Institute for Traffic Accident Research and Data Analysis ITARDA 75 INFORMATION 財団法人 交通事故総合分析センター イタルダ・インフォメーション No. 2008 JULY 特集 原付は相手から 見落とされやすい 原付と交差車両の 進行方向別事故件数 (原付 第2当事者) ※第2当事者 最初に交通事故に関与した車両等 の運転者の第1当事者以外の者 右からの 進入車両との事故 約 37% 5,478 件 左からの 進入車両との事故 約 63% 9,518 件 事故件数割合 Institute for Traffic Accident Research and Data Analysis ITARDA INFORMATION 75 財団法人 交通事故総合分析センター イタルダ・インフォメーション 2008 JULY No. 原付は相手から 見落とされやすい 二輪車の死傷者数は、2007年に 147,938人と 2000 年時と比べて約4万人(約 20%)もの減 少となっていますが、依然として約 15 万人と 多くの二輪車乗員が交通事故で傷害を負ってい 原付と交差車両の 進行方向別事故件数 (原付 第2当事者) ※第2当事者 最初に交通事故に関与した車両等 の運転者の第1当事者以外の者 右からの 進入車両との事故 約 37% 5,478 件 ます。今回のイタルダ・インフォメーションで は、排気量別に異なった走行形態を持つ二輪車 の中で、最も死傷者数の多い原付の出会い頭事 故に着目して、二輪車乗員や衝突相手の四輪車 乗員の人的要因を中心に分析結果を紹介します。 特に、外観形状の小さな原付が四輪車運転者か らどのように見られ事故に遭っているか紹介し ます。 左からの 進入車両との事故 約 特 集 63% 9,518 件 CONTENTS 事故件数割合 主な内容 1 二輪車事故の特徴 *1 2 原付出会い頭事故(マクロ統計 分析) 2-1 第1当事者、第2当事者別事故件数、 年齢層別死傷者数 2-2 原付出会い頭事故形態 3 出会い頭事故の *2 詳細要因分析結果(ミクロ調査 分析) 3-1 出会い頭事故分析対象 3-2 原付出会い頭事故の人的要因分析結果 3-2-1 認知・判断エラー別分析の分類 3-2-2 交差車両に対する認知エラー分析結果 3-2-3 交差車両に対する判断エラー分析結果 4 事故例紹介 事例1 原付の左端走行と樹木の陰により、 四輪運転者の原付の見落とし 事例2 双方運転者の交差車両の見落とし(1) 事例3 双方運転者の交差車両の見落とし(2) 5 まとめ *1・マクロ統計:各機関が保有する全国の交通事故に関係する 複数のデータを統合した事故統合データベースによる 統計を言う。 *2・ミクロ調査:つくば地域で発生した交通事故現場において、 ITARDAが人、車両、道路環境について詳細な調査をした 交通事故例調査を言う。 2 ITARDA INFORMATION 75 特集 原付は相手から見落とされやすい CTION SE 1 二輪車事故の特徴 2007 年のマクロ統計より、二輪車事故の死傷 者数を排気量別に分類すると、原付が88,442人(二 量別事故類型別死傷者数について分類した結果 です。死傷者数の多い原付を事故類型別にみると、 輪車事故全体の 59.8%)と、他の排気量と比較し て最も高い割合を占めています。図1は、排気 出会い頭事故が、29,191人で最も多くなっています。 2 9,191人 3 2.5 死 傷 者 数 ︵ 万 人 ︶ 16,624人 13,010人 2 1.5 1 0.5 原付一種 原付二種 0 人 対 車 両 正 面 衝 突 軽二輪 追 突 出 会 い 頭 追 い 越 し ・ 追 い 抜 き 小型二輪 左 折 右 折 車 両 単 独 そ の 他 小型二輪:251cc∼、軽二輪:126cc∼250cc、原付二種:51cc∼125cc、原付一種(原付) :∼50cc 図1 二輪車の事故類型別死傷者数(2007年) 75 ITARDA INFORMATION 3 原付は相手から見落とされやすい 特集 CTION SE 原付出会い頭事故(マクロ統計分析) 2 *3 2 - 1 第 1 当事者、第 2 当事者 別事故件数、 年齢層別死傷者数 次に、原付 1 当、2 当別の年齢層別死傷者数を 分類した結果を図 3 に示します。原付 1 当、2 当 死傷者数の最も多い原付出会い頭事故に着目 して、原付の当事者別に衝突相手別の出会い頭 ともに、若者(16 - 24歳)の年齢層の死傷者数が 最も多く、特に原付2当、16-24歳の死傷者数(6,861 事故件数を集計した結果が図2です。