出すことは、充分に可
能です。そして、それを戦略的に広げていくのが、Facebookというツールなのです。そのために必要
なのは、予算でも会議でも広告代理店でもなく、たった一つの「アイデア」です。
そして、あなたが生み出した新しい惑星=ブルー・プラネットには、競合はいません。だから、価格
でも何でも、自分の好きなように決められます。それが「高い」とかいう人は、惑星を出ていってもら
えばいいだけの話です。
もちろん、時間が経てば「パクリ星人」が生まれ、やがて競合が参入してきます。そうしたら、また
新しいアイデアと新しいネーミングで、新しい惑星を創って、そこに移ればいいのです。
アイデアも、ネーミングも、元手はタダ。すべて、あなたの頭脳と経験から生まれてくる のですか
ら。
だから私は、よくクライアントに言うのです。
どうせタダなんだから、どんなアイデアでも、思いついたらFacebookで試してみなさいと。アタマの
中で考えてるだけじゃ、どんなにいいアイデアだって持ち腐れです。それでうまくいかなくたって、別
に損するわけじゃなし、いいじゃないですか。
そのかわり、そのアイデアが一発当たったら大きいでしょう。元はタダなんだから、全部が利益。
「水商売」どころか「アイデア商売」です。
そして、あなたのアイデアが当たったということは、他に競合はいないということです。あなたの独
占市場です。
だったら、値段は思い切り高く設定すればいい。それで「高い」と言われたら、お引き取り願えばい
いんです。
これをまとめた格言が、
「ダメでもともと、当たれば儲け。どうせ売るならふんだくれ」
と、まるでミナミの帝王みたいですが、実際アイデア商売というのは、こういうものです。だからこ
そ、一個人が、企業にいては得られないような収入を、一夜にして得ることも可能なのです。
それでは、次の章では、実際に今まで私が生み出してきた「ネーミング」を見ていただき、皆さんの
参考になるように、背景や真意を説明していきましょう。
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第4章 「革命的」ネーミング実例集
いよいよこの章では、実際に私が創ってきた「革命的ネーミング」の一例をご覧いただきます。
といっても、あまりたくさんの事例を出しても、かえってわかりにくくなると思いますので、個人プロ
デュースで2名、自治体プロデュースで1件を例として取り上げ、それぞれのネーミングの「ポイント」
を抽出してご説明します。
あなた自身が、これから自分のネーミングを考える際の参考になると思います。
ただし、先に一点、お断りしておきます。
実は、私がいう「ネーミング」には、厳密に言うと「キャッチコピー」とか「ニックネーム」の意味合いも
含んでいます。しかし、ここでは便宜上、すべてひっくるめて「ネーミング」ということで統一させてい
ただきます。
◆商品ではなく「個人」を売る
また、他にもたくさんネーミングの本が出版されていますが、その対象となるのはほとんどが「商
品」や「会社」や「イベント」で、いかにかっこいい名前をつけるか、が中心となっています。しかし私
の場合、専門とするのはあくまでも「個人ブランディング」です。一人の「人間」を見つめ、その人の
セールスポイントを探し出し、磨き上げて世間に見せびらかし、無名の人を有名人にする。これが、
私のもっとも得意とするところです。
もちろん、商品やサービス、そして自治体のネーミングも手掛けています。しかしその場合でも、私
はFacebookでのプロモーションを専門としていますので、やっぱり「個人」が中心となります。つまり
「こういう商品」を売るのではなくて、「この商品を作ったのは、こういう人です」と、個人をアピールし
ていくのです。
本書の目的は、広告予算をかけずに、ネーミングでブランディングして、商品やサービスを高く売
る、その戦略を身につけることです。そのためには、商品やサービスより先に「個人」をブランディン
グするべきなのです。
何と言ってもFacebookは、「Face(顔)」というくらいですから、最も重視されるのは「個人」です。ユ
ーザー一人ひとりの人格、性格、キャラクターです。
したがって、Facebookで最も有効なマーケティング戦略とは、
①個人のブランディングを確立させる。
②次に、個人に付随する商品、サービスをPRする。
この順番である、ということを間違えてはいけません。
よく、新しくお友達になったとたんに、メッセージで商品やFacebookページをアピールしてくる人が
いますが、知らない人からモノを買うようなバカは、Facebookにはいません。
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また、まだお友達が20人くらいしかいないのに、いきなりFacebookページを立ち上げてしまう人も
います。変なセミナーに出て「Facebookページはビジネスに役立つ」とかダマされたのかもしれませ
ん。それでビジネスになるのは、Facebookページを作る業者くらいです。
もっとひどいのになると、プロフィール写真も載せずに、商品を売りつけてくる人がいます。
もしもあなたの家に、覆面で顔を隠した営業マンがやってきたら、どうしますか? どんなに素晴ら
しい商品を扱っているとしても、絶対に買わないでしょう。なぜかFacebookでは、そういう勘違いをし
ている人が多いのです。
もちろん、確かに大企業は、いちいち営業マンや製造者の顔を出さなくても、商品を売っていま
す。ただしそこには、莫大な広告予算が必要です。大金を払って、テレビ、新聞、ラジオ、ネットで、
いやというほどCMを流すからこそ、その商品が売れるのです。
しかし、それは裏を返せば、「宣伝しなけりゃ売れない」ということです。
そもそも現代は、モノもサービスも有り余っていて、なかなか売れない時代です。たいていのモノは
家に揃っているし、どの商品もサービスも似たり寄ったりなので、購買欲をそそることがありません。
製造者だけは「うちの商品は違う」と思っていますが、そんなものは 消費者から見れば、どれも同
じなのです。「安くて、うまくて、体にいい」とか「地産地消で、地元の味」なんてのは当たり前 の話
で、別に差別化でも、付加価値でも、なんでもありません。
だから、結局売れるのは、一番たくさんの広告宣伝費を遣い、一番安い価格をつけた企業の商品
だけなのです。
しかしこれでは、いくら売っても、利益は微々たるものです。そのため、売れば売るほど経営が苦し
くなり、社員のリストラは進み、最終的には潰れてしまう会社が、これからはどんどん増えていくでし
ょう。
この悪循環に陥らないため、脱出するためのツールがFacebookであり、本書に書いたような「ネー
ミング」「ブランディング」の実践的なテクニックなのです。
だから私は、極端な話、商品やサービスなど「どうでもいい」「なんでもいい」と思っています。最低
限の品質さえ保証されていれば、優れたネーミング一つで、商品は飛ぶように売れるようになるの
です。
ただし、くどいようですが、そのネーミングの対象は商品じゃなくて、それを売る「個人」なのです。
◆あなたは「特別な存在」
あなたは、自分では「平凡で、何の取り柄もない」と思っているかもしれませんが、それはとんでも
ない考え違いです。
あなたと同じ人生を歩んできたひとは、いままでに一人も存在しませんし、これからも生まれてき
ません。あなたは、すでに「特別な存在」なのです。
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だから、その「あなただけ」の体験や考えをクローズアップするだけで、立派な「差別化」になるの
です。その部分を磨き上げれば、立派な「付加価値」になるのです。そういうところに光を当てて、さ
らに磨き上げるのが「個人ブランディング」ということです。
そして、いったん個人のブランディングが確立してしまえば、あとは楽なものです。何の変哲もない
商品だろうと、サービスだろうと、あなたが「いい」と言えば、それだけでニーズが生まれるのです。
つまり、あなたが「プチみのもんた」になればいいのです。
「あの○○さんが、いいと言っていた」
「あの○○さんみたいに、美人になれるらしい」
「あの○○さんに、お近づきになれるかも」
これだけで、お客にとっては「買う理由」が生まれるのです。
そして、いったんこうなったら、あなたは「私の言うことが信用できないなら、買わなくて結構です
よ」と言えばいいのです。そう言えば言うほど、
「あの○○さんが、そこまで言い切るんだから、買おう」
「多少高くてもいい」
と、こうなるわけです。
もうお分かりですね。
私のネーミング戦略、ブランディング戦略とは、あなたを「あの○○さん」と呼ばせることなのです。
と、前置きはこのくらいにして、いよいよ「あの○○さん」の作り方をご紹介しましょう。
【例1】夢は日本のスティーブ・ジョブス!ホテルを愛する冒険好きな大人が集まる
日本最大のコミュニティ「ホテルラバーズ」総帥=橋本 祐造さん
https://www.facebook.com/yuzo.hashimoto
初めにご紹介するのは、「マキコミワークス」総帥こと、橋本祐造さんです。
最初、プロフィールを見たときには、
「 も っ と 気 軽 に 、 気 楽 に 、 HOTEL を 使 お う ! 楽 し も う ! 」
HOTEL-LOVERS-管理人
とあったので、私はてっきり、
「どっかのホテルチェーンのオーナーかな? それにしては若いか
ら、二代目のボンボンかな?」
と思っていましたが、実際にお会いしてみたら、まったく違っていま
した。
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ということは、この時点では、まだブランディングが完成していなかったということですね。
実際には、mixiを中心に、「高級ホテルで、気軽にお茶を飲んだりしませんか?」と呼びかけて、
「ホテル・ラバーズ(ホテラバ)」というコミュニティを作った人でした。
主に都内のラグジュアリー・ホテルで「アフタヌ
ーン・ティーやランチを楽しみましょう」という の
が、ホテラバの趣旨です。
確かに、一流ホテルは敷居が高くて、なかなか
入る勇気が持てないのですが、いざ入ってみれ
ば意外と料金も安く、ゆったりした気分でリッチ
な雰囲気が味わえるものです。私も、一度誘わ
れて参加してみたら、やめられなくなりましたね。
Facebookで橋本さんが私とつながったときは、そのコミュニティの参加者は、全国で28000名という、
日本最大レベルになっていました。しかし、Facebookを活用して、もっと人が集まるようにブランディ
ングしたい、というのが、私とのコンサルの目的でした。
その結果、上のようなネーミングになったのです。
いくつか、ポイントをご説明しましょう。
①夢は日本のスティーブ・ジョブス!(有名人 勝手に七光りテクニック)
いきなり、すごいインパクトでしょう。「日本のスティーブ・ジョブス」ですよ。そんな人は他にいませ
ん。
アップルのスティーブ・ジョブスが亡くなったときは、世界中が大騒ぎでした。Facebookでも、追悼
する人、号泣する人たちのコメントで、ニュースフィードが埋め尽くされました。
そして橋本さんも、
「僕もスティーブ・ジョブスみたいに、大事な人をワクワクさせるような人間になりたい」
