新製品情報ケムインフォマティクスシステム Java ScriptとMOEによるWebアプリケーション MOEは、計算化学のための統合ソフトウェアとして多数のアプリケーションを搭載しており、全ての機能を一貫した操作性で利用することができます。しかし、高度な3次元グラフィックスを必要とせず、一部の機能のみを利用したいというような場合、MOEを起動してGUIを操作することは煩雑に思われるでしょう。そのようなニーズに対応すべく、MOEには、標準でMOE/webという機能が提供されています。しかし、MOE/web の枠組みの中では複雑な操作を必要とするアプリケーションを実装することは困難であるため、多くの場合、バッチ計算のインターフェースという位置づけに近いものとなっています。そこで弊社では、Java Script とAjax技術を活用し、デスクトップアプリ並みの操作性と、計算エンジンとしてのMOEの特徴を生かした独自のアプリケーションを開発しましたので紹介します。 ■ WEB-QFSS の列の上部には自動的に検索フィールドが表示されますの QFSS(Quick Federated Structure Search)は、Oracleなどで、文字列には部分一致、数値には不等号を使った絞り込のデータベースシステムを使用することなく、MOEのみで数みが可能です。さらに、QFSS 同様、構造式を入力することで千万件の化合物構造を数秒～数分で検索することができる部分構造検索も可能です。プログラムです。（このプログラムの背景となる技術につきましては、22 巻2号 6頁掲載の記事をご参照ください） WEB-QFSSは、この機能をWebブラウザーから利用できるようにしたアプリケーションです（図1）。 MOE 版同様、検索対象のデータベースや検索方法 ( 部分構造検索、類似構造検索など )を指定して検索を行うことができるばかりでなく、分子構造の入力や結果の表示に、Webアプリケーションらしい使いやすさを合わせて提供しています。図2　SDファイルの表示と記述子計算これらのアプリケーションにおいて、構造検索や記述子の算出、ファイルの統合などの処理は、イントラネット上に用意されたサーバーで起動するMOE/batchが行います。しかし、 Webアプリケーションを起動しただけではMOEは起動せず、実際のデータ処理の間のみ使用しますので、１トークンのライセンスで、複数のユーザーが同時利用することも実用図1　分子構造の描画と部分構造検索結果例えば、クエリーとなる分子構造は、ブラウザー上の描上可能です。これらのアプリケーションの詳しい動作環境や入手方法につきましては、弊社までお問い合わせください。 ■ Webアプリケーションの拡張画ツールでスケッチできるほか、MOLファイルをドラッグここで紹介したWebアプリケーションでは、ブラウザー＆ドロップで入力することもできます。検索結果は、検索とMOE/batch の連携に、Webシステムにおける一般的なごとにウィンドウとして表示されますので、複数の検索結言語であるphp を使用しています（図 3）。そのため、この枠果を比較検討することが可能です。また検索結果はフィー組みを拡張し、MOEばかりでなく、リレーショナルデータルドごとにフィルタリングでき、文字列は部分一致、数値ベースやインターネット上のリソースと連携したシステムがは不等号を使った絞り込みも可能です。提供可能で、開発のご相談を承ります。 ■ WEB-SD Processor SDファイルを画面の所定の位置にドラッグ＆ドロップするだけで内容を表形式で表示し、ファイルの分割や統合、記述子計算などを行うことのできるアプリケーションです（図 2）。テーブルではExcelスプレッドシートのようなスクロールやソートのほか、外部出力が可能です。また、テーブルの全て 2 図3　システム構成図