企業経営における『クレド』のメリット

「What is Credo ?」
Vol.1
“ What is Credo ? ” 2006. Spring (Vol.1)
「企業経営における『クレド』のメリット」
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発行:日本クレド Japan Credo Corporation
クレド、すなわち企業理念を上手に活用し、業績を向上させる優良企業が増えてき
ました。クレドとはラテン語で志、約束、信条を意味します。
ご存知のとおり、それを理念として標榜する企業は数多くあります。皆さんが良く
知る医薬品・医療機器メーカーのジョンソン・エンド・ジョンソン社は60数年前
からクレドを経営の羅針盤にしています。また全世界に高級ホテルを展開するザ・
リッツカールトンでのクレド活用も最近では有名です。
以下は「クレドカード」の一例です。日本クレドが手がけた、「株式会社セルバの
クレド」をカードの形にしたものです。
©2005 Japan Credo Corporation. All rights reserved.
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このカードは4つ折りにすると名刺より少し大きなサイズになり、ポケットに入れ
て常に持ち歩くことができます。内容は、クレド一番の根幹となる「グランド・ク
レド」とも言える大きな3項目と、企業のメンバーが日常的に行動の指針にするべ
き31項目の「アクション・クレド」から成っています。これを経営陣の皆さんは
もちろん、従業員の皆さんも全員使って、日々の業務を行っているのです。そして
さらに、このクレドと連動させた、いくつかの効果的なプログラムを使って、非常
にすばらしい企業風土を作られています。
企業を経営していくうえでこの「クレド」にはどんなメリットがあるのでしょう?
また、どのようにして利用していくのでしょう?
そこで、
「クレドのメリット」を以下の5点に集約しました。
■ クレドで、今までのアプローチとは全く異なる「究極の意識改革」が可能
― クレドを使って従業員・経営陣の目的をひとつにすることで、確実に企業の
改善を実現できます。
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― 組織の硬直化・目的意識・モラルの欠如などから来る弊害をなくすための強
力なツールとなります。
― 従業員のみならず、経営陣の意識改革と情熱の最大化も実現できます。
■ クレドが創業時の「情熱がエンジン」という状態をもう一度取り戻す
― 職場を「生活費獲得の場」ではなく、
「生きがいを得る場」という意識に変革
します。
■ 「プロセス改善」から「パッション改善」へ
―「高度なコスト管理」
「業務の効率化」(Business Process Re-Engineering)か
ら、
「情熱の再構築」
(Business Passion Re-Engineering)へ。
■ 単発の「従業員研修」ではなく、
「継続した意識改革」の実現が可能
―すぐに忘れてしまうような「付け焼刃な従業員研修」では決して得られない、
毎日の業務に連動した具体的で確実な「意識改革のツール」。
■ クレドと連動して「ありがとうの声」を利用し、社員のモチベーションを効果
的に高めます
―クレドと社内外にある「ポジティブな声」の連動に注目し、それらを仕事の誇
りややる気向上に活用します。いままで見過ごしていた「声」を組織に潤滑さ
せます。
以下では上記5点について、それぞれ具体的に解説していきます。
■ クレドで、今までのアプローチとは全く異なる「究極の意識改革」が可能
先日、関東地方にある企業をクレド開発のために訪問しました。20代の若い従業
員たちと語る機会を得て、従来の意識改革やモチベーション向上手法を根本から見
直さねばならないという場面に遭遇しました。従業員のOさんがこう話を切り出し
ました。「わたしは先日、ドイツ製の外車を購入しました。昨年は父親が敷地の中
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に、私のために一戸建をたててくれました。将来結婚したらそこに住んでくれ、と
いうことです。いまの生活には不満はぜんぜんありません。」
驚くことに、彼が特別なのではなく、そこには同じように「満たされた」環境の若
手従業員が何人もいました。
ひと言でいうならば彼らは“経済的には満腹”なわけです。この状況は現代のビジ
ネスマンの多くに当てはまるのではないでしょうか。そんな彼らに「今期は11
0%必達だ!」「ノルマ○○件目標!」などと高度成長期に通用した管理手法を強
要したら、仕事に邁進するどころか、逆にシラけてしまい、本来の力をまったく発
揮しないでしょう。せっかくのやる気ある社員を退社させてしまうかもしれません。
だからといって彼らは本気にならないか、というとそんなことはありません。実は
日本社会に対してとか、環境問題、政治、教育…などのあり方などを真剣に考え、
自分の意見を持つ人が多いのです。
