(3)第3部 ○演 題 お笑い健康道場を活用した中心市街地の活性化と観光振興 ○講 師 鳥取県東部経済同友会観光開発委員会委員長 福本 登 我々にとって、先が見えない、明日が見えないということほど不安なことはありま せん。今はそういう世の中であると思っています。今日、私が言いたいことは、人間 にとって、経済より何より、自分の体、健康、そこに不安がある人は生きていて非常 に辛い、と日頃から考えています。元気で笑って過ごすことができないかな、と考え たものがこれからお話しをします「お笑い健康道場」のことであります。 わたしは、いろいろなことをさせてもらっています。その原点といいますのが、地 域の人たちがどうしたら元気になれるのか、ワクワクできるのか、ということを私は 常に考えています。難しいどんな言葉や理屈を並べるより、一人でも多くの人が元気 になったり、ワクワクしたり、みんなが楽しくなる空気をつくることが地域の活性化 ではないか、と考えています。私の原点は、一人ひとりの笑顔です。 そして、私の精神。やればできる。やらなければできない。やらないための言い訳 はたくさんあるが、とにかくやる精神が必要。2つめ、新しい物に挑戦すると古いも のが消えそうで恐ろしい。しかし、挑戦を続けなければならない。破壊的創造。古く て良いものは残しながら、新しいものを積み重ねて育てて行くということです。3つ め、大きな道を歩むこと。4つめ、自分たちが主人公、自分たちでやり抜くこと。 そして、今、私自身大切なのは、自分の住んでいる地域、それを如何に分析し、そ して良くなるために行動するか。個人の力とかではなく、地域自体にどうやって力を つけていくかが重要だと思います。これは、地域力ということで最近、言われていま す。忘れてはならないことが、私たち一人一人、若い人もおじいちゃんおばあちゃん も生きている限りは、例えば日本という国、鳥取県鳥取市という地域のなかのどんな 小さな歯車かもしれないし、大きな歯車かもしれませんが、そのひとつの歯車の役割 をもっているのだという自覚が絶対に必要となってきます。特に、今はそうだという ふうに思っています。 昨年の 9 月 16 日に、NHKのテレビを見ていましたら、鳥取県の夕方の番組です が、境港のおばあちゃんがインタビューに答えてこういうことを言っていました。 「私たちが長生きをすると、若い者に迷惑がかかる。 」私は、涙が出るくらいに今で も思い出します。こんな世の中は絶対におかしい。日本もこのまちも長寿社会になっ て来ます。そういう社会を喜ぶべき社会にしようではありませんか。それをしないと 地域も日本も崩れていきます。 そこで私どもは、今、こういうことを考えています。これは完成品でもありません し、こういうものに向かって、官民一緒になって頑張っております。そのテーマは、 「お笑い健康道場」であります。笑いをふりかけて元気な人生をつくろう。それはこ ころの部分であります。そして、初動負荷トレーニング。これは後ほど述べさせて頂 きます。そいいった健康づくりによって、身も心も元気にできるようなまちがつくれ −117− れば、そこに住む、そういう人たちが居れば、絶対、全国からいろいろな人たちが集 まってくれる、このように信じています。 我々のテーマは、 「日本一元気な高齢者の住む街」 。じいちゃんばあちゃんが元気で あったら、子供たちも元気になります。子供たちが元気だったら、孫の顔を見たじい ちゃんばあちゃんも元気になります。それは、なぜか。ひとつには超高齢化社会がや ってくる。ただそれを嘆いているだけではなくて、どういうふうに具体的施策をとっ ていくかということであります。例えば介護保険料ひとつにしても、どんどん高くな っています。良い施設をつくろうと思えばお金がかかります。介護保険料が高くなり ます。何もつくらない地域は、当然介護保険料が安くなります。どちらを選ぶのか。 その判断は非常に厳しくなってきます。極論から言いますと、自分の健康は自分たち で作っていくようなシステムを作っていかないと、もう地域は持ちこたえられないの ではないかというのが今回の重要なもうひとつの骨子であります。 今、考えていますのが、駅を背にしますと正面に県庁がございます。そして、県庁 の手前が今日お集まりの県民会館であります。そのずっと手間に元銀行の建物があり まして、そこを今のところお借りしようと考えています。