NEW JERSEY ニュージャージー州 I. 保護命令

NEW JERSEY
ニュージャージー州
I.
保護命令
....... 1 ~ 5 ページ
II.
III.
IV.
離婚
親権・面会交流権
養育費
....... 6 ~ 8 ページ
I.
8 ~ 11 ページ
....... 12 ページ
.......
保護命令
保護命令とは?
保護命令とは、DV 行為や犯罪行為の被害者が、加害者から、身体的、又は、精
神的な危害を受け続ける恐れのあるとき、裁判所が発行する法的保護措置のこと
を指します。ニュージャージー州では、保護命令は、Restraining Order と呼ばれて
います。
自治体裁判所と刑事裁判所の違いについて
法律制度は、大きく民事法と刑事法の 2 つに分けられます。それぞれ、どの裁判
所が管轄を持つか決められています。DV のケースでは、自治体裁判所(民事法)
と刑事裁判所(刑事法)という 2 つの性質の違う裁判所から、同じ DV 行為に対
しての法的措置を同時に求めることも可能です。DV の危険から最大限に身の安
全を守るため、状況によっては、両方の裁判所から保護命令の発行を求めること
が最善策というケースもあるでしょう。民事法と刑事法の一番大きな違いは、各
法的措置の申立人の違いにあります。
➣ 自治体裁判所 Municipal Court
(民事法) のシステム
民事法のシステムでは、申立人は、被害者、又は、先に申し立てを行った申請者
です。よって、民事法上の保護命令取得のためには、被害者が直接裁判所へ出向
き、法的保護を求める保護命令陳述書の申し立てを行う必要があります。保護命
令発令後、加害者が命令内容に違反した場合には、加害者が逮捕されることもあ
りますが、基本的に、民事法制度では、申立人は、DV の行為に及んだ加害者の
逮捕、又は、懲役などの刑罰を与えることを裁判所に求めるわけではありません。
➣ 刑事裁判所(刑事法)のシステム
一方、刑事法のシステムでは、検察局 (District Attorney’s Office) が申立人となり
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ます。刑事裁判所では、ハラスメント、暴行、殺人、強盗等の刑法に違反する犯
罪行為が扱われます。刑事告訴の中では、加害者の処罰も求められます。刑事法
制度では、検察官 (Prosecutor、又は、地方検事 District Attorney とも呼ばれる)
がケースの進行に関する主導権・決定権を持ち、刑事裁判を続行するかどうかの
判断権も持ちます。刑事裁判では、州・地方自治体が、加害者に対する刑事裁判
の申し立てを行います。もし、被害者が、加害者の告発 (press charges) を希望
しない場合、検察官は、刑事告訴を取り下げる判断をする可能性もありますが、
かならずしもそうではありません。検察官は、被害者がそう希望しない場合でも、
加害者に対する刑事告訴を取り下げず、裁判を続行することもあります。また、
その際、被害者に対して召喚状 (Summons = 特定の人に対し、裁判所へ出頭し、
証言することを命じる裁判所の命令書)を発し、証言人として出廷させる可能性
もあります。
自治体裁判所(民事法)のシステムを利用して保護命令を申請する場合
加害者(abuser)が、申請者と下記の関係にある場合、自治体裁判所にて、保護
命令 Restraining Order を求めることが可能です。




現在の配偶者、または以前婚姻関係にあった配偶者
現在一緒に暮らしている、または過去に一緒に暮らしていた家族
子供の父(母)親、またはこれから生まれる子供の父(母)親
お付き合いをしている相手“Dating Relationship”
* NJSA § 2C:25-19(d)
自治体裁判所で Restraining Order の発行時に適用する DV 行為の定義:
ニュージャージー州では、殺人、恐喝、誘拐、拘束・監禁、性的暴行、みだらな
行為、器物破損行為、窃盗、不法侵入、ハラスメント、ストーキング等が DV 行
為に含まれます。DV の具体例は下記の通りです。




暴行行為 assault-加害者が身体的な怪我を負わせるような行為に及ぶこと。
(殴ったり、蹴ったり、物を体に投げつける等)
器物破損行為 criminal mischief-加害者が、意図的に被害者の持ち物を壊す行
為。(アパートのドアを壊す、窓に石をぶつけて壊す、車のタイヤをパンクさ
せる等)
ハラスメント行為 harassment
ストーキング行為 stalking
*NJSA 2C:25-19