であるならば、これからの企業理念は「俺たちの仕事って、こんなに人々に役立っ
ているんだ」とか「ありがとう、と顧客に言われる仕事」を目指す表現でなければ
ならないと思うのです。
そのような仕事であれば従業員は意気に感じて自分の力を思う存分発揮すること
でしょうし、それが自社の企業価値やブランド力を向上させることに直結すると思
うのです。
・・・この例のような若手従業員の価値観は、現在急速に広がりつつあります。
「暮
らしを良くするために必死で働く」といった価値観は、もう過去のものなのです。
過去の理念を携えて創業した企業は(ほとんどの企業がそうだと思いますが)、こ
こへ来て、新しく変わってしまった価値観の従業員に対して、給料などの金銭的満
足感ではなく、純粋な「働く満足感」を与え、しっかり働けるようにすることが必
要になってきます。そのための「戦略・対策」というのが必要な時代なのです。
さらには、多くの優秀で元気な従業員を確保すること、そして変化していく価値観
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よりも速いスピードで社内を活性化していくことも、現在の企業環境では「急務」
となっています。
そして、このような変化をうまく、速やかに社内に作り出すためには、究極の意識
改革ツール「クレド」が大きな役に立つでしょう。
■ クレドが、創業時の「情熱がエンジン」という状態をもう一度取り戻す
どんな企業も創業者が熱い想いで事業をスタートさせました。その理念に賛同し共
感した従業員が一人増え、二人増え…今日までの社業を担っているのです。創業時
の苦しい中、収入が少なくてもがんばれたのは、この情熱を表した「理念」のおか
げだったのではないでしょうか。
しかし成長する多くの企業の現場をつぶさに見て気になるのは、企業理念あるいは
社是・社訓が社長室の額縁に入ったままになっていることです。あたかも封印され
たかのごとく、今となってはその言葉の持つ意味を現場の従業員に話して聞かせる
ことはないようです。
これでは経営者のすばらしい「志」は、現場の第一線で働く若手従業員やパート・
アルバイトにまで浸透しません。
この創業時のすばらしい「志」を、全従業員に伝えるツール。会社のメンバー全員
に「情熱」を伝える言葉。それが効果的にできるのが、
「クレド」なのです。
■ クレドを用いて、
「プロセス改善」から「パッション改善」へ
現在の企業環境では、
「プロセス」改善、すなわち「コスト削減」
「合理化」などに
フォーカスが行きがちですし、効果もそれなりに上がっています。一時期話題にも
上がっていた BPR(Business Process Re-Engineering)と言う言葉をご存知の方も
多いでしょう。
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しかしそろそろ、
「モノ」
「カネ」の環境改善もかなり限界に来ており、さらにここ
数年でデフレ局面からインフレ局面へ移行しようとしている昨今、次の一手として
は、「ヒト」の改善、すなわち「パッション(情熱)」の改善が求められています。
いうなれば、ネオ BPR(=Business Passion Re-Engineering)という時代にすでに
突入しています。 そこに「クレド」がフィットする理由があります。
ここで「クレド」は、いわゆる従来の企業理念と同じでは?思われている方が多いの
ですが、クレドが従来の企業理念と根本的に違うのは、次の三点です。
① 全員参加でつくる
もちろん経営者がその骨子の大部分をつくるわけですが、全従業員にも参加して
もらい開発する。そうすることで「わたしも自社の理念づくりに関係した」とい
う参画意識が芽生えます。
ご存知、ジョンソン・エンド・ジョンソン社では、経営トップから工場のパート
従業員までがクレドの評価をし、それに忠実に基づいて毎年のように改訂をして
います。この全員参加のプロセスを作るのが、クレドの大きな特徴です。
② わかりやすい表現、自社オリジナルなものにする
多くの経営者は偉大な経営の先達や書物から理念を学んでいます。そして自らの
経営体験や尺度をもとに表現をしています。そうすると、どうしても難しい言葉
で理念が表現されがちです。その方がなにか威厳があるという理由なのでしょう
か。その結果、実際に現場で業務をする従業員には理解されがたく大きなギャッ
プを生じるのです。
このように「難しくない」
「わかりやすい」もクレドの大きな特徴となります。
③ 実際の「アクション」につながらねばならない
現場の従業員が「ああ、こうすることが、理念を実践していることにつながるの
か!」と感じるような内容で表現しないといけません。行動のための指針にまで
落とし込んではじめて企業理念が完成するのです。それは、従来からある作業マ
ニュアルとは全く異質のものとなるはずです。
クレドは新時代の行動マニュアルとしても機能するものなのです。
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このような過程で仕事へのパッション(情熱)改善が、スムーズにできるのです。