ただ、この一ヶ所で何かで きるということではありません。私たちの考えとしては、まち中がお笑い健康道場で あるという考えです。そのひとつのシンボルの位置付けとして、どうですかというこ とであります。 それではこういうことをすることによって、どういうことが生まれるのか。ひとつ には、中心市街地の空き店舗を利用していこうと考えています。商店街の方はいろい ろと努力をなさっていますが、なかなか厳しい現状です。空き店舗対策にはなってい ません。そして、そのテーマを我々はお笑いと健康というものに絞ったということで す。そして、高齢者や住民や買物客や観光客が集う、新しい集いの場というものが提 供できないだろうか、ということであります。そして、その結果として、 「目指せ日 本一、元気な鳥取を」ということにつなげていきたいと思っております。新たなる発 想と新たなる取り組みで、地域の活性化をするということであります。 それから、中心市街地の活性化について、私なりにまとめてみました。人が集まら ない商店街やまち、地域はもう消えていくだけだと思います。それを自然のかたちに 任せるのではなくて、相当の努力をしていくということであります。集いのスポット が消えると人は遠のきます。空き店舗から明店舗をつくったらどうなのだろうかとい うことが今回の発想であります。空き店舗の中に、お笑い神社をつくってみよう。楽 しそうだな。お笑い地蔵を置いてみよう。じいちゃんばあちゃんが毎日、そこに来て 手を合わす。人気になります。後ほど言いますが、吉本興業さんとタイアップした事 業でありますが、空き店舗や閉店後のシャッターに今、世界的な大家と言われていま すジミー大西さんの絵を描いてはどうでしょうか。若い者も喜びます。そして、吉本 と一緒になった地域のグッズの開発と販売を鳥取だけではなく全国に発信ができな いか。 −118− このように「お笑い健康道場」というのは、ただ心身ともの健康増進とかそういう ことではなく、違う面で商店街、地域の活性化という中で、新しいコミュニケーショ ンの場ということになり得ないか、いうことであります。 そして、駅を背に駅前商店街、本通商店街、若桜街道商店街、左右にも商店街がご ざいます。例えば、これを若桜街道のシャッターに絵を描けば、おじいちゃん、おば あちゃん、若い者もここを通ると、 「何か楽しいな」 、 「手を合わせてみよう」 、 「感謝 の気持ちをもって」 、 「今日も無事一日過ごしたよ」 、 「明日も元気でね」 「お笑い地蔵、 こういうものも設置したらどうかな」というふうに考えています。 そういう中で、今日のテーマであります、観光ですが、観光の活性化とはどういう ことか、これも私なりにまとめてみました。ひとつの条件は、一度来たら二度、二度 来たら三度、三度来たら四度、これが観光の活性化であります。一度きりの観光とい うのは、活性化ににはなりません。また見たいな、また会いたいな、また行きたくな るな。如何に、こういう仕掛けをするかということであります。そして、明店舗にす る。それをつくるのはすべて人であります。そこの店員さんであったり、それは商い を売る人ではなくて、笑いを売る人であります。そういうコンセプトの中で、店員さ ん、社員の教育をしてみてはどうなのだろうか。お客様がいらっしゃったら、物を買 って頂いて、おつりがあったら当然返します。お金とともに笑いを返すという、その 行為というのは相手の方が観光客であれば、もう 200%イメージアップです。ここを どうつくりあげていくかということも重要な課題のひとつであると思います。そして、 私自身はホスピタリティの徹底ということで、観光大学を設置してはどうだろうかと 思っています。これは建物を建てるのではなくて、どこかの会館の空いているところ をお借りしてやっていこうということで考えております。 我々のまちは、本年の 10 月 1 日に市町村合併を控えています。そして、そう遠く ないうちに姫路鳥取線という新直轄方式に加えられましたことで道路もつくられる ことだと思っています。我々のまちというのは、これから夢や希望が多く溢れたまち だというふうに思っています。町村合併も地域をどうやってつくっていくか。高速道 路をつくっていくこともどうやって新しい地域をつくるか、ということなのです。