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**上記の DV 行為の定義の詳細については、下記のウェブサイトをご覧下さい。
http://www.womenslaw.org/statutes_detail.php?statute_id=4091#id-2009
保護命令の種類と有効期間について
ニュージャージー州で発行される保護命令の種類と有効期限は、下記の通りです。
裁判官が、被害者の状況を吟味する中で、どの保護命令の発令が適当か裁断を下
します。
➣ 緊急保護命令 Emergency Order
裁判所が閉廷している時間帯(週末や夜間、または祝日等)は、最寄の警察(911)
へご連絡下さい。当直の裁判官が、24時間体制で、緊急保護命令の発行に対応
しています。ニュージャージー州高等裁判所家族課(the Family Part of the Chancery
Division of the Superior Court)の裁判官、もしくは、自治体裁判所(Municipal Court)
の裁判官が対応しますが、どちらの裁判所の裁判官が対応したか、担当の警察官
に確認し、メモをとりましょう。当直の裁判官が、申請者の生命、身体・精神の
健康(well-being) を守るために緊急保護命令の発行が必要だと判断をした場合、
緊急保護命令が発行されます。裁判所の開廷時まで有効な保護命令ですので、申
請者は裁判所開廷時に裁判所へ戻り、裁判官に事情を説明し、一時的な保護命令
(an ex parte temporary restraining order)の発行を、再度吟味してもらうことにな
ります。
☞豆知識:もし、自治体裁判所(Municipal Court)の裁判官が緊急保護命令の
発行を却下した場合、高等裁判所家族課(the Family Part of the Chancery Division
of the Superior Court)に上告し、同じ DV 事件内容を元に、緊急保護命令の発行
を求めることが可能です。
➣ 暫定的保護命令 Temporary Restraining Order (TRO)
裁判所が開廷している間に、裁判所で保護命令の申請をされる際は、暫定的保護
命令の当日発行を求めることが可能です。裁判官が、申請者の生命、身体・精神
の健康(well-being)を守るため、保護命令の発行が必要だと判断をした場合、直
ちに暫定的保護命令(ex parte temporary restraining order (TRO))が発行されます。
暫定的保護命令は、"ex parte" と呼ばれていますが、"ex parte" とは、裁判官が申
請者(被害者)の証言だけを基に、保護命令の発行を判断することを指します。
通常、裁判は、相対する当事者間の間で行われるものであり、裁判官の判断も、
当事者双方の話を聞いてから判決が下されますが、暫定的保護命令の場合、被害
者の証言のみを聴取し、裁判官が保護命令発行の有無を決めます。
暫定的保護命令は、通常、次の出廷日まで有効です。次の出廷日には、加害者も
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裁判官の前へ出廷し、裁判官の前で証言、証拠を提出する機会が与えられます。
この出廷日は、暫定的保護命令が発行されてから 10 日以内の日時に設定されるの
が一般的です。
➣ 最終保護命令 Restraining Order
最終保護命令の発行は、担当の裁判官が、被害者と加害者双方からの証言や目撃
者の証言を聞き、各証拠を吟味した後に行われます。下記の場合を除き、最終保
護命令は、永久的に有効です。


最終保護命令に有効期限が明記されている場合
当事者のどちらかが裁判所へ保護命令の内容の変更や終了を求める嘆願書
(Motion)を申請し、その嘆願書を裁判所が受理した場合
* NJSA §§ 2C:25-28(a); 2C:25-28(f)
** NJSA § 2C:25-28(i)
*** NJSA § 2C:25-29(a)
**** NJSA § 2C:25-29(d)
裁判官は、状況を査定し、下記のような事柄を Restraining Order に明記し、加害
者の DV 行為を禁止します。Restraining Order に明記されている内容に加害者が従
わなかった場合、被害者が警察に通報すれば、加害者の逮捕に至る可能性があり
ます。
Restraining Order に明記できる事柄








被害者や、保護命令に明記されている被害者の家族、その他の人物に対しての
暴力行為やハラスメント、ストーキング行為等の禁止
被害者自身、また被害者の自宅や職場、被害者の家族へ近づくことを禁止
