読書のすゝめ![15] 教員オススメ本 体育研究所の本棚。~心と身体の鍛え方~ オススメ! 奥山静代 先生 3冊 1) 賀谷淳子,中村好男著 『運動と循環』 B@780@Ka16@2 B@780@Ka16@2B ヒトが動いている時,身体のいろいろな器官や組織が,時には協同し,時には互いに競 合して運動の目的を達成しています.この本は,身体運動時の調整は極めて巧妙であり, 運動の達成に向かって変化していくからだの仕組み教えてくれる,運動生理学のバイブ ル的な一冊です. 2) 渡辺和子著 『置かれた場所で咲きなさい』 J@140@94 学生のみなさんは日々どのようなことを感じて過ごしていますか?「こんなはずじゃな かった」と思うこともあると思います.この本は,そのような時にも自分の置かれた状 況の中で「咲く」ことが大事であることを教えてくれる本です.置かれた場所で咲くこ と,咲けない日は根を下へ下へ降ろすこと,倒れないようにするよりも,起き上がれる ようになることを教えてくれます. 3) カレン・キングストン著(田村明子訳) 『ガラクタ捨てれば自分が見える』 S@198.2@Wa1@1 ものに溢れる現代において「もの」と真剣に向き合うことの重要性を教えてくれます. もの(ガラクタ)を処分することで自分の生活・人生をよりよい状態へ導き,また,居 心地のいい空間で過ごすことが,新たな自分を見つけ出せるということを教えてくれる 本です.この本を読みだしたら身の回りの整理整頓をしたくなるはずです. オススメ! 永田直也 先生 3冊 1) 高妻容一著 『基礎から学ぶメンタルトレーニング』 B@780@Ko19@3 メンタルトレーニングを誰でも自分でできるように書かれた本。メンタルトレーニング をやってみたい人、学んでみたい人の導入としてお勧めです。 2) 長谷川滋利著 J@780@293 『適者生存』 日本人メジャー・リーガーのパイオニアの一人、長谷川滋利氏の挑戦の記録。超一流選 手ではないと氏自身も言うように、身体能力に秀でていない選手がどのようにしてメジ ャーリーグで生き残ってきたかの理由が書かれてあります。スポーツだけでなく、身近 な生活にも応用可能な思考法が満載です。 3) ジョン・ウッデン著(弓場隆訳) 『まじめに生きるのを恥じることはない』 B@159@Wo2@1 B@159@Wo2@1B バスケットボールの殿堂にも名を連ねる名コーチが書いた哲学・教育書。ウッデン氏は、 米国学生バスケットボールにおいて全米優勝 10 回という優れた成績のみならず、人間 的な成長を重視した指導を行っていたことで伝説の指導者となっています。私の座右の 書の一冊です。 1 オススメ! 野口和行 先生 1) 星野道夫著 3冊 『魔法のことば:星野道夫講演集』 B@295.3@Ho2@2 L@295.394@Ho1@1 星野道夫は、アラスカに魅せられ、そこに住む野生生物や、極北の自然を撮影した写真 家です。この本は、彼が様々な場所で行った講演をまとめたものです。彼の言葉は、本 やインターネットなどから得た情報ではない、彼自身の体験や、アラスカに住む人々か ら直接聞いたことを元に紡ぎだされたものです。是非彼の言葉に耳を傾けてみてくださ い。メディアセンターには彼の写真集やエッセイもたくさん収められているのでそちら も楽しんでください。 2) レイチェル・カーソン著 『センス・オブ・ワンダー』 B@404@Ca2@2 B@404@Ca2@2B B@404@Ca2@2C レイチェル・カーソンはアメリカの海洋生物学者で、彼女の代表的な著書「沈黙の春」 は、環境の汚染と破壊の実態を世に先駆けて告発したもので、地球環境問題に関する 人々の発想を大きく変えるきっかけとなりました。この著書は、彼女がおいのロジャー と一緒に海辺や森の中を探検し、星空や夜の有無を眺めた経験を元に書かれた作品で、 「センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目をみはる感性」の大切さを静かに、 けれども力強く私たちに訴えかけます。