FOOD Contact Materials(FCM) 食品に接触する素材および製品の解説② プラスチック施行規則 (Plastic Implementation Measure、以下 PIM) 食品と接触するプラスチック素材および製品は、欧州委員会規則(EU)No 10/2011(別名「プ ラスチック施行規則」:PIM)により規制されています。指令 80/766/EEC、81/432/EEC、 2002/72/EC およびその改正指令は廃止されました。 PIM は 2011 年 5 月 1 日より発効しています。ただし、2015 年 12 月 31 日までは、これまで の模擬溶媒(food simulant)および条件を用いた移行試験(migration test)によって、引き 続き FCM 要求事項への適合を証明できます。下表のように、2016 年 1 月 1 日より、欧州委 員会規則(EU)No 10/2011 に規定されている移行試験についてのルールが適合の基準となり ます。 試験条件 2011 2012 2013 2014 2015 2016 従来の模擬溶媒および条件(指 令 85/572/EEC および指令 97/48/EC) ○ ○ ○ ○ ○ × 新たな模擬溶媒および条件(欧 州委員会規則(EU)No 10/2011) × × ○ ○ ○ ○ PIM は以下のプラスチック素材および製品に適用されます。 ‒ プラスチック素材および製品、ならびにプラスチックで作られている部品 ‒ 接着剤またはその他の方法で結合された、多層プラスチックおよびプラスチック製品 ‒ 印刷されたおよび/またはコーティングが施された、プラスチック素材・製品または多 層プラスチック ‒ キャップや蓋の内側でガスケットを構成するプラスチック層およびプラスチックコーテ ィングで、キャップや蓋とともに、素材が異なる複数の層を構成するもの ‒ 多素材または多層のプラスチック素材および製品 PIM の規制対象となるプラスチック素材および製品には、次のようなものが含まれます。食 品業界で使用する食品貯蔵タンク、パイプ、ポンプ、コンテナ、ベルトコンベア。カップ、 皿、カトラリーなどのキッチン用品。調理台の表面。冷蔵庫の内壁および棚。 tuv.communication 2013 年 第 11 号掲載 (c) TÜV Rheinland Japan Ltd.(無断転載・転用を禁じます) 1 イオン交換樹脂、ゴム、シリコンは PIM の適用範囲には含まれていません。これらの素材 には EU 国内規制が適用されます。 プラスチック素材および製品は、FCM の枠組み規制に規定されている一般要求事項に加えて、 PIM により以下のように規制されています。 組成に関する要求事項 プラスチック素材および製品の製造に使用可能な物質は、欧州委員会規則(EU)No 10/2011 の附属書 1 に示された認可物質のユニオン・リスト(Union List)に掲載されている物質に 限られます。指令 2002/72/EC の附属書Ⅱおよび附属書Ⅲは、このリストに置き換えられま した。 ユニオン・リスト(union list)には、モノマーおよびその他の原料として使用される物質、 着色剤を除く添加剤、溶剤を除くポリマー製造補助剤、微生物発酵による高分子物質など が含まれています。 着色剤および溶剤はユニオン・リスト(union list)には記載されておらず、欧州議会・閣 僚理事会規則(EC)No. 1935/2004 第 3 条の一般要求事項に従って、プラスチック素材および 製品のプラスチック層製造に使用することが可能です。 一般要求事項、規制事項、基準値 プラスチック素材および製品の製造に使用される物質は、意図される用途および予測可能 な使用に適した品質および純度でなければなりません。当該当局からの要請に応じて構成 成分を提示することになっています。 プラスチック素材・製品の規制事項および基準値は以下のとおりです。 ‒ 総移行限度(Overall migration limit, OML):10 mg/dm2 または 60 mg/kg(乳幼児の場合) ‒ 特定移行限度(Specific migration limit, SML):附属書Ⅰに記載のとおり。附属書 Ⅰに SML が記載されていない物質については、限度が 60 mg/kg となっている。 第 3 条の定義 (11)OML とは、素材または製品から模擬溶媒に放出する不揮発性物質の最大許容量を意味す る。 (13)SML とは、素材または製品から食品または模擬溶媒に放出する一定の物質の最大許容量 を意味する。 適合を実証するため、試験は下記のような模擬溶媒、試験時間、試験条件を用いて実施し ます。 tuv.communication 2013 年 第 11 号掲載 (c) TÜV Rheinland Japan Ltd.(無断転載・転用を禁じます) 2 - 模擬溶媒は、下に示している附属書Ⅲ表 1 のとおり。食品カテゴリーに固有の模擬溶媒 は、附属書Ⅲの表 2 に規定されています。 ‒ SML の試験条件は、附属書Ⅴの表 1 および表 2 に規定されています。OML 試験の試験条件 は、附属書Ⅴの表 3 に規定されています。 tuv.communication 2013 年 第 11 号掲載 (c) TÜV Rheinland Japan Ltd.(無断転載・転用を禁じます) 3 適合宣言 (Declaration of compliance) 事業者が適合宣言書を作成します。適合宣言書には、欧州委員会規則(EU)No 10/2011 の附 属書Ⅳに規定されている情報を記載します。 詳しくは、以下参考資料をご参照下さい。 1. Commission Regulation (EU) No 10/2011 of 14 January 2011 on plastic materials and articles intended to come into contact with food. 2. Commission Regulation (EU) No 1282/2011 of 28 November 2011 amending and correcting Commission Regulation (EU) No 10/2011 on plastic materials and articles intended to come into contact with food. 3. Commission Regulation (EU) No 1183/2012 of 30 November 2012 amending and correcting Regulation (EU) No 10/2011 on plastic materials and articles intended to come into contact with food. 4. http://ec.europa.eu/food/food/chemicalsafety/foodcontact/eu_legisl_en.htm 5. Council Directive 85/572/EEC of 19 December 1985 laying down the list of simulants to be used for testing migration of constituents of plastic materials and articles intended to come into contact with foodstuffs. 6. Commission Directive 97/48/EC of 29 July 1997 amending for the second time Council Directive 82/711/EEC laying down the basic rules necessary for testing migration of the constituents of plastic materials and articles intended to come into contact with foodstuffs. お問い合わせは、テュフ ラインランド ジャパン カスタマーサービスセンター (TEL: 045-470-1850 E-mail: info@jpn.tuv.com)までお願いします。 tuv.communication 2013 年 第 11 号掲載 (c) TÜV Rheinland Japan Ltd.(無断転載・転用を禁じます) 4
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