電電公社のコンピュータ開発

連載
:
足跡
情報処理技術の
の
日本
電電公社のコンピュータ開発
戸田 巖 松永 俊雄 (株)富士通研究所
toda@fujitsu.com
東京工科大学
matsu@cc.teu.ac.jp
電電公社発足当時
はじめに
社
要件
,国内
郵便
.
部門
電気通信省
独立
社(以下電電公社
略
1985 年
略
電信電話
R&D
国
,1952 年
)
)
1949 年
電気試験所
指導
,1948 年
離
受
技術先導
実用化(Development) 研究
技術開発
目標
製品
新概念
製造
機器
省 製造部門
保有
電気通信省
使用
,AT&T 製造部門
仕様書作成
指
,電気通信研究所
実用化
定義
日立,富士通,沖電気等
部分
.
立場
生産
購入
Western Electric
所要機器
設計製造
.
,
由縁
.
行
仕様
立場
提示
役割分担
電電
合
公平
大
公益性
常
課
理念
意識
化
進展,
残
直接的
海外
電電公社
,1981 年以降基本
調達
,
存在
手続
日米
開放
公開入札
製品
枠組
,国内通信機器
,AT&T
,電電公社
要件
調達
電気通信機器
自社向
.企業性
強
伴
市場品
日電,
合致
民営化
結果,政府調達
書
国内通信機器
国産
電電公社
原則
,電電公社
.
的
電電公社発足以来,電気通信機器
.
.電電公社
貿易交渉
.
推進
,電電公社研究開発経営
当然
☆1
研究開発
産業育成
世界経済
発注仕様書
.電電公社
要件
,企業性
依頼
国内産
自社使用機器実用化
,自社
実用化
Western
.電気通信
製造
利
.
1
利用
期待
,積極的
調和
,国内通信機器
通信機器
下
経営理念
米
研究所
名
.
電気通信
調達能力
,電気通信技術一般
,電気通信研究所
模
実用化
,
社会的責務
題
Electric
☆1
提供
電気
分担
,単
遂行
研究所
研究所
公共企業体
業育成等
.
概念
.
至
.
仕様書制定
研究開発能力
電気通信研究所
日本
時代
一方,電電公社
.
.
従来
,機器
技術的可能性確認
自前主義
衣替
独立
.実用化
要件
国内景気対策,
当初逓信省工務局
切
設計,
電電公
存在
日本電信電話株式会
,現在
電気通信部門
提供
日本電信電話公
特殊法人
,戦後 GHQ
試験所
電気通信関係
民営化
社(以下 NTT
持
逓信省
機器
満
,電電公社
戦後電信電話
開発
実用化
選定
変化
上
共同開発
.
購入
,
調達方式
.
酷似
結果,従来
,通信機
電電
概念
電電公社
機能
,
呼
.
開発とは,通常,着想から概念設計,物理設計までを含むが電電公
社の場合は,物理設計はメーカに依存しているため,開発にはパート
ナーメーカとの協力が不可欠である.電電公社発足と同時に電気通
信研究所のミッションは仕様書原案作成に変更されたが,研究所発
足時の実用化の理念はそのまま引き継いでいる.
見
変革
与
.実用化
来
自前主義
化
行
電電公社
転換
見
消滅
納入業者
電電公社
複数顧客
研究開発
大
1人
1人
都度変
技術
形態
変貌
.
,従
機器実用
市場主義
.
IPSJ Magazine Vol.44 No.6 June 2003
−1−
,
631
日本の情報処理技術の足跡
述
電電公社
発 ,時期的
研究開
主
,通信機器
自前主義
電電公社
立場
関係
実用化
換
,開発
,市場主義
用
実用化
進
DIPS(Dendenkosha Information Processing System)
柔軟性
欠
公社実用化
市場主義
新
変換
模索
見
電電
制御型
電
.
.
電公社
開発
利用
開発
双方
CM-100
手
,
本稿
開発
緯 紹介
.
述
幸
時代背景
念頭
経
行
得
,
方針
転
料金計算装置 CM-1
,布線論理
,1961 年
採用
急遽料金計算用
計算機 CM-100
実用化
満
当
以下
実用化
,料金計算
新技術
採用
.
並列実行
行
特殊
要件
(1)性能向上
読
①命令準備
.
命令実行
3段
先行制御方式
(2)料金票
電電公社のコンピュータ技術実用化の経緯
①
高速処理
命令方式
②複数台
電電公社
研究実用化
.以下
実用化
.
