【2015.12月号】No.436

月刊
第37巻第12号通巻436号2015年12月1日発行(毎月1回1日発行)1980年10月23日第3種郵便物認可
12
2015年
マスコミを通じて見聞きする
経営者の発言・態度が企業イメージに大きく影響
◆社会広聴アンケート
-「情報源に関するアンケート」
調査結果-
◆ANGLE
(一社)
全国銀行協会 広報室室長・金融リテラシー推進室室長 小倉康介
◆企業広報研究
436
December
危機管理の死角
静岡県立大学 特任教授 小川和久
「PESO」
を組み合わせた戦略的広報を
~グローバルPR最新事情~
『PR WEEK』編集長 スティーブ・バレット
今 月 の 表 紙
「SMART MOBILITY CITY 2015」は10月29日から11
月8日まで第44回東京モーターショー 2015会場(東京
ビッグサイト)で開催された。自動車メーカー、情報
通信、環境・エネルギー、住宅、先進素材などの民間
企業のほか、関連団体・行政機関の出展を見学でき、
シンポジウムや試乗体験などにより、最先端の製品、
技術、システム、サービスに触れることができた
『経済広報』では、裏表紙に関連する写真・イラストを表紙に
掲載しています。
12
月の 動 き
国内
4日
11月の消費動向調査結果
(内閣府)
7日
10月の景気動向指数速報
(内閣府)
8日
10月の国際収支速報
(財務省)
11月の景気ウォッチャー調査
(内閣府)
10日
10 ~ 12月期の法人企業景気予測調査
(内閣府)
17日
11月の貿易統計
(財務省)
17 ~ 18日
日銀の金融政策決定会合
25日
11月の失業率
(総務省)
11月の有効求人倍率
(厚生労働省)
30日
大納会
(東京証券取引所など)
海外
3日
ECB
(欧州中央銀行)
定例理事会
(ドイツ・フランクフルト)
4日
11月の米雇用統計
(米労働省)
10月の米貿易収支
(米商務省)
11日
11月の米小売売上高
(米商務省)
15 ~ 16日
FOMC
(米連邦公開市場委員会)
(米FRB
(連邦準備制度理事会)
)
23日
11月の米個人所得・消費統計
(米商務省)
2015年12月号目次
社会広聴アンケート
マスコミを通じて見聞きする
経営者の発言・態度が
企業イメージに大きく影響
2
-「情報源に関するアンケート」調査結果-
「情報源に関するアンケート」
から考える企業広報のポイント
8
宮崎陽介(エデルマン・ジャパン(株) ストラテジーディレクター)
ANGLE
広報と金融リテラシー
小倉康介((一社)全国銀行協会 広報室室長・金融リテラシー推進室室長)
9
企業広報研究
危機管理の死角
小川和久(静岡県立大学 特任教授)
「PESO」を組み合わせた戦略的広報を
10
~グローバルPR最新事情~
12
2015年度の世界ブランド
価値ランキングから見える本質
14
緊急時対応のシャドーサイトの在り方
有事に求められる企業のオンライン対応
16
スティーブ・バレット(『PR WEEK』編集長)
和田千弘((株)インターブランドジャパン 社長CEO)
雨宮和弘(クロスメディア・コミュニケーションズ(株) 代表取締役)
国際プロジェクト紹介⑤
上海ジャーナリストが体感した
「スポーツを通じた産業振興と地域貢献」
20
企業広報講座ダイジェスト5
新聞はどのようにつくられるか
21
総目次
2015年1〜 12月号
23
連載
経済広報センター NEWS
18
企業広報ニュース(広報トピックス/ Book)
22
企業・団体のCSR活動
(
(一社)
日本自動車工業会)
12月の動き
裏表紙
表紙裏
発行/一般財団法人経済広報センター 国内広報部
東京都千代田区大手町1-3-2 経団連会館 TEL:03-6741-0021
印刷/三葉株式会社 TEL:03-3294-4751
※本誌掲載の記事・写真・イラスト・図版の無断掲載を禁じます。
2015年12月号〔経済広報〕
1
社会広聴アンケート
マスコミを通じて見聞きする
経営者の発言・態度が
企業イメージに大きく影響
-
「情報源に関するアンケート」調査結果-
インターネット技術の進化により、生活者を取り巻く情報環境は大きく変化している。生活者は、従来の
新聞やテレビなどのマスメディアを通じた情報に加え、インターネットを利用して多くの情報を得ることが
可能になった。また、ソーシャルメディアの登場によって、生活者自身も自由に情報を発信できるようにな
る一方で、生活者は多様な情報源の中から必要な情報を選択し、正しい情報を見極める目を持つことが求め
られるようにもなっている。
そこで、経済広報センターでは、生活者の情報源の利用実態や、各情報源に対して抱いている印象のほか、
企業に関する情報収集の実情について調査を行い、その結果を取りまとめた。
調査の対象は、全国の様々な職種、世代で構成される社会広聴会員のうち、インターネットで回答可能な
3117人。1744人が回答し、回答率は56.0%だった。調査期間は7月16 ~ 27日。
回答者の属性は、男女別では、男性(775人、44.4%)
、女性
(969人、55.6%)
。世代別では、29歳以下
(50
人、2.9 %)、30歳 代(219人、12.6 %)、40歳 代(298人、17.1 %)
、50歳 代
(533人、30.6 %)
、60歳 以 上
(644人、
36.9%)
。職業別では、会社員・団体職員・公務員(702人、40.3%)、会社役員・団体役員(79人、4.5%)、自営
業・自由業(133人、7.6%)、パートタイム・アルバイト(228人、13.1%)
、専業主婦・夫
(319人、18.3%)
、学生
(20人、1.1%)、無職・その他(263人、15.1%)。
1
社会の動きを知る情報源は「テレビ」
「新聞」が中心。
「インターネット」
「マスコミのニュース
サイト」
も活用
生活者が一般的な社会の動きを知ろうとするときに利用する情報源としては、
「テレビ」
(73%)と
「新聞(イン
ターネット版を除く)
」(68%)が高く、次いで「インターネット
(マスコミのニュースサイト、ソーシャルメディ
アを除く)」
(49%)、
「マスコミのニュースサイト(電子版の新聞・雑誌など)
(23%)
」
となっている。
■情報源の利用(全体)
(3つまでの複数回答)
新聞(インターネット版を除く)
68
73
テレビ
ラジオ
11
雑誌(インターネット版を除く)
8
マスコミのニュースサイト
(電子版の新聞・雑誌など)
ソーシャルメディア
(SNS、
ブログなど)
インターネット
(マスコミのニュースサイト、
ソーシャルメディアを除く)
23
6
49
その他 0
0
2
〔経済広報〕2015年12月号
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100%
社会広聴アンケート
2
「テレビ」
は半数以上が1日に1時間以上視聴。若い世代は新聞離れが進む
情報源の平均的な1日の利用時間について、
「テレビ」は
「1時間以上2時間未満」
が30%、
「2時間以上4時間未
満」が21%、
「4時間以上」が6%と、半数以上(57%)が1時間以上視聴しており、ほかの情報源に比べて利用時
間が長い。
世代別では、
「新聞(インターネット版を除く)
」は29歳以下の非利用者が6割近くに上る一方で、60歳以上では
1時間以上利用する割合が3割を超え(32%)、世代間で利用状況が大きく異なる。
3
ネットメディアの利用が一段と拡大。若い世代ではテレビ離れの傾向も
利用している情報源について、ここ2、3年での利用時間の変化を見ると、
「マスコミのニュースサイト
(電子
版の新聞・雑誌など)」「ソーシャルメディア(SNS、ブログなど)
」
「インターネット
(マスコミのニュースサイ
ト、ソーシャルメディアを除く)」はいずれも4割超が「増えた
(大幅に/多少)
」
としており、ネットメディアの活
用が一段と進んでいることがうかがえる。
「テレビ」では、
「減った(多少/大幅に)」が29歳以下で41%、30歳代で
45%に上り、若い世代においてテレビ離れの傾向が見られる。
4
インターネットを利用する際の機器は7割が「パソコン」。若い世代は「スマートフォン」が
「パソコン」
を上回る
インターネットを利用する際の機器は、
「パソコン」
(72%)
が突出している。若い世代では
「スマートフォン」
の
利用が29歳以下で52%、30歳代で47%と「パソコン」
(29歳以下40%、30歳代44%)
の利用を上回っている。
5
「新聞」
は正確で信頼できる、
「テレビ」は分かりやすい、
「ソーシャルメディア」は正確さ・信
頼性は低いとの印象
各情報源の印象を聞いたところ、「新聞(インターネット版を除く)
」
は正確さと信頼性において約5割が肯定的
に評価しているほか、
“分かりやすい”、
“自身の行動・考えに影響する”
といった印象も強い。
「テレビ」
は分かりや
すいとの印象が持たれている。
「ソーシャルメディア(SNS、ブログなど)
」は利用度合いの高い若年層でも、正
確さや信頼性が低い情報源として認識されている。
■情報が正確である/正確でない(全体)
(単一回答)
情報が正確である ■とても ■やや ■普通 ■やや ■とても 情報が正確でない
新聞(インターネット版を除く)
11
40
テレビ 3
23
ラジオ 4
21
雑誌(インターネット版を除く)1
0
5
64
10
35
22
24
20
48
30
35
40
50
2
24
43
20
2
6
55
13
1
24
46
10
9
45
12
マスコミのニュースサイト
(電子版の
2
新聞・雑誌など)
0
ソーシャルメディア
(SNS、
ブログなど) 4
インターネット(マスコミのニュースサイト、
1
ソーシャルメディアを除く)
39
60
70
8
80
90
100%
*小数点以下第1位四捨五入のため、合計が100%とならない場合もある。
2015年12月号〔経済広報〕
3
社会広聴アンケート
■情報が信頼できる/信頼できない(全体)
(単一回答)
情報が信頼できる ■とても ■やや ■普通 ■やや ■とても 情報が信頼できない
11
新聞(インターネット版を除く)
43
テレビ 3
22
ラジオ 4
雑誌(インターネット版を除く)1
22
8
52
23
47
27
42
20
3
37
30
2
36
21
10
6
10
44
11
2
27
62
11
0
9
43
22
マスコミのニュースサイト
(電子版の
2
新聞・雑誌など)
0
ソーシャルメディア
(SNS、
ブログなど) 4
インターネット(マスコミのニュースサイト、
1
ソーシャルメディアを除く)
35
40
50
60
9
70
80
90
100%
*小数点以下第1位四捨五入のため、合計が100%とならない場合もある。
■情報が分かりやすい/分かりにくい(全体)
(単一回答)
情報が分かりやすい ■とても ■やや ■普通 ■やや ■とても 情報が分かりにくい
新聞(インターネット版を除く)
12
40
15
テレビ
ラジオ 4
43
雑誌(インターネット版を除く) 3
55
10
41
0
20
30
■自身の行動・考えに影響する/影響しない(全体)
16
3
16
2
15
49
10
3
33
20
40
2
20
50
24
1
7
55
28
インターネット(マスコミのニュースサイト、
3
ソーシャルメディアを除く)
7
33
17
マスコミのニュースサイト
(電子版の
3
新聞・雑誌など)
ソーシャルメディア
(SNS、
ブログなど)1
40
24
50
60
70
80
5
90
100%
*小数点以下第1位四捨五入のため、合計が100%とならない場合もある。
