Hokkaido University - 北海道大学大学院 国際広報メディア・観光学院

北海道大学大学院
国際広報メディア・観光学院
Graduate School of International Media, Communication and Tourism Studies
Division of International Media and Communication
Division of Tourism Creation
Hok kaid o U n ive rs i ty
舞台は地球。
学院案内 2 015
学院長あいさつ
国際広報メディア・観光学院にご関心をお持ちの皆様に、一言ご挨拶申しあげます。当学院は、2007年度に設
置された人文社会科学系の比較的新しい大学院で、国際広報メディア専攻と観光創造専攻という二つの専攻か
ら構成されています。当学院では、これまで、現代社会において私たちが直面しているアクチュアルな問題に対し
て、広報とジャーナリズム、メディアと文化、言語とコミュニケーションそしてツーリズムという複数の異なる観点
を有機的に接合させ、
領域横断的な教育研究を実践してきました。
日本の国立大学の現状について、少し触れておきましょう。この2年ほどの間に、日本の各国立大学と文部科
学省とが連携し、各大学の強み・特色・社会的役割を明確にすべく、教育研究の分野ごとに「ミッションの再定
義」を行いました。当学院は、北海道大学において「国際広報メディア学」と「観光創造学」を通じて社会科学分
野の中の「メディア・観光学」
の教育研究を推進するというミッションを担う組織として特徴づけられています。
ミッションの再定義の内容に沿って、当学院の教育研究の特徴を大きく三つに分けて紹介しましょう。
第一は、広報、ジャーナリズム、観光等の関連企業との連携を通じて、現役実務者による実践的教育を展開し
ていることです。野村総合研究所とは連携講座、JR東日本・JR北海道とは寄付講座を通じて教育の充実をはか
り、また読売新聞、
北海道新聞、電通あるいは JTB等の実務者による講義や演習を継続してきました。
第二に、東アジア地域をはじめ世界各国の大学と連携し、国際共同教育プログラムや国際共同シンポジウムを
推進することで、教育研究のグローバル化を推進している点が挙げられます。具体的に言うと、例えば韓国漢陽
大学校メディア・コミュニケーション学科、中国社会科学院新聞研究所あるいは英国シェフィールド大学東アジ
ア研究所等と連携し、メディア・コミュニケーション研究や東アジア地域研究の分野で、学生交流も含めた教育
研究の連携を進めています。
第三に、本学院の教育研究の成果を社会に直接還元すべく、道内外の諸地域の振興に民産官と連携して取り
組むと同時に、国際協力事業においても観光を通じた社会貢献を実践してきました。特に、後者においては、大学
院生が国際貢献の現場を体験する機会として、エチオピア、ペルー、フィジー等でのフィールドワークを授業の一
環としても実施し始めたところです。
情報通信環境の肥大化や資本のグローバル化が急速に進展する中で、私たちが生きる社会は多層化し複雑さ
の度合いを増しています。肥大する巨大ネット空間と現実空間とが相互に作用することで私たちのコミュニケー
ション様式は大きく変容し、伝統的共同体の空洞化と人の物理的移動の活発化により私たちの共同性の形も激
変しつつあります。これらの情勢の変化を契機に生まれつつある現代社会の新たな問題に対処しつつ、未来へ
向けて新たな可能性を追求するために、異なる研究領域を単に領域横断的に架橋するだけではなく、それら異
分野を融合した新たなディシプリンの確立に着手すべき時期が近づいているのかも知れません。皆さんも、是
非、このメディア・観光学という人文社会科学のフロンティアに大いなる野心をもって参入してみませんか。
Message
From the Dean
国際広報メディア・観光学院長
山田 義裕
Yoshihiro Yamada
¦ Graduate School of International Media, Communication and Tour ism Studies HOK K A I DO U N I V ERSIT Y 2015
Index
組織体制
本学院は、
「4つの研究組織」
と
「2つの教育組織」から構成される。
それぞれが有
機的つながりを持ち、
研究成果や教育成果を共有している。
研究組織
情報基盤センター
留学生センター
メディア・
コミュニケーション
研究院
概要
国際広報メディア・観光学院
02
■ 国際広報メディア専攻
04
■ 観光創造専攻
06
観光学高等
研究センター
教員紹介
国際広報メディア専攻
●広報・ジャーナリズム論コース
08
10
11
12
公共伝達論講座
国際広報メディア専攻
ジャーナリズム論講座
観光創造専攻
国際広報論講座
国際広報戦略論講座
教育組織
●メディア文化論コース
13
15
メディア文化論講座
マルチメディア表現論講座
●言語コミュニケーション論コース
教育体制
16
17
18
言語伝達論講座
本学院では、
学内の研究組織及び学外の機関・組織が、
国際広報メディア専攻と
観光創造専攻の教育を支援する体制をとっている。多彩な専門領域からの専門家
が学生の研究を総合的にサポートしている。
日本言語論講座
言語習得論講座
観光創造専攻
メディア・コミュニケーション研究院
20
●観光文化論講座
22
研究者養成への支援 15
研究者養成への支援 19
募集要項
23
就職サポート
24
主な就職先
25
観光学高等研究センター
留学生センター
情報基盤センター
野村総合研究所
電 通
観光創造専攻
国際広報メディア専攻
●観光創造論講座・
観光地域マネジメント論寄附講座
読売新聞社
JR東日本
JR北海道
01
北海道大学大学院
国際広報メディア・観光学院
Gr a d u a t e S c ho ol of I nt e r n at ion a l Me d i a , C om mu n ic at ion a nd Tou r i s m S t ud ie s
Ho k k a id o Un i v e r s it y
本学院で学問を探求し、研究をするということ
前世紀からはじまったグローバル化、情報化、多文化化は、21世紀に入り、
そのスピードを増している。
この巨大な社会変動は、
私たちになにをもたらすのであろうか。
本学院は、
現代社会の変化を、
「公共性と合意」
という観点から研究することを出発点とする。現代社会はそれらの社会変動に
より、
複数の極への集中が起きると同時に、
絶えざる拡散という反対の現象も起こっているからである。加えて、
新たなテクノロジー・
情報・知識が、
政治・経済・文化などさまざまな領域に複合的変化を与えている。
本学院でおこなわれている多様な研究は、
現代社会の変化を捉える新しい視座をつくりだすことを目指している。
そのためにわ
れわれは、6つの領域を研究対象とする。
「公共伝達」
「ジャーナリズム」
「広報」
「メディア文化」
「言語」
さらに「観光創造」である。
それらの研究を通じて、
「公共性と合意」
という社会の基盤を探求することがわれわれの使命である。
本学院で研究する学生は、
研究の場での学びを通じて、
現代社会構造の理論的把握と適格な判断力、
文化力・言語力を習得
すると同時に、
政策の立案および実現へのコミットメントなど実際的な力をつける場への参加が求められる。
沿革
教育課程の特色
2000年(平成12年4月)
本学院では、
国内外からの学生、
また仕事をもつ社会人として入学してくる学生の事情
北海道大学言語文化部、留学生センター、情報
に合わせて、
さまざまな教育支援を実施している。
メディア教育研究総合センター
(国際コミュニケー
ション分野)
を母体として「大学院国際広報メディア
研究科」が発足。
4学期制の導入
1年を4学期に分けて、
導入教育から専門教育への移行をスムーズにした。
「概論」
「特
2002年(平成14年4月)
論」
「演習」の順に、
各自の研究テーマに合わせて、
一歩ずつ専門に進むことができる。
博士後期課程がスタートし、高度な専門研究を
授業「科目群」
実践する研究者の育成が始まる。
多彩で個性的な授業科目をいくつかの「科目群」にまとめて履修の指針とした。研究
2006年(平成18年4月)
テーマが決まったら、
あとは関連の「科目群」
を履修して修士論文に邁進しよう。
観光学高等研究センターが創設され、北大にお
実践教育の重視
ける観光研究が本格的に開始される。
2007年(平成19年4月)
「国際広報メディア研究科」から「国際広報メ
ディア・観光学院」に組織機構及び名称を変更。新
たに観光学高等研究センター所属教員を教育ス
タッフに加えた「観光創造専攻」が誕生し、
「国際
広報メディア専攻」
と
「観光創造専攻」の2専攻体
制になる。
「教室と実社会の壁」
を低くするため、
「プロジェクト演習」が設けられている。社会が直
面している現実の課題に対して、
学生が提言を行う実践演習である。
これ以外に、
インター
ンシップも単位化されている。
学外専門家による連携講義
新聞社、民間企業、
シンクタンクに所属する学外専門家による連携講義が展開されて
いる。急激に変化する現代社会の実態を知るプロフェッショナルが行う講義は魅力的だ。
社会人学生のための「6講目」
社会人学生が学びやすくするための夜間開講、
さらには、要望に応じた土曜開講も導
入している。
夜間開講の時間帯は、
夕方6時15分から7時45分までだ。
年2回実施される博士入試(国際広報メディア専攻のみ)
国際広報メディア専攻の博士後期課程は年2回
(8月と2月)
の受験が可能。
また、
8月入
試に限り、
北海道大学北京オフィスでも試験を実施する。
0 2 ¦ Graduate School of International Media, Communication and Tour ism Studies HOK K A I DO U N I V ERSIT Y
2015
修士課程、
博士後期課程の各段階で、
研究者、
高度職業人の育成にむけた、
段階的な教育プログラムを実践している。
修士課程
段階
1年目 高度専門基礎段階
2年目 高度専門発展段階
目的
高度の知識をもつ専門的人材への第一段階として、
方法的基礎と専門分野の全体像を獲得する
専門分野の実例研究や実習を通して、高度の知識を
もつ専門的人材として自立する
4 月 ● アドバイザーの決定
4 月 ● 修士論文、特定課題研究趣意書の提出、
副指導教員の選定
研究指導体制・
スケジュール
9 月 ● 指導教員の決定
10月 ● 学修計画書の提出
3 月 ● 研究経過報告会
6 月 ● ワークショップおよびプレゼンテーション・
スキルズ研修会
夏
● 修士論文、特定課題研究中間発表会
11月 ● 修士論文、特定課題研究題目の提出
1 月 ● 修士論文、特定課題研究報告書の提出
2 月 ● 修士論文、特定課題研究報告書の審査
博士後期課程
段階
1年目 研究基礎段階
2年目 研究発展段階
3年目 研究自立段階
目的
独創的研究職業人への第一段階として、高度な研究
の基礎を築く
研究の深化と発展を図るため、研究の有用性を実証
的に検証する
独創的研究職業人として自立し、研究を完成させる
研究指導体制・
スケジュール
4 月 ● 指導教員を決定
(10月) ● 研究計画書を提出
3 月 ● 研究経過報告書の提出
(9月) ● 公開の研究経過報告会において
1年間の研究活動の成果を発表
● 学生ごとに1名以上の副指導教員を選定
● 予備論文Ⅰの発表
10月 ● 指導教員および副指導教員を中心とした
(4月) 適切な指導のもとで博士論文趣意書を作
成提出
● 公開の博士論文趣意書検討会を開催し、
研究内容の学術的価値や独創性、研究方
法の妥当性等について多角的に検討
12月 ● 指導教員および副指導教員による趣意書
(6月) の検討結果を教授会に諮る
11月 ● 博士論文提出
(6月) ● 教務委員会により、論文提出資格審査が
行われ、博士論文提出のための資格要件
が満たされているかを判定
1 月 ● 教授会において博士論文受理について議決
(7月) ● 博士論文審査委員を選定し論文審査を開始
2 月 ● 公開口頭試問の開催
(8月)
3 月 ● 予備論文Ⅱの発表
(9月)
03
講座紹介
国際広報メディア専攻
定員
修士課程
博士後期課程
27 名
14 名
Division of International Media and Communication
研 究と教 育 の目的
「メディアとコミュニケーション」
から現代社会をみる
国際広報メディア専攻は、
「メディアとコミュニケーション」の視点から現
広報・ジャーナリズム論コース
本コースでは、現代社会において重要な機能を果たしている公共コ
ミュニケーション、
広報、
マスメディアおよびジャーナリズムの理論を適格に
理解し、
コミュニケーションにおける現代的問題を発見し、
その解決へ向
けての方策を立案・実践する能力を育成する。
代社会を調査・分析していくことを研究の基本としている。
それは、
われわ
公共伝達論講座
れの社会が、高度に情報化し多様化しつつ、同時に、
グローバル化と
ローカル化という両極に分化しているからである。
メディアとコミュニケー
現代社会における公共的コミュニケーションのあり方を基礎的に研究
ションの視点を抜きにしては、
現代社会は語れない。
する講座。前提となる「公共性」の歴史的・地域的考察はもとより、メディ
メディアとコミュニケーションの研究を通じて、現代社会の急激な変化
アを含む国際的・社会的コミュニケーションの理論と現状分析、さらには
に対応できる行動力を持った人材を育成し、
メディアとコミュニケーション
社会的意思決定・合意形成のメカニズム解析と方法論開発等が行われて
に関わる広範囲な領域において優れた研究を遂行できる研究者の養成
いる。具体的なフィールドに対する準拠枠の提示とその妥当性の検証が
主要テーマだ。
を教育の目的とする。
ジャーナリズム論講座
コ ー スと講 座
ますます国際化し、多様化する現代社会における「世論」はいかにして
形成されるのか。世論形成とマスメディアの関係はどのようなものか。現
専門分野別に3コースを設定
代社会においてジャーナリズムはどのような役割を果たしているのか。国
国際広報メディア専攻は、
「広報・ジャーナリズム論コース」
「メディア文
上を図る。
際ジャーナリストを目指す学生諸君の資質とコミュニケーション技術の向
化論コース」
「言語コミュニケーション論コース」
と3つのコースに分けて教
国際広報論講座
育・研究が行われている。
社会には多様な価値観と利害関係を有する人・組織が存在する。その
STUDENTS
VOICE
中で、組織は自らが存在する意味を、利害関係者や社会に明瞭に訴えか
けていかねばならない。国際広報論とは、グローバル化とメディア環境の
住んでわかる北海道の魅力
札幌の利便性と豊かな自然
劇的変化のなかで、組織の情報受信・発信のあり方を、多様な利害関係
者を考慮しつつ、広い視野に立って研究する学問である。
国際広報メディア専攻 M2 網野真佐子
私は札幌生まれ札幌育ちの道産子です。今では日本で5番目に人口
の多い街となった札幌には、大都市の持つ利便性と四季折々の豊かな
自然が共存しています。丁度いいコンパクトさと発達した交通網による
住み易さを実感したのは、長年の海外生活のあとでした。
国際広報戦略論講座
多様な価値観と利害関係が錯綜する現代社会において、企業や組織
が自らの好感度を創出・維持・強化する手法を研究・開発し、あわせてグ
ローバルな広がりと、変化するメディア環境の中で、マーケティングやマ
1年のうち5ヶ月間雪に悩まされることを除けば、札幌の魅力は無尽
ネジメントをも取り込んだ21世紀型トータル広報戦略の実践を目指す。
蔵です。世界に誇るコンサート施設キタラ、札幌ドームもあれば、中心
本講座は、野村総合研究所の現役研究員によって行われる。
地から30分でスキー場に行ける立地は都市文化と自然が融合したバ
ランスのとれた街です。豊平川が南北を流れ、南西部には支笏洞爺国
立公園があり、住んでみたい街にランクインしています。
あり方を様々な立場から研究することを目的としています。最も共感す
北海道と本州の間にあるブラキストン線は、北海道と本州以南の動
る学院の特徴は、領域横断的に門戸が開かれているところです。様々
植物分布が異なることを示します。津軽海峡の北では独特の風土、景
な学問的経歴をもつ留学生と共に学ぶことで、多様な価値感を実感で
色、気質が育まれます。北海道人は「違い」に対して寛容であり、自己
きます。急激な社会情勢の変化や多種多様な情報に対して、グローバ
主張が控えめといわれます。これは長い開拓の時代、厳しい環境の中
ルな視点からコミュニケーション関連の領域を研究することができます。
で忍耐と受容の精神が根付いたからでしょう。文化の多様性を受け入
札幌市のシティプロモーション活動のコンセプトは「笑顔、スマイル」。
れる寛容性を生み出す一因にもなっています。
住んでいる人、訪れる人を笑顔にさせてくれる街で、ゆったりと暮らし
私の所属する国際広報論講座は企業や組織のコミュニケーションの
ながら勉強ができる魅力ある環境です。
0 4 ¦ Graduate School of International Media, Communication and Tour ism Studies HOK K A I DO U N I V ERSIT Y
2015
国 際 広 報 メディア 専 攻
[ 学生研究室・図書資料室 ]
国際広報メディア専攻は、修士課程と博士後期課程別に研究室がある。修士課程は2学年
が共同で、学ぶ学生一人ひとりにLAN回線が装備された個人専用の机が用意されている。研
究室に隣接する図書資料室では、国内外の新聞や専門書などを閲覧でき、新聞記事検索、衛
星放送・DVD閲覧用ブースも設備されている。博士後期課程は5つの部屋に分れている。
メディア文化論コース
言語コミュニケーション論コース
メディア技術の革新によってもたらされた高度情報化社会においては、
言語コミュニケーションは人間社会の発生以来、
社会や文化を支える
近代社会とその文化の枠組みは大きな変容を迫られている。
またメディ
基礎構造としての機能を果たしている。近年、
コンピュータやネットワーク
アと文化の関係も改めて問われることになる。本コースでは、
高度情報化
テクノロジーの発展による情報化とそれに伴うグローバル化により、
言語コ
社会における文化変容、文化と表象メディアの関係、文化や社会の多
ミュニケーションはその性質と機能が複雑化し根本的な変貌を遂げつつ
元化について幅広く研究すると同時に、
マルチメディア表現に通じ、
ボー
ある。本コースは、
このような時代における言語コミュニケーションの本質
ダレス化した現代社会に柔軟に対応できる人材の育成を目指す。
を探求し、現代社会と言語コミュニケーションにかかわるさまざまな問題
に理論的および実践的に取り組む専門家の養成を目的とする。
メディア文化論講座
言語伝達論講座
高度に情報化し多元化した現代社会を、メディア技術と文化の関係、
サブカルチャー等の現代メディア文化、映像やデザイン、絵画、建築等の
多様性を増す国際社会において、言語はコミュニケーションの鍵として
諸メディアに表象される文化の特質、異文化における表象の交換、民衆
その重要性を一層増している。言語の構造、情報伝達、社会的機能など
文化とそのメディア等、メディアと文化の関係にかかわる多様な側面を研
を研究してその本質を明らかにし、さらにコンピュータによるテキスト処理
究する。
などの実践的な技能の開発や養成を行うことによって、公共伝達や国際
広報研究に必要な言語学的基礎を提供する。
マルチメディア表現論講座
日本言語論講座
デジタル技術の発達にともない、高度にデジタル化されたマルチメディ
アコンテンツのあり方を研究する。デジタルテキストとデータベースの活
現代日本語を他言語と比較し、その構造と特性を解明する。また、コ
用、Webアプリケーションの可能性、ネットワーク上の知的財産権、ネット
ミュニケーション手段としての日本語に関連する政策的要因を検討する。
ワークコミュニティの構築とマネジメントなど、実践的に学んでいく。
さらに、効果的な日本語教育のための、教授法の手法・理論を構築する。
言語習得論講座
第一言語(母語)獲得と日本語を含む第二言語習得を言語科学、情報
科学およびコーパス言語学などさまざまな観点から研究する。言語習得
の理論的な研究に基づいて、効果的な言語学習プログラムと実践的な教
育方法の研究・開発を行う。さらに、ネットワークで利用可能な言語学習
支援ツールなどの研究・開発をすすめる。
お正月に何をしますか
