防災 ファクトシート (ECHO) データ 2014 年, ECHO の人 道援助資金の 13%、1 億 2,200 万ユーロ以上 を防災(DRR)活動に 充当 ECHO は、世界全体の レジリアンスの強化を目 指す。ECHO が資金を 拠出している活動のうち 48%以上が防災活動を 含む 2014 年、EU が資金提 供した防災活動により、 全世界でおよそ 1,600 万の人々の災害リスクが 軽減された ECHO が 2014 年に拠 出した防災資金が最も多 く使用されたのは、アフ リカで、総額の 40%以 上であった ECHO が資金提供して いる防災活動は、食料、 栄養および保健分野で最 も多く行われている 主要メッセージ 地震、洪水、干ばつ、台風などの自然災害を阻止することはできない。 しかし、事前の備えおよび予防策によって、奪われる命や引き起こされ る損害の数を大幅に減らすことができる。 防災(Disaster Risk Reduction=DRR)は、命を救い、地域社会のレジ リアンスを強化する。人々は心構えができ、対処し、衝撃から立ち直る ことが可能となる。 防災計画は、生命および暮らしを守ることを目的とする。地域社会は、 訓練の実施や地域の組織化、早期警告システムの確立、非常時計画の策 定、シェルターの安全確保、自然災害からの家畜や資産の保護といった 簡単な対策をとることにより、その対処能力を高める権限を有している。 防災計画は費用対効果が高い: 防災活動に1ユーロ投じることにより、 災害対応の費用を平均4~7ユーロ節減することができる。 防災における EU の貢献 欧州委員会の防災への投資は、世界の脆弱な地域における安全およびレジリアン スの文化構築を目指す、地球規模の活動に貢献している。 欧州委員会の人道援助資金は、毎年、1億2,000万人を超える世界の最も脆弱な 人々に援助を提供している。同資金の多くが、災害に弱い地域において備えやリ スク軽減の態勢を整えることに投じられている。 Humanitarian Aid and Civil Protection B-1049 Brussels, Belgium Tel.: (+32 2) 295 44 00 Fax: (+32 2) 295 45 72 email: echo-info@ec.europa.eu Website: http://ec.europa.eu/echo * All the latest ECHO Factsheets: bit.ly/echo-fs 2014年、欧州委員会の防災向け人道的資金は、およそ1,600万人に差し伸べられた。 同資金は、保健衛生、シェルター、栄養を含めた全ての人道援助分野のプロジェ クトを網羅する。早期警告システム、緊急時対策、また生活の保護のためのツー ルの開発やイノベーションなどを通じて提供されている。 欧州委員会人道援助・市民保護部門(ECHO)は、1996年の防災能力向上支援施策 「DIPECHO 計画(Disaster Preparedness ECHO programme)」の始動以降、防災 活動に資金を提供している。 欧州委員会は、欧州近隣政策の文脈において欧州連合(EU)域内および拡大諸国 の市民保護、防災にも対応している。 ファクトシート (ECHO) - 防災– 2015 数字で見る ECHO の防災資金提供 地域/部門 (2014 年) 百万ユーロ アフリカ 50.6 中東、地中海地域 12.8 中南米、カリブ海地域 13.3 アジア、太平洋地域 32.5 世界全体 7.7 市民保護 5.3 総計 122.2 ECHOの防災支援パートナー (2014年、財政支援件数の割合) 8% 13% 79% 国連 地域・部門ごとのECHO防災支援 (2014年、防災支援額の割合) 4% 6% 赤十字 中東 米州 11% アジア 11% アフリカ 市民保護 41% 27% ERC(人道支援システムの機 関としての対応準備) 人道支援部門ごとのECHO防災支援 (2014年、支援件数) 35% 30% 25% 20% 15% 10% 5% 0% 32% 25% *All the latest ECHO Factsheets: bit.ly/echo-fs 16% 13% 10% 3% 1% 1% ファクトシート (ECHO) - 防災 - 2015 - Page 2 /4 主要な人道的分野における防災– 成功事例 ECHO の全ての人道行動にはリスク情報が必要である。分析と設計は徹底したリスク評価に基づかねばならず、活 動は当座および将来のリスクが共に軽減されるものでなければならない。 災害対策– DIPECHO DIPECHO計画は、災害が起こりやすい、 世界の9つの地域で実施されている。 同計画は、最も脆弱な農村や都市の 地域社会が自然災害に対してより入 念な備えができ、よりレジリエント になることに役立つ。それは、災害 対策委員会の設置、非常時計画の設 定、早期警告システムや避難経路の 確立、安全な避難場所の特定などの 活動を通じて行われる。同計画では、法令の採択や適用、および備えと 即時対応のための予算組みを確実にするための、地域から国・超国家ま で全レベルの災害管理機関間の調整の促進が行われる。 成功事例: 2012年12月に発生した台 風「ボーファ」は、フィリピンのミン ダナオ島東部を襲い、死者1,067人、家 屋喪失、620万人の被害をもたらした。 そうした中、ミンダナオ島のラフロー ラバランガイでは、DIPECHO活動による 対策のおかげで被害の拡大を防ぐこと ができた。住民は、災害時対応計画の 下、台風接近の情報を前日に受けた 後、迅速に避難することができた。 家々は強風や洪水に耐えられるよう固 定され、損壊を免れた。備えがあった からこそであった。 (写真: ミンダナオ島 2013/ECHO) 保健衛生 防災は、災害が起こりやすい 国々の保健衛生分野の全側面に 関わる。