保全生態学研究 (Japanese Journal of Conservation Ecology) 17 : 245-255 (2012) 総 説 絶滅と移入のタイムラグ:景観変化に対する生物多様性の長期的応答 小柳 知代1・富松 裕2 1 早稲田大学人間科学学術院・2 東北大学大学院生命科学研究科 Time-lags in extinction and colonization: Long-term biodiversity responses to landscape changes Tomoyo Koyanagi1 and Hiroshi Tomimatsu2 1Faculty of Human Sciences, Waseda University, 2Graduate School of Life Sciences, Tohoku University 要旨:人間活動が引き起こす景観の変化と生物多様性の応答との間には、長いタイムラグが存在する場合がある。 これは、種の絶滅や移入が、景観の変化に対して遅れて生じるためであり、このような多様性の応答のタイムラグ は“extinction debt”や“colonization (immigration) credit”と呼ばれる。近年、欧米を中心とした研究事例から、絶滅 や移入の遅れにともなう生物多様性の応答のタイムラグが、数十年から数百年にも及ぶことが明らかになってきた。 タイムラグの長さは、種の生活史形質(移動分散能力や世代時間)によって、また、対象地の景観の履歴(変化速 度や変化量)によって異なると考えられる。過去から現在にかけての生物多様性の動態を正しく理解し、将来の生 物多様性変化を的確に予測していくためには、現在だけでなく過去の人間活動による影響を考慮する必要がある。 景観変化と種の応答の間にある長いタイムラグの存在を認識することは、地域の生物多様性と生態系機能を長期的 に維持していくために欠かせない視点であり、日本国内においても、多様な分類群を対象とした研究の蓄積が急務 である。 キーワード:移入の遅れ、景観履歴、生活史形質、絶滅の遅れ Abstract: There can be long time-lags in the biodiversity responses to human-induced landscape changes. The lagged responses in biodiversity due to delayed species extinction and colonization have been called the “extinction debt” and “colonization (or immigration) credit”, respectively. Recent studies, particularly from North America and Europe, have demonstrated that extinction and colonization were delayed for years, and even for decades or centuries, after landscape conditions were modified. Species traits, such as dispersal ability and life span, and landscape history appear to be important factors that affect the extent to which biodiversity exhibits a delayed response. To better understand such biodiversity dynamics, it is essential to consider not only the present landscape pattern but also the history of landscape modification due to human activities. There is an urgent need to accumulate data that can be used to predict the long-term dynamics of biodiversity, which can benefit our effort to conserve and maintain regional biodiversity and ecosystem function in the future. Keywords: colonization (immigration) credit, extinction debt, landscape history, life-history traits 面であり、現在だけでなく、過去の景観構造を反映して はじめに いることが少なくない。つまり、生息地が消失したり再 人間活動に由来する景観の変化に応答して、生物の多 生したりした後に、生物群集が応答するまでには、しば 様性や分布パターンも変化する。現在見られる生物の多 しば長い時間がかかる。