おいしさを科学する 「テクスチャー」 食品の化学面を反映する味とともに食品の物理面を 反映するテクスチャーは、おいしさの重要な要素で す。そもそもテクスチャーとはどのようなもので、 どのようにして生じ、おいしさにどのような影響を 及ぼしているのでしょう。 化学的な味・物理的な味 ●図表1 おいしさに貢献する化学的味、物理的味の割合 食品のおいしさは、甘味・塩味・酸味・苦味・うま味といった 舌で感じる味や鼻の粘膜で感じる香りなどの化学的な味とと もに、口にしたときの歯ごたえ・噛みごこち・歯切れや口 あたり・舌ざわり・喉ごしなどの触覚による情報が及ぼす 物理的な味が大きく影響しています。 たとえば日本人の主食であるご飯は、適度な硬さと弾力・ 粘りがおいしさを左右します。刺身ではシコシコ感、天ぷら ではカラッと揚がった衣のサクサク感と身のジューシー感が おいしさに欠かせません。 日本の食文化は喉奥文化ともいわれ、 うどんや蕎麦、ところてんなどのように喉を通過する感覚を 楽しむ食品も数多くあります。 化学的な味と物理的な味が食品のおいしさに貢献する割合 を比較すると、固体状の食品では物理的な味が重視され、 液体状の食品は化学的な味が重視されています(図表1) 。 食品の硬さが増すにつれて、味の強さは弱められる傾向に あります。味を呈する化学物質(呈味物質)が水に溶けにく い状態であればあるほど、味を感じる味蕾に呈味物質が到達 物理的味 その他 化学的味 白飯 卵豆腐 だんご 煮豆(黒豆) 粉ふきいも 水ようかん ほうれん草浸し 練りようかん にんじんのグラッセ 栗きんとん クッキー ビフテキ ポタージュ なすのぬかみそ漬け 清酒 オレンジジュース 0 20 40 60 しにくくなるためです。料理の際に硬いものやとろみをつけ たものは、濃いめの味付けにするのがコツです。 80 100 (%) 山野善正「おいしさの評価とその実際」食品と開発 VOL.41 No.4 2006.4 ご飯のテクスチャー 米のでんぷんはアミロースとアミロペクチンとで構成されています。アミロース の含量が高いほど、米飯は硬く、粘りがなく、パサパサします。インディカ米の 炊飯米が粘着性が少ないのは、でんぷんの高アミロース含量が関与しています。 もち米は、アミロース含量が1%以下で、著しく高い粘着性を示す反面、炊飯米 として食べる場合は軟らかすぎます。 おいしさを科学する 「テクスチャー」 食品の組織と構造が生む味 食品のテクスチャーは①硬さ・凝集性・粘度・弾性・ 粘着性等の力学的特性、②粒子の大きさや形状とその会合 状態が関係する幾何学的特性、③水分や脂肪含量が関係する 表面特性が影響しています(図表2) 。 たとえば、独特のコシが特徴の讃岐うどんの場合は、 硬さ・弾力性・歯切れなどの力学的特性がコシに影響し、また 麺の表面の滑らかさも喉ごしのテクスチャーに影響しています。 ●図表2 テクスチャー特性の分類 一次特性 ところで、味覚は舌にある味蕾が感覚センサーになってい 硬さ ます。テクスチャーの場合、歯ごたえ・噛みごこち・歯切れ は、歯の根元と骨とが接する部分にある歯根膜と呼ばれる 部分がセンサーとして働きます。そして、食品を上下の歯で 凝集性 噛むごとに、感じる力の大きさと咀嚼時の変化、つまり硬さ 軟らかさ、弾力性、もろさなど、主に食品の力学的特性の情報 力学的特性 を得ています。 口あたり・舌ざわり・喉ごしは、口の中の粘膜や舌がセン サーとなり、接触する食品の滑らかさ・ざらざらさ・みずみず しい感じなど、力学的特性とともに、主に食品の幾何学的特 性と表面特性の情報を得ています。 テクスチャーにもバランスを 幾何学的特性 高齢社会を迎え、咀嚼能力が低下した高齢者のために喉ご しを考えたテクスチャーの食品が登場しています。しかし、 咀嚼能力は食品を噛むことで維持できるものです。