仙北市地域新エネルギービジョン 平 成 19年 10月 秋田県仙北市 目 次 第1章 地域新エネルギービジョン策定の趣旨 第1節 ビジョン策定の背景・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 第2節 ビジョンの目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 第3節 ビジョンの性格・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 第4節 目標年度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 第2章 新エネルギーと国・県の政策 第1節 新エネルギーの種類、技術開発、国内外の取組状況等・・・・・・・・・・7 第2節 国の新エネルギー政策と目標・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23 第3節 県の新エネルギー政策と目標・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25 第3章 本市の地域特性 第1節 自然環境・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27 第2節 社会環境・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35 (以下未定稿) 第4章 本市のエネルギー需給状況 第1節 本市のエネルギー需給状況・部門別 第2節 本市の電力供給状況 第3節 本市の二酸化炭素排出量 第5章 導入状況と賦存量及び利用可能量 第1節 新エネルギーの導入状況 第2節 新エネルギーの賦存量及び利用可能量 第6章 市民の意識と関心 第1節 調査の概要(目的、種類、調査年月日) 第2節 調査結果 第7章 導入基本理念・方針と目標 第1節 新エネルギー導入基本理念 第2節 2016 年度のおける新エネルギーの導入目標 第3節 二酸化炭素削減目標 第8章 導入促進に向けた取組 第1節 本市における導入促進の取組 第2節 地区別の導入の取組 第9章 推進体制の整備等 第1節 市民、事業者、行政の役割 第2節 行政の取組と推進体制 資料 第1章 地域新エネルギービジョン策定の趣旨 第1節 ビジョン策定の背景 (1)地球温暖化の防止 世界的に深刻な環境問題の1つに地球温暖化問題があります。地球の平均気温は 15℃前 後と、生物が生きるのに適した環境に保たれてきました。気温に大きな影響を与えるのが 大気中に含まれている水蒸気、二酸化炭素(CO2)、メタンなどの「温室効果ガス」と呼ば れる気体(ガス)です。しかし、産業革命以降、化石燃料を大量に燃焼させるなど、人の 活動に伴って排出される量が急速に増えたため、近年は大気中の CO2 濃度が上昇し続けて います。 2001 年に公表された気候変動に伴う政府間パネル(IPCC)第 3 次評価報告によれば、 20 世紀の 100 年間に世界の平均気温は約 0.6℃、平均海水面が 10~20cm それぞれ上昇し、 北半球の中高緯度では大雨の頻度増加など様々な気候の変化が観測されています。同報告 書では、過去 50 年間に観測された温暖化の大部分は人の活動に伴う温室効果ガス濃度の増 加が原因となっている可能性が高いと結論づけています。 IPCC では、このままでは、2100 年に地球の平均気温が 1.4~5.8℃上昇し、将来温暖化 に伴う影響として様々な気候の変化によって局地的な大雨や干ばつが起こったり、極端な 猛暑や寒波が襲う可能性などの予測をしています。 CO2 排出量についてみると、世界の CO2 排出量の 4 分の 1 はアメリカ一国(人口は世界 の 4.6%)で排出しており、先進国(アメリカ、日本、西欧などの OECD 加盟国。人口は 世界の 14%)だけで世界の CO2 の約 6 割を排出していることがわかります。図 1-1-1 に世 界各国の一人当たりの CO2 排出量を示しました。 インド 1.1 アフリカ諸国 1.2 東南アジア諸国 1.6 2.2 中国 EU(15ヶ国) 8.2 日本 9.4 9.9 ロシア アメリカ 19.8 0 5 10 15 20 25 t/人-CO2換算 図 1-1-1 世界各国の一人当たりの CO2 排出量の比較(2000 年) (資料)アメリカオークリッジ国立研究所 1 1985 年にオーストリアで開かれた会議に参加した科学者たちの呼びかけによって、温暖 化問題は急速に国際政治の問題として捉えられるようになりました。1988 年のカナダで開 かれた会議では「トロント目標」として具体的な数値目標を示した勧告が出され、同年、 世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)が、世界の科学者で構成する国連気候変 動政府間パネル(IPCC)を設立しました。 IPCC の科学的な知見を踏まえ、1992 年のブラジルのリオデジャネイロで開かれた地球 サミット直前の国連総会で気候変動枠組条約が成立、94 年に発効しました。 この気候変動枠組条約は「大気中の温室効果ガス」の濃度安定化を目的としており、「先 進国」 「開発途上国」 「旧ソ連、東欧諸国」それぞれに異なる義務を定めています。 1995 年に第 1 回締約国会議(COP1)が開かれ、以後 2004 年までに 10 回開かれていま す。この間、1997 年の COP3 において、先進国に対して法的拘束力のある温室効果ガスの 数値目標(2008~2012 年までに先進国全体で基準年 1990 年よりも少なくとも 5%削減) を定めた京都議定書が採択されました。 「京都議定書」は、2004 年末のロシアの批准により 2005 年 2 月に正式発効となり、今 日、世界各国において温暖化対策の本格的履行が求められています。 (資料)環境省「平成 17 年版環境白書」、気候ネットワーク「よくわかる地球温暖化問題」、NEDO「新エネルギーガ イドブック」 表 1-1-1 候変動枠組条約締約国会議の変遷と京都議定書発効まで 年 名称 1995 COP1 1996 COP2 1997 COP3 1998 COP4 1999 2000 COP6 再開会合 2001 COP7 2003 2004 京都 (日本) ブエノスアイレス (アルゼンチン) ボン COP5 (ドイツ) ハーグ COP6 (オランダ) 2001年3月 2001 2002 開催地 ベルリン (ドイツ) ジュネーブ (スイス) ボン (ドイツ) マラケシュ (モロッコ) デリー COP8 (インド) ミラノ COP9 (イタリア) 2004年11月 COP10 ブエノスアイレス (アルゼンチン) 2005年2月 ポイント 第3回会議までに、先進国の温室効果ガスの削減目標を設定する議定書を 作成することを決定。(ベルリン・マンデート) 特定のタイムフレームの中で排出抑制及び相当の削減のための数量化され た法的拘束力のある目的を設定することを決定。 各国毎に法的拘束力のある温室効果ガスの削減目標を設定。さらに、京都メ カニズム(排出量取引、共同実施、クリーン開発メカニズム(CDM))の導入に 合意。(京都議定書) 京都メカニズムの具体的なルールや遵守の問題について、COP6での決定を 目指して検討することを合意。(ブエノスアイレス行動計画) 日本及び欧州諸国が2002年までの京都議定書発効の必要性を主張。「ブエ ノスアイレス行動計画の実施」を再確認。 京都メカニズムの具体的なルールや遵守の問題について、合意に至ることな く中断。 アメリカが京都議定書から離脱 2002年の京都議定書発効に向けて基本的に合意。森林の吸収枠も各国毎に 設定するなど、具体的ルールに関する議論も進展したが、遵守の問題などは 先送りとなった。(ボン合意) 京都メカニズムのルールを作成。ただし、遵守の問題、途上国関連の問題な どは今後の協議事項とされている。(マラケシュ合意) 京都議定書に基づく報告・審査ガイドラインが策定され、クリーン開発メカニズ ム(CDM)の手続きについて整備される。 森林吸収源CDM事業実施のための細則、特別気候変動基金と後発途上国 基金の運営指針を合意。京都メカニズムの運用ルールがすべて決定。 ロシアが京都議定書に参加 森林吸収源の算定方法の手法、小規模植林CDMの細則を合意。一方、2013 年以降の取り組みについては議論がまとまらず、05年末以降の検討開始に 向け情報交換を行うことが決定。 京都議定書発効 (資料)NEDO「新エネルギーガイドブック」、EIC ネット 2 京都議定書では、先進国の温室効果ガスの数値目標を定めました。先進国全体では、1990 年と比較して 5.2%削減することとし、日本の削減目標はマイナス 6%削減です。しかし、 2003 年度の日本の総排出量は 1990 年と比べ、8.3%増加しており、この分を加算すると 14%の削減が必要となっています。 表 1-1-2 京都議定書の概要 対象ガス 基準年 約束期間 数値目標 二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、HFC、PFC、SF6 1990年(HFC・PFC・SF6 は1995年としてもよい。日本は95年を基準にしている。) 2008~2012年の5年間(第1約束期間) 先進国全体で少なくとも5.2%削減を目指す。 各国毎の目標→日本△6%、米国△7%、 EU△8%等。 バンキング 目標期間中の割当量に比べて排出量が下回る場合には、その差は次期以降の割当量 に繰り越すことができる。 吸収源 90年以降の植林・再植林・森林減少による吸収・排出分を数値目標にカウントする。第2 約束期間には人為的な吸収源の範囲拡大を適用できる(第1約束期間でも選択可能)。 共同達成 数値目標を複数の国が共同で達成することができる仕組み(EUはこの方法を選択)。 京都メカニズム 国際的に協調して費用効果的に目標を達成するための仕組み。 ●共同実施(JI) 先進国間で共同でプロジェクトを実施し、排出削減単位を移転・獲得できる仕組み。 ●クリーン開発メカ 先進国と途上国内で排出削減等のプロジェクトを実施し、その結果の削減量・吸収量を ニズム(CDM) 排出枠として先進国が取得できる。 ●排出量取引 先進国間で、割当量と取引できる仕組み。 (資料)環境省「平成 17 年版環境白書」、気候ネットワーク「よくわかる地球温暖化問題」 (3)地域新エネルギービジョンの新市建設計画における位置づけ ①平成 17 年 9 月 20 日田沢湖町、角館町、西木村の合併により誕生した仙北市の「新 市建設計画」では、将来像として「観光産業を活かした北東北の拠点都市」づくり をめざし、そのまちづくりの基本理念として「観光産業を活かしたまちづくり」「歴 史と文化が息づくまちづくり 」「ふるさとを愛し、誇れる人づくり 」「誰もが安心し て暮らせるまちづくり」の4つを掲げています。 ②基本理念では「私たちは、地域を守り、維持、発展させるために、他に類をみない 豊富な資源と恵まれた立地条件をもとに、『観光産業を活かしたまち』をつくること により、県内外・国外の多くの人々と地域の人々との交流を通して地域を活性化さ せるとともに、人々の生活の土台である経済基盤を安定させたい」として、「この地 域においては、特に、観光産業と農林業・商工業など他の産業との相互連携の中で、 産業の振興、活性化をはかる態勢を整えていくことが必要」としています。 ③そして4つの「まちづくりの基本理念」のもとに「観光産業を活かした北東北の『交 流拠点都市』」「さまざまな交流でつくる『生活文化都市 』」「観光や暮らしの中で行 き来をさかんにする交通の整備」「まちづくりをサポートする行財政の改革」の4つ のまちづくりの方針を据え、それらを目標としてそれぞれの目標についてさらに2 ~4つの推進方針を立てています。 ④推進方針の中で地域新エネルギーの利活用と特に関連するものは2つあり、 「地域を 守り観光を支える元気な農林業・商工業」と「お年寄りも子どもも大人も安心して 暮らせるまち」という方針です。 3 ⑤推進方針「地域を守り観光を支える元気な農林業・商工業」では、まちの基幹産業 である「農業の生産性の向上、複合化の推進という観点からは、畜産業や林業との 連携を高め、堆きゅう肥や製材残材などのバイオマスの堆肥化等を検討し、これら を有効に活用するなどして循環型農業を確立するとともに、無農薬・減農薬野菜の 生産の振興を図ることにより、安全でおいしい農産物の安定した供給をめざします」 としています。また、同じく基幹産業の林業では「間伐材の活用」を推進し、「地球 環境保全のための大きな役割」をもつ「森林の保全をすすめるとともにこれを支え る林業の振興を図っていく」としています。 ⑥推進方針「お年寄りも子どもも大人も安心して暮らせるまち」では、その中の「自 然環境の保全と公害の防止」で「21 世紀の世界的な課題である温暖化対策などの地 球環境問題に対応するため、再生可能な資源であるバイオマスを利用したエコエネ ルギー等の導入を検討します」とし、主要施策では「事業系廃棄物の増加抑制と循 環型ごみ処理体制の確立」そして「新エネルギー活用のための計画策定」が掲げら れ、今年行っている仙北市地域新エネルギービジョン策定調査につながっています。 まちづくりの方針 目標 推進方針 新 市 建 設 計 画 目標1 観光産業を活かした北東 北の「交通拠点都市」 1 2 3 4 テン・ミリオン計画(観光客倍増計画) 北東北の観光センター 地域を守り観光を支える元気な農林業・商工業 「おざってたんせ」の心 目標2 さまざまな交流でつくる 「生活文化都市」 1 2 3 4 歴史と文化が息づくまちづくり ふるさとを愛し、ふるさとを誇りに思う人づくり このまちの未来を担う子どもの教育 お年寄りも子どもも大人も安心して暮らせるまち 目標3 観光や暮らしの中で人の 行き来をさかんにする交 通の整備 1 観光に生活に便利な道路の整備 2 空港、駅からの便利な乗り継ぎ(二次アクセス) 3 誰もが、いつでも、気軽に移動 目標4 まちづくりをサポートする 行政の改革 1 民間企業に負けない効率的な行政運営 2 行政サービスはより少ない費用で 図 1-1-1 まちづくりの方針 4 第2節 ビジョンの目的 京都議定書による温室効果ガスの排出削減目標が国際的に合意され、この目標を達成す るためには、産業を始め国民一人ひとりが自らの問題として地球環境問題に取り組んでい く必要があります。その取り組み方向の重要な一つに化石燃料に代替する新エネルギーの 利活用を広げていくことがあります。 新エネルギーは地域に広く薄く分布する分散型のエネルギーであり、地域ごとの特性に 応じた取り組みが欠かせないことから、新エネルギーの導入促進にあたっては、地方公共 団体の役割が重要なものとなっており、その責務が明確に示されています。 「観光産業を活かした北東北の拠点都市をめざす」仙北市は、美しい景観の自然ととも にその自然の中に豊かな水・森林をもっています。 こうした地域の特性のもと、地域固有の新エネルギー(再生可能エネルギー)を活かし て、世界全体の地球温暖化問題に積極的に取り組みながら、石油価格の高騰のによる産業 への負担増を削減していくことが、地域の非常に重要なテーマになってきています。 地域に固有の身近な新エネルギー(再生可能エネルギー)資源を開発し、その活用先を 切り開き、新たに誕生した仙北市の未来への発展につなげたいと考えています。 上記の視点から、仙北市地域新エネルギ-ビジョン策定の目的を次の3項目とします。 【新エネルギービジョンの目的】 1 町づくりや経済の振興に生かすため 新エネルギーの取り組みを仙北市の市民生活の向上や地域産業の振興に役立て、仙北 市の発展に生かします。 2 地球環境問題等の解決を目指すため 地球の温暖化防止のためにも、脱化石燃料を進め、二酸化炭素を吸収源でもある森林 資源を保全していきます。 3 エネルギーを安定的に確保するため 日本は、エネルギーの 90%以上を海外から輸入しています。食糧と並びエネルギーで も海外の影響を受けやすい構造になっており、これからの 21 世紀の日本を考えると、エ ネルギーの安定した確保は重要な課題です。