(単一回答)
自身の行動・考えに影響する ■とても ■やや ■普通 ■やや ■とても 自身の行動・考えに影響しない
新聞(インターネット版を除く) 5
35
テレビ 4
26
ラジオ 2
13
雑誌(インターネット版を除く)1
15
マスコミのニュースサイト
(電子版の
1
新聞・雑誌など)
15
ソーシャルメディア
(SNS、
ブログなど)1
インターネット(マスコミのニュースサイト、
1
ソーシャルメディアを除く)
0
44
47
32
7
27
46
40
11
20
32
30
9
26
57
20
8
18
47
14
4
16
58
8
10
11
26
50
60
70
12
80
90
100%
*小数点以下第1位四捨五入のため、合計が100%とならない場合もある。
6
「政治・社会」
「経済」は新聞・テレビ、
「事件・事故」
「スポーツ・芸能」はテレビ、
「趣味」はイ
ンターネットが主な情報源に
「政治・社会の動き」や「経済の動き」に関する情報収集には、
「新聞
(インターネット版を除く)
」
と
「テレビ」
が情
報源として7割程度活用されている。これに対して、
「事件・事故」
については
「テレビ」
(80%)
が
「新聞
(インター
ネット版を除く)
」
(57%)よりも積極的に活用される。
「趣味」では
「インターネット(マスコミのニュースサイト、
ソーシャルメディアを除く)」
(60%)のほか、
「雑誌(インターネット版を除く)
(37%)も利用されている。
」
4
〔経済広報〕2015年12月号
社会広聴アンケート
企業の事業内容や商品・サービス内容、環境、CSR(企業の社会的責任)活動などの情報
7
収集では
「企業のホームページ」が最大の情報源。事故・不祥事への対応は「新聞」
「テレビ」
などマスコミ情報を活用
企業の「事業内容など」の情報収集には「企業のホームページ」
(58%)
が最大の情報源。
「商品・サービスの内容」
「環境、CSR、社会貢献活動」でも企業のホームページが活用される。一方、
「事故、不祥事など危機への対応」
では
「新聞(インターネット版を除く)」「テレビ」などマスコミ情報を活用する割合が大きい。また、
「商品・サー
ビスの評価やイメージ」は「インターネット(マスコミのニュースサイト、ソーシャルメディア、企業が運営する
ソーシャルメディア、企業のホームページを除く)」が主な情報源となっている。
■事業内容など(全体)
(複数回答)
41
新聞
(インターネット版を除く)
20
テレビ
2
ラジオ
10
雑誌
(インターネット版を除く)
マスコミのニュースサイト
(電子版の新聞・雑誌など)
ソーシャルメディア
(SNS、
ブログなど)
9
3
6
企業が運営するソーシャルメディア
企業のホームページ
インターネット
(マスコミのニュースサイト、
ソーシャルメディア、
企業が運営するソーシャルメディア、企業のホームページを除く)
企業が発行する各種報告書(会社案内、
CSRレポート、広報誌など)
58
27
19
12
商品・サービス
1
その他
8
特に得ていない
0
10
20
30
40
50
60
70
80
■財務・株価情報(全体)
90
100%
(複数回答)
42
新聞
(インターネット版を除く)
15
テレビ
2
ラジオ
6
雑誌
(インターネット版を除く)
マスコミのニュースサイト
(電子版の新聞・雑誌など)
ソーシャルメディア
(SNS、
ブログなど)
11
2
4
企業が運営するソーシャルメディア
企業のホームページ
インターネット
(マスコミのニュースサイト、
ソーシャルメディア、
企業が運営するソーシャルメディア、企業のホームページを除く)
企業が発行する各種報告書(会社案内、
CSRレポート、広報誌など)
31
30
17
商品・サービス
1
その他
2
17
特に得ていない
0
10
20
30
40
50
60
70
80
■商品・サービスの内容(全体)
90
100%
(複数回答)
27
新聞
(インターネット版を除く)
25
テレビ
3
ラジオ
10
雑誌
(インターネット版を除く)
マスコミのニュースサイト
(電子版の新聞・雑誌など)
8
7
ソーシャルメディア
(SNS、
ブログなど)
6
企業が運営するソーシャルメディア
企業のホームページ
インターネット
(マスコミのニュースサイト、
ソーシャルメディア、
企業が運営するソーシャルメディア、企業のホームページを除く)
企業が発行する各種報告書(会社案内、
CSRレポート、広報誌など)
45
41
7
26
商品・サービス
2
その他
4
特に得ていない
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100%
2015年12月号〔経済広報〕
5
社会広聴アンケート
■商品・サービスの評価やイメージ(全体)
(複数回答)
28
新聞
(インターネット版を除く)
27
テレビ
3
ラジオ
12
雑誌
(インターネット版を除く)
マスコミのニュースサイト
(電子版の新聞・雑誌など)
10
16
ソーシャルメディア
(SNS、
ブログなど)
4
企業が運営するソーシャルメディア
企業のホームページ
インターネット
(マスコミのニュースサイト、
ソーシャルメディア、
企業が運営するソーシャルメディア、企業のホームページを除く)
企業が発行する各種報告書(会社案内、
CSRレポート、広報誌など)
20
48
5
17
商品・サービス
3
その他
6
特に得ていない
0
10
20
30
40
50
60
70
80
■事故、不祥事など危機への対応(全体)
100%
(複数回答)
55
新聞
(インターネット版を除く)
52
テレビ
7
ラジオ
6
雑誌
(インターネット版を除く)
マスコミのニュースサイト
(電子版の新聞・雑誌など)
16
6
ソーシャルメディア
(SNS、
ブログなど)
3
企業が運営するソーシャルメディア
企業のホームページ
インターネット
(マスコミのニュースサイト、
ソーシャルメディア、
企業が運営するソーシャルメディア、企業のホームページを除く)
企業が発行する各種報告書(会社案内、
CSRレポート、広報誌など)
27
32
6
商品・サービス
2
その他
2
7
特に得ていない
0
10
20
30
40
50
60
70
80
■環境、CSR、社会貢献活動(全体)
90
100%
(複数回答)
33
新聞
(インターネット版を除く)
21
テレビ
3
ラジオ
6
雑誌
(インターネット版を除く)
マスコミのニュースサイト
(電子版の新聞・雑誌など)
ソーシャルメディア
(SNS、
ブログなど)
6
3
5
企業が運営するソーシャルメディア
企業のホームページ
インターネット
(マスコミのニュースサイト、
ソーシャルメディア、
企業が運営するソーシャルメディア、企業のホームページを除く)
企業が発行する各種報告書(会社案内、
CSRレポート、広報誌など)
42
22
21
2
商品・サービス
1
その他
17
特に得ていない
0
8
90
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100%
企業に対するプラス/マイナスイメージ形成には、「新聞、テレビなどのマスコミ情報」が
大きく影響。
「ソーシャルメディアでの情報」による影響が増す
企業に対するプラスイメージに繋がった情報としては、「新聞、テレビなどのマスコミ情報」が77%と最も高
く、
「商品やサービスを通じて」
(57%)と「インターネット上の情報」
(49%)
も5割と影響は大きい。
マイナスイメージに繋がった情報も、
「新聞、テレビなどのマスコミ情報」
が80%と最も高く、プラス/マイナ
ス共に企業のイメージ形成にマスコミ情報が大きく影響していることが見て取れる。29歳以下では、
「ソーシャ
ルメディアでの情報」
(38%)の割合が相対的に高く、クチコミの影響力も大きい。
6
〔経済広報〕2015年12月号
社会広聴アンケート
前回調査(2013年)と比較すると、プラスイメージでは
「ソーシャルメディアでの情報」が6ポイント上昇し、
マイナスイメージでは「経営者・経営幹部の発言、態度」
が6ポイント、
「ソーシャルメディアでの情報」
が7ポイ
ントそれぞれ上昇している。
■プラスイメージに繋がった情報(年別・全体)
(5つまで複数回答)
77
77
新聞、
テレビなどのマスコミ情報
商品やサービスを通じて
49
52
インターネット上の情報
57
56
32
34
企業・商品のコマーシャル
32
34
31
29
30
31
経営者・経営幹部の発言、態度
企業のホームページで掲載されている情報
お客様相談室やメールなど、問い合わせ窓口の対応
24
25
従業員の発言、態度
■2015 年
(n=1744)
19
18
企業が発行する刊行物(会社案内、
CSRレポート、広報誌など)
ソーシャルメディアでの情報
10
専門家、著名人の評価・コメント
16
■2013 年
(n=1872)
14
15
4
4
企業が運営するソーシャルメディアでの情報
1
2
その他
0
10
20
30
40
50
60
70
■マイナスイメージに繋がった情報(年別・全体)
90
100%
80
78
新聞、
テレビなどのマスコミ情報
経営者・経営幹部の発言、態度
45
商品やサービスを通じて
インターネット上の情報
51
47
46
47
51
43
43
37
40
従業員の発言、態度
お客様相談室やメールなど、問い合わせ窓口の対応
ソーシャルメディアでの情報
12
14
16
12
14
企業・商品のコマーシャル
専門家、著名人の評価・コメント
19
■2015 年
(n=1744)
6
5
3
企業が発行する刊行物(会社案内、
CSRレポート、広報誌など)
2
2
企業が運営するソーシャルメディアでの情報
1
2
その他
2
■2013 年
(n=1872)
企業のホームページで掲載されている情報
0
9
80
(5つまで複数回答)
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100%
企業イメージの形成には、マスコミを通じて見聞きする経営者の発言・態度や、生活者が
体験した問い合わせ窓口の対応が大きく影響
企業イメージに影響を与えた情報の具体的内容としては、マスコミを通じて見聞きした経営者の発言・態度
や、従業員や問い合わせ窓口の対応の善しあしがきっかけとなったという意見が目立つ。特に、事故・不祥事や
商品不具合など、なんらかの問題が発生した際の対応は記憶に残り、企業に対して抱くイメージを大きく左右す
るようである。
k
(文:国内広報部主任研究員 大野祥子)
2015年12月号〔経済広報〕
7
社会広聴アンケート
「情報源に関するアンケート」
から考える企業広報のポイント
宮 崎 陽 介(みやざき・ようすけ)
エデルマン・ジャパン(株) ストラテジーディレクター
伸長するデジタルメディアは合わせ技で一本
今回の調査結果から見えてくる企業広報の視点か
ら見た3つのトレンドを述べたい。
なかなかアクセス数が伸びなかったが、一つひとつ
のコンテンツを60秒以内で読めるサイズに小分け
まず興味深いのは、利用時間が増えている情報源
して発信した結果、アクセス数が5~6倍に跳ね上
でも、情報の正確性・信頼性に対する評価には大き
がった。なおエデルマンではこれを、移動中でも手軽
な開きがあるということである。
につまめるSnackable(おつまみ型)
コンテンツと呼び、
具体的には、マスコミのニュースサイトとソー
シャルメディアの利用時間は増えているが、前者の
正確性・信頼性は新聞やラジオに次ぐ高評価である
一方、後者は7割以上が正確でない/信頼できない