住宅ローンや家賃などの支払い義務が加害者にあると裁判官が判断した場合、
支払いの継続を命令
被害者への、面会、電話、手紙や E メール上での連絡を禁止。また、被害者の
家族や友人、同僚など、連絡をとることで、被害者が警戒してしまうような第
三者を通しての伝言 third party contact を通しての連絡を禁止
暴力が原因で生じた出費で、裁判所が適当と判断するものに対する支払いを加
害者に命令(例:収入などの損失や怪我の治療費、引越し費用や交通費、所有
物の修理や買い替え費用、弁護士費用やカウンセリング費用、また DV の被害
に対する慰謝料等)
加害者が所持している銃器、並びに、銃所持免許を押収する命令書の発行
銃器や武器の購入,又は、所有を禁止する命令書の発行
DV のカウンセリングのへ通うことを義務付け
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



精神鑑定
加害者が、保護命令の内容にきちんとしたがっているかモニタリングを行うた
め、裁判所へ定期的に出廷することを義務付け
加害者に対する住居からの退去命令。裁判官は、住居が加害者の持ち家、また
は貸し家でも、加害者に対して退去を命令することが可能。被害者が住居に住
み続けることができない場合には、新居の家賃を加害者が負担するよう命令。
暫定的親権を被害者に与え、保護命令期間中の面会訪問日や時間、場所を
取り決め、第三者による面会交流時の監督の義務付けなど
☞豆知識:
加害者が面会等、子供と共有する時間を裁判所に与えられた後、
なんらかの形で、子供の安全や健康を害するような行為に及んだり、そのよう
な行為をほのめかす場合は、緊急裁判の申請が可能。



車や小切手帳、保険証や ID、鍵などの所有物を被害者と加害者のそれぞれ
に振り分け
養育費や生活費などを加害者に支払うよう求める緊急命令
加害者と被害者が共有している空間(家や職場等)を退去する側に、
(加害者、
又は被害者のどちらでも)警察官が家まで同行し、身の回りの必需品をまとめ
る機会を提供するよう命令
この他にも、被害者と被害者の子供の安全を守るために適当と判断された事項が
記載されます。
*NJSA § 2C:25-29(b)
Restraining Order の申請は、どこの自治体裁判所へ行けば良いですか?
陳述書は、DV の事件が起こった場所、被害者の居住地、又は、加害者の居住地の
いずれかの郡を管轄に持つ自治体裁判所 Municipal Court で申請できます。
* NJSA § 2C:25-28(a)
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II.
離婚
離婚とは?
離婚とは、結婚を解消するための法的措置です。下記の流れが、ニュージャージ
ー州での一般的な離婚プロセスです。 Superior Court が管轄を持ちます。
ステップ 1: 居住条件を満たしている
↓
ステップ 2: 離婚理由 grounds がある
↓
ステップ 3: 離婚嘆願書を申請した側が、第三者を通し、離婚申請書
類を相手に手渡す(service of process)
す
↓
ステップ 4: 相手側が書類内容に同意できない事項がある場合、相手
側にも裁判所に異議申し立てを行う機会が与えられます。相手側の
同意が得られない場合、その離婚は、“contested divorce”と呼ばれます。
この際、双方が法廷へ出向き、裁判官の前で、双方が申し立て内容
を争うことになります。もし、相手側が離婚の嘆願書の内容に特に
異議がなく、離婚書類に署名し、同意した場合は、“uncontested divorce”
と呼ばれます。相手側に離婚書類を届けた後、一定期間中に、相手
側が離婚書類に署名をしない、または、異議申し立ての書類を裁判
所に申請しない場合もまた、“uncontested divorce”として、裁判所での
離婚のケースを進めていくことが可能です。いずれのケースも、離
婚専門の弁護士にご相談されることをお勧めします。
↓
ステップ 5: 財産分与や配偶者扶養料を相手に求める場合、裁判所の
外での交渉によりこれらの点についての取り決めを行うか、又は、法
廷での争いの中で取り決められてからでないと離婚の最終判決が下
りません。また、離婚の嘆願書が申請される前に、親権や養育費の件
が前もって決定されていない場合、離婚裁判の中に親権と養育費の内
容も取り込まれ、初等裁判所での離婚裁判の中で、これらの点につい
ても同時に取り決められる可能性があります。
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居住条件とは?
