SRT2015 北 東 ア ジ ア 学 生 ラ ウ ン ト テ ー ブ ル 実 施 報 告 書 2015 年 8 月 5 日~8 月 13 日 日本 0 秋田開催 目次 I. 代表挨拶 II.SRT 団体概要 III.「SRT2015」の概要 IV. 「SRT2015」の報告 (1) プログラムの詳細 (2) 分科会議論詳細 1. 移民分科会 2. 環境分科会 3. 教育分科会 4. 人権分科会 (3)「SRT2015」の反省と将来展望 (4) 助成・協賛・後援一覧 (5) 添付資料 1.参加者名簿 2.詳細スケジュール表 3.アンケート結果 1 I. 代表挨拶 2015 年 8 月 5 日から 13 日にかけて、北東アジア学生ラウンドテーブル 2015 (以下 SRT2015) が開催された。北東アジア6か国地域の学生が日本と秋田の魅力を知ると同時に、国籍問わ ず絆を深めた、大変意義のある開催となった。本報告書はそのような SRT2015 の実施内容や 参加者からの意見を取りまとめ、将来に向け開催の成果を残すものである。 SRT2015 は当団体設立後 10 回目となる節目の国際学生会議であり、北東アジア6か国地域 が一同に集う初の日本・秋田開催であった。地元秋田へ少しでも貢献できるよう、一年にも 及ぶ準備期間を通して、開催の成功に向け運営者と参加者は地道な努力を重ねた。様々な困 難を乗り越え、交通手段の確保やスケジュール作等の様々な企画と運営を行い、開催を実現 させることが出来た。社会経験不足から問題が起こり、ご協力いただいた皆様にご迷惑をお 掛けすることもあったが、そうした経験も含めて SRT2015 は私たちの成長の糧となった。 また、他国地域参加者も開催に大変満足し楽しんでいる様子が伺えた。9日間という短い 期間の中で築いた絆は強く、今後も繋がっていくと確信している。 今年度の開催にも、各方面より多大なご支援とご協力を賜った。助成対象地域外でありな がら特別にご支援くださった「一般財団法人人間塾」、昨年に引き続き当団体にご期待・ご 支援くださった「一般財団法人 MRA ハウス」、「公益財団法人三菱 UFJ 国際財団」、「公益 財団法人双日国際交流財団」、「独立行政法人国際交流基金」、地元秋田での開催にご期待 いただいた「公益社団法人 青少年育成秋田県民会議」、「公益財団法人 秋田県国際交流協 会」、また昨年度同様、本開催の趣旨に賛同・ご協賛いただいた「秋田いすゞ自動車株式会 社」、「秋田印刷製本株式会社」、「秋田清酒株式会社」、「秋田東北商事株式会社」、「新 政酒造株式会社」、「株式会社秋田海陸運送」、「株式会社秋田銀行」、「株式会社サノ」、 「株式会社那波商店」、今年新たに当団体にご注目・ご協賛くださった「株式会社秋田住宅 流通センター」、「有限会社マゼンタ」、ならびにご後援を頂いた「秋田県」、「秋田市」、 「日露青年交流センター」、「NPO 日ロ交流協会」(順不同・敬称略)には厚く御礼を申し上 げたい。加えて、主催地として様々なご支援をいただいた国際教養大学にもこの場をお借り して感謝の意を伝えたい。 最後に、団体創設者であり顧問として当団体を支えてきてくださった森園教授を始め、中 国人参加者との架け橋となってくださった三宅玲子様と対外経済貿易大学副教授・西村友作 先生ほか、本開催に参加するために遠く秋田まで足を運んでくれた参加学生、夏開催の実現 に向けご尽力いただいたすべての方々に対し、この場を借りて心からの感謝を申し上げたい。 2015 年9月 11 日 北東アジア学生ラウンドテーブル 代表 金指みなみ 2 II.SRT 団体概要 1.団体説明 北東アジア学生ラウンドテーブル(英名:Northeast Asia Student Round Table、略称: SRT)は国際教養大学の学生団体の1つである。学生が集まり、円卓に着いて議論すること から、「Student Round Table」という名前がついている。