今後の企業広報の成功のカギを握るものと考えてい
る。
若年層を動かすのはお墨付きよりも太鼓判
という結果が出ていること。この傾向は若年層でも
最後に世代による違いについてである。企業が
中高年層でも共通である。にもかかわらず両者にお
持つ広報資産のうち、経営者・経営幹部(男性の場
ける利用時間が増えていることから、たとえ正確で
合)
、お客さま相談室
(女性の場合)などはホーム
信頼できる情報であっても単独では不十分であり、
ページを上回る影響力があるが、どちらも若年層へ
ソーシャルメディアの情報も含め「自分なりの確信
のアピールに関しては課題が残る。対して、若年層
を得て」結論を出すという消費者行動が浮かび上が
狙いで立ち上げた企業のソーシャルアカウントは活
る。
用されていない。
企業にとってはマスコミのニュースサイトでの記
ある調査によれば、企業の8割がフェイスブッ
事化の重要性が高まる一方で、いかにSNS(ソー
ク、6割がツイッターの公式アカウントを有してい
シャル・ネットワーキング・サービス)でシェアさ
るが、やり方を変えない限り、今後も活用率の上昇
れる情報との合わせ技を狙うか、という戦略も欠か
は難しいだろう。年代が下がるに従い、
「専門家や著
せないといえる。
名人」の影響力が低くなることにも考慮する必要が
ホームページの復権とコンテンツのおつまみ化
次に、企業の事業内容、商品・サービス、環境・
CSR(企業の社会的責任)・社会貢献活動に関する
8
その一例として、某省庁が若年層向けに運営して
いたウェブサイトの話がある。初めは文章が多く、
ある。エデルマンの独自調査でも、若年層は
「友だ
ちや知人、または自分のような人の情報で確信を得
る。彼らの評価や評判は実体験に基づく事実である
から」
ということが分かっている。
情報を収集する場合に、「企業のホームページ」が新
つまり、若年層の心を捉えるには権威や肩書があ
聞をしのぐ第1の情報源となっていることに注目し
る人のお墨付きよりも、身近で生身の人間(従業員
た。プラスイメージに繋がる点でもコマーシャルと
を含む)の体験や評判に軸足を置くべきだといえる
同等の影響力を持っており、逆にマイナスイメージ
が、これは社外向けの情報発信だけでなく、社内エ
に繋がるリスクが低い超優良媒体といえるが、それ
ンゲージメントを考える上でも重要な視点となるだ
を生かすも殺すもやり方次第である。
ろう。
〔経済広報〕2015年12月号
k
ANGLE
広報と金融リテラシー
全
国銀行協会
(全銀協)は、銀行
の社会的責任)活動であると認識し、
を会員とする業界団体として、
近時その取り組みをいっそう強化し
以前から
「銀行の仕組みと役割」「銀
て い ま す。2013年 度 に は、 金 融 経
行の業務」
「銀行の使い方」など、「銀
済教育活動推進に関する組織決定を
行」一般に関して幅広い広報活動を
プレスリリースし、学校での出前授
行ってきました。また、銀行が提供
業の模様をテレビや新聞のニュース
する商品・サービスについては、そ
で取り上げてもらいました。また、
の使い方によっては「クレジットの
2014年度には、「金融リテラシー推
使い過ぎ」「ローンの返済困難」など
進室」という専門部署を立ち上げま
思わぬ困難を招きかねないことか
した。
ら、適切な利用についての啓発活
動を行ってきました。さらに昨今で
は、
「振り込め詐欺」などの金融犯罪
が後を絶たず、金融犯罪防止啓発活
小倉康介
(おぐら・こうすけ)
(一社)全国銀行協会 広報室室長・
金融リテラシー推進室室長
動にも力を入れています。
こうした広報活動・啓発活動は、銀行のお客さま
である一般消費者を対象とするのはもちろんのこ
と、社会に出る前の学校段階も肝要であるとの考え
から、中学や高校での授業の支援も行ってきたとこ
ろです。
以下に同室の活動の一部を紹介し
ます。
①講師派遣
「どこでも出張講座」と題して、学
校授業や地域のセミナーなどに無
料で講師を派遣しています。学校教員向けには、
金融経済教育の授業実践に関するセミナーを各地
で実施しています。
②教材
中学・高校・社会人などの対象ごとに様々な教材
一方で近時は、
「お金」や「金融」に関する知識・
を制作し、学校、消費生活センター、高齢者団体
判断力をしっかり持って生活する力、「金融リテラ
などに無料で配布しています。学校用には、アク
シー」の重要性が様々な方面において指摘されてい
ティブラーニングの要素も取り入れ、授業で活用
ます。人が自立して生活するには、ライフステージ
しやすいよう工夫しています。
の節目から日常生活での場面に至るまで、貯蓄と資
③金融経済教育研究指定校制度
産運用、ローンやクレジットの利用、保険加入など
各地の教育委員会と連携し、研究指定校で教材の
様々な金融商品を適切に利用することが求められ、
提供やその活用方法の助言、講師派遣、銀行見学
その前提として日々の家計管理や将来を見通した生
などを多岐に組み合わせた教育カリキュラムを支
活設計を要します。このため、生活スキルとしての
援しています。
「金融リテラシー」を身に付けておく必要があり、変
化が激しく多様化が進んだ現代にあっては、その必
要性はますます高まっているといわれています。
全銀協のウェブサイトでは、上記活動の詳細を紹
介し、講師派遣や教材の申し込みを受け付けていま
全銀協では、一般消費者や生徒・学生に「金融リ
す。また、一般消費者向けに
「教えて!くらしと銀
テラシー」を身に付けていただくための活動を「金
行」というページを設け、金融リテラシー向上に資
融経済教育活動」と位置づけ、従来の広報的な側面
する記事をそろえています。機会がありましたらぜ
にとどまらず、銀行業界として重要なCSR(企業
ひのぞいてみてください。
k
2015年12月号〔経済広報〕
9
企業広報研究
危機管理の死角
小 川 和 久(おがわ・かずひさ)
静岡県立大学 特任教授
■聞き手:佐桑 徹 経済広報センター 常務理事・国内広報部長
軍事アナリストとしてテレビでも活躍する小川和久氏が、8月に『危機管理の死角 狙われる企業、安全な
企業』(東洋経済新報社)を出版した。
「日本政府や企業の危機管理体制は形だけだ」と主張する小川氏に、その
詳細について話を聞いた。
形だけの危機管理
■このほど、
『危機管理の死角 狙われる企業、安全
な企業』を出版されたが、この本を書いた狙いは。
集を受けた関係者が参集するまでの所用時間、交通
手段について把握し、改善の具体案を提示する。
企業幹部に、訓練で会長、社長を深夜にたたき起
小川 危機管理に関する本は幾つも出ているが、国
こしたことがあるかと聞いたところ、決まって「そ
際テロなど海外の緊急事態にどう対応するかという
んなことできるわけない」との返事だった。また、
観点からのものはあまり見掛けないので、どの企業
コンピュータ・センターの抜き打ちでの侵入テスト
にも共通する問題について執筆した。
などを数回にわたり繰り返し、その企業の危機管理
■日本企業の危機管理には、どのような問題がある
が何点ぐらいかを評価し、分析作業を行う。こうす
のか。
ることで、従来の組織や人事では緊急事態に対応で
小川 日本企業の危機管理の最大の問題は、形だけ
きないことが、いやが上にも浮き彫りになり、組織
は立派に見えるが、チェックすると穴だらけで、形
改編や新設、それにふさわしい人事を行うことにな
式に流れている点だ。コンサルティング会社やコン
る。
サルタントは、まず、クライアント企業の潜在的な
さらに、3~5年ごとに別のコンサルタントを
リスクを洗い出し、その対策とリスクの優先順位を
使 っ て、 異 な る 考 え 方、 手 法、 視 点 か ら ク ロ ス
決める。そして、対応の基本的な要件が満たされて
チェックを受け、危機管理体制の向上を図るべきで
いるかどうかをチェックするため、抜き打ちで非常
ある。
呼集などを行う。
■どのくらいの費用を掛けて、どこまでやるか、と
重大事故、海外安全問
10
機能しているか。同時にコンサルタント側は非常召
〔経済広報〕2015年12月号
いうことにもなるが。
題などで社員が参集しに
小川 形だけの危機管理では意味がない。例えば、
くい午前2、3時ごろに
「有名な危機管理会社の会員になっているのだから、
呼び出しをかける。緊急
いざという時には海外に駐在している社員や家族を
呼び出しの連絡網が固定
安全に避難させてくれるだろう」と錯覚している企
電話や携帯電話、ツイッ
業がある。たしかに年間何千万円も外国の有名な危
ター、ライン、フェイス
機管理会社に支払っていると、そうした期待が生ま
ブックなど多重に構成さ
れてもおかしくはない。しかし、有名な危機管理会
れているか。当直体制が
社は、一国で何十社ものクライアントと契約してい
企業広報研究
るので、内戦状態にでもなれば、「対応できません」
小川 広報は、自社の情報発信に力を注ぐのは言う
とにべもない返事がくると考えておくべきだ。
までもないが、情報収集の中心的な機能も担当する
内戦になったときに社員や家族を脱出させたいな
ので、企業トップは広報を平時・有事を問わない第
らば、それなりのコストを覚悟し、事前に、そうし
一線と位置づけるべきである。陸上自衛隊の陸上幕
た契約を結んでおく必要がある。米英の有名な危機
僚監部では、広報をエリートで固めてきた。将来の
管理会社に見積もりを出してもらったところ、この
企業トップになるほどの有能な人材で固め、役員会
追加費用はランニングコストだけで年間1億円を超
に出席させ、臨機応変に動ける権限と予算を与えて
えるということだった。
おく必要がある。そうすれば、90%以上の発生案
広報は平時・有事の第一線部門
■小川さんは、著書の中で、日本人は、平時型組織
しか知らないが、緊急時は「奇襲」であり、有事型
組織の発想が重要だと指摘しているが。
小川 有事型の組織である自衛隊は、緊急時になる
件は広報段階で対応できる。不祥事の処理で、広報
部門が上にお伺いを立てに走るようでは、危機管理
は失敗と言わざるを得ない。
■企業が危機管理能力を高めるためには、海外の新
聞や資料を精査することが必要と主張されている
が。
と、まず自分で情報を取りにいく。陸上自衛隊なら
小川 例えば、海賊対策などで、日本政府や企業が
ば偵察隊、航空自衛隊には偵空航空隊がある。そし
基本的な情報を得ていないのは、語学ができる専門
て、それぞれの組織のトップ、つまり指揮官が決断
家を軽視しているからだ。海外の新聞や有名危機管
すると、その部隊はその通りに動く。これに対し、
理会社の資料をネイティブクラスの2~3人が斜め
平時の組織、典型的な役所の場合、例えば、東日本
読みでチェックし、それを7~ 10人のチームが翻
大震災の際に、県庁はどうだったか。市町村の役所
訳・編集する。さらに日本語に訳された情報を価値
が壊滅的な状態になっているため、県職員は、電話
判断し、優先順位を決めるデスクが1~2人。最後
をしても繋がらないのを理由に「情報がありません」
に編集長役がトップに提出する情報を3~5本選
と答えることになる。
び、読みやすい見出しをつける。
日本の行政組織の危機管理部門は、平時型組織に
米国では、スパイ、通信傍受、偵察衛星など、あ
「危機管理」
「災害対策」という修飾語をつけただけ
らゆる情報源からの最高機密をCIA
(中央情報局)
だ。緊急事態に司令塔組織がどのような活動をする
が
「プレジデンツ・デイリー・ブリーフ」
(大統領日
か。見たことも経験したこともないので、組織内で押
誌)という形でまとめられ毎朝、大統領に提出し
し問答をしている間に、貴重な時間が過ぎてしまう。
ている。また、この中から、微妙な情報を除いて
■同書には
「企業も政府も危機管理はCEOにしか