ニュージャージー州で離婚を申請する為には、離婚申請時までに、夫婦のどちら
かがニュージャージー州に少なくても1年間継続して居住している必要がありま
す。この 1 年ルールに当てはまらないケースは、離婚理由が浮気 Adultery による
場合で、この場合、夫婦のどちらかが申請時に、ニュージャージー州に住んでい
れば(1 年経っていなくてもよい)離婚申請が可能となっています。
* N.J.S.A. § 2A:34-10
離婚理由とは?
離婚理由は、英語で Grounds と呼ばれ、法的に認められている離婚理由のことを
指します。
a. 浮気 Adultery-夫婦のどちらかが不義を働いた
b. 遺棄 Abandonment-夫婦のどちらかが家を出て、12 ヶ月、又は、それ以上
家に帰宅していない
c. 夫婦間に重度の虐待があった Extreme cruelty-夫婦のどちらかが、生命や
身体の健康を脅かされたり、共同生活を継続するのに絶えがたい虐待(身
体的・精神的)を受けていた
☞この離婚理由で離婚申請をされる場合、虐待行為が最後に起こ
った日から、3 ヶ月経過後に離婚申請可能となります。しかし、
counter-claim として相手の離婚理由に反論するため、この離婚理由
を利用する場合、3 ヶ月間待つ必要はありません。
d. 別居 Separation-夫婦が 18 ヶ月以上継続して別居している場合で、婚姻関
係の修復の見込みがみられない場合
e. 薬物への依存 Addiction to Drugs や習慣的な飲酒 Habitual Drunkenness が離
婚申請前の結婚生活期間中に、12 ヶ月以上継続している場合
f. 離婚申請前の結婚生活期間内に、相手が精神病床に入院し、入院後 24 ヶ月
が経過している場合
g. 刑務所での服役 Imprisonment-相手が結婚生活期間中に、18 ヶ月以上の服
役期間がある場合。もし、相手が刑務所から退所している場合は、退所後、
相手と同居していないことを証明する必要がある
h. 強姦など、夫婦間で、性的行為の強制があった(ある)場合
i. 婚姻関係の修復の見込みがみられない状況 Irreconcilable differences が過去
6 ヶ月以上続いており、改善の見込みも見られない場合
* N.J.S.A. § 2A:34-2
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ニュージャージー州-離婚についての法的資料と弁護士情報リスト
(英文資料のみ)
New Jersey Judiciary
http://www.judiciary.state.nj.us/essex/family/dissolution.htm
Information on divorce in NJ and link to online divorce court forms.
Divorce Support - New Jersey
http://www.divorcesupport.com/divorce/New-Jersey-Divorce-2507.html
Provides a professional directory of divorce lawyers, mediators, counselors, financial
planners and other divorce professionals as well as articles on child custody, visitation,
child support, alimony, and property and debt division. You will also find access to
other state specific resources, products and services.
New Jersey Divorce Legal Information Center
http://www.divorcelawinfo.com/NJ/flc.htm
A resource on divorce and family law in the State of NJ for non-lawyers and pro se
litigants.
III. 親権
親権とは?
