「 大 刀 剣 市 」と「 明 美 ち ゃ ん 基 金 」

(1)
NEWS, TOPICS, INFORMATION, OPINION & EDITORIAL
て、わずかな田んぼを売り払っ
ても到底手の届かない大金でし
し て き ま し た。 し か し な が ら、
ど、
「明美ちゃん基金」を応援
で賄われ、これまで四十年以上
べて一般の人たちからの寄託金
された基金です。活動基金はす
には四百二十件・四百二十五万
電話や手紙が殺到し、一週間後
うちから産経新聞社の社会部に
「明美ちゃんを救おう」。記事
は大きな反響を呼び、その日の
「大刀剣市」と「明美ちゃん基金」
全国刀剣商業協同組合は設
立 以 来 二 十 五 年 間、
「大刀剣
「 明 美 ち ゃ ん 基 金 」 に つ い て、
にわたり、百人を超える幼い命
円余りが集まり、手術に必要な
た。
市」に際して募金を行うな
「何となく知っている」が、
「詳
を救ってきました。
金額をはるかに上回りました。
しくはわからない」と言う方が
少 な く な い の で、 あ ら た め て
▽一通の投書から基金が誕生
ような人たちに一日も早く明る
「 ま だ 第 二、 第 三 の 明 美 ち ゃ
んがいることと思います。その
昭和四十一年六月七日、一通
の 投 書 が き っ か け と な り、
『サ
い 日 を 与 え て く だ さ い 」( 神 奈
とその意義についてまとめてみ
ンケイ新聞』
( 現『 産 経 新 聞 』
)
川 県 の 中 学 三 年 生 た ち )。 善 意
「 明 美 ち ゃ ん 基 金 」 は、 先 天
性 心 臓 病 な ど に 苦 し み な が ら、
▽「明美ちゃん基金」とは
ました。
社会面に闘病生活を送る少女の
を寄せた人の中には、こんな意
成功しました。
六六四四
六六三一
七
九 十 六 人( チ ケ ッ ト 入 場 者 数 )
十六
二
五四六四
二二一○
一
美術刀剣、小道具、武具類の
売買、加工及び御相談承ります
TEL ○六
大阪市中央区日本橋二
F AX ○ 六
刀剣古美術
三峯美術店
二三
一一
006 1
三五四一
柳 匠 堂
三○六七
四
八二○九
金工 刀身彫刻 修理 諸工作一式
TEL
○三
F AX
東京都中央区銀座二
〒 10 4
綱取 譲一
代表
福隆美術工芸
甲冑 刀剣 刀装具 古美術一般
TEL
○四九四
F AX
西武秩父駅連絡通路 町久ビル内
埼玉県秩父市野坂町一
町田 久雄
大刀剣市には初回から、基金
の運営に当たる産経新聞社とフ
二三一九
工房 岡山市北区磨屋町七 二一
TEL
○八六 二二三 二三二九
F AX
岡山市北区平和町二 八
TEL ○八六 二二三
柳村 宗寿
この灯をみんなでいつまでもと
け、元気を取り戻していきまし
ジサンケイ ビジネスアイの絶
じ
記事が載りました。
明美ちゃんの両親や、手術を引
らと協議しました。
た。 基 金 の 活 動 を き っ か け に、
大な後援をいただいてきまし
もし続けたいものです。
損 を 患 い、
「手
先天性心臓病の子供に対する国
た。おかげさまで、二十五回目
せ
少女は鹿児島県に住む伊瀬知
明 美 ち ゃ ん( 当 時 五 歳 )
。生ま
き受けた東京女子医大付属心臓
そ の 後、「 第 二、 第 三 の 明 美
ちゃん」たちが基金の適用を受
術をしなけれ
こうして、早くも同月の十五
日、心臓病の子供を救う日本で
の対策も前進しました。それに
の今回は昨年を上回る二千九百
しげる
ば、 あ と 二、三
初 め て の 基 金「 明 美 ち ゃ ん 基
つれて、基金には、発展途上国
い
経済的事情で手術を受けること
れつき心臓の右心室と左心室の
血圧研究所の所長・榊原仟教授
見 も 多 く あ り ま し た。 同 社 は、
ができない子供たちを救うた
間に穴が開いている心室中隔欠
年の命」と宣告
金」が誕生しました。
の子供たちを救うという新たな
が見えられました。お客さまや
の五百万円にも
〒202−0022 西東京市柳沢6−8−10
TEL 042-463-5310
FAX 042-463-7955
されていまし
使命が加わっていきました。
ん基金への善意は、合計十六万
た。 手 術 費 は
「明美ちゃん基金」は四十数
年にわたり“愛と命のバトンタ
百四十八円でした。ありがとう
▽広がる使命
明美ちゃんは、直ちに心臓血
圧 研 究 所 へ 入 院 し ま し た。 当
ッチ”という大きな善意の橋渡
五十万円。現在
相当します。八
時、心臓病の世界的権威と言わ
組合員から寄せられた明美ちゃ
人家族で農業を
(持田具宏)
年間10回位発行予定
め、産経新聞社が提唱して設立
『産経新聞』平成24年9月29日
『スポーツ報知』平成24年10月4日
ございました。
購読料10回 2,000円(郵便切手可)
編集委員 朝倉 忠史 飯田 慶雄 飯田 慶久
伊波 賢一 大平 将広 川島 貴敏 齋藤 恒 嶋田 伸夫 清水 儀孝 生野 正 新堀 賀将
髙島 吉童 髙橋 正法 土子 民夫 綱取 譲一
服部 暁治 深海 信彦 藤岡 弘之 松川浩一郎
松本 義行 宮澤 琢 冥賀 吉也 持田 具宏
し 役 と し て 成 長 し て き ま し た。
刀装小道具通信販売目録「やしま」
VOL.
れた榊原教授の執刀で、手術は
や し ま
8
発 行 人 深 海 信 彦
発 行 所 全国刀剣商業協同組合
〒169−0072 東京都新宿区大久保 2 −18−10
新宿スカイプラザ1302
TEL:03
(3205)
0601 FAX:03
(3205)
0089
http://www.zentosho.com
2012.11.15
営む両親にとっ
美術刀剣・刀装小道具商
「明美ちゃん基金」の成り立ち
「明美ちゃん基金」の募金に快く応じる組合員
第8号
刀 剣 界
平成24年11月15日発行
(隔月刊)
(2)
特定商取引法改正
押し買いトラブル防止の新法公布
けるが、検討された事項が反映
される保証はないと言う。
美術業界では、申し入れの検
討もあるとも聞く。消費者庁で
■全刀商の活動紹介
「 大刀剣市2012」実行委員会
催事では、重文室で「清盛と
頼朝の時代の刀展」が開かれ
た。今回は平安末期~鎌倉初期
の太刀が中心であり、土肥担当
向き、物品を購入すること)に
一方、時を少しおき、貴金属
な ど の「 訪 問 購 入 」
(先方に出
スとなったことは記憶に新しい。
サリーなどの売却増加がニュー
昨年来、金相場の上昇に伴っ
て、個人の地金・貴金属アクセ
期間内における返品キャンセル
観点から、訪問販売による一定
この「特定商取引の一部を改
正する法律」は、消費者保護の
大きく関係する法案となった。
正」へ広がり、われわれ古物商に
その方向が「特定商取引法の改
に関する研究会」が持たれたが、
い」と言う義務があるというこ
要請があったら返してくださ
ったので、あと五日以内に返品
際、例えば「これは三日前に買
一般客相手や市場で売却する
と、訪問購入して八日間以内に
さらに、第三者への引渡し通
知義務も発生する。平たく言う
務があるということである。
た、訪問を躊躇する業者が増え
が損なわれてしまうだろう。ま
れば、結果として消費者の利益
考慮した業者が厳しい査定をす
る。しかし、その返品リスクを
ら弱者を守ることは必要であ
ごく一部のマナー違反業者に
よる、強引で脅迫じみた取引か
ひ各自で確認してほしい。
細記載には限度があるので、ぜ
が、紙面の都合上、本紙での詳
ジで公表していくそうである
いち早い活動に、図録の編集