「レッド・トップ」
という名前で主要閣僚やスタッフ
できない」と記されているが。
に届けられる。
小川 企業でも政府も同じだが、危機管理はCIO
有名危機管理会社に会費だけで年間数千万円も払
(最高情報責任者)やCSO(最高セキュリティ責任
うならば、危機管理会社のニューズレターの情報を
者)の仕事ではない。全権を握るCEOの仕事であ
死蔵させていたり、日本語に訳しても用紙にベタ打
る。ただ、独りで全てをできるわけがないので、C
ちされ、トップが、読む気にならず放置されていた
EOには伴走者が不可欠だ。CEOの伴走者には、
りしては意味がない。
k
4~5人の最精鋭社員による「頭脳チーム」が必要
だ。これは、トップ直轄のミニ・シンクタンクのよ
うなもので、予算的にも総務部などから独立してい
る。さらに、このチームと連動してセットで危機管
理のテーマを洗い出し、問題解決を提案する10 ~
20人で構成されるチームも不可欠である。
■同書にはまた、
「広報は、平時・有事の第一線部
門」とも書いてあるが。
(おがわ・かずひさ) 国際変動研究所理事長。1945年生ま
れ。陸上自衛隊生徒教育隊・航空学校修了。同志社大学神
学部中退。地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初
の軍事アナリストとして独立。外交・安全保障・危機管理
の分野で政府の政策立案に関わる。国際安全保障に関する
官邸機能強化会議議員、総務省消防庁消防審議会委員など
を歴任。小渕内閣ではドクターヘリを実現させた。著書に
『日本人が知らない集団的自衛権』
『日本の戦争力』など多数。
2015年12月号〔経済広報〕
11
企業広報研究
「PESO」を組み合わせた
戦略的広報を
~グローバルPR最新事情~
スティーブ・バレット
『PR WEEK』
編集長
『PR WEEK』は、米国で最も権威あるPR業界誌であり、優れたPR活動を表彰する世界的アワード
「PR WEEKアワード」の主催者でもある。同誌の編集長であるスティーブ・バレット氏が来日した機会
に、グローバルPRの最新事情について聞いた。
最善のPRを行うための
「PESO」
は単にメディアリレーションズを行うだけでなく、
現在のPR業界は、大変エキサイティングな状態
し、良いコンテンツを書くためにはどうすればいい
だ。ソーシャルメディアの普及により、企業がいっ
かを考えなければならない。作成したコンテンツを
たん発信したメッセージは一瞬で全世界を駆け巡
広めるための広告の活用についても知らなければな
る。PR、広告、マーケティング、メディアといっ
らない。ソーシャルメディアが普及しているから、
しゅうれん
12
ソーシャルメディアに詳しくならなければならない
た従来縦割りだった分野が収斂され、企業がステー
単にフェイスブックでキャンペーンを展開すればそ
クホルダーへ直接的に関与する機会が大きく増して
れでよいというものではなく、そのキャンペーンを
いる。同時に、企業にとっては、常に怖い時代でも
さらに広めるために、オンライン上の広告スペース
ある。メディアミックスの時代では、企業がこれま
を買うことも考えなければ効果的なPRにはならな
で築き上げてきたレピュテーションが一夜にして壊
いということだ。
れることもあり得るからだ。企業の信頼性や透明性
「PESO」
の4要素を組み合わせた事例として有
がこれまでになく重要になってきており、より徹底
名なものは、カンヌライオンズ国際クリエイティビ
した危機管理が求められている。
ティ・フェスティバルで受賞し、PR WEEKア
ま ず、
「 P E S O 」の 概 念 に つ い て お 話 し し た
ワードでもグランプリを受けたプロクター・アン
い。
「 P E S O 」と はPaid( 広 告 )、Earned( P R )、
ド・ギャンブル(P&G)のAlwaysというブラン
Shared(ソーシャルメディア)、Owned(自社メディ
ドの事例がある。Alwaysは女性向けの生理用品
ア)の頭文字を取ったものだ。先ほども話したが、
のブランドで、受賞したコンテンツは思春期を境に
これらの分野は従来縦割りになっていて、マーケ
自信を失い、自らの可能性を閉じてしまう女性たち
ティング部門が広告を担当し、デジタル担当者が
に対して、自信を持とうというメッセージを送った
ソーシャルメディアを担当していた。しかし、現在
ものだった。このコンテンツはPR会社によって作
は各分野の境界は曖昧になっていて、PR担当者が
成された映像で、非常に良いストーリーだったた
広告スペースを買ったり、広告担当者がPRを行っ
め、メディアに多く取り上げられ、ソーシャルメ
たりしている。
ディアでシェアされ、広告によってさらに周知され
コンテンツによるPRが効果的となっている現在
た。まさに
「PESO」
の4要素を満たしたコンテン
において、最善の仕事とは、「PESO」の4要素全
ツだ。この効果は非常に大きく、露出回数は45億
てを組み合わせたときにできるものだ。PR担当者
回、世界人口の約半分がこのコンテンツを見たとい
〔経済広報〕2015年12月号
企業広報研究
われている。このコンテンツでプロクター・アン
ユニフォームにデザイン上の欠陥があるのではない
ド・ギャンブルのレピュテーションは上がり、結果
かと取りざたされ、ソーシャルメディアで話題に
として売り上げを伸ばすことができた。
なった。その結果、アンダーアーマーの株価は下
PRの成功事例のトレンドとして、映像を使って
がった。しかし、この企業のコミュニケーション
いるということも挙げられる。長さは短いものから
チームはきちんと準備していた。CEOは米国のオ
長いものまで様々だが、成功事例はいずれも「PE
リンピック委員会と共同声明を出し、米国チームと
SO」の4要素を満たしているものだ。
の契約を8年間延長した。CEOはアスリート側に
PR担当者に必要なスキルは危機管理、
インターナルコミュニケーション、CSR
責任転嫁は一切せず、契約を延長することで企業批
判の流れを変えることに成功した。その結果、株価
は下落前よりも上昇した。
PR担当者にとって、企業のレピュテーションを
この事例を見ると、ソーシャルメディアを常にモ
守ることは非常に重要だ。レピュテーションを守る
ニターし、自社がどのように語られているかを把握
ためには、まず、企業や組織の幹部がレピュテー
すること、そして危機が発生する前にクライシスプ
ションの重要性についてしっかり認識する必要があ
ランを立て、迅速に対応することが重要であること
る。ソーシャルメディアは非情であり、ニュースの
が分かる。また経営トップが責任を持って対応する
環境は真にグローバルになってきた。経営幹部は一
ことも、レピュテーションを守る上で重要な要素だ。
貫したメッセージを発信し続けることが重要だ。2
年前、ある企業のインドの経営幹部と米国のCEO
が発言した内容が異なっているという話題が数分の
メディアリレーションズの
重要性が大きい日本
うちにソーシャルメディアで世界中に広がった事例
メディア環境が急速に大きく変化し、新たなビジ
がある。かつてのように、従業員、お客さま、投資
ネスモデルやコンテンツモデルが出てきている。米
家と相手によってメッセージの内容を変える時代は
国のオンラインニュースメディア
「バズフィード」
や
終わった。全てのステークホルダーに一貫したメッ
オンライン政治メディア
「ポリティコ」などがそう
セージを伝えなければならない。
だ。ソーシャルを通して、ニュースを入手する人
現在のPR担当者に必要な中核スキルはクライシ
スプランニング、インターナルコミュニケーショ
ン、CSR
(企業の社会的責任)の3つだ。何かが
も増えており、
「バズフィード」
のアクセスの40%は
フェイスクブックからだというデータもある。
コンテンツを作り、アクセスを増やすためには、
発覚してから謝っても遅過ぎる時代になった。ソー
PR担当者は様々なメディアや新たなソーシャル
シャルメディアでは刻々と状況が変化していて、後
チャネルについて最新の情報を得なければならな
から追いつこうとしても対応が後手に回ってしま
い。そしてそれぞれのチャネルの特徴を把握し、自
う。何かが起こる前にクライシス対応プランを作っ
社にとって、どのチャネルが適切かを判断していく
ておかなければならない。
必要がある。
だからこそ、企業にはスマートなコミュニケー
一方で、主流メディアの存在もまだまだ重要だ。
ション環境が求められる。PR担当者は、何か問題
米国であれば
『ニューヨーク・タイムズ』
やトゥデイ
があると感じたら、勇気を持って速やかに経営幹部
ショーに登場するということは、大きな実績となり
に進言すべきだ。
企業にとってもメリットに繋がる。
危機対応の事例として、アンダーアーマーの事例
日本ではメディアリレーションズの重要性が他国
を紹介する。アンダーアーマーは、2014年にソチ
より大きく、PRの大部分を占めているように感じ
で開催された冬季オリンピックにおいて、米国のス
る。現在のように変化する環境下で効果的なPRを
ピードスケート選手にユニフォームを提供してい
実践するためには、企業として新たな挑戦をする勇
た。この大会で米国のスピードスケートは残念なが
敢さが必要だ。
らメダルを1つも取ることができず、メディアでは
k
(文責:国内広報部主任研究員 大野祥子)
2015年12月号〔経済広報〕
13
企業広報研究
2015年度の世界ブランド
価値ランキングから見える
本質
和 田 千 弘(わだ・ゆきひろ)
(株)
インターブランドジャパン 社長CEO
10月5日に公表された、インターブランドの「ベスト・グローバル・ブランド」Top100ランキングは、
幾つか興味深い「購買決定者変化の本質」と「ブランド変化の本質」
を反映したものとなっている。
ブランド価値評価方法の概要
インターブランドのブランド価値評価は、長年に
ランドがランクインし、特にテクノロジー部門全体
(13ブランド)のブランド価値は、全体の33.6%を占
めている。
わたって蓄積された世界のあらゆる地域・国の消費
今年度、新たにTop100にランクインしたブラン
者・企業顧客のデータベースと、社内専門アナリス
ドは5つ。Lenovoのほか、Lego(82位)、PayPal(97
トの分析に基づき、各ブランドの将来キャッシュフ
位)
、MINI(98位)
、Moët & Chandon(99位)
である。
ロー、資本コスト、ブランドが顧客購買意思決定に
アジアブランドの動向
与える影響度、そしてブランドによる将来キャッ
シュフローの確度・リスク、という要素を踏まえた
ア ジ ア か ら の ラ ン ク イ ン ブ ラ ン ド を 見 る と、
価値評価手法である。その手法は、ブランドの金額
Toyotaを筆頭に、日本からは6ブランド
(Toyota、
価値評価の世界標準として、ISO10668の認定を受
Honda、Canon、Nissan、Sony、Panasonic)
、韓国
けている。
からは3ブランド
(Samsung、Hyundai、Kia)
、ま
ランキングの全体的傾向
早速、ランキングの中身を見てみよう。本ランキ
ングは、グローバルな事業展開を行うブランドを対
象に、そのブランドが持つ価値を金額に換算してラ
ンクづけするものであり、今年で16回目の発表と
なる。昨年に引き続き、3年連続でAppleとGoogle
がランキングにおいて、それぞれ第1位、2位を占
Huawei(88位)と共に、Lenovo(100位)が初登場し、
中国ブランドとして2社目のランクインを果たして
いる。
さらなるランキングの詳細は、http://interbrand.