少 なくとも、全国の市町村の中でも鳥取ほど、これから夢や希望に溢れたまちはないな というふうに考えるが故に、今こそ観光大学の設立をというご提案をするわけであり ます。 それでは、この大学で何を学ぶかというと、基本は笑いであります。笑顔の習得で あります。そして、お客様の求めるサービスを素早くキャッチして、徹底して提供で きるプロ軍団の育成であります。徹底したサービスを追及します。斬新なアイデアを 捻出します。徹底したマナーを身につけます。変われる柔軟性を身につけます。この 4つを基本理念として、笑顔の習得をして頂くというような観光大学をつくってはい けないかということをご提案させて頂きます。 観光はどういうことだと言うと、観光を歓びの光につなげなければいけないと思い −119− ます。どんなに綺麗なことを言ってもそこに勤める人たちの生活が良くなる。そして、 商店街の活気が出るということはお金がどうやって回っていくかということではな いかと思います。どんな綺麗ごとを言っても、商品が売れなかった場合は結果が出て きません。たくさんのお金が、この高速道路開通とともに落ちていくようなまちにし ていく。お金が回っていくと地域の元気と潤いにつながるということは、しっかり押 さえておかなければなりません。しかし、そうは容易いことではありません。たくさ んの人がやって来るということは、眠らない鳥取をつくっていくということでありま す。それは 24 時間の店舗をつくるという意味合いだけではありません。そこに住む 人たち、そういう仕事に携わる人たちのこころが眠ってはならないということなので す。 「こんにちは、ようこそ。 」と言えるような、いつでもこころが起きている状態、 こういうものを一人一人の市民、県民が日頃から作っていかなくてはならないのです。 そういう中で、今、鳥取にはいろいろな人材がいらっしゃいます。地元の方はみな さんご存知かと思います。小山裕史さんという方です。小山さんは、イチローさん、 白人の中ではじめて 100 メートルで 10 秒 0 で走った伊東浩司さん、こういった方々 の専任トレーナー、コーチをなさっています。別にイチローさんが有名だから、杉山 愛さんが有名だから、伊東浩司さんが有名だからというわけでご披露するわけではな いのです。小山さんのところに集まってくる一流選手というのは、一流の人は一流の トレーニングを求めるのです。妥協を許さないのです。その人たちに「僕にとって小 山先生がいないと選手生命を絶たれるのと同様だ。 」と言われるくらいの人材が鳥取 に居るということであります。彼が 10 年前に初動負荷トレーニングという理論を構 築しました。初動負荷トレーニングとはどういうものかと言いますと、まず人間が健 康でいられるひとつの条件というのは、 「まず基礎代謝だ。 」と小山先生から聞かせて 頂きました。代謝というのは、古いものを出し新しいものを入れるという体の中の循 環です。それを例えば口に入れるものであれば、水であります。大人であれば、だい たい一日に 1.8 リットルの水が体内から変わっていかなければなりません。だから良 い水を飲みましょうということです。基礎代謝を高めることなのです。小山先生の理 論と言うのは、例えばスポーツ選手であると、今までは「腹筋を一日何千回しなさい。 」 、 「背筋を鍛えなさい。 」ということでした。彼のジムではそれを一切しません。 「腹筋 は鍛えなくていいですよ。 」 、 「背筋、鍛えなくていいですよ。 」 、最初、みなさんは「何 だ、この理論。 」と思うわけです。ところが結果がでました。彼のジムに行ってみる と、おじいちゃんおばあちゃん、病人もたくさんいます。年間にプロスポーツの選手、 アマチュア含めて鳥取に 2 万人以上の方が来ています。 もっと充実した施設があれば、 3 万人も 4 万人も来ると言われております。 そして、もうひとつ理論の中に、この理論をやっていけば絶対に寝たきり老人はい なくなるということがあります。歳とともに、いろんなところが衰えてきます。ただ 筋肉は 80 歳になっても 90 歳になっても太くなるそうです。これを初動負荷理論と思 って頂いても結構であります。 −120− 鳥取県としても鳥取市としても、この初動負荷トレーニングのまちというものを全 国に売出していこう。そして、それを目玉として、お笑い健康道場をひとつの核とし て多くの方に全国から集まって頂く、当然そこの商店街、わかさ商店街に元気なじい ちゃんばあちゃん、地元のじいちゃんばあちゃんも集います。