原付2当 と普通・軽乗用車1当との事故件数が最も多く、 人)は、当事者別死傷者数全体の約 23% を占め ています。 次に原付 1 当と普通・軽乗用車2当との事故が続 きます。原付の当事者別に普通・軽乗用車との *3・第1当事者:最初に交通事故に関与した車両等の運転者の 当該交通事故における過失が重い者をいい、 また過失が 同程度の場合には人身傷害程度が軽い者をいう。 (「1当」と言う) ・第2当事者:最初に交通事故に関与した車両等の運転者の 第1当事者以外の者をいう。 (「2当」と言う) 事故では、原付 1 当 4,397 件、原付 2 当 16,252 件 であり、原付2当が原付1当に対して約3.7倍となっ ています。 1, 2当別マクロ統計分析統計 25 20 事 故 件 数 ︵ 千 件 ︶ 15 10 5 0 大型乗用車 普通・軽乗用車 大型貨物車 普通・軽貨物車 自動二輪車 自転車 その他の車両 2当、原付 39 16,252 82 3,772 284 1,128 654 803 1当、原付 25 4,397 65 970 501 1,128 3,785 119 図2 1, 2当別衝突相手別死傷事故件数(2007年) 8,000 7,000 6,861 6,000 死 5,000 傷 者 4,000 数 ︵ 人 ︶ 3,000 2,000 1,000 原付2当 3,682 3,554 2,558 2,092 2,557 2,248 原付1当 675 0 995 479 442 897 1,046 706 16-24歳 25-34歳 35-44歳 45-54歳 55-64歳 65-74歳 75-98歳 年齢層 図3 1, 2当別年齢層別死傷者数(2007年) 4 原付 ITARDA INFORMATION 75 2 - 2 原付出会い頭事故形態 原付が 2 当となった出会い頭事故について、衝 の事故が約 63% と高い割合を占めています。こ の結果に基づいて、ミクロ調査より、どのよう 突相手である交差車両の進行方向別に分類しま した。図4は、マクロ統計の原付 2 当の交差車両 な理由により左からの車両と事故が発生してい るのか、人的要因を中心に分析した結果を紹介 の進行方向別事故件数割合を示します。原付か らみて左から交差点に進入してくる交差車両と します。 100% 右からの車両との事故 90% 80% 70% 事 故 件 数 割 合 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 原付2当(マクロ統計分析) 右から進入車両との事故 5,478 左から進入車両との事故 9,518 左からの車両との事故 図4 原付2当の交差車両の進行方向別事故件数(2007年) 75 ITARDA INFORMATION 5 特集 原付は相手から見落とされやすい CTION SE 3 出会い頭事故の詳細要因 分析結果(ミクロ調査分析) 3 - 1 出会い頭事故分析対象 ミクロ調査データの 1995 年∼ 2004 年に調査 的情報(コメント)を分類し、運転者はどのよ うな理由でエラーを犯して事故を起こしている した原付出会い頭事故(114 件)を抽出しました。 か詳細に分析しました。 前節のマクロ統計で原付 2 当の事故件数の多いこ 3-2-1 認知・判断エラー別分析の分類 とが判明したため、ミクロ調査データ分析では *4 原付B当事者 に焦点を当てた分析内容を紹介し A 当と B 当を合わせた運転者の別に認知・判 断エラーの件数を表1に示します。それぞれの ます。 運転者は、認知エラーが 70%以上と非常に高い 割合を占めています。すなわち行動を判断する 前の対象認知という初期段階のエラーにより事 故を起こしていることが言えます。 図5は、認知・判断エラーを一人あたりの件 数で分類した結果です。当事者別のA・B当の 認知・判断エラーについて総件数で比較すると、 *4 ミクロ調査の当事者の定義とエラーについて ・ミクロ調査では、交通事故に関与した車両の運転者のうち、 事故発生のきっかけとなるエラーを犯した者を「A当事者」 (A当) と言い、 その相手を「B当事者」 (B当) と言います。 (ミクロ調査の当事者は、マクロ統計の第1当事者、 2当事者 とは、定義が異なります。) ・エラーとは、見落としや不適切な判断をすることを言います。 また、 エラーの範囲は広く解釈し、相手を認知していたにも かかわらず自己防衛運転をしなかった場合も含めています。 A当の方がB当に対して 1. 2 ∼ 1. 3 倍と多くの件 数となっており、A当の定義から納得できる数 3 - 2 原付出会い頭事故の人的要因分析結果 となっています。