電電公社
同様
結論
計算機
.
自前主義
時代
不向
電電公社
異
独占的購買者
,大型計算機
時代
,
表
詳細
経緯
説明
並列運転
多重
方式
表 -1
.
(3)開発期間短縮
①計算機論理
設計段階
論理
電信電話の時代
電電公社
国内電気通信
発足
当時
意味
2
提供
公共企業
電信
電話
,電気通信
信電話
.
合理的
開発
,
提供
時代
開発
電
.
喜安善市,室賀三郎,高島堅助
電話交換機,料金計算等
年
使用可能
研究
考
着手
東大
素子
後藤英一
帰国
計算機
踏襲
,
互換
世界初
MUSASINO-1
MUSASINO-1
研究所内
工数
削減
方針
概念
具体化
CM-100
実用化
CM-100
電子交換機開
技術移転
1964 年
.
各社
市販計算機用 DA
諸元
示
.
稼働
供
開始
,
.本
急速
公衆通信
信電話
困難
安定性
十分
,
1960 年
普及
通信
媒介
定
.
通信
次
第3
電気通信
試行
群馬銀行
問題
開始
−2−
独占
,
稼働 ,以来
.当時異企業間
,電電公社
予想
44 巻 6 号 情報処理 2003 年 6 月
国鉄座席予約
等
電電公社
.
速度向上
使用
三井銀行
使用
実用
示
,日本
,1966 年
計算機
.
後電電
1951 年以降
行
■
素子
多
技術
.表 -3
米国
2)
.
,
主記憶 32 語
表 -2
参加
技術
開発
.
諸計算
諸元
大学留
世界最初
,1957 年
反
.
技術者
.
データ通信の時代
開発
.
■ CM-100
進
室賀三郎
同大学
採用
632
試作
従事
,関連
後,
.CM-100
3)
日本電気
開発
発用
効果
実用
諸技術,特
分担
大
仙台,
大阪 料金計算 実用
公社電子交換機開発
,電気通信研究所
計算機 MUSASINO-1
学
CM-100
除去
世界初
CM-100
開発
CM-100
発
論理
用
行
,約
回路
,CM-100
1964 年 完成
.電気試験所
,電気通信研究所
進
,1953
.当時今後有望
,
明
,
市販計算機
方式
.論理
設計
電気通信研究所
研究
同期式
発揮
■ MUSASINO-1 ■
論理素子
1,000 個
可能
1)
(LSS)
走行
手段
進
論理
NEAC-2203 上
(法定化
電
通信
認可
,地方銀行協会
1971 年).当時
得
命名
.1968 年
−
市販計算機
日本の情報処理技術の足跡
主な開発
西暦
1950 年代
1960 年代
1970 年代
1980 年代
57
MUSASINO-1(パラメトロン式)を完成
・プログラム互換性
64
CM-100 形計算機
・論理シミュレーションプログラム開発
66
電子交換機 DEX-1 完成
68
電子交換機 DEX-2 完成
69
データ通信用 DIPS 共同研究開始
71
DIPS-1 試作機完成(キャッシュに IC メモリ)
・マルチプロセッサ,キャッシュ,ページング方式を統合した
方式を実現
・144 ビット IC メモリをキャッシュに採用
・最大 16MB の大容量主記憶
74
DIPS 通信制御処理装置(CCP) 完成
75
DIPS-11/10, 20 完成 ( 主記憶に IC メモリ)
76
DIPS-11/30 完成 ( 主記憶に IC メモリ)
・主記憶に 4K ビット IC メモリ採用
・チャネル機能の集中制御方式の実現
77
ネットワークアーキテクチャ DCNA 共同研究開始
79
DIPS-11/5, FCP 完成
DIPS 用通信制御用 LSI 完成
DCNA(第1版)完成
80
DIPS-11/15, 35 完成
81
DIPS-11/25 完成
DIPS 用小型磁気ディスク装置(PATTY)完成
82
DIPS-11/45 完成
DIPS-V20 試作機完成(VLSI プロセッサ)
・主記憶に 64K ビット IC メモリ採用
・製造担当各社本体装置の市販機との共通設計導入
・C-MOS 論理 VLSI(20K ビット,32 ビット)を開発
DIPS-11/25E 完成
DIPS 複合構成方式(光ループでプロセッサ間接続)
DIPS-V30 完成
DIPS-11/15E, 45E 完成
共通 OS(CTRON) 第 1 版公開
DIPS 用大容量磁気ディスク(GEMMY) 完成
85
86
