公正さへのスウェーデンの取り組み

スウェーデン情報 | 男女平等
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スウェーデンでは学校、仕事場、家庭で、男女が等しい権利を享受できるよう努力がなされている。
男女平等:
公正さへのスウェーデンの取り組み
スウェーデンは、男女が同等なパワーと影響力を持つべきだという確固たる信念に基づ
き、世界でも最も熱心に男女平等に取り組んでいる国である。広範囲にわたる福祉制度の
おかげで、男女共に仕事と家庭生活を両立させることが容易になっている。しかし政府は
多くの分野でさらなる改善の余地があると認識している。
男女平等はスウェーデン社会の基
盤の一角をなしている。スウェーデ
ンの男女平等政策の目的は、生活
の全ての面において男女の機会均
等、同権、等しい義務を保障するこ
とである。
性別にかかわらず全ての人が、仕
事をして自らを養い、仕事と家庭生
活を両立させ、虐待や暴力の恐れを
抱かず暮らす権利を有すること、こ
れが包括的な理念である。
男女平等とは社会の全ての面にお
いて男女の配分が平等だというだ
けではない。
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社会の全ての面で進歩を遂げるた
め男女両性の知識や経験が生かさ
れることを保障するという、質的な
平等も意味している。
2012年世界男女格差報告では、
スウェーデンは世界でも最も平等
が進んでいる国の一つであると評
価された。この報告は世界経済
フォーラムによって発表され、政治、
教育、保健分野での男女平等性を
指数としている。詳しくは以下の
URLを参照。
www.weforum.org.
学校における男女平等
理想的には教育制度のあらゆるレ
ベルにおいて男女平等の理念が浸
透し指針となるべきである。した
がってこの理念はスウェーデンの就
学前教育にも取り入れられつつあ
る。
その目的は、子どもが個性的な
個人として成長することを促す教
育方法によって、性別に関係なく
人生で同等の機会を与えようとい
うものである。男女平等の問題は、
さらなる教育に備えるため、初等
„
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男女平等
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IX
平等への取り組み
平等オンブズマン
平等オンブズマン
(Diskrimineringsombudsmannen
略称 dO)は差別と闘い、全ての
国民の権利と機会の平等を守る
ための政府組織である。
平等オンブズマンは仕事場、学校
教育制度、その他の分野におい
て男女平等に関する状況を監督
する。 また育児休暇に関する法
律が遵守され、休暇を取る親が
仕事上不利益を被らないように
する責任を負う。
平等オンブズマンは原則として
差別禁止法の遵守を監督する。
この法律は性別、トランスジェン
ダーの自己認識あるいは表現、
性的指向、民族、宗教やその他の
信仰、障害や年齢に関した差別
を禁止している。
www.do.se
スウェーデンでは母親も父親も有給の育児休暇を取得する権利がある。
„ 教育全般において継続的に取り組
男女共同参画大臣
スウェーデン政府では男女共同
参画大臣が男女平等問題に対す
る主たる責任を負っている。 マリ
ア・アルンホルム大臣は2013年1
月にこのポストに就任。以前はこ
のポストの大臣は別の統合・男女
共同参画省を統括していた
が、2011年からは当該項目は教
育研究省の管轄となった。しか
し、全ての大臣が各省と責任を
負う分野で、男女平等の側面が
主流化されるようにすることが
求められている。
まれている。
今日スウェーデンでは高等学校を卒
業する割合は男性よりも女性が高く
なっており、逆の男女格差として注
目されるようになっている。また成
人教育にも男性より女性の方がか
なり多く参加している。大学の学士
課程では女性が学生数の約60%を
占め、学士号の3分の2近くは女性が
取得している。修士、博士課程では
男女同数が学んでいる。
育児休暇
写真:スウェーデン政府
スウェーデンでは実子が生まれるか
養子縁組をした場合、両親は合わせ
て480日間の育児休暇をとる権利が
ある。この休暇は月・週単位、日割り、
時間単位でとることも可能である。
女性のほうが依然取得日数が多く、
2012年では男性が消化した育児
休暇は24%である。
2013年現在、390日間は一日あた
り最高946クローナ(105ユーロ、137ド
ル相当)の育児給付が受けられる。残
りの90日間は、一日180クローナが支
給される。480日の内、60日間はいず
れか片方の親に割り当てられており、
もう片方に譲ることはできない。さら
に出産に関して新生児の親のいずれ
かが10日追加で、双子の場合は20日
追加で休暇を取ることができる。相
互に融通できる休暇日数を均等割し
て取得する場合には最高270日間一
日50クローナのボーナスが得られ
る。
養子を迎える場合は、子どもを迎
えた日から両親合わせて480日間の
育児休暇を取得可能である。シング
ルペアレントの場合は一人で480日
の休暇を全て消化できる。n
ジェンダーに中立な言葉
スウェーデンの男女共同参画大臣
マリア・アルンホルム
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スウェーデンでの論議は男女平等に留まらず、
ジェンダー中立な言葉にも及ぶ。これは2012