私が人と一緒に自然の中に出かけていくときに は、いつも「センス・オブ・ワンダー」を心の中に持ち続けたいと思っています。 3) M. チクセントミハイ著 『楽しみの社会学』 B@141.7@Cs1@1 K@141@Cs1@1 楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう、そんな経験を多くの人が一度はしたこと があるのではないでしょうか?スポーツや遊びがなぜ楽しいか、チェスの世界チャン ピオン、ロッククライマー、外科医などへのインタビューを元に、それを「フロー体 験」というキーワードで解き明かしていきます。自分の能力を最大限に発揮すること が必要な未知や困難にチャレンジすることが、「楽しさ」の本質につながっているこ とを私たちに教えてくれます。 村山光義 先生 オススメ! 12 冊 1) アレックス・ハッチンソン著(児島修訳) 『良いトレーニング、無駄なトレーニング が教える新常識』 B@780@Hu1@1 科学 B@780@Hu1@1B スポーツのトレーニングに関する研究では、実際には、まだよくわからないが、断片 的にもはや「常識」に近い感覚で言い伝えられている事柄が多いです。例えば「運動 すると体内に乳酸が発生し筋肉疲労が生じ、さらに筋肉痛の原因となる」、これはど 2 こまで正しのでしょうか?本書は、カナダの物理学博士でかつ元中距離ランナーであ った著者が、90 を超えるトピックについて国際的な学術雑誌のレビューにより、 「科 学的に」わかっている範囲をまとめています。まさにアスリート必読の書であり、ま た、科学的に物事をとらえ判断する上で参考となる本です。 2) 藤田紘一郎著 『原始人健康学 家畜化した日本人への提言』 B@498@Fu14@1 B@498@Fu14@1B 現代の日本人は、殺菌剤や抗生物質にたよって健康的(と思っている)な生活をして いる。しかしこの無菌化が花粉症や O-157 などの感染症を拡大していると筆者は述 べています。かつて寄生虫と共生していた「原始人」的生活が重要であることが、無 菌化の進んでいない諸外国の実例とともに解説されています。21 世紀を生き抜くた めの示唆が得られるかもしれません。 3) 川崎謙著 『神と自然の科学史』 B@402@Ka18@1 B@402@Ka18@1B 西欧自然科学の代表的学術雑誌に「Nature」「Science」というのがあります。し かし、日本人にとって“自然”とは、環境や草木のあるがままの“ジネン”が先にあり、 歴史的に自然と Nature は見方が異なるといいます。西欧の自然は言葉で説明でき る対象であり、自然科学は「普遍的で誰もが学ぶべきもの」だそうです。この本は、 異文化理解とともに、哲学や宗教と科学の関係理解にも役立つヒントが満載です。 4) 玉木正之著 『スポーツとは何か』 S@780@Ta5@1 S@780@Ta5@1B スポーツコメンテーターとして著名な筆者の現代の「スポーツ」解説書。スポーツは 定義することが難しく、かつ、多様な問題を抱えています。体育とスポーツの違いや、 プロとアマチュアリズムの問題など、日本の教育・文化との固有の関係も根が深いも のです。スポーツという文化を考える上でとても参考になります。 5) マイケル・ポラニー著(佐藤敬三訳) 『暗黙知の次元 言語から非言語へ』 B@115@Po2@2 K@115@Po2@2 近年、非言語的知識や認識が、言語的知識と同様に重要であり、また探求の対象とし て注目されるようになりました。例えば「アフォーダンス」とか「身体知」など、知 覚や身体的技能に関する「暗黙的な知」です。本書はいわば、その原点といえるもの です。著者は「我々は語ることが出来るより、多くのことを知ることが出来る」と述 べています。