研究集会 「パターンダイナミクスの数理とその周辺」 Mathematical Analysis of pattern dynamics and related topics - 界面あるいは振動子系に現れる時・空間パターンに関連して - 講演予稿集 日時: 2008年 6月25日(水)14:00 ― 27日(金)12:00 会場:京都大学数理解析研究所420号室 代表者: 栄 伸一郎(九州大学) 副代表者: 桑村 雅隆(神戸大学) 大塚 岳 (明治大学) 6月25日(水) 14:00 - 14:50 石渡 哲哉 (岐阜大学) あるクリスタライン運動の多角形解の挙動について 15:00 - 15:50 前川 泰則 (九州大学) On a free boundary problem of the coupled Navier-Stokes / mean curvature equations 16:00 - 16:50 三浦 岳 (京都大学) 頭蓋骨縫合線のパターン形成 6月26日(木) 10:00 - 10:50 矢留 雅亮 (金沢大学) 反応拡散系に対する大域的分岐構造の数値計算法とその応用 11:00 - 11:50 村川 秀樹 (富山大) 放物型自由境界問題における界面の近似 Lunch 13:30 - 14:20 田中 ダン (福井大学) Swarm Oscillators -`膜'相の解析14:30 - 15:20 千葉 逸人 (京都大学) Renormalization Group method and its application to coupled oscillators 15:30 - 16:20 大金 邦成 (国立長寿医療センター研究所) 初期化戦略による歩行パターンの適応 16:30 - 17:20 住野 豊 (京都大学) 弾性体の生成により生じる油滴のアメーバ様運動 6月27日(金) 10:00 - 10:50 黒田 紘敏 (北海道大学) Nonlinear problems with singular diffusivity and inhomogeneous terms 11:00 - 11:50 Qing Liu (東京大学) On game interpretations for the curvature flow equation and its boundary problems メモ あるクリスタライン運動の多角形解の挙動について 石渡 哲哉∗ (岐阜大学教育学部) 平面上の多角形領域の各辺が、その法線角 度を変えずに法線速度 Vj で移動する運動を考 える。特に、Vj がクリスタライン曲率 (crystalline curvature) に依存し、解多角形が許容多 角形 (admissible polygon) と呼ばれる多角形の クラスに属しているものを考える。1 このような 運動は、表面エネルギーが滑らかでない場合の 界面運動の一つとして、Angenent and Gurtin [1] あるいは Taylor[5] によって提案され、クリ スタライン運動 (Crystalline motion) とかクリ スタライン曲率流 (Crsytalline curvature flow) などと呼ばれている。 本講演では、界面方程式が 多角形のクラスで大域的に延長できる条件につ いて整理し、この場合の解の挙動について考察 する。時間があれば、より一般の場合について、 いくつかの仮説の下での考察についてお話しし たい。 β(Nj )Vj = U − Hj [2] Y. Giga and M. E. Gurtin, A comparison theorem for crystalline evolution in the plane, Quart. J. Appl. Math. LIV (1996) 727–737. References [1] S. Angenent and M.E. Gurtin, Multiphase thermomechanics with interfacial structure, 2. Evolution of an isothermal interface, Arch. Rational Mech. Anal. 108 (1989) 323–391. で与えられる場合を扱い、解多角形の挙動につ いて考察する。ここで、Nj , Hj はそれぞれ解 多角形 Ω(t) の第 j 辺の単位法線ベクトル、クリ スタライン曲率を表し、β は S 1 上の正値関数、 [3] M. E. Gurtin, Thermomechanics of evolving phase boundaries in the plane, U は定数とする。この界面方程式は、Gurtin ら Oxford, Clarendon Press (1993). によって導出されたモデルであり、U はバルク からの寄与、β は界面の移動度の異方性を表し [4] T. Ishiwata, Motion of non-convex polyている。(詳しくは、[1] あるいは、[3] を参照。) gons by crystalline curvature and al本講演では、U > 0 の場合を考える。2 この most convexity phenomena, to appear in 場合、Hj = U となる凸多角形 (これは、ウルフ JJIAM. 