年のジェンダー中立な人称代名詞"hen"に関
する活発な議論に見られる。 これはジェン
ダーを明確に示す"hon(彼)"や"han(彼女)"の
代わりとしてつくられた造語で、一部の人に受
け入れられている。
この言葉の支持者は、"hen"という言葉を
つかえば、片方の性別だけを示したり、両方
の可能性を示すため「彼または彼女」という
煩わしい言い方をする必要がなく、また男性か
女性かという自己認識をもたない人や 、女性・
男性の区別を避けたい人に言葉を開くものだ
と主張している。
しかしこの言葉はスウェーデン語を希薄な
ものにして損ない、特に子どもの間で混乱
を招くという批判もある。"Hen"は スウェー
デンのウェブサイトや印刷物でよく見られ
るようになっている。
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男女平等
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写真: キャスペル・へードベリ/スカンピクス;ミュートウォッチ
法整備
妊娠中絶法
1975年以来スウェーデンの女性は
妊娠18週までは中絶する権利を認め
られている。これにより女性は妊娠
18週までは理由を示さず中絶するか
どうか自分で決めることができる。
18週をすぎると22週までは特別な理
由があるときに限って中絶が認めら
れる可能性がある。この場合は中絶
を認めるかどうか、国家保健委員会
のもと調査をする。
女性に対する暴力禁止法
女性に対する暴力禁止法は1998年に
発効した。この法律では女性が対象
の暴力または虐待は、例えば親しい
関係にある男性による場合、累積と
して評価されるとしている。 つま
り殴打および性的または心理的屈辱
を女性に与えた場合その一度一度が
積み重なり考慮される。女性の完全
性を侵害した場合の最高刑は懲役6
年の禁固刑である。
性的サービスの購買禁止法
社会で売買春がどうみなされてい
るかというとは男女平等と直結し
ている。1999年に導入された性的
サービス禁止法 はスウェーデンで性
的サービスを購買することを違法と
した。2005年の性的犯罪法改定の一
環として、この法律は撤回され、性
的サービスの購買は一般的な刑法に
盛り込まれた。
これは性を売る側よりも買う側を
ターゲットとするということであ
る。その結果、街角での売春は大幅
に減り、同時に一般市民の間でも性
を買うことに対する意識が激変し
た。この分野のスウェーデンの方針
は他国の変化にも大いに影響した。
仕事における男女平等
スウェーデンは仕事場において女性・男性が平等に扱われるよう
にするという点で大きな進歩を遂げて来た。しかしスウェーデン
の民間部門ではトップの地位を占める女性の比率はまだ低い。
差別禁止法の主要な2項目が仕事に
おける男女平等に関するものであ
る。 まず、全ての雇用者は男女平等
を推進するため、積極的に関連目標
を達成すべく取り組むことが求めら
れている。
さらに、差別は法律で禁止されて
おり、雇用者はハラスメントがあった
場合は調査をし対策をとることが義
務付けられている。雇用者は育児休
暇をとっている、あるいはこれから
取る被用者および求職者を不公平
に扱ってはいけない。
男女間の賃金の格差は職種、部
門、地位、経験、年齢の違いによると
ころが大きい。しかし、これでは説明
のできないところもあり、それは性
別の違いによる格差といえるかもし
れない。これは正当化できない賃金
格差と呼ばれる。職種や部門の違い
を排除すれば、平均して女性の月給
は男性の94%である。賃金格差は民
間部門で最も顕著だ。
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ーネ
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写真
ヨンショーピン県のミノオ・アクタルザンド知事は公的部門における多くのリーダーの一人である。
ミュートウォッチの創業者マイ=リー・ハンマルグレンは民間部門で女性のために道を開いている。
スウェーデンは性的サービスの購
買を禁止している数少ない国の一
つである。
経済・政治力
政府の男女平等政策は2重構造に
なっている。パワーとリソースが男
女間で公平に配分されること、そし
て女性と男性に同じパワーと機会を
与える環境を創出することである。
仕事の上で女性がトップを占め
る割合は増加している。2012年現
在、官民を含め、企業のトップの地
位にいる女性の割合は36%で2006
年の29%から増加している。市町村
や県、中央政府の管理職の半数以
上は女性(64%)であるが、上場企
業では女性の割合は低く、取締役
会の会長や代表取締役社長はわず
か4%である。
2010年の選挙以降はスウェーデ
ン議会の議席の女性の占める割合
は45%となり、2006年の選挙時の
47%から減少したが、これは1930
年代以来初めての後退だった。現
在24ある閣僚ポストのうち13人は
女性である。
ジェンダー主流化
ジェンダー主流化とは国連で1997年
に作られた用語で、全てのレベルの
政府機関の仕事に男女平等の視点
を盛り込もうというものである。男女
平等は他の問題から独立した問題で
はなく、関連性のあるプロセスであ
„
るという考えかたである。
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男女平等
1250年代 ビルゲル・ヤルル国王
が女性に対する暴力を禁じる法律
