第 田 上 屋 か わ ら 版 237 号 平 成 24年 10月 16日 版元 田上税務会計事務所 ㈱ ク イ ッ ク ブ ラ ン tagami@tkcnf.or.jp 著作権法改正∼平成 24 年 10 月より音楽や映像の違法ダウンロードが刑罰の対象になりました ◆音楽や映像を著作権者などに無断で複製・配信する「海賊版」の増大 音楽や映像を、インターネットサイトを通じて自分のパソコンや携帯電話で視聴したり、ダウンロードしたりして楽しむ人が増えています。 このように音楽や映像を利用するときに注意したいのが、それらの利用が著作権法によって保護される権利(いわゆる「著作権」など)を侵 害していないかどうかということです。 インターネットサイト上には、アーティストや制作会社などの著作権者に無断で複製され、配信された「海賊版」の音楽や映像が出回って います。「海賊版」は一般的に正規料金よりも安く、利用者にとっては一見、得なことのように思えるかもしれません。ですがこうした行為は、 CD や DVD の販売または有料配信によって著作権者が本来正当に得るべき利益を害することで、結果として新たな音楽や映像が楽しめな くなることにつながります。 ◆平成 24 年 10 月から刑罰の対象となった行為とは 著作権者に無断で音楽や映像をインターネットで配信することは、以前より違法であり、刑罰として 10 年以下の懲役または 1,000 万円以 下の罰金(またはその両方)が科されています。 一方、音楽や映像の「海賊版」をダウンロードすることについては、個人的に利用する目的であっても、違法配信であることを知りながら、 音楽や映像を録音または録画(ダウンロード)する行為は違法となっていました。しかし、これには刑罰がなかったことから、違法配信サイト などからの年間ダウンロード数は、正規有料音楽配信の 10 倍に及ぶと推定されています(資料:2010 日本レコード協会調査)。 このとおり、違法ダウンロードによる被害が深刻な状況にあることから、平成 24 年 10 月 1 日からは、個人的に利用する目的であっても、 「海賊版」についてそれが販売または有料配信されている音楽や映像であることと、違法配信されたものであることの両方を知りながら、自 分のパソコンなどに録音または録画(ダウンロード)した場合には、刑罰として、「2 年以下の懲役または 200 万円以下の罰金(またはその両 方)」が科されることになりました。 ◆こんな行為は違法?刑罰の対象? Q. 違法に配信されている音楽や映像を視聴したら、違法ですか? A. 違法に配信されている音楽や映像を見たり聞いたりするだけでは、録音・録画が伴わないため違法ではなく、刑罰の対象とはなりま せん。 Q. 動画投稿サイト(You Tube、ニコニコ動画等)のストリーミングサービスを閲覧すると、PC 内に一時保存ファイル(キャッシュ)が作成 されますが、これは違法ですか? A. 違法ではなく、刑罰の対象とはなりません。ストリーミング視聴に伴うキャッシュは、通常 PC に恒久的には保存されないため、違法ダ ウンロードでいう「ダウンロード」にはあたらないというのが文化庁の見解のようです。 Q. 無料で放送されているドラマなどのテレビ番組を、違法配信であることを知りながらダウンロードした場合は違法ですか? A. 違法配信であることを知りながらダウンロードした場合は違法です。 また、そのテレビ番組がDVDとして正規に売られているような場 合や、有料でインターネット配信されているような場合には、それが販売または有料配信されている映像であることと、違法配信であること の両方を知りながらダウンロードすると刑罰の対象にもなります。 Q. 「違法と知りながらダウンロードした」というのはどうやって証明されますか? A. 状況証拠と本人の自白が決め手になると思われます。「違法コンテンツと強く疑われる」サイトからダウンロードしたとなると、状況は相 当不利でしょう。「違法コンテンツかもしれないけどまあいいか」という程度の「未必の故意」であっても、処罰の可能性はあります。 ◆音楽・映像のダウンロードは正規の配信サイトを利用しましょう 著作権を守るために、そして違法なダウンロードをしてしまわないために、音楽や映像をダウンロードするときには、正規の配信サイトを 利用しましょう。その際、「エルマーク」のついたサイトからは安心してダウンロードすることができます。 「エルマーク」は、レコード会社・映像製作会社との契約によってコンテンツを配信しているサイトなどに表示されています(正規配 信サイトであってもエルマークの表示がない場合もあります)。 ◆「DVD リッピング」も違法に 映画などの DVD などにはコピー防止機能が施されているものが多くあります。平成 24 年 10 月 1 日からは、個人的な利用を目的に行う 場合であっても、DVD のコピー防止機能を解除して自分のパソコンに取り込むこと(いわゆる「DVD リッピング」)は、刑罰の対象ではありま せんが違法となりました。また、DVD のコピー防止機能を解除するプログラムなどを譲渡または貸与の目的をもって作ったり、実際にそれら をほかの人に譲渡または貸与したりする場合には、刑罰として「3 年以下の懲役または 300 万円以下の罰金(またはその両方)」が科せられ ることとなりました。 なお、一般的に音楽CD はコピー防止機能が施されていませんので、個人的な利用の目的であれば、音楽CD を自分のパソコンや携帯 音楽プレーヤーなどに複製することは、違法ではありません。 ◆「写り込み」などについての著作物の利用について デジタル化・ネットワーク化時代に対応する著作権制度を整備するため、今回の改正ではもう一点、著作物などの利用の円滑化を図るた め、いわゆる「写り込み」(付随対象著作物としての利用)などに係る規定が追加されました。 例えば、これまでは、背景に有名キャラクターが写り込んだ写真をブログに掲載したり、著作権者に許諾を得て著作物を利用しようとする 過程で、著作者に許諾を得る前に企画書などにキャラクターを載せたりするような場合も、著作権者の許諾がないと形式的に違法となって しまっていましたが、新たな規定によって、こうした利用も適法となります。この改正は、平成 25 年 1 月 1 日から施行される予定です。 (出典:政府広報オンライン) (いとう)
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