判断エラーについては、B当 運転者は、常に対象物を認知し、適切に判断し、 が多く、それぞれA当に対して約 1.3 倍と多くなっ そして行動(操作)するという行為を繰り返し ています。A当がエラーを犯さなければ、多く て運転していますが、この一連の行為の中で、 の場合、事故には至りませんが、B当が、自己 運転者がいくつかの要因で見落としたり、不適 防衛運転すれば事故は避けられた可能性がある 切な判断をして事故を起こしています。ここでは、 と言えます。 ミクロ調査の当事者から聴取した事故直前の人 運転者別認知・判断エラー 表1 運転者別認知・判断エラー要因件数 認知エラー 判断エラー 合計 件数 222 63 285 割合(%) 77.9 22.1 100 件数 242 76 318 割合(%) 76.1 23.9 100 原付 件 数 / 人 数 4.0 3.5 3.0 2.5 2.0 1.5 1.0 0.5 0 四輪車 合計 総件数 464 139 603 A当 B当 A当 原付 四輪車 判断エラー 0.53 0.71 0.69 0.94 認知エラー 2.93 1.96 2.52 1.65 図5 運転者別認知・判断エラー件数 6 ITARDA INFORMATION 75 B当 3-2-2 交差車両に対する認知エラー分析結果 対象車両に対する認知エラーは、大きく「交 ます。他には、 「 (原付が)目立たない存在」の 要因などがあります。 「その他」には、ガードレー 差車両がいないと思い込み」 「交差車両が見にくかっ た」 「集中度低下」 「脇見」に分類されます。 「交 ルの陰、工事フェンスの陰や自車のフロントピラー の陰などの要因により、エラーを犯していました。 差車両がいないと思い込み」とは、例えば、普 段通りなれている道でいつも車両はいないから、 すなわち、これらの要因から、原付が小さいた めに物陰に隠れやすく相手から多くのエラーを いないと思い込んだというエラーです。また、 「交 差車両が見にくかった」とは、見ようとしても、 物陰や形が小さいために見にくかったことです。 犯されて事故に遭っていることが推察されます。 また、右から進行してくる原付との事故の約半 数は、道路左端走行で相手から見落とされて事 ここでは、 「交差車両が見にくかった」 「集中度低 故に遭っていました。 下」に着目して分析しました。 【車両が見にくかった】 図6は、 「交差車両が見にくかった」というエラー について、四輪A当の交差車両(原付)の進行 方向別に要因を分類した結果を示します。一人 当たりのエラー件数は、左から交差点に進行し てくる交差車両(原付)よりも、右から進行し てくる交差車両(原付)に対する方が多いこと が分かります。 「家屋、塀、樹木などの陰」に隠 れているという要因が最も多く、次に「車両の陰」 や「カーブミラーの視野範囲外」の要因が続き 【集中度低下】 集中度低下は、漫然、考え事、急ぎなどの内 在的なもの、外部のものに注意を奪われた場合 の外在的なものに大別されます。図7は、A 当 と B 当を合わせた運転者の別に内在的な要因の 内訳を示したものです。原付運転者の方が四輪 運転者より多くの要因により、集中度低下を起 こしています。原付運転者の特徴は、 「ぼんやり、 漫然」が最も多く、次に「あせり・急いでいた」 という要因が続きます。 認知エラー分析結果 1 1 0.16 0.14 0.8 0.12 0.6 件 数 / 人 数 件 数 / 人 数 0.4 0.2 0.1 0.08 0.06 0.04 0.02 0 右からの原付 左からの原付 四輪車(A当) その他 カーブミラーの視野外 目立たない存在 ライト・日射で幻惑 カーブ・登り坂の陰 車両の陰 家屋、塀、樹木、看板の陰 図6 交差車両の進行方向別エラー件数「交差車両が見にくかった」 0 原付 四輪車 その他 イライラ 過労、居眠り、眠気 あせり、急いでいた 考え事、心配事 ぼんやり、漫然 図7 集中度低下(内在的)要因(運転者別) 75 ITARDA INFORMATION 7 原付は相手から見落とされやすい 特集 図 8 は、A 当と B 当を合わせた運転者の別に外 在的な要因の内訳を示したものです。ここでは、 徴です。ここでは、一人あたりの要因の多いB 当に着目して分析しました。 四輪運転者の方が原付運転者より多くの要因で 図 9 は、B当について「自分が相手より先に 集中度低下を起こしていることが特徴です。特に、 行ける」と不適切な判断をした要因について分 四輪運転者が「衝突相手と反対の方向に注意を 奪われた」という理由が最も多く、次に「衝突 類した結果を紹介します。