テーマ No.20 タイトル:磁石の NS が振動する! ~磁性体のダイナミクスと磁気異方性~ 大野研究室 概要:強磁性体(磁石)に交流磁界を印加すると磁化(磁石の NS を表すベクトル)が振動 します。特に、交流磁界の周波数を特定の周波数(GHz 程度)にすると、磁化の振動振幅が非 常に大きくなります。これを「磁気共鳴」と呼びます。糸の先に球がぶら下がった振り子 を想像してみてください。特定の周波数で糸を揺らすと、振動の振幅が大きくなります(共 鳴) 。この振動の周期は糸の長さと重力加速度で決定されることをこれまで学んだことがあ ると思います。磁気共鳴も振り子の振動のような動的挙動(ダイナミクス)により良く理 解でき、共鳴の周波数は強磁性体材料の持つ「磁気異方性」に依存します。 「磁気異方性」とは強磁性体のエネルギの磁化方向依存性を示すもので、例えば棒磁石 の長い方向へ NS が分かれる現象の原因です。ハードディスクなど、私たちの身の回りの磁 性メモリにおいて、磁気異方性は情報保持時間や消費電力を決める重要な指標です。本テ ーマでは自分で磁気共鳴を測定し、そこから強磁性体材料の磁気異方性を求めて、最先端 メモリ素子の性能との関係を考察します。 目的:電子の持つ「スピン」と「エレクトロニクス」両方の自由度を利用した、スピントロ ニクスメモリに用いられる磁性体の磁化ダイナミクスを測定し、その磁気異方性との関連 を実感することを目的とします。 内容:殆どの学生が磁性の授業を履修していないことを踏まえて、工学に用いる磁性の基礎 を学習したのち、測定対象とする磁性薄膜を作成、磁気共鳴や諸特性の測定を行い、実験 データの解析、討論を行います。
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