図形の相似形である。) は定常解となり、この 図形 (平行移動含む) を内部に含む初期図形か [5] J. E. Taylor, Constructions and conjecらスタートした解多角形は、比較定理 [2] より、 tures in crystalline nondifferential geom許容多角形のクラスで存在する限り内部にこの etry, Proceedings of the Conference on 図形を含むことが分かる。ただし、途中で境界 Differential Geometry, Rio de Janeiro, の自己交差を起こすなどの特異性により、解が Pitman Monographs Surveys Pure Appl. 許容多角形でなくなる可能性があり、実際、そ Math. 52 (1991) 321–336, Pitman Lonのような例を構成することができる。3 本講演 don. では、初期図形が非凸の場合を扱い、解を許容 [6] S. Yazaki, Point-extinction and geomet∗ e-mail address: tisiwata@gifu-u.ac.jp ric expansion of solutions to a crystalline 1 より広いクラスに対する拡張も行われている。時間 motion, Hokkaido Math. J. 30 (2001) があれば触れる予定である。 2 327–357. U ≤ 0 のとき、解多角形は収縮する。U = 0 かつ Hj に対する依存性をより一般的にした場合については、[4] 参照。 3 初期図形が凸の場合には解多角形は凸性を保存する ので、そのような特異性は発生せず、解は大域的に存在 する ([6]))。 メモ ON A FREE BOUNDARY PROBLEM OF THE COUPLED NAVIER-STOKES / MEAN CURVATURE EQUATIONS YASUNORI MAEKAWA1 Introduction In this talk we discuss a free boundary problem of viscous incompressible flows as follows. We consider the Navier-Stokes systems: (N.S.) n−1 n ∂t u − ∆u + (u, ∇)u + ∇p = σ1 HνHxΓt , 0 < t ≤ T, x ∈ R , ∇ · u = 0, 0 < t ≤ T, x ∈ Rn , u(0, x) = u (x), x ∈ Rn , 0 where u = (u1 , · · · , un ) and p are unknown velocity field and pressure field, respectively. The symbol Γt represents an unknown free interface evolving from the initial interface Γ0 which is the boundary of a bounded domain Ω0 . The positive constant σ1 represents the surface tension, and H, ν are the mean curvature, the exterior unit normal vector of Γt , n−1 respectively. The symbol HxΓ means the n − 1 dimensional Hausdorff t measure restricted on Γt . We assume that the free interface is given by Γt = {x(t, x0 ) ∈ Rn ; x0 ∈ Γ0 } where x(t, x0 ) is the solution of the ODE: dx(t) = u(t, x(t)) + σ2 H(t, x(t))ν(t, x(t)), 0 < t ≤ T, (A.C.) dt x(0) = x ∈ Γ , 0 0 where σ2 is a fixed positive constant. The right hand side of the first equation in (N.S.) is the free boundary condition taken into account in weak sense. Our problem is motivated by the phase transition of materials in a flowing fluid. Several systems related with ((N.S.)-(A.C.) are numerically studied by Chang-Hou-Merriman-Osher, Gurtin-Polignore-Viñals, Blesgen, Liu-Shen, and so on. In this talk the time local solvability of the system (N.S.)-(A.C.) is discussed. 1 Faculty of Mathematics, Kyushu University 6-10-1, Hakozaki, Higashiku, Fukuoka, 812-8581, Japan. E-mail: yasunori@math.kyushu-u.ac.jp 1 メモ 頭蓋骨縫合線のパターン形成 三浦 岳 (京都大学大学院医学研究科) 脊椎動物の頭蓋骨は複数の骨からなる。