親権とは、未成年の子(18 歳以下)を養育するため、子を監護・教育する、親の
法的権利義務と法的責任のことです。裁判所が親権を決定する際、法的親権(legal
custody) と 監護権(physical custody) の二つの要素について取り決められます。
➣ 法的親権 Legal Custody -子の養育に関して必要なことを決定する権利のこ
とを指します。例えば、どこの学校へ通わせるか、どの宗教を信仰するか等を決
めたり、また、病気にかかったり、怪我を負った際に、医療手段を決める権利を
指します。
➣ 監護権 Physical Custody-監護権は、子供と一緒に暮らす権利のことで、日々
の生活の中、子供(18 歳以下)がだれと一緒に住むか、法的に定めたものを指し
ます。
* N.J.S.A. § 2A:34-54
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親権は必ず裁判所で取り決めなければいけないのですか?
すでに両親間で話し合い、面会日時などの取り決めがあり、特に問題なく面会も
実行している、という理由から、裁判所での親権申請をされない方もいらっしゃ
います。また、裁判所へ行き、親権などの法的措置を求めると、相手側を怒らせ
てしまう、申請者や子供に危害が及ぶという可能性がある場合、無理に裁判所へ
行き、親権の取り決めを申し立てる必要はないかもしれません。このような状況
にいらっしゃる方は、まず、最寄の無料弁護士相談機関や、専門の弁護士にご相
談下さい。
裁判所で親権が取り決められるまでは、子供の両親(結婚している夫婦、または
未婚)が、親権の権利を同等に有しています。ニュージャージー州では、一般的
に、下記の条件を満たす場合、父親としての法的認知 Paternity が成立します。



子供が結婚期間中に生まれている、または、結婚破綻後300日後以内に生ま
れている
父親が出生証明書“Certificate of Parentage”に署名をしている、または、州
機関に父親として登録申請されている場合
裁判所が DNA 鑑定後、95%以上の確立で、子供の父親であるとの判断を下し、
父親であると法的に認知している場合
* N.J.S.A. § 9:17-43(a)(1)
* N.J.S.A. § 9:17-41(b)
両親が同等に有する親権を片親だけが保有するには、裁判所にて親権命令を取得
する必要があります。
裁判官は、どのようにどちらの親に親権を与えるのか裁断を下すのですか?
裁判官は、子供にとって最良の環境 (Best Interest of the Child) を基準にして親権
の取り決めを吟味します。
子供にとって最良の環境 (Best Interest of the Child) とはどのようなことですか?


今まで、主たる養育者として養育してきた親と住み続けること。
子供の養育にふさわしい養育者であること(下記の点等が考慮されます)。
*安定した生活様式と家庭を提供できる。
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*適切な判断力を持っている。
*安定した仕事に就いている。
*薬物乱用がない。
*アルコール乱用がない。
*身体的・精神的に健全である。

子供の生活に関心を持っている。
面会交流 Visitation とは何ですか?
なぜ、離婚した後も子供を相手親に会わせないといけないのですか?
アメリカで認識されている、子供にとっての最良の環境 (Best Interest of the
Child)という法的概念の中には、両親が離婚後も子供の養育・監護に関わる、と
いう考え方も含まれます。そのため、片方の親に単独親権が命じられた場合、非
親権者も、子供と定期的に会い、子供の人生に関わっていけるよう、面会権
(Visitation)が与えられます。
面会交流監督プログラム(Supervised Visitation)とは?
