官民情報連携で生まれる 付加価値ビジネスの研究

2013 年度
研究成果報告書(第17分冊)
官民情報連携で生まれる
付加価値ビジネスの研究
-国民のつながりのグルーピングに
よる付加価値の創造-
FUJITSU ファミリ会
LS 研究委員会
LS 研: 官民情報連携で生まれる付加価値ビジネスの研究
構 成 メ ン バ ー
氏
名
団
体
名(五十音順)
所
属 / 役
流通サービス本部
ソリューションサービス2部
企画営業部
営業グループ
ITビジネス本部
社会情報ソリューション統括部
社会情報システム部
菅野
貴之
(株)キューブシステム
サブリーダー
関谷
正
(株)ジェーエムエー
システムズ
リーダー
平林
弘士
TDCソフトウェア
エンジニアリング(株)
前澤
朋保
東京海上日動システムズ(株) 経営企画部・デザイナー
小野寺
サブリーダー
テクニカル
アドバイザー
義憲
富士通(株)
職
社会基盤システム事業本部
ニュービジネス推進室
公共システム部
後藤
頼太
富士通エフ・アイ・ピー(株)
榎並
利博
(株)富士通総研
高橋
美枝子
(株)富士通ミッション
クリティカルシステムズ
鈴木
明
安川情報システム(株)
松山
博美
(株)アコール
代表取締役
瀬畑
勝由
(株)富士通ミッション
クリティカルシステムズ
第二ソリューション事業部
第三ソリューション統括部
第一ソリューション部
経済研究所
主任研究員
第二ソリューション事業部
第二ソリューション統括部
第一ソリューション部
医療公益ソリューション本部営業部
課長
2013 年度
研究成果報告書
LS 研: 官民情報連携で生まれる付加価値ビジネスの研究
活
開催 No.
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
開
催
日
動
経
開
緯
催
場
所 / 実
施
概
要
2013 年 4 月 16 日 開催場所:ラフォーレ修善寺
4 月 17 日 実施概要:キックオフ、研究実施計画書作成
5 月 23 日 開催場所:富士通株式会社
実施概要:フレームワーク素案の検討
6 月 4 日 開催場所:株式会社ジェーエムエーシステムズ
実施概要:マイグループフレームワークの検討
7 月 25 日 開催場所:東京海上日動システムズ株式会社
実施概要:ビジネスモデル素案検討
8 月 22 日 開催場所:富士通株式会社
実施概要:個々で検討したビジネスモデルの深堀
9 月 26 日 開催場所:株式会社富士通ミッションクリティカルシステムズ
実施概要:フレームワーク、公共、ビジネスモデル別検討
10 月 24 日 開催場所:富士通エフ・アイ・ピー株式会社
実施概要:フレームワーク、公共、ビジネスモデル別検討
11 月 28 日 開催場所:富士通株式会社
実施概要:論文骨子作成、ビジネスモデル具体的サービス検討
12 月 20 日 開催場所:富士通株式会社
実施概要:論文執筆
2014 年 1 月 24 日 開催場所:富士通株式会社
実施概要:論文執筆
2 月 13 日 開催場所:TDCソフトウェアエンジニアリング株式会社
実施概要:論文レビュー
2 月 20 日 開催場所:TDCソフトウェアエンジニアリング株式会社
実施概要:論文レビュー
2 月 27 日 開催場所:TDCソフトウェアエンジニアリング株式会社
実施概要:論文レビュー
3 月 7 日 開催場所:富士通(株)
実施概要:論文レビュー
3 月 11 日 開催場所:富士通(株)
実施概要:論文レビュー
3 月 14 日 開催場所:富士通(株)
実施概要:論文最終版とりまとめ
2013 年度
研究成果報告書
LS 研: 官民情報連携で生まれる付加価値ビジネスの研究
官民情報連携で生まれる付加価値ビジネスの研究
-国民のつながりのグルーピングによる付加価値の創造-
アブストラクト
1. 研究の背景
今日、我が国は世界でもかつて経験したことのない少子高齢化の時代を迎えている。社会保障制度の
現状維持の困難さから、公助から自助・互助・共助へとバランスの変化が求められる時代となった。こ
のような中で新しい互助、共助の発展に寄与する仕組みが求められている。
2. テーマの選定
本分科会は背景で述べた問題に対しテーマである「官民情報連携」を『マイナンバー制度』
、付加価値
を『「行政」
「企業」、および「国民・消費者」が享受できる便益』ととらえ、
『「マイナンバー」制度の
民間活用により、「行政」
「企業」、および「国民・消費者」が享受できる便益を新たに生み出すビジネ
スの研究』と再定義し、この研究を通してアプローチすることとした。
まず、具体的な研究内容を決定するため、背景にある問題とテーマを踏まえた議論を行った。本分科
会はインビジブル・ファミリー(同居はしていないものの、近隣に住んで経済的、精神的に支えあう家
族)を発想の起点とした。現行制度にとらわれない国民のつながりをグルーピングする概念(以下、マ
イグループ)を発案し、その仕組み(以下、マイグループフレームワーク)を設けることで、新たな付
加価値が生み出されるのではないかという仮説に至った。
3. 研究の手順
本分科会ではマイグループの概念およびその実現のためのマイグループフレームワークを定義し、課
題に対する想定効果を設定することで、これらをこの研究の仮説とした。
この仮説に対し、まずマイグループを活用することで実現できる、または効率化できる行政サービス
を洗い出し、行政や国民にとっての便益が存在することを検証した。次にマイグループフレームワーク
を活用した民間サービスのビジネスモデルを作成し、消費者にとっての便益、および企業が参入可能な
市場が存在することを確認した。また最後に当初想定した効果が得られているかを確認することで、マ
イグループの提案が有用性を持つことを検証した。
研究の手順を図表 a1 に示す。
図表 a1 研究の手順
仮説
3.マイグループの定義
検証
5.行政サービスへの適用
7.想定効果に対する検証
4.マイグループフレーム
ワークの定義
6.民間サービスへの適用
3. 研究成果と想定効果
(1) マイグループの定義
本分科会の定義するマイグループとは、個人または法人が自らの意志で参加、脱退するグループ
であり、公的な高い信用性を担保することで個々の関係性を証明することを可能とする。またマ
イグループの概念は、個人情報を扱うだけではなく、権限の証明まで行うことから極めて高いセ
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LS 研: 官民情報連携で生まれる付加価値ビジネスの研究
キュリティレベルを維持する仕組みを持つこととなる。一方でマイグループは多様性を持つ仕組
みである。これは限られた組織が運営することによりサービスが一部に限定されることを防ぎ、社
会のニーズに対し自由な発想で付加価値サービスが次々に創造されることを期待したものである。
このように定義したマイグループの想定効果は、関係性の証明により、世帯や戸籍・血縁等に
縛られず権限を委譲することができるようになることで、互助・共助の発展に寄与することであ
る。またそれらに関連した委任、通知手続き等の利便性向上である。
(2) マイグループフレームワークの定義
マイグループフレームワークは上記のマイグループを構築するにあたりマイナンバー制度を拡
張した、「個人の証明」、「関係の証明」、「官民情報連携」、「セキュリティ」の4つの機能を
持つフレームワークである。このフレームワークは必要最低限の機能に限定することで、セキュ
アかつ多様なサービスの実現するよう定義したものである。
4.研究成果
(1) 行政サービスへの適用
公共サービスへの検証では、前年度の研究成果であるライフイベントより、だれもが関与する
であろう「死亡」に関して調査した。結果として遺産相続等で必要となる戸籍の管理をグループ化
することにより、国民の利便性の向上が期待できることがわかった。さらに、
「行政」
、
「国民」の
コスト削減にも大きく貢献することがわかった。一方、戸籍以外ではマイグループフレームワーク
の活用によって直ちに効果をあげることができなかった。その理由として、行政サービスが世帯
を前提に制度設計が行われているためであると分析した。
(2) 民間サービスへの適用
民間サービスの検証では、マイグループフレームワークを活用したビジネスモデルの構築を行
い、そこで生まれる便益および市場規模の試算を行った。図表 a2 にフレームワークを適用した民
間サービスとその便益、市場規模を示す。
図表 a2 民間サービスの概要
No.