com/best-brands/をご覧いただきたい。
購買決定者変化の本質
めた。Appleのブランド価値は1702億ドルとなり、
現在の購買意思決定者が、あるブランドについて
前年比43%増加、2位のGoogleは同12%増の1203
検討するとき、個人消費者であれ企業顧客であれ、
億ドルとなった。3位Coca Cola、4位Microsoft、
その購買意思決定者は、どのようなタッチポイント
5位にIBMがランクインしたのは順当であった
においても「ブランドが確実に、常に、どこへでも
が、Toyotaが、2008年以来の同ブランド最高位で
寄り添ってくる」
ことを期待している。
ある6位(490億ドル)にランクインし、同時に、ア
14
た 中 国 か ら は、 昨 年 に 引 き 続 き ラ ン ク イ ン し た
リテールの現場でオムニチャネルが拡大すれば、
ジアブランドとしての最高位を記録している。ま
その期待値はさらに高まり、マーケティングオート
た、Amazonが初めてTop10に入り、379億ドル(前
メーションや、プログマティックアドバタイジング
年比29%増)にブランド価値を増加させている。
などのテクノロジーが企業のマーケティング部門で
セグメント別では、Top100ブランドのうち、テ
使われるようになればなるほど、購買意思決定者の
クノロジー部門と、自動車関連部門で合計28のブ
意思決定構造における、
「細切れの瞬間も含めて、ブ
〔経済広報〕2015年12月号
企業広報研究
ランドが常に寄り添ってくれるという期待値」がま
ける見え方とは異なるかもしれないが、話し方や語
すます高まってきているといえよう。
る思想は、一貫していなければならない。ナイジェ
ブランド変化の本質
リアでのブランドの見え方や行動と、米国における
見え方や行動も、行動実態としては多く異なる点が
そうした中、ブランド価値ランキングのTop100
あるかもしれないが、共通の哲学的本質が存在して
に入るグローバル・ブランドがどういう努力を重ね
いるべきなのである。ここを間違えるブランドが多
ているか、逆に、Top100からはるかに遠いブラン
いが
(特に日本ブランド)
、単なる一貫性戦略の欠如
ドにはどういう努力が欠けているか、について詳細
ということになる。
にベンチマーキングしてみた。すると、Top100に
現在において、この
「柔軟な一貫性」
とは何かにつ
入るブランドは、チャネル連携やデータ連携によっ
いて、テクノロジー面も含め、CEO/CMOやブ
て、世界の各地域で共通に求められる絶対必要最低
ランド担当役員が正確に理解していることが、ブラ
限の、一貫したブランド体験の期待値を、きっちり
ンド変化の本質を捉えているか否かを強く決定し、
確実にクリアしていることが分かる。
ブランド強度を決定している。
インターブランドでは、「ブランド強度」について
10個の要素に分解して分析を実施しているが、モ
バイル化・IoT化進展のブランドタッチポイントの
爆発的増大と顧客生活動線への超密着化によって、
日本ブランドがなぜ6つしか
ランクインしていないのか
しかしながら、そうした
「柔軟な一貫性」
をいかに
特に
「一貫性」への顧客期待値がますます高まり、
「一
設計し実行するかについて、組織全体を通じて正し
貫性」による差異化が、ブランドの強度に影響する
い権限を有するシニアマネジメントが、日本企業に
度合いが高まっている。
存在している例は極めて少ない。これは本当に残念
フラグメンテッド(断片化された)な顧客タッチポ
である。世界中に数多くの成功事例があるにもかか
イント、フラグメンテッドな企業組織、フラグメン
わらず、ブランドについての基礎知識が足りない経
テッドな外部パートナーの関係性など、自らのブラ
営者が多過ぎる。
ンドを取り巻くフラグメンテーション(断片化)の度
結果、日本企業のマーケターは、数多くのタッ
合いを正確に把握することができなければ、ブラン
チポイントを繋ぐための
「糊」
のように日々、四苦八苦
ド価値を高めることが難しくなっているのだ。
し、タコツボ化した社内組織の間を取り持つ調整役と
今 年 5 月20 〜 21日 に 開 催 さ れ たad:tech San
して多大な時間を消費し、限定的なカスタマーエクス
Francisco 2015においても、Googleのシニア・バイ
ペリエンスの改善しか実現できず、苦しんでいる。
ス・プレジデントであるラマスワミ氏が、
「マイクロ
マーケターが、マーケティングテクノロジーの導
モーメンツ(極めてわずかな瞬間)こそが、マーケ
入・購入について適切な権限を持たなければ、コ
ターにとっての大きな機会であり……ビジネスで勝
ンテンツマネジメントの強化、ソーシャルメディ
てるマイクロモーメンツを特定し、そこに対応し、
アツールの導入、CRMツールなどでブランド強化
そしてその財務効果を測定することが必要である」
を図ることができようもない。機械学習などで消
といった発言をしている。
費者行動を分析する際には、行動予測モデルを構築
こうしたマイクロモーメンツを特定して捉え、一
しては試し、PDCAを回しながら推進するべきで
貫性を確保するためには、ブランドが、中核となる
ある。個別性が高い故に、導入前には、完璧な費用
組織のエートス(精神)や、組織内で徹底して共有さ
対効果測定は不可能であるが、確実に効果がある方
れた事業戦略を踏まえた「一貫性戦略」を策定する必
法すら検討されていないのが、日本企業である。
(逆
要性がある。一貫性戦略は、時にはあらゆるものを
に、導入後に費用対効果を完璧に測定しようとして
同じ色で染め上げたいという間違った欲求を引き起
いる日本企業が少ないのは、とても不思議である)
こす危険性があるため、あるべき自由度・柔軟性を
2015年現在、ブランド価値ランキングに日本ブ
どの程度持たせながら、ブランドとしての一貫性を
ランドが6つしかランクインしていないのは、経営
追求するのか、には精緻で全社的な戦略が必要なの
陣の、ブランドとテクノロジーに関する基本的な学
である。
習不足である。ぜひとも、謙虚な学習をお願いした
例えば、ある企業のCEOによるツイッターでの
見え方やプレゼンス(存在感)は、報道記者会見にお
い。そうすれば、日本ブランドが世界を再び席巻す
るポテンシャルは、絶対にあるのだから。
k
2015年12月号〔経済広報〕
15
企業広報研究
緊急時対応の
シャドーサイトの在り方
有事に求められる
企業のオンライン対応
雨 宮 和 弘(あめみや・かずひろ)
クロスメディア・コミュニケーションズ(株) 代表取締役 シャドーサイトは緊急時の情報整理
にお詫び全文を1枚の画像にして貼り付ける、とい
インターネットの活用が始まって20年、今や企
う企業も散見しました。報道などが一段落する(喉
業から個人まで日常的に「情報発信」をするようにな
元過ぎる)と、撤去したときに検索エンジンのサー
りました。そんな状況を端的に言えば「情報過多の
バーに文字キャッシュが残らないという利点もあ
時代」となります。もし企業に有事(事故や不祥事)
り、当時の制作会社が気を利かせたのかもしれませ
が生じたとき、社会に伝わりやすくするために、ま
ん。しかし現在では、企業がこのような対策を講じ
ずすべきことは緊急性の高い情報を優先して社会に
たとしても、ネットユーザーは「魚拓(スクリーン
届けること。すなわち意識的な情報整理、優先度づ
キャプチャの保存)
、文字書き起こし」
をし、コミュ
けを持つ、ということです。そのために通常のトッ
ニティーサイトや掲示板、ソーシャル・ネットワー
プページの開示情報を一段下げる、あるいは整理し、
キング・サービスなどで共有し、事故や事件ではな
それらにリーチしやすくする対策(もしくは緊急対
く、その対応を批判するようになっているので逆効
策用トップページ)をシャドーサイトといいます。
果になりかねません。
「事が起きてから」ではなく、リスク管理の観点か
ら事故や災害などの影響で社会責任の重い事態が生
じる可能性のある企業にとって、万が一に備えて、
レベルによって変わるシャドーサイト対応
企業の緊急対応にも大小様々な事象があります。
すぐに対応できるような施策(シャドーサイトの準
シャドーサイトの体裁も、すべて同じレベルで実施
備)
は必須といえます。
する必要はありません。グレードの設定やその考え
初期は「やむを得ず開示」する企業が多かった
16
年ごろ)には、検索エンジンに引っかからないよう
方は様々ですが、重みづけの違いは、あくまで企業
が守る価値の大小ではなく、社会の側が受ける被害
もちろん企業にとって不祥事や事故はあってはな
や影響によって判断されるべきだということを忘れ
らないことです。広報担当者は万が一そのような
てはいけません。誰が、どんな情報を欲しているの
事態が発生したときは、できるだけ会社を守りた
かに準じた情報開示の最適化が必要だということで
い、評判やブランド、売り上げの低下に繋がるよう
す。以下がグレード設定の一例ですが、企業側の重
なことは避けたい、と考えます。上司や経営陣から
要度や緊急度で考えるだけではなく、社会が知りた
もプレッシャーを与えられることもあるかもしれま
いこと、求めることに当てはめて、事前に準備する
せん。そうなると会社としての情報開示は必須と考
ことが肝要です。
える一方で、どうしても悪い情報の拡散を防ぎたい
・人命に関わる事故
という気持ちが働きます。ネット活用初期(~ 2005
・環境に影響を及ぼす事故
〔経済広報〕2015年12月号
企業広報研究
・社会倫理に反する事件
テータスやお詫びを開示しておしまい」で終わらせ
・企業経営や運営上の不正
ず、行動変容をきちんと積み上げ、時間の経緯を記
・自然災害による二次被害や損害
録することで、今後この企業がどのような対策、改
・コミュニケーションロス(対応や発言の失態、
善、補償をするのか、その
「意思」
を感じ取ってもら
炎上など)
また、自社の事故や不正、事件でなくとも、同業
他社が起こした問題によって「業界内企業同一視」が
うことができるのです。
意思を見せる方法は様々
起きる場合があります。自社に問題がなくても「買
パナソニック社の石油暖房機で死亡事故が起きた
い控え」が発生することもあり、
「対岸の火事」と看過
のは2005年ですが情報開示のスピードが速く、全
せず、いち早く自社の見解や対応を見せることも必
品回収まで日本中の全戸にDMを配布するなど徹底
要です。
した姿勢で事故対策に取り組みました。現在、ブラ
生活者が知りたいのは、ステータスのみではない
ネットに繋がる携帯端末が生活に身近な存在に
ンドサイトや企業サイトは旧松下電器からのブラ
ンド変更で新サイトに統合
(http://www.panasonic.