一人ひとりが暮らしの見直しをして少しで も「省エネルギー」に取り組むことは大切ですが、エネルギー利用において、海外に依 拠する化石燃料から身近な地域にある「新エネルギー」を作り・利用し・活用すること への転換をすすめていくことが重要になっています。 5 第3節 ビジョンの性格 仙北市地域新エネルギービジョンは、本市が進める新市建設計画における「まちづく り」計画の一環として策定します。石油代替エネルギーへの転換、地球温暖化防止への 貢献、地域の基幹産業の活性化、地域の環境保全の側面からの「まちづくり」計画で、 新エネルギーの利活用によって、地域環境の保全、地域産業の振興、地域雇用の拡大に つながることを目指します。 新 市 建 設 計 画 まちづくり 石油代替エネ ルギーへの 転換 地域の基幹 産業の活性 化 地球温暖化 防止への貢 献 地域の環境 保全 仙北市地域新エネルギービジョン 新エネルギーの利活用 地域環境の保全 地域産業の振興 地域雇用の拡大 循環型農業の確立 農山村、森林、水辺などの地域空間の保全 間伐材や林地残材の活用 循環型農業の確立 農山村、森林、水辺などの地域 間伐材や林地残材の活用による林産業の振興 空間の保全 バイオマスを利用したエコエネルギーの導入 ・農業の担い手確保と育生 事業系廃棄物の増加抑制と循環型ごみ処理体制の確立 林業の振興 農業の担い手確保と育生 第3次産業、なかでも観光業の振興による雇用拡大 第3次産業、なかでも観光業の振興による雇用拡大 ・・・ ・・・ 図1-3-1 地域新エネルギービジョンとまちづくり 第4節 目標年度 目標年度は、新市建設計画と同じ平成28年3月までとします。 6 第2章 新エネルギーと国・県の政策 第1節 新エネルギーの種類、技術開発、国内外の取組状況 新エネルギーとは、自然の力を利用したり、今まで使われずに捨てていたエネルギーを 有効に使ったりする地球にやさしいエネルギーのことです。新エネルギーの利用によって、 石油への代替や、CO2 の排出量を減らすことができます。太陽光発電や風力発電をはじめ、 さまざまな分野での技術開発が進んでいます。 「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法(新エネ法 )」では、「技術的には実用 段階に達しつつあるが経済性の面で普及が十分でないものであって、石油代替エネルギー の導入を図るために特に必要なもの」を新エネルギーとしています。 図 2-1-1 新エネルギーの位置付け (資料)NEDO「北海道新エネルギーマップ2006」 (1)供給サイドのエネルギー 供給サイドの新エネルギーは太陽、風力、温度差、廃棄物、バイオマス、雪氷熱に関連 するエネルギーと燃料製造が該当します。それらは熱利用分野と発電分野に分けられます。 (2)需要サイドのエネルギー 需要サイドのエネルギーとは、従来のエネルギー利用形態に比べ効率性が高い新利用形 態であり、環境負荷を低減するものです。燃料電池、クリーンエネルギー自動車、天然ガ スコージェネレーションがあり、今まで使っていた石油や天然ガスなどの燃料を新しいア イデアや技術で効率よく、よりクリーンに利用するものです。 7 【太陽光発電】 (1)太陽光発電とは 太陽光が当たると電気が発生する半導体で作られた太陽電池を用いて、太陽の光エネル ギーを直接電気に変換する発電方法です。太陽電池には、種々の材料を用いたものが開発 されています。実用化されているものには、シリコン半導体系と化合物半導体系があり、 シリコン半導体系は結晶系と非結晶系(アモルファス)とに分類されます。 現在、結晶系シリコン半導体がひろく太陽電池として用いられています。一般に実用レ ベルでの太陽電池の変換効率は 10%程度であり、わが国では、太陽電池 1m2 当たり約 100W の発電が可能です。30m2 程度の太陽電池(3kW 相当)で、一般家庭で使用する電力量をほ ぼ賄うことができます。 (2)太陽光発電の特徴と課題 特 徴 課 題 ・可動部分や高温高圧部分がなく、保守が容易で、無人化が可能。 ・発電が日射時間に左右される(天候によって変動)。 ・小規模から大規模まで自由な設置が容易。 ・広い面積を必要とする(10 ㎡/kW)。 ・独立電源、非常用電源として有効。 ・余剰電力は、電力会社に売電、不足時には系統連 ・利用分野が広範囲。 系による電力会社からの買電が必要。 ・雪の反射光や気温が低いと得られる電力は多くなる。 (3)太陽光発電のコスト 平成17年度データより算出 イニシャルコスト 68.4 万円/kW (平成 17 年度住宅用太陽光発電導入促進事業による平均設置価格)。戸建て 住宅に対応した出力 3kW のシステムで約 200 万円程度。 発電コスト 68.7 円/kWh 1) 、電力料金の 3 倍程度。 1) 年間発電電力量:867.83kWh/kW ( 新エネルギー財団(NEF):H15 年 4 月~H16 年 3 月における秋田県デー タ )、利子率:6%、運転年数:20 年、修繕・保守費は 1kW あたりの総建設費の 1%として算出。 (4)太陽光発電の主な導入施設 ・ 学校・公共施設(公園・役場庁舎) ・ 道路・河川(道路標識・街灯・河川浄化・高速道路・鉄道) ・ ビル・工場(広告・照明)、発電所(小規模分散型発電) ・ 自動車・交通機関(ソーラーカー・電気自動車) ・ 宇宙・通信(人工衛星・無線中継所、灯台、気象テレメータ) ・ 農地・海洋(水質監視・海洋牧場・野菜工場・汚染浄化) ・ 住宅(戸建て・集合)、民生(電卓・エアコン・セキュリティ機器等)、 ・ 山小屋・ ODA ・砂漠 8 【太陽熱利用】 (1)太陽熱利用とは 太陽熱利用には、機械装置などを用いずに、自然に太陽エネルギーを室内に取り込み熱 利用する「パッシブ型」1)と強制的に集熱利用する「アクティブ型」2)があります。 「アクテ ィブ型」は太陽熱温水器(温水を風呂・給湯等に使用)とソーラーシステム(温水利用の ほか、施設内を循環させて床暖房に使用する等)に分けられます。 1) パッシブ型:太陽光・熱の取り込み、放熱を断熱材や建築構造などにより調節したり、太陽光・熱の伝達量と 方向を制御することにより太陽エネルギーを有効利用するシステム。調光材料、透明 断熱などパッシブソ ーラー素子の開発が進む。 2) アクティブ型:太陽エネルギーを熱エネルギーに変換し、給湯・暖房・産業用熱源などとして利用するシステ ム。 (2)太陽熱利用の特徴と課題 特 徴 課 題 ・小規模から大規模まで自由な設置が容易。 ・日射量の多い地区での導入が適している。 ・晴天時には、約 60℃の温水が得られる。 ・集熱は日照時間に左右される。 ・使用するものに特別な操作を必要とせず、メンテ ・寒冷地では、冬季の集熱効率を高めること及び凍結防止策が ナンスもほとんど必要ない。 必要。 ・冬期における熱量不足時には補助ボイラーによる追焚が必要。 (3)太陽熱利用のコスト 住宅用太陽熱高度利用システム タイプ別設置費用及び m2 当たりの費用 1) 標準タイプ 集熱器及び蓄熱槽 集熱配管1本により 太陽熱利用機器タ 一体タイプ 「揚水」「落水」を行 イプ うタイプ イニシャルコスト 熱利用コスト 2) 827,171円/件 406,000円/件 435,555円/件 618,764円/件 (111,561円/m2) (100,995円/m2) (91,972円/m2) (150,642円/m2) 5.0円/MJ 4.5円/MJ 4.1円/MJ 6.7円/MJ 3) 1) 平成 16 年度住宅用太陽熱高度利用システム導入促進対策費補助金補助事業(新エネルギー財団) 2) 年間熱利用量:2,018MJ/m2(平均日射量 3.84〔kWh/m2 日〕×3.6〔MJ/kWh〕×集熱効率 0.4×365〔日/年〕)、利 子率 4%、運転年数 15 年として算出 3) コスト比 1.0~3.0 倍(灯油、都市ガス、LPG との比較) (4)太陽熱利用の主な導入施設 ・ 住宅、公共施設 ・ 事業所、温水プール ・ 農業用ハウス ・ ロードヒーティング等の給湯、暖房に利用 9 学校の屋上に設置された屋内プール用 真空管形集熱器(山梨県) 【風力エネルギー】 (1)風力発電とは 風力発電とは、「風の力」で風車の羽根をまわし、その回転運動を発電機に伝えて「電気」 を起こす仕組みを言います。風車は、水平軸型と垂直軸型に大別され、実用化されている 前者の代表的な風車としてはプロペラ型、後者の代表的な風車としてダリウス型やサポニ ウス型があり、風力エネルギーの利用効率が高いことなどの理由でプロペラ型が多く用い られています。定格出力数百 kW 以上の大型風力発電には、一般的に地上高 30m で年平均 風速が 6m/s以上の強い風が必要とされています。また、定格出力数 kW 未満の小型風車 は、太陽光発電などと組み合せて独立電源としての利用や、非常用電源や街路灯、教育用 キットなどにも活用されています。 風力発電の規模によって以下のように区分されます。 出力規模(kW) マイクロ風車 ミニ風車 大型風車 ローター直径(m) 1 未満 1~20 1,000 以上 ~3 ~10 ~80 最大回転数(min-1) 700~ 150~800 10~30 風車型式 運転形態 各種有り 3 枚羽根が多い 3 枚羽根 単独運転・モニュメント 単独運転・系統連系 系統連系(売電事業) (2)風力発電の特徴と課題 特 徴 課 ・全国で風車の導入が急速に増加しており、風力発電を 中心とした公園も多く見られる。 題 〈大型風車設置の障害となる主な要因〉 ・系統連系条件 ・稀少猛禽類などの生息地 ・設置コストが年々下がり経済性が向上。経済的に成立 する大規模発電事業も増えてきている。 ・電波障害、航空障害など ・騒音(住宅近接) ・景観 ・地域のシンボルとなり、「町おこし」にも一役買っている。 ・用地指定(自然公園など) (3)風力発電のコスト イニシャルコスト 自家消費用(600kW級):30万円/kW 1)、売電事業用(1000kW級):25万円/kW 2) (500kW以下:30~65万円/kW、750~3,000kW:25~30万円/kW、20,000kW:約20万円/kW) 発電コスト 自家消費用(600kW級):16.6円/kW年、売電事業用(1000kW級):13.9円/kW年 (資料)NEDO「風力発電導入ガイドブック」(2005年1月改定第7版)、NEDO技術情報データベース一覧表(16年度 版)、設備利用率20%、運転年数17年、運転経費は設置費の1.5%、利子率4%として算出。 1) 風力発電フィールドテスト事業において平均 39 万円/kW、2)事業者支援事業および自治体支援事業において 19 万円/kW から 28 万円/kW であり、近年のコスト低下を考慮。 (4)風力発電の主な導入施設 仁賀保高原風力発電所(1,650kW × 15 基) (資料)秋田県新エネルギービジョン わが国初の洋上風力発電(600kW×2 基)。愛称「風海鳥(かざみどり)」(北海道 せたな町) (資料)北海道せたな町 10 市民風車「天王丸」(秋田県天王町) (資料)秋田県新エネルギービジョン 【バイオマスエネルギー】 (1)バイオマスエネルギーとは バイオマスとは、生物資源(バイオ/bio)の量(マス/mass)をあらわし、生物起源の物質から なる食料、原料・素材、あるいは燃料を意味します。農業・林業・畜産業・水産業の一次 産業と直結して、従来は廃棄物として扱われていたもの、あるいは未利用のまま放置され ていたものが、バイオマスとして位置づけられるようになりました。 バイオマスをエネルギー源とする重要な意義は、 CO2 を増加させないこと(カーボンニ ュートラル)と処理費用のかかる廃棄物を、高騰を続ける石油代替燃料にすることにより、 林産系や農業系バイオマスの中にはコスト削減につながるものが出てきている点です。 バイオマス資源は、主に農産系、畜産系、林産系、生活系など発生元によっても分類さ れますが、原料面からエネルギー利用方法を分類すると以下のようになります。 1) バイオマスを燃やすと排出される CO2 は、元々は大気中に存在したものであり、植物の光合成によって再び体 内に固定される。このため、エネルギーの消費と植物の育成のバランスを保てば、大気中の CO2 濃度が上昇 することはない。このような考え方を「カーボンニュートラル」という。 原料面からみたバイオマス資源の分類と利用方法 分類 細 目 エネルギー変換方法 廃棄物系 � 畜産資源(家畜排泄物等) メタン発酵 バイオマス � 食品資源(加工残さ、生ごみ、動植物性 メタン発酵 残さ等) エネルギー利用方法 熱利用(暖房・給湯) 熱分解ガス化 � 産業資源(パルプ廃液等) 発電 � 林産資源(製材工場残材、建築廃材等) 固形燃料製造 (RDF・ペレット1)・チップ)製造 ガソリン・軽油 未利用バ � 林産資源(林地残材・間伐材) チップ・ペレット燃料 代替燃料 イオマス � 農産資源(もみがら・牧草等) 直接燃焼・炭化 資源作物 � 糖質資源(さとうきび、てんさい) アルコール発酵 燃料電池 BDF2)製造 (肥料) � 下水汚泥 � でんぷん資源(米、とうもろこし等) � 油脂資源(菜種、大豆等) 1) RDF(Refuse Derived Fuel)・ペレット:いずれも固形化燃料で運搬保存が可能になる。 2) BDF(Bio Diesel Fuel):軽油の代わりに使うことができる植物性燃料。 (資料)社団法人日本有機資源協会「バイオマス・ニッポン」、NEDO「バイオマスエネルギー導入ガイドブック」(平 成 14 年) ペレット RDF BDF 製造機(製造能力 100L/日) 11 (2)バイオマスエネルギーの特徴と課題 特 徴 課 ・地球温暖化の防止:カーボンニュートラルなの 題 ・技術的課題:日本に適した技術の開発・普及が求められる。例え で、CO2排出を抑制。 ば発電の場合系統連系への信頼性の確保、地域特性に適した ・循環型社会の構築:廃棄物を有効利用。 システム開発、地域の技術者が対応可能な技術の開発等。 ・エネルギー安全保障:様々な地域資源を利用 ・事業環境上の課題:社会的認知度が低いと、設備立地の障害や するため、エネルギー的に自立が可能。 ・固体・液体・気体燃料にして保存と運搬が可能 事業リスクの過大評価につながり、資金調達等が困難になる。 ・法制度上の課題:廃棄物と密接な関係にあり廃棄物処理の制約 ・様々な用途:熱利用、発電だけでなく、自動車、 燃料電池などにも使える。 を受ける。また国内規格が未整備。 ・事業性の課題:採算性を確保するためには補助制度が不可欠。 ・農山漁村の活性化:一次産業と直結している資 ・地域の取り組みでの課題:原料収集から最終利用・処理までの 源が多く、雇用の創出につながる。 地域のしくみづくり、継続的取り組みと人材育成。 (3)バイオマスエネルギーのコスト 利用形態 変換方法 バイオマス 直接燃焼 発電 ガス化 メタン発酵 バイオマス 直接燃焼 熱利用 メタン発酵 コスト 条件設定 備考 イニシャル 約15億円 スギ樹皮、製材端材54,360t/年 能代森林資源利用協同 ランニング 約2億円(収 ( 逆 有 償 ) → ボ ー ド : 1,200t 、 電 組合(2003年稼動開始) 入:4.7億円) 力:3,000kW、蒸気:24t/h (秋田県)概要資料より イニシャル 3.5億円 木材チップ約420kg/時(含水率 メーカー資料より ランニング 約500万円 30%)→発電:350kW、熱:750kW イニシャル 約9.3億円 生ごみ16t/日(約44,000人分)→ 北空知衛生センター ランニング 不明 発電機:47kW×2基、ボイラー: (2003年4月稼動開始)パ 300kg/h ンフレットより イニシャル 約800万円 ペレットを燃料に50万kcal/hで給 大阪府高槻市の温泉施 ランニング 参考:45万円 (別のメーカ ー100kWの場 合) 湯・温泉加温。 設(2001年稼動開始)の 燃料はチップや木屑でも可能。 