みたいなノートを書いていたのを私が見つけ、こうアドバイスしたのです。
「だったら、『日本のスティーブ・ジョブス』って名乗ったらいいじゃないですか? そうすれば、いず
れホントにそう呼ばれるようになりますよ」
私のコンサルやアドバイスは、いつもこんな感じです。相手が「○○したい」とか「○○になりたい」
と言っているのを聞きつけたら、
「やればいいじゃないですか。なぜやらないんですか? いつやりますか。なぜ、今すぐやらない
んですか?」
と、質問責めです。すると、相手の反応は二通りに分かれ、
「そうですね。やってみます。やらなきゃわからないですからね」というタイプと、
「いや~、でも~、そんな~、自信ないし~」というタイプです。こちらのタイプのコンサルは、当然
お断りしています。時間のムダですからね。
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橋本さんの素晴らしいところは、「日本のスティーブ・ジョブスになればいいじゃないですか」と言っ
た私の真意をすぐに見抜き、その瞬間から「夢は日本のスティーブ・ジョブスです」と名乗り始めたと
ころです。
これでいいんです。夢なんだから。どんな夢見たっていいじゃないですか。
そして、どうせ見るならでかい夢ですよ。そして、どうせ夢なら、公言した方がいいですよ。
それで、もしバカにされたら、「夢のない人だなあ」と思えばいいだけです。一流の人は必ず、「い
い夢ですね。素晴らしい。応援しますよ」と言ってくれます。デメリットは一つもありません。
逆に、メリットははかりしれませんよ。何しろ、今の日本で「日本のスティーブ・ジョブスです」なんて
言ってる人は、少なくともGoogleで検索した範囲では、1億2300万人の中に一人もいませんでした。
ということは、たったこれだけのことで、「日本で唯一」といえる存在になったということです。
そして、聞いた人は、あまりのインパクトに、一発で覚えてくれます。何の根拠もないのに 「すごい
ですねえ」と感心してもらえるのです。その人からはすでに、「あのスティーブ・ジョブスと同列」くらい
に見えているのです。
このように、有名人やあこがれの人がいたら、「日本の○○」「現代の○○」と、勝手に名乗ってし
まえば、それだけで強烈なブランディングになります。これを私は 「有名人 勝手に七光りテクニッ
ク」と呼んでいます。
この方法では、他にもこのようなネーミングを考えました。
・日本のビル・ゲイツ (安部 彰人さん) https://www.facebook.com/akihitoa
・日本版・女性版ウォルト・ディズニー (石井 久恵さん) https://www.facebook.com/hisae.ishii.58
・長野のジュリア・ロバーツ (松田 恭子さん) https://www.facebook.com/kyoko.matsuda.330
・建築界のビリー・ジョエル (酒井 邦広さん) https://www.facebook.com/profile.php?id=100003371621450
・北見のマスゾエさん (荻原 敏さん) https://www.facebook.com/office.ogiwara
どうでしょう、いずれも一度聞いたら忘れないインパクトがあり、そして「どんな人だろう?」と興味
が湧きませんか。
「勝手にそんなことして、訴えられませんか?」
いいですねえ、そんなことになったら、マスコミの寵児ですね。
大丈夫です、有名人にそんなヒマあるわけないし、あなたもそこまで有名じゃないですから。
それに、いまだかつて、「なにわのモーツァルト」キダ・タロー先生が、モーツァルトに訴えられたこ
とありますか?
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②ホテルを愛する冒険好きな大人が集まる日本最大のコミュニティ(=一目瞭然テク
ニック、対象限定テクニック)
橋本さんをコンサルする前までは、ホテラバがどんな活動をしているのかハッキリしなかったの
で、このように具体的に、詳しく書くようにアドバイスしました。
これによって、どんなことをやっているのかが明確になると同時に、「どういう人を対象にしている
のか」まで、ハッキリするようになりました。
・ホテルを愛する
・冒険好きな大人が集まる
・日本最大のコミュニティ
・HOTEL-LOVERSこれに「日本のスティーブ・ジョブス」という有名人のイメージが加わって、いかにも 知的で、リッチ
で、聡明な大人の男女が笑顔で集まる、そんなイメージが伝わるようになりました(一目瞭然テクニ
ック)。
また、以前のコンセプトは「もっと気軽に、気楽に、ホテルを使おう!楽しもう!」だったのですが、
これだと、どういう人を対象としているのかが、いまいち伝わりにくい。その結果、「もっと金持ちのこ
とだな」「自分のことじゃないな」と思って、素通りしてしまう人が多かったのです。
そこで、
「このグループに入っていいのは、こういう人『だけ』ですよ」
と、ハッキリと言ってやることで、
「それは私のことですね」と気づく人が増えたのです。
実際、このネーミングにすることによって、ホテラバに入る人が急増しました。
私と会うまでの会員数は、開設から7年間で28000人でしたが、このネーミングに変えてから、約3
ヶ月で40000人近くまで増えたそうです(12000人の増加)。それだけ、ターゲットが明確になった証拠
ですね。
このように、ネーミングでは、訴求対象を限定して(対象限定テクニック)明確にすることが大切で
す。よくやってしまう、「誰でもお気軽に、お待ちしています」は最悪です。
一番いいのが、「○○な方、お断り」これに勝るネーミングはありません。
たとえば、ディズニーランドだったら「夢のない人お断り」。塾だったら「大学に行きたくない人お断
り」。料理屋だったら「味のわからない人お断り」。高級ブランドショップだったら「貧乏人お断り」。
このように、「対象じゃない人」を明確にすることによって、逆に「対象とする人」が明確になるので
す。陰を濃くすれば、明るいところが際だつのと同じですね。
もちろん、さすがにここまでハッキリ書くのは気が引けるので、そこをいかに表現するか、がプロの
手腕です。
62
③ホテルラバーズ「総帥」(=肩書き独占テクニック、肩書きブカブカテクニック)
この「総帥」というのも、私のアドバイスでつけた「肩書き」です。
第2章、第3章でも述べた通り、「肩書き」によるブランディング効果は絶大です。「殿」とか「大将」
とか「カントク」と言っただけで、特定の誰かを連想するまでになったら、その人は相当の有名人で
す。ということは、その逆で、自分で何らかの肩書きを名乗り、そっちを有名にしても結果は同じわけ
です。
いま現在、Facebookで「代表」と言えば、名前を言わなくても、私のことを連想する人が多いでしょ
う。もちろん「団長」といえば、完全に私のことです。もう、日本のFacebookで「団長」を名乗ることは、
普通の人にはできません。「団長」という肩書きは、私が独占してしまったのです(肩書き独占テクニ
ック)。
これと同じように、早いうちから「総帥」を名乗っておけば、すぐに「Facebookで総帥と言えば、橋本
さん」と特定されるようになります。
と、そう考えてつけたネーミングですが、実に見事にはまりましたね。今ではすっかり、何年間も
「総帥」を名乗っていたかのような風格を漂わせています。
このように、最初は「大きすぎるかな」というくらいの肩書きを名乗った方が、本人の成長も早くなり
ます。これは第2章で、「中学生の学ランは、ブカブカなのを買うのがちょうどよい」とたとえて説明し
ました。肩書きもそれと同じで、最初はブカブカに大きくても、やがて本人が追いついてくるのです。
だから、大きい肩書きをつけるべきなのです(肩書きブカブカテクニック)。
他にも、この方法で名付けたネーミングを紹介すると、
・親方(矢幡 孝志さん) https://www.facebook.com/asahiya194
・総理(和田 修治さん) https://www.facebook.com/shuji.wada
・学長(芝崎 実さん) https://www.facebook.com/minoru.shibasaki
・巨匠(金子 慶輔さん) https://www.facebook.com/stneco
などがあります。
もしあなたが、大きくてカッコいい肩書きを名乗りたいなら、
・総裁
・頭取
・大旦那
・お頭
このあたりが残ってますよ。
このように、たった一人のネーミングを決めるだけでも、様々なテクニックを駆使していることがお
分かりでしょうか。
こういうテクニックを、私は30ほど使い分けているのですが、それをすべて紹介していると、とても
63
紙数が足りません。
あともう一人、個人ブランディングの例を紹介したら、次は「自治体ブランディング」の実例に移りま
しょう。
【例2】ミラクルメイクで 10 若返り! 日本唯一のタイムスリップ・メイキャッパ
ー、アンチエイジング化粧家=高橋由香利さん
https://www.facebook.com/yukari.takahashi.18
第2章でも書きましたが、私は先日、約20万円かけてプロフィール
写真を撮影しました。
そのとき、私のヘアメイクと、フェイシャルメイクを担当してくれたの
が、由香利さんです。
彼女にメイクしてもらうと、誰でも5歳~10歳は若く見えます。もちろ
んご本人も、実際の年齢より10歳は若く見えます。
そんな彼女に、メイクしてもらったお礼としてプレゼントしたのが、上の
ネーミングです。
まず
ミラクルメイクで10若返り!
ここでも、前述の「一目瞭然テクニック」「対象限定テクニック」 が使われていることに気づくでしょ
う。
このネーミングを読むだけで、彼女はただのメイクさんではなく、10歳も若く見せてくれるんだな、と
いうことが一目瞭然です。さらに、では対象となるのは、「10歳若くなりたい女性のみ」と限定されま
す。
もちろん、この世に「若くみられたくない」なんて女性は存在しないので、結果的にはほぼすべての
女性を対象とすることになるのですが、そこを「10歳若返り」と具体的に限定することで、格があがる
わけです。
しかし、普通はここで単純に「あなたの見た目年齢、10歳若く見せます!」なんてストレートに言っ
てしまいがちですが、逆に安く見られてしまいます。そんなのは、お客からすれば「プロならできて当
たり前」ですからね。
Facebookに限らず、自分のことをブランディングしているつもりで、「できて当たり前」のことを、一
生懸命アピールしている人が多いです。
たとえば、野菜だったら「安くて、美味しくて、健康にいい」。そんなの、当たり前ですよね。
健康食品でも「環境に優しく、体に優しい」。これも、できて当たり前ですよね。
人間、あまりに「できて当たり前」のことをアピールされると、逆に「裏になにかあるんじゃない
か?」と勘ぐってしまうものです。
64
たとえば警察官が「市民を犯罪から守ります!」とか、銀行が「お客様の預金をしっかり管理しま
す!」なんて当たり前のアピールを始めたら「なにか、不祥事を起こしたのでは?」と勘ぐりますよね
(笑)。
こういう「できて当たり前」のことを、真正面からアピールするのは、ブランディングではありませ
ん。それを言わずに、相手に想像させるのがプロです。
では、プロはどういう表現を使うのか?