制作がある。今年は組合交換会
役割が適材適所配される。
る。そして、それぞれの機能と
力な人材が委員として推薦され
委員であるが、ほかに多くの有
発行される。理事は全員が実行
まずは実行委員会立ち上げの
ため、理事長名で委員委嘱状が
の実行委員会を紹介しよう。
京美術倶楽部で開催された。こ
え、十月二十六~二十八日に東
組合のビッグ・イベント「大
刀剣市」は今年で二十五回を迎
する。
内は、海外向けに英文でも掲載
を 紹 介 す る( 希 望 者 )
。開催案
市の告知と併せ、図録掲載商品
イ ン タ ー ネ ッ ト 委 員 会 で は、
組合のホームページ上に大刀剣
の完成となった。
二回ほど行って校了、九月下旬
にて文字校正を二回、色校正を
い、入稿する。その後、印刷所
がりに合わせてレイアウトを行
並行して図録のページ固めを
行い、原稿を作成、写真の仕上
実行委員の皆さんには心から
敬服します。来年、我こそは実
す大変なイベントである。
が、そのために約四カ月を費や
ある。三日間だけの開催である
ければならない仕事がたくさん
聞 社 と の 折 衝 な ど、 準 備 し な
このほか、新聞広告やDMの
作 成、 関 係 先 へ の 挨 拶、 各 新
賑わった。
品・珍品が数多く持ち込まれて
料 鑑 定 に 当 た っ た。 今 年 も 名
恒 例 の「 我 が 家 の お 宝 鑑 定 」
では、全理事が時間当番制で無
委員長は展示品の選定に大わら
関するトラブルが各所で発生し
を可能とした現行法に、原則と
とだが、現実的に、売れにくく
れ ば、 鎧 を 運 べ な い お 年 寄 り
の 七 月 十 七 日、 名 刀 会 の 同 月
会場設営配備では、出店者の
ブースを公平に決め、スムーズ
行委員会に入って一緒にやって
名ずつが立ち会っている。
た。消費者庁によると、電話勧
して、すべての物品の訪問購入
なる案内はし難い。
や、数振の刀剣を運ぶことをた
二十四日、銀座刀剣倶楽部の八
な営業ができるように心掛けて
み た い と 思 う 方 々 募 集 中 で す。
は随時、進行状況をホームペー
誘による貴金属の買い取り訪問
に関する取引を追加するもので
とは言え、平成二十四年八月
二十二日に公布され、この日か
めらうご婦人など、困る方も出
月一日の三日間、それぞれの会
いる。今年は日本美術刀剣保存
力を合わせて、大刀剣市を盛り
お宝鑑定
理事全員
同受付
大林幹夫 中村栄次 事務局
8
新聞広告、DM
作成
深海信彦 伊波賢一 齋藤 恒
9
防犯、医療、保険
髙橋正法 清水儀孝
10
所管庁、警察庁、 伊波賢一 川島貴敏 猿田慎男 清水儀孝
顧問、後援
土肥豊久 深海信彦
11
所轄署
わであった。
を受けて、強引に買い取りを迫
ある。
ら起算して六カ月を超えない範
るであろう。
場にて掲載商品を集荷し、刀剣
協会と日本刀文化振興協会の両
買い取り物品の返品義務が発生
るいわゆる「押し買い」の消費
簡単に言うと、お客さまから
査定依頼があり、出向いた古物
囲内に施行される。返品を拒む
類は藤代スタジオで、刀装具は
第三者(善意無過失の者を除く)に対して
物品の所有権を主張できる
伊波賢一
よろい
者生活センターへの相談が急増
商が訪問先でいったん購入に合
など違反があれば、処分の対象
本来守られるべき人が、不利
あんばい
益を被らない、塩梅の良い処方
6
7
した(二十一年度扌二十二年度
意を受け、代金を支払い、物品
である。八日間保管するしかな
川島香奈子 土肥富康 服部一隆
清水儀孝 事務局
を 搬 出 し て も、
(場合により)
嶋田伸夫 飯田慶雄 宮澤 琢
6
・ 倍、二十二年度扌二十三
年度1 7
・ 倍 )。 ほ と ん ど が 女
抽 選
場内案内マイク
性や高齢者からで、本件の対策
14
15
上げましょう。
清水儀孝 服部暁治 事務局
事務局
公益財団法人の協力により、特
クレジット関係
受 付
組合事務所で、甲冑類は浅草の
12
13
があればと思う。施行期限の来
土肥豊久 深海信彦 冥賀吉也 川島貴敏
髙橋歳夫
いのだろうか。
催事(重文室特
別展示)担当
八日間以内にお客さまから「や
5
が急務となっていた。
冥賀吉也 嶋田伸夫 深海信彦
飯田慶久 髙橋歳夫 事務局
設 ブ ー ス で「 新 作 名 刀 コ ー ナ
会場設営、配備
財 務
大石カメラ店でそれぞれ撮影し
3
4
年二月まで、注視していきたい。
インターネット
委員会
はり売るのはやめたい」と言わ
2
今年の担当委員は左記の通り
です。 (清水儀孝)
展示作品は両協会がそれぞれ
推薦した五振ずつの計十振。作
1
飯田慶雄 齋藤隆久 嶋田伸夫 清水儀孝
図録編集、制作、 生野 正 髙橋正法 綱取譲一 服部暁治
宮澤 琢 冥賀吉也 持田具宏 服部一隆
撮影、配布
松本義行 冥賀亮典 藤岡弘之
ー」が開設された。
日本美術刀剣保存協会と日本
刀文化振興協会の刀剣界におけ
者は、河内一平・河内国平・上
大平将広 服部一隆 松本義行 冥賀亮典
(以上青年部)
た。その都度、担当実行委員数
売買契約の履行
る両公益財団法人の協力で、「大
林恒平・久保善博・根津秀平・
飯田慶雄 齋藤隆久 生野 正 髙橋正法
藤岡弘之 宮澤 琢 持田具宏 事務局
(伊波賢一)
書面を交付
両公益財団法人が初の共同催事
刀剣市」四階特設会場にて現代
平成24年度「大刀剣市」実行委員会
消費者庁は、関係省庁を通じ
て除外事項の申し入れを受け付
(購入代金の支払い、購入物品の引渡し)
れたら、キャンセルに応じる義
(勧誘開始段階)再勧誘の禁止
当初は、関係省庁、学者、弁
護士等で「貴金属等の訪問買取
第三者へ物品を引き渡した際、
引渡しに係る情報の通知義務
松葉国正・宮入法廣・明珍宗裕
清水儀孝
訪問購入業者
(契約締結後)
刀匠の作品展が開催された。
深海信彦
実行委員長
・山口清房・吉原義人の各氏。
理 事 長
クーリング・オフ期間
︵8日間︶
当 組 合 で は 深 海 理 事 長 以 下、
刀剣界の発展のために両公益財
団法人の交流が図れるよう尽力
してきたが、初めての共同催事
として実を結び、しかも「大刀
剣市」の場を提供できたことに
(持田具宏)
大きな喜びを感じている。
朝倉忠史 飯田慶久 伊波賢一 川島貴敏
齋藤 恒 猿田慎男 嶋田伸夫 新堀孝道
髙橋歳夫 綱取譲一 土肥豊久 服部暁治
深海信彦 冥賀吉也 吉井唯夫
(以上理事全員)
委 員
売買契約成立
(契約締結時等)
売主︵消費者︶
好評だった「新作名刀コーナー」
第三者へ物
品を引き渡
す際、物品
がクーリン
グ・オフさ
れた旨等の
通知義務
クーリング・オフ期間中は
物品を引き渡さなくてもよい
転売の
可能性
転売先︵第三者︶
不実告知や威迫・困惑等の禁止
(勧誘中)
事業者名・勧誘目的等の明示義務
不招請勧誘の禁止、勧誘意思の
確認義務
(勧誘前)
消費者庁資料より
17
典型的な取引の流れのイメージ(勧誘からクーリング・オフ期間中まで)
第8号
刀 剣 界
平成24年11月15日発行
(隔月刊)
(3)
伝統工芸展で文科大臣賞を受賞
) 聞く
宮薗士朗さん (鐔作家に
ラ ー 室 で 仕 事 中 だ っ た ん で す が、
信じられませんでした。一番びっ
な!」ということでした。
ま し た。
「大学を出るまでは来る
やかな海に戻ってほしいという願
荒れ狂った海が、本来の美しい穏
材にしたのです。昨年の大震災で
み、遠くの方で漁火が輝く様を題
うになりました。そこで夕日が沈
―受賞を機にプロの金工として
活躍されるお気持ちは?