コスト効率化手法や、高度な経営手法を取り入れる前に、先ずは「クレドを!」と
言う理由は、ここにあります。
■ クレドは、単発の「従業員研修」ではなく「継続した意識改革」
従業員研修は、たとえ単発のものであっても、多くの費用と時間がかかります。し
かし、クレドを使うと、費用も時間も最小限で、継続した意識改革ができるのです。
ある飲食チェーンでは毎朝の朝礼でクレドの唱和をしています。カードに落とし込
んで、全社員に携帯させている企業もあります。ポスターにしてオフィスや店舗の
バックヤードや工場の壁に貼っている企業もあります。これなら作業もシンプルで
すし、時間も費用も最小限ですむことでしょう。クレドなら、いつも繰り返し、少
しづつ自分の行動を意識できるようになり、効果は驚くほど絶大です。
また、巨大企業ジョンソン・エンド・ジョンソン社の日本法人には、クレドー・オ
フィスという、いうなれば企業理念を浸透させるための専門部門があります。
そこがクレドーの研修会や教育プログラム作成、クレド調査…など全従業員へのク
レドの浸透業務を、年間を通じて一手に行っています。ジョンソン・エンド・ジョ
ンソン社は非常にすばらしいクレドーをお持ちで、専門部署を立ち上げるほど「ク
レドー」に信頼を寄せていらっしゃると同時に、このように大企業の場合において
は「クレド」を使うことで、とても低予算で非常に多くの施策が展開できます。
つまり、中小企業でのデイリーの改革施策から、大企業の年間スケジュールを通し
た大掛かりな意識改革まで、クレドは継続的な意識改革ツールとして幅広く機能で
きるのです。
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■ ステークホルダーからの「声」をクレドと連動して利用する
ステークホルダーからの「声」とクレドを連動させ、組織内にプラスの声のスパイ
ラルをまわし、極めて短期間で企業風土を浄化することが可能です。
まず、
「あなたの企業は素晴らしいですね」
「おたくの商品のお蔭でとても助かって
ます」「ありがとうございます!」というような企業内外にある声をきちんと従業
員にフィードバックさせます。苦情やクレームのような声ではなく、あくまでプラ
スの声のみにフォーカスします。そしてそこにクレドを連動させるのです。
わかりやすいように、以下に実例を挙げました。
【企業での実例】
関東地方の小売業セルバ社で実施している活動は「プラスの声」のスパイラル
を社内に巻き起こし、従業員のモチベーションを高めています。セルバ社は、
山梨県富士吉田市に本社がある従業員約 800 人のスーパーマーケットです。7
店舗を展開しています。
お客様が卵を買って店を出ました。ところが店の外に出たとき卵の袋を落とし
割ってしまいました。たまたまそれに気づいた店員Aさんが新しい卵を取って
きて、無料で取替えたところ、お客様から大いに感謝されました。
セルバ社のクレドの中にはこんな項目があります。
“自分がして欲しいことを、いま目の前にいるお客様にしてあげましょう。自
分のおばあちゃんが目の前で困っていたらどうしますか?自分の子供が独り
で泣いていたらどうしますか?そんな気持ちで接客をしましょう。
”
つまり、その店員Aさんは、このクレドの項目をきちんと認識していたから、
このような行動に結びついたものなのです。そんな企業にとって良い行動を社
内にフィードバックして全従業員が共有できれば、仕事レベルが確実に上昇し
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ますし、顧客に対する行動そのものも統一されるでしょう。これは自社のブラ
ンド力の向上とも言えます。
■ 最後に
皆さんの企業の従業員は、数多くの選択肢の中から、自社を選び縁があって働いて
います。それは長い期間かもしれないし、数ヶ月のパートタイムかもしれません。
いずれにしても、人生のある期間を自社で過ごすのなら、その時間が楽しいもので
あってほしいし、意義のあるものであってほしいのです。「この会社で働いている
ことが誇りです!」と従業員にいってもらえるような企業をこれからの経営者には
築いて欲しいのです。
なぜならそれが、必ずステークホルダー、特に顧客に影響し、業績に直結する大き
な力になると確信するからです。
そのためには従来からの統制型の理念を排し、共感型の企業理念:クレドに再構築
し、現場へ浸透させる必要があります。この難しい時代にこそ、クレドを経営に活
用するべき理由がここにあるのです。
また、クレドは、導入と同時に効果的なプログラムと連動させることで、その効力
をすばらしく増大させます。企業の硬直化を防ぎ、活性化させ、クリエイティビテ
ィを創造します。日本クレドではクレド開発業務に加えて、こういったクレド連動
型プログラムもご用意しておりますので、先ずは電子メールにてお気軽にお問い合
わせください。
日本クレド コンテンツ事業部
postmaster@j-credo.com
HP: http://j-credo.com
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