これは、種の絶滅や移入が、景 様性や分布パターンは、長期的な変化過程における一局 観の変化に対して遅れて生じることで、(新しい平衡状 〒 359-1192 埼玉県所沢市三ヶ島 2-579-15 早稲田大学人間科学学術院 Faculty of Human Sciences, Waseda University, Mikajima 2-579-15, Tokorozawa, Saitama 359-1192, Japan e-mail: t-koyanagi@aoni.waseda.jp 2011 年 11 月 4 日受付、2012 年 3 月 30 日受理 1 245 小柳知代・富松 裕 態に比べて)多様性が一時的に過剰になる、または不足 するために起こる(Jackson and Sax 2010)。このような 群集の応答のタイムラグを考慮することは、生物多様性 の保全や生態系管理において極めて重要である (Kuussaari et al. 2009)。近年の人間活動にともなう景観 の変化は、一方向ではない。都市化が進行し、人間活動 が拡大する地域がある一方で、人口の減少や高齢化に伴 って人間活動が停滞し、人為的攪乱の強度や頻度が縮小 (消失)しつつある地域も存在する。生息地の破壊や分断、 再生、復元といった、さまざまな景観の変化に応じて生 物多様性が示す複雑なダイナミクスを予測することは、 生態学に課せられた大きな課題である。 本論文では、景観の変化と生物多様性の応答との間に、 長いタイムラグが生じうることを示す近年の研究につい て解説する。まず、タイムラグに関する主要な概念と、 生物多様性の保全や生態系管理における重要性について 述べる。絶滅や移入のタイムラグに関しては、その重要 図 1.絶滅の遅れ(a)と移入の遅れ(b)。生息地が消失したり、 再生したりした後に、群集が新しい平衡状態に達するまで に減少または増加する種数を、それぞれ“extinction debt” “colonization (immigration) credit”という。単に、絶滅や移 入が景観の変化に対して遅れて生じることを指す場合もあ る。群集が新しい平衡状態に達するのに要する時間は、緩 和時間(relaxation time)と呼ばれる。 性にも関わらず、邦文ではまとまった解説が無い。次に、 タイムラグを生み出す主要なプロセスについて整理した 上で、長いタイムラグがどのような実証研究によって支 1b,Nagelkerke et al. 2002;Jackson and Sax 2010)。これ 持されているのか紹介する。さらに、タイムラグの長さ らの用語は、単に、種の応答にともなうタイムラグの意 に影響を与える要因について明らかにするため、種の生 味で用いられることも多い。本稿では、絶滅や移入のタ 活史形質や景観履歴の観点から議論し、今後の課題を整 イムラグによって、多様性の応答に時間的遅れが生じる 理した。 ことを、それぞれ「絶滅の遅れ」「移入の遅れ」と呼ぶ こととし、種数の変化量だけでなく、景観変化に対する 種の応答のタイムラグをも意味するものとして定義した 生物多様性変化のタイムラグに関する概念と 保全・管理への示唆 い。実際には、タイムラグが生物多様性のダイナミクス 絶滅や移入が生じるまでに長いタイムラグが存在する 両方によって決まるだろう。つまり、群集を構成する多 ことは、早くから認識されていた。島嶼生物地理学(island くの種でタイムラグが長くなるとき、生物多様性のパタ biogeography)では、海水面の上昇によって島が小さく ーンには過去の景観変化の痕跡が多く残っているはずで なったり、噴火活動によって島の生物相が衰退したりし ある。 た後に、絶滅や移入を経て、生物群集が新しい平衡状態 タイムラグの影響を認識しておくことは、生物多様性 に達するまでに長い時間がかかることを指摘している の保全や生態系管理において極めて重要である。もし、 にもたらす影響の大きさは、緩和時間と種数の変化量の (MacArthur and Wilson 1967)。群集が新しい平衡状態に 絶滅の遅れが大きい場合、生息地の一部が消失したり質 達するのに要する時間は、緩和時間(relaxation time)と が低下したりした後も、長期にわたって種数が減少し続 呼ばれている(Diamond 1972)。その後、生息地の改変 けることになる(図 2b-1)。そのため、タイムラグを考 に注目したメタ個体群動態の理論研究から、タイムラグ 慮しなければ、将来失われる生物多様性の減少量を過小 に関わる 2 種類の用語が提唱された。Tilman et al. (1994) 推定してしまう可能性が 高い(Hanski and Ovaskainen は、生息地の一部が消失した後に、絶滅が遅れて生じる 2002)。しかし、同時に、絶滅の遅れが大きいことは前 ことによる種数の減少量を“extinction debt”と名付けた 向きのメッセージでもある。つまり、早いうちに生息地 (図 1a)。逆に、生息地が再生した後に、種が遅れて移 を再生する、生息地どうしをコリドーで結ぶといった措 入してくることによる種数の増加量は、“colonization 置を行えば、将来失われるであろう種数の減少を、ある credit”もしくは“immigration credit”と呼ばれている(図 程度は緩和することができるだろう(図 2b-2)。