北東アジア学生ラウンドテーブ ル(以下 SRT)は、北東アジア各国・地域に存在する支部及びその他の国・地域の学生が毎年 一回をめどに一同に集い一週間程度を共に過ごす本開催、またその準備期間において、より 質の高い議論を行うための勉強会やディスカッション会合の開催、開催の企画・運営作業、 さらに本開催終了後には、自国でその成果を発表する報告会や高校訪問などの活動を行って いる。近年は当団体の活躍が新聞・雑誌・インターネット上にも取り上げられている。本開 催においては、参加者が互いに興味・関心のある議題について、プレゼンテーションやディ スカッションなどを行うほか、開催地の視察を通し自国また他国の魅力を知るフィールドト リップ、さらには地域社会に根付く企業への訪問を行う。なお、上記の活動は学生が主体的 かつ共同で行う。 2.団体理念 SRT では、以下の三つを団体の理念として掲げ、北東アジア諸国・地域の学生を集め国際会 議を自ら企画・運営し開催している。 「各国地域学生間の相互理解」 「地元秋田への地域貢献」 「団体のネットワーク構築と継承」 3.団体目標 本団体は前項に定める理念を軸とし、以下の5つを目標として定めている。 (i) 参加学生による、忌憚のない率直な意見交換や議論、共同作業を通じて、互い の社会・文化や国民性等を効果的に学び、真の相互理解を図ると共に、それらを通 した自己研鑽の機会を提供すること。 (ii) この学生間の相互理解や学びの機会を捉え、地域社会との積極的な交流を図 り、その成果等を発信することで、裾野の広い国際化や互いの社会・文化等の理解 に貢献すること。 (iii) これら活動の実践と経験の成果を、将来にわたって重層的に継承・発展させ てゆくためのネットワークの構築や基盤の形成を図ること。 (iv) 国際慣習に則り共通言語を全て国際語としての英語とすると共に、よりフォ ーマルな形式での議論やプレゼンテーション等を通し、多国間による会議や議論運 営等の国際舞台での実践能力を高めること。 3 (v) 日々の活動及び本会合とそれに関連する準備等を通じて、学生それぞれの知見 や教養の深化やスキルの向上を図り、将来の学習・研究課題の発見や国際的なキャ リア開発へとつなげてゆくこと。 4.過去の実績 〈第 1 回〉「北東アジア学生ラウンドテーブル 2008」 日時:2008 年7月 31 日~8月 11 日 場所:国際教養大学(日本) 参加国・人数: 日本 15 名(国際教養大学) 韓国 15 名(高麗大学、国際教養大学に留学中の学生) 議題:「学生の日々の生活の中で最も大きな関心事は何か」 「大学生としてどう地域社会に貢献できるか」 「大学生にとって最も重大な国際問題は何か」 〈第 2 回〉「北東アジア学生ラウンドテーブル 2009」 日時:2009 年 12 月5日~12 月7日 場所:高麗大学(韓国) 参加国・人数: 日本 12 名(国際教養大学) 韓国 6名(高麗大学) 議題:「日本、韓国における小学校での英語教育」 「韓国における公共教育の質の向上」 〈第 3 回〉「北東アジア学生ラウンドテーブル 2010 夏開催」 日時:2010 年8月1日~8月3日 場所:国際教養大学(日本) 参加国・人数: 日本 12 名(国際教養大学) 韓国 3名(西江大学校、梨花女子大学校) モンゴル 5名(モンゴル国立大学、モンゴル人文大学) 議題:「アメリカ、中国の政治的、経済的影響」 「アジア間の交流促進」 「環境問題について」 4 〈第 4 回〉 日時:2011 年1月 13 日~1月 16 日 場所:国際教養大学(日本) 参加国・人数: 日本 13 名(国際教養大学) 韓国 6名(ソウル大学校) モンゴル 6名(モンゴル国立大学) 議題:「各国の教育問題」 「北東アジア共同体の可能性」 「SRT の将来」 〈第 5 回〉 日時:2011 年8月 17 日~8月 23 日 場所:モンゴル国立大学(モンゴル) 参加国・人数: 日本 20 名(国際教養大学 18 名、立教大学1名、京都大学1名) モンゴル 11 名(モンゴル国立大学) 韓国 5名(ソウル大学校) 大陸中国 2名(モンゴル国立大学に留学中の中国国籍を持つ学生) 議題:「北東アジア内におけるエネルギー安全保障」 「福島原発事故と原子力発電所」 