原付運転者と四輪運 転者とも「相手も自分に気づいている」という 相手以外の対象の動向に注意を奪われた」と続 いています。この図8の結果から、原付は目立 たないために、相手が他に注意を奪われている 要因が最も多く、次に、 「青信号や優先道路」が 続いています。その他には「対象が減速・停止 するように見えた」という要因がありました。 ことが推察されます。 すなわち、多くの判断エラーは、相手の行動に 3-2-3 交差車両に対する判断エラー分析結果 認知エラーの要因について前節で説明しまし たが、ここでは、対象車両を認知していたが、 対して、自分に都合の良いように判断している ことが言えます。 自分が交差車両を認知しても、相手は自分に その後の自分の不適切な判断について分析した 結果を紹介します。判断エラーは、認知エラー とは異なり、前節で説明した通り(図 5 参照)B 当がA当より一人あたりの要因が多いことが特 気づいているとは限らないため、相手の突然の 行動に対処できるように準備し、必要に応じて 減速し自己防衛運転していれば事故は回避可能 であると推察できます。 認知エラー分析結果 2 判断エラー分析結果 0.12 青信号・ 優先道路 0.1 0.08 相手も自分に 気づいている 件 数 / 0.06 人 数 対象が減速した (ように見えた) 0.04 0.02 思い込み、慣れ 0 原付 四輪車 その他 その他 沿道の施設に注意を 奪われた 0 0.05 衝突相手と反対の方向に 注意を奪われた 衝突相手以外の対象の 動向に注意を奪われた 0.1 0.15 0.2 件数/人数 四輪車 原付 図8 集中度低下(外在的)要因(運転者別) 図9 「自分が先に行ける」と判断した要因(B当運転者別) 8 ITARDA INFORMATION 75 0.25 CTION SE 4 事故例紹介 事例1 原付の左端走行と樹木の陰により、 四輪運転者の原付の見落とし 原付B当 50km/h で走行中、左方の四輪車を 50m 手前か 【概要】 四輪A当 ら認知していたが、相手も自分に気づいている から、自分が先にいけると判断しそのまま直進 右方遠方から来ている四輪車は認知したが、そ の車の前を走行していた原付が樹木の陰に隠れ した。 走行位置の影響 て気がつかず交差点に進入した。 (カーブミラー で確認していない。 ) 極端な道路左端走行により樹木の陰に隠れ相手 から見落とされた。 歩道 B1 B4 B3 B2 A3 歩道 A2 A1 事故発生状況図 事故を起こさないためには 四輪A当 一旦停止し左右を目視確認した後に、カーブミラー の設置されている場所では、カーブミラーで確 認し、さらにもう一度、右方を目視確認するこ 道路左側通行により、 原付が樹木の陰に入り 見落とされた とを心がけてください。 原付B当 相手のいかなる行動にも対処できるように、認 知位置 ( 衝突位置から 5 0m手前 ) から減速する ことを心がけてください。また、極端な左端走 行は、相手から見落とされ易いので、極端な左 写真1 四輪A当からみた原付B当の方向 端走行は避けてください。 75 ITARDA INFORMATION 9 特集 原付は相手から見落とされやすい 事例 2 双方運転者の交差車両の見落とし(1) 【概要】 原付B当 左折のために方向指示器を出して左側に寄った 四輪A当 右方からの左折方向指示器を出しながら減速し 先行車(ワンボックス車)の陰で、交差車両が 見えない状況のまま通り抜けした。 ているワンボックス車の横を通過している原付 を発見できずに、その車両の前を進入した。 A3 B2 A2 他車1 B1 B3 他車2 A1 事故発生状況図 事故を起こさないためには 四輪A当 右方向からの左折車の前を、横切る場合には、ゆっ くり進み、もう一度、右方確認すれば、原付を 認知できます。右方からの左折車がいても、焦 らず、 「左折するまで待つ」ゆとりが必要です。 10 ITARDA INFORMATION 75 原付B当 先行左折車両の先の道路状況を読み、陰から車 両がでてくることを意識して、事故回避できる 速度で、ゆっくり通り抜けることを心がけてく ださい。車両の陰に入らないように、先行車と の車間距離を確保することも必要なことです。 事例 3 双方運転者の交差車両の見落とし(2) 【概要】 原付B当 道路の左端を普段と同じように、交差車両が見 四輪A当 一旦停止後、交差道路の右方向がブロック塀で えない交差道路を気にせずに走行していた。 走行位置の影響 見通しが悪い状況で、交差原付が進行してくる にもかかわらず、交通状況が見える位置まで、 道路左端走行により相手から見えにくかったうえ、 お互い相手を発見した距離が短いために、急制 交差点に進入した。 (カーブミラーで確認してい ない) 動をかけても衝突を回避できなかった。 B4 B2 B3 B1 A2 止 A1 ま れ 事故発生状況図 カーブミラー ブロック塀 建物 事故を起こさないためには 四輪A当 一旦停止し左右を目視確認した後に、カーブミラー の設置されている場所では、カーブミラーで確 認し、ゆっくり進み、もう一度右方を目視確認 することを心がけてください。 原付B当 優先側道路を走行していても、カーブミラーで 交差車両の存在の有無を確認や交差点での減速 を心がけてください。道路左端走行は、左方か 写真2 四輪A当から見た交差道路の写真 ら交差点侵入する相手から認知されにくいので、 極端な左端走行は、避けてください。 75 ITARDA INFORMATION 11 交通事故は、双方の当事者が、認知・判断・ 操作の運転行動の中で複数の要因でエラーを ● 原付は、被視認性が低く相手から 犯すことによって発生しています。主にA当 事者のきっかけとなるエラーによって事故が 見落とされやすい 自分の存在を相手にアピールする走行を心 発生しているため、A 当事者がエラーを犯さ なければ、事故は発生しないと考えられます。 がけてください。具体的には、物陰に入ら ないようにし、特に車両の陰に入らないよ うに適切な車間距離を保つことが必要です。 しかし、B当事者も、相手を認知していたに もかかわらず、 「相手も自分に気づいているから、 自分が相手より先に行ける」と不適切な判断 エラーを犯して事故に遭っている場合もある ため、相手の突然の行動に対処できるよう、 自己防衛運転していれば、事故は避けられた 可能性があると言えます。 ためのポイントを紹介します。 ● 原付運転者は、思い込みによる誤った 判断をしている 楽観的な思い込みはしないよう心がけてく ださい。自分が相手を認知しても、相手は 自分の存在に気づいているとは限りません。 ● 四輪運転者は、事前に確認したから 再確認せずに事故を起こしている 交差点に進入する際には、交差右方の確認 は、一度の確認だけではなく、もう一度確 認してください。 お詫びと訂正 イタルダ・インフォメーションNo. 74号の6ページ、事例3の図6に文字の誤りがあります。 お手数をおかけして恐縮ですが、 ご利用いただく際にご留意のほど宜しくお願い致します。 訂正箇所:<誤>「助手席同乗者:軽傷」⇒ <正>「助手席同乗者:重傷」 財団 法人 交通事故総合分析センター Institute for Traffic Accident Research and Data Analysis Eメール koho@itarda.or.jp ホームページ http://www.itarda.or.jp/ 事務局 〒102-0083 東京都千代田区麹町6-6 麹町東急ビル5階 TEL03-3515-2525 FAX03-3515-2519 つくば交通事故調査事務所 〒305-0831 茨城県つくば市西大橋字大窪647 TEL029-855-9021 FAX029-855-9131 2008 JULY 75 No. 発 行 月 平 成 20 年 7 月 〒 1 0 2 0 0 8 3 東 京 都 千 代 田 区 麹 町 6 6 麹 町 東 急 ビ ル 5 階 - 【参考文献】イタルダ・インフォメーション No.56「出会い頭事故における人的要因の分析」 財団法人 交通事故総合分析センター 2005年 イ タ ル ダ ・ イ ン フ ォ メ ー シ ョ ン - 今回の分析結果から、原付特有の走行形態(道 路左端走行)と外観形状の小さな原付は、車両、 樹木、看板や路肩の障害物の陰に入りやすく、 相手から見落とされて事故に遭っていること が判明しました。また、混合交通下での原付(二 輪車)は、形の大きな四輪車と比較されるため、 距離・速度を誤って判断されて事故に遭って いるケースも見られました。 以上の結果を踏まえて、事故を起こさない ● 原付は、相手に速度や距離を 誤判断されやすい 交差点で相手を認知したら減速することを 心がけてください。二輪車は、形の大きな 四輪と比較されているため速度・距離の判 断を誤られやすいことの認識が必要です。 Institute for Traffic Accident Research and Data Analysis まとめ 5 ITARDA INFORMATION CTION SE 発 行 者 漆 間 巌 発 行 所 ︵ 財 ︶ 交 通 事 故 総 合 分 析 セ ン タ ー
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