④日本唯一のタイムスリップ・メイキャッパー(新語で日本一テクニック)
これです。
「タイムスリップ・メイキャッパー」って、聞いたことある人います?
いないでしょう。
そりゃそうです。私が考えたのだから(笑)。
でも、これを見ただけで、いかにも10年前にタイムスリップしたように、若々しくメイクアップしてくれ
そうなイメージが湧きませんか?
このように、いままでになかった「新語」を一つ作ってしまうのが、ネーミングのテクニックとしては、
最上位クラスです。このたった一つの言葉から、新たに「タイムスリップ・メイクアップ」という 概念が
生まれ、市場が生まれ、ニーズが生まれたわけです。
そして、今までになかった「新語」によるネーミングの最大のメリットは、その時点で自動的に、
「日本一」
「日本唯一」
「日本初」
になれることです。
実際に私は、「タイムスリップ・メイキャッパー」という新語を思いついた時点で、すぐにGoogleで検
索してみました。すると、一件もヒットしませんでした。
おめでとう。この時点で由香利さんは、
「日本初の」
「日本唯一の」
そして
「日本一の」
タイムスリップ・メイキャッパーになれたわけです。
だって、この世に一人しかいないんだから、とうぜん日本一ですよね。これを「新語で日本一テクニ
ック」といいます。
もちろん、私の「日本一のFacebookプロデューサー」もそうです。日本で「Facebookプロデューサ
65
ー」を名乗っているのは私だけなんだから、とうぜん日本一です。
それに対して「なにが日本一だ!」と突っかかってくる人は、前述したように、私の挑発に乗って、
無料で私のことを宣伝してくれているのです。
「新語ネーミング」には、さらにメリットがあります。仮に、本名を忘れられても、ネーミングのほうで
検索してもらえる、という点です。
ご本人には申し訳ないですが、「高橋由香利」と同姓同名の人は、この世に何百人もいるでしょう。
それだけありふれた名前ということは、別の見方をすれば、「忘れられやすい」ということです。
私のように「六本木辰也」なんて、まずこの世に二人といない名前なら、忘れられることもないので
すが、「高橋……なんだっけ」となってもおかしくないでしょう。
そうなってしまったら、フリーランスとしては困ります。名前を覚えてもらえなければ、次の仕事をも
らったり、紹介されたりするチャンスを失ってしまうからです。
でも「タイムスリップ・メイキャッパー」という肩書きなら、まず忘れられないと思いませんか? なに
しろ、この世に一人しかいないんですから。
これなら、「仕事を頼もうと思ったけど、名前を忘れちゃった」というときには、「タイムスリップ・メイ
キャッパー」でGoogle、またはYahoo!で検索してもらえば、「高橋由香利」とズバリ一発で出てくるわ
けです。
ただし、そうなるためには、自分でFacebook、twitter、ブログなどで何度も何度も「タイムスリップ・
メイキャッパーの高橋由香利です」と繰り返し自己紹介しなければいけません(彼女は、まだ忙しく
て、そこまでできていないようです)。
でも、これをやるだけでも、多くの人に覚えてもらえるので、それだけで認知度が高まります。
さらに、検索エンジンにも蓄積されてくるので、そのうち「タイムスリップ」か「メイキャッパー」だけで
も、本人が引っかかる可能性も出てきます。
こうなったらもう、下手な芸能人よりも、ある意味では有名、ということです。
今までは、検索結果に自分の名前や会社の名前を表示させようと思ったら 、「SEO対策」というこ
とにたくさんのお金と手間をかけなければいけませんでした。それを「ムダ」とはいいませんが、しか
し投資した金額だけのリターンが得られているかというと、ちょっと疑問だなと思います。
それよりもこうやって、この世にたった一つしかない「新語」を編み出し、そっちを認知させる方に
全力を傾けた方が、これからの時代には合っていると思います。
実際に、このネーミングを名乗ってからの由香利さんは、Facebookでプロフィール写真撮影会など
があるときには、必ず呼ばれるほどの人気者になっています。その様子を、また Facebookで「日本
唯一のタイムスリップ・メイキャッパーにメイクしてもらいました」と紹介してもらえるので、お客がお客
を呼ぶ、プラスのスパイラルが発生しています。
ちなみに、
「アンチエイジング化粧家」
66
というネーミング、これも日本でたった一人の新語です。つまり「日本唯一のアンチエイジング化粧
家」と名刺に刷っても、誰からも文句言われない上に、相手からは覚えてもらえるのです。
あなたも、このような「新語」を一つ作れば、その時点で「日本一」になれます。挑戦してみてくださ
い。
……もっとも、私のように、次から次へと「日本唯一」の新語を考え出すのには、かなりのセンスと
ボキャブラリー、発想力と連想力が必要です。それが、ラーメン食べながらポンポン出てきてしまうと
ころが、私が「日本一の天才Facebookプロデューサー」と自信を持って名乗れる所以です。
この「新語で日本唯一」ネーミングの例としては、
・日本初の賃料交渉人、値切間来造(ねぎりまくるぞう)
(稲葉 敦さん) https://www.facebook.com/atsxile
・日本唯一のSuper自分撮りフォトクリエイター、劇的美ックリエイト・フォト修整家
(石井 実さん) https://www.facebook.com/ishiiminoru
・日本唯一の美色(モテ色)コーディネーター
(木村 碧さん) https://www.facebook.com/kazuko.endo
・日本初のアウェイパパ
(坂庭 つとむさん) https://www.facebook.com/tsutomu.sakaniwa
・日本唯一の住空間調律師
(川股 陽子さん) https://www.facebook.com/yoko.kawamata
・日本唯一のアラサー女子専門・適職診断士
(渡部 幸さん) https://www.facebook.com/watabetm
などがあります。それぞれ、Googleで検索してみてください。
もし、他の人が出てきた場合は、それは単なる偶然の一致か、またはパクリです。
【例3】日本初の Facebook 自治体! 北海道北見市の複合型焼き肉コミュニティ「北
見ニクマチ」
最後の事例は「自治体」のブランディングです。
北海道北見市という、人口12万5千人の小さな町をプ
ロデュースし、わずか一週間で テレビのニュースや新
聞、そしてYahoo!ニュースにまで取り上げさせた経緯をお
話しします。
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◆地域活性化は「市民」発
実は、私が自治体をプロデュースするのは、これが初めてではありません。
最初は群馬県伊勢崎市、つまり私の生まれ故郷から声がかかりました。市議会の議長から呼ば
れ、「Facebookで伊勢崎市をPRしてほしい」と頼まれたのです。
また、岐阜県の養老町という、東京から車で約5時間、人口3万人強の小さな町からも、町長から
直接「町おこし」についてご相談いただきました。
しかし、どちらも「市議会」「町役場」といった政治の場、行政の場がからむため、何かと行動に制
約が多く、なかなか話が前に進みません。また、私も正式に仕事として受注したわけではないので、
手を出しかねています。
そうこうしているうちに、北見市の方が一気にブレイクし、いきなり全国区になってしまったのです。
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.432101066820872.98369.427957187235260&type=3
そのポイントを言ってしまえば、ズバリ「一般市民」が中心となって、話を進めたからでしょう。
政治にも、行政にも何のしがらみもなく、ただノリのいい人たちが、好き勝手に行動したからこそ、
わずか一週間でテレビが来るほどの大騒ぎになったのです。
やはり、どう考えても、Facebookは組織より「個人」のためのツールですね。
企業や役所などの組織、観光協会や商工会にも、それぞれの仕事があります。しかし、様々なル
ールやしがらみのせいで、物事が迅速に進まないという弱点があります。そこを軽々と飛び越えて、
古い体制には絶対にできなかったことをやってしまう。それこそがFacebook最大の強み、ということ
がよくわかりました。
さて、肝心の「北見ニクマチ」が誕生した経緯についてお話ししましょう。
私が、北見市の市民有志に招かれ、北海道に渡ったのが5月の19日~21日の3日間です。そこ
で、50人あまりを前に講演し、4人の個人をコンサルし、町の人たちと食事やお酒で交流しました。
特に、私を北見に呼ぶ中心となってくれた中島智子さん(
友達の前畑麗奈さん(
https://www.facebook.com/kokebridge ) と、お
https://www.facebook.com/reinamaehata )
、その母親の田村淑江さん(
https://www.facebook.com/toshie.tamura.7 )には、
いろいろな美味しいものを食べさせていただきましたが、この皆さんと懇親会をしているときに、空
68
から突然「北見ニクマチ」のアイデアが降ってきたのです。
北見市に行く前から、地元の人が「何もないところですよ」と言っていました。実際、向こうの様子を
勉強しようと、空港で旅行情報誌を探したのですが、「北見市」単独でページを割いているものは、
ひとつもありませんでした。本当にただの「通過点」に過ぎないようです。
しかし、現地を車でドライブしたり、地元の人と話したりしているうちに、いろいろな情報が入ってき
ました。
私のコンサルティングのスタイルは、まず相手から情報を吸収し、それを自分の中で発酵させ、新
しいアイデアを生み出す、というパターンです。このときも、様々な情報をアタマの中に入れること
で、何か新しいアイデアが生まれそうな予感がしていました。
そして、私のアンテナに引っかかったのが、「北見は焼き肉日本一」という一言でした。
◆北見市は「日本一の、焼き肉のまち」
何でも、人口に対する焼き肉屋さんの数が、日本一多いの
だそうです。
この「日本一」というのは、本当に重要です。本書の中で
も、何度も繰り返しているように、どんなことであれ「一番」じ
ゃなきゃ、ブランディングはできないのです。いくら「あれもあ
ります、これもあります」といっても、外部の人には関係あり
ません。とにかく「日本一」というキーワードがあるとないとで
は、ブランディングのやりやすさに天と地の差が生まれま
す。
日本一高い山は? 富士山! と、誰もが即答できます。では、2番目は? これに答えられる人
は、10人に一人でしょう。
その点「北見市は、日本一の焼き肉の町」というのは、いい材料です。素晴らしい売りになります。