「SRT の将来」 〈第 6 回〉 日時:2012 年8月7日~8月 11 日 場所:ソウル大学校(韓国) 参加国・人数: 日本 22 名 (国際教養大学 17 名、慶應義塾大学・早稲田大学・上智大学・創価大学より各1名) モンゴル 8名(モンゴル国立大学) 韓国 30 名(ソウル大学校) 大陸中国 5名(北京大学) 台湾 5名(国立台湾大学) 国際教養大学教授 1名 議題:「北東アジアの軍事安全保障と平和」 5 〈第 7 回〉 日時:2013 年8月4日~8月 12 日 場所:北京大学(大陸中国) 参加国・地域、人数: 日本 22 名 (国際教養大学 17 名、共愛学園前橋国際大学・慶應義塾大学・獨協大学・立教大学・ 立命館アジア太平洋大学より各1名) モンゴル 7名(モンゴル国立大学) 韓国 14 名(ソウル大学校) 大陸中国 20 名(北京大学) 台湾 4名(国立台湾大学3名、国立政治大学1名) ロシア 2名 議題:「北東アジアが抱える問題~国家としての解決策と若者の使命~」 〈第 8 回〉 日時:2013 年8月9日~8月 17 日 場所:極東連邦大学(ロシア) 参加国・地域、人数: 日本 23 名 (国際教養大学 21 名、和歌山県立医科大学・立命館アジア太平洋大学より各1名) モンゴル 7名(モンゴル国立大学) 韓国 14 名(ソウル大学校) 大陸中国 5名(北京大学4名、中国人民大学1名) 台湾 2名(国立台湾大学) ロシア 9名(極東連邦大学) 議題:「北東アジアの貿易」 6 III. 「SRT2015」の概要 1.開催情報 日時:2015 年8月5日~8月 13 日 場所:国際教養大学(日本・秋田) 参加国・地域、人数: 日本 22 名 (国際教養大学 20 名、立教大学・早稲田大学より各1名) モンゴル 12 名(モンゴル国立大学) 韓国 11 名(ソウル大学校) 大陸中国 5名(北京大学1名、対外経済貿易大学4名) 台湾 13 名 (国立台湾大学・国立曁南国際大学・国立台湾芸術大学・東海大学・ 国立清華大学・国立政治大学・国立台湾師範大学) ロシア 1名(極東連邦大学) 計 64 名 (参加者名簿は添付資料 1 を参照のこと) 議題:「2025 年に向けて-北東アジア6か国地域 10 か年計画-」 分科会:移民、環境、教育、人権 日程: 8月5日(水)現地到着,キャンパスツアー,親睦会 8月6日(木)開会式,全体発表,分科会,竿燈祭り観賞 8月7日(金)議論,講演会 8月8日(土)企業訪問,議論,文化交流会 8月9日(日)議論,文化交流会 8月10日(月)フィールドトリップ:角館,たざわこ芸術村 8月11日(火)議論 8月12日(水)最終発表,閉会式 8月13日(木)解散 7 3.開催のねらい 一、参加型の文化交流 文化交流会では、参加型のゲームや発表により、参加者全員が各国地域の文化や歴史を より身近に感じることができた。さらにフィールドトリップでは、歴史的建造物である 武家屋敷や漁師の仕事を模したソーラン節を実際に見学・体験することで日本の伝統文 化に触れる機会が得られたと同時に、分科会の枠を超えた参加者の交流も活発になっ た。 二、運営者としての役割 本開催では、運営者と参加者という2つの役割に分かれて事業を行った。運営者は、 会議運営全般の計画・指揮に加え、スケジュール調整や移動手段・食事等の手配、企 業訪問先の決定など、各参加者の日本滞在を全面的にサポートした。計画通りに物事 が進まないことが多々あったが、その都度柔軟に対応することの重要性、全体をまと めることの難しさも学ぶことができた。また運営者は議論がより円滑に進むよう司会 進行をする議長の役割も担った。議論が進むにつれて参加者の意見の衝突や議論に対 する認識の違いが生じたが、議長が客観的に状況を把握し各参加者に助言することで 積極的に克服することが出来た。 三、新たな議論方法の導入 本事業では、模擬国連を参考とした新たな議論方法を導入した。議論方法を統一す ることで、参加者がより論理的に意見や反論を述べ、議論を活発化させることが可 能となった。