ため、いつも苦戦しています。
いし、元来字を書くことが苦手な
切りの練習をしているわけでもな
一番気を使うのは銘切りで、自
分は刀匠と違って毎日のように銘
―本日はご多用のところ、あり
がとうございました。今後ますま
を作っていくつもりです。
が、これからも今のペースで作品
全くありません。制作に充てら
れる時間は早朝と日曜日だけです
講習会では銅鎺や鐔・小柄を作り
当時、金工の講師は初回が布袋
粻 一 師、 以 後 が 宮 島 宏 師 で し た。
現しています。銀を使うと線が強
の四分一を使った線象嵌で海を表
含む銅合金です。そこに金と三種
作りました。黒味銅とは微ヒ素を
そこで自分が使っている鏨を見
て も ら っ た と こ ろ、
「これは誰に
いても過去にとらわれず、意の赴
きでしたから。刀装具の制作にお
思います。もともと刀も鐔も大好
http://www.taibundo.com
www.premi.co.jp
るような作品を目指して制作し始
めたのです。
―中川先生に師事して、最も強
い影響を受けたことは何でしょう
か。
「過去の模様は使うな」という
教えです。先生は加賀象嵌で認定
う気持ちで制作に挑んでおられる
されていますが、元はデザイナー
す。伝統工芸そのものが、そうあ
くりしているのは当の本人かもし
でしたから…。
るべきだとも思います。
です。常に新しいものを作るとい
―金工の仕事に取り組まれるよ
うになった経緯をお聞かせいただ
れません。夢にも思っていません
けますか。
大学では法律を勉強したのです
が、本業はそれとは無関係で、必
いを込めたつもりです。
ょうか。
点、私も見習いたいと念じていま
応募一八六五点のうち、入選が六
中学生のころから、友人と古道
―受賞作の鋳黒味銅象嵌花器
具 屋 巡 り を す る の が 趣 味 で し た。 「 心 の 海 」 に 込 め た 思 い は 何 で し
金工の 宮 薗 士 朗 さ ん が 第 五 十 九 回 日 本 伝 統 工 芸 展 に お
いて文 部 科 学 大 臣 賞 を 受 賞 さ れ た 。 宮 薗 さ ん は 鐔 作 家
として も 知 ら れ た 方 。 刀 剣 界 で は 過 去 に 例 の な い 快 挙
である。九月十九日、授賞式出席の折にお話を伺った。
一六点、入賞が一六点という難関
テーマは海。今年に入って、海
(インタビュー/大平将広)
―今回の受賞、誠におめでとう
ございます。日本伝統工芸展と言
の中で文部科学大臣賞は快挙です。
が持つ穏やかさに一層惹かれるよ
えば、残念ながら日本刀は入って
なりたくて当県の隅谷正峯先生を
要な国家資格を一通り取り終えた
中学生と高校生のとき、刀鍛冶に
いませんが、わが国の伝統工芸を
訪ねたのですが、二度とも断られ
のが四十歳。その後、大阪で行わ
ま し た。 ほ か に 柄 下 地 作 り な ど、
くなりすぎるので、白四分一、上
習 っ た の?」
「本を見て作りまし
くままを心がけています。先生方
すのご活躍を期待しています。
れた日本美術刀剣保存協会主催の
―制作過程の技術的なポイント
をお聞かせ願えますか。
刀職技能講習会に参加したのが直
接のきっかけです。
刀にかかわるさまざまな技術に触
四分一、並四分一と使い分けまし
ボディとなる花器は鋳造で、石
膏をフリーハンドで削って原型を
れました。ここで初めて金工の技
た。四分一はボディの黒味銅より
ほ てい
術を学び、以後、趣味として続け
ちょういち
ることになったわけです。
―刀装具の制作は、どのような
お気持ちで取り組んでおられます
硬いため、使いづらい材料です。
後 藤 隆 氏 の 紹 介 で、 後 の 人 間 国
か。
た」
「これでは使い物にならない。
から「それじゃあ使い物にならな
東京都北区滝野川7-16-6
TEL 03-5394-1118
FAX 03-5394-1116
http://www.iidakoendo.com
その後、平成四年に、日刀保石
ご せちどう
川支部員で金沢の刀剣店五節堂の
宝・中川衛先生にお目にかかるこ
刀装具を作るきっかけは、刀を
作れなかった代償のようなものと
明日からうちに来なさい」という
TEL 03-3563-2551
FAX 03-3563-2553
フリーダイヤル 0120-402037
伊波賢一
〒161-0033
東京都新宿区下落合3-17-33
TEL 03-3951-3312
FAX 03-3951-3615
まもる
とができました。
ことになりました。
ばですが…。
い」と突っ込まれることもしばし
それから、中川先生の手伝いを
しながら、伝統工芸展に出品でき
飯田慶久
代表取締役
〒105-0001 東京都港区虎ノ門 3-8-1
TEL 03-3434-4321
FAX 03-3434-4324
代表者 髙 島 吉 童
Ken-ichi Inami
090-8845-2222
連絡先
㈱ 日 本 刀 剣
㈱銀座泰文堂 代表 川 島 貴 敏
〒278-0043 千葉県野田市清水199-1
TEL 04-7122-1122
FAX 04-7122-1950
古名刀から現代刀、御刀のことならお任せください!
〒104-0061 東京都中央区銀座4-3-11
松崎煎餅ビル4階
松本 富夫
義行
JAPAN SWORD CO., LTD.
泰文堂
飯田高遠堂
黒味銅象嵌鐔
『東京新聞』平成24年9月5日。掲載の刀は登録済み。銃刀法では仕込み杖の状態では所持できない。
銀座
美術日本刀・鐔・小道具・甲冑
㈱美術刀剣松本
刀剣・小道具・甲冑武具
ありがとうございます。受賞の
話を聞いたのは、市民病院のボイ
網羅する権威あるコンクールです。
文部科学大臣賞
日本の伝統文化を彩る
目白
鋳黒味銅象嵌花器「心の海」
昭和26年10月7日、石川県生まれ。ボ
イラー整備士や空調設備の業務のかた
わら金工作品の製作に当たる。日刀保石
川県支部副支部長。
き
ちゅうくろ み ど う ぞ う が ん か
第8号
刀 剣 界
平成24年11月15日発行
(隔月刊)
(4)
去の例からも明らかである。
影響するものでないことは、過
下方修正がすぐさまわが業界に
退を繰り返すのが常で、景気の
ぼってみても、景気は拡大と後
得ないが、過去に何十年さかの
済の先行きは暗いと言わざるを
悪化傾向にあり、まさに日本経
する主要経済指標のほとんどが
景気に関する最近の報道を見
ると、景気動向指数をはじめと
あり、ネガティブに考え過ぎな
は好況期にも起こり得ることで
たからであり、このようなこと
事情、つまり廃業者の続出を見
はないであろう。業界内の特殊
は、決して景気のせいばかりで
今年の春以降、業界の規模が
縮小したかのように感じるの
言い得よう。
ど遠い、恵まれた環境にあると
に比べれば危機的な状況とはほ
とは過去に何度もあり、他業種
していない事実はわれわれ業界
を数え、愛好家そのものが減少
(いずれもチケット入場者数)
人を上回る二千九百九十六人
現に、今年の「大刀剣市」の
入場者数は昨年の二千八百七十
かなくなる場合はないのである。
と谷はあっても、成り立ってい
あるが故に、長いスパンでの山
勝ち組の富裕層を相手の商売で
く、どのような時代になっても
が同日に論じられるものではな
それ故に、デパートやスーパ
ー等の小売業とわれわれの業種
画に専門化していき、譲一さん
そうですが、その後、刀剣と書
当初は主に骨董品や、兄弟弟
子など現代の絵画を扱っていた
ま店名にしたそうです。
て、綱取福隆の作家名をそのま
いころ日本画家を目指されてい