全国から小山ワールド を目指して来る人も、そこの商店街、ジムに来ます。当然、ここで「何かを買ってい こうか。 」 、 「何か面白いものがありそうだな。 」と潤っていきます。こういうものがひ とつの流れとなって、はじめて商店街が活性化をしていくと思います。小山裕史さん、 吉本興業の力を借りながら、そういう商店街をつくっていきたいというのが「お笑い 健康道場」であります。 もうひとつの「笑って過ごそう。 」 、こういうことが叫ばれております。吉本興業と いうのは全国戦略というのもをずっとしておりましたが、残っていくのは東京のルミ ナとなんばグランド花月であります。吉本興業の幹部会では、鳥取発の新しいソフト を一緒になってつくっていこうということで、数年前からいろんな形でご協力を頂い て新しいソフトをつくって頂いております。鳥取ご当地というのは、なかなかお笑い 文化がないところであります。古きものを大切にしながらも新しいものに挑戦をして いこうということを冒頭に言ったのはこういうことであります。笑う文化がなければ、 育たないのなら育ててみよう。そして、 「笑う門には福が来る。笑って損することは ない。 」 。これがコンセプトであります。 笑うことで、ナチュラルケア、NK細胞がたくさん湧いてきて、ガンをも征圧する といいます。これは学術的に証明をされています。ですから、なんば花月に行きまし て、笑って出て来たみなさんが、すがすがしい顔をして帰って行かれるのはここであ ります。今は、鳥取から、なんばグランド花月に行きます。逆なのです。小山先生の ところにトレーニングをしがてら、吉本もある。大阪から呼び込みます。 吉本興業との提携のなかで、もうひとつ目玉があります。日本ではじめてのシステ ムだと思います。お笑いヘルパーというものをつくっていこうと思っています。1 年 間、吉本の方に週 1 回、2 週間に 1 回くらい来て頂いて落語を教えていただくとか、 また、地元にもマジックできる先生や、カラオケができる先生もいらっしゃいますの で、そういう方々にご指導頂き、受講をして頂きます。そして、例えば鳥取市などか らお笑いヘルパーとしての認定をして頂いて、資格を取る。そして、資格を取った方々 がいろいろなボランティアで高齢者のご自宅に行くことを考えています。また市内に もたくさんの老人介護施設があります。そういうところにもどんどん出掛けて行って、 楽しい一時を過ごしてもらおうと考えています。日本初のお笑いヘルパーというもの をぜひ立ち上げてみたい。地域に貢献できるヘルパーの養成というものを大きなもう ひとつの柱にしたいと思います。 そしてお笑い基金の創設ということも考えております。鳥取というのは、歯を見せ て笑ったらどうの、という雰囲気があります。笑うことが苦手な土地柄だと思います。 敢えて、そういうことに挑戦をしたいと思っています。笑いの育成、養成をみんなで −121− やろう。吉本もタレントの養成ということで数年前から岡山でもやりはじめました。 そいうところに行くためのお金が大変だなということであれば、そのうちの 2 割か 3 割を補助しよう。そして 1 年後には、お笑いヘルパーとして頑張ってもらう。地域を 明るくしてもらう。お笑い奨学金制度のあるまち、こういうものがつくれないかと考 えております。 最後になりましたが、私の描く「お笑い健康道場」は、若桜街道商店街の「お笑い 健康道場」については基地、核として置きます。そして、例えば県下にも、四国にも、 岡山にも、こういう「お笑い健康道場」のようなものがつくれないだろうかと考えて います。そういうものができれば、地域が地域として結びついていきます。人が行き 交います。 「まち中がお笑い健康道場だ。 」というような地域づくりの核となるのが、 若桜街道のところにできればと考えています。これが「お笑い健康道場」という意味 合いであります。 今、一生懸命、やれることからやろうということで頑張っております。どうぞ、み なさんのお力添えを頂きながら、後押しをして頂ければ幸いだと思っております。ど うもありがとうございました。 −122− <講演資料> −123− −124− −125− −126−
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