日本人は外国人に「お正月は、どういう風にすごしますか」とよく訊く。正月を特別な日として祝う国は
多いだろうが、たとえばアメリカ人にそう尋ねても、期待する答えは返ってこない。
「ピザを片手にテレビ
でフットボールを見る」とたいていは答える。
しかし、アメリカ人もクリスマスには親族が一緒にごちそうを
食べ、プレゼントを交換する。日本人は1月1日をお祝いする。
しかし、韓国や中国では旧暦の正月を今で
も祝う。旧正月の祝い方を訊かれたら、日本人はどう答えるだろう。そもそも、どうして日本だけ正月を西
暦で祝うようになったのだろうか。異文化に触れることで、あたりまえと思ってきたことに疑問が生じる。
古来の伝統と思っていたことに、意外な真相が隠れているかもしれない。私たちが思い込んでいることが
専攻長
河合 靖
らが形作られていく過程は、それが世論であれ、企業イメージであれ、文化的価値観であれ、ステレオタ
イプであれ、ネット上の都市伝説であれ、学術界の言説であれ、呪術的な言い伝えであれ、明確に解明さ
れているわけではない。メディアとコミュニケーションは、古くて新しい研究分野なのだ。
05
講座紹介
定員
観光創造専攻
修士課程
博士後期課程
15 名
3名
Division of Tourism Creation
研 究と教 育 の目的
ス タッフと 講 座
未来のツーリズムを拓く
職業人・研究者の養成
2つの研究機関からの
専門スタッフが教育・研究を実施
観光学は確立されたディシプリン
(学問分野)
ではない。
これまでは、
経
本専攻では、
観光学高等研究センターとメディア・コミュニケーション研
済学、
経営学、
政治学、
法学、
社会学、
歴史学、
文化人類学、
民俗学、
農
究院所属の専門スタッフが教育および研究を行っている。指導教員1名
学、工学、医学など、
あらゆる学問分野を総動員し、観光という現象の解
だけでなく、
副指導教員を配し、
専攻全体による
「複数教員指導体制」
を
明に取り組んできたのが実状だ。
しかしながら、観光に関する教育が
とっている点に特色がある。
徐々にその歩みを進めてきたことは確かである。変わりゆく社会に対して、
自ら変革の先駆けとなり、
新たな現象を創り出す人材を養成することこそ、
観光創造論講座
観光地域マネジメント論寄附講座
これからの大学に課せられた使命であろう。
北海道大学に誕生した観光創造専攻は、
まさにこのような創造志向の
研究・教育を行うことを旨として発足した。本専攻で学ぶ学生は、単一の
ディシプリンに沿って勉強するのではなく、
自ら研究課題を見つけ、
それに
応じた研究方法論を選択し、
必要な知識を身につけながら、
その課題の
解決を目指していくことになる。
そしてこのような経路を辿ることで、
学生た
ちは将来、
職業人・研究者それぞれの舞台において、
観光にかかわる創
文化多様性の時代におけるツーリズムの意味、国際協力と観光、地域
文化と観光を3つの柱に、ツーリズムがもつ潜在的文化力・経済力・親和力
を顕在化する方法を研究する。また新しい形の観光産業モデルはどうある
べきか。
「生活の場」としての地域をツーリズムによっていかに活性化し、
いかに持続的で自然な形で産業化するか。田園と都市の協働、地域ブラ
ンドの創生を軸に、理論研究と実践活動を行う。
造的な仕事を展開していくことができると信じている。
観光文化論講座
コ ー スと講 座
人々の生活を根底で規定しているのは「文化」であり、ツーリズムに対
する考え方も、各地域間で共通するものと異なるものが存在する。
「旅」の
価値共創・地域協働・国際貢献
社会的・文化的位置づけ、マスツーリズムの問題、
「出会い」とコミュニ
ケーション、観光の歴史その他、
「旅の文化」の諸相を研究する。
観光創造専攻では、地域社会等で観光創造分野をリードできる幅広
い専門的能力を有する高度な専門的人材、並びに観光が関わる広範
な領域において次代を担う教育・研究を遂行できる優れた研究者、
これら
二者の養成を教育の理念として掲げている。
具体的には、前者=高度な専門的人材の養成に当たっては、以下の
3つの能力の育成に重点を置いている。すなわち、地域の自然・文化資
東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)
と
北海道旅客鉄道株式会社(JR北海道)から
「観光地域マネジメント論寄附講座」
源等に関わる価値を創出する
「価値共創」にかかわる力、民産官学の
多様な利害関係者の協働関係を構築する
「地域協働」にかかわる力、
2007年度から、北海道大学観光学高等研究センターに、
JR東
および観光による地域振興の手法を、
社会的課題を抱えた海外諸国・地
日本とJR北海道のご厚意により、
「観光による地域マネジメント」を
域に実践的に応用する
「国際貢献」にかかわる力、
の3つである。
そして、
対象とする寄附講座(2015年度現在、教授2、准教授1、助教1)が
これら3つの能力を基礎として持ちつつ、
いずれかの能力において特に
開設された。観光に強い
秀でた観光創造の専門的人材を育成することを目指している。
関心を寄せるJR2社と
また、
後者=研究者の養成に当たっては、
観光創造の根幹をなす活動
北 海 道 大 学 が 提 携し 、
や現象を対象として学術的研究を深化させ、新しい観光研究の領域を
切り拓くことのできる力の育成に重点を置いている。
「観光地域マネジメント
論」を学術的に研究・教
育しようという試みは、国
内外の注目を集めている。
0 6 ¦ Graduate School of International Media, Communication and Tour ism Studies HOK K A I DO U N I V ERSIT Y
2015
観光創造専攻
[ 学生研究室・図書資料室 ]
観光創造専攻は、修士課程および博士後期課程、そして教員スタッフの研究室がいずれも
同一フロアに隣接しており、
親密な研究交流が行われている。学生研究室は学生一人ひとりに
LAN回線が装備された個人専用の机が用意されており、研究に集中できる環境が整っている。
図書資料室には専門書が並び、勉強会にも活用できる。
養 成 され る 人 材と期 待 され る 進 路
高度専門職業人と
新しいタイプの研究者を養成
観光創造専攻においては、
上記の教育理念に基づき、
各課程の教育
方針に則った教育が行われる。修士課程(博士前期課程)
においては、
STUDENTS
VOICE
観光創造専攻の濃くて深い一年間
観光創造専攻 M2 三宅美緒
修士課程の一年目を振り返ると、毎日が大変濃く充実していました。
観光創造専攻の三つの理念である価値共創、地域協働、国際貢献も
バランス良く学び、観光研究を進める上で土台となる知識を得ること
ができました。
観光創造を通して地域再生に貢献しうる専門的能力を備え、
リーダーに
8月までの授業は講義が中心でしたが、自分の考えを述べ、意見を
ふさわしい資質の養成を目指す。
また博士後期課程においては、新しい
整理した上で議論を進める授業もあり、知識習得の他、思考の整理
観光研究の領域を開拓でき、
「美しい日本の再生」や「文化創造国家の
方法も学びました。また、熱い先生が多く、そのエネルギーを受けて
実現」に貢献できる高度な研究能力を備えた研究者を養成していく。
授業後に学生間で議論が白熱することも多々ありました。同期は、社
会人も学部生出身も、台湾や中国、韓国などの留学生も、出身大学
所定の教育課程を修得し、
このような人材に成長した学生は、
卒業後
も学部も様々です。多様な価値観の中でお互いの考えを共有するこ
には、
国内各地域や世界をフィールドにして、
培った専門能力を生かして
とは、自分の視野を広げる良い機会となりました。飲んだり緩むことも
いくことが期待される。活躍の場は、
関連国際機関から国内外の自治体、
観光関連企業や公共施設など、
多方面にわたっていくことであろう。
たまにありますが、研究に対しては真摯に取り組む良き仲間です。
10月からは、アウトプットの機会が増えました。フィールド型の演習
も多く、学習の場は学校から美瑛など北海道や国内、のみならずフィ
ジーやバングラデシュまでも広がりました。現地での調査や分析、解
決策の提案という実習過程を通し、地域における大学の役割や社会
に求められる研究の意義などについて考えました。
●自治体の政策部門
●広告代理店
●国際協力機関
●シンクタンク、調査機関
●旅行代理店
●在日外国政府観光局
●観光関連企業
●博物館、美術館
●国際観光振興機関
道の自然のダイナミックさを感じることができる点です。さらに、大学
●観光関連NPO
●大学および研究機関
●国際NPO・NGO
構内にはアイヌの遺跡やアイヌ語由来の川もあり、構内トレイルの授
北大で学ぶ魅力は、資料の充実など学習環境の良さに加え、北海
業があったのも北大の観光創造でなければ経験できない点です。
一年が終わり、自分の研究を深化させる時期になりました。3月に
専攻内で行われたポスター発表では、先輩方や先生方から様々な指
地域に
貢献する
人材
世界に
貢献する
人材
●観光において民・産・官・学の協働を
マネジメントできる人材
●国際観光の戦略立案とマーケティン
グができる人材
●観光戦略立案とマーケティングがで
きる人材
●インバウンド観光の広報と情報戦略
を企画立案し実践できる人材
●大型コンベンションを企画・立案し、
そのマーケティングができる人材
●開発途上国に対して人材の育成やノ
ウハウ指導などができる人材
摘を受けました。集団指導体制という環境を活かして、二年目に向け
て自分の問題意識を整理し研究していきたいと思います。
多様な価値観を尊重し合う社会を目指して
私たちは、他者・異文化と接触した際、大きく三つの反応をします。
「反発・拒絶」
「無関心」
「対話・交
流」の三つです。では、どうしたら、他者・異文化との接触を「対話・交流」に導くことができるのでしょうか。
グローバル化、ボーダレス化が進む中、この命題はますます重みを増しています。まさにこうした他者・異
文化との接合面をフィールドとし、他者・異文化との接触を、多様な価値観の尊重へと導くための要件・仕
組みを探ること。それが観光創造研究に課せられた現在的使命です。
そのために私たちは、まず、一人の人間としての個をしっかりと持ち、そして自文化をしっかりと学び、
愛さなければなりません。と同時に、人間と文化に対する深い洞察を通して、異文化に対する敬意を持ち、
「もし自分が相手の立場だったら」という想像力を鍛えていく必要があります。
専攻長
新渡戸稲造先生の「われ太平洋の架け橋たらん」という高邁な理想を、観光創造研究の面から追及し
山村 高淑
ていく、本専攻がそんな場になればと願っています。
07
国際広報メディア専攻
D i v i s i o n o f I n t e r n a t i o n a l M e d i a a n d C o m mu n i c a t i o n
国 際 広 報 メディア 専 攻
広報・ジャーナリズム論コース
公共伝達論講座
広 報・ジャ ー ナ リ ズム 論 コ ー ス
杉浦 秀一 SUGIURA Syuichi
橋本 聡 HASHIMOTO Satoshi
担当授業/公共伝達論演習
担当授業/公共文化政策論演習
一橋大学大学院社会学研究科博士課程卒業。一橋大学社会学部助手、北
海道大学言語文化部助教授を経て現職。著書『ロシア自由主義の政治思
想』
(未来社、1999年)
所属学会/日本リスク研究学会、
情報文化学会
研究領域/知識社会学、科学技術社会論
1987年学習院大学博士後期課程中退、同年から本学に勤務。
「多言
語性をどうマネージメントするか? EU言語政策の最新動向」、橋本聡・
原田真見(編)
『 言語と社会の多様性』、大学院メディア・コミュニケー
ション研究院研究叢書69号、
2008年3月など
一人前の
「専門家」
になろう!
多様性をいかにマネージメントするべきかを考える
「専門書」
を読む技能を修得することが、授業の狙いです。一人前の専門家になるには、500
統合の進展めざましいヨーロッパの公共文化政策、
とくにEUとCoE(ヨーロッパ評議会)
に
冊の専門書を読む必要があります。一年に読めるのは50冊程度ですから、単純計算で、10年
よるヨーロッパ共通の枠組み形成について分析と考察を行う。
とりわけ多様性管理とかかわる
かかります。
でも、読んだまま忘れてしまっては困ります。500冊の専門書を頭の引き出しにし
政策に注目する。授業では以下の3点を重視する:・統合が進むヨーロッパにおいて、公共文
まって、必要な時にいつでも取り出せることが必要です。忘れない読み方、
いつでも利用できる
化政策、言語政策の分野でどのようなヨーロッパ共通の政策枠組みが形成されつつあるのか
読み方を修得してもらいます。小説と比べてみましょう。小説の内容は、比較的長く記憶に残り
を調査することを通じ、
ヨーロッパに関する情報収集能力を身につける、・現実の事象の動態
ます。小説には主人公がいて、主人公の体験や感情(推理小説なら犯人の動機や犯罪の手口)
的変化に注目し、変容の本質を見極めることに挑む、・普遍的問題の所在を認識し、それに対
を、頭の引き出しに保存できるからです。専門書の主人公は
「概念」
です。
「概念」
は小説の主人
するヨーロッパの対応についてヨーロッパ外との比較にも挑みつつ、学術的に論じる機会を持
公共伝達論講座
公と同じく、
さまざまな体験(敵対概念や補助概念との接触や新たな現実との衝突など)
によ
つ。具体的には、
ヨーロッパ統合と言語(教育)政策、
ナショナル・マイノリティ問題、移民問題
り、変化、成長します。
この
「概念」
を追跡していく方法を学びます。
に焦点を当てることになる。
ただし、参加者の修士論文のテーマにも配慮するので、初回授業
時に相談してほしい。
鈴木 純一 SUZUKI Junichi
長島 美織 NAGASHIMA Miori
担当授業/公共社会分析論演習
担当授業/リスク社会論演習
ジャ ー ナ リ ズム 論 講 座
マサチューセッツ工科大学大学院言語・哲学研究科博士課程修了。
(Ph.D)。
「予
防的アプローチの起源にみる「情報」
と
「文化」の関係」
(『情報文化学会誌』13-2、
2006)、
「リスク概念の多元性と統合性について」
(『メディア・コミュニケーション
研究』65,2013)、
「環境リスクと健康リスク」
(『国際広報メディア・観光学ジャー
ナル』19, 2014)、
「社会のリスク化と持続可能性」
(『メディア・コミュニケーション
研究』67, 2014)、
『拡散するリスクの政治性̶̶外なる視座・内なる視座̶̶』
(萌書房, 2015, グレン・D・フック/ピアーズ・R・ウィリアムソンとの共著)
東京大学文学部卒、同大学院後期博士課程中退。研究・論文は、ハーバマ
ス、
ルーマンを軸にした社会理論とその展開(『予期と規範』、
ドイツ文学第
127号、2006年等)、
「メタファー」
を触媒にした思想・文化理論の多面的
表現(『「メタファー」
と
「メタ思考」』、
メディア・コミュニケーション研究第58
号、2010年等)、
ヨーロッパ文化作品の具体的分析(『二つの救済―〈パル
ジファル〉
と
〈ファウストゥス博士〉』、年刊ワーグナー・フォーラム2008等)
の三つの流れが主
現代「公共社会」とは何か。どのような視点からの分析が有効か
私たちの生活とリスク
「公共社会」
を分析する際に有効と考えられるアプローチの方法・視点を、様々な分野から取
現代社会は、物質的豊かさを享受する一方で、
自然環境の劣化や格差の拡大など様々なリ
り上げ、理論的に検討すると同時に、それらを具体的なフィールドに接続させる作業をおこな
スクに直面している。便利さと安全さ、
自由と寛容と規範、科学技術の発展とその社会的受容
う。理論分野で敢えて分類するならば、
多元文化社会と現代公共圏(社会的なコミュニケーショ
といった、様々な価値と利害の対立のなかで、私たちはそれらとどのように折り合いをつけて
ンの「場」の歴史的な変遷と現代的な要請の解明)、
メディアとコミュニケーション
(メディアに
いくべきなのであろうか。
まず、近代・現代とはどのような時代なのかを、
リスクの意味合いやそ
応じた
「空間」
の特性とコミュニケーション相互性のリアリティ分析)、合意における倫理的規範
の社会的位置を手がかりとして把握し、
それが西洋のみならず、
アジア諸国の現状を理解する
(複数の主体間の調整に倫理的な基準はあるのかという問いの検討)、合理的意思決定と社
のにも役立つことを確認する。
さらに、
リスクとグローバリゼーション、科学やメディアとの関連
会システム
(合理性の在り処と機能的社会の決定メカニズムの関連性の検討)
の4つに分ける
性、そしてリスクのもつ政治性や公共性について検討する。ただし、演習においてはこれらの
ことができるが、
むろん各領域は相互に関連し、事例を扱う際は多層的な分析を試みる。
問題意識のほんの一部に触れることができるというのが実情。多くの
「知識」
を紹介するという
国際広報論講座
よりは、文献の読み込みを訓練することにより、
社会学的な洞察力を養う。 土永 孝 TSUCHINAGA Takashi
鍋島 孝子 NABESHIMA Takako
担当授業/マイノリティ論演習
担当授業/開発政治社会論演習
国際広報戦略論講座
北海道大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。酪農学園大学講
師を経て現職。
「手話をめぐる問題圏と大学英語教員」北海道大学英語英
米文学研究会 The Northern Review 第30号(2002)pp. 35-4、
「手話・ろうの異化作用:今、
なぜ、
『聴くこと』
なのか?」清水賢一郎、西村龍
一編『聴くことの時代』国際広報メディア研究科・言語文化部研究報告叢書
54(2003)
pp. 195-217
東京大学大学院法学政治学研究科修士号、パリ第一大学第三課程政治学
博士号。実務経験として、在マダガスカル日本国大使館専門調査員。著作
は「アフリカ的社会主義における農村と国家」(博士論文、原文仏語、
2004)、
「アフリカの伝統社会と市民社会:アフリカ連帯の可能性を問う」
と
「地域研究方法論:理論批判と比較研究によりアフリカの特徴を抽出する」
『国際広報メディア
(
・観光ジャーナル』
2007年第6号と2009年第9号)
あたりまえを疑う
アフリカを知って寛容と批判力を身につける
ろう
(者)
について聴者が抱いているイメージは自然(当然)
なものではなく、構築されたもの
アフリカの社会と国家の特徴的な関係を、理論と歴史的考察によって理解する。
アフリカの
である。
この授業では、言語としての手話、言語的少数者としてのろう者という視点から、聴者
社会においては、近代化(国民国家の導入、産業・経済構造、法律、道徳的価値観など)がもたら
が当然視している価値観を相対化し、批判的に見るきっかけを提供する。さらに、障害学
した暴力と周縁化を見ると同時に、その近代性を打ち壊すようなダイナミズムがある。外因性
(disability studies)という新しい研究分野がもたらした障害(者)
に対する視点の変化を手
と内因性の因果関係を明らかにして、土着の社会構造が変容し、政治化していく過程を学習す
話、
ろうという視点と結びつけながら考える。
る。方法としては、政治学や人類学、経済学、社会学などの様々なアプローチから追求する。
こ
のような演習は、紛争と貧困、急速な発展と格差といった今日の激動のアフリカを読み解くこ
とに役立つであろう。開発問題を扱う専門家を目指す学生のみならず、途上国の実情を独自の
視点で報道しようとするジャーナリストの候補生、
または国際社会の一員として世論形成する
上で、気概を持って取り組むことを期待する。
0 8 ¦ Graduate School of International Media, Communication and Tour ism Studies HOK K A I DO U N I V ERSIT Y
2015
教員紹介
国 際 広 報 メディア 専 攻
金山 準 KANEYAMA Jun
担当授業/社会認識論演習
広 報・ジャ ー ナ リ ズム 論 コ ー ス
2001年、東京大学教養学部卒業。2010年、東京大学大学院総合文化研
究科博士課程修了。博士(学術)。論文として、
「神話と機械―ジョルジュ・ソ
レルと二〇世紀「社会主義」―」
(『思想』1002号、2007年)、
「A・グラムシ
における規律とヘゲモニー」
(『国際広報メディア・観光学ジャーナル』第9
号、2009年)、東京大学大学院総合文化研究科博士課程論文「ジョル
ジュ・ソレルの思想とソレル主義の展開」
(未公刊、2010年)
など
世論とは何か?