必要以上 に軟らかくする配慮は、結果的に咀嚼能力の低下を加速する ことになってしまいます。 二次特性 一般用語 軟らかさ・歯ごたえのある・硬い もろさ ボロボロ・ガリガリ・もろい 咀嚼性 軟らかい・強靱な ガム性 崩れやすい・粉状・糊状・ ゴム状 粘度 サラサラした・粘っこい 弾性 塑性のある・弾力のある 粘着性 ネバネバする・粘着性の・ ベタベタする 粒子の大きさと形 砂状・粒状・粗粒状 粒子の大きさと会合状態 繊維状・細胞状・結晶状 水分含量 乾いた・湿った・水気のある・ 水気の多い 表面特性 脂肪含量 油状 油っこい グリース状 脂っこい 川端晶子編著『食品とテクスチャー』光琳2003より作成 一般の食品でも、現代は軟らかくて歯ごたえのない食品が 増えています。けっして軟らかい食品が悪いわけではありま せんが、軟らかいものだけを食べることは問題があります。 噛むことで脳は活性化し、代謝を活発にして老化を予防する 働きもあるからです。 バランスのよい食事を心がけることは、栄養価については かなり浸透しています。しかし、食品は化学的な味とともに テクスチャーを持つものです。おいしくて健康につながる 食事を楽しむためには、テクスチャーに関してもバランスの よい食事を考える必要があるでしょう。 テクスチャー 食品分野では、食べ物を口に入れて咀嚼して飲み込むまでの唇・歯・舌・口蓋・喉 などで感じるさまざまな物理的食感を、テクスチャー(texture)と呼んでいま す。テクスチャーは「織りなす(textile)」というラテン語から派生した言葉で、 食品の組織・構造と、そこから生じる力学的特性と深い関わりがあります。 おいしさを科学する 「テクスチャー」 刺身はテクスチャーを味わう料理 マグロのトロは、その名の通りトロリとねっとりした舌ざわ りが、また、タイやヒラメの刺身はシコシコした噛みごたえの ある歯ごたえがおいしさを生み出しています。刺身は、口あた り・特有の弾力・噛みごたえなど、まさにテクスチャーを味わ う料理といえます。 魚肉をはじめ、牛・豚・鶏などの畜肉は基本的に、筋肉を収縮 させる細長い筋線維と、それを取り巻いて筋線維同士を結合さ ●図表3 たんぱく質の種類と特徴 筋肉たんぱく質 たんぱく質の種類 筋原繊維たんぱく質 (糸状たんぱく質) 筋形質たんぱく質 (球状たんぱく質) ミオゲン グリブルンX せている結合組織、そして脂肪組織から構成されています。 強靱な組織である結合組織の割合が大きい肉ほど硬くなります。 結合組織の主成分はコラーゲンと呼ばれるたんぱく質です(図 表3・4) 。 加熱調理で新たなテクスチャー 火を使う調理で食品のテクスチャーは変化します。魚肉・ 畜肉は加熱すると硬くなります。加熱すると筋線維が熱変成 して収縮するためです。加熱時の硬さの違いは筋線維の太さ や長さ、筋線維を構成する水溶性の筋形質たんぱく質と 非水溶性の筋原線維たんぱく質の比率、水分や脂肪の量が 肉基質たんぱく質 コラーゲン (結合繊維たんぱく質) エラスチン 関係しています。 硬いすね肉などをコトコト煮ると軟らかくなるのは、長時 間加熱し続けることによって、結合組織が溶け出すとともに 水溶性の筋形質たんぱく質も溶け出し筋線維がほぐれるため です。 ます。 サラダなどで食べる生野菜も、シャキシャキしたテクス チャーがおいしさに貢献しています。 野菜の場合は加熱により線維が膨潤し軟らかくなります。 ・水に可溶。酸・塩によりゲル化 ・各種酵素たんぱくからなり、たん ぱく質分解酵素、グリコーゲン分 解酵素などを含む ・水に難容 ・加熱により収縮しかたくなるが、 湿式加熱などで水中で長時間加熱 すると分解し、ゼラチン化する ・エラスチンはゼラチン化しない。 魚肉にはエラスチンは少なく、筋 肉は軟らかい。