もし、夫婦のどちらかが子供の養育に怠慢であったり、虐待的な態度で子供と接
しているため、子供との面会が心配される場合、裁判官は、面会交流監督プログ
ラムを提供している団体を通しての面会(Supervised Visitation)を命令すること
ができます。すでに、親権や面会交流権の法廷が進行中の場合、Supervised
Visitation を裁判官に求めるという方法もオプションの一つです。しかし、もし親
権や面接交流権の法廷が進行中でない場合は、親権を専門に扱っている弁護相談
機関や弁護士にご相談後、裁判所へご申請されることをお勧めします。裁判官が
Supervised Visitation を命令するためには、何を証明する必要があるのか、あなた
の状況だと、Supervised Visitation を通しての面会期間の長さはどれくらいに設定
されるか等、弁護士にご相談下さい。大抵の場合、Supervised Visitation は、一時
的な設定で、期間付の命令となります。法的専門機関の面接プログラムを通して
の面会を数ヶ月、または、親戚が監督・モニタリングをしながらの面会を数ヶ月
続け、その間特に問題が見られない場合は、監督なしの面会が認められる場合が
ほとんどです。もし、お子さんが面会交流中に虐待を受けた、という場合は、直
ちに児童福祉局にご相談下さい。
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配偶者が、子供を連れてニュージャージー州、あるいは、アメリカを出て行くと
言っており、心配です。なにか対処方法はありますか?
配偶者の同意なしに、夫婦のどちらかが子供を連れて、ニュージャージー州また
はアメリカを出て行く可能性がある場合、裁判官に緊急親権命令 (Emergency
Custody Order) の発行を求めることができます。この際、子供を州外に連れ出
さないという項目を付け加えて貰ったり、一時的に、面会交流監督プログラムを
通してのみの子供との面会を相手に求めることができます。
子供がすでにパスポートを所持している場合、親権の係争期間中、子供のパスポ
ートを裁判所で保管してもらうように求めることも可能です。
子供のパスポートがまだ発行されていない場合で、配偶者がパスポートを取得し、
国外へ子供を連れ去ってしまう可能性がある場合、米国国務省の子供のパスポー
ト発行通知プログラム “The Children's Passport Issuance Alert Program (CPIAP)” の
利用が可能です。
アメリカ市民権を有する 18 歳未満の子供を CPIAP に登録するためには、指定登
録書を記入する必要があります。登録後、相手親が子供のパスポートを取得する
ための書類を提出した際、CPIAP が通知してくれます。登録書は下記のウェブサ
イト(英文)をご覧下さい。
http://travel.state.gov/abduction/prevention/passportissuance/passportissuanc
e_554.html
詳細は、下記の連絡先にご連絡下さい。
☎ U.S. Department of State
Passport Services, Charleston Passport Center
Attn: Children's Passport Issuance Alert
Program
1269 Holland Street, Building D
Charleston, SC 29405
E-mail: ChildrensPassports@state.gov
Phone: 843-202-3863
Fax: 843-746-1827
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IV. 養育費
養育費とは?
養育費は子供を監護・教育するために必要な費用のことを指し、一般的に、監護
権を持たない親の、子供の監護権を持つ親に対する、支払い義務を指します。ニ
ュージャージー州では、法的に子供が自立した(emancipated)と認められるまで、
子供の養育や教育の費用をサポートする義務があります。一般的には、法的に子
供が自立する年齢は、18 歳と判断されています。しかし、18 歳以上で、高校にま
だ通っていたり、大学に通っていたり、身体的、又は、精神的障害がある場合等
に、裁判官が、法的にまだ子供が自立をしていない、と判断し、養育費の支払い
義務を延長する可能性もあります。
養育費はどのように決めるのでしょうか?
原則的に、養育費の金額は、子供の人数や年齢、夫婦の収入により金額が変化し
ます。ニュージャージー州では、州の養育費の計算ガイドラインに沿って、金額
が計算されます。 養育費の計算ガイドラインの詳細については、下記のウェブサ
イト内の計算表(英文資料)をご参照ください。
http://quickguide.njchildsupport.org/
http://www.njchildsupport.org/Article.asp?AID=95
<おことわり>
ここに記載されている各法的措置の資料内容は、下記のウェブサイトに記載されている法
律情報の概要をまとめ、日本語に翻訳されたものであり、法律のアドバイスではありませ
ん。また、将来、法の改正により、法的オプションやシステムが変化する可能性も予想さ
れますので、それぞれのケースは専門の弁護士にご相談下さい。
参考ウェブサイト:
http://www.womenslaw.org
http://www.divorcesupport.com/
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