また共同決議案の作成を義務付けたことで、北東アジアの協力体制を もとに参加者全員で議論をまとめ、解決策を導き出すことができた。 四、団体の展望 本事業では、「Future of SRT」と題した、今後の SRT の展望について話し合う時 間を従来よりも長く設け、本事業の反省点や団体の将来の展望について話し合っ た。各国地域の参加者から率直な意見が聞けたと同時に、各国地域での資金調達の 可否や支部設立についても深く話し合うことができた。また、他国地域における確 実な参加者募集方法と連絡手段の決定ができた。これにより、今後団体の活動を継 続的に発展させ、運営を効率化する上で最も重要となる事項を確認できたことは、 大変有意義であった。 五、6か国参加での初の日本開催 今回の開催は、団体設立以降初めて、6か国地域が日本に集う開催となった。日本チー ムが主体となって事業を企画・運営することで、今まで他国が主催していたため未解決 であった他国参加者との連携や議論の進行などにおける課題点を見直すことができた。 8 VI. 「SRT2015」の報告 (1) SRT2015 プログラム詳細と感想 1.キャンパスツアー 議論の会場となる国際教養大学に参加者が到着 した後、キャンパスツアーを行った。議論会場の 教室や、開会式・閉会式・親睦会などを行う多目 的ホール、大学の一番の魅力ともいえる図書館な どを巡った。参加者が9日間大学を利用する上で 支障の出ないようにすることが目的であった。参 加者からは、自然豊かな景色が素晴らしく、何よ り秋田杉で作られた壮大な図書館の美しさと勉強 しやすい環境に感動したとの声が上がり、本学で 事業を開催することへの期待と満足度が窺えた。 2. 親睦会 参加者がキャンパスに到着後、お互いの仲を深めるための親睦会を行った。広い体育館を会 場とし、じゃんけん列車、人間知恵の輪、他己紹介ゲーム、ジェスチャーゲームといった体を 動かすリクリエーションに参加してもらった。初対面のためか、多くの参加者はやや緊張して いたが、徐々にゲームをこなすうちに打ち解けていった。遊びを通した交流も相互理解に繋が るものであると実感できた親睦会であった。 9 3.歓迎会 歓迎会として立食パーティーを行った。参 加者は料理に舌鼓を打ちながら、他国の参加 者との交流を楽しんだ。お互いの背景や趣 味、文化等を共有でき、参加者同士の距離を 大いに縮める良い機会となった。たこ焼きや 焼きそばを初めて食べた参加者からは、食べ 慣れないながらも新しい食文化を知る良い機 会だったとの声が聞かれた。 4.開会式 開会式は主に5つの式次に沿って進行 した。 初めに国際教養大学理事佐々木氏 と、当団体の創設者かつ顧問である森園 教授からご挨拶と開催に向けてのアドバ イスを頂いた。次に、当開催の協賛企業 様や来賓の方々の紹介を行った。昨年度 は多大なご支援を頂いたにも関わらず、 ロシアにて会議が開催されたため直接御 礼を申し上げることができなかったが、 今回の開催において面前で拍手を送り、 支援者の方々に感謝をお伝えできたことは素晴らしいと感じた。続いて、各国地域の代表が スピーチをした。演台に立ち、SRT2015 に対する意気込みや目標を熱く語る彼らのスピーチ に感銘を受けた。更に開催を運営するスタッフの紹介が行われ、参加者が大きな拍手で感謝 を示した後、全体で記念撮影を行った。 5.全体発表 分科会ごとに、あらかじめ決めた二つの議題に関する各国地域の基礎知識や情勢などを発 表した。各国地域代表のプレゼンターは、1カ国地域につき 5 分間という短い時間の中、伝 えるべき情報を簡潔にわかりやすく説明した。緊張しているプレゼンターもおり、プロジェ クターの不具合等で時間をとられる場面がありながらも、これからの議論に対する情熱溢れ る発表を時間いっぱいやり切った。 10 6.竿燈祭り 開催1日目の夜に、フィールドトリップの一環として竿燈祭りを閲覧した。最終日の指定席 を予約し、すぐ目の前で演技を見ることができた。参加者は竿燈の演技に非常に感動してお り、積極的に竿燈について尋ねたり、祭の最中に「どっこいしょ」の掛け声を一緒に言ったり する場面が多く見られた。