これがさしみとし て食べられる理由 加藤静子・高木節子編『最新調理学』朝倉書店 2005 より作成 ●図表4 魚肉の場合は筋線維の構造が節状になっているため、 加熱するともろく割れやすく、ほぐれやすくなる特徴があり 特徴 ・水に難溶だが、食塩水に可溶 ・加熱により凝固、収縮する ミオシン ・アクトミオシンはミオシンとアク アクチン チンが重合したもので、かまぼこ アクトミオシン はアクトミオシンのゲル化を利用 した練り製品 畜肉と魚肉のたんぱく質組成(%) 筋原繊維たんぱく質 筋形質たんぱく質 肉基質たんぱく質 子牛肉 豚肉 馬肉 野菜の煮物などは軟らかく煮ることで、新たなテクスチャー のおいしさが生まれます。ホウレンソウのお浸しのように、 加熱調理する場合も歯ざわりを残したほうがよいものもあり ます。 魚肉 0 20 40 60 80 100 (%) 加藤静子・高木節子編『最新調理学』朝倉書店 2005、畑江敬子『さしみの科学』成山堂書店 2005 より作成 さしみのテクスチャー フグの薄造りは、薄く切ることであらかじめ結合組織を切断し、咀嚼時のテクス チャーが硬くなりすぎないように調整しています。このように刺身の切り方と魚肉 の硬さは密接に関係しています。肉質・身の硬さによって、糸造り(イカ・タイ・ ヒラメ) 、そぎ造り(フグ・コチなど身の締まったもの) 、平造り・角造り(マグ ロ・カツオなど身の軟らかいもの)と使い分けています。 また、よく切れる包丁で造ったものは切断による組織の損傷が少なく、成分の流 出も少なくなります。空気にさらされる面も少なく口あたりがよくなるのです。 おいしさを科学する 「テクスチャー」 魚種によって異なる鮮度とテクスチャー 畜肉と違って魚肉は、結合組織が少ないため、元来軟らか く、熟成を必要とせずに、刺身として生で食べることができ ます。 生の魚肉のテクスチャーは魚種によって異なり、鮮度や調理 によって変化します。魚肉の硬さはコラーゲン量に比例し、 コラーゲンが多い魚種を刺身にしたときに、シコシコした歯ごた ●図表5 魚類の破断強度の変化(4℃で冷蔵) えが楽しめます。皿の模様が透けて見えるぐらいに薄く切るフグ は、特にコラーゲン量が多くて硬いテクスチャーが特徴です。 トラフグ ブリ ) 中の独特の硬いテクスチャーを賞味する料理もあります。 ( コイのあらいのように意図的に魚介を死後硬直させ、硬直 それぞれの魚の即殺時の破断強度の値を 100とした相対値で示したもの 破 150 断 強 度 % 100 ヒラメ しかし、魚肉の場合、必ずしも死後硬直で硬く締まり、その 後、軟らかくなるわけではりません。冷蔵中の鮮度低下に 50 伴う魚肉の破断強度の変化は魚種により大きく異なり、しめ た時(即殺時)の数時間後に破断強度の値がいったん高くな と呼ばれる独特の弾力感ある歯ごたえが特徴となっていま す。カマボコはゲル状食品で、ゲルには特有の硬さ・弾力・ 粘性があり、独特の歯切れや歯ごたえ・滑らかさなどがあり ます。魚肉を水晒しして、塩を加えてすりつぶし、練ったも のを加熱すると、もとの魚肉とはまったく違った、しなやか で弾力に富んだゲルができあがります。 マダイ マイワシ 0 る魚種とそうでない魚種があります(図表5) 。 カマボコなどの魚肉を原料とした水産ねり製品は、「足」 イサキ 24 貯蔵時間(h) 48 72 4℃で冷蔵したマイワシは、しめた直後から破断強度は速やかに低下し、テ クスチャーは著しく軟化します。トラフグの破断強度は、魚をしめてから12 時間まで増加し、その後減少しますが、3日間冷蔵しても即殺時のテクスチャ ーが保持されます。 松本美鈴「魚のテクスチャー」養殖 2002.8 ゾルとゲル 本来は溶け合わない成分が粒子になって分散している状態のことをコロイド という。コロイドは、粒子が運動できるものを「ゾル」、運動できないものを 「ゲル」という。 