創業は昭和四十年代、お父さ
まの代です。そのお父さまが若
す。
綱取さんは、三十年近くこの
場所でご商売をなさっていま
んをお訪ねしました。
銀座二丁目にあります「福隆
美術工芸」の店主、綱取譲一さ
え切れないほどご馳走になって
蓄が聞かれます。私も回数を数
閉店時間が来るといろいろな
ワインが出され、綱取さんの蘊
いた机と椅子が、そのまま現役
麻雀クラブの時代に使用されて
に 襲 わ れ ま す。 お 店 に 入 る と、
ムスリップしたかのような印象
ブだったそうですが、店頭に立
以前は和菓子屋を経て麻雀クラ
た綱取さんのお店の建物は昭和
昭和通りは道幅も広く交通量
の多い場所ですが、通りに面し
9 月 1 日 銀座刀剣倶楽部会場にて「大刀剣市」広告打ち合わせ。出席者、
(校正)
。出席者、深海理事長・
1 日『刀剣界』第7号編集委員会を開催
清水専務理事・伊波常務理事・齋藤常務理事。
川島副理事長・清水専務理事・伊波常務理事・嶋田理事・綱取理
事・服部理事・持田監事・飯田慶雄氏・大平将広氏・生野正氏・
新堀賀将氏・藤岡弘之氏・松本義行氏・宮澤琢氏・土子民夫氏。
10日 同美印刷にて「大刀剣市」図録色校。出席者、清水専務理事・綱
13日 同美印刷にて「大刀剣市」図録念校。出席者、清水専務理事・嶋
取理事・服部理事・冥賀理事・小林君夫氏・土子氏。
田理事・小林氏・土子氏。
5 日 銀座長州屋にて『刀剣界』第7号再校。出席者、深海理事長・綱
橋理事・服部理事・持田監事・生野氏・土子氏。
7 日 組合事務所にて義援金寄付の件および広告掲載につき打ち合わ
取理事・服部理事・土子氏。
せ。出席者、清水専務理事・伊波常務理事・服部理事・産経新聞
社石坂氏。
い飲み過ぎてしまい、電車に乗
むお酒はとても味わい深く、つ
銀座の真ん中で、戦国武将た
ちの着用した甲冑に囲まれて飲
別にうれしそうでした。
何度も来店してくれることが格
さんに親しみを感じ、若い人が
若い綱取さんです。そんな綱取
り遅れそうになったこともたび
お店=〒104 ―0061 東
京都中央区銀座二 ―一一 ―四 ☎
17日「大刀剣市」開催の件で伊波・齋藤両常務理事が愛宕警察署を訪問。
理事・齋藤常務理事・飯田理事・新堀理事・綱取理事・服部理事。
29日 東京美術倶楽部にて開催された特定商取引についてのヒアリング
数2,996名、
「明美ちゃん基金」への寄託金160,148円。
(菊一純平)
〇三 三
― 五四一 八
― 二〇九
理事長・猿田副理事長・土肥副理事長・清水専務理事・伊波常務
たびありました。
私も二十年近いお付き合いに
なりますが、変わらずいつもお
26〜28日 東京美術倶楽部にて「第25回大刀剣市」を開催。チケット入場者
つと一瞬、古き良き昭和にタイ
3 日 同美印刷にて「大刀剣市」図録再校。出席者、清水専務理事・髙
で残っていました。
17日 東京美術倶楽部にて理事会を開催。出席者、深海理事長・川島副
型の習慣による場合が多く、ロ
景気転換点は、拡大期から後
退期への山と、後退期から一転
いことである。なぜならば、業
の最大の強みでもある。
の代で甲冑が増えて今に至って
います。
16,040,700円。
さん
して拡大期を迎える谷とがあり、
界の不安とは裏腹に、われわれ
います。
10月17日 東 京 美 術 倶 楽 部 に て 組 合 交 換 会 を 開 催。 参 加58名、 出 来 高
綱取譲一
最近の日本経済はリーマンショ
の顧客ははるかにポジティブな
業 者 が い く ら 張 り 切 っ て も、
笛吹けど踊らずという顧客の状
社を訪問し、義援金200万円を寄託。
ックを挟んだ平成二十年三月か
思考の持ち主である場合が多い
況 が 続 く な ら ば 展 望 は な い が、
28日 深海理事長・清水専務理事・齋藤常務理事・冥賀理事が産経新聞
刀 剣 商 リ レ ー 訪 問❽
ら一年間景気後退の後、二十一
からである。
積極的な顧客を前にして自ら萎
氏・松本氏・宮澤氏・土子氏。
ーンを利用する人も堅実な資金
年四月から景気拡大局面が続い
好不況にかかわらず、刀剣・
鐔小道具・甲冑類を趣味として
縮していたのでは話にならない。
服部理事・冥賀理事・持田監事・飯田氏・大平氏・生野氏・新堀
計画に基づくからこそのもので
ていたとされ、本年二十四年四
これを収集するわれわれの顧客
深海理事長・清水専務理事・伊波常務理事・嶋田理事・綱取理事・
深海 信彦
月以降は後退に入ったという。
は、世に言う「勝ち組」の富裕
リーマンショックならぬ業界
特殊事情ショックから一日でも
15,240,500円。
風向計
しかしわが業界に限ってみる
と、リーマンショック以来、相
層で、自らの余裕のある資金で
早く立ち直り、このありがたい
17日 東京美術倶楽部にて『刀剣界』第8号編集委員会を開催。出席者、
古き良き昭和が漂う銀座のお店
場が下落して同業者のマインド
モノを買い、決して無理をしな
商売に前向きに取り組むべきで
訪問し、
全国学校図書館協議会理事と面談、
義援金150万円を寄託。
あろう。
も縮小し、デフレ傾向からの脱
い健全思考の人が多く、高額商
はなかろうか。既にそのように
17日 東 京 美 術 倶 楽 部 に て 組 合 交 換 会 を 開 催。 参 加55名、 出 来 高
推移しているが、このようなこ
却が図られておらず、とても三
品になればなるほど、その傾向
軌 道 修 正 し て い る 業 者 も い る。
組 合 こ よ み (平成24年9月~10月)
二 十 年 に 建 て ら れ た そ う で す。
年前から景気拡大局面の恩恵を
が強まる。カードを使う顧客も
値段次第では買うという多数の
受 け て い る と は 実 感 で き な い。
遅れてはならない。
[平成会]
平成会は、平成元年に故山崎
昭氏が高田馬場の諏訪神社で開
催していた諏訪会を発展的に継
承し、共同会に改めて設立され
ました。初会以来、朝倉万幸氏
(㈱永和堂)が代表幹事を務め
られ、前身の諏訪会から数えま
すと今日まで30年の歴史を誇る
交換会です。正会員は約60名。
毎回50名ほどが出席して威勢よ
く売買を行っています。
次世代を担う若手刀剣商が発
句やせりを任され、会を盛り上
げていることが特筆されます。
会 場=東京美術刀剣商業協同
組合事務所 東京都港
区 新 橋 4 - 9 - 1 新
橋プラザビル1401号室
開催日=毎月10日、午前10時30
分開会(売り番抽選)
事務局=服部美術店・服部暁治
☎03
(3274)
5170
(松本義行)
福隆美術工芸と綱取譲一さん
に伊波常務理事が出席。
資金がないからではなく、欧米
14日 深海理事長・清水専務理事・嶋田理事・髙橋理事が読売新聞社を
其之四
業界の景況は相変わらず底辺を
●交換会紹介●
第8号
刀 剣 界
平成24年11月15日発行
(隔月刊)
(5)
奥深い柄巻きの
技を究めたい
ち、花鳥風月や山水、風物など
な空間に魚子をぎっしりと打
つも感心しておりました。小さ
鐔や縁頭などの彫金にはすご
い技術が込められていると、い
も好きでした。
や工芸に興味があり、作ること
湧いてきました。もともと絵画
るうちに、刀装具や拵に興味が
高校からデザイン専門学校
へ。卒業後、家業を手伝ってい
ぞれに掟があって、全部習得す
の調整などいろいろあり、それ
下地や鮫皮の巻き付け、縁頭と
には、糸を巻くだけでなく、柄
てはなりません。柄巻きの仕事
柄巻きを始めてから数年がた
ちますが、まだまだ修業が足り
ことができる気がします。