事例より(建屋含めた総 イニシャル 6,000万円 乳牛130頭のふん尿、処理能力 足寄町の牧場(2003年稼 ランニング 70万円 4.3t/日→熱出力31.2万kcal/日 動開始)の事例より コストは約5,000万円) バイオマス ペレット製 イニシャル 約1,000万円 製材端材・間伐材→ペレット化 滝上町木質バイオマス生 燃料製造 造 ランニング 不明 350t/年規模(2004年度は50t生 産 組 合 ( 2004 年 生 産 開 産)ペレット単価42円/kgで販売 始)への聞き取りより アルコール イニシャル 不明 さとうきび、みかんから 財)南西地域産業活性化センター 製造 販売価格 111円/L のエタノール発酵によ 「エネルギー安定供給に係る調査 るエタノール製造 報告書」(平成15年3月) BDF製造 ※ イニシャル 約1,550万円 廃食用油200L/日回収、稼動日 NEDO「バイオマスエネル ランニング 約52円/L 数250日→BDF180L/日販売 ギー導入ガイドブック」 コストは立地条件、燃料収集方法等により大きく変動するため、あくまで参考である。 12 (4)バイオマスエネルギーの主な導入施設 公共分野:病院、福祉施設(老人センター)、保育所等の暖房・給湯 教育施設(小中学校等)の暖房・給湯 観光施設(道の駅等)の暖房・給湯、温泉や温水プール等の加温 下水汚泥処理施設・ごみ処理施設 産業分野:農業ハウスの加温、家畜排泄物のバイオガスプラント 森林組合・木材工場・木材乾燥、暖房・給湯 外食産業・食品加工場(レストラン)の暖房、給湯 民生分野:一般家庭でのペレットストーブによる暖房 NPO、市民団体による生ごみや廃食用油回収、堆肥化、BDF 化 経産牛130頭規模のモジュール式バイオガスプラント (北海道足寄町) チップボイラー ペレットボイラー 木質バイオマスガス化発電(葛巻町実証試験設備より) H16 年度「バイオマス等未活用エネルギー実証試験事業」 (NEDO技術開発機構殿との共同実施) 全木連 HP より 隣接する製材所からの端材を利用して発電し、工場の電気に利用(秋田県能代市) 13 ペレットストーブ 【雪氷熱エネルギー】 (1)雪氷熱エネルギーとは 積雪寒冷地帯において、氷室・雪室・雪中・雪下を利用し、農産物の冷蔵や公共施設等 の冷房を行うものです。利用には雪と氷があります。保湿換気冷房が可能であり、新鮮な 空気(外気)を導入するため、従来の電気冷房に替わる優れた冷房技術としても利用の道 が開かれています。 雪氷の冷気を利用したシステムの設置にあたっては、積算寒度 1)が 200℃以上あれば適性 と言われており、北海道は全域がその適地になります。 1) 積算寒度とは、日平均温度 0℃以下の日平均気温の絶対値と日数との積の年間の積算値 (2)雪氷熱エネルギーの特徴と課題 特 徴 ・除排雪、無尽蔵の寒冷気を利用することができ、低 課 ・冷熱源から需要地までの距離の長さ、冷熱源の不安定 温、高湿度保持が可能。 性、冷熱源と需要のミスマッチなどの地域特性を踏まえ ・維持管理費の低コスト化による経済効果。 ・農産物の通年貯蔵が可能になり、農産物安定供給に よる付加価値を得ることができる。 ・室内空気を汚染しない保湿換気冷房により、健康的 題 導入することが必要。 ・貯雪(氷)庫などの場所が必要。 ・農業分野以外の潜在的需要量の把握が必要。 ・冷熱回収、供給性能向上などに関する技術開発が必 でさわやかな環境を得ることができる。 要。 (3)雪氷熱エネルギーのコスト 雪 利 用 氷 利 用 イニシャルコスト(電気冷房と比較して) 1.6~11.0倍と高い 2.9~13.4倍と高い ランニングコスト(電気冷房と比較して) 0.2~0.6倍と安い 0.1~0.6倍と安い 0.6~2.0倍 1.0~2.2倍 トータルコスト(電気冷房と比較して) 事例;馬鈴薯の雪室倉庫は 1,000m2 で 1,101t雪貯蔵,初期投資 3,600 万円,ランニングコスト6.5 万円/年でトータ ルコストは電気冷房と比較して 62%。 (資料)NEDO「雪氷冷熱エネルギー導入ガイドブック」 雪貯蔵ではクレーン等で圧雪し,高密度にし,移動式雪氷庫にするなどしてイニシャルコストを従来の3分 の1まで削減できるという報告もある(新潟市)。 (4)雪氷熱エネルギーの主な導入施設 ・野菜等貯蔵庫(保冷) ・集合住宅、公共施設、福祉施設等(冷房利用) ・この他、除排雪を利用して雪山をつくり、夏期の融解で得られる冷水や雪を冷熱源に、 施設の冷房、農産物や味噌などの貯蔵や食味の向上に利用しているところもあります。 ・秋田県には雪利用施設が 6 つあり、そのうち4つが横手市にあります(2005 年 10 月)。 ・北海道には雪氷熱活用施設は 55 あります(2005 年度末)。 14 【廃棄物発電・熱利用】 (1)廃棄物発電・熱利用とは 廃棄物発電・熱利用は、廃棄物(可燃ごみ)の焼却熱を発電又は熱利用するものです。 近年、廃棄物は、紙、プラスチック類の増加で高カロリー化するとともに発生量が増加し てきており、廃棄物エネルギーの積極利用という観点から利用の促進が図られています。 最近では、ガス化しガスとチャーを燃焼させ発電・熱利用する方式や、天然ガスを利用し て高効率化を実現したスーパーごみ発電(ガスタービンを使った複合ごみ発電システム) 等があります。運搬性を高め、保管もできるようにごみを RDF(固形化廃棄物燃料)とし て利用する方式もあります。 廃棄物発電・熱利用施設は、既存の廃棄物処理施設のスクラップ・アンド・ビルドある いは、新増設・改修等の時期にあわせて、ガスタービンと組み合わせて導入が進んでいま す。一般的に小規模な焼却施設では、スケールメリットが得られず、経済的に成り立ちに くい他、ダイオキシン発生などの問題があることから、複数の自治体による広域的な廃棄 物の回収と処理が進められています。 (2)廃棄物発電・熱利用の特徴と課題 特 徴 課 ・ごみ処分場の問題と環境エネルギー問題双方の解決に つながる。 題 ・ある程度まとまった量のごみが必要。 150~200t/日以上は必要とされている。 ・ある程度まとまったごみ処理であれば、高温で安定的に 燃焼させるため、ダイオキシンの発生が抑えられる。 ・廃棄物発電施設の建設地における地元住民のコンセ ンサスが鍵。 ・熱供給も行えば、周辺地域の施設も充実する。 ・技術的な課題では,ボイラー加熱器の塩素ガス等の ・ごみ焼却場に発電設備を付帯することにより発電を可能 とするので、追加的な環境負荷は少ない。 高温腐食防止,ダイオキシン排出低減,灰の減容 化,コストの低減(事業性の確保)がある。 (3)廃棄物発電のコスト 廃棄物発電の発電コストは、事業形態(都道府県、市町村、民間)、発電システム(従来 型、RDF 等の新しいシステム等)、処理規模等で異なりますが、一般的には 9~15 円/kWh とされています。 (注)コストの算定は廃棄物処理コストと発電コストの区分けがされておらず、困難なため事例で示します。 イニシャルコスト ・300t/日以上の場合で9~25万円/kW(1999年度平均実績値) (火力発電所の建設コスト20万円/kWの0.5~1.3倍) 発電コスト ・300t/日以上で9~11円/kWh 300t/日未満で11~13円/kWh(事例;9.5円/kWh 400t/日規模の場合) 火力発電単価比で約1.2~1.5倍 (資料)NEDO「新エネルギーガイドブック」 (4)廃棄物発電・熱利用の主な導入施設 ・処理量の多い市町村の焼却施設、産業廃棄物の焼却施設に導入されています. 15 【温度差エネルギー】 (1)温度差エネルギーとは 年間を通じて温度変化の少ない河川水や海水、地下水、工業用水、下水等と外気との温 度差(夏は外気よりも冷たく、冬は外気よりも暖かい)や大気中の温度差を利用してヒー トポンプ 1)の原理(液体が気化するときに、まわりの熱を奪い、これと逆に気体が凝縮して 液化するときには、熱が発生するという性質を利用する)などを用いて、冷暖房、給湯な どを行う技術であり、未利用エネルギー(今まで利用されてこなかった熱の利用)として 今後の可能性が期待されています。 1)ヒートポンプ:水のポンプが、水を低いところから高いところへ移動させる役割を果たすのと同じように、「温度の 低いものから温度の高いものへ熱を移動する」役割を果たすのがヒートポンプです。 熱 源 河川水・海水の熱 内 容 河川水や海水の温度は、夏は外気温よりも低く、冬は高いため地域熱供給の熱源として、 効果的に利用できる。 生活排水や中・下水 生活排水や工業用水(中水)、下水処理水は、冬でも比較的高い温度を有しているため、 の熱 利用度の高い熱源。 工場の排熱 生産工程で排出される高温の排熱を熱源として効率的に利用できる。 超高圧地中送電線 超高圧地中送電線は、ケーブルを冷却しているため、この冷却排熱も熱源になる。 の排熱 変電所の排熱 変圧器の冷却排熱や受変電室内の排熱は、安定した熱源。 その他の排熱 地下鉄や地下街の冷暖房排熱や換気なども熱源として利用できる。 (資料)NEDO「新エネルギーガイドブック」 (2)温度差エネルギーの特徴と課題 特 徴 課 ・熱を得る際に、燃料を燃やさないのでクリーン。 題 ・水量の曜日・季節などによる変動特性を十分検討する ・特に寒冷地では、融雪用の熱源や温室栽培、水産養 殖などの地場産業の熱源としても有効。 必要がある。 ・熱源と需要の整合性などの地域特性を踏まえる。 ・温排水を捨てずに利用するため、川の温度を上げずに すむので、生態系を壊さない。 ・熱 供 給 導 管 の 敷 設 コ ス ト や 、 熱 源 と 需 要 地 と の 輸 送 コスト等 を考 慮 し導 入 することが必 要 。 (3)温度差エネルギーのコスト 設 置 コスト 熱 利 用 コスト 設 置 地 点 の状 況 によって大 きく変 動 する 10 円 /MJ と都 市 ガス料 金 9.0 円 /MJ に比 べて 1.1 倍 高 い。 (資料)NEDO「新エネルギーガイドブック」 (4)温度差エネルギーの主な導入施設 ・熱源近郊の施設の冷暖房、給湯、融雪槽、加温用 16 【クリーンエネルギー自動車】 (1)クリーンエネルギー自動車とは クリーンエネルギー自動車とは、石油代替エネルギーを利用したり、ガソリンの消費量 を削減したりすることで、排気ガスを全く出さない、または排出してもその量が少ない車 で、電気自動車、ハイブリッド自動車、天然ガス自動車、メタノール自動車、燃料電池自 動車などがあります。 (2)クリーンエネルギー自動車の特徴と課題 特 徴 課 ・クリーンエネルギー自動車の導入は、大気汚染、地球温 暖化対策に有効。 題 ・電気や天然ガス、メタノールなどの燃料供給施設(エ コ・ステーション)の整備。 ・電気自動車は、排気ガスを一切出さず、走行音が静か。 ・ハイブリッド自動車は燃費がよく、ガソリン使用を削減し、 さらに既存のガソリンスタンドで燃料供給が可能。 ・走行距離の延長、積載容量(体積の減少)、燃費向上 などの自動車の性能改善。 ・車体価格が既存車と比べ高コスト。 (3)クリーンエネルギー自動車のコスト 既存車比価格 (車体価格) 電気自動車 2~3.5倍程度 ハイブリッド自動車 1.04~1.7倍程度 天然ガス自動車 1.4~2倍程度 メタノール自動車 2倍程度 燃料電池自動車 市販していない(実験段階) (資料)NEDO「新エネルギーガイドブック」 (4)クリーンエネルギー自動車の主な導入事例 ・地方公共団体、電力会社、ガス会社、運送会社等における小荷物配達、小型バン、巡 回車、小型トラック、路線バス 電気自動車の共同利用システ ムの車両ステーション 電気自動車の無人貸出・返却 や自動予約等の機能を持ったシ ステム(京都府京都市) ハイブリッド自動車 17 【天然ガスコージェネレーション】 (1)天然ガスコージェネレーションとは 天然ガスコージェネレーションとは、天然ガスを原料として燃焼させ発電を行うととも に、その際に発生する排気ガスや冷却水によって回収された熱を給湯や冷暖房に利用する ものです。 (2)天然ガスコージェネレーションの特徴と課題 特 徴 課 ・天然ガスの有害排気ガスは、石油や石炭に比べて少なく地 題 ・熱需要が比較的大きな施設で、電力・熱需要とのバ 球温暖化や大気汚染対策に寄与できる。 ランス、昼夜間のエネルギーバランスへの配慮。 ・電気と同時に排熱も有効活用するので、総合エネルギー効 ・熱供給導管の敷設コストや、熱源と需要地との輸送 1) 率 は、70~80%と高い。 コスト等を考慮すること。 ・発電量に応じた熱需要の多い建物に最適(熱電比2)が高い ・導入促進のために、エンジンやタービンの効率化、 施設に最適)。 低コスト化、コンパクト化。 ・自家発電装置を備えることで非常用発電装置として機能。 1) 総合エネルギー効率:(使用する一次エネルギー)-(エネルギー変換や輸送によって生じるロス)=最終的に 利用できるエネルギーの割合 2) 熱電比=熱燃料消費量÷電力消費量 (3)天然ガスコージェネレーションのコスト 【前提条件】 ・民生用ガスエンジン(電気出力230kW、熱出力307kW、全負荷相当運転時間3,800h/年) ・イニシャルコストに含むもの : 原動機、発電機、熱回収装置、電力自動制御装置・各種保護装置、据付工事・一 次側配管・配線工事、試運転など イニシャルコスト ランニングコスト 300千円/kW 燃料コスト17.28円/kWh(都市ガス13A) 維持管理コスト3.5円/kWh (資料)NEDO「新エネルギー関連データ」平成 16 年版 http://www.nedo.go.jp/nedata/index.html (4)天然ガスコージェネレーションの主な導入施設 ・ 総合病院、公共施設、デパート、文化施設、プールなどにおいて、排熱は給湯、床暖 房や融雪など様々な用途に活用 札幌市市民プール(8,257㎡) ガスエンジン発電機160kW×2基 (資料)メーカー資料 18 【燃料電池】 (1)燃料電池とは 燃料電池とは、水素と酸素(空気)の化学反応で電気と熱を作り出します。化学反応で 電気を起こすため「電池」と呼ばれますが、一種の発電装置です。 (2)燃料電池の特徴と課題 特 徴 課 ・燃料電池は、発電効率が高く、排熱を温水や蒸気として 空調、給湯などの熱源に利用することで総合効率も高 題 ・りん酸形は低コスト化。 ・固体高分子形は技術的に実用化に近い段階にある い(発電効率40~60%、総合エネルギー効率80%)。 がコスト高。 ・発電の際には水しか排出されず、振動もなく、低騒音。 ・固体酸化物形・溶融炭酸塩形は研究開発段階で長 ・燃料である水素は、天然ガス、LPG、メタノール、バイオ 期運転信頼性の向上、イニシャルコスト、ランニング ガスや水の電気分解など、さまざまな方法で取り出すこ コストの低減、総合エネルギー効率の向上、小型・ とができる。 軽量化、メンテナンスの簡易性及び多燃料対応性の 向上。 (3)燃料電池のコスト りん酸型燃料電池(規模200kW) 設置コスト ランニングコスト 70 万円/kW 燃料費:都市ガス料金 60 円/m2 メンテナンス費用:5 年毎にオーバーホールを行うと仮定すると費用は 3 円/kWh (資料)NEDO「新エネルギー関連データ」平成 16 年版 http://www.nedo.go.jp/nedata/index.html (4)燃料電池の主な導入施設 ①大型 ・発電施設 ②中規模 ・地域コミュニティ、オフィスビル、ホテル、病院 ③小規模発電 ・一般家庭の電熱源、自動車や船舶の駆動 家庭用燃料電池1kW級の実験機 (北海道大学構内) ④小型機器 ・パソコン、携帯電話 19 【中小水力発電】 (1)中小水力発電とは 中小水力発電は、水車を利用して水の流れ(エネルギー)を電気エネルギーに変換して 利用するもので、発電方式としては、従来、河川から取水し、下流の河川へ放流する間の 河川勾配で得られる落差を利用して発電する水路式と、河川をダムより堰き止め、貯水す ることによって上流水位を上昇させて落差を得て発電するダム式の大きくわけて 2 つにな ります。出力は利用する水の落差と流水量によって決まります。近年、流れをそのまま利 用するプロペラ式も開発・活用されています。 最近は、農業用水路の流れを利用することや、植物工場の電源として期待されています。 前者については、勾配の少ない用水路から効率よく発電する水車の開発が期待されていま す。 