・100Mbps 高速光ループによるプロセッサ間接続方式開発
87
DIPS-11/5E 完成
89
DIPS-V30EX 完成
DIPS-11/45EX, 25EX 完成
共通 API(MIA)第 1 版完成
大容量光記憶装置(光 MSS)完成
DIPS-11/15EX 完成
DIPS-V40EX 完成
DIPS 開発終了
91
1990 年代
92
2000 年代
主な技術的項目
電子交換機/コンピュータ
2003 DIPS 運用終了
表 -1 電電公社
項目
開発
内容
項目
数字の表現法 40 ビット/語の 2 進数,固定小数点方式
命令の形式
単一番地方式,2 命令/語
演算指令
130 種
主要部品
制御装置 1,600 個
パラメトロン
演算装置 2,800 個
記憶装置 1,000 個
真空管
演算・制御装置 280 本
記憶装置 239 本
制御方式
中央処理装置 主な命令
計 5,400 個
計 519 本
レジスタの長さ
パラメトロン
励振周波数 2.4MHz,3 相繰り返し周波数 6KHz ∼ 25KHz
励振方式
磁心記憶装置
入出力装置
所要電力
記憶磁心
外形 2mm のフェライト
記憶容量
256 語
記憶装置
命令レジスタ:49 ビット,演算レジ
スタ:49 ビット
磁気コア I( インデックス:4,000 語 ),磁気コア II(6,000
語),カードメモリ(1,000 語)
磁気テープ装置 テープ幅 1/2in,15bit/mm 90kc
入出力装置 和文電信用 6 単位紙テープ
光電式 (200 字/秒 ) または電信用(12 字/
入力装置
秒)
出力装置
電信用局内さん孔機 (12 字/秒 )
入出力装置
1 次側全入力 9KVA,定電圧出力 5KW
表 -2 MUSASINO-1
内容
3 段の先行制御,多重プログラム制
御
四則演算命令,比較関係演算命令,
転送命令,シフト命令,コンソール
入出力命令,飛び越し命令,インデ
ックス・スイッチ命令,IOP 命令他
複合命令:分類(Merge),索表(Table
Look Up)
ラインプリンタ 1 行 132 字
600 行/分
紙テープリーダ 6 単位電信用
1,000 字/秒
高速テープパンチ 6 単位電信用
100 字/秒
その他
カードリーダ (IBM 80 欄 ),タイプラ
イタ(3 段シフト)
表 -3 CM-100
諸元
諸元
IPSJ Magazine Vol.44 No.6 June 2003
−3−
633
日本の情報処理技術の足跡
処理
中心
,1967 年
通信
使用
開発計画
検討
開始
当時大型機市場
.
発
4)
抑
通信部会
過半
中心
国内
.通産省
育成
☆2
努力
資金力
結果,1968 年
通
電電公社
強化
自社
億円
開始
当時
考
目指
第 3 世代
DIPS-1
主目的
開発
通信
大,中,小
小型
用
改良
図
詳細
表 -1
次章以降
参照
開発
展
開発
.
DIPS
3社
述
,
開発経緯
実現
多数
用
,電電公社
調達
公共性
3社
.
.
適
能率
使用
信頼性
③国産最高性能機
同等以上
立案当時
利用
有
性能
最高性能機
有
3倍
目標
)
(2)
社間
開発
合理化
①開発
後述
製造
互換性
,特定 1 社
判断
図
DIPS
間
社間
有
②
今後
急増
.
.
6)
次
共同使用
(DIPS-1
好
開発費
主要開発要件
②公衆網内
.
1
DIPS
紹介
参照
①各種回線
.
上
開発目標
順次
,2003 年
主要技術
表 -1
DIPS
,電電公社
走
互換
開発
(1)
機種
共通
間
DIPS の開発要件
一般市場用
,
,
1983 年
日電,日立,富士通
各社
続
.
推移
.
構築用
.当時,各社
以下 DIPS
,5E
通信用
社内
NTT
後 10 年間導入
DIPS の技術開発
.
DIPS
.当時,
DIPS-11
5
追加
転換
.
移行
一般
芝電話局
DIPS11/10
LSI
DIPS-V
開発
1973 年
立
,代
方針
稼働中
停止
伸
程度
運用,保守,維持管理
運用
向上
,
中止
購入
DIPS
急速
,市
漸減
DIPS 開発
DIPS
普及
電電市場
技術
1992 年
市販
後 DIPS-1
3 機種
,5EX
DIPS
済
DEMOS(科学技術計
.