また、 246 景観変化に対する生物多様性の長期的応答 なタイムラグの影響について考慮することが不可欠であ る(Bekessy et al. 2010) 。 タイムラグはなぜ生じるか: 絶滅と移入の遅れを引き起こすプロセス 絶滅や移入の遅れを引き起こすプロセスは、さまざま である(表 1)。例えば、生息地の消失や分断が進行す ると、個体群の規模が縮小して繁殖や生存が制限された り、個体群間の交流が妨げられたりすることで、多くの 種が衰退して失われる(富松 2005, 印刷中)。しかし、 局所個体群の絶滅は、直ちに起こるとは限らない。ほと んど子孫が残せなくなったとしても、成熟個体はしばら く生きのびることができるだろう。また、局所個体群が 衰退したとしても、周辺の生息地から個体が移入するこ 図 2.絶滅や移入の遅れが、生物多様性の保全や生態系管理に 与える示唆。(a)絶滅の遅れが小さいとき、景観が変化し た直後に、種数は急速に減少する。(b)絶滅の遅れが大き いとき、景観が変化した後も、種数が長期にわたって減少 し続けることになる(1)。しかし、早いうちに対策を施せば、 将来失われたであろう種数の減少を、ある程度は緩和する ことが出来るだろう(2)。(c)生息地 A を開発して、その 分の種数の減少分(1)を、A と同じ特徴をもつ生息地 B を再生することで相殺しようとする(2)。もし、移入の遅 れが大きいとき、その過程で多様性が大きく損なわれる可 能性がある(3)。 とで個体群が「救済」され、しばらく維持されるかもし れない(“rescue effect”;Hanski 1999)。メタ個体群の理 論モデルでは、分断された生息地における局所個体群の 絶滅率が移入率を上回ることで、局所個体群が次第に消 失 し て い く こ と が 示 さ れ て い る(Tilman et al. 1994; Nagelkerke et al. 2002)。生息地の環境条件が景観変化に 対して遅れて応答することで、絶滅の遅れが生じること も考えられる。例えば、森林の周辺が農耕地へ転換され ると、森林内部では乾燥化や富栄養化が徐々に進行する だろう。さらに、生物間相互作用を介して連鎖的に絶滅 が生じるとき、タイムラグが長くなる可能性がある 図 2c に示すように、仮に A という生息地を開発して、 (Mouquet et al. 2011)。 その分の多様性の減少分を、A と同じような特徴をもつ 分散制限(dispersal limitation)は、移入の遅れを生じ 生息地 B を再生することで相殺を試みたとする。生息 地の総面積は開発の前後で変わらないため、十分な時間 させる主要なプロセスの 1 つである。生物種の分布は、 が経てば、生息地 A を開発したことによる種数の減少 生息適地の利用可能性だけでなく、種の移動分散能力に 分と、生息地 B を再生したことによる増加分は相殺さ よって制約を受ける。例えば、最終氷期以降に生息適地 れるかもしれない。しかし、もし生息地 B において移 が広がった後も、実際に多くの種が生息するようになる 入の遅れが大きいとき、その過程で多様性が大きく損な までには長い年月を要した(Cain et al. 1998;Svenning et われる恐れがある。近年では、開発等によって損なわれ al. 2008)。生息地が新たに再生または復元されたとして る生物多様性を、他の生息地を再生または復元すること も、種が移入し、定着するまでには、散布体の分散、個 で相殺しようとする取り組み(生物多様性オフセット) 体の定着、成長、繁殖など、さまざまな生活史過程を経 が、欧米やオーストラリアを中心に広く行われている なければならない。そのため、特に移動分散能力が低い (Madsen et al. 2011)。しかし、たとえ量・質ともに全く 分類群の場合、生息地が再生または復元されたとしても、 同じ生息地を再生することができたとしても、移入の遅 種多様性が回復するまでには相当に長い時間がかかる場 れによって多様性が損なわれる期間が長期に及べば、生 合がある(例えば、Pärtel et al. 1998;Jacquemyn et al. 物多様性のノーネットロスを達成したとは言えないだろ 2001)。特に、過去の土地改変によって埋土種子などの う。また、不確実性が大きくなり、開発によって損なわ 個体群の供給源が失われた場合には、周辺からの移入が れた生物多様性が完全に回復しない可能性がある。地域 不可欠となる(Bakker and Berendse 1999)。また、絶滅 レベルにおける生物多様性の管理においては、このよう の場合と同様に、土壌などの環境条件が遅れて応答する 247 小柳知代・富松 裕 表 1.絶滅と移入の遅れを引き起こすプロセス。関与する空間スケールに応じて、パッチスケール(個々の生息地パッチで生じる 局所スケール)と景観スケール(複数の生息地パッチ間で生じる広域スケール)とに分類した。 絶滅の遅れ 移入の遅れ ・パッチスケール ・パッチスケール 世代時間:子孫が残せなくなったとしても、成熟個体がしばら 個体の供給源の消失:過去の土地改変により、埋土種子などの く生きのびる。 