公共伝達論は公共コミュニケーション論とも言い換えられます。それでは、
コミュニケーショ
ンが公共的であると言えるとき、そこにはどのような特徴があるでしょうか。公共的であること
は、
コミュニケーションにいかなる特性を与えるでしょうか。
それはどのような意味で社会にとっ
て必要なものでしょうか。
これらの問題を考える上で、最近の演習ではとくに「世論(public
opinion)」
を主題としています。世論とは、必ずしも実際に顔を合わせない人々が、
それにもか
かわらず何らかの仕方で形成し共有する公共的な見解です。公共的コミュニケーションの一形
態として世論はどのように分析できるでしょうか。
メディアの発展が世論のあり方にいかなる影
公共伝達論講座
響を与えるか、世論は民主主義的な政治と社会にとっていかなる意味を持ちうるか、
などの問
題と併せて理論的・歴史的に検討します。
ジャ ー ナ リ ズム 論 講 座
国際広報論講座
国際広報戦略論講座
09
教員紹介
国 際 広 報 メディア 専 攻
広報・ジャーナリズム論コース
ジャーナリズム論講座
藤野 彰 FUJINO Akira
江口 豊 EGUCHI Yutaka
担当授業/マスメディア論演習
担当授業/メディア史論演習
広 報・ジャ ー ナ リ ズム 論 コ ー ス
早稲田大学政治経済学部卒業後、読売新聞東京本社の記者として約34年間、
ジャーナリズムの第一線で活動し、社会部記者、上海特派員、北京特派員、
シン
ガポール支局長、国際部次長、中国総局長、編集委員(中国問題担当)
などを歴
任。2012年4月から現職。専門分野はジャーナリズム論、現代中国論。著書に
『嘆きの中国報道』
(亜紀書房)、
『現代中国の苦悩』
(日中出版)、
『臨界点の中
国』
(集広舎)、
『客家と中国革命』
(東方書店)、
『現代中国を知るための40章』
(明石書店)
など。訳書に
『殺劫̶̶チベットの文化大革命』
(集広舎)
ほか。
名古屋大学文学部、北海道大学大学院文学研究科でドイツ語学を専攻。
マ
インハイムドイツ語研究所、
チューリヒ大学ジャーナリズム・メディア学研究
所にて客員研究員。
17世紀のドイツ語圏における新聞成立史を研究中。
ジャーナリズムは不透明な時代に切り込む武器であり、精神である
なぜ新聞は生まれたのか
私たちはいったいどんな時代を生きているのか、そしてどこへ向かおうとしているのか。
ラジオやテレビなどの放送メディア、インターネットなどの電子メディアの隆盛期を迎え、活
ジャーナリズムとは、不透明感漂う時代状況にメスを入れ、人間社会の抱える様々な矛盾と格
字メディアの代表選手である新聞の存在は色褪せたかに見えます。新聞購読者数の減少で経
闘し、現実をよりよい道へと導くための努力を重ねる実践活動です。
ジャーナリズムの姿はそ
営合理化、系列化も進み、新聞人自身から
「斜陽産業」
との自己批判も出されることがあるほど
れが存在する国家や社会のありよう、
さらには時代の潮流を如実に反映します。授業ではそう
です。
しかし、私は今後も新聞がなくなることはないと考えています。
なぜ新聞はこの世に生ま
いったジャーナリズムの特性を念頭に置きながら、
マスメディアにおけるジャーナリズムの現状
れ、世界中に普及したのでしょうか。
この疑問に取り憑かれて調べていると、逆に人間や社会
と課題、
その使命と目指すべき方向性を考えます。同時に、
マスメディアの基本理論を踏まえ、
の本質がぼんやり浮かび上がって見える気がします。
またなぜヨーロッパで最初に近代社会が
公共伝達論講座
実際的な報道と比較対照しつつ、
ジャーナリズムの今日的な存在意義への理解を深めたいと
成立したのかという大問題を考えるとき、新聞やその先駆形態のコミュニケーション革命が果
思います。現在、既成のマスメディアは歴史的な変革の波に洗われていますが、そういう過渡
たした壮大な役割を感じ取ることもあります。
期だからこそ、
ジャーナリズムの足元を見つめ直すことの重要性が一段と高まっているといえ
るでしょう。
ジャ ー ナ リ ズム 論 講 座
西 茹 XI Ru
渡辺 将人 WATANABE Masahito
担当授業/中国メディア論演習
担当授業/米国政治メディア論演習
中国瀋陽師範学院中国語言文学系卒業、中国遼寧省で『新思惟輯刊』
『遼
寧青年』
といった雑誌の編集に携わり、北海道大学大学院国際広報メディ
ア研究科博士課程修了
(国際広報メディア博士)。著書に
『中国の経済体制
改革とメディア』
(集広舎、2008)
など
シカゴ大学大学院国際関係論修士課程修了。
テレビ東京報道局政治部記
者、
コロンビア大学およびジョージワシントン大学客員研究員を経て2010
年から現職。研究テーマはアメリカ政治。主著に
『現代アメリカ選挙の集票
過程』(日本評論社)、
『評伝バラク・オバマ』
(集英社)、
『オバマ政権のアジア
戦略』
(ウェッジ)、
『オバマ政権はアメリカをどのように変えたのか』
( 東信
堂)、訳書に
『戦争とテレビ』
(みすず書房)
など
メディアと政治、経済、社会とのインタラクティブな関係に着目
現代アメリカの政治的イデオロギーをめぐるメディアの諸相
「改革・開放」
の進展に伴い、中国経済が30年間連続の成長を記録する中で、中国メディア
アメリカでは政党のみならず国民世論が、保守とリベラルに分極化しているが、その過程に
は大きく変容を遂げつつある。特に、党や政府の単なる宣伝機関から、宣伝、産業、報道と言う
おけるメディアの機能は無視できない。
メディアが保守とリベラルに分かれて対立軸の増幅を
三つの性格を持つ複合体となり、
この三つの性格が常に葛藤する状態にある。授業では、
こう
演出するなか、1990年代以降2極化は激しさを増し、討議型民主主義の空虚化が指摘されて
したメディアの変容がどのように生じてきたのか、その変化は何を意味するのか、
また中国メ
いる。他方、
アメリカにおける保守とリベラルとは思想であると同時に、
コミュニティの地域性、
ディアがどこへ向かっていくのかなどの課題を、
メディアと政治、経済、社会とのインタラクティ
人種およびエスニック起源、信仰などが半ば集団的に規定することも少なくない。市民のアイ
ブな関係から考察し、中国メディアを一つの事例として取り上げながら、
メディアが果たす社会
デンティティが政治を媒介にメディアと深い関係性を持っている。
また、
アメリカでは内政が外
的な役割を検討する理論や方法論を学ぶ。具体的に中国メディアの産業化、政治安定装置と
交まで定義することも少なくないが、為政者たる議員の政策は選挙区の利害に縛られる。
アウ
してのメディア、社会構造の多元化とメディア役割の変容、
といった様々なテーマを検討するこ
トリーチという集票戦略は、
こうした関係性の
「縮図」
であるが、
その過程でメディアは、無料の
国際広報論講座
とによって、受講者の具体的な研究課題に取り込む力をつけることが、
この授業の狙いである。
宣伝媒体として政治に関与するジレンマも抱えている。
アメリカの政治過程を事例に政治とメ
ディアの多層的関係を検討したい。
齋藤 拓也 SAITO Takuya
担当授業/メディア社会論演習
国際広報戦略論講座
2014年東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻博士課程修
了、博士(学術)。同研究科博士課程リーディングプログラム
「多文化共生・
統合人間学プログラム
(IHS)」特任助教を経て、2015年より現職。
これま
での主要な研究論文として、
「『悪』
の問題の解決策としてのカントの
『市民
社会』」
(『政治思想研究』第10号、2010)、
「カントにおける
『統治』
の問題:
祖国的な
『思考様式』
の獲得と実践」
(『社会思想史研究』第36号、2012)
がある。
メディアは政治、
社会とどのように関わりうるか
ジャーナリズムやマスメディアは
「表現の自由」
をはじめとする諸権利を支えにしてその社会
的な役割を果たしています。
このような権利に関する法律(いわゆる言論法)
は、長い時間をか
けて制度化されてきましたが、
しばしば制限される危険にも曝されてきました。授業では、
まず
「表現の自由」
をはじめとする諸権利が近代の民主主義国家において憲法によって保障される
権利として確立される過程について、近代立憲主義思想の成立と展開の関係から理解を深め
ることを重視します。
しかし、それだけではなく、
「表現の自由」
という権利が保障されることに
よって成立しうる
「公共圏」
において、
ジャーナリズムの果たしうる役割について幾つかのテク
ストを手がかりに考察を進めていく予定です。講義と文献講読を組み合わせて、法および政治
の枠組みとジャーナリズム、
マスメディアの関係から、社会について考える力を身につけていき
たいと考えています。
10 ¦ Graduate School of International Media, Communication and Tour ism Studies HOK K A I DO U N I V ERSIT Y
2015
国 際 広 報 メディア 専 攻
広報・ジャーナリズム論コース
国際広報論講座
山田 澤明 YAMADA Sawaaki
伊藤 直哉 ITO Naoya
担当授業/国際マーケティング・コミュニケーション論演習
担当授業/情報戦略論演習
組織にとってのコミュニケーションの本質を考える
ルーヴァン・カトリック大学(ベルギー)大学院博士課程修了。研究テーマは、
広報・マーケティング論、情報戦略論、観光情報学、教育工学等。最近の研
究は、Web2.0やCGMの情報環境分析、行動分析、戦略分析を中心に活
動を行っている。研究テーマに一貫しているキーワードは
「情報」。情報を切
り口に、
それぞれの個別研究テーマは通底している。社会科学の立場から、
社会科学と情報科学の融合を目指す
Web2.0時代のメディア戦略を考察する
企業経営において、安易な利益最大化は危険思想としたのは経営学者のピーター・ドラッ
情報戦略論では、伝統的な4大メディアに加えて登場した5番目のメディア、インターネット
カーです。
また、企業の基本的機能にはマーケティングとイノベーションの2つしかなくマーケ
の特性も考慮しながら、Web2.0時代の効果的なメディア戦略を考察する。CGMやソーシャ
ティングとは、企業の5つも6つもある機能の単なる一つではないと位置付けています。企業に
ル・メディアの台頭により、既存の情報戦略は大きなパラダイム・シフトを迎えている。
メディア
とって、利益そのものは存続のために手段であって、必ずしも目的ではありません。企業や組織
効果は、いまやネット上の影響を考慮しなければ、正確に把握することができない時代を迎え
の持続的な成長には、社会における存在価値、存在理由を明確にすることが不可欠です。
な
ている。
では、
ネット上のコミュニティでは、
どのような情報が生成、伝達、消費されているので
ぜ、その事業をするのかというミッションが組織の内外において重要です。その企業の社会的
あろうか?コミュニティ内の情報交換により、
どのような相互影響関係が成立しているのであろ
役割をどう設定し、社会や顧客に価値を提供し続けるか、国際的観点からマーケティング、
コ
うか?このような疑問に答えながら、本演習では、Web2.0時代の広報戦略やマーケティング戦
略を総合的に考察する。関連する学問領域は、広報論、
マーケティング論、
メディア効果論、情
を期待しています。
報行動論、消費行動論、Web2.0理論、
ネット・コミュニティ分析論、
データ分析論等々を予定し
ている。
ピーター・フィルコラ Peter Firkola
担当授業/広告企画論演習
担当授業/経営組織論演習
東京都立大学人文科学研究科修士課程を修了してから、12年ほど広告会社の博報堂に勤務し、そ
の間半分ほどの時間は中国で仕事をしました。主な仕事は中国市場における日系企業のマーケティ
ング、広告活動の企画実施です。1997年に愛知大学現代中国学部で教員生活をはじめ、2001年
より北大で働いています。観察領域は中国とメディアが関わるところ。北大に来てからは以下の書籍
に関わりました。
『中国ビジネスと情報のわな』文藝春秋2003年、
『変わる中国 変わるメディア』講
談社2008年、
『中国ネット最前線』蒼蒼社2011年、
『中国メディアハンドブック』経済広報センター
2010年、第二版2012年、
『日中関係史1972年-2012年Ⅱ経済』東京大学出版会2012年。
留学生センターで北海道大学短期留学プログラム(HUSTEP)の担当教員。北海道
大学大学院経済学研究科経営学博士。カナダのマクマスター大学MBA。研究テーマ
はキャリア・ディベロップメントと人的資源管理の国際比較。Recent Publications:
Working for the Kaisha: Career Development in Japan(2010)VDM
Publishing. ”Human Resources Management Practices within
Japanese Companies”in The Global Business Handbook: The Eight
Dimensions of International Management(2009)Gower Publishing.
広告からメディアを眺め、情報発信と企画の要諦を学ぶ
新聞やテレビといったメディアは、一般の営利企業とどこが違うのでしょうか。例えば日本の
Practical knowledge to work in an international
business environment.
メディアは広告という経営の視点から見ると、一つの産業なのですが、法的にはさまざまな特
経営組織論は、国際的なビジネス環境で働くことを考えている学生のための実用的な知識
恵を受けています。経営から眺めると、
メディアはいかなる容貌をしているのか。そのことは、
を提供する。特に、現在の日本企業経営に対する深い理解を学生に与えることを目的とする。
ジャーナリズムというものとどのような関係にあるのか。
そのあたりが自分の疑問です。研究対
授業の方法は、議論、
プレゼンテーション、
ケーススタディおよびグループ作業を通して、学生
象とする中国メディアもそのような視点から観察しています。でも担当する授業は方法論で
自らの積極的な参加を強調する。In the first half of the course,the characteristics
す。広告企画論では、
まずメディア産業がどのようになりたっているのかを学びます。その上
of traditional and modern management practices in Japan will be discussed.
で、広告という活動を、広告主、媒体社、消費者といったさまざまな立場で考えながら、広告企
In the second half,there will be an examination of emerging international
画を実習します。企画一般に興味のある人にも役立つ内容だと思います。
management trends.