1
課題
独居者万が一サポート
サービスの概要
独居者向けの遺言サービス
便益
市場規模
安価な遺言サービスの提供による安心、
120 億円
「災害」時の身元確認の迅速化等
2
共同住宅居住者向け
マンションを中心としたコ
マンション管理組合総会のオンライン
ビジネスモデル
ミュニティサービス
議決、要支援者の行政負担軽減等
67 億円
民間サービスにおいても、当初想定した「行政」、
「民間」、
「国民・消費者」の便益を生み出し、
既存のサービスと組み合わせることで、ビジネス化するための市場規模が存在することが確認でき
た。
(3) 想定効果に対する検証
検証の結果、関係性の証明を行うことで、世帯・戸籍・血縁に縛られず権限を委譲し、互助・
共助を発展させることが可能であり、また、具体的なビジネスモデルとして成立することを確認
することができた。さらに、「個人の証明」、「関係の証明」は委任に、「官民情報連携」は通知
手続き等の利便性向上に寄与することを確認した。
4.おわりに
本分科会ではいくつかのサービスのアイデアを作成したが、マイグループはオープンな仕組みを提供
し、その利用方法は行政や企業などのグループサービスの運営者が決定するものである。これらの集合
知により、社会が求める互助、共助のニーズに合わせたきめ細かな新しいサービスが次々に生まれるこ
とで、これからこの国が必要とする互助、共助に対するソリューションになることを期待する。
2013 年度
研究成果報告書
LS 研: 官民情報連携で生まれる付加価値ビジネスの研究
目
次
1. 背景 ............................................................................... 1
2. 研究の経緯と進め方 .................................................................. 1
2.1 テーマに対する合意形成 .......................................................... 1
2.2 テーマの決定 .................................................................... 1
2.2.1 社会問題の抽出 .............................................................. 2
2.2.2 テーマの発想と選定........................................................... 2
2.2.3 課題の抽出とテーマの決定 ..................................................... 2
2.3 研究手順 ........................................................................ 3
3. マイグループの定義 .................................................................. 4
3.1 マイグループの概要 .............................................................. 4
3.2 マイグループ活用による想定効果 ................................................... 4
3.3 マイグループの実現方針 .......................................................... 4
4. マイグループフレームワークの定義 .................................................... 5
4.1 マイナンバー制度の理解 .......................................................... 5
4.2 マイグループフレームワークの概要 ................................................. 6
4.3 マイグループフレームワークのアクター ............................................. 6
4.4 マイグループフレームワークの機能 ................................................. 7
4.4.1 マイグループフレームワークの適用例 ........................................... 8
4.5 法的な実現性について ............................................................ 9
4.5.1 現状の法的枠組み ............................................................ 9
4.5.2 近い将来可能となる法的枠組み ................................................. 9
5. 行政サービスへの適用 ............................................................... 10
5.1 調査対象の決定 ................................................................. 10
5.1.1 現状手続きの調査 ........................................................... 11
5.1.2 マイナンバー制度施行後の調査 ................................................ 12
5.2 行政における新たなグループ...................................................... 12
5.2.1 戸籍のマイグループ化 ........................................................ 12
5.3 検証結果の分析 ................................................................. 14
6. 民間サービスへの適用 ............................................................... 15
6.1 アイデアの抽出 ................................................................. 15
6.2 アイデアの評価 ................................................................. 15
6.3 ビジネスモデルの作成 ........................................................... 16
6.3.1 独居者万が一サポートサービスの提案 .......................................... 16
6.3.2 共同住宅居住者向けビジネスモデルの提案 ...................................... 19
6.4 ビジネスモデルの検証 ........................................................... 20
6.4.1 独居者万が一サポートサービスの提案 .......................................... 20
6.4.2 共同住宅居住者向けビジネスモデルの提案 ...................................... 21
6.5 検証結果の分析 ................................................................. 21
7. 想定効果に対する検証 ............................................................... 22
8. おわりに ........................................................................... 23
9. 参考文献 ........................................................................... 24
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研究成果報告書
LS 研: 官民情報連携で生まれる付加価値ビジネスの研究
1. 背景
今日、我が国は世界でもかつて経験したことのない少子高齢化の時代を迎えようとしている。高齢化
により社会保障予算は増加の一途をたどり、一方で少子化による生産人口の減少は支える側の世代に多
くの負担を強いることとなるであろう。このような中での現状の社会保障制度を維持することは難しく、
公助から自助・互助・共助へとバランスの変化が求められる時代となった。本分科会はこのような時代
を背景に互助、共助の発展に寄与する仕組みを提案し、その有用性を検証するものである。
2. 研究の経緯と進め方
本章では本題に入る前に活動の経緯と研究の手順について述べる。
2.1 テーマに対する合意形成
本分科会のテーマは「官民情報連携で生まれる付加価値ビジネスの研究」である。しかしメンバーに
とってこのテーマは漠然としており、その認識は極めて曖昧であった。この認識を統一するため、最初
にテーマに含まれる言葉の定義を行った。その定義を図表 1 に示す。
図表 1 テーマに含まれる言葉の定義
言葉
定義
官民情報連携
「マイナンバー制度」の民間活用
「行政」、
「企業」および「国民・消費者」が同時に享受できる便益を新たに生み出すこと
付加価値
「官民情報連携」についてはマイナンバー制度の民間開放が法施行後 3 年の 2018 年 10 月を目途に検
討されることからタイムリーなテーマとして決定した。また「付加価値」とは一般的に生産過程で新た
に付け加えられる価値であるが、「行政」
、
「企業」および最終的なサービスの提供先となる「国民・消
費者」が相互に便益を享受できなければ持続可能なビジネスとして成立しないことから、このように定
義を行った。
これらをもとに、本分科会では『「マイナンバー」制度の民間活用により、「行政」、
「企業」および「国
民・消費者」が享受できる便益を新たに生み出すビジネスの研究』を行うこととなった。
2.2 テーマの決定
次に具体的なテーマの決定を行った。この決定には、まず議論を発散させないため社会問題の抽出を
行った。次にその問題について「官民情報連携」
、「付加価値」を踏まえた議論を行った。最後にそこで
生まれた発想をもとに改めてそのアイデアが解決すべき課題が存在することを確認することで、テーマ
として成立するかを判断した。
テーマ決定へのアプローチを以下の図表 2 に示す。
図表 2 テーマ決定へのアプローチ
社会問題の抽出
• 議論すべき社
会問題を抽出
テーマの発想と
選定
• 問題に対する
解決案を議論
し良い案を選
定
課題の抽出と
テーマの決定
• テーマの有用
性を解決すべ
き課題の有無
で判断
次に、テーマ決定までの詳細を述べる。
1
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2.2.1 社会問題の抽出
テーマを決定するにあたり、まず議論のためのキーワードとして「行政」、
「企業」および「国民・消
費者」に関する社会問題を抽出した。抽出した社会問題を以下の図表 3 に示す。
図表 3 社会問題の抽出
対象
社会問題
行政
社会保障問題、財政難、制度疲労、規制緩和
企業
グローバル化による競争激化、成熟して成長分野が見いだせない、雇用の需給
国民・消費者
少子高齢化、孤独死、核家族化
等
等
等
なお、ここであげた問題は議論のためのキーワードであり、全ての問題解決を促すためのものではな
く、発想のヒントとして抽出したものである。
2.2.2 テーマの発想と選定
2.2.1 で抽出した問題をもとに議論を行った。その中で「国民・消費者」の課題や「行政」の制度疲
労などの話題から、世帯や戸籍へと議論が推移し、さらに発展して「インビジブル・ファミリー1」とい
う新しい家族の定義の話題へとつながった。我々はここである発想に至った。
インビジブル・ファミリーに端を発した発想の内容を以下に示す。




現状、行政は世帯や戸籍で国民の管理を行っているが、果たしてそれだけでサービスは
行き届いているのか。
「インビジブル・ファミリー」のように行政の把握していない、見えない関係を「見え
る化」することで行政のコスト削減や国民の利便性が向上するのではないか。
「マイナンバー」を拡張しグルーピングすることで「見える化」が実現できるのではな
いか。
グルーピングのしくみをフレームワーク化し定義すれば、行政だけではなく民間におい
ても様々なビジネスが生まれるのではないか。
この議論から「国民のつながりのグルーピングによる付加価値の創造」をテーマの候補として挙げた。
議論では他の案も挙がったが「先見性」
、
「独自性」を考慮しこのテーマを選定した。
2.2.3 課題の抽出とテーマの決定
次に選定したテーマを踏まえ、それまでの議論では抽象的に取り扱っていた問題から課題を抽出した。
抽出した課題を図表 4 に示す。
1
インビジブル・ファミリー:
野村総研が定義した「同居はしていないものの、近隣に住んで経済的、精神的に支えあう家族」のこと
2
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LS 研: 官民情報連携で生まれる付加価値ビジネスの研究
図表 4 抽出した課題
No
1
課題
課題の具体例
世帯の枠組
制度上の世帯管理が信用の枠組みとして固定
同居していない実家の親への仕送りが扶養と認めら
み
観念化している。近隣や異なる世帯の血縁者
れるには収入証明、戸籍、住民票、送金証明等が必
など実際の社会において相互扶助が可能にも
要で手続きが煩雑である。
関わらず、この観念があるためにサービスの
多様性が阻まれる。
2
3
不十分な代
世帯に属さないがために血縁者であっても、
現在でも委任は可能であるが、筆跡、印影による本
行・委任制
委任による権限を行使する際の手続きが煩雑
人認証のため紙ベースであり、遠距離の親類等の場
度
である。
合、郵送等に時間が掛かる。
申請主義
世帯に属さない血縁者、委任された他人への
単身者本人に何かがあった場合に遠くに住む家族へ
通知サービスはなく、申請主義のままである。 の連絡に限られ、近隣との互助関係を活用できない。
クルーピングでの解決が想定される課題の存在を抽出したことで、このテーマが「有用性」を持ちう
る可能性を確認した。これを踏まえ本分科会は「国民のつながりのグルーピングによる付加価値の創造」
をテーマとし、この「有用性」を検証することに決定した。
なお本分科会はこのグルーピングのことを「マイグループ」と称している。本論文においても以降で
は「マイグループ」という名称を用いることとする。
2.3 研究手順
本分科会ではマイグループの概念およびその実現のためのマイグループフレームワークを定義し、課
題に対する想定効果を設定することで、これらをこの研究の仮説とすることとした。
この仮説に対し、まずマイグループを活用することで実現できる、または効率化できる行政サービス
を洗い出し、行政や国民にとっての便益が存在することを検証した。次にマイグループフレームワーク
を活用した民間サービスのビジネスモデルを作成し、消費者にとっての便益、および企業が参入可能な
市場が存在することを確認した。また最後に当初想定した効果が得られているかを確認することで、マ
イグループの提案が有用性を持つことを検証した。
研究の手順を図表 5 に示す。
図表 5 研究手順
仮説
3.マイグループの定義
検証
5.行政サービスへの適用
7.想定効果に対する検証
4.マイグループフレーム
ワークの定義
6.民間サービスへの適用
3
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LS 研: 官民情報連携で生まれる付加価値ビジネスの研究
3. マイグループの定義
3.1 マイグループの概要
本分科会が提案するマイグループの概念とは、マイナンバー制度を活用した国民のつながりをグルー
プ化することを指す。この概念に従い構築されるサービスは多様であり、SNS やグループウェア等と同
様なグループサービスの構築が可能であると同時に、公的な情報を管理するための手段ともなりえる。
このような多様性はマイグループの運営者が、グループの目的や権限を決定することを想定しているか
らである。つまりマイグループは特定のサービスを指すものではなく、ひとつの枠組みとして実現する
ことを想定している。この枠組みの上に行政や企業等が運営者となり、それぞれにサービスを構築し付
加価値を生み出し、社会の発展に寄与するのである。
一方でマイグループはグループに対し、統一的なルールを定義する。マイグループは個人または法人
が自らの意志で参加、脱退するグループである。またマイグループはこのグループに対し、公的な高い
信用性を担保することで個々の関係性を証明するものである。つまりマイグループはあらゆる場面にお
いて、世帯や戸籍、血縁関係の有無等に関わらず権限の委譲を証明することができる。なおここでの権
限の委譲とは、行政や民間サービスのうち日本の法律が委任を許すあらゆる権限をいう。
最後にマイグループは、個人情報を扱うだけではなく、権限の証明まで行うことから極めて高いセキ
ュリティレベルを維持する仕組みを持つ必要がある。
3.2 マイグループ活用による想定効果
マイグループの概念は、突き詰めれば個々の合意を証明するものであり広義の契約といえる。しかし
本分科会では、マイグループを互助および共助を目的とした仕組みととらえている。これは背景にある
問題と共に、マイナンバー制度の理念である国民への利便性を継承しているためである。
このことを踏まえ、現在の課題に対するマイグループ活用による想定効果を図表 6 に示す。
図表 6 マイグループ活用による想定効果
No.