.DIPS-11
使用
伸
,電電社
約 1,200 台
使用
,第 1 号機
) 使用
開
,IC
通信
,公衆
算
技術
上記
3倍
上
使用
市場
,NTT
技術力,資金
.
用
大
.
電電公社
設置
実現
,一般
.1969 年,
大型計算機
大型
各社
後一般市場
販
総額約 250
最高性能国産機
開
調達
育成,
市場用
開発目標 DIPS-1
性能
,市場
互換
.
最初
理由
国内産業
日電,日立,富士通
参加
出
力
通信
開発
DIPS
乗
自社用
開発,電電公社
電
日本業界
使用
.
,電電公社
,自民党
最大
技術力
.
外国勢
5)
国内
電公社
解消
以上
中心
IBM
産業
電電公社
大型
開発
技術
以下
要件
満足
技術
説明
.
開発
採用
.
実現
制定
各社
.
,
共通
後各社
制定
用
DIPS
発
進
術課題
,各社
用
得
1
オンライン共同利用技術
DIPS
市販機用
■本体系■
自社
2 本立
.DIPS 開発
(1)
開
通
多数
主要技
利用者
系
2 本立
共同利用
,
①物理主記憶容量
容量
大
必要
.
☆2
②
JECC レンタル制度,FONTAC 補助金(3.38 億円)など.
634
44 巻 6 号 情報処理 2003 年 6 月
−4−
管理
簡略化
仮想記憶
必須
日本の情報処理技術の足跡
西暦
1971 年
機種名
DIPS-1
1975-76 年
DIPS-11/10
シリーズ
1979-82 年
DIPS-11/5
シリーズ
プロセッサ・主記憶
チャネル・通信・周辺系装置
論理素子:ECL,CML,10 ゲート前後,1.5ns
4 バイト幅チャネルを実現(磁気ドラム用)
キャッシュメモリ:8KB/16KB(144 ビット/チップ )
通信制御装置(256 回線,48kbps)
主記憶:最大 16MB(磁気コアメモリ)
論理素子:ECL,∼ 100 ゲート,1ns
チャネル機能の集中制御方式
キャッシュメモリ:8KB/16KB(256 ビット/チップ )
通信制御にプロセッサ機能(512 回線,48kbps)
主記憶:16MB(IC メモリ:1K,4K ビット/チップ)
論理素子:ECL,∼ 400 ∼ 1300 ゲート,350ps
小型磁気ディスク装置 PATTY(400MB/SP)
キャッシュメモリ:32KB/64KB(1K ビット/チップ )
通信制御処理装置による機能分散化(512 回線,48kbps)
(11/45 は 256KB/512KB の 2 階層構成)
主記憶:128MB(IC メモリ:64K,256K ビット/チップ)
CMOS 2μ 20K ゲート
通信系:128 回線,48kbps
主記憶:16MB
論理素子:ECL,∼ 3000/10000 ゲート,180ps
100Mbps 高速光ループによる複合構成方式
キャッシュメモリ:ECL 論理素子と高速 RAM の一体化 通信制御処理装置による機能分散化(512 回線,384kbps)
主記憶:512MB(IC メモリ:256K ビット/チップ)
大容量磁気ディスク装置 GEMMY(2.2GB/SP)
CMOS 1.3μ 52K ゲート
通信系:128 回線,48kbps
主記憶:16MB
論理素子:ECL,∼ 15000 ゲート,80ps
通信制御処理装置による機能分散化(1,024 回線,6Mbps)
キャッシュメモリ:ECL 論理素子と高速 RAM の一体化 大容量光記憶装置(光 MSS:250GB ∼ 1TB)
主記憶:2GB(IC メモリ:1M ビット/チップ)
CMOS 0.8μ 150K ゲート
通信系:128 回線,1.5Mbps
主記憶:255MB
DIPS-V20
1985-86 年
DIPS-11/5 E
シリーズ
DIPS-V30
1989-92 年
DIPS-5EX
シリーズ
DIPS-VEX
シリーズ
表 -4 DIPS 本体装置構成技術
推移
.
成果
③仮想記憶
伴
時間
能力
短縮
必須
必要
方式,
方式
常識
,
採用
能
.
