自主防災を先導する熱き男たち 四季が丘コミュニティづくり協議会 会長 越山 浩則 四季が丘コミュニティづくり協議会の副会長に岡村秀豊という男がいる。江戸時代の歴史上の 名前のようでもあるが、私よりは 3 つ上の 53 歳で現役のサラリーマンである。ポポロ公園の奥 で工事をしている砂防ダムにもっとも近い 3 丁目の南西角に住んでいる。家には、 「シュウ」と いう芝犬が同居している。ときどき、サルも庭で遊んでいることもあるが、飼っているわけでは ないらしい。 この男、やたら声が大きい。100 メートル先で会話をしていても十分聞きとれる。学生時代に はラクビーをしていたというからその影響もあるのかもしれないが、体格ががっちりしているか ら、生まれつきなのかもしれない。声が大きいことが功を奏したのか、今年、神戸で行われた「第 1 回 防災・社会貢献ディベート大会」では、 “ベスト尋問者賞”を受賞し た。要は、“くちうるさいおじさん”であることが証明されたわけだ。大 阪王将の餃子の話になると、 “焼き方”だの、 “味”がどうと、めっぽうう るさい。大阪の学生時代には毎日のように王将の餃子を食べていたらしく、 今でも軽く 6 人前は平らげる。豪快だけかと思うと、広島市内までのバス通勤時間を利用して、 最近は村上春樹著『1Q84』を読んでいるらしく、読書好きの一面を持っている。この男、た だ者ではない。 “四季が丘の岡村”といえば、いまでは、廿日市市の自主防災関係者の間では超有名人である。 市役所の危機管理課に早くから一目置かれ、県主催の防災討論会パネラーや市主催会議の司会進 行役を任されるほどの存在である。平成 16 年の自主防災協議会発足時から議長に就任し、現在 の四季が丘自主防災活動の基礎を築いた。これまで、廿日市FMのラジオ番組には何度か出演し、 今年7月には広島FMからも取材を受けている。呉市など市外からも四季が丘の自主防災活動視 察団を受け入れて、そのたびに、四季が丘自主防災活動の歩みを熱く、しかも大きい声で語る。 ちなみに、廿日市市からの推薦もあり、四季が丘の役員の中では最初に「防災士」の資格を取得 した。 自主防災活動事務局には、事務局長に尾崎節夫という、とても 60 歳前 (?)とは思えないハリウッド映画に出てきそうなナイスガイがいる。 さすがに実年齢には勝てず、黒縁の老眼鏡が欠かせないが、なぜか、と きどき会議などに持ってくるのを忘れてしまい、 「ものがよう見えん」と よくボヤいている。大のカープファンで、選手やチームの成績は誰よりもよく知っているのに、 携帯やパソコンのことになるとたちまち疎くなり、うまく使いこなせていない節がある。中でも メールに関しては、その症状が顕著に表れており、急ぎのメールを送っても 3 日後に返事がき たり、メッセージが打たれていないメールが送られてきたり、ファイルを添付し忘れたりは、日 常茶飯事なのである。 このような人間味あふれる岡村と尾崎は、最高の自主防災ペアである。この二人が中心になっ て、四季が丘の自主防災活動をいまの状態まで高めたことは間違いない。 自主防災活動をさらにレベルアップするために、岡村議長は、昨年秋に行なわれたソフトボー ルリーグ表彰式懇親会の際には、上町内会から増井康典という 30 代前半に見える若手のやり手 を一本釣りし、さらに、今年は副会長として新たにコミュニティ役員の一人になった3丁目の論 客、前田幸太郎を自主防災担当に加えた。増井と前田は、岡村の厳しい指導を受けて急成長して いる期待のホープだ。 四季が丘の自主防災活動の歴史は、他に誇れるほどに長いわけではな い。発足の平成 16 年から、まだ 6 年が経過しただけだ。しかし、確実に 実績を残しているのには理由がある。発足した平成 16 年に 4 年計画を立 てた際には、岡村議長の普段の生業である土木建設業での経験が存分に 生かされた。防災マップ作成や防災訓練、防災備品整備など 40 にも上る細かな活動項目を、向 こう4年先まで綿密に線引きされた活動工程管理表を作成し、実に見事に線引きどおりに活動を 展開してきた。4 年計画は、その後 5 年計画に書き直され、平成 20 年度の末には四季が丘全体 の総合防災訓練という形で結実した。活動工程管理表の時系列はさらに右に延ばされ、しかも、 各町内会の救命救急講習や防災訓練の参加人数は、参加人数が増えるたびに加算され書きなおさ れている。 防災活動の中心になるのは各町内会であり、四季が丘の各住居家族で あり、一人ひとりの住民であることは、永遠に変わりのない事実であり、 防災活動の根幹である。自主防災活動は、自助が基本でできていてこそ、 共助が効果的に発揮できる。岡村議長をはじめ自主防災事務局は、四季 が丘全体の共助をどうするのかを中心に考え、防災専門家で東亜大学准 教授の中田敬司先生を講師に迎えての勉強会を企画・実施し、指導やアドバイスなどをする自主 防災活動の先導者であり、各町内会での防災活動を盛り上げる手助け役である。 各町内会で実施している 3 時間コースの救命救急講習は自助の役に立 ち、共助にもつながる。各町内会の防災訓練は、共助を芽生えさせるもの であると同時に、自助の重要性を自覚できる大きな機会となる。自主防災 を先導する熱き男たちは、 本気で四季が丘の防災意識を高めようと強い信 念と情熱をもって取り組んでいる。この男たちの情熱に呼応し、四季が丘に住む一人ひとりが自 主防災意識を高めれば、四季が丘の何かが変わるはずだ。災害で大切な人の命を失う悲しい思い は誰にもさせない、互いを思いやる愛でいっぱいの四季が丘にするのが、この男たちの夢である。 ※中田敬司先生は、広島市在住で、今年 7 月 24 日放送の「世界一受けたい授業」の講師として出演 されました。 (文中、敬称を省略したことをご容赦願います。) 【注】この記事は、四季が丘の自主防災活動にスポットを当て、これからも継続して盛り上がってほしい との思いを込めて、8 月はじめに執筆されたものです。 『広報四季が丘 No.37 号』(平成 23 年 2 月発行予定)に掲載される予定ですが、このたび広島県知事 表彰を受章したことから、ホームページ用に一部編集して先行して掲載しました。
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