1
2
課題
マイグループ活用による想定効果
世帯の枠
制度上の世帯管理が信用の枠組みとして固定
マイグループの関係性の証明により、世帯や戸籍・
組み
観念化している。近隣や異なる世帯の血縁者
血縁等に縛られず権限を委譲することができるよ
など実際の社会において相互扶助が可能にも
うになることで、近隣・自治会向けサービスなど、
関わらず、この観念があるためにサービスの
これまでになかった多様な相互扶助サービスが生
多様性が阻まれる。
まれてくる。
不十分な
世帯に属さないがために血縁者であっても、
マイグループにより公的な関係性の証明が容易と
代行・委任
委任による権限を行使する際の手続きが煩雑
なる。また企業等の運営者が手続きの簡略化自体を
制度
である。
ひとつのサービスとして付加価値を生み出すこと
で利便性の向上につながる。
3
申請主義
世帯に属さない血縁者、委任された他人への
マイナンバーのプッシュ機能を拡張し、あらかじめ
通知サービスはなく、申請主義のままである。 グループに登録された血縁者や、他人に対しても本
人が許す範囲で通知が行えるようになる。
3.3 マイグループの実現方針
3.1 で述べたとおりマイグループは多様性を持つ仕組みである。これは限られた組織が運営すること
によりサービスが限定されることを防ぎ、社会のニーズに対し自由な発想で付加価値サービスが次々に
創造されることを期待したものである。したがってその実現においてはオープンなフレームワークとし
て用意する方針とした。
4
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LS 研: 官民情報連携で生まれる付加価値ビジネスの研究
以降このフレームワークを「マイグループフレームワーク」と呼ぶ。
このマイグループフレームワークのアーキテクチャは、下層にマイナンバー制度があり上層に行政あ
るいは民間の組織がありこれによりサービスが運営されるものである。
マイグループフレームワークのイメージを図表 7 に示す。
図表 7 マイグループフレームワークのイメージ
行
政
サ
ー
ビ
ス
行
政
サ
ー
ビ
ス
民
間
サ
ー
ビ
ス
民
間
サ
ー
ビ
ス
マイグループ
フレームワーク
マイナンバー制度
4. マイグループフレームワークの定義
4.1 マイナンバー制度の理解
本分科会では、マイナンバー制度を「複数の機関に存在する個人の情報を同一人の情報であるという
ことの確認を行うための社会基盤」としたうえで、その目的を「行政業務の効率化と国民の利便性向上」
と理解し、図表 8 に示す政府発表資料から、マイナンバー制度における情報連携のかたちを、以下のよ
うに整理した。
(1) 個人に割り当てた番号を用いて、各機関に存在する同一人の情報を確認
(2) 情報提供ネットワークシステムを介した各機関での同一人情報の連携
(3) 公的個人認証によって、実在性と同一性が確認された本人による自己情報の管理
(4) プッシュ型サービスや情報連携の仕組みを利用したワンストップサービスなどの実現
図表 8 番号制度における情報連携の概要
出典:社会保障・税番号制度について 内閣官房 社会保障改革担当室 平成 25 年 10 月
5
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LS 研: 官民情報連携で生まれる付加価値ビジネスの研究
4.2 マイグループフレームワークの概要
マイグループフレームワークはグループの運営者の創造性を重視し、必要最低限の機能を用意する方
針とした。マイグループフレームワークは主として信用とセキュリティおよびマイナンバー制度との情
報連携など、行政との関与が必要となる共通的な手続きに関わる機能を提供する。
グループの運営者とサービスの利用者、他のグループサービス関係要素とフレームワーク提供機能の
関係をマイグループ概要として図表 9 に示す。
マイグループフレームワークでは、マイグループに属する者の身元を公に保証する「個人の証明」
、マ
イグループに属する者の個々の関係性を公に保証する「関係の証明」
、行政の持つ情報を企業、国民・消
費者にプッシュする「官民情報連携」
、サービスの安全・信頼を保証する「セキュリティ」の 4 つの機能
を提供する。これら 4 機能以外のグループの生成やメンテナンスといったサービスそのものに関わる機
能はサービスを運営する機関が各々のビジネス・サービスの内容に応じて自由に構築するものとする。
図表 9 マイグループフレームワーク全体概要
個人の証明
セキュリティ
(公的個人認証)
特定個人情報保護評価
監視、監督
総務大臣の認可
運営機関
マイグループ
マイグループ
サイト
官民情報連携
情報照会/提供
監
査
機
関
(
特
定
個
人
情
報
保
護
委
員
会
)
中間サーバー
情報提供
ネットワークシステム
(コアシステム)
符号A 利用番号
・・・
利用者
マイグループ情報
利用番号
・・・ 属性情報 ・・・
官民情報連携
符号A
情報通知
マイポータル
自己情報
表示機能
プッシュ型
サービス
情報提供等
記録開示機能
ワンストップ
サービス
グループ
構成員
情報提供記録
霞が関WAN
LGWAN等
符号B
行政機関
照会者
符号B 利用番号
マイナンバー制度機能
関係の証明
・・・
独自機能
4.3 マイグループフレームワークのアクター
マイグループフレームワークに関連するアクターについて述べる。
本分科会ではグループサービスを提供する者を「運営機関」、グループサービスを受容する者を「利用
者」
、
「グループ構成員」
、
「照会者」と定義した。またグループサービスの信用を保障するアクターとし
て「監査機関」
、
「総務大臣」がいる。
これらアクターの中でマイグループサービスの中心的な役割を果たすのは運営機関である。運営機関
は行政、企業を問わないマイグループサービスの運営者であり、グループ情報とグループ利用者個人の
情報を保有する。また運営機関はマイナンバー制度における、個人情報を効率的に検索し管理するため
に個人番号を利用することのできる「個人番号利用事務実施者」として位置付けられ、総務大臣より認
可された信頼できる機関である。
6
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LS 研: 官民情報連携で生まれる付加価値ビジネスの研究
これらアクターの成り手となる者を行政、企業、国民・消費者のカテゴリでマッピングした一覧を図
表 10 に示す。
図表 10 アクター一覧
アクター
運営機関
アクション
行政
企業
○
○
国民・
消費者
・マイグループサービスを運営する
・マイグループを証明する
・マイグループ情報を維持管理する
利用者
・マイグループサービスを使いマイグループを生成する
・マイグループ情報の登録・更新を行う
○
○
○
○
○
○
・マイグループに参加するグループ構成員の選別を行う
グループ構成員
・利用者が生成したマイグループに参加する
照会者
・マイグループ情報を照会する
○※
監査機関
・運営機関を審査する
○
・運営機関を監査する
総務大臣
・監査機関の審査内容を受け、運営機関を認可する
○
※災害・事故・事件が発生した際
4.4 マイグループフレームワークの機能
4.2 で述べた 4 機能について説明する。
(1) 個人の証明
マイグループの本質は個人間の契約であり、この信頼性を確保するには、まずマイグループの利
用者およびグループ構成員の実在性の証明と同一性の証明を以って担保することが必要となる。マ
イナンバー制度では本人確認を公的個人認証サービスを利用して行っており、
マイグループフレー
ムワークにおいても同様の仕組みを利用し個人の証明を行う。
(2) 関係の証明
マイグループにおける個々人の関係は、運営機関が定めるグループの利用目的に反しない限りに
おいて、本人確認された利用者およびグループ構成員の意思により関係証明情報として運営機関が
保有する。マイグループフレームワークはこの関係証明情報を照会者に開示する機能を提供する。
照会者への情報提供は利用者およびグループ構成員の承諾をもってのみ可能とする。また運営機関
は照会者に対し高い信頼性を持つ必要がある。これは運営機関が審査を受け、総務大臣により認可
される手続きにて確保する。
(3) 官民情報連携
情報提供ネットワークシステムを介し連携される個人の情報を、利用目的に応じて照会者に提
供する機能と、マイポータルへの情報通知を契機に、その情報をマイグループに展開するための
インターフェースを提供する。
本機能によって実現されることの一例としては、マイナンバー制度における情報提供ネットワ
ークシステムを介した情報の連携とマイポータルへの情報プッシュを拡張し、個人へプッシュさ
れた情報をマイグループに展開するといったことがあげられる。
そのイメージを図表 11 に示す。
7
2013 年度
研究成果報告書
LS 研: 官民情報連携で生まれる付加価値ビジネスの研究
図表 11 官民情報連携イメージ
行政
運営機関
マイポータル
への
情報プッシュ
マイポータル
マイポータル
から
情報転送
マイグループ
サービスにて
情報展開
(4) セキュリティ
マイグループは、個人情報を扱うだけではなく、権限の証明まで行うことから高いセキュリティ
レベルが必要とされる。マイグループの運営機関はマイグループサービスを開始するにあたって特
定個人情報保護委員会による審査を受け、特定個人情報保護評価により取り扱う情報が利用者、グ
ループ構成員のプライバシーを侵害しないかが厳格に評価される。この審査結果を以って運営機関
は総務大臣(行政)からの認可を受けサービスを開始する。また運営機関に対しては定期的なセキ
ュリティ監査を実施することとする。
4.4.1 マイグループフレームワークの適用例
マイグループフレームワークを適用して企業が情報プッシュ型のマイグループサービスを行う際のサ
ービスの開始から利用の流れを図表 12 に例示する。
図表 12 マイグループフレームワークの適用例
実
施
順
序
ア
ク
タ
ー
1
監査機関
・運営機関が扱う情報のプライバシー影響評価を行う
2
総務大臣
・マイグループ運営機関の認可を行う。
3