,DIPS-1 設計当時
世界
4CPU
類例
16MB
,
当時
,仮想記
技術
.DIPS 35 年
技術
急発展
各社
当初
時期
重
IC
LSI,
VLSI
大
変貌
遂
中
,例外的
電電公社
紹介
① DIPS-1
.
成功,
小型
各社
通部分
個別部
重要
課題
組合
完成
犠牲
発展
.
,DIPS 開発
並行
しのぎ
鎬 削
,各社
実現
90%,
.設
市販機
技術
共
DIPS
挑戦
.
,性能
DIPS 5
LSI 個数
表 -4
構成技術
指定
場
数
共通部
割合
成功
70%
.
(1)
.
DIPS-1
開発
144
強
IC
努
採用
電電公社
4
幅
採用
転送能力 2.2MB /秒
.
東芝,三菱
試作
CPU
.
開発
削減
通産超大型計算機
日電
② 1974 年
,32
■入出力系■
.
採用
.1982 年
開発
結果 1980 年
.
合
.論理素子
,VE,VEX
計工数
構成技術
構成技術
DIPS
参照
半導体
,DIPS
DIPS-V
(4)共通設計
活用
歴史
実現可
採用
,20K
各社市販
原則
各年代
着手
開始
後V
非常識
(3)構成技術
商用
前述
開発
成果
導入
同技術
,2
開発
LSI
.
物理構成
64K
one-chip-DIPS
,1981 年
選定
.
最大物理容量
最大 256MB
展望
開発
CMOS
☆3
DIPS
判断
1983 年
主記憶
憶容量
成果
以来,LSI 共同研究
進展
小型
(2)記憶容量
DIPS-1
.1980
一般市場
③論理 LSI 技術
構成
仮想記憶方式
導入
方針
.
.
,DIPS
活用
最初
確認
DIPS
冗長構成
現在
LSI 共同研究
DIPS
.
④信頼性強化
方式
年
増強
必要
以上
短縮
積極的
実現
.
,世界最高速
後
1980 年
3.5MB /秒
増
方式
転送速度
実現
.
日電,日立,富士通,沖電気,
LSI 共同研究
発足
,DIPS
☆3
当時の市販機の最大物理容量は 4MB ,仮想記憶容量は 16MB .
IPSJ Magazine Vol.44 No.6 June 2003
−5−
635
日本の情報処理技術の足跡
DIPS
能力
工夫
増強
凝
,
1987 年
制御
,
方式
130mm 径,容量 0.6GB /
装置
高速,
3種
構成
,IBM 機等
実用化
.1991 年
容量 1T
採用
.DIPS
光
本光
大容量光記憶装置(光 MSS:Mass
Storage System) 実用化
.
■通信制御■
2種
絞
,
制御機能
集中
功
量
大幅削減
成
伝送技術
勃興期
供
.
端末
端末制御
側
,
通信制御
回線種別
,端末種別
.
7)
(2)I/O
制御
各社
統一
,電子工業振興協会制定
'69
制定
DIPS I/O
日本案
標準原案
反対
提案
1977 年
,7 年間
廃案
能力
審議
構成
相互接続
.
向上
行
散処理
,導入
処理等
接続
DIPS
小型化
1981 年
提案
重要
記録
高密度化
.
通信制御
行
等
可能
完成
出
,
生
処理
体系的
含
.
行
必要
.
型
発表
.
1977 年
☆4
.DCNA
着手
,
研究成果
9)
実装
,
第1版
貢献
1979
DIPS 通信制御処理
,1978 年
標準化
送
込
DIPS
機構
(
,浮動
低
達成
隙間
.15M
当時世界最高
,
一般市場用
不要
)
開始
ISO
寄書
提
.
,独自開発
発
各社
契機
類
採用
,収容
見
適用
VAN
高
.
処理
,分散
特化
開
上
数十万
,30 ∼ 50K
/
/時間
後 継 機 GEMMY(Giga-bytE Magnetic
) 試作
他
DIPS
方針
後
・
規模
3 秒以下
disk MemorY)
(容量 2.2GB /
,
処理
,同時
・
官公庁
記
日電,日立,富
開始
当時
金融系中継
端末・
/平方
技術
全国規模
相当
浮上
採用
,1975 年
称
.
PATTY
必要
OSI(Open Systems Interconnection)標準化委員会
PATTY
回転
1986 年
中継
■トランザクション処理■
清浄空気
脱却
完成
装置
1981
.
密閉構造
改良
分
DCNA(Data Communication Network
年
試作
.
伴
必須
8)
外気
録密度
.