骨と骨の間の部分は縫合線と呼ばれ、骨となるこ とができる組織が残っている.このような組織が骨の末端に徐々に新しい骨を付け足して いくことによって頭蓋骨の成長が起こる.この組織が早くに骨に置き換わって、骨同士が 結合してしまう病気を頭蓋骨早期癒合症といい、頭蓋骨の変形がおこる。この過程に関わ る遺伝子群は数多く同定されている。 一方、この縫合線の組織は、新生児では単純な直線だが、成人になるに従って、組織の幅 を一定に保ちながら湾曲していってフラクタル構造を形成する事が知られている(下 図).フラクタル幾何が流行った頃に、この次元を測定する仕事がいくつかなされていた が、この構造が形成されるメカニズムは知られていなかった. 我々は、既知の遺伝子の相互作用をうまくまとめると、双安定型の反応拡散方程式に帰着 でき、縫合線組織の幅の維持や、湾曲の形成、フラクタル構造の形成等が再現できること を示した.また、この定式化によって特定の分子の局在や遺伝子操作による骨の構造変化 を予測し、それを実験的に検証した。 新生児 成人 メモ 反応拡散系に対する大域的分岐構造の数値計算法とその応用 矢留 雅亮 (金沢大学 大学院自然科学研究科) 長山 雅晴 (金沢大学 理工研究域数理科学系, JSTさきがけ研究員) 上田 肇一 (京都大学 数理解析研究所) 反応拡散系に現れる遷移ダ イナミクスを力学系の視点から解析するためには系の大域 的分岐構造を求めることが重要である [1 など ]. 数値的に大域的分構造を求めるソフトウ エアとして AUTO[2] が知られており,常微分方程式の分岐解析に対して非常に強力なソ フトウエアである.しかし,偏微分方程式の離散化によって得られる高次元常微分方程 式系の分岐解析に対しては,計算量が多くなるために実用可能な時間で分岐解析を行う ことは困難となる.我々が対象とする反応拡散系を空間離散化することによって得られ る常微分方程式系は高次元となるために,AUTO を用いて分岐解析を行うことが困難と なる.そこで,反応拡散系に現れるパルス波の遷移ダ イナミクスを力学系の視点から理 解するために,反応拡散系に現れるパルス波に対する大域的分岐構造を数値的に求める ためのソフトウエアを開発することにした( 現在も開発中).反応拡散系には異なる4 種類のパルス波が知られており,それらは Standing Pulse(SP),Travelling Pulse(TP), Standing Breather(SB),Travelling Breather(TB) と呼ばれるものである.TP と TB は 動座標変換を行うとそれぞれ動座標系での SP と SB の解とみなすことができ,SP と TP, SB と TB に対する大域的分岐構造はそれぞれ同じ数値計算法によって求めることができ る.SP や TP の数値解は空間を離散化して得られる差分方程式を Newton 法で解くこと によって求めることができ,また,SB と TB は Newton (Multipule) Shooting Method[3] を適用することによって求めることができる. 本講演では数値計算法について詳しく説明を行い,発熱反応モデルなどに現れるパル ス波に対する大域的分岐構造の数値結果を報告する.応用例としてして,Gray-Scott モ デルを拡張した3変数反応拡散系に対する分岐構造を求め,系に現れる遷移パターンの 解析を行う. 参考文献 [1] パターン形成とダ イナミクス 非線形・非平衡現象の数理4,三村昌泰,東京大学 出版会,2006. [2] E.Doedel,H.B.Keller,J.P.Kernevez,Int.J.Bifurcation and Chaos,1(3),493–520, 1991,1(4),745–772,1991. [3] K.Lust,Improved Numerical Floquet Multipliers,Int.J.Bifurcation and Chaos, 11(9),2389-2410,2001. メモ 放物型自由境界問題における界面の近似 村川 秀樹 富山大学大学院理工学研究部(理学) 氷の融解・凝固現象を記述する古典的なモデルである古典的ステファン問題,多孔質 媒体中を流れる流体の流れ現象を表す多孔質媒体流方程式といった放物型自由境界問題 の近似について考える.自由境界問題の近似を考える上では,解の近似精度について調 べるのと同様に,界面 (自由境界) の近似について論じることが重要である.自由境界問 題の近似解法は,front-tracking methods と front-capturing methods の二つに大別され る.Front-tracking methods は界面により分けられる領域における支配方程式を解くと 同時に,自由境界上で満たされる界面方程式に従い,界面の場所や形状を求める方法で ある.これらの方法は界面を追跡していく方法であるため,一般に界面の近似に関する 詳細が得られ,界面の近似精度は良い.しかしながら,特に空間多次元の問題を考えた とき,界面の形状が滑らかでなかったり,滑らかに変化しない場合には界面を追跡する ことが困難になる.これに対して front-capturing methods は,考える領域全体で界面 の情報を陰的に含む方程式を取り扱う方法である.界面を追跡する必要がないため,空 間多次元の場合でも,解の近似に関する解析および数値計算は比較的容易である場合が 多い.