また祭後の差し手やお囃子との交流では、進んで和太鼓や差し手の 体験をしにいく等参加者全員が祭りを楽しむことができたと同時に各国地域参加者に日本を代 表する伝統芸能の魅力を伝える良い機会にもなった。 7.講演会 団体顧問の森園浩一教授による、 「経済発展に必要な条件とその中の学 生としての役割」の講演会を聴講し た。教授はまず、今までの北東アジア の経済発展について説明し、その中に 潜む社会現象や経済格差の違いを細か く分析した上で、現在の経済成長が必 要とするものは地域発展であると述べ た。続いて講演会の後にワークショップを行った。学生は国ごとのグル―プに分かれ、自国 の 10 年後の将来像を考え、発表し合った。最後に教授は「学生の北東アジアの将来像は皆 で話し合って作り出すものである」と結論づけ、参加者は開催への意欲を高めた。 11 8. 企業訪問 参加者は最初に日本酒で名高い秋田の地酒を作る、福禄寿酒造を訪問した。福禄寿は 1688 年 創業の、江戸時代から続いている由緒ある蔵元である。「愉しい酒」を造ることを 社訓とし、ひとつひとつの酒に真心を込めて、手造りの工程も入れながら酒を 造ってい る。米の旨みを最大限に活かしつつ、天然の仕込み水などこだわり抜いて造られた酒は、日 本酒好きの中でも評判の一品である。今回の訪問では、醸造 所で酒造の全工程を見学し、 由緒ある蔵元のこだわりを肌で感じることができた。 次に、日本全国で二番目に少子高齢化が進んでいるといわれる秋田県五城目町で、地域活 性に尽力しているベンチャー企業の「ハバタク株式会社」を訪問した。田舎地域の持つ可能 性を見出した、代表の丑田俊輔氏によるプレゼンテーションでは、企業の理念や活動内容を 紹介して頂いた。人事育成や文化共有の面から地域社会の発展を支える取り組みについて学 ぶとともに、北東アジアの学生それぞれが各国地域で抱える少子化問題への姿勢について考 えるきっかけとなった。プレゼンテーションの後には地域の幼稚園児、小学生とゲームで交 流し、一緒に秋田の郷土料理「だまこ鍋」を食べた。一部の参加者からは、参加者のニーズ にあっていないという声も聞かれたが、言語や年齢の違いを超えた交流を実現させたという 意義のある企画であった。 12 9.文化交流会 文化交流会の初日は中国、ロシア、日本の3か国が担当 した。始めに中国がパワーポイントを使い、自国の食、建 築、祭り、そして芸術などを紹介した。その際に中国のお 菓子や繊細に作られた切り絵などが参加者に配られた。次 にロシアがロシア音楽を BGM に、自国で有名な詩を朗読 した。内容は完全には理解できなかったものの、雰囲気な どからロシア文化を感じ取ることができた。その後ロシア の伝統の遊びが紹介され、参加者全員で楽しんだ。最後に 浴衣や甚平を着た日本人参加者が伝統文化の一つとして盆 踊りを披露した。盆踊りの手本を見せた後、他国参加者に 踊りを教えながら、輪になり全員で踊った。最後に日本舞 踊部の部員が「さくらさくら」の舞踊を披露した。どの国 もこの日のためによく準備が進められており、参加者全員 が3か国の固有の伝統文化に触れる良い機会となった。 文化交流会二日目は、 モンゴル、台湾、韓国 が担当した。モンゴル の発表では、初めに首都ウランバートルについてのビデオを 鑑賞した。ウランバートルの近代的な街並みを映像で鑑賞 し、参加者の多くが抱いていたモンゴルに対する印象が変わ った。次に、伝統的な弦楽器である「モリンホール」の演奏 と民族舞踊を鑑賞した。また、モンゴル人参加者は皆、持参 した民族衣装を身にまとっており、とても華やかだった。二 番目に、台湾が自国の食文化を動画で紹介した。その後、参 加者全員で輪になり音楽に合わせてフォークダンスを踊っ た。このダンスは台湾の学生が小さいころから踊る伝統的な ダンスで、一つ一つの動きが意味を持つ。最後に、韓国チー ムが自国の伝統的な遊びを二つ紹介した。一つ目は、「ダッ チギ」と呼ばれる、日本のメンコに似た遊びである。新聞 紙を用いた自作のダッチギで他の参加者と競い合った。