この世で「焼き肉が嫌い」という人は、ごく一部のベジタリアンを除けば、ほとんどいないでしょう。と
いうことは、
「焼き肉の嫌いな人、お断り」
というブランディングも可能です。こう言われれば、焼き肉好きを自負する人は、北見市に行かな
いわけにはいかなくなるからです。
しかも、北見市は、位置的にも最高の条件です。私も自分で行って驚いたのですが、なんと東京
から飛行機で2時間。私の住んでいる足利市までは、東京から2時間半なので、それより近いので
す。
だったら、東京から日帰りで北見市に焼き肉を食べに行く、というムーブメントさえ起こせれば、あ
っという間に日本有数の観光地になります。
しかし、です。
69
じゃあそれで「北見市は、日本一の焼き肉の町」「みんなで食べに来てね」で町が活性化すれば、
こんなに楽なことはありません。仮に、広告代理店やコピーライターに大枚払っても、せいぜい 「YA
KI肉KITAMI」みたいな、つまらないネーミングを出されて、何の効果もなく終わりです。そんなこと
はとうの昔から、観光協会や商工会がやっています。
いくら焼き肉屋さんの数が日本一だからといったって、他にも焼き肉を売りにしている町、ブランド
肉を名物にしている町はたくさんあります。そういうところと 「こっちの肉のほうが美味い」「こっちの
ほうが安い」と子供じみた競合をふっかけても、消耗するばかりで面白くありません。
そんなレベルでちまちま戦うのではなく、新しい「ネーミング」を考え出して、まったく別の次元に市
場を創り出す。それが私のやり方です。
まだ、何かがあるはずです。この町には何かが……。
と、頭の中でいろいろ考えながら、地元の人たちとなおも話をしていると、さらに面白い情報が手に
入りました。
北見市ではそもそも、焼き肉をするときは、七輪の炭火で焼く。
そのため各家庭には必ず「マイ七輪」があり、週末はたいてい外で焼き肉を食べる。ちょうど、大阪
の各家庭に必ずたこ焼き器があり、週末は吉本を見ながら必ずたこ焼き、というのと似ています。
さらに驚いたことに、北見市では、家を建てるとき、庭に「バーベキュー用スペース」を必ず設置す
る。家によっては、冬でも寒くないように、ウッドデッキやサンルーム、ベランダに焼き肉スペースを
設置する……。
これが「当たり前」というから、驚きました。関東の人間からすれば、あり得ないことです。まして
や、東京の人にしてみれば、自宅の庭でバーベキューなんて、あこがれライフの象徴です。
このあたりから、私の目には、北見市はこの世であってこの世ではない「異世界」に見えてきました。
そして決め手となったのは、この最後の情報です。
北見市では毎年、真冬の寒い盛りに、わざわざマイナス数十度の屋外で「厳寒焼き肉まつり」を開
催する!
http://www.kitamikanko.jp/event/event15.html
ここまで来ると、もう単なる「焼き肉大好き」のレベルを超えています。
ここはもう、町を通り越して「焼き肉テーマパーク」です!
現在の日本とは「別の次元」に存在する、パラレルワールドです!
パチン!
と、この瞬間に、私の頭の中で何かが弾け、北見市を元気にするためのコンセプトとネーミング、
そして人を引きつけるためのストーリーが、一瞬にして組み立てられました。
70
◆「北見ニクマチ」とは?
5月21日、北海道北見市に誕生した、日本初の「Facebook自治体」にして、複合型焼き肉コミュニ
ティです。
市役所からも、市議会からも、観光協会からも独立した自由な、 Facebookの中だけに存在するバ
ーチャルワールドなのです。
ただし、それはあくまでも最初だけ。Facebookの中で、日本全国に「北見ニクマチ」の名を轟かせ、
有名にしたら、徐々にリアルワールドにも波及し、やがては北見市全域を「北見ニクマチエリア」と呼
ばせるようになるのです。
北見ニクマチの「町民」になるための条件は、「北見の焼き肉を愛すること」一点のみ。ということ
は、北見に住んでいなくても、年に一度は北見まで焼き肉を食べに来るのなら、その人も「北見ニク
マチ」町民の資格があります。
そうなればもう、北海道も本州も沖縄も、地理的条件は関係ありません。「北見の焼き肉を愛する
人」は、日本中にいるのだから、北見ニクマチも日本中に広がっていきます。その「まんなか」に位
置するのが、実際の北見市、というだけの話です。
そのための具体的な施策として、まず毎月29日を「ニクマチの日」と定め、北見市で「焼き肉サミッ
ト」を開催。その日は焼き肉屋さんで、または各自の家の庭で、ニクマチ町民は全員が朝から晩まで
焼き肉三昧。そして毎回、その様子をFacebookやUstreamで日本中に、いや世界中に発信していき
ます。
それを見て辛抱たまらなくなり、日本全国から人が集まってきますので、とうぜん東京や大阪から
のパックツアーが組まれ、旅館やホテルも満室になります。
そこまでの騒ぎになれば、東京のマスコミも大挙して取材に押しかけるでしょう。グルメレポーター
も行列を作り、ホンジャマカの石ちゃんに「まいう~」を言ってもらえば、もう北見市は日本有数の観
光地として、税収も大幅アップします。
さらに、北見ニクマチの名産はもちろん「焼き肉」「ホルモン」ですが、それだけではありません。他
にもたくさん美味しいもの、面白いもの、珍しいものはあります。
しかし、「水鉄砲」のたとえで話したように「あれもこれも、あれもこれも」では、壁に穴は空きませ
ん。まず「焼き肉」これ一本槍で、日本全国に北見市の名前を認知させてから、他のものも売ってい
きます。だから「複合型焼き肉コミュニティ」と名付けたのです。そのための「一点突破の全面展開」
戦略です。
たとえば、作付面積、収穫量、出荷量日本一を誇る「たまねぎ」これも焼き肉には欠かせません。
もちろん、サラダにしたり、ラーメンに入れても甘くて美味です。
それから、北見市は「ハッカ(ミント)」の名産地でもあります。これも「北見ニクマチブランド」の一つ
として、「焼き肉食べたら、ミントがマナー!」みたいにすれば、若い女の子も喜びます。
もう一つ、私も実際に食べてみて、あまりの美味しさに驚いたのが、(株)ツムラさんの 「オホーツク
流氷ひやむぎ」です(実際の商品名は違います)。http://tumura.net/
71
北海道の人たちは、冬は家の中が暖房でぬくぬくしているため、ほとんど半袖で過ごしているそう
です(これも、関東の常識とは違います)。だから真冬でも、アイスとかところてんとか、冷や麦が好
んで食べられるそうです。
そんなところで作られた「オホーツク流氷ひやむぎ」は、暑い夏にはもちろん、冬に食べてもやめら
れない美味しさ! 東京では、焼き肉の締めはラーメンですが、北見ではひやむぎです。 ……みた
いに売り込めば、日本中から注文が殺到するでしょう。
さらに、いまや町おこしには欠かせないのが「ゆるキャラ」です。北見ニクマチでも、町民のアイデ
ンティティですらある「七輪」をモデルにしたゆるキャラ「しちりん」を町おこしのシンボルにします。そ
のキャラデザインを全国から募集すれば、またまた日本全国に「巻き込み」が起こせます。
最後の決め手がこちら、「最高気温差50℃の、沖縄~北見ジェットコースター・ツアー!」毎年2月
に開催される「厳寒の焼き肉まつり」に、なんと沖縄県からツアーを組んだ観光客を誘致します。
冬のオホーツクは、最低気温マイナス25℃前後になろうという厳寒の地。一方、南国沖縄は、1月
に桜が咲くくらいですから、2月の最高気温はプラス25℃前後。ということは、同じ日本なのに、最大
気温差は50℃にもなるのです。
そんな気温差を一日で飛び越え、いまだかつて経験したことのないマイナスの世界を、沖縄の人
に体験してもらおうという企画。このツアー切符はもう、スペースシャトルに乗るよりも高いプレミアが
つくに違いありません。
これだけの企画、イベントを、本当に実行できるだけの人材が、なぜか北見市にはちゃんとそろっ
ています。
実際に、本書を執筆中にも、一つ、また一つ
と、アイデアが実行に移されているのです。すで
に第1回目の「焼き肉サミット」は新聞にも載り、
テレビでも流され、Yahoo!ニュースにまで掲載さ
れました。
私が、北見市で講演したときのタイトルは
「Facebookで、北見をにほんのまんなかに!」こ
れが、いままさに、現実になろうとしていま
す……。
……と、これだけの「妄想」が、いや「構想」が、「北見ニクマチ」というたった一つのネーミングから
広がったのです。
72
◆「よそ者」から見た異世界
それが可能になったのは、もともといいものをたくさん抱えていた北見市の風土にくわえ、足利か
らきた「よそ者」の私が、外から「異世界」を見るような視線で、まったく新しい発想を「ゼロから」生ん
だから、でしょう。
ただし、それはもちろん私だけの力ではなく、長い間に渡って地元・北見市を愛し続けてきた市民
の皆さん、私を北見市にまで呼んでくれた皆さん、そして講演に来て、私の話を聞いてくれた皆さん
の力が結集され、一気に爆発したからです。
そうして、全く新しいブルー・プラネット「北見ニクマチ」が誕生したのです。
これを一言で言ってしまえば、「自治体ごっこ」です。大人の「町おこし遊び」です。だけど、大人が
本気で遊べば、それを見る子どもたちの目も輝きます。「この指とまれ」で、全国から続々と「ごっこ」
に参加する大人たちも増えています。
この「北見ニクマチ」は、いったいなんのために生まれてきたのか。その 最終目標は、北見市に観
光客を誘致し、税収を増やし、市の財政を立て直し、そして未来を生きる子どもたちのために「投
資」することです。
だから、北見市の皆さん、北見ニクマチの町民は、誰もがみな本気で、楽しみながら、北見ニクマ
チを盛り上げているのです。
……と、この原稿を書いているのは6月の上旬ですが、早くも「北見ニクマチTシャツ」や、赤ちゃん
用の「ロンパース」などが、商品として発売されました。まだ、誕生から半月ほどしかたっていないの
に、このスピードです。
次回、6月29日の「第2回焼き肉サミット」の予定も組まれ、東京からのパックも組まれ、私にもお
誘いが来ました。もはや、この勢いは止まりません。
やがて「北見ニクマチ」は、オリジナルブランド・ビジネス、町民を対象にしたコミュニティ・ビジネス
などを、着々と興していくでしょう。これこそが、まさに「地域活性化」なのです。
「お金」が動かない、もちろん「外から」お金が入ってこない地域活性化など、絵に描いた餅なので
す。
あなたの町にも、私が行けば、かならずこんなふうに盛り上がります。それだけのエネルギーは、
きっとどの町にもあるからです。
たった一つのネーミングから、新しい惑星を作りましょう。そしてあなたのふるさとも、「日本一」「日
本唯一」「日本初」として、にほんの「まんなか」として再生させましょう。
それが、私の「自治体プロデュース」です。
73
第5章 あなたのネーミングを考えよう!