ジャ ー ナ リ ズム 論 講 座
渡邉 浩平 WATANABE Kohei
公共伝達論講座
ミュニケーション活動の本質について学ぶことが重要です。受講生には、積極的なクラス参加
広 報・ジャ ー ナ リ ズム 論 コ ー ス
北海道大学工学部卒業、東京工業大学理工学研究科修士課程修了。㈱野
村総合研究所入社。社会システム研究室長、
ヒューマン・テクノロジー研究
室長、事業企画室長、野村総合研究所アメリカ社長、企画・広報担当執行
役員、常務執行役員コンサルティング事業本部長、常勤監査役などを経験。
主要な著書「コーポレート・アントレプレナーシップ」
( 共著、2001年)、
「2010年の日本」
(共著、2005年)
。
国際広報論講座
辻本 篤 TSUJIMOTO
Atsushi
担当授業/組織コミュニケーション論演習
国際広報戦略論講座
1972年、三重県鈴鹿市生まれ。2006年、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取
得退学。東京大学大学院情報学環助手、助教、特任研究員、客員研究員を経て2013年より現
職。著書に、CREATIVE MARKETING FOR NEW PRODUCT AND NEW BUSINESS
DEVELOPMENT,World Scientific Publishing Co.Pte.Ltd., Aug, 2008.(共編著)、
RISK AND CRISIS MANAGEMENT 101 Cases,(Revised Edition),World Scientific
Publishing Co.Pte.Ltd.,Jan,2010.(共著)、Corporate Strategies for Dramatic
Productivity Surge,World Scientific Publishing Co.Pte.Ltd.,June, 2013.など。
企業組織の内部コミュニケーションを探る
私は経営組織におけるリスクコミュニケーションのあり方を検討しています。組織論におけ
る
「リスク」
は純粋リスク
(pure risk)
と動態的リスク
(loss or gain risk)
に大別されると考
えます。前者は損失しか与えないリスクですが、後者はリスクそのものの運用次第で、大きな損
失を生むこともあれば、莫大な利益を生むこともあり、
リスクという情報をマネジメントする醍
醐味があります。前者では、特に製品事故における組織コミュニケーションのあり方(対内的/
対外的な組織広報のあり方)
や、危険物取扱組織における対内的リスクコミュニケーションの
あり方を模索しましたが、
ここ暫くは後者を重点的に扱ってきました。人文社会科学における新
しい情報学の知見(基礎情報学/構成主義的認識論)
を手法に据えて、新しい戦略的ナレッジ
マネジメントの方法論を模索しています。組織の中で創出/攪乱・拡散/構造化するコミュニ
ケーションを観察し、
そのひとつひとつに、組織にとっての、何らかの、
「意味/価値のまとまり」
を見つけることが、斬新な組織戦略を導くと考えています。
11
教員紹介
国 際 広 報 メディア 専 攻
広報・ジャーナリズム論コース
国際広報戦略論講座
北村 倫夫 KITAMURA Michio
野村 武司 NOMURA Takeshi
担当授業/パブリックセクター広報論演習
担当授業/広報企画論演習
広 報・ジャ ー ナ リ ズム 論 コ ー ス
81年北海道大学経済学部卒、野村総合研究所入社。地域計画研究部、行
政システム研究部、社会政策コンサルティング部等を経て、現在、社会シス
テムコンサルティング部担当部長(上席研究員)。07年より国際広報メディ
ア・観光学院客員教授(兼任)。主著/『情報世紀の育都論』
( 野村総研、
1993年)、
「公的セクターにおけるコミュニケーション革新と戦略的広報」
(『知的資産創造』、野村総研、2006年)、
「自治体が実践すべき戦略的広
報」
(『国際文化研修』、2010年、
全国市町村国際文化研修所)等
京都大学大学院工学研究科修士課程修了。
(株)野村総合研究所勤務。専
門は企業におけるコミュニケーション戦略。
日本パブリックリレーションズ
協会理事。著書に
『経営を可視化するナレッジマネジメント』
(野村総合研
究所、1998年、共著)、
『内部統制の本質』
(野村総合研究所、2006年、共
著)等
パブリックセクター
(自治体・公的機関等)
の広報戦略を提案する
企業を取り巻くステークホルダーとのコミュニケーションのあり方
本演習は、国内のパブリックセクターが直面する広報上の課題とそれに対応する戦略的な
本演習では、急速に変化する社会環境も踏まえ、企業における様々なステークホルダーとの
広報のあり方を国内外の先進事例等を踏まえて学ぶとともに、受講生自らが新しい広報戦略
関係に焦点を当て、
また、
コミュニケーション戦略が経営の重要な要素という視点も加味して、
やプロモーション事業について政策広報、観光広報、産業広報、環境広報等の面から立案し、
ネットワーク時代のコーポレートコミュニケーションのあり方について考察を行います。
また、
で
実際に地方自治体や公的機関へ「政策提案」することを目的とします。演習の前半セクション
きるだけ実際の具体例を取り上げて考察することで、企業の広報活動を理論と実務の両面か
では、講義、Webによる事例紹介、
ディスカッションを通して、パブリックセクター広報の基礎概
ら体系的に分析することを目的とします。授業は、
ほぼ月一度のペース
(原則として金曜日の
念・理論、課題、国内外先進事例、戦略的広報のあり方などについての概論を学びます。
また、
午後)
で実施する集中講義(全5回)。講義、
クラス討議、
レポート発表などを通じてテーマへの
公共伝達論講座
後半セクションでは、得られた知見をもとに自治体、公的機関、公益団体等が今後展開すべき、
理解を深める他、企業の実態を把握するため、企業訪問等を実施します。各回、与えられた
政策・観光・産業・環境等の面での広報戦略やプロモーション事業を立案し、
「提案書」
の形に
テーマについて文献やインターネットなどによる情報の収集・整理を行い取り纏める、簡単なレ
まとめます。それを実際に提案先に対してプレゼンテーションし、意見交換を行うなど、
より実
ポート提出の課題があります。
出席状況や課題の提出内容に加え、最終講義後の最終レポート
践的な演習になることを目指しています。
により評価を行います。
石井 伸一 ISHII Shinichi
担当授業/国際経営戦略広報論演習
ジャ ー ナ リ ズム 論 講 座
北海道大学経済学部卒。北海道大学大学院工学研究科修了。㈱野村総合
研究所入社。国際交通、国際物流、国際観光に関する研究を経て、
グローバ
ルサプライチェーン、事業戦略に関するコンサルティングに従事。ISO(国
際標準化機構)
や国連専門委員や日本政府国土交通省、経済産業省、財務
省など政府委員を歴任。98年北大より博士(工学)
の学位を授与。現在、野
村総合研究所上席コンサルタント、北陸先端技術大学院大学客員教授及
び筑波大学客員教授を兼務。
高い視座からグローバル経営を実践するための考え方を学び、仮説構築力をつける
世界では1日に100万機以上の航空機と100万隻以上の船舶が動き、
グローバルに人、
モ
ノが移動しています。情報は瞬時に、全世界をめぐり、地球規模での市場はひとつになりつつ
あります。企業経営を考える上で、
グローバル化はもはや避けて通れない大きな潮流です。本
演習では、
グローバル化の意味を考え、経営上の重要課題の一つであるサプライチェーン、
ロ
ジスティクスの問題を取り上げながら、
グローバル経営を実践するための基礎を学びます。企
業最適立地、比較優位論、国際会計標準、
グローバルナレッジマネジメント、
グローバル人事制
度等企業経営の実践は不測の事態への対応に必要不可欠です。世界経済システムや複雑化
する国際社会の枠組みの中でグローバル経営の本質を理解したうえで将来を見通し、高い視
国際広報論講座
座からグローバル経営を考える力を学んでいきます。答えはひとつではありません。
自分で考
えることが重要です。
社会の第一線で活躍する専門家から学ぶ
実践的な
「経営の視点、社会の視点」
国際広報戦略論講座
野村総合研究所
日本を代表するシンクタンク、野村総合研究所(NRI)は、
常に劇的に変化する世界経済・社会の最前線で、調査・分析・
コンサルティング業務を行ってきた。現役コンサルタントでも
ある講師陣と共に、激動の時代におかれた経営の視点、産業
界や社会を分析する視点を修得する。豊富なフィールドワー
ク、ケーススタディにより、現場の視点に立った判断能力を養
NRI会議風景
成する。
NRIアジアスタッフ・コンサルティングミーティング
12 ¦ Graduate School of International Media, Communication and Tour ism Studies HOK K A I DO U N I V ERSIT Y
2015
国 際 広 報 メディア 専 攻
メディア文化論コース
メディア文化論講座
石橋 道大 ISHIBASHI Michio
長井 裕子 NAGAI Yuko
担当授業/デザイン論演習
担当授業/多元文化論演習
字を書いてみよう
京都大学大学院文学研究科博士課程中退。主著:
「萌芽期における北京の
芸能ジャーナリズム」
(『北大言語文化部紀要』、2004)、
「満族作家穆儒丐
的文学生涯」
(中国語,
『民族文学研究』
2006年第2期)、
「穆儒丐の生涯に
関する二、三の補足」
(『北大国際広報メディア研究科・言語文化部紀要』
52,
2007)
、
など
文化のきた道を求めて―流動・融合・変容の諸相
かつて活字は、専門職人以外の人が扱うことはなかったが、今日ではDTPの普及で、
デジタ
「文化」
とは旅するものだ。古くは人によって、新しくは
「メディア」
という乗り物によって、此の
ル・フォントとして、誰もが気軽に扱うことができるようになった。それに伴って、活字に関する
地から彼の地へ、流動し、融合し、
また旅だってゆく。授業では中国、
あるいは日本を中心的な
知識が必要となり、活字に対する一般の関心が増大している。活字はもともと手書き字をモデ
フィールドとして、
さまざまな文化事象(たとえば生活文化や伝統文化など)
を俎上に載せ、文
ルとして作られたが、
やがて活字は独自の発展をとげる。手書き字との関わりを持たない活字
化の流動・融合・変容という視点から多角的、総合的に検討し、
その文化的特性を読み解くこと
も数多く作られた。
しかしまた、活字は今日でも、
デザインの源泉としての書字に戻ることが少
を試み、
あわせて文化伝播におけるメディアの役割にも言及する。現在、授業でとりあげている
のは、人間の存在を支える基層文化である食文化。
その流動の軌跡を追うことで、従来の視点
では見落とされてきた地域間あるいは民族間の相互関係を浮き彫りしていく。
「 文化のきた
は差異がわかりにくい。書いてみることによって、初めて、細かな差異を作りだす技術的な諸問
道」
をたどることは、新しい発見に満ちた知的冒険である。多くの人がその旅の道づれとならん
題が見えてくる。
さらに、
それとの対照で活字を見る目も養われる。
ことを!
宇佐見 森吉 USAMI Shinkichi
竹中 のぞみ TAKENAKA Nozomi
担当授業/イメージ論演習
担当授業/比較社会文化論演習
ボルドー第三大学大学院博士課程修了(フランス文学比較文学第三期課
程博士)。主要著訳書『フランソワ・モーリヤック論 犠牲とコミュニオン』
(1996年、北海道大学図書刊行会)、エミール・ゾラ『パリ』
( 2010、白水
社)
イメージの力について考える
比較を通して読み解く現代世界
イメージ論演習では、わたしたちを日々とりまいて、
ときに心をひきつけてやまないイメージの力に
グローバル化が進む一方で異文化間の対立の絶えない現代世界を、比較の視座を用いて
ついて考える。
イメージがその燦然たる輝きによってわたしたちをひきつけるとき、そこにはどんな力
読み解きます。授業では、私の研究対象とする地域がフランスのため、
フランスの事例と他国
が働いているのか。人を虜にしてしまうほど魅力的なイメージが、
なぜ徹底的な破壊の対象に反転し
の事例とを比較した文献を通して、
フランスはもちろん各国の社会的・文化的特性を探求しま
てしまうのか。そもそもイメージの否定、抹消は可能なのか。
こうしたイメージの生成と破壊の機構に
す。文献で扱われているテーマは、
オリエンタリズム、国民の定義、国籍法、移民政策、政教分
ついて、イメージの可視性と媒体の関連について考察するほか、芸術におけるイメージの変容過程、
離とスカーフ問題等ですので、それらを通して、異文化理解、多文化共生の方向性を探ること
現代文化における表象行為の意味についても考える。生活文化論演習では、生活文化を非専門家に
も授業の目標のひとつです。
フランス中心の授業なので
(ただし受講生は必ずしもフランス語
よるアートとして見るという観点から、現代生活におけるさまざまな行為や場所の様態に注目し、その
ができるわけではないので、
フランス語の文献を強制したりはしません)、
フランスという国の
可能性について考える。
ロシア文化が専門なので、
ソビエト政権による聖像破壊を事例としたり、非公
特殊性を知る好機になるとともに、文献を通して各国の多文化共生のための方策も見えてき
式芸術のインスタレーションを参照しながら、
プロパガンダやユートピア的ヴィジョンについて考えた
ますので、外国人が増えていく今後の日本の在り方について考えるためのきっかけにもなる授
りもする。受講者には視覚文化論、表象文化論、文化研究、現代アート、パブリック・プロジェクト等に
業です。
関心のある人が多い。
西村 龍一 NISHIMURA Ryuichi
川嵜 義和 KAWASAKI Yoshikazu
担当授業/現代メディア文化論演習
担当授業/文化形成論演習
東京大学人文科学研究科独語独文学修士。
「情報の
「人形」
の形而上学―
押井守のゴースト連作について」
「知覚複製メディアとアウラへの意識」
「電話の声とアイデンティティ―『ねじまき鳥クロニクル』
あるいはメディア
時代の文学」
「隣接性の暴力―ハイナー・ミュラーの喩」
東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。
主要業績:①「アイスキュロス劇断片78a,c Radt(ΘΕΩΡΟΙ Η Ι
ΣΘΜ
ΙΑΣΤΑΙ)
について」、
『西洋古典学研究』43(1995)1-11、②『キケロー選
集』第13巻「書簡I」
( 共訳)
( 岩波書店、2000)、③「コリンナ詩断片654
(a)col.i PMGについて」、
『北海道大学「大学院国際広報メディア研究科・
言語文化部紀要」
』47
(2004)175-190など
メディア思想、複製技術、
ポストモダン、
アニメ
アゴーンの形成・発展を考える
授業には二つの側面がある。ひとつはメディア思想と呼びうるものの読解と再検討である。
人類の文化の歴史は現在4万年にわたると考えられているが、
その長い歴史の過程で一文
これはベンヤミンの複製技術論やマクルーハンのメディア論等の古典を踏まえつつ、社会学的
化現象であるアゴーン
(競技)
がどのようにして芽生え成長していったかについて、本演習で
なメディア文化論や、ポストモダン思想に関するものを、折々のテーマに従って取り上げてい
は主としてスポーツや文芸のアゴーンに関する豊富な文献・考古資料に恵まれた、
オリンピッ
る。
もうひとつは、
メディアそのものの表現媒体としての特性の分析と、
この特性を踏まえた上
クの発祥地である古代ギリシアを例にとって概観しながら、
その形成から衰退にいたる一連の
での個々のメディア表現の意味を考察するものである。実写映画、
アニメ、現代小説あるいは
歴史的流れの背後にある様々な要因(宗教、政治形態、社会構造等)
を考察する。
また、一千年
メディアの概念を拡張することになるがモード論といった対象を過去の授業では取り上げてき
余りに及ぶ(紀元前776年∼紀元後393年)古代オリュンピア競技の変遷を具体的にたどり、
た。二つの側面はむろん無関係ではなく、ひとつの授業で総合的に取り上げることも多い。
たと
今日のオリンピック競技との主な相違点(民族意識、宗教性、参加者の階層等)
を分析すると
えばベンヤミンの言うアウラの喪失というメディア思想を、前田英樹の映像哲学と照らして再
ともに、
この競技の様々な問題点(初回が紀元前776年であったか、紀元前8世紀末まで競走
検討しつつ、
その後の映像作品がむしろ複製メディアにおいてアウラの喪失そのものをいかに
が唯一の種目であったか等)
を紹介、考察する。加えて、古代オリュンピア競技と現代オリン
作品のテーマとしてきたか等。
ピックが共通して抱える、
プロ化、政治干渉、贈収賄等の諸問題を検討し、
その要因を探ってみ
たい。
13
マルチメディア 表 現 論 講 座
早稲田大学大学院文学研究科ロシア文学専攻博士後期課程単位取得満
期退学。共著書に『現代ロシア文化』
( 国書刊行会2000)、
『 文化の透視
法』
( 南雲フェニックス2008)、
『 知っておきたいロシア文学』
( 明治書院
2011)、共訳書に
『ポエジヤ―言葉の復活』
(国書刊行会1995)、
『タルコ
フスキーの世界』
(キネマ旬報社1995)
ほか
メディア 文 化 論 講 座
なくない。西洋書写の特殊なペンを手に取って、4∼15世紀にかけての写本の字を書いてみよ
う。文字には字体という共通の骨組みがあるため、
どの書体も互いに似ていて、眺めるだけで
メディア 文 化 論 コ ー ス
北海道大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。
主要業績/「リーリエンクローンの印象主義」
「トラークルと印象派絵画」
「エックマンのユーゲントシュティール文字」
「ローマンカーシヴ注解」
「グー
テンベルク42行聖書の活字と写本の字の関係について」
「人文主義者の
書字のリズムとローマン体活字」
教員紹介
国 際 広 報 メディア 専 攻
メディア 文 化 論 コ ー ス
濱井 祐三子 HAMAI Yumiko
玄 武岩 HYUN Mooam
担当授業/エスニック文化社会論演習
担当授業/メディア文化社会論演習
東京大学総合文化研究科博士課程中退。主著は
『イギリスにおけるマイノ
リティの表象∼
「人種」
・多文化主義とメディア』
(三元社、2004)、
「多民族・
多文化国家イギリス」
(木畑洋一編『現代世界とイギリス帝国(イギリス帝
国と20世紀第5巻)』、
ミネルヴァ書房、2007)、
「『帝国の残滓』
∼ウガンダ
からのアジア人流入とイギリス社会」
(木畑洋一・後藤春美編『帝国の長い
影』、
ミネルヴァ書房、2010)
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。著書に、
『韓国のデジタ
ル・デモクラシー』
(集英社新書、2005年)、
『統一コリア−東アジアの新秩
序を展望する』
(光文社新書、2007年)、
『興亡の世界史18 大日本・満州
帝国の遺産』(共著、講談社、2010年)、
『コリアン・ネットワーク−メディア・
移動の歴史と空間』
(北海道大学出版会、2013年)
など。
多文化社会におけるメディア文化を考える
東アジアから越境的なメディア文化を見つめる
私の授業では、専門地域であるイギリスの事例を中心に、
移民・難民などの流入により、文化
メディアを文化として捉えると、そこには新聞やテレビ、インターネットといった媒体をはじ
やエスニシティの多様性が増した社会においてどのような問題が生じているのか、
またそこで
め、報道やコンテンツなどの言説、情報サービスの革新による匿名性やヴァーチャル・リアリ
教育、
メディアなどがどのような役割を果たすのかについて扱います。
それによって、国民国家
ティというコミュニケーションの様式、芸術や映像など表象、文化の流通における消費、
アイデ
の境界を越えた人の移動が活発化した現代世界、
その結果生じてきたいわゆる
「多文化社会」
ンティティやナショナリズムに作用するイデオロギーとともに、
その発生や起源にさかのぼる歴
においてどのような方策が必要とされているのか、
またそのような社会を分析する手法とし
史などさまざまな問題群に遭遇することになります。
これらの諸問題が越境的に展開される東
て、
どのようなアプローチが可能であるかについて考えることになるでしょう。受講生の関心は
アジアでは、
どのような新しいメディア空間が形成されているのでしょうか。
メディア 文 化 論 講 座
多文化主義教育に関心のある方、
メディアとマイノリティの関係に関心のある方、一般に移民
こうした東アジアにおけるコミュニケーション現象を軸に、
メディアが媒介する認識と身体性
や難民など国境を越えた人の移動による社会の変化に関心がある方、等々年々様々ですが、
の創造という文化現象を社会学の領域で研究する方法について考えます。
さらに、
その歴史・
イギリスにおける事例を通して、
日本という社会の多文化状況、多文化化といったものについ
文化・越境をメディアと国際政治の側面からアプローチすることで見えてくる地域主義の可能
て考えを新たにする受講者も多いようです。
性を探索します。
原田 真見 HARADA Mami
増田 哲子 MASUDA Noriko
担当授業/ジェンダー社会文化論演習
担当授業/視覚文化理論演習
マルチメディア 表 現 論 講 座
東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得満
期退学。 「ニュージーランド女性の国際意識と帝国―二十世紀の幕開け
から両大戦間期まで」
(『帝国の長い影』、
ミネルヴァ書房、2010年) 「変
わる言語・育てる文化―ニュージーランド英語とマオリ語から」
(北海道大
学大学院メディア・コミュニケーション研究院研究叢書69、2008年) 「メ
ディアと女性―1960年代ニュージーランドの
『揺れる』女性像―」
(『歴史
学研究』
、2004年)
等
「ジェンダー」
の視点で社会・文化の成り立ちを考える
筑波大学大学院博士課程人文社会科学研究科修了。博士(文学)。
「ゴヤの
《わが子を食べるサトゥルヌス》
における
「食べること」のイメージ」
(『美学』
239号, 2011年)、
「フランシスコ・ゴヤの
『戦争の惨禍』
における傷ついた
身体とアブジェクトな身体」
(『論叢 現代語・現代文化 筑波大学人文社会
科学研究科』第4号 2010年)等。所属学会:美学会、
スペイン・ラテンアメ
リカ美術史研究会。研究領域:近代西洋美学・美術史、
スペイン美術、視覚
文化研究
身体を揺さぶる
「イメージ」
とは何か
ジェンダー区分は、社会における女性/男性(あるいはそれら以外の性)
の
“見方”
の枠組み
これまで、18世紀スペインの画家フランシスコ・ゴヤの作品を対象として研究を行ってきました。
ゴヤ
を構成することにより、私たちの生活のあらゆる側面に関わっていると言える。
この女性観・男
の作品は主題も技法も多岐に渡りますが、私は次の2点の問題にとくに関心をもっています。ひとつは、
性観の枠組みを構築する大きな力となっているのがメディアである。
フェミニズムとともに発展
してきたその歴史ゆえに、
ともすれば「ジェンダー=女性の問題」
と捉えられがちであるが、
「ジェンダー」