気を、わずかでもうかがい知る
って驚きます。当時の侍の心意
熊倉 純子
を精緻に色金で表現する技術に
るには相当な時間がかかりそう
柄巻きにもさまざまな種類があ
は、全く感心します。よくもこ
です。
資料によれば、内田軍八宗頼
は同田貫の中興九代正勝の子に
るのは非常に困難です。
も重量があり、一人で抱え上げ
た在銘で象嵌のある大筒。とて
貫内田軍八宗頼によって作られ
ち明治元年に、肥後熊本の同田
本作は江戸時代の最末期、慶
応四年(一八六八)五月すなわ
か定かではないが、いずれにし
か、どれだけの威力を発揮した
対での製作は大変珍しく、お
そらく大名家の注文と思われ
いる。
を抱く弁才天の象嵌が施されて
大筒があり、これには龍と琵琶
作者で同じ長さの「一」という
鎌倉時代から続く月山鍛冶の末裔
として、戦後、製作禁止という刀匠
貞一師の三男として生を受けました。
要無形文化財保持者である二代月山
刀匠の月山貞利(本名清)さんは、
昭和二十一年生まれの六十六歳。重
ました。その後は、刀剣研磨・外装
て、昭和五十一年に福岡で独立され
重要無形文化財保持者であった小
野光敬師に入門。十年間の修業を経
まれました。
市で、研師黒田寿生さんの長男に生
研師の黒田守寿さんは、昭和二十
三年生まれの六十四歳。大分県臼杵
さだとし
〈刀匠〉月山貞利 さん
さだいち
利 さ ん は、 自
「 分 の 代 で、 八 百 年 に
などの特賞を九回受賞、平成十二年
もりとし
〈研師〉黒田守寿 さん
第8回
当 た り、 兄 の 寿 太 郎( 十 代 宗
ても幕末の騒然たる世相の中で
にとって未曾有の苦難に遭遇しても
刀職紹介
広)が刀匠を継ぎ、弟の正頼・
生まれたものである。
なお諦めることなく、刀の技と魂を
る。一書によれば、同年紀、同
宗頼は鉄砲鍛冶として名を馳せ
私たち美術商は扱うそれぞれ
の品物の背景を調べ、その素晴
技術発表会において木屋賞や竹屋賞
同田貫一派は刀鍛冶として著
名であり、火縄銃で在銘のもの
であり、私も今後また新たな品
る。果たして実戦に用いられた
ている。
らしさを後世へ伝えていくべき
伝えてきた父の背中を見て育った貞
は大変希少である。本作は台座
物と出会えたら、その歴史を愛
会」柄巻き部門で銅賞第二席を受
店主、米川好次氏の奥様良子夫人
に習った人に、当組合員の開好堂
れます。
現在は同会の名誉会長を務めておら
長 を 務 め る な ど 斯 界 の 人 望 も 厚 く、
からは十二年間、全日本刀匠会の会
無鑑査に認定されました。平成七年
ど数々の特賞を受賞、昭和五十七年、
父について一から鍛刀技術を学ん
だ後は、高松宮賞や文化庁長官賞な
ころを出し、刀の持ち味を保ち、時
ないように悪い部分を伏せ、良いと
黒田さんが刀を研ぐには、日々全
身全霊で臨み、なるべく刀を減らさ
ます。
リタン美術館などの仕事をされてい
れ、海外でも大英博物館やメトロポ
に無鑑査認定を受けています。
に 大 名 家 の 家 紋「 隅 立 四 目 結 」
好家に理解していただき、お渡
賞、 弾 み も 付 い て 佐 野 美 術 館 で
もおられる。もちろん熊倉さんの
と深みを出すことに心掛けるとのこ
わたって受け継がれてきた貴重な技
が入り、銃身には総体に金銀黄
は父親の優しいまなざしの中での
良き相談相手であろうことは想像
平成七年には、新たな鍛刀道場と
ともに月山記念館を開館、毎週土曜
とです。
九州国立博物館はじめ福岡市美術
館、鹿児島県歴史資料センター黎明
わてて身支度を整えドアを開け
公 開 実 演 と な っ た。 そ し て 特 筆
にたやすい。
日には道場の一角と記念館を無料で
研磨代金は、刀身の状態にもより
ますが、基本的には一寸一万円から
術を絶やしてはならない」と、大学
た。すると大東美術店主、熊倉勇
すべきは、上記の文章でわかる通
若者のコラムなので、純子さん
に脚光を当てたことをここにお断
開放し、刀剣界の裾野の拡大に努め
卒業と同時に刀匠として生きていく
してありましたが、あのような
氏が微動だにせず鏡の中の自分を
り、父親譲りとも思える自分への
ておられます。記念館には、多い日
お受けしています。
ししていきたいと思います。そ
巻 き 方 が で き る こ と を 目 標 に、
睨みつけていたという。
厳しさと、その向上心だろう。
で三百人以上の来館者が訪れ、海外
銅を駆使して龍の見事な象嵌を
励んでいきたいと思います。
今や杉並区を代表する刀剣商の
松川氏だが、学生時代はアメフト
りしておく。そうそう、若い女性
からのお客さまも年々増えているそ
館など地元九州各地の博物館・美術
まずはお食事中の方、ごめんな
さい。今から数年前の大刀剣市最
の選手で鳴らした。前半・後半の
の紹介文なのにトイレの話から入
連絡先=〒812 0871 福
岡県福岡市博多区東雲町一 四
- 一-五
ことを決意しました。
イ レ の 個 室 で、 古 美 術 成 蹊 堂 店
間にロッカールームでそうして自
し か し 彼 女 は、
「私の柄巻きは
まだ甘いー」などと叫んだりはし
り、本当にごめんなさい。
糸にも組み方や色、幅などにか
なりの種類があり、巻き方にも
さまざまな掟があって、当初は
古 い 拵 の 写 真 集 を 見 ま す と、
戸惑いました。
勇氏はこう告白した。
(綱取譲一)
代に合わせた研ぎを行い、刀の鋭さ
お詫びして訂正します。
です。
☎〇二七六 五
-二 三
- 四五九
正しくは、
話 番 号 に 誤 り が あ り ま し た。
た研師・小此木光岳さんの電
(川島貴敏)
☎〇九二 五
-八一 一-七二八
「 刀 工 の 家 に 生 ま れ た の は 運 命。
この道を志して四十四年になります
■前号の「刀職紹介」で紹介し
〇七四四 四
-二 三-二三○
連絡先=〒633 0
- 073
奈良県桜井市茅原二二八 八
- ☎
が尽力してまいります」
剣界発展のため、微力ではあります
作刀に精進してまいります。また刀
いたそうですが、私も生涯をかけて
せん。初代貞一は一生修業と言って
が、まだまだ先代の足元にも及びま
ゃっています。
館所蔵刀剣類の研磨を数々手掛けら
主、松川浩一郎氏はかねてからの
らに喝を入れていた自分たちの姿
ない。
のためには、日々の勉強の必要
解消されそうな兆
を思い出し感動し、便意を忘れた
施している。
し の 中、
「オレの
という。
性を痛感します。
柄 巻 き を 始 め る き っ か け は、
公益財団法人日本刀文化振興協
仕入れは間違って
さて、叫んでいた熊倉氏にお嬢
さんがいるのを上記の文章で初め
「娘に言われるんですよ、『パパ
っ た ら 独 り 言 ば か り 言 っ て る!』
ってね」
(新堀賀将)
会の「刀職者技術研修会」を知
るっ、オレの仕入
て知った方もいよう。
っ!」と耳をつん
り、参加したことでした。
れは間違ってる
便秘と戦い悶絶していた。やっと
■一筆啓上
っ、オレの仕入れ
銘文に「二」とあり、これか
ら対のものであると判断でき
柄巻きは全くの初歩で、糸の
つま
撮み方や道具の使い方など、基
は間違ってるー
熊倉純子さん。
平成二十二年八月二十八日、坂
城町鉄の展示館の刀職者実技研修
松川浩一郎氏が聞いた叫びは独
り言だったのだ。そしてどうやら
http://wakeidou.com/
礎 か ら 教 え て い た だ き ま し た。
ざくような三回リ
会で岡部久男講師の指導を熱心に
父親のその部分だけは反面教師に
土肥富作・土肥豊久
終日の夕刻。東京美術倶楽部のト
ピートの叫び声を