個体の供給源が失われる。 生息地環境の変化:生息地の環境条件が、景観変化に対して遅 生物間相互作用:ポリネーターや菌根菌など、個体の定着に不 れて変化する。 可欠な生物間相互作用を欠く。 生息地環境の変化:過去の土地改変の影響が、土壌特性などの 環境条件に長期的に維持される。 ・景観スケール ・景観スケール 救済効果(rescue effect):周辺生息地からの移入によって、局 分散制限:周辺生息地からの個体の移入が制限される。 所個体群がしばらく維持される。 生物間相互作用:特定の種の絶滅が、生物間相互作用を介して 他種の絶滅を招く。 場合もある(Flinn and Vellend 2005)。さらに、種の移入 おり、このような直接的アプローチを用いた研究は少な や定着において重要な生物間相互作用(例えば、土壌微 い(例えば、Parody et al. 2001;Ferraz et al. 2003;Rogers 生物間の食物連鎖構造やポリネーターを介した花粉の媒 et al. 2009) 。 介)を欠くことで、移入の遅れが生じる可能性がある 間接的アプローチを用いた研究の多くは、草地や森林 (Forup et al. 2008;Holtkamp et al. 2008;de la Peña et al. に生育する草本植物を対象としたものである。ヨーロッ 2012)。 パでは、種多様性の高い草地が刈り取りや放牧によって このように、タイムラグが生じる背景にはさまざまな 伝統的に管理されてきたが、近年の土地利用の変化に伴 プロセスがあるが、過去の実証研究は、タイムラグの長 って急速に失われた。Lindborg and Eriksson(2004)と さに影響を与える要因を主に種の生活史形質や景観履歴 Helm et al.(2006)は、スウェーデンとエストニアの半 の観点から明らかにしてきた。次に、長いタイムラグが 自然草地にそれぞれ生育する植物の種多様性パターン 生じうることを示す実証研究を紹介した上で、タイムラ が、現在ではなく過去 50 ∼ 100 年前における生息地の グの長さに影響を与える要因について、種の生活史形質 面積や連結性(connectivity)によって説明できることを と景観履歴の観点から議論したい。 示した(図 3)。これは、生息地が失われる以前の過去 の景観構造の下で形成された種多様性パターンが、今も なお維持されていることを意味する。したがって、過去 絶滅や移入の遅れは、どのような実証研究に よって支持されているか に面積が大きかった(もしくは、連結性が高かった)生 息地では、現在の状況に関わらず種数が多い傾向が認め 絶滅の遅れ られるが、今後は、種多様性が低下していくことが予測 対象種(群)に対して経時的データが存在する場合に される。このように、多くの研究では、現在の種多様性 は、景観が変化した後に起こる絶滅を直接観察すること パターンが、現在よりも過去の景観構造で上手く説明で ができる。例えば、ブラジル・アマゾンで 1980 年代に きることを示すことで、景観の変化と種多様性の応答と 始まったプロジェクト(Biological Dynamics of Forest の間に長いタイムラグが存在することを示している。同 Fragments Project)では、熱帯多雨林を実験的に分断し 様の手法を用いて、日本の里山に生育する草原生植物の て異なる大きさの断片林をつくり、生息地の分断化がも 現在の分布パターンと過去の景観構造との対応関係を調 たらす影響に関して膨大なデータが集められている。 べた研究では、景観変化と種多様性の応答との間に 50 年以上のタイムラグがあることが分かっている Stouffer et al.(2009)は、森林の分断後 20 年を経てもな お鳥類種の局所個体群の絶滅が進行していること、小さ (Koyanagi et al. 2009) 。 な断片林の方が絶滅率が高かったことなどを明らかにし その他の間接的アプローチとして、景観が大きく改変 た。しかし、経時的データが利用できる場合は限られて された系を、比較的安定な系と比較することで、タイム 248 景観変化に対する生物多様性の長期的応答 図 3.絶滅の遅れを検出するための間接的アプローチ。現在の 種多様性パターンが、現在ではなく過去の景観構造(生息 地面積や連結性)で説明できることを示すことで、景観の 変化と種多様性の応答との間に長いタイムラグが存在する ことを示すことができる(Wiley-Blackwell 社の許可を得て、 Helm et al. 2006 から転載)。 図 4.アメリカ・ニューヨーク州において、二次林の林床植物 を対象として、移入の遅れを検出した事例。耕作放棄後に 成立した二次林の林床植物の種数は、放棄後の年数に伴っ て増加するものの、老齢林と同程度まで回復するまでには 100 年近い時間を要することが示唆されている(CABI の許 可を得て、Flinn and Marks 2004 から転載)。 ラグの有無を検証したものがある。Vellend et al.