構成
統一
1974 年
電電公社
,電電公社
容量 400MB
,高密度
対処
型
進化
,
14
主流
8
,
開発
,
,共同利用
磁気
容量
小型化
.後者
開始
SNA
使用
DIPS
導入
.CCP
,
.
(Packaged Air Tight TinY)磁気
高速性(DS 換算
) 高信頼性
実現
完成
.
636
伴
Architecture) 共同研究
500MB 程度
移行
柔軟
網
型
.
IBM
ASIC
各社一般市場用磁気
1980 年代初頭
対応
通信制御専用
使
,1974 年
直結
IBM
変更
士通
多様性
収容
進展
,複
通信制御処理装置 CCP 間
間接続方式)
大容量化
対応
高速化回線
端末
冗長構成
光
試作
細
■磁気ディスク■
抑制
多様化
通信制御装置 CCE
通信制御処理装置 CCP
1979 年
DIPS-11/5E
柔軟
複合構成方式(
DIPS
,上記
1979 年
,各装置間
CPU
年
用
後,米国等
,装置
数
当初
布線論理
行
■ネットワークアーキテクチャ■
導入
,1985 年
通信制御
主要技術課題
.
可能
100MB /秒
当初
世界
ISO
5)
信頼性向上
冗長構成
.
制御
■システム構成■
DIPS
余儀
.
1969 年
各種回線
☆4
44 巻 6 号 情報処理 2003 年 6 月
−6−
共同研究パートナーは日電,日立,富士通,沖電気.
日本の情報処理技術の足跡
処理技術
開発
.
• 通信処理,DB 処理
制御
概要
次
別
)
性能向上
図
(通信制御
管理
機能分散
場合
採用
5 ∼ 45%
)
.
急速
進歩
容易
,
受
管理
処理
改善
再参照
行
慮
方式
導入
,
可能性
考
性能向上
NCR 等
OS
用
.
実装
,欧州
電電公社
開発
通信処理
使用
標記
検討
TRON
通信用
図
DIPS 小型機
行
40 ∼ 50%
行
改良
当初
C-TRON 仕様
依存部
社間互換性
減少)
.
依存部
共通
•
・通信回線
.
実現
・
,DBMS
負
大
開発
達成
.C-TRON
.
同様
Windows 等
開発
DIPS-1 用 OS 開発
,DIPS
調達
異
動作
換性
確保
以下
開発要件
開発
互
確保
当時大規模
統一
,互換性
目標性能
各社
実
開発
規定
具体的構成法
,
実現
伴
(2)OS
,
下
各
OS ,
任
PL/1
,
技術的可能性
生
.
開発
公募
富士通,DEC,IBM
1 版) 制定
5社
,翌年
選定
NTT
.
結果,日電,日立,
MIA 仕様(第
調達
充実
品
採用
記述
適用
.
充実
当
,
手法
手法
全体
10%
人員
狙
.
生産性向上
,線表維持,DIPS
使用
,文書作成
次項「
開発,品質管理
割
,1991 年
目標
開発用言語 SYSL
,
確立
.
(3)
MIA
(Multi-vendor Integration Architecture) 命名
.
技術
簡素化
,OS
線表遅延
揶揄
.詳細
高級言語記述
開発
実用的
注意
導入
可視化
手法
質管理」 述
向上
特段
.
品質管理
骨子
(2)共通 A P I
有
行
.
互換性
施策
(1)
確保
軒並
☆5
開発手法
以下
同一
開発
性能
法則
大規模
技術
現 精一杯
等
開発
,von Neumann
DIPS 開発着手時
開発管理
.
.
(1)
UNIX ,Linux ,Java ,
電電公社,日電,日立,富士通
,
払
技術
実用
大規模
開発
社間
.互換性
用
社間互換性
4 社共同開発
上
同一
.
.
■社間プログラム互換■
,複数
持
,市販 OS
容易
■ソフトウェア工学■
必須
判明
技術内容
ソフトウェア開発の合理化
公共的性格
場合,
動
上記
10)
確保
電電公社
,
.
(4)時代
自己
開発
分離
小
遠隔制御装置等(小型 DIPS),社内 VAN(Tandem)等
通信処理,
OS
共通部
性能劣化
完成
ISDN 用交換機,ATM 交換機,全銀
供
1986 年
10%以下
C-TRON
,
東大坂村健開発
依存部
(最適化
使
統一
OS
.共通 OS
.OS
行
改善
調達 広
電子交換機等
依存部規模
処理向
.MIA/
IBM ,DEC ,日電,日立,富士通,HP ,Unisys ,
.