の視点は女性に限らず、
マイノリティ、男性、社会の在り方/表象のされ方を問う
「近代」
という時代の面白さです。
ゴヤは18世紀末から19世紀へという、西欧における大きな思想的・文
化的転換期に制作を行っていました。
ゴヤの芸術作品には、古典主義的な世界から近代へという歴史的
なうねりや揺れ動きが、
ときにグロテスクに、
ときに率直に描写されています。もうひとつは、
「イメージが
基礎を提示してくれる。
この授業では、
メディアにおける女性・男性表象を扱う文献(主として
持つ力、鑑賞者に喜び、快楽、動揺、恐れ、あるいは不安や羞恥といった「身体的」
とも言える作用をもたら
英語論文)
を読みながら、ステレオタイプ形成の問題点や、
メディアが女性・男性のアイデン
すイメージの力の問題です。たとえば、
ゴヤが描いた残酷な戦争の場面を初めて観たときの「ショック」
と
ティティ、更には社会全般に及ぼす影響について考えていく。
また、開講年度によっては地域研
は何なのでしょう。イメージが私たちに及ぼす力や作用について知るためには、その主題や内容を分析・
究への応用としてニュージーランドの女性史や文化史を取り上げることもある。
読解しただけでは不十分です。授業では、
この問題に焦点を当て、イメージへの多様なアプローチの仕方
や扱い方について、美術史の研究手法をふまえつつ、哲学や文学の概念も参照しながら紹介していきた
いと思います。
周 倩 Zhou Qian
担当授業/中国語I-4、中国語I-12、中国語I-16、中国語I-19
2008年、東京大学大学院学際情報学府、学際情報学・修士。2013年、東
京大学大学院学際情報学府、学際情報学・博士。
日本学術振興会特別研
究員、東京大学大学院情報学環交流研究員、早稲田大学アジア太平洋研
究センター研究助手を経て、現在(2015年4月)、北海道大学大学院メディ
ア・コミュニケーション研究院助教。専門はメディア社会学、
日中比較社会
学。
日中両国の階層消費・メディアイメージ・意識に関する比較社会学
経済成長期に入った後の日中両国においては、都市中間層が増大し、消費に対する欲求の
高度化や多様化が進行している中で、
メディアは活況を呈し、消費文化が形成されてきた。国
民の階層意識や価値観などには変化が起こり、
かつての
「政治の季節」
から
「経済の季節」へと
移行してきた。
では、今日、われわれが日常的に自明視している消費文化は、
日中両国の経済
成長期において、
どのようにわれわれの階層意識や、価値観、行動様式などに影響を与えてき
ているのか。いかなる政治的・歴史的意味とイデオロギー的役割を担ってきているのか。その
裏にいかなるメカニズムが隠されているのか。
また、
日中両国はそれぞれの経済成長期におい
て、いかなる相違性と類似性を見出すことができるのか。
また、その相違性と類似性を把握す
ることによって、今後のわれわれの社会にとっていかなる意義を提示できるのか。
これらの問い
に答えることは研究の目的である。
14 ¦ Graduate School of International Media, Communication and Tour ism Studies HOK K A I DO U N I V ERSIT Y
2015
国 際 広 報 メディア 専 攻
メディア文化論コース
マルチメディア表現論講座
田邉 鉄 TANABE Tetsu
担当授業/マルチメディア文化社会論演習
マルチメディア表現論演習
院生室紹介
メディア 文 化 論 コ ー ス
大阪外国語大学大学院外国語学研究科修士課程修了。2008「RPG型中
国語グループ学習システム」
・2009「中国語ローマ字習得プログラム
『カ
ナ☆ピン』」
・2010「人工無能小李4号」
( 以上電子学習システム等)、
2001
『電脳中国学』
II(漢字文献情報処理研究会編・好文出版)
本学院には、院生の研究が円滑に遂行できる環境を提供するた
ICTとともにあるほかない
「わたし」
のサバイバル
テオ・ヤンセンは、
「いきもの」
を
「自律的に行動し、遺伝し、進化するもの」
であると定義し、
プ
ラスチック・チューブの
「いきもの」
を創りだした。私たちは意識するとしないとに関わらず、
「自
分の口出し可能な世界」
を区切って生きている。
「もの」
と
「いきもの」
・
「わたし」
と
「あなた」
・
「じ
め、修士課程と博士後期課程別に院生研究室が設けられ、パー
テーションで区分けされた机とスペースが一人一人の院生に与え
られている。机には、ネットワーク・ケーブルが設置され、インター
ぶん」
と
「せかい」
の境界を自明で絶対的なものと捉える限り、
「いきもの」
を創るという実験は
ネットを通して学内・学外の研究リソースを十分に活用しながら研究
「精妙な自然のグロテスクな模倣」でしかない。だが、
コンピュータ、特にインターネット技術の
を行うことができる。院生室には共有のパソコン、プリンタ、スキャ
進化は、脳の外部化、知のネットワーク化を促進し、境界線は自明のものでなくなりつつある。
の何を、
どう変えようとしているのかを、具体的なコンテンツやサービスを通して検討する。
ナー等も整備されている。幾つかの共有PCには、統計ソフト、グラ
メディア 文 化 論 講 座
文化は遺伝するか、
また、進化するか。愛は編集・保存・複写できるか。情報通信技術は、私たち
フィックソフト、編集ソフト等、高価で個人では購入できないが研究
上必要不可欠なソフトも完備されている。
サポート
学院の充実した研究誌
学院では、学生が発表可能な二つの研究雑誌を備えている。
『 国際
社会人学生の学ぶ環境を
サポートする
「長期履修制度」
広報メディア・観光ジャーナル』
(査読有)
は学院の研究誌でもあり、博士
仕事をもちながら研究生活を送ろうと志す社会人学生のために、
当学
後期課程の学生には博士論文への重要なステップとなっている。
院が支援している制度に、
学修年限を延長できる
「長期履修制度」があ
また、学生が中心となり編集・発行している論文集『Sauvage(ソヴァー
る。修士課程の学生なら、規定の2年間を最大4年間に、博士後期課程
ジュ)』
も、
2005年の創刊以来着実に号を重ねている。本論集は、
学院か
は規定の3年間を最大6年間まで学修期間を延長できる便利な制度だ。
らの支援のもと、
企画・編集・発行・合評会の開催まで学生が中心となって
自分の生活環境に合わせて学修期限を設定できるのが特徴。
この制度
運営されている。掲載論文の合評会では闊達な議論が交わされ、学位
を利用できる社会人学生は、企業に勤めている者、個人事業をしている
論文作成に向けて切磋琢磨する場として、多くの学生が参加している。
者など、
フルタイムで業務をこなしていることが条件で、
勤務先等からの証
研究論文の他にも、
修士論文・博士論文要旨も掲載されている。両誌とも
明書が必要となる。
以下でアクセス可能。
なお、
主として博士後期課程在籍の社会人学生で、
東京等の遠隔地
http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/handle/2115/35531
で仕事をしながら博士論文の準備をしている学生等には、
指導教官との
連絡体制が整えば、
出張形式での指導がしばしば行われている。
詳しくは事務部まで問い合わせを。
国際広報メディア・観光学院奨学金制度
本学院には、修士課程合格者のうち、試験成績が極めて優秀で、本
学院に入学することを確約する者に、入学後に入学料に相当する金額
を一括支給する給付型奨学金制度が設けられている。
(平成26年度入
学者より実施)
学院の若手研究者養成プログラム
学院では、
論文執筆に向けた研究能力向上を促すため、
学会の全国
大会発表、
国際学会での発表に関し、
「若手研究者養成経費」による交
通費補助を行っている。
この制度を利用することにより、多くの学生が学
会発表の実績を上げている。
また、
ポスドク学生には、
助教ポストを利用し
たキャリアアップも行われている。
15
マルチメディア 表 現 論 講 座
研究者養成への支援 教員紹介
国 際 広 報 メディア 専 攻
言語コミュニケーション論コース
言語伝達論講座
言 語 コ ミュニケ ー ション 論 コ ー ス
園田 勝英 SONODA Katsuhide
大野 公裕 OHNO Kimihiro
担当授業/コーパス分析論演習
担当授業/言語構造論演習
東京学芸大学大学院教育学研究科修士課程。研究テーマは「英語語彙
論」。
日本人のための効果的な語彙習得法の開発が目標。主著/『大学生
用英語語彙表のための基礎的研究』
( 北大言語文化部研究報告叢書、
1977)
『英語コーパス言語学』
、
(研究社)、
など
1980年、北海道大学大学院文学研究科修士課程修了。最近の論文:
「定
形節からの目的語への繰り上げと位相理論」
(北海道大学『メディア・コミュ
ニケーション研究』第54号、2008年)、
「再構築と束縛条件Cの適用レベ
ルについて」
(北海道大学英語英米文学研究会The Northern Review
第36号、
2009年)
コーパスを通して英語を観察する
普遍文法から見た日英語統語論
言語学的興味から、
あるいは英語教育の改善のために、英語そのものをより広くより深く知
我々が普段行っているコミュニケーションなどの言語活動は我々自身の様々な能力や知識
ることが求められています。
この目的のためにコンピュータ上に蓄積された各種日英語コーパ
によって支えられているが、言語能力はその中心に位置し、最も基本的な部分を構成してい
スを活用するための基本的な考え方から技術までを、実際に手を動かしながら習得します。
る。
チョムスキーが1950年代に提唱した生成文法は、
この人間の持つ言語能力をいわゆる自
コーパスを用いる言語研究は、本格的に開始されてからまだ日が浅く、今後多くの新しい分析
然科学の手法で研究していこうという試みである。
そしてその研究過程で、我々の言語能力の
手法が開発されることが予想されます。
また、
コーパスと呼ばれるコンピュータ上の言語資料
(語彙の獲得などを除いた)基本的な部分は生得的に備わっていることが明らかになった。
これ
も質的量的に日々拡大を続けています。
このような中で、今後のコンピュータおよびコーパス
は
「普遍文法」
と呼ばれ、生成文法研究の中心をなしている。
この授業では、
まず生成文法の研
研究の発展に合わせて、
自分自身も研究者として成長を続けて行くために必要な基礎的な素
究の対象と課題、
およびその研究方法を理解し、
さらに普遍文法の理論として1980年代に提
言語伝達論講座
養を習得していただくことが、私の授業の目標です。具体的には、
プログラミングの技術、
コン
案された「原理とパラメータの理論」の概要を日本語と英語の具体例を通じて解説する。そし
ピュータと言語の関係、言語研究の進展におけるコーパスの役割についての、確かな基礎を持
て最後に、名詞句の格と移動に焦点を当て、
日英語の統語構造を普遍文法の観点から捉える
つことを目標にします。
試みを行う。
日本言語論講座
鈴木 志のぶ SUZUKI Shinobu
飯田 真紀 IIDA Maki
担当授業/コミュニケーション学演習
担当授業/多言語相関論演習
ミネソタ大学大学院コミュニケーション学研究科博士課程修了
(Ph.D.)。研
究テーマは異文化・対人・組織コミュニケーション。論文 Forms of
written arguments: A comparison between Japan and the
United States (International Journal of Intercultural
Relations,2010),Trait and state approaches to explaining
argument structures (Communication Quarterly,2011)他
東京外国語大学中国語学科卒業。東京大学大学院人文社会研究科博士
課程修了。博士(文学)。研究テーマ:中国語学。特に広東語など中国語方言
の文法。主要著書:
『NHKテレビ アジア語楽紀行 ∼旅する広東語∼』(監
修・執筆) 日本放送出版協会、
『ニューエクスプレス 広東語』白水社。主要
論文:
「広東語における発話伝達の文末モダリティ助詞」
(『中国語学』第
254号,2007年)、
「 粤語的条件分句標記“ge3”」
(《中国語文》第5期,
2012年)
人間のコミュニケーションを研究する方法を学ぶ
ことばの多様性と普遍性を考える
この授業では、
コミュニケーション、
メディア、言語教育など、基本的に人間とその行動を対
世界の言語は一見様々に異なっているように見えますが、具体的な言語現象に見られる意
象とする研究を行う際に採用される方法について学ぶ。同時に、論文を理解するため必要な
味と形式の関係を深く考察していくと、言語の別を超えた一般的な傾向や規則が見出される
知識を得る。量的研究方法を中心とするが、質的研究方法にも若干触れる。具体的目標は次の
ことがよくあります。授業では、特定の言語理論に拠ることなく、個別言語における言語事実の
通りである。
正確な記述とそれに対する意味的・機能的基盤からの解釈、当該言語の文法体系における位
(1)種々の研究方法を用いて行なわれた研究報告や論文を読み、それらを以前よりも理解
置付け、
といった言語分析の方法を習得し、
さらに一歩踏み込んで、一見特殊に見えるそれら
できるようになる。
(2)異なる方法を用いた研究の具体的遂行方法について入門的理解を得
の言語事実が他の言語とも通底するどのような一般性を持ち得るのかを考察します。そして
る。
(3)
データの解釈についての入門的知識を得る。
最終的には、言語コミュニケーションの諸相の多様性と普遍性に対する理解を深めたいと思
います。
言語習得論講座
東アジアメディア研究センター
Center for East Asian Media Studies( CEAMS )
研究組織である大学院メディア・コミュニケーション研究院内には、東アジアメ
ディア研究センター(渡邊浩平センター長)が設置されている。研究活動を通じて、
東アジア各国・地域のメディアの情報集積および現状分析を行い、メディアや広報
に関連して域内の合意形成・相互理解促進に寄与するような実践的提言を行って
いる。同時に、東アジアのジャーナリズム、メディアの研究機関とネットワークの構
築をはかり、東アジアメディア研究の国際的拠点の形成を目指している。
本学院の学生とも様々な形で同センターとの連携が図られている。2013年度
の特別演習では、
「東アジア・メディア文化フロー」が展開された。学生自身が主体
となり、東アジアからの留学生も数多く参加して、東アジアメディアに関する調査
研究プロジェクトが活発に行われている。また、センターが所蔵する中国で発行さ
れている新聞・雑誌や東アジアメディアに関する文献を利用する事もできる。
16 ¦ Graduate School of International Media, Communication and Tour ism Studies HOK K A I DO U N I V ERSIT Y
2015
国 際 広 報 メディア 専 攻
言語コミュニケーション論コース
日本言語論講座
山下 好孝 YAMASHITA Yoshitaka
小林 由子 KOBAYASHI Yoshiko
担当授業/日本言語論演習
担当授業/日本語学習論演習
北海道大学大学院文学研究科行動科学専攻修士課程修了。1997年より
北海道大学留学生センター准教授。
『日本語教育学を学ぶ人のために』
(2001年 世界思想社 共著)、
「漢字
圏日本語学習者の意識化を促進するための漢字学習教材̶認知心理学
からの理論的検討を中心に̶」
(2010年世界日本語教育大会予稿論文集
2010年)、
「日本語教育分野における心理学教育の可能性」
(日本語教
育方法研究会誌、
2010年)
など
あたりまえの日本語に潜む謎
心理学的観点から言語学習支援
(研究)
を考える
私の講義の目標は日本語を上達させることではありません。
日本語を世界の様々な言語や
言語に限らず、学習を支援し研究するためには、心理学的な知見や方法論が有効な指針・手
日本各地の方言と対照することで、その特質を浮かび上がらせることが目標です。
なぜ、
日本
段となる。そこで、本演習では、言語学習と関わりの深い心理学分野の論文を読みつつ、心理
語で
「は」
という助詞をこの場面で使うのか、
なぜここは
「∼た」
ではなく
「∼ている」
を使わなけ
学的研究法を学び、学習支援・学習支援研究をより効果的に行うための知見を養うことを目的
ればならないのか、一見、当たり前のことの裏に潜むメカニズムを明らかにしたいのです。
とする。項目としては、特に、学習観・学習方略・動機づけ・メタ認知など、認知心理学的な立場
言 語 コ ミュニケ ー ション 論 コ ー ス
神戸市外国語大学外国語学研究科修士課程。研究テーマは
「日本語、
スペ
イン語、
ポルトガル語、関西弁」。
これらの統語的、音声的側面の考察を行っ
ている。主著『関西弁講義』
(講談社2004)、
『朝日新聞で日本を読む』
(くろ
しお出版 1992)
(共著)
など
から学習を支援するための事項を重点的に取り上げる。演習の主な到達目標は、以下の4点で
ある。
(1)主に認知心理学的な観点から学習過程についての知見を得る、
(2)心理学的な研究
法について知り、実証的な研究論文が理解できるようになる、
(3)心理学的な知見と学習支援
法を使うことができるようになる。最終的には、
自らの実践・研究を心理学的な観点から検討で
きるようになることを目指す。
小河原 義朗 OGAWARA Yoshiro
担当授業/日本語教育政策論演習
担当授業/日本語教育論演習
1957(昭和32)年東京都出身。学習院大学大学院人文科学研究科哲学
専攻博士後期課程単位取得退学。一橋大学経済学部、エジプト・アラブ共
和国立カイロ大学文学部、慶應義塾大学日本語・日本文化教育センターを
経て現職。主要業績と言えるものはまだありません。それは、私にとって全
ての業績がその時々の一時的に
“主要”
なものであるに過ぎず、私が死ぬ
時、それまでに積み重ねてきたものの集成が本当の“主要業績”
となる、
と
考えているからです。
東北大学大学院文学研究科博士後期課程修了。主著/『日本語教師のた
めの「授業力」
を磨く30のテーマ』
(共著、
アルク、2006)、
『日本語教師の
ための音声教育を考える本』
(共著、
アルク、2009)
など
「多文化共生」への懐疑と、
歴史に学ぶ姿勢を養う
日本語教育現場における問題意識を追究する
「日本語教育政策論演習」
では、
「日本語教育政策」
と
「日本語教育史」
を隔年で取り上げま
国内外を問わず、
「多様化」
の進む日本語教育の現状において、教師は自分の教育実践を常
す。
「日本語教育政策」
では、現代の日本語教育政策の成立背景を問題の認識、実施計画、現
に振り返り、様々な視点から捉え直し、
目的や環境に応じて柔軟に変えていくことが求められて
状分析、効果測定という四つの観点から検討し、
日本語教育の環境と、
そのあるべき姿を総合
います。
そこで、
日本語教育に関する職務に携わっている、
あるいは携わっていた者が集まり、
的に考察することを目指しています。
この意味でややマクロな観点から日本語教育を扱いま
各自の現場で見出した問題意識を出発点として、その現状を分析的に把握し、問題意識を深
す。
「日本語教育史」では、通史ではなく具体的な時代や教授法、
あるいは教材に焦点を合わ
め、各自が課題として取り組むことを通して、教育改善のための視点・専門的知識・能力を身に
せ、
それを歴史学や文献学の方法論を意識しつつ丹念に分析していきます。
それによってある
つけていくことが必要になります。
そのスタートとして、本演習では第二言語習得のメカニズム
時代の日本語教育の具体的な姿から設計思想までを検討し、そこから翻って現代の日本語教
についてその基礎を確実に踏まえた上で、主に授業実践における第二言語習得研究の視点か
育に何らかの貢献や提言をなし得る可能性を追求していきます。
この意味ではややミクロや視
ら、
自らの教育観・学習観を捉え直し、
実践を分析、評価、改善していくことを目指します。
言語習得論講座
点から日本語教育を扱います。何れの内容でも、史料に虚心坦懐に向き合う態度と、
自分に引
きつけて考える姿勢が求められます。
鄭 惠先 JUNG Hyeseon
山田 智久 YAMADA Tomohisa
担当授業/比較日本語論演習
担当授業/日本語伝達論演習
大阪府立大学大学院人間文化学専攻博士後期課程修了
(Ph.D.)。博士学
位取得論文の題目は
「日本語人称詞の社会言語学的研究」。
これまでの主
な研究テーマは、
日本語人称詞・複数形接尾辞の社会言語学的考察、
ナガ
ラ節における韓国人日本語学習者の誤用分析、
日韓対照役割語研究。主
要業績は、
『役割語研究の展開』
(共著 くろしお出版 2011)、
『役割語研究
の地平』
(共著 くろしお出版 2007)
など
ロンドン大学教育研究所外国語教育学部修士課程修了(M.A.)。北海道大
学国際広報メディア・観光学院博士後期課程単位修得退学。博士(学術)。
研究テーマは、教師教育とICTリテラシー教育。主著/『日本語教師のため
のTIPS77② ICTの活用』、
(単著、
くろしお出版、2012)。論文/『教師の
ビリーフの変化要因についての考察―二名の日本語教師へのPAC分析
調査結果の比較から−』
(日本語教育学会 学会誌、2014)
など。
対照言語学の視点から、外国語の一つとして日本語を見つめ直す
日本言語論講座
中村 重穂 NAKAMURA Shigeho
言語伝達論講座
(研究)
の関わりを考察できる、
(4)
自身の実践または研究において、心理学的な研究法・思考
教師としての自分を見つめ直す
演習では、対照言語学の視点にもとづいて日本語をさまざまな側面から再考察します。
とり
教師とはどのような存在であり、
どのように成長していけるのか。
この素朴な問いが本演習
わけ、
日本語を韓国語と対照することで、
日本語が持つ普遍的な言語要素と特徴的な言語要
の根底にあります。教師は、ひとたび教壇に立つと、
自身を振り返る機会に思いの外、恵まれま
素に気づき、言語分析力を養うことを目的とします。韓国語は日本語との言語構造上の共通点
せん。
それゆえ、
自身が思い描いている教師像と実際のそれとの間で乖離が起きます。
さらに、
がよく強調されます。
しかしながら、音声からコミュニケーションスタイルに至るまで両言語を幅
この乖離は、教師が考えていること、つまりビリーフと行動の不一致を引き起こす要因となりま
広く比べてみるとさまざまな相違点が見えてきます。演習の目標は、(1)外国語としての日本語
す。以上のことから、教師に求められる能力は、
自身を客観的に把握した上で行動方略を立て
の一般性と特殊性を理解する、(2)対照言語学に関する基礎的な知識を身につけ、
その研究法
ることだと考えられます。本演習では、教師としての自身を見つめ直すことに主眼を置き、様々
のバリエーションを知る、
の2点です。
とりあげるテーマは、音声・音韻、語彙、表記、文法、文の
な観点から
「教師」
について考えていきます。
とりあげるテーマは、第二言語習得と教師研究の
種類、談話スタイル、言語行動、待遇表現、バリエーションなどです。
関連性、教師研究の手法、教師のビリーフ、成長要因、ICTを 活用した教育手法、