com/)されましたが、以前から使っていたサイト
なった現在、多くの人はニュースを自分から見に
(http://panasonic.co.jp/)を 事 業 会 社 に 引 き 継 ぎ、
いくのではなく、グノシーやスマートニュースな
10年経過した現在でも、そのトップに回収と注意
ど、
「ニュースキュレーションアプリ」と呼ばれる配
の情報を掲載しています。これは一貫した企業姿勢
信サービスやソーシャルメディアで受け取っていま
と責任感の表出として素晴らしい対応です。
す。ニュースの速報性は高まり、そして関心のある
また、明確なクライシス・マネジメント計画
(対
ニュースを見たときに次に行うことは一次情報の確
応指針)を持って行動していれば、シャドーサイト
認、すなわち企業サイトへのアクセスです。では不
内にニュースアーカイブのように日付けを入れたス
祥事や事故などのニュース報道の先、生活者は企業
テータスを列記するだけでも企業の意思を伝えるこ
サイトで何を知ろうとするのでしょうか。多くの企
とはできます。
業は
「お詫びの言葉」や
「状況(ステータス)報告」を
なぜかというと、企業に対応指針があると、対外
もってシャドーサイトとしては十分、と捉えている
的な要素、例えば国の要請や裁判の結果、被害者の
ことが少なくありません。
状況変化に対して自社の対応が常に早い(短いスパ
しかし上記のように、状況はニュースサイトで確
ンで対応が可能になる)ということが開示情報の前
認済みです。同じことが書かれているだけでは満足
後の日付けの間隔で伝わるからなのです。これらの
しません。企業は「その時に出せる情報をきちんと
積み重ねによって、社会の側はこの企業が今後もき
出していれば十分だ」と思っているかもしれません
ちんと対応できるか、その意思や期待値も推し量る
が、実は生活者ははるかに多くのことを企業のシャ
ことができるのです。しかしこれはもろ刃の剣だと
ドーサイト対応から感じ取っています。それは何か
いうことを忘れてはいけません。対応指針がなく、
というと、
「経過」と「対応速度」の記録なのです。
常に対応が後手に回ってしまった場合も日付けの間
マスメディアもそれぞれ自社のニュースサイトを
持っています。しかし日々膨大な情報を扱うため、
過去記事の保持を担保していません。ニュースサイ
トの記事はURLを見ても分かるようにプログラム
隔から悟られてしまい、信頼回復の遅れに繋がるこ
とになります。
引くタイミングも難しい
などで吐き出されたもので、数カ月でところてん式
いつシャドーサイトを撤去するのか。これも一般
に消えていき、数年前の記事を参照することは難し
論では判断が難しいところです。もちろん事故や事
くなっています。
件の法的な収束が明確であれば問題ないのかもしれ
となると、事故や不祥事の対応が一定期間長く続
ませんが、危機対応の本来の目的が企業の存続(評
く場合、対応の経過をきちんと継続して見せられる
判やブランドなど信頼のリカバリー)にあると考え
のは企業サイトにほかならないのです。シャドーサ
るならば、やはり企業側の都合ではなく生活者の感
イトでの対応も、画像貼り付けはともかく、
「一度ス
情面を考慮したタイミングを見計らうべきです。k
2015年12月号〔経済広報〕
17
7月15日~8月5日
NEWS
ちへ伝えるとともに、今後の学校
7
/
22
運営などにも生かしてもらうこと
マ:
「日本の産業とイノベーション
を目的としている。
~ 1000年続くまちへ
『大丸有のま
い、企業研修での体験を子どもた
今年度の参加教員数は過去最高
Keizai Koho Center News
の1409名、受け入れ企業は103社
上智大学で「企業人派遣
講 座 」を 実 施 し た。
(テー
ちづくり』
」
、講師:井上 成 三菱
地所 開発推進部新機能開発室長)
だった。
7
/
15
早稲田大学国際教養学
7
/
22
早稲田大学国際教養学
実施した。
( テーマ:
「日本企業論
7
/ 「企業人派遣講座」を実施
21
実施した。
( テーマ:「日本企業論
~日本企業の国際戦略とその経営
した。
( テーマ:「企業の成長戦略
~日本企業の国際戦略とその経営
理念~日本の自動車産業と国際戦
と国民の経済的繁栄~まとめ
(試
理念~期末試験」、講師:中村 清
略
(2)」、講師:黒井 義博 三菱
験)」、講師:黒川 行治 慶應義塾
早稲田大学 国際教養学部教授)
自動車工業 経営企画本部長兼物
大学 商学部教授)
部で「企業人派遣講座」を
慶應義塾大学商学部で
流改革統括室長)
7
/
16
7
/
22
部で「企業人派遣講座」を
フリージャーナリスト
経 団 連 会 館 で、 マ サ
同志社大学経済学部で
7
/ 「企業人派遣講座」を実施
21
演会「ドイツ経済・強さの秘密と
の熊谷徹氏を講師に、講
チューセッツ工科大学(M
し た。
( テ ー マ:「 科 学 と 技 術 ~
日本への教訓」を開催した。参加
IT)産業学際会との共催シンポ
人々の安心・安全を守るための企
者は約130名。
ジウム
「イノベーションと産学連
業の取り組み~まとめ」
、講師:
携」を開催した。
( 詳細は、本誌9
布留川 正博 同志社大学 経済学部
月号を参照)
教授)
7
/
21
7
/
22
7
/
23
大阪市内で「企業広報講
座(第2回大阪会場)」を開
催し、産経新聞大阪本社の内田透
18
「教員の民間企業研修」
を 7 月21日 ~ 8 月21日 の
横浜国立大学大学院都
市イノベーション学府(横
経済部長が
「産経新聞の大阪での
経済報道」をテーマに講演した。
日程で実施した。本研修は、小・
浜市と共催)で
「企業人派遣講座」
中・高等学校などの教員が民間企
を実施した。
( テーマ:「都市マネ
業で様々な研修を受けるプログラ
ジメント~環境未来都市の実現へ
ムで、企業活動の考え方、企業の
~産業界の挑戦と都市マネジメン
7
/
24
人材育成や環境問題への取り組み
ト」、講師:久米本 憲一 横浜赤
常務取締役)を開催し、李双龍中
などについて理解を深めてもら
レンガ 代表取締役社長)
国復旦大学新聞学院教授を招いた
〔経済広報〕2015年12月号
(詳細は、本誌10月号を参照)
「第110回事業企画委員
会」(委員長:内田章 東レ
講演会など3件について検討し、
ント」
、講師:橘 正年 宝さがしか
ある津上工作室の津上俊哉代表取
了承された。さらに、今後の主な
ら地域デザインを考える会 理事、
締役が「巨龍の苦闘 習近平の経
活動を説明するとともに、第31
信時 正人 横浜市 温暖化対策統括
済、政治、外交」と題して講演し
回
「企業広報賞」の選考結果など
本部環境未来都市推進担当理事)
た。参加者は約50名。
7
/
29
8
/
3
11件について報告した。 7
/
27
電通パブリックリレー
上智大学で「企業人派遣
講 座 」を 実 施 し た。
(テー
3 ~ 7 日 の 日 程 で、 将
来の日中友好の基盤強化
ションズ 企業広報戦略研
マ:「日本の産業とイノベーショ
を図るため、広東省人民対外友好
究所の阪井完二副所長と青木浩一
ン~試験」、講師:蓬田 守弘 上
協会と「広東省大学学生招聘プロ
上席研究員を講師に、企業広報講
智大学 経済学部教授)
グラム」を共催した。
( 詳細は、本
演会
「危機管理力調査2015 ~企業
誌10月号を参照)
向けて〜」を開催した。参加者は
7
/
29
約60名。
(
「企業の危機管理力調査
国における日系企業の企業広報の
8
/
5
2015」については、本誌7月号を
課題と危機管理広報体制につい
県黒川郡大衡村)で
「企業と生活
参照)
て」を開催した。参加者は73名。
者懇談会」を開催し、社会広聴会
の成長を後押しする危機管理に
復旦大学の李双龍新聞
学院教授による講演会「中
トヨタ自動車東日本の
本社・宮城大衡工場
(宮城
員11名が参加した。参加者はス
7
/
29
横浜国立大学大学院都
市イノベーション学府(横
7
/
31
大阪市内で「事業活動に
マートコミュニティ事業
「F-グ
関する懇談会
(関西地区)」
リッド」について説明を受け、企
浜市と共催)で
「企業人派遣講座」
を開催し、関西地区の会員に、当
業と工業団地、地域が一体となっ
を実施した。
( テーマ:「都市マネ
センターの最近の事業活動と今後
たエネルギー効率化や災害対策な
ジメント~環境未来都市の実現
の予定を説明し、意見を伺った。
どについて学んだ。
へ~産業界の挑戦と都市マネジメ
懇談会終了後、現代中国研究家で
PR・IR・危機管理
1月号
定価:1300円
(税込)
編集・発行
株式会社宣伝会議
購読申込
k
(国内広報部 鈴木陽子)
[巻頭特集]
「守りの広報」
ではもう守れない
2016年版
「危機管理広報」
[レポート]
複雑化するソーシャルリスク 対策の基本
月刊「広報会議」読者サービスセンター
[特別企画]
TEL: 0 3 - 3 4 7 5 - 3 0 1 0
インターネットからもお申し込みいただけます。
http://sendenkaigi.com/
2015年のヒットに学ぶ 商品広報のアイデア
2015年12月号〔経済広報〕
19
国際プロジェクト紹介⑤
上海ジャーナリストが体感した
「スポーツを通じた産業振興と地域貢献」
経済広報センターでは10月13日から18日、上海市人民対外友好協会との共催で、上海市政府関係者と在
上海のジャーナリスト(『解放日報』
・梁建剛記者、
『東方網』
・解敏編集、
『東方早報』
・黄 記者)
を招聘し、
「ス
ポーツを通じた産業の振興と地域社会への貢献」
と題する
「上海ジャーナリスト招聘プログラム」
を実施した。
●
「スポーツを通じた産業の振興と地域社会への貢献」
を体感
上海ジャーナリスト一行は、東京オリンピック・パラリ
ンピック2020、プロサッカー、スポーツ報道メディアの
関係者を訪問、意見交換を行った。
東京オリンピック・パラリンピックについては、日本オ
リンピック委員会の中森康弘広報・企画部部長と懇談し、
日本の環境関連技術力などを最大限に活用して、施設建設
を進めているとの説明を受けた。東京都オリンピック・パ
ラリンピック準備局では、矢嶋浩一企画調整担当課長と面
埼玉スタジアムで
会し、東京オリンピック・パラリンピックの会場建設など
に関しては高齢化などに配慮するとともに、様々な地域住
民の声を取り入れていること、さらには、訪日外国人観光
客の利便性に配慮して、ICTの導入を進めていることな
どを聞いた。
サッカー関連では、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)
の中西大介常務理事から、Jリーグが掲げる長期ビジョ
ン、すなわち全都道府県にクラブチームを設立し、地域社
会との交流を進めていくという「Jリーグ100年構想」につ
いて聞くとともに、Jリーグが立命館大学と協力して実施
している「クラブチーム経営者育成講座」の概要などについ
ニッセイ基礎研究所の吉本光宏研究理事との意見交換
て紹介を受けた。
上海ジャーナリスト一行は、プロクラブチームも訪問した。浦和レッドダイヤモンズでは、淵田敬三社長か
ら、子どもたちの健全な成長を目指し、サッカー教室などの地域貢献活動を実施しているといった説明を受け
た。横浜マリノスの永島誠部長を訪問した際には、ホームグランドである日産スタジアムを視察し、地元商工会
との共催イベントにも参加した。
スポーツ報道メディア関連では、フジテレビジョンを訪問。小松勇介スポーツ局専任局次長から、データ放送