次 に、「チキンファイト」というゲームを行った。片足立ちで 鶏をまねた姿勢になり、ぶつかりあって相手のバランスを 崩す遊びである。各チームから代表を選び、対戦をした際 には大きな声援が飛び交った。 13 10.フィールドトリップ 午前中には 角館を訪れ、青柳家と石黒家 の二つの武家屋敷を見学した。他国地域か らの参加者は、日本の古き良き家造りや、 美しい日本庭園、刀や鎧などの展示を楽し んで いた。河川敷で昼食をとったあとは、 自由行動となった。自由行動中には、川沿 いで昼食を取り、家族や友人へのお土産を 買うなどして楽しんだ。 角館を満喫した後は、田沢湖芸術村を訪 れ、日本だけでなく世界でも数多くの公演を行っている劇団わらび座に、ソーラン節を教わ った。最初は体全体を動かす激しい振り付けに驚いている様子の参加者も次第に慣れてい き、大声を出しながら体を思いっきり動かして踊りを楽しんでいた。分科会を超えたグルー プごとに独自の振り付けを考え、全体に披露することを通じて、参加者同士の交流が広がっ た。踊りは国境を越え、参加者間の絆を強くした。ソーラン節で汗を流した後は、同芸術村 内にある温泉に入る班とビール工場を見学する班に分かれ、それぞれが溜まった疲れを発散 した。 14 11.最終プレゼンテーション 20 時間を越える議論を終え、最終プレゼンテ ーション発表が行われた。分科会の中で各国地 域から最低1人を代表者として選出し、質疑応 答を含め 40 分のプレゼンテーションを作った。 聴衆は最終決議案に目を通しながら、各分科会 の議論の成果を確かめた。移民分科会が「ビザ 無効後も国内に残っているが、それ以外で罪を 犯したことのない一定数の不法移民を合法化す る」という行政的解決策を示したのに対して、 環境分科会が「レストランで食べ残しをした客に追加で会計の 10%の罰金を科す」という 市民的提案を行うなど、様々な視点から議論を行ったことがはっきりと表れた。 12. 「Future of SRT」 最終プレゼンテーションを終え、参加者は SRT の将来について話し合った。まず今年度の開 催国であった日本が、開催に向けどのような準備を行ってきたのかを他国参加者と共有した。 来年以降主催国になる可能性のある各国地域の参加者は真剣にメモをとっていた。次に、本年 度の良かった点および改善点を挙げた。スタッフの動きや日本人参加 者の態度や行動に対する 評価が高かった一方、移動手段や時間配分等では改善を要する点が見受けられた。来年の台湾 開催を始め、今後の活動にとって有意義な時間となった。 SRT の将来について話し合う 韓国人参加者 15 13. 閉会式 閉会式では、一年間かけて準備をしてきた事業が終わるのだ という達成感を感じると同時に、参加者との別れを惜しむ気持 ちががこみ上げて来た。たった8日間の付き合いだったが、私 の周りに座る 64 人全員がまるで私の古くからの友人かのよう に感じられた。各国地域代表のスピーチは、私だけでなく参加 者全員に向けた未来への応援のように感じられた。私もこの経 験を未来に活かそうと決意を新たにした。 涙を流して思いを語る 中国人参加者 14.送別会 全てのプログラムの最後に送別会を行った。参 加者は自国から持ち寄った食品や土産を振舞っ た。モンゴル人参加者が伝統的なお土産を手渡 し、韓国人参加者、台湾人参加者はそれぞれ自国 の食品や飲み物を振る舞った。参加者はそれぞれ 別れを惜しみ、最後の歓談を楽しんだ。 16 (2)分科会議論詳細 1.移民分科会 A.議題 一、北東アジア圏内の不法移民の抑止 政治的要因により多くの不法移民を生み出して いる北朝鮮を始め、現在の北東アジアでは多く の人々が違法に国を出、他国へ入国している。 人身売買など入国の方法は様々あるが、この不 法移民から生まれる犯罪は国の秩序に悪影響を 与えかねない大きな問題となっている。本分科 会では、どのようにこの不法移民を防ぐのか、 また抑制するのかが議論の中心となった。 二、北東アジア圏内の移民の他国地域への円滑な定住と社会への順応の支援 移民が他国で直面する問題として、言語の障壁、人種差別、低賃金、雇用の不安定さ、教育 の格差、そして基本的人権の損失等が挙げられる。