水に溶かした寒天やゼリーはゾルで、冷やすと固まりゲルになる。 カマボコの足 カマボコで水晒しをするのは、ゲルの形成を阻害する水溶性たんぱく質など を除去するためです。塩を加えてすりつぶした時に、筋原線維たんぱく質のア クチンとミオシンが溶け出してゾル状のアクトミオシンとなり加熱後に網目構 造を作り出します。この状態がすり身における加熱後の足につながります。 強い足ができるすり身の塩濃度の範囲は2∼12%。一般には、味との関係から 多くは2∼3%となっています。 カマボコの足は地方色に富み、原料魚種や蒸熱・焙焼などの加熱方式の違い、 少量使用されるでんぷんの種類によっても足の質が異なります。 アジやカマスなどの干物が生より身が締まり、プリプリした歯ごたえが生じ るのも、塩による脱水効果と部分的な網目構造が形成されるためです。 おいしさを科学する 「テクスチャー」 熟成で生まれる好ましいテクスチャー 畜肉は「箸で切れるような軟らかい肉」、そして、「噛んだ 時に肉汁があふれるような肉」がよい肉と言われます。 弾力性も重要で、テクスチャーが肉の評価を決定する最大の 要因となっています。 畜肉は通常、一定期間低温で貯蔵する「熟成」と呼ばれる 期間を経たものが食されます。たとえば牛肉は、と殺直後は 硬くて食用に適しません。死後硬直を経て、だんだんと軟ら かくなり、約2∼3週間で結合組織に分解が生じて好ましい テクスチャーの肉となり、風味も向上します。熟成期間は、 豚で約1週間、鶏で1日間と言われています。 筋肉内脂肪(サシ)が入った霜降り肉が好まれるのは、サシ によって結合組織が弱くなり肉が軟らかくなるためです。 加熱調理すると、筋線維は硬くなりますが、肉に入り込んだ 脂肪が溶解し、軟らかでまろやかな口あたりを生み出します。 口あたりに影響する油脂の融点 元来、脂肪組織の成分である油脂には化学的な味は存在せ ず、滑転味と呼ばれるまろやかな口あたりが、おいしさの 大きな要因となっています。油脂のテクスチャーは表面張力 と粘度等が関係します。 油脂は溶ける温度(融点)が口あたりに影響します。不飽和 脂肪酸の多い魚の油脂は低融点なので、脂肪ののったマグロ のトロは、生の刺身でも脂肪が口の中で溶けて滑らかなテク スチャーを生みます。 豚や鶏の脂も口の中で溶け始めるため、冷たい料理でもお いしく食べることができます。ただし、牛肉の脂は融点が人 の体温より高いため、冷めると固体の牛脂が口あたりを損ね てしまいます(図表6) 。 ●図表6 油脂の溶ける温度 牛肉 (℃) 脂肪 50 羊肉 脂肪 豚肉 40 40∼50 44∼45 脂肪 鶏肉 バター 30 脂肪 ごま油 28∼38 33∼46 20 20∼25 30∼32 10 0 -10 -20 サフラワー油 -5 だいず油 -7∼-8 体温(36℃) 室温(18℃) コーン油 -18∼-10 加藤静子・高木節子編『最新調理学』朝倉書店 2005 より作成 水産物は低融点 もともと脂肪は、生物の余剰エネルギーの貯蔵庫の役割をしています。その ため、環境の温度によって体温が変動する魚介類などの変温動物や、移動でき ない植物の油は、寒い冬でも凍らないように低融点になっています。 油脂とテクスチャー 水の中に油が、油の中に水が分散した状態を「乳化」と呼び、乳化した液は 「エマルション」と呼ばれる。エマルションは滑らかなテクスチャーを持ってい ます。 その他に、油脂は、食品にショートニング性と呼ばれるもろさを付与したり、 空気を細かい気泡として抱き込んでクリーミーな口あたりを生むクリーミング 性などのテクスチャーに関わっています。 おいしさを科学する 「テクスチャー」 糊化の状態でテクスチャーに変化 食品には魚肉・畜肉のような固体状食品、カマボコのよう なゲル状食品の他にも、パンやクッキーのような多孔質 食品、スープやソースのような液状食品があり、物理的な 性質の違いが特有のテクスチャーを生んでいます。 