利用者
・マイグループサービスの利用登録を行う
・公的個人認証の仕組みにて本人であることが保証される
4
利用者
・マイグループを作成し、グループ構成員を招待する
5
グ ル ー プ ・マイグループサービスの利用登録を行う
構成員
・公的個人認証の仕組みにて本人であることが保証される
6
運営機関
・マイグループ情報を関係証明情報として保有する
・マイグループ情報を開示する
7
運営機関
・情報提供ネットワークシステムを介して、利用者のマイ
ポータルへプッシュされた情報を受け取る
・利用者へプッシュされた情報をマイグループに展開する
詳細要素
8
個
人
の
証
明
関
係
の
証
明
官
民
情
報
連
携
セ
キ
ュ
リ
テ
ィ
○
〇
〇
○
○
○
○
2013 年度
研究成果報告書
LS 研: 官民情報連携で生まれる付加価値ビジネスの研究
4.5 法的な実現性について
法的な裏づけのある、より強固なマイグループを構築するためには、その構成員である一人ひとりを
確実に特定できる法的な枠組みが必要となる。本研究では現状の法的な枠組みと、近い将来可能となる
法的枠組みを整理し、近い将来可能となる法的枠組みを前提として、マイグループについて論じてい
く。
4.5.1 現状の法的枠組み
対面および電子的に本人を確認(本人の実在性の証明と同一性の証明)する法的枠組みとしては、現
在、住民基本台帳法と公的個人認証法が存在する。実在性の証明とは、書類に記載された人物が確実に
存在することを証明することであり、同一性の証明とは、その書類の人物と書類を提示した本人が同一
であることを証明することである。この二つの証明を以って、本人が確認されたとみなされる。
マイグループを構築するうえでは、この枠組みを使うことが必要となるが、現状の法的枠組みでは図
表 13 のような制約がある。
図表 13 法的枠組みの制約事項
法的枠組み
住民票コード
公的個人認証
制約事項
住民基本台帳法によって一人ひとりに付番された個人を特定できる番号であるが、民間利用
は禁止されている。
電子署名の機能だけであるとともに、その署名検証者は行政機関に限られ、民間企業は検証
者になることができない。
すなわちこれまでの法的枠組みにおいては、民間企業が本人を特定する仕組みを使うことができず、
マイグループの構築は不可能であった。しかし、2013 年 5 月にマイナンバー法が成立し、同時に公的個
人認証法も改正されたため、図表 14 のように大きく状況が変わり、マイグループを構築できる環境が
整いつつある。
図表 14 マイナンバー制度実現後の変化
法的枠組み
マイナンバー
公的個人認証
実現予定事項
国民(外国人を含む)一人ひとりに付番された個人を特定できる番号であり、社会保障や税な
ど民間も含めて利用されることになっている。
電子署名機能のほかに電子利用者証明機能が追加され、署名検証者として総務大臣の認可の
もとに民間企業も認められることになった。
4.5.2 近い将来可能となる法的枠組み
このように、対面および電子的に本人を確認するための番号制度や電子証明書の制度が整い、これら
の制度は 2016 年 1 月から導入されることになっている。
マイナンバー制度は、まずは社会保障と税という狭い分野から導入していくという方針であるが、マ
イナンバー法第三条では、基本理念として「行政分野以外の国民の利便性の向上に資する分野における
利用」が記載されており、附則第六条第六項では、情報提供等記録開示システム(マイ・ポータル)に
関して「民間における活用を視野に入れて」と記載されている。つまり、近い将来マイナンバーの民間
利用が十分に可能となると考えられる。
さらに、附則第六条第一項は、マイナンバーの利用拡大について「法律の施行後三年を目途」として
検討および措置を構ずると記載されており、早ければ 2018 年 10 月にはマイナンバー法の改正法案が提
出され、2019 年から民間でもマイナンバーをビジネス利用できると想定される。
マイグループのビジネス構築にあたっては、マイナンバー法を図表 15 のように法改正すれば対応可
能であり、近い将来(2019 年)可能となる法的枠組みを前提として考察していく。
本章で述べたマイナンバー法の抜粋をに図表 16 に示す。
9
2013 年度
研究成果報告書
LS 研: 官民情報連携で生まれる付加価値ビジネスの研究
図表 15 マイグループ実現に必要なマイナンバー法改正ポイント
マイナンバー法
別表第一
民間のビジネス利用
(マイグループ構築)を追加
マイナンバー法
別表第二
情報照会者および情報提供者として
マイグループを運営する民間事業者を追加
図表 16 マイナンバー法抜粋
記載箇所
条文
基本理念
2
個人番号および法人番号の利用に関する施策の推進は、個人情報の保護に十分配慮しつつ、行政
第三条
運営の効率化を通じた国民の利便性の向上に資することを旨として、社会保障制度、税制および災害対
策に関する分野における利用の促進を図るとともに、他の行政分野および行政分野以外の国民の利便性
の向上に資する分野における利用の可能性を考慮して行われなければならない。
附則
6
第六条
民間における活用を視野に入れて、情報提供等記録開示システムを利用して次に掲げる手続又は行為を
政府は、情報提供等記録開示システムの設置後、適時に、国民の利便性の向上を図る観点から、
行うことおよび当該手続又は行為を行うために現に情報提供等記録開示システムに電気通信回線で接続
した電子計算機を使用する者が当該手続又は行為を行うべき者であることを確認するための措置を当該
手続又は行為に応じて簡易なものとすることについて検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講
ずるものとする。
附則
政府は、この法律の施行後三年を目途として、この法律の施行の状況等を勘案し、個人番号の利用お
第六条
よび情報提供ネットワークシステムを使用した特定個人情報の提供の範囲を拡大すること並びに特定個
第一項
人情報以外の情報の提供に情報提供ネットワークシステムを活用することができるようにすることその
他この法律の規定について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて、国民の理解
を得つつ、所要の措置を講ずるものとする。
5. 行政サービスへの適用
2.1 において本分科会のテーマである「付加価値」を『「行政」
「企業」
、および「国民・消費者」が同
時に享受できる便益を新たに生み出すこと』と定義した。これを踏まえ本章では三者のうち「行政」に
関して、マイグループフレームワーク適用による便益の調査を行った。
5.1 調査対象の決定
当初我々は国民のグループ化による行政手続きの効率化を想定し、ライフイベント別に行政手続きの
調査を行った。具体的には 2012 年度の LS 研分科会「官民情報連携による新しい日本の創造」の成果物
である「各ライフイベントにおける行政手続き」をもとに主要なライフイベントにおいて国民をグルー
プ化した場合の便益の調査を行った。しかし行政手続きはそもそも世帯というグループ単位で考えられ
ているため広く浅い調査ではその概念に縛られ思うように成果をあげることができなかった。
そこで視点を変え一部を深堀する方針とした。選定にあたっては各メンバーが自身の立場で不便を感
じている手続きについて議論を行い決定することとした。この結果複数のメンバーが遺族手続きを通じ
その煩雑さを実感していた。このことから「本人死亡時の遺族手続き」を調査対象として抽出した。
当手続きは、だれもが経験する可能性があり、世帯構成員以外に相続人・親族・成年後見人・故人の
関係者・行政機関が介在し手続きが煩雑となっている。
10
2013 年度
研究成果報告書
LS 研: 官民情報連携で生まれる付加価値ビジネスの研究
5.1.1 現状手続きの調査
「本人死亡時の遺族手続き」について、現状(マイナンバー制度施行前)の手続きに関わる行政機関
と保有情報の流れを調査した。その結果は当初の想定のとおり、遺族や関係者が多くの行政機関に対し
書類による申請(図表 17 の点線部分)を行う必要があることを改めて認識した。具体的には以下の手続
きについては当事者が足を運んで書類の請求・提出を行うものが多く煩雑となっている。
・本人、相続人、親族の戸籍謄本の請求・提出手続き(戸籍がある自治体に書類請求し各行政機関
に提出)
・不動産相続登記手続き
・各種年金・給付の請求手続き(自治体に住民票・収入証明を請求し各行政機関に提出)
・死亡した本人と生計同一である証明手続き(別居親族や内縁の場合様々な書類が必要)
・成年後見人・未成年後見人の証明手続き(法務省、裁判所に書類提出して各行政機関に提出)
図表 17 現状の死亡手続きと関連する行政機関
O:
火葬
許可書
I:
死亡届
葬儀社
行政
地方自治
情報センター
死亡届の
代理提出可能
個人
相続書類
各 地方自治体
住基台帳
死亡
住基ネット
•
•
•
•
•
•
住所
氏名
性別
生年月日
世帯情報
変更情報
遺産分割
協議書
介護保険
または
遺言書
本人
児童福祉
障がい者福祉
国保後期高齢
住民税
本人
戸籍
相続人
戸籍
相続人
印鑑証明
相続人
住民票
生活保護
親族
相続人
登記簿
民生委員
住登外情報
地方裁判所
死亡
O:遺言書
検認
戸籍
相続
書類
O:各種手当
未成年後見
金融機関
死亡
I:遺言書
I:遺言書
検認申立
I:不動産
相続
家庭裁判所
法務省
検認
成年後見登記
I:相続税
申告
国税庁
(税務署)
国税
I:埋葬料
申請
保険会社
I:遺族
給付支給
請求書
I:未支給
年金請求
I:資格
喪失届
I:未支給
年金請求
厚労省
日本年金
機構
各健保組合
各企業年金
労働保険
年金
死亡
診断書
システムによる死亡
情報提供はなし
遺族から申告があ
れば口座ロック
病院
凡例
保険料
企業年金
書類
情報
不動産登記
お金の流れ
同居していない場合
生計同一証明が必要
国保・後期高齢者
は市町村申請
11
同居していない場合
生計同一証明が必
要
2013 年度
情報の流れ
書類の流れ
組織
個人
マイナンバーで
繋がるシステム
その他
システム
アナログ?