•
共通
原案
SPIRIT
,通信処理間
渡
制定
(3)共通 OS
.
•
(NMF)内
調達仕様 SPIRIT
FCP:
,
CPU 性能,通信速度等
追随
.
(CCP
各
各社内
生産
管理性
品質
改善
向上
役立
発展
.
各社
.
MIA
後,日米欧
☆5
コンピュータシステムの納期はいつでも半年先である.
IPSJ Magazine Vol.44 No.6 June 2003
−7−
637
日本の情報処理技術の足跡
生産手法
.
調達
開発風土
間
異
複数
開発手法
品質管理
下記
開発
統一
電電公社
,
概念
努
作業標準
合理化
図
新製品開発
DIPS
込
作成
多数
,
員
.
動員
必
必要
,電子交換
賄
11)
要員
,
.要
専門家
,電電公社
新
人養成,
開発
•
物
資料
工程
分割
,必
作成
各工程
成果
手順
成果物
一定
仕組
導入
.
成果物
設
,
項
従
従事
.
要員数
NTT 1 万人,開発
言
5 万人
達
.
(3)先端技術先行使用
作業手内容
• 各工程
• 工程
役立
DIPS
(
)
.
• 各工程
.
DEX(Dendenkosha Elestronic eXchange) 大型
持
骨子
開発作業
育成
(2)要員育成
■ソフトウェア品質管理■
品質
具体的
品質
達
.
次工程
採用
☆6
移
躊躇
実績
会社
,産業界
確認
独立
検査要項
作成
.検査
全数
検査
指定
行
検査部隊
成果物
探針
要
称
多
新技術
.自
採用
極的
使用
点
産業界
開発
先端技術先行
開発
実績
先端技術
積
,新技術
ひえき
裨益
.
使用
観
.伝統的
電電公社
関
適用
自社製品
事例
積極的
示
表 -5
.
.
(4)新技術開発
開発
開発作業
質 推定
統一
,
可能
品質
開発
基
実施
作業品
込
可能
欠点
,大規模
手法
,電電公社
適用
,
定量的
膨大
開発
先立
場合
市場性
利点
.文書作成量
,
開発
実用性
開発手法
自
新技術開発
究開発能力
取
得
.
間
得
合
場合
,
取
観点
主
開発
産業育成
観点
産業育成
4点
理由
2
.前章
振
歴史
返
観点
,
公共企業体
期待
進
産業
立
機器産業育成
,自社製品開発
電電公社
通産省
産
問題
機器
信,通産
観点
貢献
.
所管
生
,電電公社
以外
日本
,郵政省所管
絶
議論
妥協
図
.
開発
経緯
俯瞰
自社製品開発
述
むすび
,本章
果
得
役割
次
電電公社
国内最大手
育成策
縄張
/通
提供
.DIPS 開発
1980 年
発
得
需要提供
目標
(1)市場
☆6
44 巻 6 号 情報処理 2003 年 6 月
−8−
開
,
入手
一手段
国内
.
12)
,国内最大手
電電公社
需要
,技
所管
国内唯一
.電電公社
638
果
改善
.
電電公社
有効
施策
産業育成
(1)需要創出
最
.
(2)
得
役割
上
電電公社
.
.産業界
行
能力,研
保有
,本来
直接
市場品
開発
育成施策
.DIPS 開発 (1)∼(4)
電電公社
役割
電電公社
.
表 -6
術
業育成
確認
(3) 育成策
機器開発等
場合
自社製品
手
関
(1) 大規模
電電公社の産業育成
行
新技術
.
主要
.
述
,
管理可能
,国産各社
冒頭
開発
.大学,国立研究所等
異
.
進捗管理
技術
供与
,早期
作
中間工程
使用
一番風呂に入るともいう.
固有
充足
日本の情報処理技術の足跡
項目
DIPS 年代
上段:内容/下段:業界
,
組合
1971
電子協作成
(1,2,4
幅)
1971
大容量主記憶
共同利用用
IC
産業
CPU 台数
延
高密度磁気記録
1981
複合構成方式
2,500 台
,
明
使用
技術者
官公庁
電電公社
現状 見
面 大
次
大
成功 収
(1)
考
技術
残
.
成功要因
資料
能力
重要
.電電公社
市場
伝統的
必要
技術力
取 組
考
DIPS 開発
参加各社
,技術者育成
持
場合 (1)
持
.