中小水力発電は、エネルギー資源としては無尽蔵であり、ローカルエネルギーとして有 効な資源です。現在、新エネルギーとしての位置づけの検討が進められています。 発電の規模によって以下のように区分しています。 中水力 10,000~100,000kW 小水力 1,000~10,000kW ミニ水力 100~1,000kW マイクロ水力 100kW 以下 (2)中小水力発電の特徴と課題 特 徴 課 題 ・少ない水量と落差で発電が可能(農業用 ・水量変動の影響(水の流れで発電しているので、季節や天候等の影 水、上下水道、高上位用水などをエネル 響を受ける)の克服。(水路式発電の場合、ダム式発電よりも水の流 ギー源として再利用可能)。 れの変化の影響を受けやすい)。 ・余剰電力で温水などを作る事が可能。 ・年平均降水量が多く河川勾配が急な地帯での設置が適している。 ・充電装置を設置し、より効率的な使用が ・導入の際、賦存地点と需要先のバランスを見極めながら設置地点を 可能。 ・自然環境調和型:魚や蛙が通過できる水 車や水質改善の空気泡を注入するなど 生態系を壊さない設置が可能。 検討し河川の構造や流量等を把握する。 ・制度では水利権の設定、電気事業法ならびに河川法による許認可手 続きが必要になることがある。 ・河川による水路式発電の場合、河川管理者との協議等が必要。 ・山間部における土木工事のコスト低減。 20 (3)中小水力発電のコスト イニシャルコスト どのような立地条件で建設するかによってイニシャルコストは大きく変動する。 山形県の事例では、80~200kWで発電装置が50万円/kW,土木工事費は同じく80~200kWで15 ~50万円/kWになる(事例では,さらに水路改修費として1,500万円かかっている)。 ランニングコスト ランニングコストも施設・設備の減価償却の算入など立地によって大きく替わりる。山形県の事例で は,メンテナンス費用,水路補修費,水路使用料,保安費用等のランニングコスト(金利,減価償却費含 まず)は出力200kWで200万円/年,(200+80)kWで250万円/年。 農業用水路を利用した発電のケーススタディー(山形県) (4)中小水力発電の主な活用内容 型 飲料水型水力発電 動力源 電源としての活用内容 既設の簡易水道の飲料水 ・山里で採れた椎茸等の乾燥機の電熱源 ・冬期間の飲料水消毒用の塩素装置の凍 結防止加温熱源 農水小型水力発電 既設の農業用の水ダムを流用して、取水した水 ・育苗ハウスのピーマンや苺等の温室栽 培の温度管理・照明並びに籾すり機等 谷水小型水力発電 既設の砂防用ダムを流用して、ダム上流川に取 ・キャンプ場やバンガロー等 水箇所を設け、取水した水 渓流小型水力発電 渓流に小規模ダム(石積構造)を作り取水した水 温泉小型水力発電 地域の温泉排水をリサイクルするための小規模 ・温水加熱(冷泉) ダム(石積構造)を取水した排水 ・養魚場での攪拌機等 工業用水小型水力 一般産業廃棄物での工場内冷却水の余剰落差 ・工場動力負荷 発電 (圧力)や、工業用水受入槽での余剰落差(圧力) 下水処理小型水力 浄化処理された下水の放流箇所(港や河川)に設 発電 けられたある程度の落差 ・処理水漁池の噴水ポンプ場内夜間照明 等 (資料)千矢博通「小型水力発電への夢」 21 【地熱エネルギー】 (1)地熱とは 地熱とは、地下に存在する熱エネルギー全般を意味し、火山の多いわが国に豊富かつ広 範に存在するエネルギーです。現在、新エネルギーとしての位置づけが検討されています。 利用方法としては、地熱発電と熱水利用があります。発電では、熱水や蒸気を利用して 蒸気タービンをまわし発電を行います。温水をそのまま利用する方法は、温度によりその 利用形態が変わります。必ずしも高温であるとは限らず、数十 ℃程度の温泉温度や、地表 気温よりも低温の地下冷熱も利用できます。 ①温泉温度が 60℃以上の場合 ・熱交換器で給湯・暖房・浴槽保温を行う。 ・吸収式冷温水機の熱源として冷熱(冷房)を取り出す。 ②温泉温度が 15~50℃の場合 ・ヒートポンプにより給湯・暖房・浴槽保温・温泉昇温を行う。 ・アンモニアサイクルによる地熱温度差発電による電力利用(実証段階) (2)地熱エネルギーの特徴と課題 特 徴 課 ・温泉熱は、暖房・給湯への一次 利用、さらにロードヒーティング ・自然公園法等の制約。 ・熱供給用の導管施設が長距離になるほどコストがかさみ熱利用効率が低下 や融雪槽などへの2次利用が 可能。 題 することから、熱供給先と熱生産井を適切に配置する必要がある。 ・温泉水により導管などにスケールが付着すると、供給量が低下するので、適 切な時期にスケールの除去や導管の更新を行う必要がある。 ・発電を前提とした場合、開発にあたり十分な調査を行う必要がある。 (3)地熱エネルギーのコスト イニシャルコスト 76 万 円 /kW ランニングコスト 発 電 コスト 14 円 /kWh、火 力 発 電 単 価 約 7.3 円 /kWh の約 2 倍 (資料)NEDO「新エネルギーガイドブック」 (4)地熱エネルギーの主な導入施設 ・暖房、給湯用として、学校、老人ホーム、国民 宿舎等の公共施設 ・農業用ハウス園芸(トマト、きゅうり、いちご、 メロンや花卉など) ・水産業の養魚事業(うなぎ、アワビ、ひらめ) ・融雪 東北電力(株)上の岱地熱発電所 (秋田県湯沢市) 秋田地熱エネルギー HP より 22 第2節 国の新エネルギー政策と目標 エネルギー資源に乏しい日本は、石油代替エネルギーへのシフトを図るため、1980 年に 「石油代替エネルギーの開発及び導入の促進に関する法律 」(通称「代エネ法」)を制定し ました。代エネ法は、エネルギーの安定的かつ適切な供給の観点から、石油代替エネルギ ーの開発及び導入を促進する法的枠組みです。 また、経済産業大臣の諮問機関である総合エネルギー調査会では、総合的なエネルギー政 策を確立するため、エネルギー需給の将来像を示しつつ、エネルギー安定供給に向けた取 り組みを促す観点から、 「長期エネルギー需給見通し」を策定しています。2001 年に改定し た「わが国の新エネルギー導入実績と目標」では、現行対策で維持する場合の基準ケース と、さらに追加的な政策努力を講じる目標ケースが併記されています。この目標達成のた め、省エネルギー推進とあわせて様々な施策を講じる必要があるとしています。 新エネルギー供給量については、目標ケースにおける 2010 年度で原油換算 1,910 万 kl とし、全体の一次エネルギー総供給の 3%程度と設定されています(表 2-2-1)。 1997 年に「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法」(通称「新エネ法」)が施行 され、 2002 年 1 月には一部改正されバイオマスエネルギーと雪氷熱エネルギーが追加され、 省エネルギー対策と併行した新エネルギー導入促進が図られています。現在、新たに小水 力・地熱の新エネルギー参入が検討されています(図 2-2-1) 。 加えて、同年 12 月、バイオマスのエネルギー及び製品(バイオマスプラスチック等)と しての総合的な利活用をめざす「バイオマス・ニッポン総合戦略」が閣議決定され、内閣 府・農林水産省・経済産業省・国土交通省・環境省・文部科学省が横断的に連携し、バイ オマスの総合的な利活用を進めるとしています。 又、電気事業者に新エネルギー等から発電される電気を一定量以上利用することを義務化 した「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法 」(RPS 法)が、2003 年 4 月より発効しています。 地球温暖化対策としては、日本政府は 1990 年に温室効果ガスの排出抑制を目指す「地球 温暖化防止行動計画」を策定し、CO2 排出量を 2000 年以降、1990 年レベルに安定化させ るという目標を設定しました。その後、京都議定書の合意を受け、1998 年に「地球温暖化 対策推進法」が成立し、 「地球温暖化対策推進大綱」を閣議決定しました。このなかでは「エ ネルギー供給面の CO2 排出削減対策の推進」として新エネルギーの加速的導入が位置付け られています。 その後、2002 年に「地球温暖化対策推進法」の改正を受け、 「地球温暖化対策推進新大綱」 を決定しました。基本的な考えとして「環境と経済の両立 」「節目の進捗見直し」「各界・ 各層が一体となった取り組みの推進」「国際的連携の確保」と方針をまとめています。 2004 年は新大綱の評価・見直しを行い、新大綱を引き継ぐものとして、京都議定書の 6%削減約束の達成に向けた対策・施策を明らかにした「京都議定書目標達成計画」が、2005 年 4 月に閣議決定されました。あわせて「地球温暖化対策推進法」が改正され、6 月に公布 されました。そのなかで、推進本部の所掌事務の追加を行うとともに、特定排出者に係る 温室効果ガスの排出量の報告等の措置が講じられました。 23 表 2-2-1 日本の新エネルギー導入実績と導入目標 2010年度見通し/目標 レファレンスケース 現行対策推進ケース 追加対策ケース 現行目標ケース 原油換算 設備容量 原油換算 設備容量 原油換算 設備容量 原油換算 設備容量 原油換算 設備容量 万kl 万kW 万kl 万kW 万kl 万kW 万kl 万kW 万kl 万kW 15.6 63.7 62 254 118 482 118 482 発 太陽光発電 18.9 46.3 32 78 134 300 134 300 供 電 風力発電 同右 給 分 廃棄物発電 152.0 140.0 208 175 552 417 552 417 サ 野 バイオマス発電 22.6 21.8 22.6 21.8 34 33 34 33 イ 太陽熱利用 74 74 74 439 ド 6 9.3 58 58 の 熱 未利用エネルギー 新 利 (雪氷冷熱を含む)※1 1,072 エ 用 廃棄物熱利用 3.6 4.4 14 14 ネ 分 471 67 67 ル 野 バイオマス熱利用 ギ 黒液・廃材等※2 487 487 494 新エネルギー供給計 764 272 899 529 1,538 1,232 1,910 1,910 1,232 (一次エネルギー総供給構成比) 1.3% 1.4% 2.6% 3.0% 3.0% ※1:温度差エネルギーと雪氷熱利用の合計。 ※2:黒液・廃材は、バイオマスの1つであり、発電として利用される分を一部含む。導入量は、エネルギーモデルにおける紙パルプの生産水準に依存するた め、モデルで内生的に試算する。 再 7 9 19 29 39 新エネルギー供給計 生 エ 水力(一般水力) 21 20 20 20 20 可 ネ 1 1 1 1 1 能 ル 地熱 29 30 40 ギ 再生可能エネルギー供給計 4.9% 4.8% 7.0% (一次エネルギー総供給/構成比) 需 新 クリーンエネルギー自動車 ※1 13.9万台 67万台 189万台 280万台 348万台 要 エ サ ネ 天然ガスコージェネレーション 215万kW 464万kW コージェネ 約303万kW コージェネ 約462万kW コージェネ 約491万kW イ ル 約767万 約983万 約1,017万 ド ギ kW 1.2万kW 220万kW 燃料電池 約4万kW kW 約220万kW kW 約220万kW の 2002年度実績 � � � ※1:需要サイドの新エネルギーである電気自動車、燃料電池車、天然ガス自動車、ハイブリッド車、メタノール自動車、更にディーゼル代替LPガス自動車を含む. ※2:天然ガスコージェネレーションには燃料電池によるものを含む。 (資料)経済産業省資源エネルギー庁「日本のエネルギー 2005」 図 2-2-1 新エネルギーと再生可能エネルギーの概念整理(案) (資料)資源エネルギー庁(平成 18 年 3 月 24 日) 24 第3節 県の新エネルギー政策と目標 秋田県は、平成 11 年度に秋田県の特徴を活かした秋田県新エネルギービジョンを策定し ましたが、風力発電は 2010 年の目標値を大きく上回り、廃棄物発電が順調に目標値に近づ いているものの、他の新エネルギーは導入が進んでおりません。 平成 14 年には、新エネルギー導入促進のため、新たに木材等を含むバイオマスと雪氷熱 が新エネルギーに加えられました。そのため、平成 15 年度に雪氷熱及びバイオマスについ て、導入目標値を設定するとともに、従来の新エネルギーの導入実績や情勢の変化を考慮 し、導入目標値を見直し再設定を行いました。 目標年次については、国の「長期エネルギー需給見通し 」、「石油代替エネルギー供給目 標」などに準拠し、2010 年度に設定しています。 秋田県の導入目標値を達成することにより、原油換算で 389,823kL を削減することがで きます。 また、CO2 換算で 51.5 万 t-CO2 の排出を抑制することができ、2010 年度における秋田 県の排出量予測 897 万 t-CO2 の約 6%となります。 表 2-3-1 従来目標値と新目標値 導入量 従来目標値 kW 導入量 kL 風力発電(電力) kW 45,000 17,387 一般コージェネレーション(電力) kW 50,500 47,592 燃料電池(電力) kW 21,950 20,686 太陽光発電(電力) kW 36,500 7,120 廃棄物発電(発電) kW 26,000 33,324 太陽熱利用(原油) kL 4,200 4,200 クリーンエネルギー自動車 台 40,300 12,155 BDF(軽油) kL 雪氷冷熱エネルギー活用(雪量) t 木質バイオマス発電(電力) kW 木質ペレット利用(ペレット量) t 新エネルギー小計 142,464 地熱発電(電力) kW 138,300 260,670 合計 403,134 (資料)秋田県新エネルギービジョン報告書(改訂版) 25 導入量 200,000 50,500 25,000 26,000 2,240 6,000 3,600 82,942 7,760 3,000 109,800 新目標値 kL 変化率(%) 77,277 444 47,592 4,877 33,324 2,240 1,810 3,600 713 9,946 1,492 182,871 206,953 389,824 70 68 100 53 15 新規 新規 新規 新規 128 79 97 新エネルギー 地熱発電 原油換算(kL) 原油換算(kL) 100,000 300,000 従来目標値 新目標値 90,000 80,000 250,000 70,000 200,000 60,000 50,000 150,000 40,000 100,000 30,000 20,000 50,000 10,000 0 一 般 コ 風 ー 力 ジ 発 ェ 電 ネ (電 レ ー 力 シ ) ョン (電 燃 料 力 電 ) 池 太 (電 陽 光 力 発 ) 電 廃 (電 棄 物 力 発 ) 電 太 (発 陽 ク リ 熱 電 ー 利 ) ン 用 エ (原 ネ ル 油 雪 ギ ) 氷 ー 冷 自 熱 動 エ 車 BD ネ ル F( 木 ギ 軽 質 ー 油 バ 活 ) イ 用 木 オ (雪 質 マ ペ ス 量 レ 発 ) ッ 電 ト利 (電 用 力 (ペ ) レ ッ 地 ト量 熱 発 ) 電 (電 力 ) 0 図 2-3-1 アクションプラン (資料)秋田県新エネルギービジョン概要版(改訂版) また、秋田県内の新エネルギー導入を推進していくために、アクションプラン等をとり まとめ、以下の事項に関して具体的に展開していくこととしています。 1.新エネルギーの普及啓発等に努めます イベントの開催 新エネルギー施設を 活用した普及啓発 広報活動 設備導入に関する 相談・指導業務の充実 県ホームページでの紹介 県内の最新導入事例、 目標進捗率等 クリーンエネルギーフェアや セミナーの開催 市町村や事業者への 新エネルギー情報の提供 2.