受けていた姿を担当者も覚えてい
されている様子である。
熊倉純子さんと同時期に岡部氏
〒940-0088 新潟県長岡市柏町1-2-16
TEL 0258-33-8510
FAX 0258-33-8511
うです。最後に、貞利さんはおっし
個室のすぐ外に聞
る。今年は公益財団法人日本刀文
☆連絡先=〒175 0
― 082
東京都板橋区高島平
☎○三 ―三九三九 ―七三三一
数 年 前、 あ る 競 売 の 大 会 の 夜、
同じ宿で相部屋となった私に熊倉
き、松川氏は出す
化 振 興 協 会 主 催「 刀 職 技 術 展 覧
ず、師匠にもたくさん学ばなく
んなに細かな細工ができるもの
全長102cm 銃身長67cm 口径8.5cm 総重量35Kg
銘 肥後同田貫内田軍八宗頼造之/慶應四辰五月日/二
ものも出さず、あ
なな こ
と、見るたびに思います。
長 野 県 坂 城 町 の「 鉄 の 展 示
館」には幾種類も柄巻きが展示
〈火縄銃〉
私 が出 会った 珍 品
5
五 ―一 ―一 大東美術内
刀剣・書画・骨董
第8号
刀 剣 界
平成24年11月15日発行
(隔月刊)
(6)
日本刀の新たな可能性を示す
『ヱヴァンゲリヲンと日本刀』
い現代アート本であるという
本展の図録を開いて最初に
感じたことは、これは全く新し
る)
。
き、感化された人間の一人であ
とは全く別の異様な熱気に驚
あ っ た が、 普 段 の 日 本 刀 展 示
ヲンについての知識は皆無で
た(正直、筆者もエヴァンゲリ
年寄りまで幅広い方が楽しめ
本刀の知識の薄い、若者からお
たるかも知らず、また一方で日
ョンは、エヴァンゲリヲンの何
芸品日本刀とのコラボレーシ
今回のテーマである現代ア
ートと、日本を代表する伝統工
四万七千余人が訪れたという。
た。 約 二 カ 月 の 会 期 中、 観 客
刀」は大盛況のうちに幕を閉じ
備前長船刀剣博物館での特
別展「エヴァンゲリヲンと日本
を模索しているかに感じられ
るために全く別のアプローチ
据え「姿」を変え、存在し続け
革新とは、既存の価値観とは
全く別のものが生まれること
合を果たしている。
在し、見事に現代アートとの融
の気品と品格、尊厳が確かに存
藤と挑戦により、日本刀に固有
図録所載品には現代刀匠と
刀職の全く違う世界観への葛
に変わろうとしている。
現 代 に お い て 全 く 新 し い「 姿 」
に変化し、
そして戦後六十余年、
昭和へと日本国の流れととも
姿 を 変 え て き た。 そ の 日 本 刀
っ て、 反 り・ 長 さ・ 形 な ど の
戦闘様式や文化・風習などによ
日本刀とはまさに日本の歴
史そのものであり、その時代の
全日本刀匠会事業部/角川書店編 一五〇〇円
ことである。
言えるだろう。
現化することは、今までの伝統
が開催されるらしいから、その
が、どうやら全国各地で巡回展
本書は展覧会図録であって
市販しないということである
る新しい現代刀剣アート本と
であり、日本刀が「未来」を見
の「姿」の歴史が幕末から明治、
現代的日本文化である漫画
の 仮 想 世 界 に 登 場 す る 武 器 を、
を逸脱しているため賛否両論
日本刀製作技術を駆使して具
があるが、私は日本刀の新しい
(玉山真敏)
折の入手を期して紹介した。
ブック・レビュー BOOK REVIEW
「姿」と可能性をこの図録に垣
間見ることができた。
『東京新聞』平成 年9月 日
イベント・レポート
第二回広島「KAZARU展」
を活かした観光振興・地域活性
争の時代を迎えている。そこで、
も海外制作の輸入品との国際競
して開催したもの。伝統工芸品
志が協力し、実行委員会を結成
慶会」と頼山陽史跡資料館の有
同展は、広島市立大学・広島
大学・日本刀初心者入門講座「三
三日、好評のうちに閉幕した。
加したい方、コンクールに出品
来年は、菓子博で、開催時期
が少し遅れる予定。勉強会に参
作家も出てくるようになった。
って嬉しく、楽しいという工芸
想で作った作品の発表の場があ
や、伝統を学ぶ場と、異なる発
認知度はまだ低いが、来場者
には「人が来なくても、続けて
化事業」に採択された。
島」や『日本外史』の作者、頼
地方の技術の継承と挑戦者の発
したい方は、左記へお問い合わ
地域から伝統工芸の振興を図る
山陽を顕彰した頼山陽史跡資料
掘・育成、地域活性化を目指し、
せください。
協会主催の第六回特別鑑賞会が
て公益財団法人日本刀文化振興
平 成 二 十 四 年 九 月 二 十 五 日、
東京の目白庭園・赤鳥庵におい
事前申し込みによる先着二十名
を 日 本 刀 文 化 振 興 協 会 の 会 員、
た。通常の例会とは違い、対象
て本会が開催されることとなっ
いたいという会員の要望に応え
開催された。
初心者を対象にした鑑賞会を行
備前三郎国宗などの名品が集め
今回は重要美術品認定の備前
国 雲 重 を は じ め、 藤 四 郎 吉 光、
限定で行われる。
っているが、玄人向きにもっと
られた。会場運営は有志の若手
間 薫 山 先 生 が 鑑 定 会 で 使 用 し、
の作域や見どころをはじめ、本
員・広井雄一氏を迎え、展示品
講師に元文部科学省文化審議委
刀 職 者 た ち を 中 心 に 行 わ れ た。
踏み込んだ鑑賞会を開いてもら
同財団はその名の通り、日本
刀文化の振興を目的に、隔月で
blogspot.jp/
参考ブログ
(三上高慶)
E-mail
info@raisanyou.com
http://kazaruten.
ください」と言う熱烈なファン
館で、公募工芸コンクール広島
一般人も交えて地域の伝統的工
「べんせい、しゅくしゅく、夜、
川を渡る…」という詩吟「川中
「KAZARU展」が九月二十
芸と刀装・刀装具から学ぶ機会
頼山陽史跡資料館
☎〇八二 ―
五四二 七
― 〇二二
を創り、頼山陽史跡資料館を会
場に、成果発表の同展を立ち上
今回は、文化庁の「文化遺産
げて二回目となる。
鑑賞刀は次の通り。
重要美術品 太刀 雲重
重要美術品 太刀 延寿国資
太刀 備前三郎国宗
短刀 吉光
短刀 来国光
短刀 義助
短刀 左安吉
刀
藤島友重
刀
兼元(僧正孫六兼元)
刀
津田越前守助広
刀
長曽祢興里入道乕徹
脇指 長曽祢興里入道乕徹
刀
清人
脇指 国広
脇指 源正雄
次回鑑賞会は十一月六日㈫に
予定されており、詳細は同協会
公益財団法人日本刀文化振興協会
「天狗の鼻折り」と称された義
ホームページにその都度掲載さ
第六回特別鑑賞会を開催
助の作品を手に、当時のエピソ
(飯田慶雄)
ードを紹介するなど大変充実し
れる。 http://www.nbsk-jp.org/
た内容となった。
←7ページに続く
第8号
刀 剣 界
平成24年11月15日発行
(隔月刊)
24
15
(7)
刀 剣 界
平成24年11月15日発行
(隔月刊)
→8ページから続く
第8号
■放映予告 BSフジ ガリレオX 「鉄と刀―古くて新しい鉄に迫る」 放送12月9日㈰朝9時30分~10時 再放送12月16日㈰朝9時30分~10時
①古い鉄ほどよく切れる?(日本刀の謎)
、②鉄であって鉄でない99.9989%の高純度鉄、③失われた製鉄技術 「大鍛治」 の再現(包丁鉄)、ほか
■横浜市歴史博物館
■ながの東急百貨店 別館シェルシェ5階ホール
〒224-0003 神奈川県横浜市都筑区中川中央1-18- 1 ☎045
(912)
7777
〒380-8539 長野市南千歳1-1-1 ☎026
(226)
9609
特別展﹁畠山重忠−横浜・二俣川に散った武蔵武士−﹂