研究成果報告書
LS 研: 官民情報連携で生まれる付加価値ビジネスの研究
5.1.2 マイナンバー制度施行後の調査
次に、マイナンバー制度施行後の手続きを想定した。図表 18 に示すようにマイナンバーによる情報連
携対象とならない行政機関や、遺産相続が関係する手続きでは依然として故人と相続人の戸籍謄本が必
要であり手続きの煩雑さは解消されないことが判明した。特に以下の手続きについては、マイナンバー
制度施行前後でも利便性の変化が見られないことがわかった。
・本人、相続人、親族の戸籍謄本の請求・提出手続き(本籍地自治体に書類請求し各行政機関に提
出)
・不動産相続登記手続き(自治体に書類請求し法務省に提出)
・成年後見人・未成年後見人の証明手続き(法務省、裁判所に書類提出して各行政機関に提出)
図表 18 マイナンバー制度導入後の死亡手続きと関連する行政機関
O:
火葬
許可書
I:
死亡届
葬儀社
行政
個人
地方公共団体
情報システム機構
各 地方自治体
マイナンバー
制度
死亡
死亡
住基ネット
番号生成
•
•
•
•
•
•
住基台帳
介護保険
住所
氏名
性別
生年月日
世帯情報
変更情報
(死亡?)
児童福祉
マイナンバー
死亡
マイ
ポータル
利用者
障がい者福祉
国保後期高齢
住民税
情報提供
ネットワーク
システム
符号
家族
登記簿
生活保護
民生委員
戸籍
住登外情報
戸籍
地方裁判所
亡くなった人のマイポータルに
はアクセスできないと思われる
→マイナンバー開始後に便利
になることは少ない
戸籍
未成年後見
葬儀社
金融機関
後見されている未成年が相続
人の場合後見人が親に代
わって手続きするだけなので
あまり変化なし
死亡
符
号
家庭裁判所
検認
法務省
成年後見登記
国税庁
国税
不動産登記
I:遺言書
I:遺言書
検認申立
I:不動産
相続
死亡
符
号
厚労省
労働保険
死亡
符
号
死亡
符
号
日本年金
機構
年金
各健保組合
符
号
病院
凡例
各企業年金
書類
保険料
診療
(レセプト)
ハローワーク
死亡
診断書
死亡
情報
お金の流れ
情報の流れ
書類の流れ
相続人本人情報確認(住民票提示)が
マイナンバーで可能になれば紙は減る
組織
個人
企業年金
マイナンバーで
繋がるシステム
その他
システム
アナログ?
5.2 行政における新たなグループ
行政サービスにおいては、通常のライフイベントでは世帯というグループを基本とした管理がされて
おり、マイグループフレームワークの活用が直ちに効果をあげるといった成果は得られなかった。しか
し世帯をまたがる相続のような手続きにおいては、新たなグループ化による国民の利便性の向上が期待
できることがわかった。そこでマイナンバー制度で情報連携されない戸籍に着眼し、マイグループフレ
ームワークを適用した場合の検討を行った。
5.2.1 戸籍のマイグループ化
現状の戸籍システムは自治体独自の仕様でシステム化されているが、マイナンバー実現後も情報連携
の予定はない。このため、全国の「戸籍情報」を国による「戸籍マイグループ」として運営し、マイグ
ループフレームワークを利用して照会者に提供する。
12
2013 年度
研究成果報告書
LS 研: 官民情報連携で生まれる付加価値ビジネスの研究
(1) 戸籍マイグループの保有情報
現状では紙の戸籍謄本利用の主な目的は続柄の確認である。国籍・本籍地の証明に使用する頻
度は少ない。このため、戸籍マイグループには、相続人の確認や、住民票が異なる親族の証明に
使用可能な情報のみ保有し、本籍地や離婚歴等の機微な情報は保有しないこととする。さらに、現
在法務省が登記情報として管理する成年後見人情報もグループ構成員として登録する。
戸籍マイグループは本人(利用者)を中心とし、一般的な相続人の範囲である二親等の親族、成
年後見人・未成年後見人をグループ構成員として定義する。戸籍マイグループの実現イメージを図
表 19 に示す。
図表 19 戸籍マイグループ実現イメージ
祖父
成年
後見人
祖母
祖父
祖母
戸籍
父
母
戸籍
兄弟
配偶
者
本人
本人を中心とした
戸籍マイグループ
子
孫
孫を中心とした
戸籍マイグループ
また、マイグループフレームワークにおけるアクターと対象者、役割について図表 20 に示す。
図表 20 戸籍マイグループのアクターと役割
アクター
対象者
役割・情報
運営機関
国
各自治体の戸籍情報から戸籍マイグループを構築する
利用者
国民
戸籍マイグループへの参加を登録する
利用者本人を中心とした以下の者
利用者本人のグループに参加する
グループ
・二親等(祖父母・孫)までの親族
・親族情報(マイナンバー)と本人との続柄情報
構成員
・未成年後見人
・戸籍に保有する被後見人・後見人の情報(マイナンバー)
・成年後見人
・法務省が登記情報に保有する成年後見人情報(マイナンバー)
照会者
・行政
・現状戸籍謄本請求が可能な人
戸籍謄本に代わるものとして続柄情報を得る
(2) 戸籍マイグループに適用可能な技術
戸籍の続柄は人と人との関係性を表す単純なものであるが、戸籍マイグループは国民一人ひとり
を中心とするためグループ数は国民総人口となる。このため従来のリレーショナルデータベースを
適用すると複雑で検索効率の悪いものとなってしまう。この関係性の表現に柔軟に対応する方法と
してグラフデータベースがあげられる。
図表 21 に示したように、グラフデータベースは、従来のリレーショナルデータベースではうま
く表現できないデータをグループに相当する「頂点」
、
「関係性」、
「属性」で表現し、保存し、取り
出すことを可能とする。例えば、ソーシャルネットワークなどの関係の要素が個々の実体から互い
に四方八方に伸びている際に、効果的な表現を可能とする。
戸籍管理において、グラフデータベースを用いることにより、柔軟、かつ多様性のある管理の実
現が可能となる。
13
2013 年度
研究成果報告書
LS 研: 官民情報連携で生まれる付加価値ビジネスの研究
図表 21 グラフデータベースの概念図と事例
【グラフDB概念図】
【事例】 Neo4j Webサイトより引用
Name:
Bさん
property
relation
node
Knows
Name:
Aさん
・node(頂点≒グループ)
・node間の関係を表すrelation(関係性)
・node,relationそれぞれに属性を付与するproperty
(3) 戸籍マイグループ化の便益
独居化が進むなか、今後、相続以外にも世帯が異なる親族の続柄証明が必要な場面は増加するこ
とが予想される。また「教育資金の一括贈与に係る非課税措置(孫の教育資金を 1500 万円まで非
課税で贈与できる新制度)
」のような従来なかった祖父母-孫の関係を証明する機会も増えると思
われる。戸籍マイグループの実現により親族の関係性を即時に証明できれば、公的手続きの利便性
は格段に向上するといえる。
(4) 戸籍マイグループのコスト面の効果
行政の費用面からは、戸籍マイグループの導入により、戸籍システムを一元化できるため、シ
ステム構築・保守・運用コスト、戸籍業務に関わる人的コストの削減を図ることができる。
図表 22 に示すように、自治体毎に構築・維持している戸籍システムの構築費用には全国で約 6
兆円、システム維持費に全国で年間約 1 兆円が費やされており、これを国がクラウドシステム等
で一元管理すれば大幅なコスト削減が期待できる。
図表 22 戸籍システムに関する自治体負担費用
No.