新エネルギーの導入促進 新エネルギーの ベストミックスモデルの 確立 BDF等廃棄物燃料の普及促進 雪氷冷熱エネルギーの導入促進 廃食用油回収の推奨、 ディーゼル車への利用促進 雪エネルギーモデル研究会による 導入可能性の検討及び評価 小型風力発電システムの導入促進 ペレット利用の推進 検討委員会による技術・ コスト等の検討 ペレット研究会の開催 ペレットストーブやペレット流通システムの検討 図 2-3-2 アクションプラン (資料)秋田県新エネルギービジョン概要版(改訂版) 26 第3章 第1節 本市の地域特性 自然環境 (1)自然環境 ①位置・地勢 仙北市は、秋田県の東部中央に位置し、岩手県と隣接している地域です。 ほぼ中央に水深が日本一である田沢湖があり、数多くの温泉郡が点在し、東に秋田駒ヶ岳、北 に八幡平、南は仙北平野へと開けています。地域の約 8 割が森林地帯で、奥羽山脈から流れる河 川は、仙北地域の水源となっています。 総面積は、田沢湖地区が 672.06 平方キロメートル、角館地区は 156.63 平方キロメートル、西 木地区は 264.95 平方キロメートルで、3 地区合計 1,093.64 平方キロメートルであり、秋田県全 体の 9.4%を占めています。 図 3-1-1 仙北市の位置 27 ②気象データ 気候は、冬季には全地域で平均気温が氷点下を下回る厳しい寒さですが、地域の南北間では気 候、降水量とも差があります。 田沢湖・角館地点の気象データを基に仙北市の気象特性を以下に示します。 表 3-2-1 仙北市の月別気象(平年値) 計測地点 : 田沢湖 [緯度:北緯39度41.9分/経度:東経140度43.8分/標高230m] 単位 統計期間 資料年数 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 全年 平均気温 ℃ 1979~2000 22 -3 -2.5 0.6 7.2 12.8 17.6 21.3 23 18.1 11.4 5.1 0 9.4 最高気温 ℃ 1979~2000 22 -0.2 0.5 4.4 12.2 18.1 21.9 25 27 22.3 16.2 9.2 2.9 13.3 最低気温 ℃ 1979~2000 22 -6.1 -5.9 -3.3 2.2 7.6 13.4 17.8 19.3 14.2 6.7 1 -2.8 5.4 平均風速 m/s 1979~2000 22 1.5 1.7 1.9 2.3 2.3 2.4 2.2 2.3 2 1.6 1.6 1.4 1.9 日照時間 時間 1986~2000 15 41.8 58.1 101.1 121.4 136.6 116 113.7 138.8 109.1 119.5 72 44.2 1171.2 降水量 mm 1979~2000 22 110 94.2 125 165.4 166.1 172.7 266.8 248.8 194.2 168.1 180 160 2051.4 積雪深最大 cm 1979~2000 0 計測地点 : 角館 [緯度:北緯39度36.2分/経度:東経140度33.4分/標高56m] 単位 統計期間 資料年数 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 全年 平均気温 ℃ 1979~2000 22 -2 -1.4 1.6 8.4 14.1 18.9 22.4 24 19 12.3 5.9 0.9 10.3 最高気温 ℃ 1979~2000 22 0.9 1.8 5.9 14 19.8 24 27.1 29.3 24.2 17.8 10.4 3.9 14.9 最低気温 ℃ 1979~2000 22 -5 -4.8 -2.4 3.1 8.7 14.5 18.5 19.6 14.8 7.6 2 -1.8 6.2 平均風速 m/s 1979~2000 22 0.9 1 1.2 1.3 1.1 0.9 0.8 0.8 0.8 0.8 0.9 0.9 0.9 (資料)気象台測候所 28 日照時間 時間 1987~2000 14 52 68.5 113.7 132.4 140.7 107.1 115.4 147.9 114.7 128.2 83.3 51.7 1254.8 降水量 mm 1979~2000 22 164.2 131.7 120.5 141.6 156.2 165.7 234.4 231.3 186.1 165.1 194 192.5 2083.3 積雪深最大 cm 1979~2000 22 15 0 0 0 0 0 0 8 31 田沢湖地点の気温 30 25 気温(℃) 20 15 平均 最高 最低 10 5 0 -5 -10 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 月別(月) 気温(℃) 角館地点の気温 35 30 25 20 15 10 5 0 -5 -10 平均 最高 最低 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 月別(月) 降水量 300 降水量(mm) 250 200 田沢湖 角館 150 100 50 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 月別(月) 図 3-1-2 仙北市の月別気象(平年値) (資料)気象台測候所 29 ③日射量データ 太陽エネルギーの強さは、直射光を含めた空全体の明るさ(全天空日射量)で決まり、直射光 のない曇り空でもエネルギーを利用することができます。仙北市の日射量データは最も近い秋田 地点の気象データを基に、ここに入射する方位角真南で設置傾斜角 0 度、30 度、60 度、90 度、 そして年間最適傾斜角 26.6 度の日平均全天日射量の平年値を示します。 表 3-1-2 日平均全天日射量の平年値 単位:kWh/㎡ 傾斜角 方位角:真南 0度 30度 60度 90度 1月 48 73 87 85 2月 71 100 112 106 3月 115 144 150 133 4月 131 142 127 90 5月 6月 157 155 126 78 158 151 119 70 7月 152 148 118 72 8月 134 138 117 76 9月 111 128 120 87 10月 82 109 113 93 11月 12月 44 62 69 62 36 53 62 59 年計 1,239 1,403 1,320 1,011 26.6 76 103 146 141 153 147 144 137 129 111 64 55 1,406 (資料) (財)日本気象協会「月平均日積斜面日射量データ」 (統計期間 1961 年~1990 年)観測地点:秋田[緯度: (年間最適傾斜角) 北緯 39 度 43.0 分/経度:東経 140 度 6.0 分/標高 6m]より作成 【MJ換算値】 傾斜角 方位角:真南 0度 30度 60度 90度 34.7度 (年間最適傾斜角) 単位:MJ/㎡ 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 年計 173 263 313 306 256 360 403 382 414 518 540 479 472 511 457 324 565 558 454 281 569 544 428 252 547 533 425 259 482 497 421 274 400 461 432 313 295 392 407 335 158 223 248 223 130 191 223 212 274 371 526 508 551 529 518 493 464 400 230 198 5,062 図 3-1-3 日平均全天日射量の平年値 (資料)NEDO「全国日射関連データマップ」(平成 10 年度) 30 4,460 5,051 4,752 3,640 ④風速データ 風速データは、気象台のある田沢湖地点、角館地点の平均風速(平年値) 、NEDO局所的風況 予測モデルによる田沢湖地点(標高 30m)の年平均風速、風配、風況を示します。 3 平均風速(m/s) 2.5 平均風速1.9m/s 2 田沢湖 角館 1.5 1 0.5 平均風速0.9m/s 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 月別(月) 図 3-1-4 仙北市の平均風速(平年値) (資料)気象台測候所 風速(m/s) 図 3-1-5 仙北市近辺の風速マップ (資料)NEDO「局所的風況予測モデル」(平成 16 年度版) 31 図 3-1-6 田沢湖地点(標高 30m)における風配及び風況曲線 (資料)NEDO「局所的風況予測モデル」(平成 16 年度版) 32 ⑤積算寒度データ 氷や凍土利用には日平均温度がマイナスの日 表 3-1-3 仙北市の積算寒度(平年値) のマイナス温度を積算した値である積算寒度が 日付 12月14日 12月15日 12月16日 12月17日 12月18日 12月19日 12月20日 12月21日 12月22日 12月23日 12月24日 12月25日 12月26日 12月27日 12月28日 12月29日 12月30日 12月31日 12月計 1月1日 1月2日 1月3日 1月4日 1月5日 1月6日 1月7日 1月8日 1月9日 1月10日 1月11日 1月12日 1月13日 1月14日 1月15日 1月16日 1月17日 1月18日 1月19日 1月20日 1月21日 1月22日 1月23日 1月24日 1月25日 1月26日 1月27日 1月28日 1月29日 不可欠です。田沢湖地点と角館地点の積算寒度を 示します。 田沢湖 -0.1 -0.3 -0.4 -0.6 -0.7 -0.7 -0.8 -0.8 -0.8 -0.8 -0.9 -0.9 -1 -1.1 -1.2 -1.3 -1.4 -1.5 -15.3 -1.6 -1.7 -1.8 -1.9 -2 -2.1 -2.2 -2.3 -2.4 -2.5 -2.6 -2.7 -2.8 -2.9 -3 -3.1 -3.1 -3.2 -3.3 -3.3 -3.4 -3.4 -3.5 -3.5 -3.5 -3.5 -3.6 -3.5 -3.5 角館 -0.1 -0.1 -0.2 -0.3 -0.4 -0.5 -0.6 -2.2 -0.6 -0.7 -0.8 -0.9 -1 -1.1 -1.2 -1.3 -1.4 -1.5 -1.7 -1.8 -1.9 -2 -2.1 -2.2 -2.2 -2.3 -2.4 -2.4 -2.4 -2.5 -2.5 -2.5 -2.5 -2.5 -2.5 -2.5 -2.5 日付 1月30日 1月31日 1月計 2月1日 2月2日 2月3日 2月4日 2月5日 2月6日 2月7日 2月8日 2月9日 2月10日 2月11日 2月12日 2月13日 2月14日 2月15日 2月16日 2月17日 2月18日 2月19日 2月20日 2月21日 2月22日 2月23日 2月24日 2月25日 2月26日 2月27日 2月28日 2月29日 2月計 3月1日 3月2日 3月3日 3月4日 3月5日 3月6日 3月7日 3月8日 3月9日 3月10日 3月11日 3月12日 3月計 合 計 (資料)気象台測候所 12月計 1月計 2月計 3月計 合 計 0 -20 -2.2 -0.2 -15.3 -8.8 積算寒度(℃・日) -40 -60 -80 -100 -39.8 -58.7 -70.7 -88.9 -100.9 -120 -140 -160 -180 -183.7 -200 図 3-1-7 仙北市の積算寒度(平年値) (資料)気象台測候所 33 田沢湖 角館 田沢湖 -3.5 -3.5 -88.9 -3.4 -3.4 -3.3 -3.2 -3.2 -3.1 -3 -2.9 -2.9 -2.8 -2.7 -2.7 -2.6 -2.6 -2.5 -2.5 -2.4 -2.4 -2.3 -2.2 -2.1 -2 -1.8 -1.7 -1.6 -1.5 -1.4 -1.3 -1.2 -70.7 -1.2 -1.1 -1 -1 -0.9 -0.8 -0.7 -0.7 -0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -8.8 -183.7 単位:℃・日 角館 -2.4 -2.4 -58.7 -2.4 -2.3 -2.2 -2.2 -2.1 -2 -2 -1.9 -1.8 -1.7 -1.7 -1.6 -1.6 -1.5 -1.5 -1.4 -1.3 -1.3 -1.2 -1.1 -1 -0.9 -0.8 -0.7 -0.6 -0.4 -0.3 -0.2 -0.1 -39.8 -0.1 -0.1 -0.2 -100.9 ⑥水力利用の状況 玉川水系は、「十和田・八幡平国立公園」と、 「県立自然公園田沢湖・抱返り渓谷」のな かにあり、八幡平や秋田駒ヶ岳等の奥羽山脈を源とする各河川によるもので、東北電力㈱ の先達発電所、生保内発電所、夏瀬発電所、神代発電所、県営の小和瀬発電所、玉川発電 所、鎧畑発電所、田沢湖発電所、 さらに東星工業㈱の上先達発電所な どの発電用水や「田沢湖・抱返り渓 谷」などの観光、そして、広大な仙 北平野の農業用水などに広く活用さ れています。 図 3-1-8 玉川水系発電所の概要 表 3-1-4 田沢湖地区の発電所 経営区分 発 所 河 秋 田 県 鎧畑発電所 東北電力 東星興業 電 川 名 使用開始年月 最大出力(kW) 年間発生電力量(MWh) 玉 川 昭和 32.11.19 15,700 69,535 田沢湖発電所 玉 川 昭和 33.12.26 7,300 25,787 小和瀬発電所 玉 川 昭和 36.12.31 8,800 46,516 玉川発電所 玉 川 平成 2. 6. 1 23,600 87,410 生保内発電所 玉川・先達川 昭和 15. 1 31,500 118,057 神代発電所 玉 川 昭和 15. 2 19,700 153,769 先達発電所 先 川 昭和 23.12 5,100 33,456 夏瀬発電所 玉 川 昭和 28. 1 20,000 83,409 上先達発電所 先 川 昭和 46. 1 5,200 29,676.3 達 達 34 (資料)田沢湖町 2000 年要覧資料編(平成 12 年 3 月 31 日) 35 第2節 社会環境 新市建設計画(田沢湖・角館・西木合併協議会)、仙北市総合計画(秋田県 仙北市)より (http://www.city.semboku.akita.jp/government/index.html) (1)沿革 仙北市は平成 17 年 9 月 20 日に旧田沢湖町、旧角館町、旧西木村が合併し誕生しました。 田沢湖地域 田沢湖一帯からは多くの石器や土器、堅穴住居跡などが発見されており、古代から狩猟や 農耕を営む人びとが住んでいたことがわかります。 江戸時代に入り、慶長 7 年(1602 年)、常陸(現在の茨城県)から秋田に国替えとなっ た佐竹氏が秋田六郡を領有すると、南部藩と秋田藩の国境の生保内には関所が設けられまし た。 18 世紀に入ると、田沢湖の水を利用するなどして新田開墾が進み、林政改革も行われま した。また、全国に誇る馬産地の形成も進みました。 明治 22 年の市制・町村制の施行により、生保内村、田沢村、神代村が生まれました。 昭和 15 年、電源開発と農地開拓のため玉川の強酸性水を田沢湖へ導入、田沢湖の固有種 とされるクニマスなどの魚が死滅しましたが、現在は、酸性水の中和処理事業により、魚影 が見られるようになっています。 昭和 31 年 9 月、生保内町(昭和 28 年町制施行)、田沢村、神代村の3町村が合併して「田 沢湖町」が誕生します。 角館地域 角館町は城下町として発展してきました。仙北、北浦地方では応永年間(1394~1428 年) 頃より戸沢氏が勢いを増し、戸沢盛安の代には豊臣秀吉から角館の地に 4 万 4 千石の大名 として認められました。 関ヶ原の戦い後の大名配置換えにより戸沢氏は常陸へ(後に新庄へ)、 秋田には佐竹義宣が入り、角館にはかつて会津の雄であった名族芦名義勝(佐竹義宣の弟) が佐竹氏より 1 万 5 千石を与えられ治めることになりました。芦名氏は新しい城下町建設 に取組み、武家町と町人町に分けられた町並みは 380 年余りを経た現在もほとんど変わっ ていません。その後、芦名氏は 3 代で断絶し、佐竹義隣(佐竹北家)が所預として入部し、 幕藩体制の終る明治まで佐竹氏の時代が 11 代 2 百年余り続きました。 