(2006) 距離が短く、長期的なシードバンクを形成しないため、 は、森林面積が減少してから数百年の年月が経過した英 新たな生息地への個体の移入および定着に時間がかかる 国のデータセットを用いて、森林面積が近年大きく減少 た め だ と 考 え ら れ て い る(Vellend 2003;Flinn and したベルギーの景観における草本植物の分布動態を予測 Vellend 2005;Hermy and Verheyen 2007)。また、ヨーロ した。その結果、ベルギーの森林には、英国における同 ッパや北米のプレーリーでは、耕地化や管理放棄によっ 面積の林分と比較して未だ多くの種が分布していたこと て失われた半自然草地を、火入れや採草、放牧などの周 から、森林の分断化にともなう草本群集の緩和時間が 期的な攪乱を再び導入することで、再生しようとする試 100 年以上にも及ぶことを見出した。また、種数―面積 みが行われている。しかし、二次林の事例と同様に、耕 関係を用いて将来絶滅によって減少する種数を推定する 作放棄後に放牧などの管理利用を再開したとしても、草 アプローチも取られてきた(例えば、Kinzig and Harte 原生植物の種多様性が、耕作の履歴を持たない半自然草 2000)。しかし、この方法で推定された“extinction debt” 地と同程度まで回復するには、100 年近い年月を要する の大きさは、相当な過大推定であることが指摘されてい ことが報告された(Gustavsson et al. 2007;Johansson et る(He and Hubbell 2011)。 al. 2008)。Dorrough and Ash(1999)は、半自然草地に 生息するトカゲ目の希少種 Delma impar を対象として、 移入の遅れ 耕作放棄後に成立した草地における移入の遅れを検証し 近年、ヨーロッパや北米東部など多くの地域では、耕 た。対象種の個体数は、耕作放棄後の年数やソース個体 作地の一部が放棄された後に二次林が発達している。二 群(耕作の履歴を持たない半自然草地)からの距離と正 次林の林床では、老齢林(一次林)から分散した草本種 の相関関係を、また、生息地周辺の裸地率とは負の相関 が次第に定着し、多様性が回復していく。アメリカ・ニ 関係を示し、移動分散の速度が極めて遅い(最大でも ューヨーク州において、異なる年代に放棄された後に発 170 年間で 2 km)ことが分かった(Dorrough and Ash 達した二次林を用いて種数の回復過程を再構築した研究 1999)。このように、多くの研究では、土地利用の履歴 では、老齢林と同程度にまで種数が回復するまでに 100 や年代ごとの景観構造の特徴(例えば、生息地面積や周 年近い時間を要することが示唆された(図 4;Flinn and 辺景観における土地利用の構成割合)を定量的な説明変 Marks 2004)。これは、林床植物では、種子による分散 数として、現在の種多様性パターンとの間に相関関係が 249 小柳知代・富松 裕 あることを示している。 よって、また対象地域(景観)によって異なり、タイム 絶滅の遅れを検出する場合と同様に、古い生息地と新 ラグが認められない場合もあることが分かっている。本 しい生息地の間で種数―面積関係が異なることを示すこ 節では、生活史形質や景観履歴の違いによるタイムラグ とで、移入の遅れを実証することもできる。理論的には、 の長さの違いに着目することで、タイムラグを生み出す 移入の遅れが大きいほど、新たに成立した生息地におい 要因の重要性を整理する。 て 面 積 あ た り の 種 数 が 少 な く な る(Cristofoli et al. 2010b)。しかし、実際には、成立年代の異なる生息地が 生活史形質による違い 複雑に分布している一方で、古い生息地も分断化による 種の移動分散能力は、種間での応答の違いを説明する 影響を受けている場合が多く、この手法を単純に適用す 上で、特に重要な形質である(表 2)。例えば、草原生 ることは難しい。このため、本手法を用いた研究事例は 植物を対象とした研究では、重力散布型よりも風散布型 限られている(例えば、Cristofoli et al. 2010a;Piqueray の 種 の 方 が、 絶 滅 に お け る タ イ ム ラ グ が 長 か っ た et al. 2011)。 (Koyanagi et al. 2012)。これは、分散能力の高い風散布 型の種では、分断された景観においても生息地間での移 絶滅と移入のバランス 住が可能で、局所個体群が絶滅しにくいためではないか 景観の変化は、一方向に生じるわけではない。生息地 と考えられる。逆に、分散能力が高い種ほど、移入にお が消失する一方で、新たな生息地が出現し、履歴の異な けるタイムラグは短いだろう。草原生の鱗翅目を対象と る生息地が複雑に入り混じって分布することがある。こ した研究からは、1 回あたりの飛行時間が長い種ほど、 れまでの研究の多くは、絶滅の遅れと移入の遅れのいず 半自然草地を再生した際の移入速度が速いことが示され れか一方を検証したものだが、実際の景観で認められる ている(Summerville et al. 2006)。さらに、生息地の特 生物多様性パターンは、両者のバランスの結果として形 異性が高い種(特定の環境条件下に生息するスペシャリ 成されていると考えられる(Jackson and Sax 2010) 。