先代宮入行平が遺した宮入鍛錬道場を引き継
ぎ、30年余が過ぎました。作刀にひたすら取り組
み、その意味を問い続け、かたちにすることに始
終する中、いつしか私の門を叩く若者たちが集ま
るようになりました。私の作刀に対する思いに何
かを感じ、それぞれの個性として花開く姿を見る
ことは喜ばしい限りです。
また、良い刀を作ること同様に、後継者の育成
に情熱を注いだ先代行平の遺志も、多少なりとも
継承することができたものと思います。技術の伝
承、その成果を実感してくださいますよう、ご高
覧を心よりお待ちいたしております。
(宮入小左衛門行平)
会期:11月9日㈮~14日㈬
蔵 重要文化財)
・長覆輪太刀(馬場都々古別神社蔵
重要文化財)
・赤糸威鎧残闕(馬場都々古別神社
蔵 重要文化財)
・鉄二十八間四方白星兜(神奈川県
立歴史博物館蔵 重要文化財)
・金沢貞顕書状(称名寺 神奈川県
立金沢文庫保管 重要文化財)
・赤糸威大鎧(復元)
・紫裾濃威鎧(復元)
・一の谷合戦図屏風
(馬の博物館蔵)
第
回大阪刀剣まつり
られた催事とあって、連日、外
国人を含む多くのお客さまで賑
勇進堂・大阪刀剣会・橋本商
店・伯永堂・刀剣小林・蔵屋は
34
わった。出店は左記の十八店。
る有料審査も行われた。
店・南紀刀剣店・アートコレク
関西を中心に十八店舗が出店
また、日ごろはなかなか見ら
れない、塗師(服部健司氏)と
シ ョ ン ム ラ カ ミ・ ㈲ 聚 楽・ 儀
買取相談、銃砲刀剣研究会によ
市産業振興センターで開催され
鞘師(曽我部明氏)の両職方に
平屋・泉舟堂・大宝堂・龍峯庵・
しもと・五節堂・雅・新堀美術
た。後援は大阪美術刀剣業組合
よ る 実 演 も 行 わ れ、 好 評 だ っ
刀啓堂・㈱むさし屋
十九日㈮から二十一日㈰まで堺
と全日本刀匠会近畿支部。
た。
行いながらも声を大に発表する
(新堀賀将)
後藤家の極帳が東京藝術大学
に保存されていることは以前か
ことなく、図書室にひっそりと
ら承知していたが、ここまでの
展示する同館の奥ゆかしさに
関西地区の愛好家にはよく知
録文化をも浮き彫りにしてくれ
修復がなされていたとは初耳で
は、さすが東京藝術大学と敬服
る、きわめて貴重な資料である。
あった。本帳簿は刀剣界におい
するばかりである。(飯
田慶雄)
期間中、会場内にて刀剣・小
道具の無料相談、無料評価鑑定、
十 月 一 日 か ら 二 十 七 日 ま で、
東京藝術大学付属図書館におい
また極帳に貼付された実物大の
てきわめて重要な研究資料であ
東京藝術大学附属図書館貴重資料展
て刀剣界にとって非常に価値の
精密な図版は、それ自体美しく、
後藤家文書︲刀装金工の鑑定と記録
ある資料展が開催された。
極帳を含む膨大な量の後藤家
文書は寄贈された当初、激しい
ミクロの世界を描く美術作品と
録が「極帳」である。このとき
虫損や汚れのため公開すること
しても楽しむことができる。
後藤家が発行した鑑定書である
ができなかったが、現在は附属
江戸時代、幕府お抱えの金工
一派であった後藤家に、大名な
折 紙 は、
「折紙付き」という言
図書館の年次計画保存プロジェ
どが持ち込んだ刀装具の鑑定記
葉の語源となった。
は特に損傷の激しかった文書の
きわめちょう
本展ではこの極帳が、
博物館に
現存する刀装作品の写真と合わ
修 復 過 程 写 真 も パ ネ ル 展 示 し、
おりがみ
せて展示された。克明な鑑定記
文化財保存の技術とその重要性
クトにより蘇りつつあり、今回
録である極帳は、
金工史上におけ
り、これらの保存事業を地道に
新堀賀将さん・裕子さんがご結婚
よ し ま さ
9月9日、新堀賀将さんと裕子さん
(旧姓馬場)の挙式と披露宴が、東京
銀座の「THE MAGNUS TOKYO」で行
われました。
賀将さんは、横浜市で新堀美術刀剣
を経営する新堀孝道氏の三男で、本誌
の編集委員でもあります。孝道氏は毎
月15日に開催される「新橋会」の、そ
して長男の徹さんは25日の「愛宕会」
の代表です。また、次兄の篤史さんは
姫路市の前田幸作師の元で鞘師修業を
されていますから、新堀家は文字通り
の刀剣一家です。
新婦の裕子さんは、都内の会社ソシ
エワールドのエステ事業部に勤務さ
れ、同僚からの信頼も厚い、明眸皓歯
という形容がぴったりの方です。
披露宴もたけなわのころ、会場では
「賀将ガンバレ!」のかけ声も聞かれ
ました。ご多幸をお祈りします。
(齋藤隆久)
を併せて伝えている。
福田千惠画伯が葛飾区名誉区民に
文化振興などに功績が
あったとして、東京都葛
飾区は日本画家で日本藝
せ ん け い
術院会員の福田千惠さん
ら4人を名誉区民に選
び、10月1日の区制80周
年記念式典で表彰した。
福田さんは昭和21年、愛刀家であっ
た福田勲氏の長女として東京で生まれ
た。佐藤太清画伯に師事し、日展無鑑
査・同審査員などを経て、平成21年、
日本藝術院会員に任命された。
前々から刀剣界との関係が深く、隅
谷正峯・天田昭次両刀匠を描いた大作
もある。研師本阿彌光洲さんがモデル
と
ぐ
の「研磨」は伊勢神宮に奉納されてい
る。
(T)
東京刀剣倶楽部では業界関係者の懇親を目的に、毎月ゴルフコン
ペを開催しており、刀剣商のほか、刀職・業界関係者の多くの方々
が参加し、交流を深めております。まだ参加されたことのない方々
にもぜひご参加いただきたく、ご案内します。
誠に勝手ながら、都合上、参加者は全国刀剣商業協同組合の組合
員と賛助会員に限らせていただきます。
なお、次回は11月28日㈬、紫カントリークラブ(千葉県野田市目
吹111 ☎04-7124-1166)にての開催となります。ご興味がおありの
方は、下記までご連絡ください。
東京刀剣倶楽部事務局=〒161-0033 東京都新宿区下落合3-17-33
㈲飯田高遠堂・飯田慶雄 ☎03
(3951)
3312
る価値は言うに及ばす、
江戸の記
◆◆おめでとうございます◆◆
◆◆東京刀剣倶楽部懇親ゴルフコンペのご案内◆◆
今回で三十四回目を迎える
「大阪刀剣まつり」が去る十月
元久2年(1205)
、横浜市旭区の
二俣川において壮絶な最期を遂げた
畠山重忠は、人格・体力・容姿とも
に優れた武士と伝えられ、武蔵武
士・関東武士を代表する存在です。
重忠は、武蔵国で大きな勢力を
誇った秩父平氏の出身で、長寛2年
(1164)
、畠山館で誕生しました。重
忠は治承・寿永の合戦(源平合戦)
で活躍し、また鎌倉幕府に仕え、頼
朝の右腕として手腕を発揮しました
が、幕府の権力闘争の犠牲となりま
した。
『平家物語』や『吾妻鏡』などは、
重忠に関する数々のエピソードを伝
えています。これらの中には、史実
でないものもあります。しかし、彼
の篤実な人柄と武勇は多くの人々に
受け入れられ、現在も多くの伝承・
史跡を伝えています。
この展覧会では、畠山重忠の生涯
と人物像をたどるとともに、大鎧を
中心とした武士の装いをはじめ、平
安時代末から鎌倉時代初めの武蔵武
士をめぐる諸相を紹介します。
また、
後世において畠山重忠像がどのよう
に作られていったのかも探ります。
会期:10月13日㈯~11月25日㈰
月曜休館
〈主な展示資料〉
・宝寿丸・黒漆鞘(武蔵御嶽神社蔵
重要文化財)
・法住寺殿跡出土遺物(木下美術館
宮入小左衛門行平 一門展
(8)
刀 剣 界
平成24年11月15日発行
(隔月刊)
第8号
催 事 情 報
■江戸東京博物館
〒130-0015 東京都墨田区横網1- 4- 1 ☎03
(3626)
9974
江戸東京博物館開館20周年記念特別展﹁尾張徳川家の至宝﹂