トレーニング
方略などです。履修対象は、現職教師が望ましいですが、
これから教師を志す学生の参加も歓
迎します。
17
教員紹介
国 際 広 報 メディア 専 攻
言語コミュニケーション論コース
言語習得論講座
上田 雅信 UEDA Masanobu
河合 靖 KAWAI Yasushi
担当授業/言語習得論演習
担当授業/第二言語習得論演習
言 語 コ ミュニケ ー ション 論 コ ー ス
マサチューセッツ大学アマスト校大学院言語学科博士課程(Ph.D.)。主著
/Japanese Phrase Structure and Parameter Setting (GLSA,
1990)、
『生成文法を学ぶ人のために』
(共著、世界思想社、2004)、
「生成
文法の形成について」
(認知神経科学、Vol.10、No.3、2008)
言語習得の生物学的基礎
アラバマ大学大学院教育学博士課程修了(Ph.D.)。小嶋英夫他(編著)
『成長する英語学習者―学習者要因と自律学習―』大修館書店(第2章「学
習者の多様性」
を担当),2010年10月 C. Griffiths (Ed.),Lessons
from Good Language Learners,Cambridge University Press
(Chapter 17,Speaking and Good Language Learnersを担当),
2008年3月
第二言語習得の研究について概説し、特に個人差要因に焦点をあてて考えていきます
言語習得研究は、1960年代の認知革命以後、生成文法の影響を受けて、研究方法が大き
本演習では、
まず、言語・心理・社会の3つの視点から第2言語習得研究を概観し、いくつか
く変わった。
の論点を整理して対立点を浮き彫りにする。次に、簡易ディベートの手法を用いて、その論争
同時に、1970年代からは生成文法に基づく言語習得研究を批判的に検証するさまざまな
点について対立する主張の議論を深める。
その後、個人差要因と教室内第2言語習得研究の
アプローチが提案された。
これを踏まえてこの授業では、次の二つの目的を設定する。一つは、
論文の中からいくつかを選んで、研究対象とテーマ、研究の手法を整理する。最後に、
データ分
生成文法以後の言語習得研究へのさまざまなアプローチを批判的に検討し、言語習得研究へ
析の方法を概観した後、その中から1つを選んで実際のデータを使って分析を体験する。
この
の生成文法のアプローチとの理論的相違やその帰結を理解することである。二つ目は、言語
授業を通して
(1)第二言語習得研究の異なる視点を識別し説明する、
(2)第二言語習得研究
習得の生物学的な側面を理解することである。
この過程を通して母語習得のさまざまなアプ
の個人差要因の基礎概念を識別し説明する、
(3)第二言語習得研究の個人差要因研究に用
言語伝達論講座
ローチの違いを理解し、広い視野から言語習得研究の方法論とこれまでの研究成果を学び、
いられる方法論を識別し説明する、
(4)
その方法に基づいてデータを分析することができるよ
批判的な視点でさまざまなアプローチを評価する能力を養うことを目標とする。
うになる。以上の活動のなかで、第2言語習得の研究から得られる知見を、実際の言語習得場
面にあてはめて考える応用言語学的な態度を涵養する。
日本言語論講座
奥 聡 OKU Satoshi
河合 剛 KAWAI Goh
担当授業/言語研究方法論演習
担当授業/マルチメディア言語情報処理論演習
1998年Ph.D (言語学:University of Connecticut) / (1)「統語、情報構造、一般認知」(単著)(2010)長谷川信子[編]『日本語研究と言語理
論―命題を超えて−』
(仮題)
(開拓社、東京)第7章pp.227-267 / (2)「生成文法の統語論―原理とパラメータのアプローチ―」
(単著)(2004)
中井悟・上田雅信[編]『生成文法を学ぶ人のために』
(世界思想社、京都)第3章 pp.86-132 / (3)“A Minimalist Theory of LF Copy”
(単
著)(2001) in The Minimalist Parameter. The Series Current Issues in Linguistic Theory. 282-294. John Benjamin,
Amsterdam. / (4)“Definite and Indefinite Strict Identity in VP-Ellipsis”
(単著)2000年 in Schwabe,Kerstin and Ning
Zhang (eds.) Ellipsis in Conjunction (Linguistische Arbeiten,418). 179-194. Max Niemeyer Verlag,Tübingen,
Germany. / (5) 再帰代名詞クリティックの諸相(書評:藤田健『ロマンス語再帰代名詞の研究:クリティックとしての統語的特性』
(北海道大学
出版会))(単著) 2011.『北海道言語文化研究』/ (6) Interface Economy ‒ A Note on Markedness and Computation.(単著)(to
appear) Formal Approach to Japanese Linguistics 5,(MITWPL) / (7)“Minimalism and Information Structure: A Case of
Ellipsis in Japanese,”
(単著)2009 Proceedings of WAFL 5,pp. 257-269,published and distributed by MITWPL.
Educational background: BA linguistics (U of Tokyo), MA
educational technology (International Christian U), PhD
information and communication engineering (U of Tokyo).
Vocational background: Xerox PARC, SRI International, U of
Tokyo, U of California Santa Cruz, Oregon Health & Science
U, Hokkaido U, U of Antwerp.
ことばを操る脳内の仕組みは?研究の基本的概念方法論を概説
What do we know when we know (have,speak) a language? How can we acquire such knowledge of language? How can we
Learn and teach using non-native spoken language.
I offer training in 3 areas.
reveal properties of knowledge of language and the language acquisition? These are some of the most important questions in
(1)Collect and analyze spoken language and non-verbal behavior. Research outcomes
linguistics; a scientific study of language. People often believe that the answers to these questions are easy. You would say,for
include(1.1)an online dictionary for learning Japanese pronunciation, and(1.2)a
instance,“we just know words of a language we speak: that why we can speak the language,”“we learn our language from
my parents,”or“we can study properties of language by careful observation of actually used sentences.”The recent
self-training method for teachers.
development of linguistics,however,has convincingly shown that these“common sense”answers are all wrong. Our
(2)Design and evaluate language-learning experiences. Projects include(2.1)flipped
knowledge of language and its acquisition process is way more sophisticated than you might imagine. The aim of this course is
learning of English conversation, and (2.2)training college faculty to teach subject matter
to introduce the basic methodology and principles of linguistics,by studying structural aspects of human languages. We focus
using the English language.
on the following four fields of linguistics: morphology (study of the structure of words),phonology (study of sound structure),
(3)Architect and implement technologies for online learning. Systems developed include
syntax (study of sentence structure),and semantics (study of meaning and denotation). The students will become familiar with
(3.1)a learner management system suited for autonomous or blended learning, and(3.2)
言語習得論講座
the basic methodology and concepts of linguistic study,and understand what we really have in our mind/brain. This course has
two other practical purposes as well. First,the students will have specific training of thinking logically that is essential in any
academic research. Second,the students will have substantial practical training in oral presentation and discussion in English.
learning technologies for producing spoken or written language.
See my website http://goh.kawai.com/ for details.
坂間 博 SAKAMA Hiroshi
高見 敏子 TAKAMI Satoko
担当授業/音声メディア言語習得論演習
担当授業/コーパス計量解析論演習
上智大学大学院外国語学研究科博士課程。
「チャットシステムを利用した
初習外国語指導―インターラクションのあるドイツ語表現演習のケースス
タディ」、
『インターラクションのあるCALL授業』国際広報メディア研究科・
言語文化部研究報告叢書59、北海道大学、
pp.57-96、
2005年3月
東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻博士課程単位取得
退学。
“ A Corpus-driven identification of distinctive words:
’Tabloid adjectives’and ’broadsheet adjectives’in the
Bank of English,”English Corpus under Japanese Eyes
(Rodopi,2004)、
『英語コーパス言語学(改訂新版)』
6章3節(研究社、
2005)
『言語研究のための統計入門』
、
3章3節(くろしお出版、
2010)他
音声学・音韻論の入門、音声の生理機構と音声の体系性の理解を行う
統計的手法を学んで言語研究の分析の幅を広げよう
近年通信機器の発達により、新しい言語伝達形式が生まれつつあるが、音声を用いたコミュ
言語研究の分野でも統計的な分析手法の利用例が多くみられますが、関心を持った論文と
ニケーションが重要な役割を担っていることに変わりはない。人間は、声帯、喉、舌、唇などを使
同じ分析手法を自分の研究に取り入れてみようと思っても、実際にどうすれば良いのかわから
いながら、多様な言語音を作り出し、
それらを組み合わせて語や文を作り、多様な情報をやりと
ない、
ということが少なくないことでしょう。この授業では、有意性検定・相関分析・回帰分析・
りしている。生理音声学は、人間の音声がどのように作られているのか、
という観点(調音位
判別分析・クラスター分析・主成分分析・因子分析・コレスポンデンス分析の基本的事項を学
置・調音法)
から分析、記述を行う分野であるが、文献的な理解だけでなく、実際にさまざまな
び、英語や日本語のテクストデータへの適用例について、実際にPCの操作をしながらその手
音を出しながら、その特徴をとらえられる技能を習得することも重要である。音声学的な分析
順を追うことで、各自が分析方法を再現できるようにします。またその前段階として、電子テク
によって得られた現象を音韻論的に理論化する過程も扱う。音素の抽出から、音節、モーラ、
ストをコンピュータで扱う上で必要な基本的知識やソフトウェアについても学びます。統計学・
フットなど言語音の中の独特な構造とそれぞれのレベルで生じる現象を形式的にどのようにと
コーパス言語学のどちらについても特に知識がなくても履修可能です。言語学の分野を問わ
らえるかについて日本語や英語などの身近な言語の具体的な例をあげて検討する。
ず、言語研究に統計的手法を利用する方法を学びたいという受講者を歓迎します。
18 ¦ Graduate School of International Media, Communication and Tour ism Studies HOK K A I DO U N I V ERSIT Y
2015
国 際 広 報 メディア 専 攻
李 鳳 LEE Bong
担当授業/言語コミュニケーション概論
言 語 コ ミュニケ ー ション 論 コ ー ス
北海道大学大学院国際広報メディア研究科博士課程修了(Ph.D.) 研究
テーマは、ヘッジ(hedge)表現の日韓対照研究。最新の論文:
「일본어학
연구의 최전선」
『日本語学研究の最前線』(共著、
チェクサラン、2012年)、
「ポライトネス・ストラテジーとしての
『思う』
と
『생각하다』」(日本文化学報、
2015年)、
「モーダルな
『思う』
に関する考察―発話行為理論の観点から
―」(日本語教育研究、
2015年)
言語理論研究への貢献できる日本語と韓国語の対照研究を目指す
私の研究テーマは、
ヘッジ(hedge)表現の日韓対照研究です。
ヘッジは、
ある発話の力を減
少させるために、
言わば
「緩和する装置(mitigating device)」
の一つですが、一般的に断言や
直接的な表現を和らげる表現として知られています。博士論文では、
ヘッジ表現の1つである
日本語の
「思う」
とそれに対応する韓国語の
「생각하다」
の用法の共通性と違いをモダリティ、
発話行為理論、
ポライトネス理論を用いることによって分析し明らかにしました。
日本語と韓国
語とは、言語類型論的に非常に類似していますが、従来の対照研究の問題点として、方法論的
に深化されていなかったことがよく指摘されてきています。そして、
日韓対照研究の現状を打
言語伝達論講座
破するために、今後取るべき方向性の一つとして、
「言語理論研究への貢献」
が考えられます。
サポート
研究者養成への支援 [1]アドバイザー制度
日本言語論講座
研究支援体制
優秀学生表彰制度
「舞台は地球」賞
修士課程入学時に、
教員1名がアドバイザーとして割り当てられる。
アド
本学院では2012年度より、
優秀学生表彰制度として「舞台は地球」賞
バイザーは、学生の専門や関心を考慮して学修計画や履修科目につい
を設け、学業成績が最優秀であった学生、国内学会/国際学会の大会
て助言をする。修士課程1年次の9月に指導教員を選定する際にも助言
発表において優秀と認められた賞を受賞した学生、
さらには、
課外活動や
を行う。
また、
アドバイザーは常時、
学生生活全般に関して相談に乗ること
社会活動等において顕著な功績を残し、
当学院の名声を高めたと認めら
になっている。
れた学生を表彰している。
2014年度は、
以下の学生が本賞を受賞した。
本学院の助教は本学院院生の出身者で、現在の院生の先輩である。
若手研究者でもある助教は、
自分の研究を進めつつ、
元院生の経験を生
かし、院生の立場に立った指導を行う。具体的には、PCの設定、
ネット
ワーク・プリンタの使用等のサポート、研究上のことやレポート作成につい
ての助言、
そして、
学生生活一般に関する相談などが挙げられる。
[3]経済支援
経済的理由や学業優秀な場合、
認められれば、
以下の経済的支援を
受けることができる。
①入学料免除・徴収猶予
②授業料免除
③奨学金等(日本学生支援機構や民間および地方自治体等の奨学金)
詳しくは、
事務部に問い合わせを、
もしくはホームページ参照。
取得資格
高等学校教諭、
中学校教諭の一種免許状を取得した後、大学院の
課程で所定の単位を修得することにより、
中学校教諭専修免許状(英
語)
と高等学校教諭専修免許状(英語)
の所有資格を取得することがで
(成績部門)
国際広報メディア専攻《修士2年》/知場 亜紀
国際広報メディア専攻《修士2年》/渡邉 春菜
観光創造専攻《修士2年》/許 玉萱
言語習得論講座
[2]助教制度
(学術部門)
国際広報メディア専攻《博士2年》/須田 比奈子
国際広報メディア専攻《博士1年》/野口 将輝
観光創造専攻《修士2年》/加藤 寛
(課外活動部門)
IMCTSベンチャー研究会
国際広報メディア専攻《博士1年》/野口 将輝
国際広報メディア専攻《修士1年》/坂本 悠
国際広報メディア専攻《修士1年》/小堀 真由美
IMCTS観光研究会
国際広報メディア専攻《博士1年》/野口 将輝
国際広報メディア専攻《修士2年》/横山 真衣
国際広報メディア専攻《修士2年》/大荷 拓朗
国際広報メディア専攻《修士2年》/孫 綿濃
国際広報メディア専攻《修士2年》/戴 夢楚
国際広報メディア専攻《修士2年》/李 思穎
国際広報メディア専攻《修士1年》/平山 花菜絵
きる。
19
観光創造専攻
Di v i s i o n o f T o uri s m C rea tion
観光創造専攻
観光創造論講座・観光地域マネジメント論寄附講座
観 光 創 造 論 講 座・観 光 地 域マネジメント論 寄 附 講 座
麻生 美希 ASO Miki
石黒 侑介 ISHIGURO Yusuke
担当授業/特別演習
担当授業/観光開発国際協力論演習
インバウンド・ツーリズム論演習
福岡市出身。九州大学大学院芸術工学府博士課程修了。博士(芸術工学)
を取得。
卒業後、岐阜県白川村役場の世界遺産担当研究員として「世界遺産マスタープラ
ン」
(包括的保存管理計画)の策定に従事した後、観光学高等研究センターの特任
助教として「白川村観光基本計画」の策定にも携わる。現在も、白川村において景観
保全や観光マネジメントの実践研究に挑戦する他、北海道美瑛町において、良好な
景観形成を推進するための調査研究に取り組み、景観計画の策定に携わっている。
メキシコ・イベロアメリカーナ大学国際関係学部を経て、横浜国立大学国際社
会科学研究科国際関係法専攻開発協力コース修了(修士・国際経済法学)。
財団法人日本交通公社(現・公益財団法人日本交通公社)
にてグリーン・ツー
リズムやスポーツ合宿誘致を通じた地域振興、インバウンド・ツーリズム推進
に関する中央官庁、地方自治体の調査事業・研究、観光分野の国際協力案件
に従事。2014年4月より北海道大学観光学高等研究センター特任准教授。
具体的な地域をフィールドに観光を学ぶ
地域目線でインバウンド・ツーリズムを捉え、
その意義を考える
私は現在まで、主に
「合掌造り」
で有名な岐阜県白川村において、研究・仕事を行ってきまし
「観光開発国際協力論演習」
では、
「発展途上国における開発とは何かについて議論を深め
た。白川村は、文化財や景観の保全と観光振興とのバランスをとることが非常に難しい、
また、
つつ、開発ツールとしての観光の有効性や当該分野における日本型の開発協力のあり方を考
受け身の観光営業から脱皮し、観光を村の自立を支える大樹のような、
そして質の高い産業へ
えます。
また「インバウンド・ツーリズム論演習では、学術・実務の両面において今日最も関心
と育てなければならないという悩みを抱えています。研究者、
そして一時は村の職員・住民とし
の高いテーマの一つである
「インバウンド・ツーリズム」
を地域の目線で捉え、外国人旅行者の
て白川村に関わってきましたが、地域からは本当に多くのことを学ぶことができます。そこに
誘致方策だけに留まらず、地域がインバウンド・ツーリズムを推進することの意義やそれが地
は、人々の切実な暮らしがあり、
自分がそこで何を貢献できるのかが常に問われます。調査に基
域に及ぼす影響などについても議論します。いずれの科目においても、国内外の具体的な地
づく客観的なデータから現状分析や将来予測をするだけではなく、課題を抱えている場合は、
域の事例を取り上げながら、議論を進めます。
「国際協力」
と
「インバウンド・ツーリズム」
は全く
観光文化論講座
実現可能な具体的な解決策を提案することも求められます。特別演習では、
そういった具体的
異なるもののように感じるかもしれませんが、実は
「いかに外国人旅行者を呼び込むか」
という
な地域をフィールドに、地域から多くのことを学び、観光のあり方、地域のあり方を考えます。
か
テーマは共通です。
「インバウンド・ツーリズムを通じて地域が発展するためにはどのような取
くいう私も、地域と一緒に頭を抱えて悩むことが多いですが、観光を通じた地域のマネジメント
り組みが必要か」、
「そもそも地域にとって発展とは何か」
について、共に考え、熱く議論しま
について一緒に議論しませんか?