いずれも重大な問題であり、移民がその 国の社会に馴染んで、国民と同じように生活するためには、解決することが不可欠である。 本分科会ではこれらの問題に対する根本的な解決策を導き出そうと試みた。 B.議論の成果(決議案) Ⅰ.北東アジア圏での不法移民の防止 北東アジア圏内には現在多くの不法移民が滞在している。その多くは短期滞在のビザで合法 的に入国し、ビザが失効した後も国内に留まり続け不法移民となった。各国には移民受け入 れのための政府運営組織が存在せず、多くの移民が違法な仲介組織を介して入国する。ま た、一部の雇用主が利益を得るために不法移民であると知りながら雇う場合も少なくない。 各国に流入する不法移民を防止するためには、まず各国の現在の不法滞在移民を減らすこと が最優先事項となる。 1.特定の条件を満たす不法移民を合法化することを提案する。 a. 不法移民になってから5年以上国内に住んでおり、 b. 国内においていかなる犯罪にも加担しておらず、 c. 入国時のビザの記録が残っている者。 d. またこのプログラムは毎年施行され、政府の正式な活動として北東アジア圏内の 様々な言語で発表される。 e. 不法滞在であることを自己申告した者には、自国に送還されるまでに1年の猶予 期間が与えられ、 17 f. この執行猶予期間中、対象者は政府の管理のもと合法的に国内で働くことが可能 である。 g. また不法滞在であることを自己申告した者には、短期間のビザを与え、 h. 罰金を徴収せず、再入国までの制限期間も短縮する。 i. 加えて、不法滞在であることを労働者に申告させた雇用主には税金の減額が認め られる。 j. 各国の不法移民全員はこのプログラムへの参加資格を有する。 2.北東アジア圏内で特別なビザを作成することを提案する。 a. この特別ビザの所有資格は、犯罪歴がなく、正式な健康証明書を有する健康上問 題のない者に与えられる。雇用主に求められた場合は、一定の言語能力も必要と される。 b. 特別ビザを有する者には税金の支払いと定期的な報告書の提出を義務付られ、 c. 入国した国の国民と同等の労働の権利が与えられる。 d. このビザは労働目的の入国のみに使用され、 e. 6か月から 1 年の間有効で、最大2回の滞在延長が認められる。 f. 特別ビザ保有者は希望者の中から無作為に選出され、 g. 特別ビザの発行数の上限に関しては各国の条約に基づいて設定する。 h. 特別ビザを有する者には雇用情報のリストが提供され、 i. 給料の 20%は特定の機関によって保管され、出国時に返還される。 j. また、雇用主は特別ビザの保有者に保険を提供しなければならない。 k. 犯罪に加担したものや無断で1週間以上休んだものには懲罰が与えられる。 3. 北東アジア圏内で政府運営の移民管理組織を作ることを推奨する。 a. この組織で働くものは外務省から選出されたものである。 b. 各国にこの組織の支部を設立し、 c. 海外の労働者と国内の雇用主とを連携させるために機能する。 d. この組織は特別ビザ所有者に対し全責任を負い、 e. 給料の 20%を出国時まで保管する役割を担う。 f. この組織は労働者に正しい雇用情報と機会を与える役割を果たす。 4. 不法移民の問題に関しては各国ごとに違う問題や意見が出ることを予め想定する。 18 Ⅱ.移民の定住と移住先への適応のための援助 多くの移民は言語や文化の違いなどから、他国に順応する過程でに様々な困難に直面する。 近年各国における移民の生活は困難を極め、大人の場合では低賃金での長時間労働や不安定 な雇用、子どもの場合では学力格差やいじめなどの問題が挙げられる。また、北東アジア各 国においての相互理解が達成されていない。互いに消極的な固定観念を抱いており、それは 移民に対する差別などに繋がっている。 1. 新しい環境への順応を促進するために、移民に適切な教育を与えることを提案する。 a. 成人した移民を対象に、文字や文法などの基礎的な言語能力の授業を開講する。 b. 