費用(千円)
項目(自治体平均)
1
ソフトウェア構築費
170,000
2
ハードウェア費用
140,000
3
年間運用費用
40,000
4
年間保守費用
10,000
310,000
50,000
全自治体想定費用※
構築時約 6 兆円
年間
約 1 兆円
※当調査時点での自治体数 1,950
平成 17 年度
市町村の業務システムの導入および運用に関する経費等の調査(総務省)より抜粋
国民が負担する費用面からは死亡時遺族手続きの戸籍請求コストを削減することができる。相
続 1 件あたり被相続人・相続人合わせて 10 通の戸籍謄本(500 円)を請求すると 10×500 円=5 千
円、2012 年の死亡者数 1,256,359 人の半数が相続手続きをすると仮定すると、年間約 31 億円もの
手数料が掛かっている。戸籍マイグループの利用料を戸籍謄本請求より安く設定できれば国民の
金銭的負担を軽減することができる。また、遠隔地の本籍から戸籍謄本を取り寄せるなどの時間
的手間や移動費も不要となる。
5.3 検証結果の分析
行政サービスにおいては戸籍に対しマイグループを適用することで、主としてコスト削減といった形
での便益を見い出すことができた。また国民という観点からも同様にコスト面のメリットのほか、利便
性の向上が確認できた。一方でその他の手続きにおいては世帯での管理に最適化されており、その場合
マイナンバー制度により比較的充足してくることがわかった。
14
2013 年度
研究成果報告書
LS 研: 官民情報連携で生まれる付加価値ビジネスの研究
6. 民間サービスへの適用
本章では「企業」にとっての便益について検証を行う。マイグループフレームワークを利用したビジ
ネスモデルを構築し、そこに「企業」
「消費者」にとっての便益、またビジネスとして成り立つ最低限の
要素である市場規模が存在することを確認した。
マイグループフレームワークの民間サービスへの適用の効果を図るため、アイデアの抽出、アイデア
の評価、ビジネスモデル化を行い、作成したビジネスモデルに対して、社会的な便益と市場規模の観点
から効果の検証を実施した。民間サービスへの適用の効果検証の実施アプローチを図表 23 に示す。
図表 23 ビジネスモデル検証の進め方
アイデア
の抽出
アイデア
の評価
ビジネス
モデル化
検証
6.1 アイデアの抽出
マイグループフレームワークの概要が決まった段階で、グループ化を想定したビジネスを分科会メン
バーで検討した。このアイデアの抽出段階では、共助・互助等のキーワードによる制約等は設けず、メ
ンバーの自由な発想で、現在の課題だけでなく、将来の社会問題になると想定されるようなものも含め、
アイデアを抽出した。これは自由な発想で出たアイデアの関連付けを行うことで新しいビジネスの発想
につながると考えたためである。
6.2 アイデアの評価
本分科会で抽出したビジネスモデルのアイデアを評価するために、マイグループフレームワークの基
本要素としてあげている「個人の証明」、「関係の証明」、「官民情報連携」と、ビジネスを成立する
ために必要不可欠な「市場規模」という計 4 つの要素を用いることを決定した。この 4 つの要素の詳細
を図表 24 に示す。
図表 24 ビジネスモデルのアイデア評価軸と要素詳細
No.
評価軸
1
2
・行政にしかない情報を利用している
官民の連携連携
3
4
5
6
7
詳細要素
・行政からのプッシュ型サービスとして活用可能である
・災害を含む緊急時の民間から行政への情報提供が実施可能である
個人の証明
関係の証明
市場規模
・利用者の本人確認(※)を必要としている
※「同一性」
「実在性」の確認
・情報・権限を共有するグループになっている
・グループ内での助け合いに役立つ仕組みになっている
・ビジネスを成立させるための市場が存在している
作成したビジネスモデルのアイデアに対し前述の評価軸を使い、本分科会のメンバーによる加点方式
(◎:3 点、〇:1 点、△:0 点)で評価を行った。その集計結果は図表 25 のとおりであり、評価点の
高い上位 2 つのビジネスモデルについて、以降で詳細内容を記述する。
15
2013 年度
研究成果報告書
LS 研: 官民情報連携で生まれる付加価値ビジネスの研究
図表 25 ビジネスモデル評価結果
評価集計
官民の情報連携
№
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
6.3
タイトル
独居者万が一サポートサービス
耕作放棄地の引き受け手マッチングサービス
外郭団体利用者向け汎用マイグループ
介護施設向けビジネスモデル
会社情報と匿名化資格情報による求人情報の精度UP
オンラインゲームのコミュニティー向けサービス
コンテンツサービスの公共向けグループシェアサービス
銀行の家族向けサービス
長距離交通機関の家族制会員サービス
共同住宅居住者向けマイグループ
民生委員制度をバリュープロポジションキャンバスで整理
シェアハウス(オーナー、入居者向け)
インビジブルファミリーサービス(関係証明)
個人の証明
関係の証明
市場規模
い行
る政
に
し
か
な
い
情
報
を
利
用
し
て
と行
し政
てか
活ら
用の
可プ
能ッ
でシ
あュ
る型
サ
ー
ビ
ス
る政災
へ害
のを
情含
報む
提緊
供急
が時
実の
施民
可間
能か
でら
あ行
い利
る用
者
の
本
人
確
認
を
必
要
と
し
て
に情
な報
っ ・
て権
い限
るを
共
有
す
る
グ
ル
ー
プ
つグ
仕ル
組ー
みプ
に内
なで
っの
て助
いけ
る合
い
に
役
立
場ビ
がジ
存ネ
在ス
しを
て成
い立
る さ
せ
る
た
め
の
市
20
12
8
15
8
5
15
4
2
13
18
8
17
12
8
6
9
12
6
8
8
5
10
9
10
11
15
10
3
12
12
6
9
4
5
7
7
9
9
17
15
12
14
16
8
13
17
16
20
15
16
13
18
11
9
17
11
8
13
17
16
20
8
15
11
3
3
3
5
3
0
1
0
0
11
6
9
3
8
4
4
7
6
12
5
9
4
7
6
8
5
合
計
ラ
ン
ク
93
63
45
79
68
45
64
59
48
88
69
75
69
1
9
12
3
7
13
8
10
11
2
5
4
5
ビジネスモデルの作成
6.3.1 独居者万が一サポートサービスの提案
(1) 背景
① 高齢社会到来による「孤独死」の増加
現代社会での単身高齢者の増加に伴い、「孤独死」等、万が一のことが発生する件数も増え
続けている。「孤独死」においては、以下のトラブルが発生することが想定される。
・身元引受人等の関係者へ連絡できない
・関係者の連絡先を探し出すまでに、非常に多くの労力が掛かる
単身高齢者においては、親族と疎遠であったり、離れた家族に迷惑をかけたくない心情が働
いていることも考えられる。
行政が管理しているのは世帯情報であり、離れて暮らす親族等の関係者の情報は管理されて
いない。このため、行政には、親族等の関係者を速やかに探し出すための手段が不足している。
② 大規模災害発生時の「災害死」への対応
未曾有の被害を引き起こした 2011 年の東日本大震災では、長期にわたって身元不明の状態
となる事態が発生した。身元不明遺体が遺体安置所に長期に留め置かれたことは記憶されて
いるところであり、「災害死」に対する対応が必要と考えられる。東日本大震災における身元
不明遺体数の推移と遺体の身元確認方法を図表 26、図表 27 に示す。
図表 26 東日本大震災における身元不明遺体数の推移
発災後
10 日
1 ヶ月
3 ヶ月
4 ヶ月
6 ヶ月
15 ヶ月
収容遺体数
8,593
13,051
15,346
15,480
15,714
15,791
身元不明遺体数
4,511
2,141
1,982
1,496
1,093
309
身元確認率
47.5%
83.6%
87.1%
90.3%
93.0%
98.0%
(警察白書 H24 年度版をもとに編集)
16
2013 年度
研究成果報告書
LS 研: 官民情報連携で生まれる付加価値ビジネスの研究
図表 27 東日本大震災における遺体の身元確認方法
検視済
身元
死体数
確認数
15,790
主たる身元確認の方法
身体特徴
所持品等
15,452
(97.9%)
身元
DNA 型検査
歯牙形状
直接資料
13,753
1,186
(89.0%)
(7.7%)
(DNA 鑑定併用 2,557)
未確認数
指掌紋
血液検体
114
34
365
338
(0.7%)
(0.2%)
(2.4%)
(2.1%)
(H24/5/11 時点 警察庁公表資料をもとに編集)
③ 終活ビジネス2の拡大
不幸にして突然亡くなった場合には、遺言等も無いケースが想定される。一方で、人生の
終わりに備えるという心理から、終活ビジネスが拡大傾向にある。
主な終活ビジネスとして、法的な遺言サービスや、私的なエンディングノート3のビジネス
があげられる。
上記の背景をもとに、独居者の関係者をマイグループ化するサービスを検討した。
(2) サービスの概要
① デジタルエンディングノート
離れて暮らす親族等の関係者をあらかじめグループ登録しておき、独居者(利用者)に万が
一の事象が発生した場合には速やかに、遺言等の情報の通知が可能なサービスである。マイグ
ループとして登録された遠くに離れて住む家族に対し、エンディングノートとして機能する。
② 連絡先の追跡
遺言等の預託情報を確実に届ける機能を持つ。従来の遺言サービスと異なり、行政からマ
イナンバーをキーとして、住所変更や死亡通知を受け取ることで実現する。10 年、20 年と時
間が経過すると想定されるが、本サービスではマイナンバー制度との連携により確実に連絡先
を把握することができる。
③ 「孤独死」や「災害死」における本人確認
あらかじめ、DNA 情報または歯型等を登録することにより、被災時には行政や病院からの照
会を可能とする。身元不明遺体の早期照合を実現することで、「孤独死」や「災害死」におけ
る凄惨な状況の回避と、安心感の提供が可能である。
独居者万が一サポートサービスの概要を図表 28 に示す。
図表 28 独居者万が一サポートのサービス概要
利用時
サービス概要
・離れて暮らす親族等の関係者のグループ登録(マイグループ化)
サービス契約時
・相続時の資産情報や DNA 情報または歯型等をマイグループ運営機関のセキュア
なデータベースに預託
・災害を含む緊急時の民間から行政への情報提供
万が一の事象が
発生した場合
2
3
・行政側からマイグループとして登録された関係者の連絡先の照会
・行政側からマイグループに対して、プッシュでの連絡実施
・マイグループ運営機関からマイグループに対して、預託された情報の通知
終活:「人生の終わりのための活動」の略であり、人生の最期を迎えるにあたって行うことを意味する。
エンディングノート:高齢者が人生の終末期に万が一のことに備えて自身の希望を書き留めておくもの
17
2013 年度
研究成果報告書
LS 研: 官民情報連携で生まれる付加価値ビジネスの研究
独居者万が一サポートサービスのイメージを図表 29 に示す。
図表 29 独居者万が一サポートサービスの概要
個人
民間
行政
※信託銀行、生保等を想定