さあ、いよいよ本書も大詰めとなってきました。
第1章では、私自身の半生を振り返り、なぜ今のように「命名」を仕事にするようになったのか、そ
のルーツを探りました。
第2章では、ネーミングがどのようなメリットをもたらすのか、その効用についてお話ししました。
第3章では、昔と現代との社会情勢の違いを踏まえ、これからの時代のネーミング、マーケティン
グ戦略についてお話ししました。
そして第4章では、いままでに私がつけてきたネーミングの実例をもとに、実践的なテクニックのい
くつかをご紹介しました。
最後の第5章では、いよいよ本書をお読みの皆さんにも、自分のネーミングを考えていただきま
す。どんなネーミングができるか、楽しみにしていてください。
いいネーミングができれば、それだけであなたの人生は一変します。ネーミングとは、その人を定
義するものです。つまり私たちは、自分のネーミングを考えることによって、自らの人生をリセットし、
改善することさえできるのです。
明日からは、その新しいネーミングを、Facebookやtwitter、ブログなどで全世界に向けて発信して
ください。そして、名刺を印刷し、リアル社会に向けても新しい自分をアピールしてください。いままで
とは違う人脈が、あなたを待っているでしょう。
さて、それでは皆さんに、「誰にでもできる ネーミング作成法」をご紹介します。
◆あなたの人生の「棚卸し」
ネーミングを決めるには順序があります。
まず最初に、現在に至るまでの自分をすべて「棚卸し」することです。
第2章でも書いたとおり、私が2時間コースのコンサルティングをする際には、まず最初の1時間
で、クライアントを質問攻めにします。生まれた町、子ども時代の思い出、社会に出てからの紆余曲
折、現在の仕事の内容などから、家庭環境などプライベートなことまで。そうすることで、その人のデ
ータを私の頭の中にダウンロードし、脳内でスキャンします。
すると、何か「キラリ」と光るものが引っかかりますので、それをさらに精査し、多方向からデータを
収集することで、その人の魅力の「核」を見つけ出します。ここまでで、1時間はかかります。
その後の1時間で、見つけ出した「核」を磨き、大きく飾り付けて、ショーウィンドーに並べられるよ
うにデコレーションします。これが「ネーミング」という作業の順序です。要するに、宝石の原石を見つ
けて、それをジュエリーとして販売するまでの作業と似ています。
ですから、本書でも、私のコンサルティングを受けてもらっているつもりで、私の「質問」に答えてく
ださい。そこから、あなたの「核」が見えてきます。
74
といっても、もちろん実際には、1対1の「対面」でやるのがベストです。1時間も話していれば、必
ず何回か、その人の表情が明るくなる瞬間があります。そこに「核」が隠れているのですが、この紙
面を通じてでは、あなたの表情はわかりません。
つまり今回は「セルフサービス」でやっていただくわけですが、それでも自分自身の「棚卸し」をす
るという目的は達せられると思います。
その「棚卸し」が済んだあとには、今度は「自己紹介」の文面を考えていただきます。そのための
「フォーマット」がありますので、穴埋め形式で必要事項に答えてもらえれば、ある程度の形ができる
はずです。そしたら、それをFacebook上で、お友達に向けて「公開」してみましょう。もちろん、私にも
見せてください。
それに対する、お友達の反応や、私のアドバイスを取り入れながら、自分の自己紹介を修整してく
ださい。いきなり完成形はできません。自分の強みは、他の人の視点から見たときに、初めて気が
つくのです。その点、Facebookは、お友達が積極的に意見を寄せてくれるはずですので、その反応
を見ながら自己紹介を微調整していきましょう。
こうして、自分の「核」を磨き、飾り付け、さらに他の人の目線を気にすることで、はじめて素晴らし
い「ネーミング」が完成するのです。慌てずに一つ一つ、手順を踏んでいきましょう。
●ネーミングのための質問集
それでは今から、あなたを「質問攻め」にします。
全ての質問に答えなくても構いませんが、なるべく多くの質問に、素直に答えるようにしてくださ
い。
質問の答えは、ノートか何かにメモするか(殴り書きで構いません)、ボイスメモに残しておいてくだ
さい。あとで「自己紹介」を組み立てるときに初めて、その中に「原石」があることに気がつくはずで
す。
では、質問を始めます。わからない質問は、飛ばすか、後回しにしてください。
□あなたのお名前は?
□年齢は?
□性別は?
□血液型は?
□血液型では、どんな性格と言われていますか?
□それは、当たっていると思いますか?
□現在のお仕事は何ですか?
□どういうお仕事ですか?
75
□どういう客層を対象としていますか?
□収入はどのくらいですか?
□景気はいいですか?
□これから良くなると思いますか、悪くなると思いますか?
□現状に満足していますか?
□していないとしたら、どういう状態がベストですか?
□どうすれば、ベストに近づけますか?
□そのために、何をやっていますか?
□最終的には、どうなりたいですか?
□今のお仕事のジャンルで、世界最高峰は誰(どこ)ですか?
□日本最高峰は誰(どこ)ですか?
□目標としている人はいますか?
□一番会いたい人は誰ですか?
□あなたの商品(サービス含む)を、誰に使って欲しいですか?
□芸能人では誰ですか?
□有名人では誰ですか?
□その人に会うには、どうしたらいいですか?
□あなたの住む町の名は?
□東京から(都心から)どのくらいですか?
□交通はどうやって行きますか?
□人口はどれくらいですか?
□町の人たちの特徴は?
□町の雰囲気は?
□一年を通じての気候は?
□町の景気は?
□町出身の有名人は?
□友達や同級生、先輩後輩に有名人は?
□何が日本一ですか?
□その町にしかないものは、何ですか?
□その町の、どういうところが好きですか?
□どういうところが嫌いですか?
□どうなってほしいですか?
□そのために、できることはありますか?
□何をやっていますか?
□誰か有名人を呼ぶとしたら、誰を呼びたいですか?
□どこに呼びますか?
□何をしてもらいますか?
□あなたには「日本一」といえる何かがありますか?
□賞を取ったことはありますか?
76
□「日本初」といえる何かがありますか?
□「日本で自分だけ」のものがありますか?
□日本一でなくても、自信あることは?
□今までに、一番がんばってきたことは?
□今までに、一番ほめられたことは?
□一番うれしかったことは?
□一番くやしかったことは?
□いま、一番がんばっていることは?
□あなたの、一番好きなものは?
□あなたの、一番嫌いなものは?
□一番好きな人のタイプは?
□一番嫌いな人のタイプは?
□一番好きな食べ物と、嫌いな食べ物は?
□自分の、一番悪い癖は?
□将来の目標は?
□社会に出て、最初の仕事は?
□どんな内容の仕事でしたか?
□楽しかったことは?
□苦痛だったことは?
□トップになったことは?
□転職したとしたら、辞めた理由は?
□二番目の仕事の、それぞれ楽しかったこと、苦痛だったことなどは?
□現在の仕事を選んだ理由は?
□扱っている商品(サービス)は?
□その商品の特徴は?
□誰を対象にしていますか?
□その対象を満足させていますか?
□どうすれば、さらに満足させられますか?
□その商品の、好きなところは?
□その商品の、嫌いなところは?
□どうすれば、ベストになりますか?
□それを、自分でできますか?
□Facebookを始めた理由は?
□Facebook歴は?
□現在のお友達人数は?
□Facebookで、何をやりたいですか?
□現在の仕事につながりますか?
□現在の自己紹介の内容は?
□それに対する反応は?
77
□自分に足りないと思うところは?
□これからFacebookで、何をやりたいですか?
……質問は以上です。お疲れ様でした。
実際のコンサルティングでは、こんなもんじゃありません(笑)。私のコンサルティングを受けてもら
った方はわかると思いますが、さらに詳しく、しつこく、鋭く聞いていきます。
しかし、この質問を終えた後、初めて自分に足りないもの、これからするべきことがわかった、とい
う人がほとんどです。実際、私のコンサルティング、ネーミング、ブランディングのキモは、どれだけ
の情報を引き出せるか、にかかっています。情報が少なければ、いいところを見つけてアピールす
るにも、手がかりがないですからね。
さて、それでは一休みしたところで、いよいよ「自己紹介」を考えていただきましょう。
今回のフォーマットは、「Facebookで、自分の仕事や地域をアピールして、ビジネスにつなげたい」
という人向けに作ったものです。本書をお読みの皆さんがどんな方なのか、千差万別だろうとは思
いますが、今まで私にコンサルティングを依頼してきた人の中では、このパターンの人が一番多か
ったので、そのようにさせていただきました。
●自己紹介フォーマット
---------------
①夢は ( やりたいこと、なりたいもの )!
②日本一の ( 場所 )から、
③日本一の ( あなた )が、
④日本中の ( 対象 )のために、
⑤日本一の ( 商品・サービス )をお届け!
⑥名づけて ( 商品名、プロジェクト名 )!