を制定し、強姦と拉致を禁じた。
„ 平等性を作り出すには、リソースが
配分される時、規範が作られる時、
決定が下される時に、平等という概
念が考慮されなければならない。
1921 女性が選挙権と被選挙権を獲
得。最初に議会で議席を獲得した
女性はカースティン・ヘッセル=
グレン、 エリザベス・タム、アグ
ダ・エストルンド、ネリー・ター
リング、 ベルサ・ヴィリンの5人
だった。
スウェーデンではジェンダー主流
化は平等政策の目標を達成する主要
な戦略であると考えられている。こ
ちらのポータルwww.includegender.org
は2009年に作成され、このプロセス
を支援し、ジェンダー主流化の実践を
容易にするものだ。
1965 夫婦間での強姦禁止法が通る。
2011年スウェーデン政府は平等政策
の強化を決め、市町村、地域、国レベル
でジェンダー主流化を推進するため
全国的な要綱を作成した。 n
1972 夫婦共同課税が廃止。
1974 スウェーデンが産休を育児休
暇に切り替えた最初の国となる
1975 新たな中絶法が発効。
1980 立憲君主国のスウェーデンが
性別に関係のない王位継承法を制
定。
1998 女性に対する暴力禁止法
が導入される。
1999 性的サービス購買禁止法が発
効する。
2002 育児休暇が480日に増加し、
各親が専用の有通しあうことの
できない休暇2ヶ月を有すること
になった。
2005 性的犯罪に関する新たな法律
により各個人の性的完全性と自己決
定に対する絶対的権利がさらに強化
された。
2009 差別禁止法が複数あった個
別の反差別法にとって代わる。
2011 繰り返し嫌がらせをするス
トーキングが犯罪になる。この法
律の目的の一つは女性に対する男性
の暴力をさらに防止することであ
る。
スウェーデン文化交流協会発行
2013年5月 JFS 8 更新
その他のファクトシートは
www.sweden.seを参照のこと。
スウェーデンの法律は仕事場でも性別
により差別を禁じている。
女性に対する暴力
スウェーデンでは2012年、女性に対する暴
力が約28,000 件報告された。
近年女性の発言権が高まるにつれ、報告
される暴力の数も増えている。 1980年代初
頭の法律の改定で、暴力の被害を訴えた女
性は、途中で取り下げることができなくなっ
た。これは提訴した女性に対する脅迫・脅し
などに対する措置である。
助けが必要な女性は「スウェーデン女性の
シェルター協会」(www.kvinnojouren.se)
や、「女性のための全国組織 」「若い女性の
シェルター」 (www.roks.se)に支援を求める
ことができる。またスウェーデン全土におよ
そ130ある地元の女性のシェルターに助けを
求めることもできる。
その他女性に対する暴力に取り組んで
いる団体は以下のとおり
• 暴力にさらされる女性に接する機関や
団体間の協力を促進する「女性に対する
暴力に関する全国連絡協議会」
www.operationkvinnofrid.nu
• ウプサラ大学に拠点を置く「全国男性の
女性に対する暴力に関する知識セン
ター」
このセンターは政府の委託により男性の
女性に対する暴力、名誉を汚すものとし
て振るわれる暴力、同性愛者間の暴力に
関する啓発を任務としている。 また暴力
による女性の被害者の支援の仕方を改
善・伝達している。
www.nck.uu.se
関連リンク
www.allakvinnorshus.org ーすべての女性の家
ースウェーデン社会保険庁
www.forsakringskassan.se
www.genus.se
ージェンダー研究のためのスウェーデン事務局
www.government.se
ースウェーデン政府および政府官庁
ー脅迫、暴力、性的虐待の対象となる女性ののためのホットライン
www.kvinnofridslinjen.se
www.scb.se
ースウェーデン統計局
www.wombri.se ー女性のビジネス研究所
著作権:スウェーデン文化交流協会によってwww.sweden.se上に掲載されたものである。
全てのコンテンツはスウェーデンの著作権法で保護されている。
テキストはwww. sweden. seからの出典であることを明示し、非営利目的であれば、転記、転送、転載、
放送などメディアでの使用をしてもよいが、写真とイラストの転記・転載は禁じる。
スウェーデン文化交流協会(SI)は、スウェーデンに
ついての知識を海外に広めるために設立された公
共機関である。SIは、有意義な情報交換や文化、教
育、学術的な交流を通じて外国との協力と長期的な
関係を築くことを目指している。
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写真:セシリア・ラーション/イメージバンクスウェーデン
歴史的変遷
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スウェーデンに関するさらに詳しい情報:
www.sweden.se あるいは自国のスウェーデン大使館または領事館、
またスウェーデン文化交流協会まで。スウェーデン
文化交流協会(Swedish Institute), Box 7434,
SE-103 91 Stockholm, Sweden
電話: +46 8 453 78 00 メール: si@si.se
www.si.se, www.swedenbookshop.com
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