災害時
グループサービス提供者
身元不明遺体
の身元確認
DNA情報
提供
グループ情報の預託
・利用者 マイナンバー
・親族等(グループ構成員)
マイナンバー
・資産情報の一覧
・DNA情報(または現物)
マイナンバー
制度
マイ
ナンバー
死亡通知
利用者関係者の
連絡先照会
グループ
グループサー
ビス購入
グ
ル
のー
預プ
託情
報
利用者
(独居者)
グループ
構成員
(親族等)
利用者の死亡時
グループへ連絡
合意済みの
情報照会
凡例
情報
企業
お金と情報
アクター
(3) サービス提供パターン
① 保険オプションとしての活用
例えば、海外旅行保険との組み合わせが想定される。海外旅行の際にグループ化したい相
手と期間を限定して利用することで、万が一の場合の家族や関係者への連絡などの安心感を
提供することが可能である。また、スポーツ保険や一般的な損害保険、生命保険等との組み
合わせも可能と考える。保険オプションとしての活用においては、本サービスを単身高齢者
以外にも適用することが可能である。
② 信託銀行の遺言信託サービスのオプションとしての活用
一見、競合関係にあると思われる信託銀行の遺言信託サービスであるが、遺言信託業務自
体が遺言書という情報を預託する性質を持つものであるため、業務上の類似性が高い。その
ため、本サービスを信託銀行の遺言信託サービスのオプションとして活用することが可能で
ある。
③ その他のサービス提供パターン
「独居者万が一サポート」サービスはエンディングノートとしての側面を持つため、関連サ
ービスとして、葬儀社等の連携が考えられる。また、サービスとして、類似する高齢者見守
りサービスの一環としての提供も可能である。
18
2013 年度
研究成果報告書
LS 研: 官民情報連携で生まれる付加価値ビジネスの研究
6.3.2 共同住宅居住者向けビジネスモデルの提案
(1) 背景
本サービスはマイグループの「つながりのグルーピング」という概念から、近隣住民のつながり
をグルーピングする対象としてマンション住民向けのサービスを考案した。
分譲マンションでは住民は資産を共有することから、法的に規定された管理組合を組織し、資
産の維持管理を行う。またマンションでは自治会、防災会などを独自に組織することも多い。
我々はこのような組織の営みの中にマイグループを適用することで新たな付加価値が創造される
ものと考えた。
マンション管理組合事務はマンション設備の維持管理にかかる意思決定のほか、通常/臨時総
会の開催、予算案の策定、執行などがある。これらの業務はいまだ紙ベースでの運用が多い。
我々はこのような業務をサポートするサービスを想定し、そこにアドオンする形でマイグループ
フレームワークを適用し、住民の互助促進に役立つサービスを検討した。
共同住宅居住者向けサービスのイメージを図表 30 に示す。
図表 30 共同住宅居住者向けサービスのイメージ
個人
民間
行政
グループ
グループサービス提供者
自治体
グループサー
ビス購入
自治体の
マンション支援
グループ情報の預託
マイナンバー
制度
マイ
ナンバー
要援護者
情報依頼
・提供
・管理組合情報
・居住者 マイナンバー
要援護者情報
マンション向
サービス
グ
のル
預ー
託プ
情
報
利用者
(マンション
管理組合)
グループ
構成員
(居住者等)
管理組合決議
非居住者への連絡
入館許可
企業
(2) サービスの概要
① 基本サービス
サービスの主軸となる基本サービスとしてマンションの管理組合理事会用の業務サービス
を想定している。しかし管理組合事務処理サービス自体は通常のクラウドサービス等で構築
可能であり、あえてマイグループの概念を強調すべきサービスではないであろう。これは課
金を住民から直接負担せず、管理費から負担することを想定し主となるサービスの便益は管
理事務を行う理事会においたことによる。
一方でこの管理事務処理サービスの中でも、総会における議決やその委任のオンライン化
については、マイグループフレームワークの持つ個人の証明、関係の証明により利便性の向
上を期待できる。例えばマンションに居住していない区分所有者などの議決権行使や委任を
容易とする。また災害時にマンションに居住不可能となった場合などにはオンラインにて議
決を取るだけではなく、住民の現在地を住民票の住所情報から取得できることで、転出した
先に通知が可能であるなど、利便性が向上する。
19
2013 年度
研究成果報告書
LS 研: 官民情報連携で生まれる付加価値ビジネスの研究
② 要援護者へのサポート
災害時の要援護者の把握は市区町村にて行い、市区町村より地域の自治会や民生委員に援護
を要請することとなる。マンション等においてはこのような住人の把握も容易であり、これら
を要援護者グループとしてグループ化し行政を参照者とすることで、災害時の状況把握や支援
要請等、行政と連携しきめ細かく行えるようになる。
③ マンション出入り認証機能
住民ではない親族や隣人、介護ヘルパーを特定の居住者のグループ構成員とし、入退館手続
きを簡素化することが可能となる。
近隣に住む親族や隣人が気安くマンションを訪れ、単身高齢者などの様子を伺いにくるなど
些細なサービスにみえるが、セキュリティ対策の代償として関係性を阻害された今日において
は貴重な相互扶助のサービスといえる。
6.4 ビジネスモデルの検証
6.4.1 独居者万が一サポートサービスの提案
(1) 社会的な便益
① 利用者(独居者)のメリット
離れて住む家族の友人、関係者の連絡先を容易に把握できるため、安心感を得ることがで
きる。万が一の場合に、家族に金銭的、心理的負担を掛けない。
② マイグループ運営機関(信託銀行・保険会社等)側のメリット
保険会社の場合、人口減少に伴う市場規模の低下傾向に対して、新商品として、本サービ
スを導入するメリットがある。また、被保険者の住所変更や異動有無照会を行っているため、
業務上の類似性も高い。
信託銀行の場合、遺言信託業務(相続人・遺言書の受取人の住所変更や異動有無照会)が、
確実に実施できる。また、遺言信託業務自体が遺言書という情報を預託する性質を持つもの
であるため、業務上の類似性も高い。そのため、オプションとして、本サービスを導入する
コストも比較的少なくて済むと想定される。
③ 行政側のメリット
「孤独死」・「災害死」の場合、家族・関係者の連絡先照会が容易となり、調査・連絡にか
かるコストが抑えられる。東日本大震災当時、県警や歯科医会の取り組みとして、身元不明
遺体の確認データベースが急遽脚光を浴びたことを考えれば、平時より備え、拡充するのは
行政としての責務とも考えられる。
(2) 市場規模
高齢化社会の到来により、市場規模は年々拡大する傾向にある。65 歳以上の単身高齢者数は、
2010 年時点で 498 万世帯であるが、2030 年には 730 万世帯に増加すると予想されている。一方、
高齢者向けの遺言信託の契約件数は 2013 年 3 月末で約 8 万件とこの 10 年間で倍増しており、今後
このようなサービスへの需要拡大が期待できる。
しかし、遺言信託1件あたりの手数料単価は 30 万円から 100 万円前後と高額であり、一部の富
裕層向けのサービスとなっている。それに対して本サービスでは、幅広い層の利用を想定し、低価
格で同様のサービスを提供する。そのため、価格については月額数百円に設定した。
上記の仮定に基づく、市場規模は以下のとおりである。なお、単身高齢者数の増加にあわせて
2030 年時点の市場規模も試算する。
20
2013 年度
研究成果報告書
LS 研: 官民情報連携で生まれる付加価値ビジネスの研究
現在時点想定
:498 万世帯×200 円(月額)×12 ヶ月 = 119 億 5,200 万円(年額)
2030 年時点想定:730 万世帯×200 円(月額)×12 ヶ月 = 175 億 2,000 万円(年額)
上記の試算により、十分な市場規模があることを確認した。
6.4.2 共同住宅居住者向けビジネスモデルの提案
(1) 社会的な便益
① 共同住宅居住者のメリット
共同住宅居住者およびその関係者のコミュニケーション向上が図られ、孤立化が防止できる。
② 共同住宅管理組合・理事会のメリット
マンション管理組合・理事会の事務負担が軽減される。各戸のオーナーが遠方に存在する
場合にも、合意形成・意思確認を容易になる。
③ 行政のメリット
要支援者の把握など、行政の一部機能を管理組合や管理会社に移譲することができる。
(2) 市場価値
2012・国勢調査によると「共同住宅」の世帯数は 562 万世帯であり、管理費の一部としてサービ
ス利用料金を負担することを想定する。各世帯からの利用料金を月額 100 円とした場合の規模は
下記となる。
562 万世帯 × 100 円(月額) × 12 ヶ月 = 67 億 4400 万円(年額)
(3) 関連サービス
マンション管理会社等をグループ構成とすることで、行政手続きの代行サービスなどを行うこと
も可能であり、行政サービスのコスト削減やマンション管理会社の新たなサービス差別化などに活
用できる。
6.5 検証結果の分析
マイグループの適用にて生み出された便益は総じて、それがなければ何かができないといったクリテ
ィカルなものではなく、普段の生活や手続きが少し便利になるといったものであった。それ故に我々が
議論の結果決定した市場規模算出の際の利用料は当初想定より安価なものとなっている。本研究では市
場の可能性を測るためシェアを限定せず市場規模が大きく出ているが、実際にはマイグループ単体の事
業としての成立は難しく感じられた。一方でマイグループの互助への適用性は、民間サービスにおいて
も成り立つことがわかった。このことから民間サービスへの適用においては、既存のサービスにアドオ
ンすることにより便益を享受する方法を取ることが望ましいと考える。例えば、マイグループを適用し
たサービスのもつ利便性、安心感を付加価値として他社とのサービスの差別化や、グループによる顧客
情報を活用した販売チャネルの獲得などに利用することが想定される。
しかしマイグループフレームワークは、運営者のアイデアにより自由な発想でサービスが構築される
ものであり、本分科会内の範囲の狭い知見によらず、幅広い集合知のもとに、国民の利便性の向上を前
提とした互助・共助の発展の理念をもった自由な発想でビジネスモデルの構築が行われることを期待す
る。
21
2013 年度
研究成果報告書
LS 研: 官民情報連携で生まれる付加価値ビジネスの研究
7. 想定効果に対する検証
これまでの調査により、本分科会の提案するマイグループフレームワークを活用することにより、行
政サービスにおいては戸籍の把握など一部の利便性向上やコスト低減などのメリットが生まれることが
確認できた。しかし現状の行政サービスはすでに世帯を前提に積み上げられた経緯もあり、マイグルー
プフレームワークの活用そのものが直ちに効果をあげるというものではなかった。一方でマイグループ
フレームワークは、民間サービスにおいて世帯や戸籍といった枠にとらわれない共助・互助に役立つ便
益を生み出すだけではなく、新たなビジネスの市場を生み出す枠組みを提供できることが確認できた。
最後に我々が当初想定した効果に対する評価を図表 31 に示す。
図表 31 マイグループによる想定効果に対する評価
No.