明治 22 年の市制・町村制の施行により、角館町、中川村、雲沢村、白岩村が生まれ、昭和 30 年 3 月に 4 町村が合併して「角館町」が誕生します。 西木地域 安貞 2 年(1228 年)、門屋に城を築いた戸沢氏は、その後、応永 30 年(1423 年)、角館 に入城し、慶長 7 年(1602 年)、21 代戸沢政盛のとき関ヶ原の戦いの功績で外様大名から 譜代大名に格上げされ、常陸へ(後に新庄へ)移るまで、約 4 百年に渡りこの地域一帯を 35 治めていました。戸沢氏の伝統は「戸沢ささら」として伝承されています。 江戸時代に入り桧木内地域から阿仁地域にかけて、多くの鉱山で銅などが採掘されました。 上桧木内地区に伝わる小正月の伝統行事「紙風船上げ」は、安永 2 年(1773 年)、当時の 秋田藩から鉱山指導に招かれた平賀源内が伝えたものと言われています。 明治 22 年の市制・町村制の施行により、西明寺村と桧木内村が生まれ、昭和 31 年 9 月、 この2村が合併して「西木村」が誕生します。 仙北市誕生までの経緯 3地区とも昭和 30 年代の町村合併により、角館町、田沢湖町、西木村として、昭和から 平成へと続く 50 年近い歴史を歩んできましたが、その間、高度経済成長時代の都市部への 人口の流出、昭和 40 年代から始まった農業の減反政策、あるいは、高速道路や新幹線の開 通による高速交通体系の整備など、当地域を巡る社会情勢も大きく変化し、高度情報化社会 の進展とあいまって、産業構造もかつてない変革の時代を迎えるに至りました。 また、当地域は、歴史と文化、そして自然景観と観光資源に恵まれ、秋田県内でも有数の 観光地と呼ばれるまでになっており、観光産業のさらなる発展のためには、3地区の特色を 活かすことはもちろんのこと、より広域的な連携が求められているところです。 こうした中で、国では、地方分権の推進や行財政改革の取り組みを促進するために、平成 13 年 8 月、市町村合併支援プランを策定し、昭和の大合併からおよそ 50 年を経て平成の 大合併を強力に進めることになりました。 秋田県内各地で合併協議が進む中で、平成 14 年 10 月には、仙北北部4か町村共同によ る合併に関するアンケート調査を実施し、各町村とも合併推進が過半数の結果となり、これ を受けて、4か町村の任意合併協議会が発足しました。このうち中仙町が現大仙市への合併 を選択したため離脱しましたが、その後、残った3町村の枠組みで『田沢湖・角館・西木合併 協議会』を設置し、平成 17 年 3 月 28 日、合併協定書の調印が行われ、平成 17 年 9 月 20 日、仙北市が誕生しました。 (2)人口・世帯数 1)人口 ここ20年の総人口は、旧田沢 2千人台へ、旧角館町は1万6 千人台から1万4千人台へ、旧 西木村は6千人台から5千人 台に減少しています。3町村の 合 計 で は 、 昭 和 55 年 に は 39,098人いた人口は、平成12 田沢湖町 人 湖町は1万5千人台から1万 16,906 18,000 16,000 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 年には33,565人に減少してい 15,206 6,986 16,644 14,891 6,813 昭和55年 昭和60年 角館町 西木村 15,846 15,224 14,676 13,920 13,447 12,899 6,531 6,274 5,990 平成2年 平成7年 平成12年 図 2-2-1 人口推移(国勢調査) ます。平成12年現在の3町村合 計の人口は、秋田県全体の2.8%を占め 36 ています。 最近5年間の人口動態をみ ると、社会動態(転入・転出) 、 表 2-2-1 3町村合計と県との比較(平成12年国勢調査) 自然動態(出生・死亡)とも 秋田県 1,189,279人 3町村合計 33,565人 対県比率 2.8% に減少しています。 少子化の進行に加えて、転出超過が人口の減少に拍車をかけている様子がうかがえます。 人口構成の推移をみると、3 町村とも年少人口比率(15歳未 満)と生産年齢人口比率(15~ 100% 80% 64歳)は低下、老年人口比率(65 60% 歳以上)は上昇する傾向を示し 40% ています。3町村の中では、人 20% 口が最も少ない旧西木村で高 齢化が急速に進行しています。 秋田県全体の比率との比較 0% 年少人口 生産年齢人口 老年人口 昭和55年 昭和60年 平成2年 平成7年 平成12年 図 2-2-2 人口構成推移(3町村合計:国勢調査) をみると、年少人口及び生産年 齢人口比率は若干低く、老年人口比率は高くなっていることから、県よりも早いスピードで 少子・高齢化が進行していることから、県よりも早いスピードで少子・高齢化が進行してい ることがわかります。 70% 62.7% 60.7% 60% 50% 40% 30% 23.5% 20% 26.8% 秋田県 3町村合計 13.7% 12.4% 10% 0% 15歳未満人口 15~64歳人口 65歳以上人口 図 2-2-3 3町村合計と県との比較( 平成12 年国勢調査) 2)世帯数 世帯数の推移をみると、旧田沢湖町では減少傾向が近年増加に転じています。旧角館町 はやや増加傾向、旧西木村はわずかながら減少する傾向にあります。1世帯当たり人数は 3町村とも低下しており、平成12年では旧田沢湖町3.13人、旧角館町3.18人、旧西木村3.67 人となっています。 1世帯当たり人数は秋田県平均3.06人よりは高いものの、低下する傾向にあることから、 核家族化・小家族化が進行していることがわかります。中でも高齢単身世帯( 65歳以上の 単身世帯)比率が、高齢化も影響して県平均6.7%を上回る7.6%(3町村平均)となってい ます。 37 田沢湖町 世帯 5,000 4,521 4,517 4,000 4,371 4,355 1,720 1,687 角館町 西木村 4,507 4,555 4,618 4,075 4,076 4,127 1,669 1,646 1,633 平成2年 平成7年 平成12年 3,000 2,000 1,000 0 昭和55年 昭和60年 図 2-2-4 世帯数推移(国勢調査) 表 2-2-2 3町村合計と県との比較(平成12年国勢調査) 総世帯総数 1世帯当たり人数 高齢単身世帯数 同比率 秋田県 389,190世帯 3.06人 26,055世帯 6.70% 3町村合計 10,378世帯 3.23人 789世帯 7.60% 対県比率 2.7% - 3.0% - 3)将来人口と方針 2000 年度、2005 年度の人口を基礎データとして推計すると、仙北市の人口は年々減少し、 2035 年には 19,030 人と2万人を割り込み、現在の減少ペースが続くとすれば、2050 年に は 12,000 人台にまで落ち込む推計結果になります。 年齢別に見ると、年少人口と生産年齢人口の減少が、老年人口の減少を上回る結果、現在 30% の高齢化率は上昇し、将来的には 40% に達すると予測されます。 こうした現状を踏まえ、人口減少に歯止めをかけ、定住人口の増加を図るため、仙北市総合 計画において、子育て支援をはじめとする少子化対策や雇用環境の改善等の定住化対策を強 力に進めるとともに、農林業の振興等による第1次産業従事者の確保対策、企業誘致の促進 や観光産業の振興策による雇用の場の拡充、市街地活性化対策による商業振興等に取り組み、 定住人口3万人の維持を目標に施策の展開を図ります。また、観光産業と他産業の連携を図 るとともに、本市の持つ多様な資源を十分に活かし、多くの人が訪れるまちづくりを進め、 交流人口1千万人のまちをめざします。 (3)就業構造・産業 1)就業構造 ここ20年間の就業者総数は、3町村全体で3千人余り減少しています。その要因として は人口の減少や高齢化などが考えられます。 就業者数の推移を産業別にみると、3町村ともに第一次産業が大幅に減少し、第三次産 業がやや増加しています。業種別では、林業と農業の減少、サービス業の増加が目立ちます。 町村別では、旧角館町の第二次産業の増加が特徴的です。 平成12年の県全体と3町村平均の産業別就業者比率を比較すると、第一次及び第二次産 業は県平均よりも高く、一方、第三次産業は低いことから、県全体に比べると、農業や建設 38 業、製造業の割合が高い就業構造であることがわかります。 表 2-2-3 産業分類別就業者数推移(国勢調査) 就業者総数 第一次産業 第二次産業 第三次産業 昭和55年 田沢湖町 角館町 西木村 8,240 8,490 3,671 2,410 2,003 1,450 2,440 2,169 1,235 3,387 4,316 984 (単位:人) 平成12年 計 田沢湖町 角館町 西木村 20,401 6,841 7,451 2,916 5,863 966 853 591 5,844 2,248 2,363 1,167 8,687 3,627 4,234 1,157 増減数 増減率 計 17,208 △ 3,193 △15.7% 2,410 △ 3,453 △58.9% 5,778 △ 66 △1.1% 9,018 331 3.8% ※△はマイナス。分類不能は表記せず。 表 2-2-4 町村別産業分類別就業者数(内訳)(国勢調査)(単位:人、%) 第 一 次 産 業 第 二 次 産 業 第 三 次 産 業 平成12年 項目 田沢湖町 角館町 西木村 就業者総数 6,841 7,451 2,916 農業 866 816 508 林業 96 37 83 水産業 4 - - 鉱業 96 37 83 建設業 1,032 1,089 725 製造業 1,198 1,220 426 卸売小売飲食業 1,023 1,617 375 金融保険不動産業 69 138 32 運輸、通信業 234 301 86 電気ガス水道業 39 15 6 サービス業 2,030 1,923 543 公務 232 240 115 計 構成比 17,208 100.0% 2,190 12.7% 216 1.3% 4 0.0% 216 1.3% 2,846 16.5% 2,844 16.5% 3,015 17.5% 239 1.4% 621 3.6% 60 0.3% 4,496 26.1% 587 3.4% 表 2-2-5 3町村合計と県との比較(平成12年国勢調査) 第一次産業 第二次産業 第三次産業 合計 秋田県 人 構成比 64,465 11.0% 181,688 30.9% 341,462 58.1% 587,615 100.0% 3町村合計 人 構成比 2,410 14.0% 5,778 33.6% 9,018 52.4% 17,208 100.0% ※統計上、分類不能のものについては分類外とし、産業別に計上していない。 2)産業 県内有数の米作地帯である大曲・ 仙北地域では、平成10年に20の農業協同組合の広域合 併によって、コメ販売取扱量日本一の「秋田おばこ農業協同組合」が発足しました。現在は 「秋田せんぼく米」や「秋田まごころほうれんそう」など市場性の高い作物の生産に取り組 んでいます。 3町村合計の農業産出額(平成14年)は約68億円で、県全体の3.3%を占めています。 商工業に関しては、消費の冷え込みなどにより、厳しい経営環境となっています。3町 村合計の製造品出荷額等(平成15年)は約176億円、年間商品販売額(平成14年)は約393 億円で、いずれも県全体の1.4%を占めています。 観光名所が多く存在するこの地域ですが、バブル崩壊という経済情勢の影響もあり、平 成2年をピークに観光客数の減少が続いていました。しかし、平成 9年の秋田新幹線の開業 を機に、観光客数は増加に転じ、近年は6百万人を超える観光客が訪れています。 39 各地域の概要は次のとおりです。 田沢湖地域 農業では、産地間競争に勝ち残れる付加価値の高い農産物の生産を進めており、また、 減農薬米、良食味米の栽培や米プラスきのこ、野菜、花き、畜産などの複合経営を行う若い 農業人が育ちつつあります。 林業では、「緑のダム」として国土保全機能を果たすとともに、キノコや山菜、タケノ コなどの特用林産物を生み出しています。しかし、国内産の木材需要が伸び悩み、林業従事 者の高齢化も進みつつあるなど、林業をとりまく環境は年々厳しくなっています。 工業では、豊富な森林資源から生産される木材・木製品製造業や山菜資源を活用した特 用林産加工業が古くから営まれ、地場産業として定着しています。また、精密機器、電気機 械、金属機械、縫製などの企業の進出によって、雇用の場が創出されました。 商業は、観光産業や鉄道・道路・ダム建設に伴う大型公共事業、木材関連の産業に支え られて発展してきました。現在、田沢湖駅前広場の整備事業を進めており、多様な消費ニー ズに応えながら観光客を誘導し、魅力ある商業地の形成と商店の活性化に取組んでいます。 観光では、田沢湖、秋田駒ケ岳、温泉など全国的にも有名な観光名所を有し、年間270万 人の観光客が訪れています。また、温泉、スポーツ、レクリエーション施設など数多くの観 光資源があり、産業の柱のひとつとなっています。秋田新幹線開業にあわせて田沢湖駅に観 光情報センター「フォレイク」を整備し、秋田県の玄関口の観光情報発信基地としての位置 付けのもとに、駅利用者に対する観光情報サービス機能の強化を図っています。 角館地域 農業の基幹作目である稲作は、ほ場整備とともに大型機械の導入や経営の効率化を図る 一方、安全で高品質の「角館ブランド」米の生産と供給に取り組んでいます。また、アスパ ラガス、ほうれんそう、そら豆など市場性の高い作目への転作を奨励しています。花きなど の園芸作目は、高品質で市場性が高く、消費者から高い評価を得ています。 工業では、消費者の買い控えなどさまざまな悪条件が重なり、町内企業の受注量が減少 傾向にあります。商業では、日常生活圏が拡大される中、郊外や近隣市町への大型小売店 の出店が相次ぎ、結果として中心商業地での空き店舗が目立ってきており、販売額が減少 しています。 観光では、武家屋敷に代表される町並みと、2km にわたる桜のトンネルが全国的に有名 です。特に、秋田新幹線の開業を機に、藩政時代の面影を残す「武家屋敷通り」などに多く の人が訪れるようになりました。この他にも「角館のお祭り」をはじめ、さまざまな観光地 や伝統行事に年間240万人の観光客が訪れています。 西木地域 産業の中心は農業で、農家が自ら考え行政が全力でバックアップを行い、良質米の生産 振興、ほうれんそうなど市場性の高い転作作物の導入に成功しています。畜産では、村営牧 場の有効利用により生産コストの低減を図りながら和牛飼養農家の減少に歯止めをかける 40 試みがなされています。また、栗の産地として知られるほか、広葉樹資源の育成を図りなが ら、木炭などの林産業の振興を図っています。 商工業は、活性化を図るため制度資金の融資枠拡大など、経営安定を図るための多くの 施策を展開するとともに、村の地域性を生かした特産品開発に力を入れています。 観光では、「かたくりの群生地」が有名であり、また、田沢湖畔をはじめ、幻想的な伝 統行事の上桧木内紙風船上げ、平成13年4月にオープンした「むらっこ物産館」など、四季 それぞれに集客が見込める観光地や施設、祭りなどに、年間百万人の観光客が訪れるように なりました。 田沢湖町 (人) 角館町 西木村 合計 7,000,000 6,000,000 5,000,000 4,000,000 3,000,000 2,000,000 1,000,000 0 元年 2年 3年 4年 5年 6年 7年 8年 9年 10年 11年 12年 13年 14年 15年 図 2-2-5 観光客数推移(各町村調べ) (4)土地利用と方針 豊かな自然環境の保全と地域振興の均衡を図るため、土地利用については、3地区の土地 利用方針の継承と均衡ある発展の調和という観点から、国土利用計画法、都市計画法、景観 法、農業振興地域の整備に関する法律、森林法、自然公園法等の土地利用関連法令に基づく 諸制度を的確に運用し、農地や森林の適正な保全と管理、市街地の秩序ある整備、各集落の 生活環境の向上、観光拠点のネットワーク化などを推進することを基本的な方針とします。 