近年、 スト)ほど、絶滅や移入の遅れが検出されやすい(Ellis Baeten et al.(2010)は、ベルギー北西部の老齢林と耕作 and Coppins 2007)。これは、生息地の特異性が高いほど、 放棄後に成立した二次林で 30 年前に調べられた林床植 周辺景観の変化の影響を受けやすく、移動分散の制限が 生を再調査し、種多様性や種組成の変化について分析し 生じやすいためであろう。逆に、生息地の特異性が低い た。その結果、二次林では、過去 30 年の間に新たな草 種ほど、景観マトリックス(生息地周辺の景観構成要素) 本種の移入が確認された一方で、老齢林では現在も種多 を有効に利用し、新たに出現した生息地に速やかに移入、 様性の低下が進行していることを示した。老齢林におけ 定着することができるため、タイムラグは生じにくい る多様性の低下は、森林利用が行われなくなったことに (Bucher et al. 2010)。植物の場合、世代時間の長い木本 よる林分の過熟(林床における光環境の悪化)と、周辺 において生じる絶滅のタイムラグが数百年∼数千年に及 の土地利用が変化したことによる乾燥化および富栄養化 ぶ 可 能 性 が 示 唆 さ れ て い る が(Lindbladh and Foster によるものと考えられている。今後、ソースとなる老齢 2010)、一年生草本ではタイムラグが短いという研究例 林の個体群が衰退していけば、二次林における種多様性 がある(Lindborg 2007;Saar et al. 2012) 。日本において、 の回復に一層の遅れが生じる可能性が高い(Baeten et al. 明治時代の土地利用と現在のブナ林の分布との関係を調 2010)。この研究事例は、絶滅と移入の遅れを引き起こ べた研究では、かつて採草地であった場所が樹林化し、 す複数のプロセスが相互に作用することで、過去の景観 周辺からの移入によってブナ林へと遷移するまでには数 変化が長いタイムラグを介して、現在だけでなく将来の 百年の年月を要することが示された(Ohtani and Koike 生物多様性パターンに影響を与える可能性があることを 2005)。長期的なシードバンクの有無は、絶滅や移入の 速度を左右する重要な要因である(Lindborg 2007)。草 示している。 原生植物を対象とした研究では、長期的なシードバンク を形成する種ほど、景観変化後の絶滅速度が遅く、タイ タイムラグの長さを決める要因 ムラグが長いことが示された(Lindborg 2007;Koyanagi これまでの研究事例から、景観変化に対する生物多様 et al. 2012)。逆に、生息地を再生した際の種多様性の回 性の応答には、長いタイムラグが生じ得ることを示した。 復速度は比較的速く、移入の遅れは生じにくい(小柳ほ 一方で、タイムラグの長さは、対象とする種や分類群に か 2011)。さらに、栄養繁殖を行う種ほど、絶滅におけ 250 景観変化に対する生物多様性の長期的応答 表 2.絶滅および移入におけるタイムラグの長さに影響を与える生活史形質と実証研究の例。 絶滅のタイムラグが長い 移入のタイムラグが長い ・パッチスケール ・パッチスケール 世代時間が長い(Lindborg 2007;Krauss et al. 2010;Lindbladh 世代時間が長い(Ohtani and Koike 2005;Vega et al. 2010) and Foster 2010;Saar et al. 2012) 埋土種子の寿命が短い/植物の場合(Pärtel et al. 1998;小柳ほか 埋土種子の寿命が長い/植物の場合(Lindborg 2007;小柳ほか 2011) 2011) 栄養繁殖を行う/植物の場合(Lindborg 2007;Saar et al. 2012) ・景観スケール 移動分散能力が低い(Corlett and Turner 1997;Metzger et al. 2009;Saito and Koike 2009;Saar et al. 2012) 移動分散能力が高い/植物の場合(Koyanagi et al. 2012) 生息地の特異性が高い(Ellis and Coppins 2007) ・景観スケール 移動分散能力が低い(Dorrough and Ash 1999;Summerville et al. 2006;Piha et al. 2007;Chiba et al. 2009) 生息地の特異性が高い(Bucher et al. 2010) る タ イ ム ラ グ が 長 い こ と も 分 か っ て い る(Lindborg 早く消失した(Corlett and Turner 1997)。また、Krauss et 2007;Saar et al. 2012)。Verheyen et al.(2004)は、英国 al.(2010)は、ヨーロッパに分布する半自然草地を広く リンカンシャー州における林床植物の動態をメタ個体群 対象として、草原生のチョウ類と維管束植物の種数と景 モデルを用いて分析し、繁殖や種子散布に関わる生活史 観構造との関係を分析した。