---------------
さあ、お分かりでしょうか。
この(
)の中に、先ほど棚卸しした中から、あなただけのキーワードをはめ込んでいけば、自
己紹介ができあがります。
ただし、「日本一」の部分は、「日本初」または「日本最大」「日本唯一」などに変えても構いません。
試しに、私自身の自己紹介をはめ込むと、こうなります。
---------------
①夢は、滝クリとのレギュラー番組!
②日本一の美人の国・足利市から、
③日本一のFacebookプロデューサーが、
④日本中の「夢をかなえたい」人たちに、
78
⑤日本一わかりやすいノウハウをお届け!
⑥名づけて「革命的ネーミング講座」!
---------------
と、ピッタリ収まりましたね。どうでしょう? かなり、わかりやすくてインパクトのある自己紹介だと
思いませんか。
同じように、第4章でご紹介した、HOTEL-LOVERS-の、橋本祐造さんの場合を当てはめてみまし
ょう。
---------------
①夢は、日本のスティーブ・ジョブス!
②日本全国の一流ラグジュアリー・ホテルから、
③日本最大のホテルコミュニティ総帥が、
④日本中のホテルを愛する冒険好きな大人たちに、
⑤もっとホテルを楽しむイベントをお届け!
⑥名づけて「HOTEL-LOVERS-」!
---------------
やっぱり、ピッタリ来ますね。
今度は、個人ではなく「地域」でやってみましょう。やはり第4章でご紹介した、「北見ニクマチ」の自
己紹介は、こうなります。
---------------
①夢は、石ちゃんに「まいう~」と言わせること!
②東京から2時間、日本一の焼き肉の町・北見市から、
③日本初のFacebook自治体・複合型焼き肉コミュニティが
④日本全国の焼き肉ファンに、
⑤毎月29日の「焼き肉サミット」情報をお届け!
⑥名づけて「北見ニクマチ」プロジェクト!
---------------
面白いほどピッタリ来るでしょう。
また、必ずしも、このフォーマットをすべて遵守する必要はありません。順番を変えたり、思いつか
ないところを削除してもOKです。
例として、「北見ニクマチ」町民のお一人、石井りかさんの自己紹介をご覧ください。
https://www.facebook.com/rika.ishii.333rainbow
実際にお会いしてコンサルする時間はなかったのですが、Facebook上で何度かやりとりしているう
ちに、こんな自己紹介ができてしまいました。
79
---------------
日本一、イルカ大好き☆いしいるか☆が、
北の大地オホーツクから、
虹色のプリザードフラワーをイルカに乗ってお届け!
---------------
同じく北見ニクマチの前畑麗奈さんも、こんな感じです。
彼女も、私と何回かメールのやり取りをしただけで、ネーミングが決まってしまいました。
https://www.facebook.com/reinamaehata
---------------
日本一、美しすぎるバルーン・アーティスト=風船屋れいちぇるが、
北の国から日本一のハッピーサプライズをお届け!
---------------
フォーマットからは、かなり省略していますが、それでも充分に個性や「売り」は伝わってきますね。
実際に前畑さんは、この自己紹介(ネーミング)に変えてから、売上単価が5倍~10倍にまでなっ
たそうです。この「自己紹介フォーマット」が、かなり実践的に使えると言うことが、お分かりいただけ
たかと思います。
それでは実際に、あなたも(
)の中を埋めていきましょう。一つ一つ、具体的に説明します。
①夢は ( やりたいこと、なりたいもの
)!
ここに入れるのは、自分自身が将来、どうなりたいか、なにをやりたいか、という具体的な目標で
す。「具体的」というところがポイントです。
「有名になること」とか「テレビに出ること」とか「ビジネスで大成功」とか、漠然としたものでは意味
がありません。そうですね、「タイムマシンで未来に行って、撮ってきた写真を見ながら説明する」。
このくらい、具体的に表現してください。
私の場合は「滝クリとレギュラー番組」です。これはもう、私がFacebookを始めて以来、ず~っと言
い続けてきたことです。もはや「滝クリ」は私の代名詞になり、私のことを知らない人でも「滝クリに会
うために、Facebookやってる人がいる」ことは知っているくらいです。
ということは、もうすでに、滝クリ本人や事務所にも、噂は届いているはずです。となれば、あとは
もうちょっと私が有名になって、テレビに出ればいいだけの話です。決して不可能ではないし、いつ
実現してもおかしくありません。
と、このように、夢は具体的に書けば書くほど、実現の可能性が高まるのです。だから「本を出した
い」のであれば、そのタイトルや出版社も決める。できれば、本のカバーのデザインも、自分で創っ
80
てしまいましょう。
それから、第4章で紹介した「有名人 勝手に七光りテクニック」は、ここでも使えます。
「夢は、日本のエリック・クラプトン」
「日本のアントニオ・バンデラス」
「日本のレディー・ガガ」
「現代のレオナルド・ダ・ヴィンチ」
何でも言いたい放題です。いいじゃないですか、誰に迷惑かけるわけでもないんですから。
または、自分自身が有名人になるのではなく、有名人を「お客にする」というのでもいいですよね。
「夢は、オバマ大統領の専属カウンセラー」
「黒木メイサが着る服のデザイナー」
「綾瀬はるかの住む家を建てる」何でもいいのです。
ここでポイントとなるのは、あなたがまったくの無名人であっても、「有名人の名前」を使うことで、
一気にあなたまで一流になった(ように見えてしまう)点です。たったこれだけのことで、あなたは「そ
の他大勢」から、一気に抜け出すことができるのです。
これが「キャラが立つ」ということです。
②日本一の
( 場所 )から、
ここには、あなたが住んでいる町、または地域を入れます。
私は「日本一の美人の国、足利市」としました。
実はこれには根拠があって、足利市には、日本で唯一「美人証明書」を発行してくれる、美人弁天
という観光スポットがあるのです。だから私は、対外的に足利市を紹介するときは、必ず 「日本一の
美人の国」と言っています。
ただし、足利市の観光情報を見ると、この美人弁天のことは、ごく小さくしか紹介されていません。
なぜならこれは、市の管理ではなく、民間の会社が管理しているスポットだからです(笑)。
足利市当局としては、足利を「日本一の学びのまち」として売っていきたいのです。なぜなら「日本
最古の大学」と言われる、論語で有名な「足利学校」があるからです。
まあ、確かに「日本最古」というのは、充分なアピールポイントになりますから、それはそれで立派
です。ただ問題は、足利学校に行っても、つまらないのです(笑)。
いや、一部の歴史マニアとか、論語おたくにとっては、素晴らしい所なのですよ。でも、あまりにも
一般受けしないので、いつ行ってもシーンとしています。
観光地として、外から人を引っ張ってくる、という視点から考えれば、誰がどう考えても「学びのま
ち」より「美人のまち」でしょう。日本人の中で、「歴史が好き」「論語を愛する」という人がどれだけい
るかは知りませんが、「美人が好き」「美人になりたい」人のほうが圧倒的に多い だろう、ということ
81
は、子どもでもわかります。
しかし、行政としては、観光収入よりも大事な「メンツ」というものがありますから、意地でも「足利学
校」を売るしかないのです。しかし、私にとっては「日本一の美人の国」と自己紹介したほうが、はる
かに食いついてくれる人は多いのです。
そして実際に、足利市には、私としては日本一美しいので
はないか、と思っている坂村かおるさんというプロモデルが
住んでいて、私と一緒に「足利を有名にしよう」と、仕事をし
ています。
彼女を活用するためにも、「論語のまち・足利」「美人の国
・足利」どっちを売りにした方がいいかは、自明ですよね。
このように、「自治体当局」が売りたいことと、本当に外か
ら人が呼べることとは、大きな食い違いがあります。そこを
よく考えた上で、あなたの町の「日本一」を探し出し、アピー
ルしてください。必ず何か、「日本で一番」「日本にここしか
ない」「日本で初めて」という部分が見つかるはずです。
③日本一の
( あなた )が、
住んでる町の次は、あなた自身をアピールする番です。さっきの「質問」の答えを思い出してくださ
い。町と同じように、必ず一つや二つは「日本一」「日本唯一」「日本初」として、アピールできること
があるはずです。
今までに、何かで表彰されたとか、テレビに出たとか、記録を作ったとかがあれば、それを上手に
アピールすればいいですよね。しかし「何にもない」からといって、あきらめることはありません。
何度も言うように、この世界中に、あなたと同じ人間は一人もいないのです。今までにもいなかっ
たし、これからも出てきません。私だって、「Facebookプロデューサー」と名刺に刷っている人間は他
にいない、というだけの理由で「日本一のFacebookプロデューサー」と名乗っているのですから。
だからあなたも、とにかく「日本一」を名乗ることです。名乗ることで、人から注目されることで、そ
の覚悟を決めることで、やがて本当に日本一になってくるのです。
たとえば、こんなところから始めてみてはどうでしょうか。
「日本一、バラが好きな花屋」
「日本一、お客さんとお話しするのが好きな板前」
これだったら、名乗るのも気が楽ですよね。あるいは、ちょっとした特技や見た目をアピールして、
「日本一、笑顔が素敵な○○」
「日本一、お客さんの名前を覚えるのが早い○○」
これは、Googleで検索してみて、同じ○○業界で、すでに名乗っている人がいなければ、すぐにで
も使える肩書きですよね。
82
あるいは逆に、インパクトがある方法として、自分のコンプレックスや弱点をアピールする手もあり
ます。
「日本一、寝覚めの悪い○○」
「日本一、好き嫌いが多い○○」
これを名乗るメリットは、「寝覚めの悪かったエピソード」「好き嫌いで困ったエピソード」 を、ネタとし
て提供できるということです。それを聞いて、共感してくれる人が、あなたのファンになってくれるから
です。
このように考えれば、誰でも「日本一」「日本で唯一」は、思いつくでしょう。
④日本中の
⑤日本一の
( 対象 )のために、
( 商品・サービス )をお届け!
この二つは、③で「自分自身」をアピールすることができれば、もっと楽に思いつくはずです。
具体的には、
「あなたが扱っている商品やサービスは、誰のためにあるのか?」
それを考えれば、答えは出てくるはずです。
ポイントとなるのは、さっきの「質問攻め」のところの、
「あなたが、現在の仕事を選んだ理由は?」
という質問です。中には「金のため」とか「楽だから」という人もいると思いますが、普通は 「困って
いる人を助けたいから」とか「こういう人に喜んでもらいたいから」という動機があったはずです。
それを考えながら、「○○のために、○○をお届け!」と入れていけば、できあがるでしょう。
⑥名づけて
( 商品名、プロジェクト名
)!