パンやクッキー・麺類・せんべい・団子など、小麦粉や米粉な どのでんぷんを原料とする食品のテクスチャーはさまざまで すが、いずれも水とともに加熱することにより適度の糊化状 態となっています。糊化によって、人の消化しにくいβでん ぷんが消化しやすいαでんぷんへと変化します。でんぷん食 品のテクスチャーはこのでんぷんの糊化状態と水分とに深い 関係があります(図表7) 。 パンや麺類・餃子の皮・パイ皮など小麦粉から作られる食品 ●図表7 でんぷん食品の糊化状態 でんぷんに水を加えた後に加熱すると、ある温度ででんぷん粒が水を吸収し て膨らみ始め、加熱によって膨潤し続けると粘性の強い液、ゾル状の糊ができ ます。さらに、膨潤の限界に達するとでんぷん粒の崩壊が起こり、冷却により ゲル化します。ゾル状のでんぷんは、汁にとろみをつけ、滑らかな口あたりを 与えるほか、粘性を与えるので調味料が食品に絡まりやすく、温度低下を防ぐ、 などの調理特性があります。 は、でんぷんの他に、たんぱく質から生じるグルテンと呼ば れる成分が網目構造を形成して粘性・弾力・伸展性を生み出 でんぷん粒の膨潤 し、特有のテクスチャーを作り出しています。 糊化の進行度合い グルテンは小麦粉に適量の水を加えてよくこねることで生 じます。スポンジケーキやドーナツ・クッキー・天ぷらの衣 などでは薄力粉を使用して低温でさくっと混ぜ、逆にグルテ ンの形成を抑えることで、さくっとした口溶けのよいショート 水 分 ︵ % ︶ ビスケット(硬い多孔質) 0 えびせんべい(硬い多孔質) 20 パン(柔らかい多孔質) 40 ネスといわれるテクスチャーとなります。 60 うどん特有のテクスチャーは、小麦粉中のでんぷん特性が かまぼこ(硬いゲル状) うどん 80 て弾力性がありませんが、適度に膨潤すると半透明で適度な 100 崩壊状態となりコシが弱くなります。 小麦粉に各種のでんぷんを添加した場合のテクスチャーの わらびもち(柔らかいゲル状) プディング・ブラマンジュ(柔らかいゲル状) 大きく影響しています。でんぷん粒が膨潤していないと硬く 弾力性となります。さらに加熱すると、でんぷん粒はすべて 粒の破壊、分散 たれ・あんかけ(ゾル状) 高橋禮治「でんぷん質食品の食感」『高分子』50巻10月号 2001 ●図表8 でんぷん添加によるテクスチャー変化 変化は、でんぷんの種類により粒の大きさや糊化温度に違い があり、特性が大きく異なっています(図表8) 。 食品業界では、さらにテクスチャーや調理性を改善するた 硬 い めに新たなでんぷんを数多く開発し、しっとり・もっちりし た日本人向けのソフトなテクスチャーのパンや、茹でのびし 緑豆 でんぷん コーンスターチ 硬 さ 米 でんぷん ない麺類などの製造に利用しています。 馬鈴薯 でんぷん 甘藷 でんぷん タピオカ はす でんぷん でんぷん 小麦粉 100% 軟 ら か い もち米 でんぷん 弱い 粘り 強い 高橋禮治「でんぷん質食品の食感」『高分子』50巻10月号 2001 小麦粉とグルテン グルテンの素となるたんぱく質の多い小麦粉が強力粉、少ない小麦粉が薄力粉、 その中間を中力粉といいます。 ※参考資料●川端晶子編著『食品とテクスチャー』光琳2003、加藤静子・高木節子編『最新調理学』 朝倉書店 2005、畑江敬子『さしみの科学』成山堂書店 2005、松本美鈴「魚のテクスチャー」養殖 2002.8、山野善正「おいしさの評価とその実際」食品と開発 VOL.41 No.4 2006.4、高橋禮治「でんぷ ん質食品の食感」『高分子』50巻10月号 2001
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