その結果、絶滅の遅れが植 形 質 に よ っ て 種 の 個 体 群 動 態( 個 体 群 の 回 転 速 度 物のみから検出され、チョウ類よりも応答のタイムラグ turnover rate)が特徴づけられることを示した。個体群 が長かった(Krauss et al. 2010) 。これらは、世代時間の の絶滅率と移入率は正の相関関係を持ち、絶滅率と移入 長い生物の方がタイムラグが長くなるとする期待とよく 率が高い“fast species”から、両者が低い“slow species” 合っている。 まで、さまざまな種が見られる。Vellend et al.(2006)は、 Nagelkerke et al.(2002)は、景観変化に対する応答の 回転速度の遅い“slow species”ほど、生息地が消失した 違いを説明する上で、生息地環境の安定性が 1 つの鍵に 後に絶滅が生じるまでのタイムラグが長くなることを示 なることを理論的に示した。例えば、森林のように、比 した。 較的攪乱が少なく安定した生息地では、寿命が長く、移 移動分散能力や世代時間の違いは、分類群間での応答 動分散能力が低い種が多く見られる。一方で、河畔や耕 の違いを説明する上でも重要な意味をもつと考えられ 作地など生息地が頻繁に攪乱を受ける条件下では、世代 る。移動分散能力の高い哺乳類では、より適した生息地 時間が比較的短く、移動分散能力の高い種が多い。この への移動(分断された生息地からの移出および再生され ため、不安定な環境に生息する種の方が、景観の変化に た生息地への移入)が速やかに生じるため、絶滅と移入 対して素早く応答することが期待される。長期にわたっ におけるタイムラグが短い傾向がある(Metzger et al. て人手が加えられていない老齢林や、人為的な管理によ 2009;Saito and Koike 2009)。一方で、分散能力の低い って維持されてきた半自然草地では、景観の変化に伴っ 陸生貝類、爬虫類、両生類などでは、数十年程度の比較 て生じる絶滅や移入の遅れが大きい可能性が高く、特に 的長いタイムラグが存在することが示されている(例え 注意が必要である。 ば、Dorrough and Ash 1999;Piha et al. 2007)。小笠原諸 島では、戦前、大規模な森林伐採が行われ、耕作地が増 景観履歴による違い 加した。戦後は耕作放棄が進行し、二次林の面積が増加 地域ごとの景観履歴の違いによっても、長いタイムラ している。Chiba et al.(2009)は、このような二次林に グが認められる場合とそうでない場合がある。例えば、 おける陸生貝類の種多様性が、耕作の履歴をもたない樹 ヨーロッパの半自然草地を対象とした研究では、景観変 林での種多様性よりも有意に低く、移入の遅れが生じて 化と種多様性の応答の間に 50 ∼ 100 年の長いタイムラ いることを示した。共通の生息地を対象として、絶滅に グが認められたケース(例えば、Lindborg and Eriksson おけるタイムラグの長さの違いを複数の分類群間で比較 2004;Helm et al. 2006)と、認められなかったケース(例 した研究も行われている。例えば、シンガポールや香港 えば、Adriaens et al. 2006;Öster et al. 2007)の両方が報 の熱帯雨林では、植物よりも脊椎動物の方が、分断後に 告されている。この要因について、Cousins(2009)は、 251 小柳知代・富松 裕 景観の変化速度や変化後の経過時間、または変化量(生 なく、対象種の繁殖や導入といった復元方法が必要にな 息地の残存量)の観点から説明している。生息地の残存 るだろう。 量は、対象種の絶滅の有無を判断する上で重要な指標に なりうる(McIntyle and Hobbs 1999;Swift and Hannon 今後の課題 2010)。 景 観 変 化 前 と 比 較 し て、 生 息 地 の 残 存 量 が 30-10%以下にまで低下した場合、多くの分類群で絶滅 景観の変化に対する生物多様性の応答を予測するため が 生 じ る こ と が 理 論 的 に 予 測 さ れ て お り(Swift and には、生物間相互作用や分散制限、生息地環境の応答な Hannon 2010)、さまざまな分類群を対象とした実証研究 ど、タイムラグの背景にあるプロセスを見極めるととも においても支持されている(例えば、Wiens et al. 1997; に、タイムラグの長さに影響を与える要因を特定する必 With et al. 2002;Radford & Bennett 2004) 。 要がある。プロセスに関して体系的な理解を深めるため 景観の変化速度、変化後の経過時間、変化量(生息地 には、特定の分類群だけでなく、分類群による違いや分 の残存量)という 3 つの要因は、互いに強く相関する傾 類群間の関係をも考慮した包括的な研究が求められる。 向がある。Cousins(2006)は、スウェーデンの農村に 現在の景観において認められる生物多様性パターンに おいて景観の履歴が異なる 2 つの地域を比較すること は、異なる年代における、さまざまな景観変化の影響を で、景観変化に対する草原生植物の種多様性の応答が異 受けて形成された多様性パターンがモザイク状に入り混 なることを見出し、景観履歴とタイムラグの長さとの関 じっていると考えられる。