一方,その近似解から得られる近似界面がいかに真の界面を近似しているかの詳 細を調べることは困難になる.詳細を調べることは困難であるが,界面の近似に関する 一般的な結果が Nochetto [4] により得られている.彼の結果は,近似解の Lp 誤差評価が 得られていて,問題の解が non-degeneracy property という性質を満たす場合に,(ある 意味で) 界面の収束性が得られるというものである. 本講演では,Nochetto による結果を紹介すると共に,我々の最近の研究に適用した結 果について述べる.我々は,放物型自由境界問題の解を,線形拡散と単純な反応からな る半線形反応拡散系の解によって近似する方法について研究してきた [1, 2].また,その 反応拡散系の離散化を考えることにより,放物型自由境界問題に対する有効な数値解法 を得た [3].これらの近似解法は front-capturing methods の一種であり,L2 誤差評価が 得られているため,Nochetto による結果が直ちに適用できる.講演では,我々の数値解 法を用いると,既存の数値解法に比べて,解と界面の双方を効率的に精度良く近似でき ることも示したい. 参考文献 [1] H. Murakawa, A regularization of a reaction-diffusion system approximation to the twophase Stefan problem, Nonlinear Analysis (2007), doi:10.1016/j.na.2007.09.038. [2] H. Murakawa, Reaction-diffusion system approximation to degenerate parabolic systems, Nonlinearity 20 (2007), 2319–2332. [3] H. Murakawa, Discrete-time approximation to nonlinear degenerate parabolic problems using a semilinear reaction-diffusion system, preprint. [4] R. H. Nochetto, A note on the approximation of free boundaries by finite element methods, RAIRO Modél. Math. Anal. Numér. 20 (1986), 355–368. メモ Swarm Oscillators -‘膜’ 相の解析田中 ダン ∗ 福井大学 大学院工学研究科 知能システム工学専攻 / JST さきがけ 実空間に分布し動的内部自由度を持つ素子の集団を考える。このような系は、細胞群、非平 衡下の分子群など枚挙に暇がない程多様に遍在する。そこに通底する一数理構造を探求するべ く、極力少ない仮定のもと、解析計算可能なモデルの一候補を模索、導出した。導出された数 理モデルは、豊富な創発構造を呈する。また、このモデルはダイナミカルネットワークや流動 的スピングラスと捉えることもでき、今後の発展に期待している。本講演では、モデル構築の 紹介と、このモデルが呈する一つの時空パターンに対する解析を紹介する。 モデルの概要は以下の通りである。まず、モデル構築のためのミニマムな設定を模索する。素 子内ダイナミクスの最も単純なものの一つとして、リミットサイクル振動が挙げられる。そこ で、単一の素子はなんらかのパラメータ変化で、超臨界 Hopf 分岐するとしよう。多数の素子 が空間に分布しているとき、素子間相互作用の最も単純な候補は、拡散場を介するものだろう。 拡散場があるとき、その勾配を感じて素子が駆動するというのも合理的である。このような走 化性を示すリミットサイクル振動子の集合体に対し、振動子の超臨界 Hopf 分岐点近傍におい て中心多様体縮約を実行した。導出されたモデルは以下の通りである。 Ȧi = Ai − (1 + ic)|Ai |2 Ai + χM(ri ), ṙi = −A∗i ∇M(r)|r=ri + c.c., (1) (2) ここで Ai と ri は各々、素子 i の、Hopf 振動の複素振幅と位置座標である。M は素子の感じる 局所平均場で、結合関数 G とともに次で定義される。 Z X dq beiq·r M(r) ≡ Ai G(ri − r) , G(r) ≡ . (3) D ρ2 + q 2 (2π) i D は空間次元、c は実定数、χ、b、ρ は複素定数である。A∗i は Ai の複素共役を表す。 更に、Hopf 振動に位相縮約を適用すると φ̇i = 1 + [κPi + c.c.] , ṙi = −∇ri Pi + c.c., (4) (5) が得られる。ここで φi 、ri は、i 番目の素子の内部状態と位置である。κ は複素定数で、Pi は 素子間の相互作用を表し、 X Pi = e−i(φj −φi ) G(rj − ri ) (6) j6=i で与えられる。 本講演ではこれらのモデルについて概説した後、特に、G を指数関数で近似したものをとり あげ、二次元空間において素子群が膜状に配置するパターンに着目する。この ‘膜’ パターンに ついての解析は、著者の受け持つ修士 1 年生、飯田一輝氏との共同研究である。 