1)自然環境保全地域 本市は、十和田八幡平国立公園、田沢湖抱返り県立自然公園を有し、秋田駒ヶ岳や乳頭山、 あるいは和賀山塊等の山岳が連なっているほか、田沢湖をはじめとする湖沼、数多くの温泉 群が点在しています。また、雄物川に合流する玉川の源流部となっており、秋田県の水源地 帯としての役割も担っています。 こうした豊かな自然環境は、本市のかけがえのない財産であり、その保全保護に努め、後 世に引き継いでいくことは、私たちの責務であるといえます。 このため、自然公園法等の適切な運用により、一層の自然環境の保全を図っていくととも に、恵まれた自然景観を活かし、癒しの空間として適正な利用を図っていくものとします。 2)都市計画及び居住地域 本市においては、角館地区及び田沢湖地区で都市計画区域に指定されており、このうち角 館地域、生保内地域で用途地域の指定がされ、街路事業、公園事業、下水道事業が行われて います。 41 今後は、現行の計画を見直し、地域間の整合性を図るため仙北市都市計画マスタープラン を作成し、緑地の確保や景観の保全等に配慮するとともに良好な都市基盤の整備に努めます。 また、周辺地域を含めた居住地域については、均衡ある生活環境の整備を進め、農業地域 との調整を図りつつ、快適で居住性の高い良質な生活空間の形成に努めます。 なお、角館地域の重要伝統的建造物群保存地区については、関係者の理解を得ながら、引 き続き周辺地域を含めた保存、整備に努めるものとします。 3)農業地域 本市の農業振興地域面積は13,333haで、このうち農業の生産基盤として確保されるべき 農用地区域は、5,848haあります。 現況農用地については、極力その保全と有効利用を図っていくものとし、この中で、基盤 整備済農地が2,703haとなっていますが、引き続き農村の生活環境の整備と併せて生産基盤 の整備を進め、優良農地の確保に努めるものとします。 また、平成19年度から導入される品目横断的経営安定対策、米政策改革推進対策、農地・ 水・環境保全向上対策の3つの施策による「経営所得安定対策等大綱」に基づき、担い手の 確保及び集落営農組織の育成に努め、食料の安定供給、農地と農村環境の保全など、農業・ 農村の持つ多面的機能の維持を図ります。 4)森林地域 本市の総面積の約8割を占める森林地域については、市町村森林整備計画に基づき、森林 を重視すべき機能に応じて、水源かん養や山地災害を防止する「水土保全林」、自然環境の 保全や森林を活用したリクリエーションなど森林とのふれあいの場となる 「森林と人との共 生林」、安定して木材を供給する「資源の循環利用林」の3つに区分し、それぞれの区分に 応じた適切な施業管理を推進します。 特に保安林については、今後とも、国土保全、水源かん養、自然環境の保全等、公益的機 能を維持していくものとし、乱開発は行わないこととしますが、観光面での活用など、森林 の他用途への転換にあたっては、林業経営の安定に留意しつつ、災害の発生、自然環境の保 全等に十分配慮するものとします。 (5)交通環境 交通環境の基盤となる道路については、広域幹線道路として、この地域を東西に横断し 盛岡と秋田を結ぶ国道46号と、南北に縦断する国道105号と国道341号がそれぞれ旧田沢湖 町で交差しており、交通の要衝となっています。 国の地域高規格道路の計画路線に指定された秋田・岩手両県を結ぶ国道 46号は、バイパ ス整備を行っています。秋田県内陸部を南北に結ぶ国道105号のバイパス化・局部改良が進 められています。観光ルートでもある国道341号も、橋やトンネルなどの改良が進んでいま す。 鉄道については、平成9年の秋田新幹線の開業により、田沢湖駅と角館駅の2つの停車駅 を持つこの地域と、東北地方の各都市(秋田市、盛岡市、仙台市、福島市等)や首都圏との 42 アクセスが格段に改善され、観光をはじめとする産業振興に大きく貢献しています。 また、平成元年に開業した第三セクター秋田内陸縦貫鉄道は、地域内に10の停車駅があ り通学等の手段として重要な役割を果たしています。空の玄関口である秋田空港、大館能 代(あきた北)空港、花巻空港からの輸送力強化に、民間とともに取り組んでいます。 そのほか、各地域の交通環境の概要は次のとおりです。 田沢湖地域 国道間を短絡的に結ぶ幹線道路として、町道中央線の改良整備を進めているほか、住民 生活に直結する町道各路線についても計画的に順次進めています。 公共バスについては、田沢湖駅と田沢湖や玉川温泉など主要観光スポットを結ぶバス路 線が11 路線運行されています。また、町営の循環バスが運行されています。 角館地域 街路事業岩瀬北野線は、大町通り線から内川橋付近までを平成18年度を完成目標に事業 を進めています。横町街路事業は東西の幹線道路と位置づけ整備を進めています。また、 生活関連道路の改良もあわせて進めています。 公共バスについては、大曲や秋田への定期バスや観光地を結ぶバスなど、7路線が運行 されています。このほかに、町内を走る2路線を町が運行(スマイルバス)しています。 西木地域 集落間を結ぶ、吉田下田線、栃ノ木六本杉線、漆原小白川線、西荒井古堀田線などの生 活道路を計画的に整備しています。 公共バスについては、大曲や角館への定期バス3路線が運行しています。 (6)広域行政 旧3町村が加入する、大曲仙 表 2-2-6 広域行政 事業概要 構成市町村 広域圏計画策定 田沢湖町、角館町、西木村、大曲市、 常備消防 神岡町、西仙北町、中仙町、協和町、 研修、更正園、救急センター、交 斎場 太田町、仙北町、南外村、美郷町 流センター、介護保険事業、へい 職員共同研修 北広域市町村圏組合では、広域圏 計画策定、消防、斎場、職員共同 名称 大曲仙北広域 市町村圏組合 更正園 獣保冷施設の事業を実施してい 救急センター ました。また、旧3町村及び中仙 交流センター 町で構成する旧角館町外三カ町 介護保険事業 村公衆衛生施設組合では、ごみ処 へい獣保冷施設 理事業とし尿処理事業を実施し (12市町村) 角館町外三カ町村 ごみ処理 公衆衛生施設組合 し尿処理 ていました。 43 田沢湖町、角館町、西木村、中仙町 (4町村) (7)新市の課題 1)地元産業の活性化 農林業などの第一次産業、建設業・製造業などの第二次産業、商業・サービス業などの 第三次産業は、それぞれに働く場の確保や地域経済を支える重要な役割を担ってきましたが、 近年は各産業とも、生産額や従業者数が減少する傾向にあります。 地元産業は、地域住民の生活を支える基盤としての重要な役割があることから、より一 層の振興を図っていく必要があります。そのためには、まず、それぞれの産業の将来を支え る担い手の確保と育成が大きな課題といえます。 このほか、産業ごとにみると、農業では、生産性の向上、複合化の推進、地域間競争に 打ち勝つためのブランド産品の確立などが求められています。 なお、第一次産業は、産業としてだけでなく、水源かん養、国土保全など多面的な機能 を持っていることを前提としてその振興を考える必要があります。 商業では、商店数の減少と比例するかたちで地域外に流出している買い物客を呼び戻し、 いかにして中心商業地のにぎわいを復活させるかが課題となっています。 工業では、地元産業の育成、地域外からの企業の誘致や既存立地企業の工場増設・研究 開発機能の移転の促進などにより、バランスの取れた産業構造の形成や働く場の確保が必要 です。 観光に関していえば、この地域は年間6百万人を超える観光客を受け入れている東北有 数の観光地ですが、第三次産業の就業者の割合が、県平均を下回っていることなどからみて もその潜在的な可能性を活かしきっていないというのが現状です。観光をはじめとした第三 次産業は、雇用の吸収力の高い産業であることから、将来、第三次産業をこの地域にどれだ け取り込めるかということは、働く場の確保という観点からは、きわめて重要な課題です。 また、地元産業の活性化については、産業間の連携の中で各産業の振興を図っていくと いう考え方が大切であり、この地域においては、特に、観光産業と農林業・商工業など他の 産業との相互連携の中で、産業の振興、活性化を図る態勢を整えていくことが必要です。 2)少子・高齢化への対応 この地域は、人口の減少が続く中、少子・高齢化が県平均を上回るスピードで進んでい ます。また、1世帯当たり人口は、県平均を上回っているものの、核家族化・小家族化が進 んでおり、高齢単身世帯の割合は、県平均を上回る水準となっています。 まず、少子化については、医療・教育・雇用などの社会システム全体を変えていかなけ ればならない大きな課題ですが、地域の活力を維持していくためには、この地域としても、 保育サービスの充実や産業の振興による若者の生活や働く場の確保など、 子育てと仕事を両 立し安心して働けるような態勢を整えていくことが必要です。 次に、20年後には、この地域の人口の4割を超えることが予想されている高齢者につい ては、生涯現役として、地域のさまざまな活動に参加する機会や情報を提供できる態勢や、 施設の整備を図っていく必要があります。 また、お年寄りがひとりでも安心して生活できるような環境の整備が、医療・福祉・保健 などさまざまな分野において求められています。 44 3)道路網の整備と交通手段の確保 この地域の主要な道路としてはバイパスの整備や改良が進められている国道 46号、105 号、341 号があります。これら生活や交流の動脈となる道路へのアクセス機能をもち、地 域住民の日常生活に密着した地域内道路については、合併後の旧町村間の連絡や交流機能を 高め、観光地・観光施設間の観光客の流動を促進するためにも整備が必要です。 また、近年、日常生活では、自家用車を利用することが多くなっていますが、子どもや お年寄りなど自家用車を運転できない人たちの移動手段を確保することは、誰もが不便な く日常生活を送るためにはきわめて重要です。 観光に関しては、駅あるいは空港から乗り換えて、この地域に向かうための交通手段い わゆる二次アクセスの整備も、観光客のスムーズな導入のためには必要です。 4)行財政運営の効率化 地域住民の価値観の多様化に伴って行政に対するニーズも多様化高度化してきています。 また、 地域住民に身近な行政の権限をできる限り市町村に移して行政サービスを提供すると いう地方分権の進展により、市町村が行う事務量は増加してきており、今後ますます増加す ることが予想されます。 一方で、市町村の財政は、バブル経済崩壊後の長期にわたる景気の低迷などの影響を受 け、市町村税などの自主財源の減収傾向が続いており、仙北市が置かれている状況もこの例 外ではありません。 また、厳しい国の財政状況から、地方交付税についても、その総額がこれまでどおりに は保障されない状況が生じてきています。 こうした中で、地域住民に対するこれまでの行政サービスの水準を下げずに、多様化、 高度化し、増大する行政サービスに対する需要に応えていくためには、行財政運営の効率 化を図ることにより、より少ないコストでより良い行政サービスを提供していく態勢を整 えていくことが求められます。 45 「新エネルギー市民アンケート」の取組みについて 目 的 地域の資源を生かした新エネルギ-の推進を今後の市づくりの重要な施策と位置付 け「仙北市地域新エネルギ-ビジョン策定事業」に取組んでいます。 この事業の推進に当たり、市民の皆さんのご意見を策定事業に生かすために「新エネ ルギーに関する市民アンケート」を行います。 取組み方 1 市内年齢分布を勘案して 200 名を無作為に抽出する。 2 郵便により発送・回収を行う。返信用の封筒を同封する。 3 アンケートには「市長名のお願い」、 「新エネルギー説明チラシ」を添付する。 4 回収目標は 100 名以上とする。 5 回収後、分析・評価を行い委員会に報告する。 6 発送日 11 月 10 日 回収日 11 月 24 日(金曜日) 評価と考察 回収後、分析と評価を行い、新エネルギーについての市民の意識・意見などをビジョ ン策定に反映させることとする。 46 平成18年11月10日 市 民 各 位 殿 仙 石 北 黒 市 直 長 也 「市民アンケート調査」について協力のお願い 市では地域の資源を生かした新エネルギ-の推進を今後の市づくりの重要な 施策と位置付け「仙北市地域新エネルギ-ビジョン策定事業」に取組んでいま す。 つきましては、この事業の推進に当たり、市民の皆さんのご意見を策定事業 に生かすために「新エネルギーに関する市民アンケート」を行うことになりまし たので、ご協力をお願い申し上げます。 このアンケート調査は「仙北市地域新エネルギ-ビジョン策定事業」以外に 利用されることはありません。 お忙しいところまことに恐縮ですが、アンケートご記入の上、同封の封筒に て11月24日(金曜日)までに産業観光部までご投函下さい。 宜しくお願い申し上げます。 以 上 ご記入の方法は、次の通りにお願いします。 1) 該当欄に○印を付けて、無記名でご回答下さい。 (複数回答可はいくつでも。) 2) 黒のボールペンまたは鉛筆でご記入下さい。 2)その他の欄には、選択項目以外のあなたのご意見を記入して下さい。 3)新エネルギーについては、同封の資料も参考にして下さい。 5)ご記入の回答用紙5ペ-ジを、11月24日(金曜日)までにご返送下さい。 6)このアンケートについてのお問合せは 産業観光部農村整備課 高橋 安部まで 〒014-0592 仙北市西木町上荒井字古堀田 47(西木庁舎) TEL:0187-43-2207 FAX:0187-47-2440 メール:shoji-takahashi@city.semboku.akita.jp 47 仙北市は、新エネルギーについて、検討を始めます。 �新エネルギ�ビジ�ンの目的� 新エネルギ�のとりくみを仙北市の 市民生活の向上や産業振興に役立て� 仙北市の一層の発展に生かします� 町 づ く り や 経 済 の 振 興 に 生 か す た め 地球の温暖化防止のためにも�脱化石 燃料を進め�二酸化炭素を吸収する森 林資源を育てます� 46 FAX:0187-47-2440 TEL:0187-43-2207 高橋 安部 農林課 産業観光部 有機廃棄物熱利用 有機廃棄物燃料製造 再生可能エネルギーのうち、その普及のために国などの 支援を必要とするものを、新エネルギーと言います。 (波力発電) (海洋温度差発電) 問合せ先(担当部署) 仙北市西木町上荒井字古堀田 47(西木庁舎) 日本は�エネルギ�の九〇%以上を海 外から輸入しています�二十一世紀の 日本を考え�少しでも身近なところか ら�新エネルギ��をつくり出し� �省 エネルギ��にとりくむことが大切に な�ています� 水 は じ め に バイオマス熱利用 森林 ① バイオマス発電 ② 雪氷利熱用 ③ 風力発電 仙北市 太陽熱利用 太陽 新エネルギー 地 球 環 境 問 題 等 の 解 決 を め ざ す た め 太陽光発電 平成十八年十一月 大規模水力 エ ネ ル ギ ― を 安 定 的 に 確 保 す る た め 有機廃棄物発電 地 熱 中小水力 温度差エネルギー バイオマス燃料製造 �観光産業を活かした北東北の拠点 都市をめざす�本市には�豊かな太陽・ 水・森林などの資源があります� これらを活かし�石油価格の値上が りや地球温暖化問題などに対処するた めに新エネルギ��再生可能エネルギ ��の利活用が�とても大切にな�て きました� 左図にあるとおりの身近なエネルギ �資源を開発し�新たに誕生した仙北 市の未来につなげたいと思います� そのため�これらの資源を利活用す る指針となる�新エネルギ�ビジ�ン� を�市民の皆さんと力を合わせて策定 したいと思います� 皆さんのご協力をお願いします� 再生可能エネルギー 新エネルギーには、いろんな種類と使い方があります。(例) 太陽光発電・太陽熱利用 (岩手県葛巻町) 風力発電 小水力発電 森林バイオマス (秋田県仁賀保町) (山梨県都留市) (秋田県森林組合資料) 地熱エネルギー (NEDO 資料) 新エネルギー 雪氷冷熱エネルギー (秋田県横手市) 活用事例 エネルギー自給型住宅 クリーンエネルギー自動車 家庭用燃料電池 木質バイオマスガス化発電 地熱利用温室 (山形県天童市) (N自動車ハイパーミニ) (Tガス) (岩手県葛巻町) (大分県別府市) 新エネルギーの特徴は、① 環境に優しい。② 石油の消費を減らすことができる。