絶滅と移入の両方のタイムラ 係について検討した。最近になって景観の改変を受け、 グを考慮することで、現在の生物多様性パターンの中か 未だ伝統的な景観構造が残されている地域では、50 年 ら異なる年代に生じた異なる種類の景観変化による影響 以上のタイムラグが検出されたのに対して、景観が早く を見出し、タイムラグの背景にあるプロセスの理解を深 から改変を受け、生息地面積が 10%以下にまで低下し めていくことは、重大な課題であろう。さらに、景観変 た地域ではタイムラグが検出されなかった。前者では、 化にともなう生物多様性の変化は、生態系が担う重要な 群集が景観変化後に新しい平衡状態に達していないのに 機能やサービスにも波及すると考えられる(Laurance et 対して、後者では既に多くの種で絶滅が生じ平衡状態に al. 1997;Gonzalez et al. 2009)。しかし、生態系機能が示 達していたためだと考えられる(Cousins 2006, 2009)。 す応答の遅れ(“functioning debt”;Gonzalez et al. 2009) このように、長いタイムラグの有無は、対象地域におけ については、未だほとんど研究例が無い。 る景観の変化速度や変化量の観点から、ある程度説明す 前述したとおり、タイムラグを考慮することは、生物 ることが可能であろう。草原生植物を対象とした事例で 多様性の保全や管理において極めて重要である。景観の は、日本の里山(Koyanagi et al. 2009, 2012)の方が、ヨ 変化と生物多様性の応答との間に長いタイムラグが存在 ー ロ ッ パ の 半 自 然 草 地(Lindborg and Eriksson 2004; する場合、残された生息地を保全するだけでは十分では Cousins 2006)よりもタイムラグが短かった。対象地で なく、現在の多様性を維持するためには生息地の積極的 ある里山(茨城県筑波稲敷台地)が大都市近郊に位置し、 な再生や復元が必要となる。近年では、スギやヒノキの 景観変化の時期が比較的早く変化速度も急であったこ 人工林を伐採した後に、広葉樹林へと再転換する試みが と、また、生息地の残存割合が極めて少なかったことが 始まっている(清和 2010;田内 2010)。急峻な地形条件、 理由として考えられる。 林道などによる分断、シカによる被食、ササの繁茂など、 景観の履歴は、移入の遅れにも影響を及ぼすと考えら さまざまな要因が存在する中で、移入の遅れが生じる背 れる。未だ多くの生息地が残されていれば、新たに生息 景を理解し、広葉樹林を迅速に再生していくための具体 地が再生した場合に、移入の遅れが生じにくいだろう。 的 な 手 法 の 検 討 が 進 め ら れ て い る(Yamagawa et al. Vellend(2003)は、北米やヨーロッパの 10 地域におけ 2010)。 るデータを分析し、周囲に占める老齢林の割合が高いほ 既往研究が示すように、タイムラグに着目した研究は、 ど、耕作放棄後に発達した二次林における林床草本の種 その多くが、土地利用や生物分布に関するデータの蓄積 多様性が高いことを示した。この結果は、種多様性の高 が豊富な欧米を中心として行われてきた。景観変化と種 い老齢林の消失が、二次林における林床草本の多様性の の応答との間にある長いタイムラグの存在を認識するこ 回復を妨げることを示している。多様性の高い生息地の とは、地域の生物多様性と生態系機能を長期的に維持し 多くが消失した地域では、生息地環境を再生するだけで ていくために欠かせない視点である。日本においても、 252 景観変化に対する生物多様性の長期的応答 特定の分類群や生息地に偏らない研究の蓄積が急務であ り、研究事例間での比較を通して、タイムラグを生み出 す要因に関して一般性を見出していく必要がある。 謝 辞 本稿は、日本生態学会第 58 回大会企画集会「景観変 化と生物多様性の時間ダイナミクス」における講演内容 をもとに作成したものである。東北大学の千葉 聡氏、 ケンブリッジ大学の天野達也氏、横浜国立大学の斎藤昌 幸氏、東京大学の西川雄太氏、匿名の二名の校閲者には、 原稿に対して貴重なご意見をいただいた。心より御礼を 申し述べたい。 引用文献 Adriaens D, Honnay O, Hermy M (2006) No evidence of a plant extinction debt in highly fragmented calcareous grasslands in Belgium. Biological Conservation 133:212224. Baeten L, Hermy M, Van Daele S, Verheyen K (2010) Unexpected understorey community development after 30 years in ancient and post-agricultural forests. Journal of Ecology 98:1447-1453. 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