まさに、読書とスポーツの関係性に似ているかもしれません。 6) 佐々木正人著 『アフォーダンス 新しい認知の理論』 B@141@Sa6@2 B@141@Sa6@2B B@141@Sa6@2C 暗黙知の捉え方と類似して、我々の知覚の不思議さについてジェームス・ギブソンは 「アフォーダンス」という造語をつくり、解明を試みました。本書のその入門書とも いえる構成で読みやすいです。 「椅子は我々に座ることを afford(~することができ る)している」?!我々は環境に対して、経験を重ね、瞬時に様々な事象についてほ ぼ無意識に知覚を完了します。いちいち座っても大丈夫な椅子であるか確認せずに座 ります。こうした例は日常にあふれています。認知科学はとっても奥が深いです。 3 7) ホイジンガ著(高橋英夫訳) 『ホモ・ルーデンス』 L@209@Hu1@1 K@209@H3@1 8) ロジェ・カイヨワ著(多田道太郎、塚崎幹夫訳)『遊びと人間』 L@104@Ca1@1 L@104@Ca1@1C L@104@Ca1@1B 人は遊ぶ存在(ホモ・ルーデンス)であるといったのはホイジンガでした。これを発 展させ、遊びを分類したのはカイヨワでした。いずれも古典的な理論書ですが文庫本 で手軽に読めます。遊びは Sport の語源ともいわれます。しかし、遊戯は古代から 続けられ、文明や社会の発展に寄与してきたのです。スポーツを理解するとともに人 間を理解する上で「遊び」を知ることはとても重要だと思います。 9) 杉晴夫著 『筋肉はふしぎ 力を生み出すメカニズム』 S@491@Su3@1 S@491@Su3@1B 世界的な筋生理学者の著者が、わかりやすく筋肉のしくみを解説した入門書で、読み やすくまた興味深いものです。筋の収縮のメカニズムは未だ解決できない問題を残し ていますが、我が国の研究者が 20 世紀から探求を続けて来ています。こうした筋肉 のなぞについて、20 世紀に解き明かされた点が集約されています。 10) 杉晴夫著 『生体電気信号とはなにか 神経とシナプスの科学』 S@491@Su3@2 S@491@Su3@2B 前掲書に続き、生体の電気現象について細胞レベルの生理学を解説しています。我々 の運動はもとより、内蔵の筋肉もすべて神経を介して電気信号がその情報の伝達をし てくれています。生きているということはこの細胞の電気現象が欠かせません。こう した神経生理学においても我が国(特に慶應義塾)の研究者が世界に先駆けて解明し た事柄が多く、こうした歴史的経緯を知るのも楽しいところです。 11) 西岡常一著 『木に学べ 法隆寺・薬師寺の美』 L@521@Ni1@1 薬師寺宮大工棟梁の筆者が宮大工、木そして人について語った自伝的書。「古代の建 築物ほど、木の生命と自然の命とを考えていますな」「刃物が研げなければ、道具は 使いこなせません」「塔組みは木の癖組み、人の心組み」“口伝”として伝えられてき た宮大工のしきたりや考え方は、進化を続ける電脳技術時代に忘れかけた大事なこと を教えてくれると思います。 12) 小宮山勝司著 『キノコの魅力と不思議』 S@657@Ko1@1 S@657@Ko1@1B 私は、実は無類の山菜好きで、食べるのも探すのも大好きです。キノコは毒キノコで もふいに出会うと嬉しくなります。まさに不思議な魅力を持っています。本書は、ペ ンションオーナー兼キノコ写真家の著者が経験談に基づくエピソードを交えて、様々 なキノコを紹介・解説しています。図鑑としても読み物としても、とっても楽しめま す。 ここに掲載の図書は、日吉図書館のほか塾内のメディアセンターでも所蔵しています。 KOSMOS で検索してみてください。 慶應義塾大学日吉メディアセンター 4 (ラウンジ展示 2012.7).
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