最後はこの部分ですが、これはちょっと難しいですね。第4章でいえば、いままでこの世になかっ
たような「新語」を作る才能が要求されるからです。
新語といっても「北見ニクマチ」のように、まったく新しいコンセプトで、日本中の価値観をひっくり返
すレベルまで行かなくても、
「HOTEL-LOVERS-」
「革命的ネーミング講座」
のように、普通のグループ名、商品名、タイトルでもいいのですが、それだけに「差別化」するのが大
変ですからね。
まあ、これは今すぐに考えなくても、フォーマットに従って完成した自己紹介を、あちこちで発表して
いるうちに、突然ぽっと空から降ってくるものです。そのときこそ、あなただけの「ネーミング」が完成
する瞬間ですから、焦らずに時を待ちましょう。
83
◆ネーミングの普及方法
さて、以上のフォーマットを使って、あなただけの自己紹介、キャッチフレーズ、ネーミングができあ
がりました。
しかし、ネーミングは、作って終わりではありません。たくさんの人に発信して、憶えてもらわなくて
は意味がありません。
そのために、いまの日本で一番便利なツールこそが、Facebookだと思います。以下、Facebookを
活用した「ネーミングの普及方法」をお話ししましょう。
まず、とうぜん最初にやることは、Facebookのプロフィールの「自己紹介」のところに、先ほど完成
した自己紹介文を載せることです。
そして次に、毎日必ず最低1回、できれば朝昼晩の3回 は、投稿するたびに、先ほどの自己紹介
を繰り返しましょう。
朝だったら、
皆さん、おはようございます! 夢は、滝クリとのレギュラー番組! 日本一の美人の国・足利市
から日本一のFacebookプロデューサーが、日本中の「夢をかなえたい」人たちに日本一わかりやす
いノウハウをお届け! 名づけて「革命的ネーミング講座」間もなく発売開始!
と、こんな感じです。
これを、一日3回、3ヶ月で90日、合計で270回、繰り返してください。
えっ「しつこい!」と怒られたらどうする?
大丈夫です。Facebookをやっている人は、それぞれ自分のことで忙しいのです。そんなに、他人の
投稿なんか見ちゃいません。
私は実際に、どれだけの人が、他の人の投稿を注意して読んでいるんだろうと疑問に思い、こん
なテストをやってみたことがあります。
「おはようございます。これはテストです。この投稿のコメント欄には、『ありがとうございます』とお
書きください」
と投稿したところ、案の定、10人以上の人が普通に「おはようございます」と書いてきました。それ
84
も、何人かはちゃんと「ありがとうございます。何のテストですか」と書いているのにですよ。
この実験によって、ほとんどの人は、他人の投稿なんてロクに見ちゃいない、ということがわかりま
した。だから私は、本当に大切なお知らせなどは、文章を変えて一日3回、投稿するようにしていま
す。
そんなわけなので、あなたが一日3回「夢は日本のマイケル・ジャクソン!」と自己紹介したところ
で、ほとんど誰にも覚えてもらえません。3ヶ月やってみて、ようやく「しつこい」と言われるくらいで
す。
でも、そうやって、誰かから「しつこい」と言われるほどに繰り返したときには、あなたの自己紹介
は、かなりの人に知れ渡ってるということになります。そしてその頃には、相手から「あの有名な、日
本のマイケルさんですよね」と言われるようになります。
要するに、テレビやラジオで流れるCMを、タダで3ヶ月やったのと同じことです。それだけで、かな
りの人に認知されるのですから、これはチラシを印刷して新聞に折り込むよりも、はるかに効果があ
ります。
●「ノート」で自己紹介を発信
そして、もう一つの方法。それは、自分の自己紹介を「ノート」に書いて、たくさんの人にシェアされ
ることです。
私は、日本一のFacebookプロデューサーとか、「日本最大のFacebookイベント スーパー・いい
ね!交換会の主催者」など、Facebookに関する色々な肩書きがありますが、実は自分で一番自信
があるのが、
「日本一、Facebookの『ノート』機能の活用法を知っている男」
という肩書きです。
実際、そこらへんの本屋で誰でも安易に入手できるレベルのFacebook本には、ほとんど「ノート」
に関する説明はありません。せいぜい「ブログみたいに使いましょう」で終わりです。
しかし私から言わせれば、Facebook最大にして最強の機能は「ノート」です。そして、ノートをたくさ
んの人に「シェア」してもらうことが、最大のFacebookマーケティングなのです。
まあ、この話を始めるとたいへん長くなりますので、ご興味のある方は、私の過去の書籍をお読み
ください。すべての著作で「ノートを書け、書け」と、さんざん繰り返しております。
今回はとにかく、ダマされたと思って、あなたの自己紹介を「ノート」に書いてください。
「ノート」の書き方は、それこそそこらへんの本屋で簡単に手に入る Facebook本や、ネットで
「Facebook ノート 書き方」などで検索すれば出てきます。簡単に説明しますと、
85
個人ウォールの、この部分から入り、
右上の「ノートを書く」、
すると、こういう画面になります。
①タイトルのところに「革命的ネーミング
講座を読んで (自分の名前)の自己紹
介」と入れてください。
②本文のところに、本書を読んだ簡単な
感想と、考えた自己紹介を入れてくださ
い。
③「タグ」の部分に「Tatsuya Roppongi」
と入れてください。すると、
④このように、私の顔が出てきますの
で、クリックしてください。
ただし、私とお友達になっていないと、これができませんので、事前に「ノートを書いたのでリクエス
トします」と、メッセージしてください。
⑤最後に「公開」を押すと、あなたのウォールと、私のウォールに、このノートが公開されます。
さあ、お友達がたくさんいる人でしたら、すぐにお友達がこのノートに、コメントをくれるでしょう。そ
の反応を見ながら、微調整していきましょう。
もちろん、私も時間の許す限り、アドバイスします。
86
そして、「これでOK」という自己紹介、ネーミングができましたら、
この「革命的ネーミング名刺」を作ってプレゼントします。本書を買ってくれた方だけの、期間限定
特典です。
そして、できあがった名刺を、何度もシェアして見せびらかしましょう。
画像のインパクトは絶大ですから、それだけであなたの認知度は高まり、ブランドもアップしていき
ます。
●ネーミング・コミュニティ「革命ネミングス」
また、本書を予約、または購入した人だけが入れるFacebookグループも作りました。
「革命的ネーミング講座」を読んで、実践したい人たちだけのコミュニティです。
その名も「革命ネミングス」。
https://www.facebook.com/groups/445597815451319/
本書を読んで、さらに「ネーミング」について研
究・実践したい方は、右上の「グループに参加」
で申請してください。
同時に、やはりメッセージで、本書の簡単な感想と「グループ申請しました」とご連絡いただけれ
ば、速やかに承認します。
このグループには、日本中から「ネーミングで、ブランディングしたい人」だけが集まります。そうい
う人たちの自己紹介や、ネーミングの実践報告を見ているだけでも、大いに参考になるでしょう。
また私も、時間の許す限り、アドバイスします。先ほどの「革命的ネーミング名刺」も、こちらでプレ
ゼントしますので、楽しみにしていてください。
そして、さらに「本気でネーミングを極めたい」「日本一を目指したい」という方だけ、私のコンサル
87
ティングをご希望ください。
【六本木辰也 指導料金】
http://iineblog.blog114.fc2.com/blog-entry-264.html
(予告なく変更になる場合もあります)
88
あとがき
たった一つのネーミングが、古い価値観をひっくり返し、新しい価値観で世界を塗り替える。
だから、ネーミングとは「ことばの革命」です。
私がそのことに初めて気がついたのは、2009年12月8日でした。
その日私は、20年間、一日も休まずに吸い続けたタバコを、スッパリとやめたのです。以来、今日
までの2年半、吸いたいと思ったことは一度もありません。
普通は、こんなに簡単にはいきません。いくら禁煙しようとしても、タバコが吸いたくて大の男が七
転八倒し、3日で挫折するのが当たり前。禁煙外来の医者に行って、薬を飲んで、それでもやめら
れない人はゴロゴロいます。
では、なぜ私は、そんなタバコをたった一日でやめられたのか?
その理由は、たった一つのネーミングを発明したからです。
「禁煙」でタバコはやめられません。
「禁ずる」とは、本当はやりたいことを、ムリヤリ我慢させる状態だから、必ず破綻します。
だから「禁煙」ではなく、「ニコチンをアンインストールする」と言い換えたらどうでしょう。
ニコチンとは、体に負担をかけ、時間をムダにし、高い更新料を取り続ける、タチの悪いスパムア
プリみたいなもの。そんなニコチンをアンインストールしてしまえば、もう一生タバコから自由になれ
るのです……。
「ニコチン・アンインストール」。
このネーミングを思いついただけで、それまでの私の価値観が、一気に変わったのです。
タバコの価値よりも、自分自身の価値を重視するようになり、結果として一日でタバコに対する「ニ
ーズ」がなくなりました。
その後私は、この経験を活かして「ニコチン・アンインストール・バイブル」という本を書き、自主出
版しました。
いまではそれが、あのSonyのReaders Storeで販売されています。
http://ebookstore.sony.jp/item/BT000013812300100101/?PHPSESSID=sjcndae6937gb80v8rqqejgvj2
この本を読んで、実際にタバコをやめた、という人は、日本人で数百人、いや千人を超えているで
しょう。
たった一つのネーミングが、新しい価値観を作ります。
と同時に、新しい市場を創り、ニーズを生み出し、世の中を変えていくのです。
89
これを「革命的」と言わずして、何を革命と言うのでしょうか。
だから、ネーミングとは「ことばの革命」なのです。
本書は、その「ことばの革命」を起こす方法を、皆さんにも知っていただくために書きました。
私は現在、Facebookプロデューサーとして、いわゆる「先行者利益」を享受しています。
これからまだまだ、Facebookユーザーは増え続け、それに伴って私の仕事も増えるでしょう。
しかし、ハッキリ言って、Facebookのピークは、もってあと1年か2年だと、私は感じています。その
頃には、また別のサービスが生まれているでしょう。
でも、世の中が「個人中心」になっていく、その流れは変わりません。
これからは、組織にいるよりも、個人でいるほうが安全性が高い時代になるでしょう。
そんなとき、「ネーミング」を生み出すスキルを身につけていれば安心です。
たったひとつ、素晴らしいネーミングを考え出すだけで、あなたは新たな市場、新たなニーズ、新た
な顧客を創り出すのですから。
この世で、もっとも付加価値の高い商品とは何でしょうか?