(2)
,
(3)
保有
,DIPS 開発
.
大
多数
技術者
効果
情熱
.
理由
考
.
• 挑戦:大
挑戦
技術者
• 自由:
細部
至
術
自由
発想
• 自己責任:
問題
許
自分
刺激
.
技
.
手
解決
得
.
• 競争:電電公社
含
開発
新技術
間
競争
重要
.最後
考
生
.現在
日本
抜
米国機互換,Windows ,IA
戦略
的
成功
完全燃焼
点
発想転換
執筆
必要
当
.
収
多数
協力
感謝
疑問
.
DIPS 関係者
貴重
.
参考文献
1)室賀三郎他 : パラメトロン計算機の設計について,信学会電子計算機研
究専門委員会資料,7 (1957).
2)高島堅助,加藤満左夫,戸田 巖,中村 彰,山田正計 : CM-100 形計
算機の方式設計,通研実報,Vol.15, No.8, pp.1435-1493 (1966).
3)山田昭彦 : コンピュータおよび LSI 用設計自動化システムの変遷,情報
処理,Vo.44, No.2, pp.169-174 (Feb. 2003).
4)関 口 良 雅 : 大 型 電 子 計 算 機 DIPS に つ い て, 情 報 処 理,Vol.13, No.3,
pp.136-144 (Mar. 1972).
5)情報処理学会歴史特別委員会 : 日本のコンピュータ発達史,オーム社
(1998).
6)戸 田 巖 : デ ー タ 通 信 開 発 の 現 状 と 課 題, 通 研 実 報,Vol.31, No.8,
pp.1387-1404 (1982).
7)松永俊雄,小柳津育郎,魚住栄市他 : DIPS-11 転送装置,通研実報,
Vol.26, No.3, pp.67-86 (1977).
8)金子礼三,吉井 静 : 3.2 ギガバイト集合形磁気ディスク記憶装置の実
用化,通研実報,Vol.31, No.1, pp.241-247 (1982).
9)戸田 巖 : データ通信網アーキテクチャ(DCNA)の基本概念,情報処理,
Vol.20, No.2, pp.153-160 (Feb. 1979).
10)村田紀男,森 道直,拜原正人 : 104-03 システムの分散処理方式,通
研実報,Vol.31, No.8, pp.51-62 (1982).
11)戸田 巖,新井克彦 : DIPS-1 ソフトウェアのマネジメント,情報処理,
Vol.16, No.10, pp.922-925 (Oct. 1975).
12)NTT 技術史料館(NTT 武蔵野研究センタ)<一部の DIPS 機器は現物を展
示>.
(平成 15 年 5 月 6 日受付)
提示
(3)
技術
.今後大胆
本稿
負担
開発目標
開発
遂行上
主流
,技術者
,
3点
真
依存等
,
開発
JIS 化 (1982 年以降 )
完全燃焼
環境
功績
貢献
採用(1982 年以降)
.
技術者育成上
,NTT 社内
.電電公社
開発資金提供
(2)的確
加速
業界
産業
装置
高速光
(100Mb/s)
間接続方式 提案
.
.
国内産業育成 ,
制御装置
簡単化
装置 密閉構造
図 高密度 実現
低減
表 -6 電電公社
.使途
金融
可視化
市販機 同様 構成方式導入
(1975 年以降 )
FDDI
達成
普
開発手法
集中
1981
技術開発
開発作業
制御機能
各社
,電電公社,NTT 社内
,銀行等
多
1975
新技術
目標
公共
共通
設計
定量的管理
1969
各社
支援
間
電子交換,市販
及(1970 年代)
32
先行導入
,
DIPS 開発維持 35 年
等
用
試作
2μ CMOS 32
試作(1984)
DEC
表 -5 電電公社
2点
導入
国産各社機導入(1980 年)
1982
品質管理
関係
論理回路
1964
成果活用
LSI 共同研究成果
2μ CMOS
(2)国内
幅
導入
通産超大型
1979
CMOS 論理素子
2
上段:内容/下段:産業界
採用
16MB
144
1971
64KB
実用化
最大主記憶容量 4MB(1973 年 )
IBM3033
DIPS 年代
論理
'69
IBM
採用(1980 年代)
1969
項目
(1972 年 )
IBM370/168 以降業界主流
共通
関係
,
生
IPSJ Magazine Vol.44 No.6 June 2003
−9−
639
− 10 −