モータのモデル化

システムダイナミクス
第6回 モータのモデル化
1.対象の送り駆動機構の構造
サーボモータ
テーブル
ベアリング
ベアリング
カップリング
M
ボールねじ
?
T+
-
1 θ& 1
―
―
Js
s
θ
-
R
R
+
K
ボールナット
F
1
―――
Ms+C
x&
1
―
s
Xt
2.電気モータの種類
アクチュエータの中で最も制御しやすい
電気モータ
パルスモータ
(ステッピングモータ)
多極コイルの切り替え、オープンループ
DCモータ
ステータ=磁石、ロータ=コイル、ブラシあり
ACモータ
ブラシをなくした構造でメンテ向上、コスト高
同期モータ
ロータ=磁石、ステータ=回転磁界
誘導モータ
ロータ=閉回路コイル、電磁誘導
3.DCモータの構造
端子箱
検出器
整流子
ブラシ
ロータ
(電機子コイル)
ステータ
(永久磁石)
4.DCモータのトルク発生原理
„
磁束密度Bの磁界中にある長さLの導線に電流I
を流すと、「Flemingの左手の法則」による方向に
力(Lorentz力)Fが発生する
F = BLI
„
・・・・・・・・・・ ①
回転軸から導体までの半径をr
とすると、発生するトルクTは
T = r ⋅ F = r ⋅ B L I = KT ⋅ I
F
N極
石
磁
I
r
B
ブラシ
磁
+
石
S極
-
・・・・・・・・・・ ②
すなわち、発生トルクTは入力電流Iに比例する
この比例定数KTをモータの固有値で、「トルク定数」という
5.DCモータの発電機能
磁界中を長さLの導体が速さvで運動すると、「Fle
mingの右手の法則」の方向に起電力が発生する
e = BLv
r
・・・・・・・・・・ ③
v
e
„
導体が回転運動するとき、接線
e = BL( r ⋅ θ& ) = BLr ⋅ θ& = K eθ&
B
ブラシ
S
速度vと角速度 θ& の関係から、
N
„
+
-
・・・・・・・・・・ ④
すなわち、発生起電力eは導体の角速度θ& に比例する
この比例定数Keを「逆起電力定数(誘起電圧定数)」という
6.比例定数KTとKeの関係
„
上述のように、DCモータでは
K T = rBL = T I (Nm/A)
K e = rBL = e θ& (V ⋅ s rad)
„
„
すなわち、大きさは同じで、方向が逆方向
ただし、単位は異なるが、表現が異なるだけで、変
換すれば一致する
電圧V=W/A、仕事率W=J/s、仕事J=トルク
(=力のモーメント)=N・m
J s Nm
W
∴V ⋅ s rad = V ⋅ s =
⋅s = ⋅ =
A
s A
A
7.モータのブロック線図
Rm
(1)電気的要素
i
Rm:モータの内部抵抗
E
Lm:コイルのインダクタンス
Lm
とすると、モータの等価回路は
右図のようになる
di
Kirchhoffの法則により、 E − e = Rm ⋅ i + Lm
dt
E − e = Rm I + Lm I s
ラプラス変換すると
よって、出力Iの伝達関数は I
1
=
E − e Rm + Lm s
e
(2)電気系と機械系の変換要素
(2-1)②式は、電気系(電流)から機械系(トルク)へ
の変換式と見なすことができる
Laplace変換すると、 T = K T I
よって入力電流と出力トルクの伝達関数は
T
I
= KT
(2-2)④式は、機械系(角速度)から電気系(電圧)
への変換式と見なすことができる
Laplace変換すると、 e = K e θ&
よって入力角速度と出力電圧との伝達関数は
e = Ke
θ&
(3)機械的要素
・運動方程式
並進運動
回転運動
d2x
F = M
= M &x&
2
dt
d 2θ
&&
T = J
J
=
θ
d t2
・モータでは回転運動のみ
・仕事に必要なトルクは、 T = Jθ&& + TL
(モータロータ(自分自身)を回すトルクとねじ軸
回転やテーブル移動に要するトルクの合計)
・Laplace変換すると、
T = Jsθ& + TL
・よってトルク入力から角速度出力の伝達関数は
θ&
1
=
T − TL J s
(4)その他の伝達関数
最終的に必要な物理量はモータ角度であるから
∴θ
θ& = θ s
1
=
&
θ s
以上の(1)から(4)をつなげてブロック線図とすると、
(1)
E
+
-
I
1
Rm+Lms
(2-1)
T
KT
(2-2)
Ke
TL
-
+
(3)
1
―
Js
θ&
(4)
1
―
s
θ