1
グルーピング化による
課題
評価
想定効果
世帯の枠組
制度上の世帯管理が信用の
マイグループの関係性の証明
【〇】
み
枠組みとして固定観念化し
により、世帯や戸籍・血縁等
遠距離に住む親族や、近隣住民、
ている。近隣や異なる世帯
に縛られず権限を委譲するこ
また本人が関係性を証明できな
の血縁者など実際の社会に
とができるようになること
い状況においても、あらかじめマ
おいて相互扶助が可能にも
で、近隣・自治会向けサービ
イグループを作成しておくこと
関わらず、この観念がある
スなど、これまでになかった
でサービスが可能となる。この応
ためにサービスの多様性が
多様な相互扶助サービスが生
用として万が一サポートや共同
阻まれる。
まれてくる。
住宅を中心としたグループなど
の多様なサービスが生まれてく
ることを確認できた。
2
不十分な代
世帯に属さないがために血
マイグループにより公的な関
【〇】
行・委任制度
縁者であっても、委任によ
係性の証明が容易となる。ま
共同住宅向けのサービスなどに
る権限を行使する際の手続
た企業等の運営者が手続きの
見られる住民と別居家族、管理会
きが煩雑である。
簡略化自体をひとつのサービ
社、出入り業者など、近隣や関係
スとして付加価値を生み出す
者の個人の証明と住居者との関
ことで利便性の向上につなが
係性の証明をマイグループが行
る。
うことで、セキュリティを確保し
つつ入館手続き等が簡略化する
という付加価値が生まれること
がわかった。
3
申請主義
世帯に属さない血縁者、委
マイナンバーのプッシュ機能
【〇】
任された他人への通知サー
を拡張し、あらかじめグルー
死亡時の通知など血縁関係にと
ビスはなく、申請主義のま
プに登録された血縁者や、他
どまらずプッシュサービス等に
まである。
人に対しても本人が許す範囲
よる通知が可能となる。また通知
で通知が行えるようになる。
先が変更された場合も、マイナン
バー制度との官民情報連携によ
り情報を通知することが可能と
なる。
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2013 年度
研究成果報告書
LS 研: 官民情報連携で生まれる付加価値ビジネスの研究
8. おわりに
かつて一億総中流といわれた生活水準や手厚い社会保障制度は核家族化を推し進め、血縁や地縁の希
薄化を引き起こした。しかし近年格差社会化に直面し、また社会保障制度の不安もあり、改めて「つな
がり」を意識せざる得ない社会となっている。一度希薄化した「つながり」を取り戻すことは難しく、
新たな「つながり」の在り方が求められてきた。我が国での SNS の普及はそれに呼応した萌芽であり、
必然的に生まれてきたものではないだろうか。
本分科会の提案するマイグループは、例えばそのような新しい「つながり」に対し高い信用を与える
のである。マイグループはその関係性や権限の委譲を証明することで、その「つながり」がより高度な
サービスを享受できるようにする。マイグループフレームワークはオープンな仕組みであり、その利用
方法は行政や企業が決定する。このような仕組みの上に運営者の集合知により社会が求めるニーズに合
わせたきめ細かな新しいサービスが次々に生み出されることを期待する。
このような「つながり」に対するサービスこそ、これからこの国が必要とする互助、共助に対するソ
リューションになると考える。
23
2013 年度
研究成果報告書
LS 研: 官民情報連携で生まれる付加価値ビジネスの研究
9. 参考文献
1) NRI ニュースレター 特集 インビジブル・ファミリー:
http://www.nri.com/jp/event/n_letter/2007/pdf/nl20071201.pdf
2) 市民が主役の地域情報化推進協議会 番号制度研究会 編著:マイナンバーがやってくる 改訂版、
日経BP社、初版、2012 年 10 月
3) 前田 陽二、松山 博美:国民 ID 制度が日本を救う、新潮新書、初版、2011 年 10 月
4) 榎並 利博:共通番号(国民ID)のすべて、東洋経済新報社、初版、2010 年 12 月
5) 内閣府、社会保障・税番号制度について 平成 25 年 10 月 内閣官房 社会保障改革担当室 :
http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2013/__icsFiles/afieldfile/2013/10/08/25z
en3kai3_1.pdf
6) 内閣官房、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(マイナンバ
ー法)
:http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/pdf/bangouhou.pdf
7) 官民情報連携による新しい日本の創造、2012 年度研究成果報告書(第 16 分冊)
、FUJITSU ファミ
リ会 LS研究委員会、2013 年 5 月
8) 内閣官房 社会保障・税番号制度 、番号制度導入によるメリット:
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/index.html
9) グラフデータベース:http://oss.infoscience.co.jp/neo4j/neo4j.org/
10)平成17年度 市町村の業務システムの 導入および運用に要する経費等の調査:
http://www.soumu.go.jp/denshijiti/pdf/060925_s1-1.pdf
11)宮城県歯科医師会身元確認研修会 H24/10:
http://www.aoki.ecei.tohoku.ac.jp/dvi/pdf/5-1_Seminar.pdf
12)朝日新聞 「歯のカルテDB化、身元確認に活用 歯科医師会が検討」 H23/7/31:
http://www.asahi.com/special/10005/TKY201107290311.html
13)読売新聞 「被災地の遺体身元確認、歯科医らが迅速システム」 H23/11/1:
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866918/news/20111031-OYT1T01400.htm
14)総務省 「情報通信白書 H25 年度版」国立社会保障・人口問題研究所 「日本の世帯数の将来推
計」 H25/1:http://www.ipss.go.jp/pp-ajsetai/j/HPRJ2013/gaiyo_20130115.pdf
15)遺言信託契約件数 約 8 万件 (日経新聞 H25/10/14)
:
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF0900K_Z01C13A0NN7000/
16)信託財産設定額合計 2,607 億円 (信託協会公表値 H25/9 末時点) :
http://www.shintaku-kyokai.or.jp/news/news251017-1.html
17)遺産整理業務最低報酬額
105 万円(実費除く) (みずほ信託銀行他)
遺言書管理信託手数料
31.5 万円~+年間 6,300 円 (みずほ信託銀行他)
:
http://www.mizuho-tb.co.jp/souzoku/yuigon_kanri.html
18)平成 20 年度マンション総合調査結果 (国土交通省) :
https://www.mlit.go.jp/common/000037707.pdf」
19)全国の分譲マンションストック戸数について(平成21年末現在)
http://www.mlit.go.jp/report/press/house06_hh_000040.html
20)独立行政法人 経済産業研究所:「都市の成長と空間構造に関する理論と実証」プロジェクト
http://www.rieti.go.jp/jp/publications/nts/12e002.html
24
2013 年度
研究成果報告書
2013 年度 研究成果報告書(第17分冊)
官民情報連携で生まれる付加価値ビジネスの研究
-国民のつながりのグルーピングによる付加価値の創造-
2014 年 6 月 3 日
発行
編集発行者
FUJITSU ファミリ会
発
FUJITSU ファミリ会 LS 研究委員会
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富士通株式会社
統合マーケティング本部 カスタマーリレーション部内
Tel:03-6252-2581
E-mail: contact-lsken@cs.jp.fujitsu.com
行
所
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