③ 47 身近なエネルギーで、色んな使い方があります。 市内には、どんな新エネルギーがあるのか、どんな使い方が良いのでしょうか。 (アンケート回答用紙) 「新エネルギーについての市民アンケート」 平成18年11月 仙 北 市 新エネルギー/省エネルギーについて、皆様のご意見をお聞かせください。 ご記入の方法は、次の通りにお願いします。 3)該当欄に○印を付け、無記名でご回答下さい。( 複数回答可。) 4)黒のボールペンまたは鉛筆でご記入下さい。 2)その他の欄には、選択項目以外のあなたのご意見を記入して下さい。 3)新エネルギーについて、同封の資料も参考にして下さい。 5)この回答用紙5ペ-ジに記入し、11月24日(金曜日)までにご返送下さい。 問1.性 別 1.男 性 2.女 性 問2.年 齢 1.20歳以下 2.20歳代 3.30歳代 5.50歳代 6.60歳代 7. 4.40歳代 70才以上 問3.職 業 1.農林漁業 2. 建設業 3.製造業 5.公務員 6.不動産業 7.運輸・通信業 8.サービス業 9.金融・保険業 10.学生 4.卸・小売・飲食業 11.事業主婦 問4.あなたを含め、現在同居しているご家族は何人ですか 1.1人 2.2人 3.3人 48 4.4人 12.その他 .′ 5.5人 6.6人以上 問5.あなたの家庭で使う電気は、何から作られていると思いますか 1.水力 2.石油 6.太陽光 7.風力 3.石炭 4.天然ガス (複数回答可) 5.原子力 ) 8.その他( 聞6.あなたのご家庭で、一ケ月の電気の使用量又は使用金額(わかればご記入<ださい) 月分 kWh使用 円でした。 閻7.あなたのご家庭では、バイクを除き車を何台お持ちですか 1.1台 2.2台 3.3台 4.4台 5.5台 6.6台以上( 台) 問8.あなたのご家庭では、省エネルギーのためにどのようなことに心がけていますか。 (複数回答可) 1. 電気のスイッチをこまめに消す 2. テレビなどは主電源を切るように心がける 3. 蛍光灯などを省電力タイプに換える 4. 入浴は家族全員が続けて入る 5. お風呂の残り湯を洗濯に使う 6. 冷暖房をこまめに切りか換える 7. 早寝早起きを心がける 8. 買い物には買い物かごを持っていく 9. むやみに車を使わない 10. 車はより小さい車に換えていく 11. 車の空ふかしやエンジンのかけっぱなしをしない 12. その他( ) 問9.エネルギー資源問題に関心がありますか ある ない (ある、と答えた方、複数回答可) 1. 電気、ガス、ガソリン、などの価格が生活費に影響を及ぼすから 2. 将来の石炭、石油などの化石エネルギー資源の不足が心配だから 3. エネルギー資源の確保による戦争などの国際紛争が心配だから 4. 原子力発電の安全性や使用済燃料などの放射能に疑問があるから 5. 日本はエネルギー資源をほとんど海外に頼っていて、将来に不安があるから 49 6. 日本はアメリカ・ヨ-ロッパに比べ新エネルギーへの取り組みが弱いから 7. その他( ) 問10.地球環境問題に関心がありますか ある ない (ある、と答えた方、複数回答可) 1. 地球温暖化によって、自然の生態系のバランスがくずれるから 2. 人体に影響を与えるダイオキシンなどが心配だから 3. 産業廃棄物の処理が大きな問題になっているから 4. 自動車の排ガスによる公害が心配だから 5. 大気汚染や乱開発によって自然環境が破壊されるから 6. 化学物質の増大で環境ホルモンなどが心配だから 7. その他( ) 問11.「新エネルギー」という言葉をこれまで聞いたことがありますか ある ない 問12.新エネルギーに関心はありますか ある ない (ある、と答えた方、複数回答可) 1. 石油、石炭等の化石エネルギーには限りがあり、代替になるから 2. 新エネルギーは温暖化、大気汚染などに影響を与えず、クリーンだから 3. 新エネルギーの太陽・風力エネルギーなどは尽きることがないから 4. 新エネルギーは災害に強いから 5. 将来の子供たちに貴重な贈り物になるから 6. 国内で出来る自前のエネルギーだから 7. 仙北市には開発出来そうな資源があるから 8. 森林資源の有効利用につながりそうだから 9. 自分でも取り組めそうだから 10. 農業・漁業・林業や市づくりに役立つから 11. その他( ) 問13.市内で開発・普及したい新エネルギーとはどのようなものですか 50 (複数回答可) 1. 太陽光発電 2. 太陽熱利用 3. 風力発電 4. 小水力発電 5. 木材や間伐材などからの発電や熱供給(バイオマス発電) 6. 廃棄物(ごみ)発電や熱供給 7. 雪エネルギーの利用 8. 地熱エネルギーの利用 9. 燃料電池の活用 10. クリ-ンエネルギー自動車の導入 11. その他( ) 問14.例えば「太陽光発電」を導入する場合、主にどこが中心で行なうとよいと思いますか 1. 市民が単独で行う 2. 市が単独で行う 3. 市や民間が第三セクタ-を作って行う 4. 民間事業者が行う 5. 農協など農業団体が行う 6. 県や国が独自に行う 7. 行政・研究所・事業者が共同で、実験施設を作って行う 8. その他( ) 問15.新エネルギーについて知りたいことはどういう点ですか 1. 国や県の制度、個人や団体が受けられる補助金などについて知りたい 2. 経済的に成り立つかどうか知りたい 3. 技術的にどんな問題があるか知りたい 4. 新エネルギーと市の産業や雇用の関係について知りたい 5. 売電事業(発電した電気を電力会社などに販売する事業)について知りたい 6. その他( ) 問16.新エネルギーを導入するために必要なことは何ですか 1. 子供たちへの教育を重視すべきだ 2. 市はもっと情報を知らせて、住民の意識を高めるべきだ 51 (複数回答可) 3. 新エネルギーに詳しい人材や技術者を育てるべきだ 4. 市の施設から積極的に導入すべきだ 5. 個人や団体が受けられる補助金などを増やして欲しい 6. 経済的に成り立つような仕組みを考えるべきだ 7. その他( ) 問17.新エネルギーをどのように活用したら良いと思いますか (複数回答可) 1. 温室に使い、野菜や花の生産などに活用する 2. 市の福祉施設などの電源に活用し、熱はお風呂などに活用する 3. 学校のナイタ-電源に活用し、熱はプ-ルの温水として活用する 4. 道路の融雪や防犯灯の電源に活用する 5. 観光や教育用に活用する 6. 防災用の非常電源として活用する 7. 電力会社に電気を売るためにに事業を行う 8. 電気自動車の充電用電源とする 9. その他( ) 問18.「仙北市地域新エネルギービジョン策定」についてあなたのご意見・ご要望をご記入 ください。 1. 2. 「仙北市地域新エネルギービジョン策定事業」に活用させて頂きます。 ご協力を戴きまして、有難うございました。 52 仙北市新エネルギービジョン基本理念(案) 森と水と人々のハーモニー 仙北市は、化石資源の有限性や地球温暖化問題などに直面しています。 身近にある資源を宝に変えて、北東北の観光拠点都市を創るために 「森と水と人のハーモニー」を新エネルギービジョンの基本理念とします。 森のハーモニー 仙北市は、秋田杉の大産地です。 春の桜や樺細工は多くの人々の心を暖かくしてくれます。 この森の力を活用して、クリーンで再生可能な木質バイオマスエネルギーを開発し、 人々の身も、心もさらに暖かくします。 水のハーモニー 仙北市は、田沢湖、玉川、桧木内川など水の豊かな町です。 人々のくらしや農林業に水は無くてはならにものです。 この水の力を活用して、クリーンで再生可能な水力エネルギーを開発し、 人々のくらしや産業に、さらに役立てます。 人々のハーモニー 仙北市は、歴史と伝統を育んだ先人の努力を受け継いで 北東北の観光拠点都市を目指しています。 太陽の光や熱、地球の温熱(温泉)や冷熱(雪)を活かしたエネルギーを開発し、 人々の知恵と力で、観光拠点都市にふさわしい再生可能なエネルギーシステムを目指します。 元気な若者やお年寄たち、そして未来にむけて子供たちの笑顔があふれます。 秋田県・仙北市 53 基 本 方 針 基本理念を実現するため、次の基本方針で取り組みます。 (1)未利用資源の有効活用をはかります。 山林労務者の高齢化と後継者不足、木材価格の低迷が森の活性化に多大な影響を来たし ています。このことから、特に農林家が森林に対する意識低下をもたらし、コストに見合 わない状況から伐採後の放置林や管理放棄的林地が増大している現状です。間伐を行って も、利用される材は凡そ 40%程度。残りの 60%は、搬出コストがまかなえずにそのまま 林内に放置され、膨大な量の森林バイオマス資源が利用されることなく眠っています。ま た、製材・チップ工程で発生する大量の樹皮(バーク)のエネルギー活用も課題となって います。 市内に網の目のように整備されている農業用水路は、これまで農業生産のために利用 されるとともに、それ以外にも灌漑期、非灌漑期を通じて消流雪用水/生活用水/防 火用水/生態系保全用水としても活用されてきました。しかし、農業用水路の落差や流 量はエネルギー資源としては充分使われないままとなっています。 近年、国の「バイオマス・ニッポン戦略」 「再生可能エネルギー・新エネルギー概念の見 直し」などを通じてバイオマス、小水力などの政策的な位置づけが高まっています。 本市の未利用エネルギー資源として森林バイオマスや農業用水路のエネルギー活用に取 組みます。 (2)地域特性を活かした新エネルギー導入をはかります。 本市の地域特性から、太陽光・熱エネルギーは豊富に存在します。効率的な技術を採用 してこうしたエネルギーが効果的に活用できるように取組みます。 雪氷冷熱エネルギーは本市の地域の特性です。北海道や東北の一部では雪氷冷熱エネル ギーの農業利用などが始まっています。事業性、経済性も検討して導入を検討します。 既存の温泉に影響が出ないように注意しながら、その排湯の熱エネルギー利用について について検討を行います。融雪や農業利用が可能となれば市民生活や農業振興に役立つエ ネルギーです。 (3)地域経済振興への貢献を進めます。 「観光産業を活かした北東北の拠点都市」を目指す本市は、先人が築いた歴史と伝 統や豊かな自然資源に恵まれています。 しかし、今ある地域資源のエネルギー活用は充分とはいえません。化石燃料の有限 性や地球環境問題への人々の関心が高まる中で、地域のエネルギー資源として利活用 54 し、農林業の活性化、雇用拡大、新産業創出、地域活性化などをめざし、自立的な地域エ ネルギー生産・利用による経済波及効果を最大限に発揮させます。新エネルギーの供給お よび需要等のそれぞれの段階において、多様な人の係わり、設備の設置・運用、熱および 副産物の利活用などを、観光産業、地域経済へプラスの効果をもたらすようにします。新 エネルギーの導入は体験型観光に向いていて向いています。クリーンエネルギー自動車な どは観光産業に最適です。 (4)省資源、省エネルギー施策との連携で進めます。 未利用資源の有効活用、地域特性に見合った「新エネルギーの導入」と「省資源、 省エネルギー」は車の両輪として、本市の施策全体を通じて推進する課題です。 観光、農林行政はもとより、土木、建築、水道、教育、文化、福祉などの多岐にわ たる行政施策に活かされ、市民の理解と共感を得て進める必要があります。 本市の財政を圧迫する公共施設、市民住宅の光熱費の高騰が問題となっています。 主として石油燃料価格の高騰によりますが、家庭でも職場でも「電気はこまめに切る」 などの小さな省エネルギーからはじまり、省エネ効果の高い施設・機器・システムの 導入などを従来以上に推進します。 さらに、省エネ性能の高いコ・ジェネレーションやエネルギー自給型住宅などの進 んだ技術の導入も積極的に行うようにします。 (5)地域エネルギーシステムの構築を目指します。 本市の新エネルギー資源は相当程度、石油に代替することが可能です。先人たちが 営々として築いてきた秋田杉、豊かな水路網は何よりの財産です。 地区毎、本市全体のエネルギー資源量と需要量を把握し、地元資源の有効活用や補 完エネルギーなどを検討し、本市の未来に向けたエネルギー需給の全体像を考えます。 最新の地域エネルギーシステム手法を導入して開発します。 今回のビジョン策定事業では、現在のエネルギー資源量と需給の問題点や課題を抽 出し、地域エネルギーシステム構築の計画に結びつくようにします。 (6)環境・エネルギー教育や普及促進活動を推進します。 現在の子供たちが社会の中堅になる頃には、世界のエネルギーは「資源の枯渇」と「地 球環境」の両面から大きな問題に遭遇することが予想されます。現在約 96%のエネルギ ーを海外に依存する日本は、より複雑な問題が生ずることになります。 こうした時に地域の資源に目を向け、地域エネルギーシステムの構築を目指す今回の ビジョン策定事業は、子供たちの未来に係わることでもあります。 先進的に取組んでいる各地の自治体では、設備導入に留まらず、新エネルギーの普及 啓発、環境・エネルギー教育に力を入れています。 55 小中学校の総合学習や成人の生涯学習などを通じて環境・エネルギー教育、本市の広報 や市民セミナーなどを通じた新エネルギーの普及啓発活動を推進します。 (7)市民、事業者、行政が一体となった推進をはかります。 新エネルギーの導入は単にハード面での導入だけにとどまらず、その導入をきっかけ として、環境問題への理解が深まり、市民と行政、事業者と行政、市民と事業者など、 立場をこえた協働体制が構築できる可能性があります。 地域エネルギー資源の開発を通じて、生まれ育った仙北市に目を向けます。その結果と して、よりよい町づくりや町のイメージ向上、さらには経済振興への新しい胎動が生まれ る可能性があります。 そのためは、行政の役割が重要です。公共施設への先導的導入を行い、責任部署を明確 にし、担当者を配置して組みます。 (8)先進地との交流、連携を進めます。 地域のエネルギーは、地域によって資源違い、腑存量の強弱があります。他の先進地で 成功しても、別の地域で成果の上がらないこともあります。外国では成功しても、日本 では旨くいかない場合もあります。 新エネルギーの導入の促進は、政府や県レベルの制度・政策・支援の内容、技術開発 のレベルが要因となりますが、結局は、地域で推進する人々の意欲と係わる人数によっ て左右される場合が多いと言えます。優れた先進地には意欲を持った多くの人々が活動 しています。 優れた経験を学び、本市からも情報を発信し、問題点や課題を交流し合うように取組 みます。国内だけではなく、アジアや世界との連携も重視して進めます。 56 重点プロジェクト候補名(案) 今後、腑存量調査、開発可能性、技術動向、事業性などを検討し、実現性を重視した重点プロジ ェクトとします。 NO 1 2 3 4 5 6 7 8 プロジェクト名 西木村総合公社 熱電併給プロジェクト エネルギー種別 木質バイオマス エネルギー 杉バーク熱利用 木質バイオマス プロジェクト エネルギー 太陽光利活用 プロジェクト 中小水力発電 プロジェクト 農業用ハウス プロジェクト 農産物貯蔵 プロジェクト H19 年度 製材所・病院等 ~H22 年度 バークボイラー H20 年度 製材所・病院等 ~H23 年度 太陽熱利用 3.3m2・ 10 件 エネルギー エネルギー自給型住宅 田沢湖疎水の合口と活用 水力エネルギー 農業用水路小水力発電 地熱エネルギー 雪氷冷熱 エネルギー 田沢湖 角館 H24 年度~ 田沢湖 野菜、米、酒などの貯蔵 H20 年度~ 田沢湖 バイオマス自動車 地域エネルギー 各種エネルギーの 地域ごとの負荷に対応し システムプロジェクト ネットワーク た規模の調査と検討 57 ~H22 年度 西木 H21 年度~ 田沢湖 小型電気自動車 3 台 自動車 H19 年度 地区 廃湯利用の農業施設 ハイブリット車 3 台 クリーンエネルギー 導入時期 公共施設 350kW ・ 1 ヶ所 太陽光発電 5kW ・ 10 件 太陽光・熱 プロジェクト 低公害車導入 規 模 等 H19 年度 ~H22 年度 角館 H20 年度~ 角館
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