医療制度を利用できる ようにしたり、災害耐性を強化 したりするための投資は、常に 現地の危険性、脆弱性、および 既存の対応能力の評価に基づい て行わなければならない。災害 または伝染病の発生後、医療制 度は進行中および将来のリスク に対応できるべく、より強化さ れなければならない。 成功事例: 疫学的調査では、災害発 生後のデング熱、マラリア、コレラな どの疫病流行のリスクに対する注意を 喚起している。リスクが最も高い地域 においては、最も脆弱な人々の水・衛 生の改善および水質汚染や蚊の発生と いったリスクを軽減することで、こう した疫病の流行を防ぎ、緩和すること ができる。 (写真: 「家庭医療に必要なもの」 について健康センターで提供 ニジェ ール 食糧安全保障と生活 災害リスクと食糧不安には直接的な相 関関係がある。食糧不安の状態にある 人々は、最も災害対応に苦慮する人々 である。災害発生時、高いレベルの災 害リスクにさらされ、リスク対応能力 が不足していること貧しい家庭では食 糧不足と貧困の連鎖に陥り、急速に食 糧危機と深刻な栄養不良へと状況が悪 化する。 食糧支援による関与は、主に生活資産(特に、人と社会資本)の保護を 通じて防災に貢献する。EUの人道食糧支援は、地域のレジリアンスとそ の対応能力を害するようなことが無いように行われる。 *All the latest ECHO Factsheets: bit.ly/echofs ©EC/ECHO/Jean De Lestrange) 成功事例: 乾燥した牧畜地帯では、 干ばつによる水や牧草地の減少で、家 畜の疾病や死亡のリスクが高まる。家 畜の健康の悪化は、牧畜民の食糧安全 保障に直接影響している。短期的に は、摂食量が極端に減り、中期的に は、生計を危うくし、牧畜民は将来的 な危機に対してさらに脆弱になる。こ うした状況では、先制的な「在庫調 整」(動物の一部を売って餌代とす る、中心的な家畜を残してそれらに必 要なサービスを利用する等)をするこ とが、干ばつによる食糧危機の影響を 軽減する方法のひとつである。 (写真: ブルキナファソで飢餓と栄養 失調のレジリアンスを強化 © EC/ECHO/Anouk Delafortrie) ファクトシート (ECHO) - 防災 – 2015 - Page 3 /4 水・公衆衛生(WASH) WASH のための行動における 防災の考慮は、見舞われて いる災害の種類および地域 の脆弱性レベルに応じて行 われる。洪水、地震、台風 のように急激に発生した事 象は、インフラを破壊また は激しく損傷させ、サービ ス供給者(地域、政府また は民間部門など)のシステ ム運用および維持といった 供給能力を制限してしまう ことがある。干ばつのよう な時間をかけて発生する、または慢性的な事象は、地上水を枯渇、地下 水位を低下させ、通常の水資源を危機的に減少させてしまう。 成功事例: 仮設の衛生施設の計画や設 置場所を改善することで、人が摂取する 地下水の汚染を防ぐまたは限定的にする ことが可能である。これは特に地下水面 が高い地域において重要である。排泄場 の土台を高くしたり、保護板設置や汚物 を密封することを含め、浸水した場所の 排泄物処理施設に革新的な設計を取り入 れること、また水・衛生管理システムの 改善や、「安全水」キットの配布、およ び HIV/AIDS クラスターとともに取り組 むといった事前対策を講じることも、汚 染のリスクを限定することができる。 (写真: ECHO 支援を受けた井戸 コン ゴ EC/ECHO/Damien Blanc) シェルター 成功事例: 災害発生後、家を失った 人々が最も必要とするのはシェルター施 防災は、シェルター活動の 設である。迅速な対応の必要性は、シェ 大部分に関連している。雨 ルターを危険地域に設置してしまうリス 風をしのぐ場所は、あらゆ クを高める。ハイチ地震発生後がそうで る家族にとって主要な資産 あった。こうした仮設施設の人々のリス である。その喪失あるいは クを軽減するべく、ECHOは、パートナー 損壊により、さらなる脆弱 の防災対策促進活動のための資金提供を 性にさらされることもある。 行った。これには、暴風雨の早期警告シ 充分で安全なシェルター ステム、緊急対応部隊、地域に基づいた (避難施設)の欠如は、災 脆弱性評価が含まれた。リスク評価で 害被害者にとって大きなリスクとなる。設置場所、設計、建設、維持が は、最もリスクが高い仮設施設を特定 不良なシェルターは、地震、洪水、台風(例: 2013年フィリピン)とい った自然災害時において最大の死因となる。災害直後の避難所の提供は、 し、洪水の排水を改善するといった、リ スク軽減対策支援が行われた。こうした 一時的あるいは暫定的な傾向にあるが、人々は概して、早い段階から自 事例は、リスク分析、関連する防災対策 身の家屋の修復や再建を開始する。将来の危険に対するリスクの軽減に を人道援助活動の計画と実施において取 ついての認識を高めることにより、こうした段階は、より良い家屋を建 り入れることの重要性を示すものであ 設する機会となる。 る。(写真: ECHOの支援を受けて建設 再建にあたり、それまでの家屋を脆弱にしていた根本原因に対処するこ された耐洪水住宅。現地調達可能な資材 とが重要である。復興において耐久性および持続可能性を考慮すること (竹)を利用して高床式になっている により、災害へのリスクを長期的に軽減することができる。例えば、地 ©Imran Ahmed/Seeds India) 震の起こりやすい地域では、固定具や筋かいなどの建築要素を取り入れ たり、洪水の起こりやすい地域では、家屋の土台を高くしたり、多目的 の避難所を建設するなどの工夫が挙げられる。こうした処置は、極めて重要な保護を提供することができる。 *All the latest ECHO Factsheets: bit.ly/echofs ファクトシート (ECHO) - 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