それは「名前」です。
どんな商品であろうと、サービスであろうと、たとえ宝石であろうと、それに名前がついていなけれ
ば、価値に気づく人はいません。
ところが、いったんネーミングがなされたとき、そのものの価値は急騰します。
名前がついて、人やモノは初めて「商品」になるのです。
たとえ同じようなものであっても、「ブランド」のネーミングがあるかないかだけで、価値は 10倍も
100倍も変わります。
あなたに、もっとも高い付加価値をつけてくれて、そして決して値崩れしない商品、それがネーミン
グです。
この世に、名前を必要としない人はいません。必要としない企業、自治体はありません。
そういう人たちに向けて、今年の私は、「日本一のネーミング王」として斬新なネーミングを提供
し、自らの付加価値を高めていこうと思っています。
そして、次はあなたの番です。
あなたは、周りの人から、何と呼ばれたいですか?
そして、世の中に、どんな価値観を広めたいですか?
90
それを決め、可能にするのが、ネーミングなのです。
あなたの素晴らしいネーミングが聞けるのを楽しみにし、Facebookグループ「革命ネミングス」でお
待ちしています。
2012年6月8日
日本一のネーミング王
マキコミワークス代表
六本木辰也
91
【六本木辰也 大全集】
本書「革命的ネーミング講座」を読んで、
「おもしろい!」
と思った、センスのいいあなたなら……。
きっと、以下の本の「おもしろさ」も、わかるはずです。
<Facebook3部作>
●第1弾【初級編】「革命的Facebook講座」5000円
2011年5月発売。
ネットのド素人だった六本木辰也が、Facebookを始めて
わずか3ヶ月で「全国7位」になるまでのドキュメント。
「Facebookって、何が面白いの?」という入門者に最適。
・ダウンロード版 http://iinejapan.cart.fc2.com/ca3/1/p-r1-s/
●第2弾【応用編】「夢をかなえるノート塾」4000円
2011年9月発売。
Facebookで天下を取るには「ノート」の活用が欠かせない。
しかし、書店で売ってるすべてのFacebook本、
日本全国で開かれているすべてのFacebookセミナーでは、
ノートの「ノ」の字も出てこない。
だからこそ、「ノート」の書き方を極めた私は、
短期間で「日本一のFacebookプロデューサー」になれたのである。
・ダウンロード版 http://iinejapan.cart.fc2.com/ca3/3/p-r3-s/
●第3弾【実践編】「人を巻き込むFacebook」5000円
2012年1月発売。
Facebook初心者もベテランも、
1ページ読んだ瞬間から「巻き込み」されてしまう。
Facebookで「日本を動かしたい」と思うなら、まずはこれから。
・ダウンロード版 http://iinejapan.cart.fc2.com/ca3/9/p-r-s/
・CD-R版 http://iinejapan.cart.fc2.com/ca4/10/p-r-s/
(在庫僅少)
★「人を巻き込むFacebook」読者限定 コミュニティグループ「マキコミワークス」
https://www.facebook.com/groups/280171775383520/
★「マキコミワークス オフィシャルページ」
https://www.facebook.com/makikomi.works
92
●初エッセイ「Facebookの顔と顔」3000円
2012年3月発売。
Facebookのノートで、30日間連続でエッセイを連載し、
31日目に出版、という挑戦に成功する。
テーマは「アウトプットが、人を成長させる」。
新刊「革命的ネーミング講座」につながる、重要な作品集。
・ダウンロード版 http://iinejapan.cart.fc2.com/ca3/12/p-r-s/
・CD-R版 http://iinejapan.cart.fc2.com/ca4/13/p-r-s/
(在庫僅少)
★ヤフオクでも購入できます
http://openuser.auctions.yahoo.co.jp/jp/user/kitakan1010
93
【六本木辰也 指導料金】
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(予告なく変更する場合があります)
Facebookを活用して、無名人が「一夜にして」有名人になれる
「革命的ネーミング」
「シンデレラ・ブランディング」
の指導を得意としています。
以下の料金が「高い」と思われましたら、他の講師をお探しください。
※申し訳ありませんが、内容の濃い指導をしたいので、アカウント開設からプロフィール設定、基本的な
操作などは、既存の書籍などで勉強なさってください。
【指導内容】
・Facebookでかなえたい夢と、かなえるまでの具体的プランニング
・誰でも「出る杭」になれる、ネーミングとキャッチフレーズ
・個人ウォールでの投稿内容と、個人の「シンデレラ」ブランディング
・お友達を増やす方法と目標
・ファンページを作る必要があるか、ないかの見極め
・ノート、グループ、イベントの使い方と戦略
・ノートの添削
・ファンページのコンセプト、タイトル、集客方法
・ファンの巻き込み作戦
など
【スポット対面指導】 ★オススメ★
・別名「スーパーアイデア即出しセッション」。
・直接お会いして、具体的に指導します。
<基本料金> 2時間 40000円(予告なく改訂する場合があります)
※足利市在住なので、両毛地区・首都圏・関東エリアに限らせていただきます。
※遠方の方は、お近くまでお越しください。主に、リッツ・カールトン東京を利用しています。
※現地までの交通費は別途いただきます。
---------------
24 時間へばりつきコンサル】 遠方の方にオススメ
【24
①日本一のFacebookプロデューサー六本木辰也が、あなたの町まで一泊コンサルに出かけます。
②あなたの町、職場はもちろん、近隣の環境も見て回り、日本全国から見てオンリーワンの
94
「USP(売り)」を発見し、ブランディング、ネーミングします。
③「売り」がない場合は、豊富なアイデアで創り出します。
④人数に応じて、セミナー形式、個別コンサル形式、ブレインストーミング形式を使い分け、
一緒に「巻き込み」の渦を起こしていきます。
⑤ランチや懇親会でリラックスすれば、さらにいいアイデアが浮かびます。
それらを総合して、この世にたった一つの「Facebookブランディング戦略」を考えます。
●注意事項
①ランチや懇親会の後は、それぞれ1時間程度、ひとりで休憩する時間をください。
②基本的なFacebook画面の操作や、画像処理の方法も教えますが、時間がもったいないので、
できればその辺の本屋で売ってるマニュアルで、事前におぼえておいてください。
③また、事前に私の著書「人を巻き込むFacebook」などを読んでおいていただくと、
さらに理解が早まり、より詳しい戦略が立てられます。
<基本料金>24時間150,000円 (エリア・諸条件によって異なります)
※交通費、宿泊費、諸経費別途
---------------
【24時間へばりつきコンサル・美人同伴バージョン】
上記は、私ひとりで担当しますが、女性が多いクラ
イアント様の場合には、もう1名の「女性コンサルタ
ント」を同行させることもできます。
私ひとりで指導するのではなく、相棒として「美人コ
ンサルタント」を同行させる、というプランです。
しかも、そんじょそこらの美人ではなく、女性までが
美しさに息をのむような、プロモデル経験者です。
美女を連れて行くことのメリットは、二つあります。
一つは、緊張感の緩和です。
どうしても、私との一対一のコンサルになりますと、腹を割った話をする雰囲気を作るのには、時
間がかかります。そんなとき、コミュニケーション能力の高い美人が同席していれば、誰でも気持ち
がほぐれ、本心を引き出しやすくなります。
また、私はよく、ブランディングの第一歩としてプロフィール写真を「笑顔」に変えさせるのですが、
男性だとなかなか、表情が硬い人がいます。 そういうときも、美女とのツーショットなら、自然に笑
顔が出てくるどころか、
「あんまりデレデレしないでください」
95
と言われるくらい、素敵な笑顔が引き出せるでしょう。
二つ目は、女性視点の導入です。
Facebookプロデューサーとして実感していることですが、Facebookでの「ブレイク」の鍵を握るの
は、間違いなく女性の「口コミ」です。
男性が、いくら細かい戦略を立てようと、インサイトを上げようと、SEO対策を充実させようと、広
告にお金を使おうと、そんなことはすべて、
「ぶっちゃけ女子トーク」
の前には、ちり紙ほどの力も持ちません。
つまり、Facebookでは、女子から「素敵!」「可愛い!」「面白~い!」と言われない企画は、すべ
て失敗するのです。
私は、掃いて捨てるほどいるFacebookコンサルタントの中では、圧倒的に「女子受け」するタイプで
す。しかし、そんな私でもさすがに、女子の「本音」を引き出すのには、かなりの時間がかかります。
そんなときに、女性でさえ憧れるような美人コンサルタントが同席していれば、何気ない「女子トー
ク」の中から、素晴らしいアイデアが次から次へと生まれてくるでしょう。
※料金はお問い合わせください
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●集団指導(セミナー)
・10名以上の集団指導です。会場の手配までお願いします。
<基本料金> 1名につき5000円より (2時間~)
※交通費、宿泊費など別途相談
※セミナー後、個人指導を追加することも可能です。
●法人プロデュース、コンサルティング
・会社組織や地域団体など、総合的に指導します。学ぶ人数が多い場合に効果的です。
<基本料金> 200,000円より (正式な料金は面談にて決定)
※料金は前金制でお願いします。当方の都合以外でのご返金はできません。
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・講演実績:東京・大宮・浦和・名古屋・博多・富士・沼津・前橋・伊勢崎・足利・岐阜・長野、岐阜、北
海道 ほか
・指導実績:エステサロン、鍼灸院、和菓子屋、手相鑑定士、イラストレーター、自治体など
【お問い合わせ】
・メール kitakaze.kozo082@gmail.com
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Facebookプロデューサー 六本木辰也の
革命的ネーミング講座
日本を巻き込み 未来を変える 革命的創造集団
マキコミワークス
代表 六本木辰也
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