DT, General Chemotactic Model of Oscillators, Physical Review Letters 99 134103 (September 2007). ∗ Corresponding author: dan@yukawa.kyoto-u.ac.jp,dan@u-fukui.ac.jp,0776-27-8795 メモ Renormalization Group method and its application to coupled oscillators 千葉逸人 (chiba@amp.i.kyoto-u.ac.jp) 京都大学 情報学研究科 数理工学専攻 概要: くりこみ群の方法とは Chen, Goldenfeld, Oono [1,2] によって提案された常微分方程式に対する特 異摂動法の一種であり,与えられた方程式の厳密解に対する近似解を良い精度で構成するばかりでなく, それまでに知られていた古典的摂動法を特別な場合として含むため近年注目を浴びている. 従来,くりこみ群の方法は 1 つの厳密解に対する 1 つの近似解を構成するのが目的であったが,適当な 条件のもと,くりこみ群の方法で構成した近似解の族が正しくベクトル場を定義し,これが元のベクトル 場と十分近いことが示される [3].これは,くりこみ群の方法は近似解だけでなく近似ベクトル場を構成す る理論であることを主張する.いったん近似ベクトル場を構成してしまえば力学系理論のいろいろな定理 が使えるので便利である.特に不変多様体論を援用することにより,もしくりこみ群方程式が法双曲型不 変多様体 Nε を持つならば,元の方程式も Nε と微分同相な不変多様体を持ち,さらにそれらの安定性が一 致することを示すことができる.すなわちくりこみ群方程式の位相的性質から元の方程式の位相的性質が 従う.そこでくりこみ群方程式が元の方程式よりも“解きやすい”ことを期待したいが,実際,元の方程 式が持つ対称性 (Lie 群による不変性) は全てくりこみ群方程式に遺伝し,かつくりこみ群方程式は元の方 程式の非摂動部分の flow が定義する 1-パラメータ群の作用で不変であることが示される.したがって一般 にくりこみ群方程式は元の方程式よりも対称性を多く持ち,元の方程式よりも解析が容易である. 以下の図式がくりこみ群の方法の“まとめ”である. ኻ⒓ᕈ రߩᣇ⒟ᑼ ਇᄌᄙ᭽ ߊࠅߎߺ⟲ᣇ⒟ᑼ ⋧ᓎ ㄭૃࡌࠢ࠻࡞႐ ㄭૃ くりこみ群の方法が従来の古典的摂動法を特別な場合として含むことは Chen, Goldenfeld, Oono [1,2] に よってすでに示唆されていたが,[4,5,6] ではくりこみ群の方法が多重尺度法,平均化法,normal forms, hyper-normal forms,中心多様体縮約,幾何学的摂動法を拡張,統一することが示されている. Reference [1] L. Y. Chen, N. Goldenfeld, Y. Oono, Renormalization group theory for global asymptotic analysis, Phys. Rev. Lett. 73 (1994), no. 10, 1311-15 [2] L. Y. Chen, N .Goldenfeld, Y. Oono, Renormalization group and singular perturbations: Multiple scales, boundary layers, and reductive perturbation theory, Phys. Rev. E 54, (1996), 376-394 [3] H. Chiba, C 1 approximation of vector fields based on the renormalization group method, SIAM J. Appl. Dym. Syst., (2008, preprint) [4] H. Chiba, Simplified Renormalization Group Equations for Ordinary Differential Equations, (submitted) [5] H. Chiba, Approximation of Center Manifolds on the Renormalization Group Method, (submitted) [6] H. Chiba, Extension and Unification of Traditional Singular Perturbation Methods for ODEs, (in preparation) メモ メモ 弾性体の生成により生じる油滴のアメーバ様運動 京都大学理学研究科物理学第一教室 住野 豊 脂肪酸(陰イオン性) と陽イオン性の界面活性剤を水相に混合することで,ベシクル等μmスケールの多様 な会合体(Catanionic Mixture)が形成されることが知られている[1].また,このような会合体がマクロに 集合することで応力を保持する弾性をもつことも知られている[2].このような系に非線形非平衡条件を与 えるとマクロに時空間構造を生成することが予想されるがこれまで会合体形成時のダイナミクスなどは注 目されていなかった. 本研究では脂肪酸は油相・陽イオン性界面活性剤は水相にそれぞれ単独で混和しやすい性質をもつことに 着目し,脂肪酸を油相に混合し,陽イオン性界面活性剤を含む水相と接することで会合体形成が油水界面 で特異的に進む系を構築した.このときのとき油相を cmスケールの液滴とし,水相表面での油滴の様子 を観察した.