尾張徳川家は、徳川家康の九男・
義直(1600~1650)を初代とする御
三家筆頭の名門大名で、名古屋城を
居城とし、江戸時代を通じて徳川将
軍家に次ぐ家格を誇っていました。
大名家は家の歴史・格式を示すた
めに数々の道具を備え、それらは大
きく表道具と奥道具に分けられてい
ました。表道具とは、大名の禄高や
家格に応じて備蓄しておくべき武具
刀剣類と、公的な場で用いられる道
具類、奥道具は、藩主やその家族た
ちがプライベートな場で使った道具
類です。
本展では、徳川美術館(愛知県名
古屋市)が所蔵する尾張徳川家ゆか
りの道具類のうち、太刀や鉄砲など
の武具類、茶の湯・香・能などの道
具類、和歌や絵画・楽器など教養に
関わる品々など大名家の歴史と格式
を示す約230件の名品をご紹介しま
す。国宝「源氏物語絵巻」
、
国宝「初
音の調度」も期間限定で特別公開し
ます。
掲示の国宗は、八代宗勝が四ツ谷
家(高須松平家。尾張家二代光友の
次男義行に始まる)より元文4年
(1739)正月に尾張本家に迎えられ
た折に持参した太刀。国宗は備前三
郎の名で知られ、鎌倉に下向して相
州鍛冶の基を開いたと伝えられる名
工です。
会期:1月2日㈬~2月24日㈰ 展示替えあり。
国宝 太刀 国宗(徳川美術館蔵)
■岡山市埋蔵文化財センター
〒703-8284 岡山市中区網浜834- 1 ☎086
(270)
5066
発掘された武器
戦いの始まりは、人類の起源にま
でさかのぼると考えられます。飢え
をしのぐための戦いや個人的な感情
から発する戦いもあったでしょう。
ただし、そういった戦いは社会全体
への影響はほとんどなかったと考え
られます。
ところが、農耕が始まり、蓄える
ことのできる収穫物が発生したこと
により、それらを奪い合うような大
規模な戦いが行われるようになりま
す。その一方で、生産効率や流通関
係が発展して社会が複雑化すること
により、戦いの目的は収穫物だけで
はなく、人間・物・土地へと拡大し、
社会全体の形に影響を与えるような
戦い、戦争になっていきました。
今回の企画展では、各時代の武器
から戦いの歴史の一端について触れ
てみたいと思います。
会期:10月1日㈪~3月16日㈯ 日曜・祝日・年末年始休館
〈主な展示物〉
・吉備津杉尾西遺跡
(北区吉備津)
出
土石鏃
・南方遺跡
(北区国体町)
出土木製武
器・武具類
・南方遺跡
(北区国体町)
出土石剣、
石鏃など
・南方釜田遺跡
(北区南方)
出土銅剣
・伝千足古墳出土巴形銅器
・岡山城三之外曲輪跡
(北区蕃山町)
ほか出土銃弾
本展は、高知・岡山文化交流事業
の第1弾として岡山県立博物館の全
面協力のもとに開催するもの。五カ
国(山城・大和・備前・相模・美濃)
のうち、備前刀を中心とする古刀
(Ⅰ部)と長宗我部氏・山内氏など
の大名家や幕末の志士ゆかりの刀剣
(Ⅱ部)を一堂に展示。また、佐川
の堀見家から寄贈された刀剣150振
の中から選りすぐりの刀剣も展示す
る(Ⅲ部)
。会期中は全日本刀匠会
の全面協力により、さまざまなワー
クショップも開催。Ⅰ部・Ⅱ部は既
に展示を終了し、Ⅲ部のみ開催中。
会期:10月6日㈯~12月23日㈰ 会期中無休
■備前長船刀剣博物館
〒701-4271 岡山県瀬戸内市長船町長船966 ☎0869
(66)
7767
特別展﹁第7回お守り刀展覧会﹂
第7回を迎えた
「お守り刀展覧会」
の出品作46点のほか、特別出品16作
品を展示。
また会期中、
お守りプレー
トへの銘切り、古式鍛錬公開、長船
刀剣森づくり(炭作り体験)
、日本
刀手入れ講習会、お守り小刀製作講
座、刀職者によるギャラリートーク
など、さまざまなイベントも開催さ
れる。
▽刀身の部 出品34点(招待5点)
第1席(特賞)岡山県知事賞
川㟢仁史
第2席(特賞)熊本県教育委員会賞
久保善博
第3席(特賞)坂城町町長賞
河内一平
第4席 ワコースポーツ・文化振興
財団賞 瀬戸吉廣
第5席 熊本朝日放送賞 松葉一路
第6席 テレビせとうち賞
桔梗光史
第7席 全日本刀匠会賞 根津 啓
佳 作 上山陽三・月山一郎
▽外装の部 出品12点
(製作代表者)
第1席(特賞)熊本県賞 宮入 恵
第2席(特賞)瀬戸内市長賞
岸野輝仁
第3席 岡山県教育長賞 桑野敏朗
第4席 山陽新聞社賞 加藤政也
第5席 全日本刀匠会賞 玉木道明
佳 作 川㟢仁史
日立金属賞 吉川三男
会期:10月10日㈬~12月2日㈰ 月曜休館
近畿の現代刀匠展
生國魂神社は、生島大神・足島大
神を主祭神として相殿に大物主大神
を祀っています。主祭神は宮中でも
生島巫によって祀られ、歴代の天皇
即位の際には国家の祭祀として二神
を祀る「八十島祭」が行われた由緒
ある神社です。生國魂神社には11社
の境内社があり、その中に鞴神社が
神に捧げられた刀剣
開館10周年記念﹁宮入小左衛門行平 祈りのかたち﹂
地元刀匠の宮入小左衛門師の近作
を含め、その時々を画す作品で作者
の足跡をたどる。会期中、古式鍛錬
の公開、日本刀に触れてみよう、手
づくりナイフを作ろう、銘切り実演
などのイベントが行われる。
会期:9月1日㈯~11月25日㈰
古銭 切· 手 刀· 剣 売
買 評
価鑑定
㈱城南堂古美術店
し、刀匠の技術の妙を披露します。
会期:平成24年11月2日㈮~27日
㈫ 会期中無休
〒389-0601 長野県埴科郡坂城町6313- 2 ☎0268
(82)
1128
代表
第17回 熱田の杜 東海現代刀匠刀剣展~刀匠のあそび15~
■坂城町鉄の展示館
田中 勝憲
〒456-8585 愛知県名古屋市熱田区神宮1- 1- 1 ☎052
(671)
0852
あります。
全日本刀匠会近畿地方支部は、毎
年11月8日の鞴祭には当神社にて奉
納鍛錬を行っております。また、下
記の日程で生國魂神社・参集殿にて、
近畿の現代刀工による「近畿の現代
刀匠展」を開催します。
会期:11月8日㈭~11月11日㈰
〒153 005 1
東京都目黒区上目黒四 三一 一○
TEL ○三 三七一○ 六七七六
○九○ 三二○八 九六一二
F AX ○ 三 三 七 一 ○ 六 七 七 七
いや祈りに思いを馳せつつご鑑賞く
ださい。
会期:9月22日㈯~11月25日㈰ 月曜休館
〈主な展示資料〉
・重要文化財 太刀 国行 室町時
代(作楽神社蔵)
・重要文化財 太刀 井上真改 江
戸時代(吉備津彦神社蔵)
・岡山県指定重要文化財 大太刀 秀幸 室町時代(吉備津神社蔵)
■熱田神宮宝物館
印刷/株式会社日刊企画
特別展﹁刀 武士(もののふ)の魂−備前の名刀と土佐ゆかりの刀剣−﹂
大阪府大阪市天王寺区生玉町13- 9 ☎06
(6771)
0002
〒703-8257 岡山市北区後楽園1- 5 ☎086
(272)
1149
今回も例年通り、新作の刀剣に加
え、刀匠が作刀という緊張をほぐす
一服の安らぎとして遊びごころを
もって製作した小品を併せて展示
〒783-0044 高知県南国市岡豊町八幡1099- 1 ☎088
(862)
2211
■生國魂神社・参集殿
■岡山県立博物館
刀剣は、戦いの武器としてだけで
なく、日本人の精神や文化にも大き
な関わりをもっています。例えば、
家宝として大切にすることや、死者
に守り刀を供えること、神社や寺院
に刀剣などを奉納することも、刀剣
に実用を超えた何か神秘的な力を感
じるからにほかなりません。
今回は、
社寺に奉納された刀剣の名品9口を
一堂に展示しました。その美しさと
ともに、刀剣に込められた人々の願
■高知県立歴史民俗資料館
7ページに続く→