しょう。
内田 純一 UCHIDA Junichi
小林 英俊 KOBAYASHI Hidetoshi
担当授業/観光マーケティング論演習
担当授業/観光地域イノベーション論演習
地域ブランディング論演習
観光マーケティング国際戦略論演習
AFLAC、北海道大学大学院国際広報メディア研究科を経て、観光学高等研
究センター准教授。多摩大学経営情報学部卒、北海道大学大学院経済学研究
科修士課程修了。博士(国際広報メディア)(北海道大学)。主著に、
『 地域イノ
ベーション戦略』、
『観光の地域ブランディング』
(共編著)、
『観光まちづくりの
マーケティング』
( 共著)、
『グローバル環境における地域企業の経営』
( 共編
著)、
『トリプルヘリックス』
(共訳)
など。
東京大学農学部卒業後、観光の実践と研究のために(株)JTBに入社。海外
旅行支店長を経て、観光マーケティング部長として旅行市場の調査分析に
従事。その後(財)日本交通公社の理事として各地の観光振興計画に関わ
る。WTOなどの国際会議での講演多数。
フランス政府をはじめ豪州やNZ
観光局の国際アドバイザー、政府の委員会委員などを歴任。訳著「エコツー
リズム教本」(平凡社)、
「自然保護とサステイナブル・ツーリズム」
(平凡社)。
サービス経営と地域イノベーションのブランディング・アプローチ
観光をとおして豊かな生き方や地域の誇りや活力を創造する
私の研究室では地域ブランド研究とサービス経営研究に力を入れています。研究の進め方
観光は現代社会を映し出す鏡であり、観光を学ぶことは時代の価値観や人々の生き様を探
の特徴は、
ミクロ的研究とマクロ的研究を同時に進めていることです。例えば、地域企業の経
求することにも通じる。観光は時代の価値観に左右される文化的な行為であり、観光の方向性
営戦略やマーケティングといったミクロ的研究と、産業クラスターやトリプルヘリックス
(産学
を考えるには社会の価値観の流れを読む力が不可欠である。そのためにも、観光を学ぶには、
官連携)
に関するマクロ的研究とを常に我が研究室の関心事としております。
ときには双方の
社会や地域、そして人間について学ぶ必要がある。その結果として、観光をとおして豊かなラ
領域を統合したミクロ・マクロ・リンクという手法を採用することもあります。担当講義では主
イフスタイルや誇りと活力に満ちた地域を創造する力が身につくのである。観光マーケティン
に、
ミクロ的研究領域を
「観光マーケティング論演習」
のテーマとし、
マクロ的研究領域を
「地域
グの授業では様々な観光現象を取り上げるが、現象そのものの数量的分析に終わることなく、
ブランディング論演習」
のテーマとしています。私のバックグラウンドには広報論やブランド論
背景にある現代社会の有り様や人間の基本的欲求など、幅広く学ぶことを主眼にすすめる。地
があるので、
それらの理論を軸にした講義を展開することを独自のスタイルとしております。
ま
域観光イノベーションの授業では、観光によって活力を取り戻している国内外の地域の事例を
た、
I
Tやメディアに関する分野もフォローアップしており、
それらのサービス産業への適用可能
取り上げ、その発想の原点や変革のプロセスを学び、地域の観光を住民主体の活力あるもの
性についても探求しているところです。
にしていく観光創造力を学ぶ。
敷田 麻実 SHIKIDA Asami
西山 徳明 NISHIYAMA Noriaki
担当授業/地域マネジメント論演習
担当授業/世界遺産マネジメント論演習
遺産創造論演習
地域人材育成論演習
豪ジェイムスクック大学大学院、金沢大学大学院社会環境科学研究科博士課程修了。
博士(学術)。石川県を退職して金沢工業大学環境システム工学科助教授に就任、
2002年から同教授、2007年現職。専門は地域資源戦略と地域マネジメント。著書に
「地域からのエコツーリズム」
「観光の地域ブランディング」(以上学芸出版社)、
「地域資
源を守っていかすエコツーリズム」
(講談社)ほか、論文多数。中央環境審議会委員、知
床地域科学委員会委員、北の観光まちづくりリーダー養成事業座長、などを務める。
地域を豊かにする戦略を対話の中で学ぶ
京都大学工学研究科大学院修了。博士(工学)。専門は建築学、都市計画学、
ツーリズム、文化的景観。文化庁文化審議会第三専門委員会/世界遺産特別
委員会委員、萩市・内子町・竹富町等の伝統的建造物群保存審議会等委員、
白川村景観審議会会長、JICA課題別支援委員会(観光セクター開発分野)委
員。歴史的集落・町並みや文化遺産地域での観光まちづくりに関するフィール
ド研究、
フィジー、
ヨルダン、エチオピア等への観光開発国際協力を展開中
身近な
「おたから」
から
「世界遺産」
まで、遺産を発見し創造する
『地域マネジメント論演習』
では、地域内の多様な関係者が参加して地域を豊にするための
「遺産創造論演習」では、世界遺産から身近な文化的資産までを
「文化資源」
として取り上
方法論を学習します。特に、地域再生のための組織の役割や仕組み創出を学びます。
また同時
げ、景観づくりや観光振興の資源として生かす方策を計画論およびマネジメント論として学
に、地域マネジメントに参加する住民の
「エンパワーメント」
や
「ファシリテーション」
も重要テー
ぶ。そのためにまず、世界遺産条約等をはじめとする国際機関による憲章や条約、宣言などの
マであるので、
あわせて学習します。
『地域人材育成論』
では、地域づくり人材の育成方法、学
理念や枠組みを読み解き、一方でこれからの歴史文化を生かしたまちづくりを実践していく上
習理論、組織学習など、地域づくりに欠かせない人づくりの問題を課題解決型演習で学びま
で必要となる文化財保護法や都市計画法等の法制度、地域開発の思潮、
ツーリズム開発と文
す。研究では、地域マネジメントに関連するガバナンス、地域資源戦略、組織学習理論など、地
化遺産保護との持続可能な関係構築の方法等について解説し議論する。
「世界遺産マネジメ
域を豊かにするための
「ハイブリッドな方法論」
でアプローチしています。
ント論演習」
では、
ユネスコ世界遺産の将来戦略の学習を通して、遺産の価値説明の論理やマ
ネジメント計画の枠組み、理念を理解する。
そして演習を通じて学生個々が、遺産創造(=地域
や市民による遺産価値の再発見と未来の遺産の創出)
を発想できるようになるために、道内の
具体的なフィールド実習を通じて具体的な遺産を見出し、
その価値評価、現状分析、
マネジメン
トを個別プロジェクトとして提案する。
2 0 ¦ Graduate School of International Media, Communication and Tour ism Studies HOK K A I DO U N I V ERSIT Y
2015
教員紹介
観光創造専攻
真板 昭夫 MAITA Akio
担当授業/エコミュージアム創造論演習
担当授業/エコツーリズム論演習
九州大学大学院博士課程修了。博士(芸術工学)。公立の文化財団で博物館
施設の運営、文化事業の企画実施に従事した後、2012年より現職。国や地
域、
あるいは民族に育まれてきた文化・芸術の価値を享受し、地域づくりや観
光開発に活用していく方法論を研究中。
JICA国際協力機構の技術協力プ
ロジェクトに専門家としても参画中。共著書に
『生きている文化遺産と観光∼
住民によるリビングヘリテージの継承』
(学芸出版社)、
「厳島神社門前町 廿
日市市厳島伝統的建造物保存対策調査報告書」
(廿日市市教育委員会)他。
キュレーション。観光創造を支える大きな力
地域創造論演習
東京農業大学農学科卒業。財)政策科学研究所にて環境政策及び地域政策を担当。そ
の後、財)自然環境研究センターにて野生動植物のワイルドライフマネージメント研究、
1991年よりエコツーリズムの研究を開始。1998年日本エコツーリズム協会設立。エコ
ツーリズムによる日本各地の地域づくりのフィールドワーク研究。海外では、フィジー、ガ
ラパゴスにてエコツーリズムのフィールドワーク研究。2001年東京大学農学部博士号
を取得。京都嵯峨芸術大学観光デザイン学科教授及び研究センター長を経て現職。
地域の「宝探し」
から
「宝興し」
までを通して、持続的な地域づくりを学ぶ
皆さんにはお気に入りの音楽や絵がありますか? それを最初にいいねと言ったのは誰で
「エコツーリズム論演習」
「地域創造論演習」
では、徹底した「地域住民主体の地域づくりと
しょう。世の中には、建築、音楽、服飾、芸能など様々な文化資源が存在しています。キュレー
は何か」
を、事例を通して学び、問いかけていくことを狙いとする。
まずエコツーリズムの歴史
ションとは過去から現在に生み出されてきた文化的所産をまもり、人々がそれらとふれあって
的な経緯を学んだ上で、その論理的枠組みと時代における役割・意義について考察し論議す
幸せを感じる環境や情報をデザインする仕事であり、観光創造と切っても切れない関係にあり
る。
そのうえで国内外の地域の実践事例を取り上げ、
エコツーリズムによる住民主体の持続的
ます。エコミュージアム創造論演習では歴史的な観点から、文化芸術作品が創造されたり、再
な地域作りの方法論や課題、問題点について学ぶ。
そして、
「活性化を誘発する運動論的展開
の仕組み」
「運動論を持続化させる組織論的仕組みづくり」
「時間軸上の段階的目標設定とし
周りにある歴史や文化を自らが理解し、大切に思うことの意義を理解し、個人や家族、施設や
ての計画論のあり方」
「活動エネルギーの担保としての制度論のあり方」
という持続的な地域
機関、地域や国家など様々なステイクホルダーが担っている役割を議論します。
あるがままで
作りのための4フレームを論議し、
その仕組みと相互関係について更なる考察を深めていく。
はあるが、
なすがままではない文化資源の保全を目指すエコミュージアムの概念が今なぜ必要
なのか、考えていきましょう。
村上 佳代 MURAKAMI Kayo
八百板 季穂 YAOITA Kiho
担当授業/特別演習
担当授業/国際協力プロジェクト論演習
東北芸術工科大学 芸術学部 歴史遺産学科卒、九州大学大学院 芸術工
学府芸術工学専攻 環境・遺産デザインコース修了。博士(芸術工学)。3
期、延べ1年半に亘り独立行政法人国際協力機構(JICA)青年海外協力隊
員としてヨルダンハシミテ王国サルト市への国際協力事業を実践。前職は、
特定非営利法人「NPO萩まちじゅう博物館」学術アドバイザーとして文化
資源マネジメントの取り組みに関わる。
神戸市出身。九州大学大学院芸術工学府修士課程を修了、修士(芸術工
学)
を取得。北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士後期課程
を修了、学位論文『発展途上国における都市遺産観光開発に関する研究』
を執筆。博士(観光学)。
フィジー諸島共和国やエチオピア連邦民主共和国
を中心に、
日本の技術と経験をいかした国際協力を展開中
日本の文化遺産まちづくりを観光開発国際協力の舞台へ
観光開発国際協力による発展途上国への貢献
これまで山口県萩市をフィールドに、住民と協力して地域の“おたから”
を発見し、それを地
研究対象地は、
フィジー国の旧首都レブカおよびエチオピア国のシミエン国立公園とその
域の資源として価値付け、
まちづくりに生かすことに取り組んできた。地域住民と相談しながら
周辺地域。
レブカは現在、世界遺産国内暫定リスト上にあり、
シミエン国立公園は既に世界遺
まちめぐりマップを作成したり、古い民家の蔵の民具を引っ張り出してカルテ化するというよう
産に登録されている。フィールドワークを基本とする実践的研究を通じ、地域の発展への貢献
な作業に没頭する中で、住む人にとっては当たり前のものでも外の人には珍しかったり、逆に
を大目標として研究している。遺産をいかした観光開発においては、
まず遺産の価値を把握
専門家では気づかない、住民の目だから発見できるものもたくさんあることに気付いた。
こうし
し、観光を通して何を伝え、
どう発展させるべきかを明確にする必要がある。次に、その価値を
た実践のなかから生まれてくるまちづくりの手法をモデル化し、
これを文化も慣習も宗教も全く
担保するための課題を抽出する。そして、
その課題を克服すること、遺産の価値を顕在化させ
違う中東ヨルダンのサルトという歴史的な町並みに技術移転してきた。
このような、博物館から
つつ高めること、
さらには地域住民の生活の発展に貢献することを目的とする遺産マネジメン
飛び出した学芸員が地域を活気づけるような活動は、
日本国内だけでなく国際社会において
トおよび観光マネジメント計画を策定する。新たな対象地に出会えば、いつも新たな発見があ
も求められている。私の研究は、そうして拾い上げた
“おたから”
をどうすれば訪問者に分かり
り、同時に克服すべき課題も見つかる。それらひとつひとつと向き合い、地域の人々と共に悩
やすく、住民が解説しやすい物語=ストーリーに組み立てられるかを探求すること、
そして観光
み、
喜びつつ研究活動を展開している。
まちづくりの国際協力を研究テーマとしている。
山村 高淑 YAMAMURA Takayoshi
担当授業/コンテンツ・ツーリズム論演習
ヘリテージ・ツーリズム論演習
北海道大学農学部卒、民間企業勤務、北京大学留学を経て東京大学大学
院工学系研究科博士課程修了。博士(工学)。1994年から中国雲南省にお
ける少数民族文化の継承と観光開発に関する現地調査を継続。現在は文
化資源・観光資源としてのアニメ、
マンガ等のコンテンツの可能性に関する
実践的研究も展開中。観光庁「スクリーンツーリズム促進プロジェクト」
ワー
キンググループ座長、埼玉県アニメツーリズム検討委員会座長等を歴任
多様な価値の共存に貢献するツーリズムのあり方を現場から考える
■『コンテンツ・ツーリズム論演習』
では、
コンテンツ
(特にポピュラーカルチャー)の持つ文
化資源・観光資源としての価値・可能性を、事例を通して研究します。製作者=地域=旅行者が
コンテンツを共有することでどのような交流や文化を創出できるのか、
コンテンツ・ツーリズム
という新たな観光のあり方を考えます。■『ヘリテージ・ツーリズム論演習』
では、
ツーリズムを
通して文化遺産(特に少数民族や先住民族の文化遺産)
の価値をどう伝え、
それをどう文化の
継承に結び付けていくのかについてフィールドワークを通して研究します。■これらの演習で
は、世の中のあらゆるものを
「文化資源」
として捉え、人間の心の豊かさにどのような意義を持
つのかという観点から積極的な価値を見出し、旅を通して世界に伝えていく作業を行いたいと
思います。そして、
こうした作業を通して、多様な価値観が共存できる文化的に豊かな社会の
構築に貢献したいと願っています。
21
観光文化論講座
発見されたり、或いは、その価値が享受されたりするプロセスを学んでいきます。そして、身の
観 光 創 造 論 講 座・観 光 地 域マネジメント論 寄 附 講 座
花岡 拓郎 HANAOKA Takuro
教員紹介
観光創造専攻
観光文化論講座
観 光 創 造 論 講 座・観 光 地 域マネジメント論 寄 附 講 座
岡本 亮輔 OKAMOTO Ryosuke
金 成玟 KIM Sungmin
担当授業/観光文化概論、観光創造特論
担当授業/トランスナショナル研究論演習
筑波大学大学院人文社会科学研究科哲学・思想専攻修了。博士(文学)。
著書に、
『聖地と祈りの宗教社会学―巡礼ツーリズムが生み出す共同性』
(春風社、2012)、
『聖地巡礼―世界遺産からアニメの舞台まで』
(中公新
書、2015)。共編著に、
『宗教と社会のフロンティア―宗教社会学からみる
現代社会』
(勁草書房、2012)
『聖地巡礼ツーリズム』
、
(弘文堂、2012)
。
聖地を生み出す記憶と物語
東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(学際情報学)。東京大
学大学院情報学環助教、
ジョージタウン大学大学院訪問研究員などを経て
現職。著書に、
『戦後韓国と日本文化―「倭色」禁止から
「韓流」
まで』
(岩波
書店、2014年)、
『文化社会学の条件―二〇世紀日本における知識人と大
衆』
(共著、
日本図書センター、
2014年)
など。
研究ブログ/https://plus.google.com/+SungminKimc
トランスナショナルな空間としてのメディアと大衆文化
場所は、
どこも同じような価値や意味を持っているわけではありません。神聖な場所、社会全
この授業は、
マスメディアやポピュラーカルチャーをめぐる理論や現象を中心に、現代社会
体に開かれた場所、特定の人々だけが大切にする場所、呪われた場所、忘れられた場所などさ
における
「トランスナショナルtransnational」
の意味について考えることを目的とします。
トラ
まざまです。それでは、
これらの個性的な場所はどのように作られるのでしょうか?こうした問
ンスナショナル研究の主な作業は、①国民国家のフレームが生みだした一国的観点(ナショナ
題意識を念頭に、
キリスト教や神道の聖地について研究してきました。分かってきたのは、歴史
ルな観点によって固着されてきた意識や信念)
を転倒させ、
「境界」
をめぐるあらゆる現象を
「関
や伝統だけが聖地を作り出すのではないことです。
その場所を取り巻く人々が、物語を読み込
係」
から考えること、②20世紀と21世紀を貫通するグローバル化、近代化、
ポストコロニアル、
んだり、記憶を結びつけることで聖地は生まれます。そして、
かつては宗教がある場所を聖地
ポストモダニズムなどと絡み合う文化現象を、国家、資本、大衆を含むさまざまなアクターのま
観光文化論講座
化するのが目立っていましたが、現代では、
アニメや映画のようなフィクション、
あるいは世界
なざしと欲望、戦略が複雑に作用する空間としてとらえ、新たに想像すること、③国民国家をは
遺産のような世俗の制度が場所を特別化します。授業では、
ある場所が個性化されるプロセス
じめとするさまざまな
「境界」
を、強固なものではなく、
つねに
(再)構築されつづける流動的なも
の背後にどのような要素があるのかに注目し、社会学・人類学・観光学・宗教学といった諸領域
のとしてとらえ、問題を提起することです。授業では、
こうした観点を共有したうえで、
カルチュ
の研究を参照しながら分析します。
ラル・スタディーズや文化社会学、
ツーリズム研究、地域文化研究など、
さまざまな領域を横断
しながら、
トランスナショナルな世界のあり方について批判的に探究していきます。
清水 賢一郎 SHIMIZU Kenichiro
田代 亜紀子 TASHIRO Akiko
担当授業/観光思想論演習
担当授業/観光創造概論、観光創造特論
東京大学大学院博士課程修了(中国語・中国文学専攻)。博士(文学)。論
文に、
「風景の創造―中国文化に即して」
(『大交流時代における観光創造』
2008)、
「 水という旅―生命のみなもとを遡って」
( 旅の文化研究所『まほ
ら』68、2011)。訳書に、朱天心『古都』
(国書刊行会、2000)、孫歌『竹内
好という問い』
(岩波書店、2005)等。共訳書に
『新編 原典近代中国思想
史 第4巻 世界大戦と国民形成―五四新文化運動』
(岩波書店、2010)
等
上智大学大学院外国語学研究科地域研究専攻博士課程修了。博士(地域
研究)。2006年から
(独)東京文化財研究所、2010年から
(独)奈良文化
財研究所において、文化遺産国際協力業務に従事。文化遺産保存政策と
地域社会をテーマに、主にインドネシア、
カンボジア、
タイにおいてフィール
ドワークをおこなう。主な著作に、
『アンコール・ワットを読む』
(共著、連合出
版、2005年)
『グローバル / ローカル 文化遺産』
(共著、上智大学出版、
2010年)
などがある。
旅と人間について思索する――《時間》
《生命》
《風景》
を切り口として
現代社会のなかの過去と活用―ヘリテージと観光の関係
大学院での担当は
「観光思想論」。聞き慣れない科目名かもしれません。旅をめぐる人類の
現代社会において、過去がどのように扱われているか、取捨選択されているか、
いかに
「ヘリ
思索の跡に総体として斬りこむ知の冒険――なんていうとカッコつけ過ぎですが、思い切って
テージ(遺産)」
が創造されていくのか。
ヘリテージ・スタディーズは、欧米を中心に顕著な発展
これを看板に掲げることにしました。
もともとは中国・台湾をフィールドとした比較文学+社会
をみせています。本授業では、考古学、文化人類学、社会学、歴史学、政治学、様々な学問分野
文化史+メディア文化論的な研究から出発しており、中国的「公」概念の特質や
「関係」
のネット
においてとり扱われるヘリテージの議論をとらえたうえで、観光とヘリテージの関係に焦点を
ワークを中心とするコミュニケーション構造、
あるいは中国的な
「風景」
(「風水」思想)等を検討
当て、文献と事例研究から検討します。
ヘリテージの創造と、
その観光活用の背景や過程は地
してきました。
ただ近年は興味関心が移ってきて、
《時間》
と
《生命》
を中心軸として押し出した
域や国によって大きく違ってきます。
また、
ユネスコを中心とした国際社会による文化遺産国際
わけです
(その実『論語』巻頭の
「学而時習之、不亦説乎」
こそは
「時」
「生/命」
の真理が凝縮さ
協力活動は、観光とヘリテージの関係にも強い影響を与えてきました。授業では、
ヘリテージと
れた一句なのではないかと……)。
ともあれ、人生を旅に見立てる修辞がこれほど世界に溢れ
観光が抱える課題を事例研究を通して明らかにし、学際的視野をもって検討します。
ているのは偶然ではありえない。そこに底流する思想文化のダイナミズムを考想すること。そ
れもまた悦ばしからずや!