すると油水界面において,球状の変形が展開・収縮を 10 秒程度の時間スケールで繰り返すこ とを発見した(図 1).また,この繰り返しは 1 時間もの間継続され 1 cm た.この機構を解明するため,弾性体(会合体)生成が表面で特異 的に進む系の特徴に注目し,Stacked Rubber Band Model [3]を 拡張した後,線形安定性解析を行った.結果,油滴の変形展開が 弾性体生成の結果生じる圧力増加により弾性体自体が破壊される ことにより駆動されていることを明らかにした.又この解析の結 果変形サイズに閾値が存在することを理論的に見いだし,実験で 実証した[4].このようなありふれた化学組成から油水界面におい て不安定性が生じることは本研究により初めて見出された.また その弾性体が一定領域で生じ続け,応力により破壊されるという ありふれた状況が界面不安定性の必要条件であり,今回見られた (図 1)弾性体が生成する圧力での油滴変形 (1 秒毎) 不安定性は全く異なる他の系においても生じるものと考えられる. 本発表では以上の実験系・及び運動機構に関して発表を行う. 更に,油滴のサイズを更に小さくしmm程度のサイズにすると,油水界面の変形に伴い油滴の重心自体が 移動する,不規則な並進運動を示すことを明らかにした.また,この並進運動の平均自乗変移〈x2〉を計 測したところ, 〈x2〉~t α (1<α<2)という特異な冪を持つことを見出した.この並進運動は変形のサイズ・展 開速度に依存するため,並進運動の特徴を数値化することで界面変形運動の特徴を拾い出すことが可能に なるものと考えられる.また,この液滴の不規則並進運動は,非線形非平衡条件下で不安定化した波数に より増幅されたものであるため,通常のブラウン運動とは異なる特性を持つものと考えられる. 本発表では上記の結果に関する報告も行う予定である. [Reference] [1] M. Dubois et al., Nature 411, 672-675 (2001) [2] M. Gradzielski, J. Phys. :Condens. Matter 15, (2003), R655-R697 [3] K. Sekimoto et al., Eur. Phys. J. E 13, 247 [4] Y. Sumino, H. Kitahata, H. Seto and K. Yoshikawa, Phys. Rev. E 76, 055202 (2007) メモ Nonlinear problems with singular diffusivity and inhomogeneous terms Hirotoshi Kuroda (Hokkaido University) In this talk we consider a singular diffusion equation associated with total variation with inhomogeneous terms as follows (P ) u : [0, 1] × [0, T ) → Rn (n ≥ 1) : unknown function ( ) ux 1 div a(x) = 0, (x, t) ∈ (0, 1) × (0, T ), ut − b(x) |ux | u(x, 0) = u0 (x), u(0, t) = g0 , u(1, t) = g1 , (1) x ∈ (0, 1), (2) t ∈ (0, T ), (3) where a(x), b(x) are given positive, continuous functions on [0, 1] and u0 is an initial data and g0 , g1 ∈ Rn are boundary condition. This equation (1) is written as the gradient system by taking energy ∫ 1 E(u) = a(x)|ux | dx 0 ∫1 with respect to the norm ∥f ∥2 = 0 b(x)|f (x)|2 dx. The equation (1) describes the motion of multi-grain problem studied in [3]. In the scalar valued case with boundary condition u(0) = 0, u(1) = 1, if a(x) has a unique minimum point x0 , then ∫ 1 ∫ 1 E(u) = a(x)|ux | dx ≥ a(x0 ) ux dx = a(x0 )(u(1) − u(0)) = a(x0 ). 0 0 If u is a step function and jumps only at x0 , then the equality holds. So global minimizer is unique [2]. In general case, a global minimizer quite naturally has a discontinuity since it makes the energy low by concentrating its variation at the point where a(x) is minimal. It follows that many global minimizers may be piecewise constant functions. We consider stationary problem of (P) in the vector valued case. Suppose that inhomogeneous term a(x), b(x) satisfy ”concave condition” (cf [1]). We characterize stationary piecewise constant solutions. References [1] M.