で視聴者の直接参画を可能にする工夫や、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の活用が重要に
なっていることについて説明を受けた。加えて、報知新聞では、山田隆執行役員などとSNS時代における紙メ
ディアの在り方、戦略について意見交換した。
また、10月14日には、当センターの会員企業15社との交流会に参加した。
●招聘者の反応
上海ジャーナリスト一行からは、
「訪問先は全て、地域社会と国民の満足度、幸福感を高めることを目的とした
活動に徹している」
「地域社会、国民の声をすくい上げ、施策に反映するシステムが機能している」
「日本はスポー
ツを通じて、地域社会の繁栄を目指している」
「日本の強みは、長期的な視点に立脚した戦略性にある。少子高齢
化の中でも、日本には、まだまだ成長の素地があり、世界に向けて新しい扉を開くことができる」といった声が
寄せられた。
k
(国際広報部主任研究員 藤原慎二)
20
〔経済広報〕2015年12月号
5
企業広報講座ダイジェスト
新聞はどのようにつくられるか
経済広報センターが東京、大阪、名古屋で開催し
容がガラリと変わることも、しばしばある」「朝刊
ている「企業広報講座」には、企業の広報関係者や大
は午後3時、午後5時半、午後10時のデスク会で、
学教授、PRコンサルティング会社、マスコミ関係
紙面構成全体を決める」などと、詳しく説明されま
者など様々な立場の講師が、それぞれの立場から広
した。
報に関連した講演をされていますが、それぞれの都
また、毎日新聞は、東京、大阪、西部
(福岡)
、中
市で必ずお一人は、マスコミ関係者にご登壇いただ
部
(名古屋)本社と北海道支社の4本社1支社体制
いています。
で、各本・支社に編集局・報道センターがあるが、
今年は、名古屋で中日新聞経済部デスクの山上隆
政治、外信部、夕刊編集部があるのは東京本社のみ
之氏、大阪で産経新聞大阪本社経済部長の内田透氏
であること、東京編集編成局の写真部は、この4月
にご講演いただきました。東京では、9月9日に毎
から写真・映像報道センターに組織改革したこと、
日新聞東京本社編集編成局次長の松木健氏に「毎日
PC、スマホ向けのデジタル報道を重視し、編集編
新聞の編集方針」と題してお話しいただきました。
成局内にデジタル報道センターを新設し、編集編成
当センターの企業広報講座では、経済部長、デスク
局のコンテンツをデジタルメディアに活用する橋渡
の方々に「○○新聞の経済報道」と題してお話を伺う
しの役割を果たしていることなどを紹介しました。
ことはありますが、編集局デスククラスの方に「○
さて、今回の講座とは直接、関係ありませんが、
○新聞の編集方針」と題してお話を伺うことはあま
企業の広報部の新任報道担当者から「記者やデスク
りありません。そういう意味で、松木氏のご講演
には何時ごろ電話すればいいのか」との質問を受け
は、大変貴重なものだったといえます。
ることがあります。夕刊締め切り間際、朝刊の締め
松木氏は、紙面制作の流れを「一週間の取材・紙
切り間際は、殺気立っていることもあり、避けるべ
面編集方針は、毎週金曜日の編集局長、局次長、取
きでしょう。上記の一日の流れを参考にしていただ
材部門の部長による取材部長会で、翌週分をおおま
ければと思います。一般的に、記者やデスクに連絡
かに確認。翌月曜日の編集局幹部会で、重要な発表
を取るのは、夕刊が一段落した午後2時過ぎがいい
予定や重要ニュースの変更があれば議論する」
「その
とされていますが、この時間になると、昼食のため
日の編集方針は夕刊、朝刊の編集局全体のデスク会
席を外していたりしています。いずれにせよ、担当
で決定」
「夕刊は午前9時からのデスク会で全体の
記者、知り合いのデスクの都合のよい時間帯を、あ
紙面計画を策定。早版締め切りは午前11時半ごろ。
らかじめ聞いておくことをお勧めします。
遅版締め切りは午後1時過ぎ。早版と遅版で紙面内
k
(文:常務理事・国内広報部長 佐桑 徹)
2015年12月号〔経済広報〕
21
企業広報ニュース
広 報
トピックス
花王グループ、
「手話による
お問い合わせ窓口」を開設
Book
花王グループは、10月より、電話での問い合わせが難し
い聴覚障がいのある人を対象に、より安心して製品を選び、
使っていただけるように手話で相談できる
「手話によるお問い
合わせ窓口」を開設した。
この取り組みは、
(株)シュアールが提供する遠隔手話通訳シ
ステムを利用しており、手話を主なコミュニケーションツー
ルとして使用している人が、パソコン、タブレット端末、ス
マートフォンからインターネット電話サービスのSkypeを通して、専用アカウントにテレビ電
話をかけると、担当の手話通訳士を介して、花王グループの消費者相談室のスタッフに質問や
相談をすることができる。
花王グループは多様な消費者に配慮し、製品を通じて人と人、人と社会をつなぐことができ
る「人や社会とつな
■サービスの流れ
がるモノづくり」を
目指しており、今後
も、 よ り 多 く の 人
が、製品やサービス
に愛着を持って、永
く使い続けていける
よう様々な取り組み
を進めていくとして
いる。
k
(国内広報部主任研究員 西田大哉)
誰もがSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)
を利用し、一消費者がメディアとなる現代、
「ネット炎上」
はす
攻めと守りのSNS活用』
『ネット炎上対策の教科書
べての企業にとって他人事ではない。同書では、
「ネット炎上」
の新しい傾向と対策から、基礎知識、組織としての準備・対
策、有事の対応までを、多数の事例と共に解説している。
「炎上の新傾向と対策編」では、最近の炎上の傾向として、
性的役割の固定化や偏見を助長するコンテンツや、有事の対
応のまずさを指摘する。
「 組織として必要な準備・対策編」で
は、詳細なSNSガイドラインの例を示し、社員研修の進め
方などを説明。
「有事の対応編」では、
「事実無根の場合」
「誤解が
あった場合」
「自社に非がある場合」
「反論する場合」
など、ケー
ス別に事例を基に対応策をまとめている。
「 攻めの活用編」で
は、10社の成功事例を紹介し、愛される企業になるためのS
NS活用法を解説している。
近年メディアで取り上げられた事例が多く掲載され、ネッ
小林直樹 著、日経デジタル
マーケティング 編、
日経BP社
2015年6月発行、
1500円
(税別)
ト炎上対策本として活用できる一冊。巻末における著者の「インターネットは同好の士を探す
のに優れたツールで、善意の支援の輪が一気に広がることも、集団心理や匿名性から攻撃的に
企業批判をすることも、さほど変わらないお祭り感覚」
との言葉が印象的だ。
k
(国内広報部主任研究員 大野祥子)
22
〔経済広報〕2015年12月号
総目次 2015年(1〜 12月号 )
(月号)
新春特集 2015年を迎えて
実行する年に
荻田 伍(経済広報センター/
1
アサヒグループホールディングス)
経団連ビジョン
「豊かで活力ある日本」の再生~経団連ビジョン~
3
第31回「企業広報賞」受賞企業・受賞者決まる
第31回「企業広報賞」表彰式・パーティを開催
9
11
活発な議論と多様性を是とする姿勢で
グローバルな社内コミュニケーションを展開
井上礼之(ダイキン工業)
1
第31回企業広報賞
第30回
「企業広報賞」
受賞者インタビュー
第12回企業の広報活動に関する意識実態調査
グローバル広報の強化などにより業務量が増加
~社内広報はイントラネットの活用が増加~
5
企業広報研究
1000人、100万人、10億人を動かすには
本田哲也(ブルーカレント・ジャパン)
田端信太郎(LINE)
1
企業広報功労・奨励賞を受賞して
2
企業広報功労・奨励賞を受賞して
3
日産自動車の「コトづくり」広報
濱口貞行(日産自動車)
仲間と共に、最善を尽くす
~西武ホールディングス広報部の現場から~
西山隆一郎(西武ホールディングス/西武鉄道)
日本航空のレピュテーション向上を
目指した広報活動
溝之上正充(日本航空)
企業広報における
ソーシャルメディア活用の7カ条
植木耕太(メンバーズ)
小野寺 翼(メンバーズ)
ニュース素材を選ぶ時に、メディア編集者は、
7
広報部門のどのような活動を重視しているのか?
川北眞紀子(南山大学)
「インターナルコミュニケーション」
から
8
「インターナルマーケティング」
へ
~インナーが変われば業績は上がる~
竹嶋理恵(電通)
小山雅史(電通)
最近の事例に見る非常時広報の留意点
中島 茂(中島経営法律事務所)
「外見リスクマネジメント」
から企業風土改革
~楽しくリスク感性を磨こう~
石川慶子(広報コンサルタント/
日本リスクマネジャー&コンサルタント協会)
グローバルCCOの条件とは
ゲーリー・シェファー(アーサーペイジ協会)
ロジャー・ボルトン(アーサーペイジ協会)
危機管理の死角
小川和久(静岡県立大学)
「PESO」
を組み合わせた戦略的広報を
~グローバルPR最新事情~
スティーブ・バレット(『PR WEEK』)
2015年度の世界ブランド
価値ランキングから見える本質
和田千弘(インターブランドジャパン)
緊急時対応のシャドーサイトの在り方
有事に求められる企業のオンライン対応
雨宮和弘(クロスメディア・コミュニケーションズ)
4
4
経営者は何を語るのか どのように語るのか
4
川村秀樹(コミュニケーション・コンサルタント)
エンゲージメント時代を勝ち抜くための
5
CEOレピュテーション
ミチョ・F・スプリング(ウェーバー・シャンドウィック)
日本企業にとってのグローバル広報への挑戦
5
久保明彦(オグルヴィ・パブリック・リレーションズ・
ワールドワイド・ジャパン)
大北ひろ子(オグルヴィ・パブリック・リレーションズ・
5
6
~業績向上につながる“ 8つの広報力”の磨き方~
阪井完二(電通パブリックリレーションズ 企業広報戦略研究所)
北見幸一(電通パブリックリレーションズ 企業広報戦略研究所)
企業博物館とコミュニティ・リレーションズ
6
高柳直弥(大阪市立大学)
企業の危機管理力調査2015
7
阪井完二(企業広報戦略研究所(電通パブリックリレーションズ内))
大森朝日(企業広報戦略研究所(電通パブリックリレーションズ内))
9
10
11
12
12
12
12
グループ広報研究
現場を巻き込むインナーコミュニケーションで
グループの一体感を醸成
1
グループ企業・海外拠点との
効果的なインターナル・コミュニケーション
清水正道(日本広報学会)
グループの存在感を高めるブランド戦略と
インナーコミュニケーション
2
ホールディングスで各社の広報対応を集約
3
明治ホールディングス
三菱重工グループ
りそなホールディングス
2
グループ広報戦略
CC部は
「扇の要」
6
グローバルなグループ広報を展開
7
世界のリーディングエアラインを目指す
ANAのグループ広報
9
キッコーマングループ
ワールドワイド・ジャパン)
子どもをひき付ける授業づくり・教材づくり
谷 和樹(玉川大学教職大学院)
戦略思考の広報マネジメント
北見幸一(企業広報戦略研究所(電通パブリックリレーションズ内))
長濱 憲(企業広報戦略研究所(電通パブリックリレーションズ内))
住友化学
ANAホールディングス
「コーポレートブランドの価値向上」
を目指した 10
グループ広報戦略
帝人グループ
マスコミ事情
共同通信社の組織・取材体制と企業報道
谷口 誠(共同通信社)
1
2015年12月号〔経済広報〕