西川 克之 NISHIKAWA Katsuyuki
山田 義裕 YAMADA Yoshihiro
担当授業/観光社会文化論演習
担当授業/観光コミュニケーション論演習
北海道大学大学院文学研究科修士課程修了。現在の中心的な研究テーマ
は、英国を例にとって、産業化・機械化・都市化した日常生活から遊離する
ため自然や異質な文化を求めて出る旅と、合理的な余暇活動としての位置
から商品化された大衆的娯楽へと転位させられていく観光との間のダイナ
ミズムに、近代社会の一面を探ること。論文として「余暇と祝祭性―近代イ
ギリスにおける大衆の余暇活動と社会統制」
(北海道大学観光学高等研究
センター、
2009)
など
最終学歴は、北海道大学大学院文学研究科博士課程。主な研究テーマは、
コミュニケーションにおける視点の機能、情報化社会におけるコミュニケー
ション様式の変容、
アフォーダンス理論のコミュニケーション研究への応用
などです。最近の論文は、
「生成文法と語用論」
(The Northern Review
30、2003)
「他者と出会う」
(メディア・コミュニケーション研究院・研究叢
書70,2008)
「まなざしを贈る」
( The Northern Review 36-37、
2009-2010)
などです。
社会文化論的視点から観光を分析し、再帰的に近代を問い直す
コミュニケーションを生む心、
コミュニケーションが生む社会
社会文化学的な観点から観光研究を行う際の基礎として必要な以下のような論点を、いく
この演習の目的は、人間のコミュニケーションの特性を認知科学的観点及び社会科学的観
つかの文献を講読することを通して確認していきます。1)観光という慣習が成立した社会的
点の両面から最新の経験的研究に基づいて考察すること、
そしてその知見を生かして現代社
背景はどこにあったのか、特に労働の近代化やそれと表裏一体にある余暇の合理化という背
会におけるコミュニケーションあるいは
「他者」
をめぐるいくつかの問題について事例研究を行
景と観光の社会的拡大の相関 2)大衆的な観光と本格派の旅という指向性や理念の違いと、
うことです。コミュニケーションの特性や他者問題を認知科学的観点から考察する手がかりと
階級的な価値観やアイデンティティの相関 3)観光の対象物の真正性と記号性あるいはアウ
して、発達心理学分野を中心に研究が進められてきた
「心の理論(a theory of mind)」
の理
ラの喪失やハイパーリアル性をめぐる議論 4)観光の商業化、商品化の進展とグローバル化、
論的・経験的研究を取り上げて、
心の理論が私たちの言語使用や自己認識・他者理解にどのよ
マクドナルド化 5)観光の対象物に向けられるまなざしが社会的・文化的に構築される際のメ
うに作用しているかについて、具体的事例に基づいて議論します。社会科学的観点から私た
ディアの役割 6)異なる文化や歴史的遺物を求める観光と国民的・民族的アイデンティティの
ちのコミュニケーションと他者の問題を考察する糸口としては、特に消費化と情報化が進んだ
関わり 7)観光目的地での経験の非日常性とそれの記憶や想起・回想 それと並行して西欧の
社会において
「他者」
とは何を意味するのかという問題に焦点を当て、情報メディア論、社会心
近代社会の特質を観光現象を通して概観していきます。
理学、
精神分析学等の分野の他者論に関する研究を取り上げて議論します。
22 ¦ Graduate School of International Media, Communication and Tour ism Studies HOK K A I DO U N I V ERSIT Y
2015
募集要項
募集要項
▼
※詳細はホームページに掲載しています。
ホームページ
http://www.imc.hokudai.ac.jp/exam/list/
募集人員/ ■国際広報メディア専攻
修士課程27名 博士後期課程14名
■観光創造専攻
修士課程15名 博士後期課程 3名
募集区分/一般入試、
社会人入試、
外国人留学生入試
平成28年度 入試日程
平成28年度 入試説明会
本学院では、入試の詳細を知って頂き、研究計画書
【修士課程】
指導のアドバイスを受け、指導の体験をして頂くため、以
国際広報メディア専攻・観光創造専攻[会場:学院・北大東京オフィス]
下の入試説明会を開催します。詳細は、HPにて確認し
前期日程
て下さい。
● 出願資格事前審査申請期間/平成27年 7 月 6 日(月)
∼ 7 月10日(金)
● 願 書 受 理 期 間/平成27年 7 月21日(火)
∼ 7 月27日(月)
● 一 次 試 験/平成27年 8 月27日(木)・ 8 月28日(金)
● 一 次 発 表/平成27年 9 月 2 日(水)
開催日
● 二 次 試 験/平成27年 9 月16日(水)
会 場
● 合 格 発 表/平成27年 9 月24日(木)
前 期
説明会
後 期
説明会
6 月20日(土)
東 京
6 月27日(土)
札 幌
11月 7 日(土)
札 幌
11月14日(土)
東 京
後期日程
● 出願資格事前審査申請期間/平成27年11月24日(火)
∼11月30日(月)
● 願 書 受 理 期 間/平成27年12月16日(水)
∼12月22日(火)
● 一 次 試 験/平成28年 1 月23日(土)・ 1 月24日(日)
● 一 次 発 表/平成28年 2 月 1 日(月)
● 二 次 試 験/平成28年 2 月13日(土)
● 合 格 発 表/平成28年 2 月22日(月)
【博士後期課程】
国際広報メディア専攻のみ実施[会場:学院・北大北京オフィス]
《平成27年10月入学》
北京入試《平成28年4月入学》
● 出願資格事前審査申請期間/平成27年 7 月 6 日(月)
∼ 7 月10日(金)
● 願 書 受 理 期 間/平成27年 7 月21日(火)
∼ 7 月27日(月)
● 一 次 合 格 発 表/平成27年 8 月26日(水)
●二
次
試
験(DC10月)/平成27年 8 月31日(月)
(北 京)/平成27年 9 月 8 日(火)
●合
格
発
表(DC10月)/平成27年 9 月 2 日(水)
(北 京)/平成27年 9 月24日(木)
【博士後期課程】
国際広報メディア専攻・観光創造専攻[会場:学院]
《平成28年4月入学》
● 出願資格事前審査申請期間/平成27年11月24日(火)
∼11月30日(月)
● 願 書 受 理 期 間/平成28年 1 月 5 日(火)
∼ 1 月12日(火)
● 一 次 合 格 発 表/平成28年 2 月 1 日(月)
● 二 次 試 験/平成28年 2 月14日(日)
● 合 格 発 表/平成28年 2 月22日(月)
23
就職サポート
実践教育を支える専門家集団
インターンシップ&報告会
本学院では、
民間企業との連携による講座・講義が多数開講されてい
本学院の特徴は、
インターンシップを単位化していることである。希望学
る。野村総合研究所、
JR東日本の講座をはじめ、
電通、
読売新聞社が講
生は、
インターンシップ委員会との面談により、希望業種を決めながら、内
義を提供している。各社から派遣さ
外の企業・団体においてインターンシップが可能となる。
終了後は、
報告書
れる第一線の専門家により、
社会や
と報告会でのプレゼンテーションにより、
学院内での知識と体験の共有化
現場の動向を研究し、現場にたっ
が図られている。就職前のインターンシップにより、
実務の実態と実践感覚
た視点からの実践的問題解決能
を体験できる学習機会は貴重である。
力を養成している。
プレゼンテーション・ワークショップ
プロジェクト型演習による実践教育
実際のビジネスや研究発表に必要不可欠なプレゼンテーション能力を
本学院では、現代社会が直面している現実課題に対して、問題解決
向上させるため、
プレゼンテーション・ワークショップが設けられている。
プレ
の提言を行う実践型演習として「プロジェクト演習」が行われている。
PBL
ゼンテーション・スキルに焦点を絞った本ワークショップで全体の枠組みを
(Project-Based Learning)
をベースにした本演習では、毎年テーマを
選択し、
学生が自主的にプロジェクトを管理運営し、
その成果を社会に発
理解し、様々なシーンで繰り返し実践することにより、確実なプレゼンテー
ション能力の向上を図っている。
表している。
このような作業を通して、学生は実践的なプロジェクト
・マネジ
メントの手法を習得している。
就職支援体制
おもなプロジェクト実施テーマ
本学院では、開設以来、多大な就職実績を残してきた。
それは独自の
年度
2001
2002
プロジェクトテーマ
● 雪印プロジェクト
● キャンパス・ビジット・プロジェクト
● ニセコ・プロジェクト
就職支援体制があるからだ。教員による業界分析や動向のレクチャー、
個別の進路相談、先輩を招いた就活体験談等、様々な取組みがある。
中でも、企業リクルート担当経験のある実務教員による模擬面接は、多く
の学生が経験している。企業面接を想定した、
複数教員との質疑応答を
通して、
就職面接本番への実践力を養っている。
2003
● 地方新聞社プロジェクト
● オープン・ユニバーシティ・プロジェクト
2004
● 札幌プロジェクト
(外国人観光客誘致篇)
● 日本語テスト・プロジェクト
2005
● 札幌プロジェクト
(芸術観光都市篇)
2006
● シーニック・バイウェイプロジェクト
2008
● 市民メディア・プロジェクト
2009
2011
● 中国インターネット調査プロジェクト
● IMCTSブランディング・プロジェクト
● 震災プロジェクト
● 自治体広報戦略におけるソーシャル・メディア活用戦略研究
● 札幌市長への提言プロジェクト:札幌の住みやすさ調査
2012
● IMCTS広報映像制作研究
● 知床ヘリティジトレイル実践プロジェクト
● 白老町ポロトの森野外実習
● 東アジア・メディア文化フロー
2013
● 札幌市長への提言プロジェクト:市民による札幌情報の発信調査
● 美瑛町をフィールドとした観光地域づくりに関するプロジェクト演習
● 北海道礼文島・利尻島における地域ツアー作成による地域資源開発
● PMFに関する広報・マーケティングリサーチ
● 観光創造による地域づくり演習
∼白川郷/竹富島における地域コミュニティを基盤にしたツーリズムの実践的演習∼
2014
● 観光創造による国際協力
‒バングラデシュ国テクナフ半島における観光資源調査とフィジー国
世界文化遺産レブカタウンにおけるエコミュージアム構想‒
● 観光創造による地域づくり演習
- 美瑛町における観光マスタープラン策定事業と連携した実践的演習
24 ¦ Graduate School of International Media, Communication and Tour ism Studies HOK K A I DO U N I V ERSIT Y
2015
主な就職先
修士課程修了者の主な就職先(五十音順)
マスコミ・出版・印刷関係
● ビジネス日本語協会
● ADTEC Plasma Technology
● 朝日新聞社
● ファミリー
● アビームコンサルティング
● 交通新聞社
● 双葉外語学校
● イオン
● 札幌テレビ放送
● ベネッセコーポレーション
● 石屋製菓
● 上海博報堂
● 北海道大学
● ウェーバー・シャンドウィック・ワールドワイド
● エス・ウント・エー
● 人民日報社(北京)
● DNP北海道
官公庁・各種団体
● オカモトグループ
● 電通
● アジア科学教育経済発展機構
● 丘のまちびえい活性化協会
● 電通北海道
● 帯広市役所
● 北の達人コーポレーション
● 日本テレビ放送網
● 柏崎市役所
● クイック
● 日本放送協会
● 京都文化財団
● 交通銀行
● 博報堂
● 国際交流基金
● 三陽商会
● 北海道新聞社
● 札幌市芸術文化財団
● JT
● 北國新聞社
● 札幌市役所
● 双日
● マイナビ
● 全国共済水産業協同組合連合会
● 千代田化工建設
● 未来教育サポート
● 全国農業共同組合連合会
● デンソー
● 明治図書出版
● タイ政府
● 東京美装興業
● 讀賣新聞社
● 日中技能者交流センター
● 東芝
● リクルート
● 福武財団
● 東芝メディカルシステムズ
● ホクレン農業協同組合連合会
● TOTO
交通・観光・運輸関係
● 北海道警察
● トヨタ車体
● ANA
● 北海道庁
● トヨタ紡織
● トランスコスモ
● 加森観光
● カラカミ観光
情報関係
● ニトリ
● JALスカイサービス
● インサイト
● 日本IBM
● JTBトラベランド
● XSコンサルティング
● 日本生命保険
● JTB北海道
● NECシステムテクノロジー
● 日本船主責任相互保険組合
● JTBワールドバケーション
● NECソフト
● パソナ
● 日本航空
● NTTコミュニケーションズ
● バンダイ
● 日本郵便
● NTTコムウェア
● ファーストリテイリング
● 野口観光
● サーベイリサーチセンター
● 富士通
● パスコ
● JTB総合研究所
● ブリヂストン
● 東日本旅客鉄道
● ダイテック
● 北洋銀行
● 北海道旅客鉄道
● データリンクス
● 本田技研工業
● 野村総合研究所
● みずほ銀行
教育関係
● 日本電気
● 三井生命保険
● 北広島西高等学校
● 日本ユニシス
● 三菱電機
● 光星学園高等学校
● 日立ソリューソンズ
● 三菱UFJ信託銀行
● 札幌国際大学
● 富士通システムズ・イースト
● 明治安田生命
● 札幌市立石山中学校
● Beacon IT
● 森永製菓
● 札幌自由が丘学園三和高等学校
● ホープス
● ヤンマー
● JET日本語学校
● モンスター・ラボ
● リンナイ
● 秀英予備校
● リコーシステム開発
● 六花亭製菓
● ステラリンク
● ダイエックス
メーカー・金融関係その他
● 日本人学校(香港ほか)
● アイジャパン
博士後期課程修了者の主な就職先(大学)
● 北海道大学
● 阪南大学
● 東海大学
● 名古屋大学
● 立教大学
● 秋田大学
● 京都文教大学
● 札幌大学
● 札幌大谷大学
● 釜山大学校
● 北海道教育大学
● 東北師範大学
25
地下鉄南北線
札幌競馬場
北18条駅
函
北海道大学
本
北13条門
線
12
JR桑園駅
北大正門
北13条東駅
地下鉄東豊線
館
北 条駅
JR
JR札幌駅
さっぽろ駅
北海道大学
植物園
●
北海道庁
●
北 海道 大 学 大 学 院
国際広報メディア・観光学院
国際広報メディア専攻/観光創造専攻
2 015
北海道大学メディア・観光学事務部
教務担当
〒060-0817 札幌市北区北17条西8丁目
e-mail: nyuushi@imc.hokudai.ac.jp
tel:011-706-5116 / 011-706-5137
fax:011-706-7801
http://www.imc.hokudai.ac.jp/