-H. Giga, Y. Giga and R. Kobayashi, Very singular diffusion equations, Proc. Taniguchi Conf. on Math., Advanced Studies in Pure Mathematics, 31(2001), 93–125. [2] R. Kobayashi and Y. Giga, Equations with singular diffusivity, J. stat. Phis., 95(1999), 1187–1220. [3] R. Kobayashi, J. A, Warren and W. C. Carter, A continuum model of grain boundaries, Physica D, 140(2000), 141–150. メモ On Game Interpretations for the Curvature Flow Equation and Its Boundary Problems Qing Liu Graduate School of Mathematical Sciences The University of Tokyo Email: liuqing@ms.u-tokyo.ac.jp Recently, there comes an interesting idea of interpreting the solution of a parabolic PDE as the value function of a deterministic two-person game. More precisely, a family of discrete-time, two-person games are constructed so that their value functions converge to the solution. This result is unusual since the value function of a deterministic control problem is supposed to be the solution of a first-order Hamilton-Jacobi equation. We review this game-theoretic approach and adapt it to boundary problems. Our attention is mainly focused on the Neumann boundary problem of the two-dimensional curvature flow equation: ∇u (1a) =0 in Ω × (0, T ), ∂t u − |∇u|div |∇u| (1b) h∇u(x, t), ν(x)i = 0 on ∂Ω × (0, T ), (1c) u(x, T ) = u0 (x) in Ω, where Ω is a bounded smooth domain in R2 and ν(x) is the unit exterior normal to ∂Ω at x. The equation (1a) asserts that level sets of u are evolving by their curvature in Ω while the boundary condition (1b) says each of them intersects perpendicularly with the boundary ∂Ω. To realize the boundary condition in the game setting, we utilize the planar billiard reflection on the boundary with proper modification. A comparison is given between our billiard semiflow and the solution of Skorokhod problem. The latter is known to connect with continuous time games for the Neumann boundary problems of first-order Hamilton-Jacobi equations. We also consider more general oblique boundary conditions by devising an oblique billiard law. An example is given for the half plane case.
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