23
総目次 2015年(1〜 12月号 )
新たな編集方針導入で経済誌としての原点に回帰 4
~『週刊ダイヤモンド』
は何を伝えるか~
田中 博(『週刊ダイヤモンド』)
「ワールドビジネスサテライト(WBS)」の作り方 6
名倉幸治(テレビ東京)
相内優香(テレビ東京)
フィナンシャル・タイムズのデジタル戦略
6
ライオネル・バーバー(『フィナンシャル・タイムズ』)
『週刊エコノミスト』の編集方針
7
金山隆一(『週刊エコノミスト』)
『週刊東洋経済』の編集方針と今後
8
髙橋由里(『週刊東洋経済』)
中日新聞の経済報道と取材体制
9
山上隆之(中日新聞)
ビジネスリーダーの悩みに応える
10
鈴木勝彦(プレジデント社)
産経新聞大阪本社の編集方針と取材体制
10
内田 透(産経新聞大阪本社)
スマホ時代の「ニュース革命」
11
五味洋治(東京新聞)
メディアに聞く
広報は未来を創る原動力
東 英弥(事業構想大学院大学/宣伝会議)
テレビの科学報道の現場
砂沢 融(TBSテレビ)
働く女性を応援する『プレジデント ウーマン』
今井道子(『プレジデント ウーマン』)
産業界の羅針盤となる情報発信を目指したい
竹本祐介(日刊工業新聞社)
新たなメディアの姿を探り続ける「実験工房」
堀江 隆(朝日新聞東京本社)
気持ちよく通勤・通学してもらえる番組づくり
名村晃一(テレビ朝日)
―ドラッカーに学ぶこと
井坂康志(ドラッカー学会)
1
2
4
5
〔経済広報〕2015年12月号
―第18回「生活者の“企業観”に関するアンケート」調査結果―
生活者の8割が
「ベンチャー」
との言葉から
「イノベーションの創造・推進」
をイメージ
4
6
マイナンバー制度への期待は
「社会保障、税などの 9
行政手続きが簡単になる」
が6割超
―「マイナンバー制度に関するアンケート」調査結果―
マスコミを通じて見聞きする経営者の発言・態度が12
企業イメージに大きく影響
-「情報源に関するアンケート」調査結果-
「情報源に関するアンケート」
から考える
企業広報のポイント
宮崎陽介(エデルマン・ジャパン)
12
経済広報センター活動報告
8
「福島医療ケアサービス都市」プロジェクト現地報告1
7
7
ANGLE
24
企業に対する信頼度が43%と4年ぶりに上昇
6
都市のソフト・パワーを高めるための
10
5つのキー・ドライバー
イアン・ラムズビー(ウェーバー・シャンドウィック)
『ライフデザイン白書2015年』に見る
10
人々の生活意識の変化
的場康子(第一生命経済研究所)
TOSSが取り組む社会貢献活動
向山洋一(TOSS)
最近の若い教師に思うこと
谷 和樹(玉川大学教職大学院)
理科教育とイノベーション
小森栄治(日本理科教育支援センター/TOSS)
信頼度調査から考える企業広報のポイント
ロス・ローブリー(エデルマン・ジャパン)
社会広聴アンケート
―「起業とイノベーションに関するアンケート」調査結果―
視点・観点
現代史の臨場感を学生に伝えたい
岩田公雄(学習院大学/ジャーナリスト)
21世紀に知の回路を開き続ける人
最近の企業広報に思う
6
江良俊郎(エイレックス)
MBAで、コーポレート・コミュニケーション 7
教育に挑戦
北村秀実(関西学院大学)
地方創生の体験ツーリズム演出家
8
玉木欽也(青山学院大学)
フューチャー・センター志向論の提唱
9
菅原正博(プロトビジョン)
つなぐ世界、むすぶ心
10
木村 昭(日本貿易会)
「石油の力。
」
11
中田 徹(石油連盟)
広報と金融リテラシー
12
小倉康介(全国銀行協会)
1
2
3
4
~未来都市モデルプロジェクト~
知らなかった放射線の話~低線量被ばくの誤解~
中川恵一(東京大学医学部附属病院)
「パブリック・ディプロマシー」
日本の対外発信と企業活動
マイナンバーの実務対応に向けた早期の準備を
ASEANメディアとどう付き合うか
~経済広報センター初のバンコクでのセミナーおよび
懇談会開催~
2
2
2
3
国民を幸福にするエネルギー政策を考える
山本隆三(常葉大学)
日本企業らしいグローバル広報戦略
慶應義塾大学で経団連ビジョンを講演
勝俣宣夫(日本経済団体連合会(当時)/丸紅)
女性の活躍とダイバーシティ
3
エネルギーミックスをどう考えたらいいのか
澤 昭裕(21世紀政策研究所)
地方創生と日本経済の活性化
林 宜嗣(関西学院大学)
中国メディアが触れた
「近江商人」
と
「おもてなしの心」
8
~経済成長のキーワード~
佐々木かをり(イー・ウーマン)
~中国ジャーナリストにどう映ったか~
4
7
7
8
8
総目次 2015年(1〜 12月号 )
日本・台湾連携でグローバル社会を打ち勝つ
―シンポジウム
「インドネシアにおける広報活動のあり方」
を開催―
上智、慶應大で企業トップが講義
水谷 徹(サントリービール)
伊藤秀二(カルビー)
9
「イノベーションと産学連携」を開催
9
―マサチューセッツ工科大学(MIT)産業学際会との共催
シンポジウム―
これからの戦略イノベーションとガバナンス
10
米国地域社会との対話
10
~欧州ビジネススクール教授招聘プログラム~
―ビジネス・スピーカー・シリーズ―
海外広報事情
社員は、影響力が大きいアクティビスト
~米国企業のインターナルコミュニケーションを調査~
3
海外メディア事情
中国におけるニューメディアの現状と
企業広報での活用
福島大毅(東方インターナショナル)
5
企業広報講座ダイジェスト
広報人材育成プログラムに注力
~企業広報講座と講演会~
企業広報の基本
メディアリレーションとリリース作成
日本人のメッセージづくりの落とし穴
新聞はどのようにつくられるか
8
9
10
11
12
米国ビジネススクール教授招聘プログラム20158
第36回 北米社会科教育関係者招聘プログラム 9
広東省大学学生招聘プログラムを実施
10
英国ジャーナリスト招聘プログラム2015
11
上海ジャーナリストが体感した
12
「スポーツを通じた産業振興と地域貢献」
技術広報研究
研究・技術開発力を戦略的広報で伝える
1
ブランド価値の向上に繋げる技術広報
3
最先端の技術を伝える
6
実際の現場で技術を伝える
8
多様な広報活動で医薬品の技術を伝える
9
キリン
キヤノン
戸田建設
協和発酵キリン
1
『新版 実践マニュアル 広報担当の仕事 2
すぐに役立つ100のテクニック』
五十嵐 寛 著
3
『情報倫理 ネット時代のソーシャル・リテラシー』
髙橋慈子、原田隆史、佐藤 翔、岡部晋典 著
『入門 メディア・トレーニング 4
マスコミ対応の実践ノウハウのすべて』
篠崎良一 著
『ネット風評被害』
5
薮﨑真哉 著
『ブランドファースト 6
中小・ベンチャーの成長はブランドから始まる』
木村裕紀 著
『戦略思考の広報マネジメント
7
~業績向上につながる“8つの広報力”の磨き方~』
企業広報戦略研究所 編著
『社員をホンキにさせるブランド構築法』
8
ブランド・マネージャー認定協会 著
『勝ち組企業の広報・PR戦略』
9
山見博康 著
『パブリックリレーションズ
[第2版]
』
10
井之上 喬 著
『デジタルPR実践入門完全版』
11
月刊
『広報会議』
編集部 著
12
『ネット炎上対策の教科書 攻めと守りのSNS活用』
小林直樹 著
味の素グループ 1
東北応援
「ふれあいの赤いエプロンプロジェクト」
味の素
コニカミノルタの地球環境を守る
「エコビジョン2050」
コニカミノルタ
3
三菱みなとみらい技術館
4
JR東海の
「リニア・鉄道館」
5
たばこと塩の博物館
6
まちの防災・防犯・交通安全をテーマとした
マップづくり
「ぼうさい探検隊」
7
豊田通商
三菱重工業
東海旅客鉄道
日本たばこ産業
日本損害保険協会
「コミュニケーション・プラザ川崎」
「コミュニケーション・プラザ富士」
NEXCO中日本
三井住友銀行
1
2
2
豊田通商が事業と社会貢献でアフリカを支援
三井住友銀行東館 ライジング・スクエア
広報管理職講座
危機管理と広報管理職
メディアの変化と広報の将来
篠崎良一(PR総研/広報の学校)
『間メディア社会の<ジャーナリズム> ソーシャルメディアは公共性を変えるか』
遠藤 薫 編著
企業・団体のCSR活動
国際プロジェクト紹介
東レ
企業広報ニュース「Book」
8
日系企業と現地メディアとの関係強化の課題を探る8
8
9
創業90周年記念 社会貢献事業
10
「“空気をはぐくむ森”プロジェクト」
をスタート
ダイキン工業
「SMART MOBILITY CITY 2015」
を開催 12
日本自動車工業会
2015年12月号〔経済広報〕
25
2015
12
企業・団体のCSR活動
「SMART MOBILITY CITY 2015」を開催
(一社)日本自動車工業会
お問い合わせ先
HP
(一社)日本自動車工業会
TEL:03-5405-6119
http://www.jama.or.jp/index.html
http://www.kkc.or.jp/
平成
昭和
年 月 日発行
(毎月 回 日発行)
第
年 月 日第 種郵便物認可
55 27
10 12
23 1
3
1
1
37
巻第
超小型モビリティの体験走行
最先端のパーソナルモビリティの体験走行
日本自動車工業会は、10月29日から11月8日ま
た。
「明日の街」
は3つのプログラムによって構成され
た。東京モーターショーのシンボルイベントである
ており、
「エキシビション」
は開催テーマ
「もっと自由
主催者テーマ事業「SMART MOBILITY CITY」は「世界
に… クルマが変わる、くらしが変わる、社会が変
一のテクノロジーモーターショーへ」のスローガン
わる。」を分かりやすく、楽しく紹介する「テーマ展
の下、自動車産業のみならず、情報通信産業、環
示」とそれを具現化する「先進技術・製品展示」が組
境・テクノロジー技術、住宅産業、都市・社会イン
み合わされている。自動車メーカーはもちろん、情
フラなど、日本が世界に誇る最先端のテクノロジー
報通信、環境・エネルギーなど幅広い民間企業、関
を集結してつくり上げる情報発信プログラム。3回
連団体・行政機関の出展により、最先端の製品、技
目の開催となる今回は、「もっと自由に… クルマが
術、システム、サービスに触れることができる。
変わる、くらしが変わる、社会が変わる。」をテーマ
また、
「テストライド」
では、超小型モビリティの
に、展示会形式で、都市とクルマと人々の関わりを
体験走行や、自動運転の試乗体験を楽しむことがで
き、新しいモビリティの楽しさや安全性を実際に体
験できる。
「カンファレンス」
では、明日の豊かなクルマと都
市とくらしの在り方をテーマとした有識者を集めた
トークセッションや、子どもを対象としたワーク
ショップを行い、幅広い世代を対象として、これか
らの交通、社会システムについての知識を深めるプ
ログラムを実施した。
k
発行:一般財団法人 経済広報センター
(国内広報部主任研究員 西田大哉)
Printed in Japan
発行人/渡辺 良 編集人/佐桑 徹 [ ISSN 0918–4600
]
東京都千代田区大手町一 三
(本体価格三〇〇円+税)
- 二
- 経団連会館 電話〇三 六
- 七四一 〇
- 〇 二 一 〒一〇〇 〇
- 〇〇四 ( 送料別、賛助会員の購読料は会費に含む)
イトで開催、世界11カ国から合計160社が参加し
親子で楽しみながらクルマについて学べるワークショップ
436
号
で第44回東京モーターショー 2015を東京ビッグサ
リアルに体験できる
「明日の街」を会場内に創出し
号通巻
12