加えて、文化紹介の授業など、受入国の歴史の概要から日常的なマナーを教える 授業も開講する。 c. またこれらの授業には受け入れ国の基本的な法律や権利などに関する情報も含ま れる。 d. 国内の人との交流を図るため、多くの行事を開催する。 e. 2種類の授業は受け入れ国に長期間滞在している移民、または政府によって組織 されたボランティアによって行われる。 f. この授業は無料で受講でき、2週間の履修が義務付けられている。 g. これらの授業は政府の支援によって執り行われる。 h. これらの授業は教育機関ではなく、地方自治体によって運営される。 i. インターナショナルスクールを移民の子どもと国内の子どもの双方のために設立 する。 j. 地元の教育制度を刷新できるインターナショナルスクールにて実施する。 k. また地元の公立学校でも移民の子どもたちのための新しい科目を開講することを 推奨する。 2.すべての移民に職を得る機会を与える。 a. 移民はその国の国民と同等の労働の権利を享受することができる。 b. I で記されているように移民には政府の移民管理組織によりすべての権利が保障 される。 3. 長期的な目標として、北東アジア圏内における固定観念を変え、結果的に差別を減らす ことを目標とする。 a. 北東アジア圏内で一年ごとに各国持ち回りで、2日間にわたる文化交流イベント を開催する。 b. 最終的には文化交流イベントを世界規模で開催することも目標とする。 c. メディアやインターネット、SNS 等を通して、受入国の人に他国に対して親しみ を持ってもらうためのプログラムを制作する。 d. 受入国の若い世代層に対し、国際交流イベントへの参加を推奨する。 19 e. 教育機関において、様々な文化紹介などのドキュメンタリー番組を扱う。 C.議論の流れ・感想 移民分科会では、「不法移民防止」「移民の定住と順応のための援助」の2つの議題を設 定した。模擬国連を参考とした議論方法を全員が理解し実践するのに多少時間がかかった が、今回の議論方法を経験したことのある日本とモンゴルの学生を中心に議論が進められ、 比較的円滑な議論を行うことができた。 1つ目の議題についての議論では、初日を含む 2 日間で議題の決定と各国地域の現状共有 を行った。これにより、分科会に参加者がいなかったロシア以外の各国地域で共通して (1)短期ビザ期限切れによる不法滞在、 (2)政府が統治する移民仲介機関の不足、 (3)人身売買業者の増加、 (4)不法移民を利用する企業の不透明性、 が主に不法移民滞在の原因として挙げられた。 3日目の議論では、これらの情報を基に意見をまとめ、最終的に (1)特定不法移民の合法化、 (2)北東アジア6か国地域共通のビザ作成、 (3)移民受け入れのための政府機関の設置、 という3つの解決策を軸にして詳細を詰め、共同決議案を作成した。細かな相違で表現など が著しく変わるため、決議案作成には丸1日かかり、意見をまとめることの大変さを感じ た。 4日目は次の議題「移民の定住と順応のための援助」に移り、1つ目の議題と同じく、現 在の各国地域移民受け入れ政策を確認した後、改善すべき点・新たに取り入れるべき点につ いて話し合った。1つ目の議題と比べ、より受け入れ政策を各国地域内の問題と割り切るこ とができてしまう可能性が高かったが、自国と他国の共通点や相違点を互いに認識できたた め、円滑に話し合いを進められた。移民の定住と順応のためには文化や言語の定着、現地住 民の理解が必要であると考え、 新たな政策を提案するにあたって、移民と受け入れ側それ ぞれに焦点を当て、「教育」「人権」「仕事」の3点から解決策を考えた。時間的に2つ目 の議題を深める余裕がなかったため、共同決議案作成時には (1)移民に対する教育支援システムと人権保護、 (2)受け入れ側に対する職場環境・雇用機会の改善、 (3)ステレオタイプの払拭、 の3つを軸に詳細を詰め、移民に対し異文化理解についての講義を開くこと、現地住民と移 民との交流の場として文化交流会を開催することを提示した。 議論最終日とプレゼンテーション作成時間の前半を利用して決議案を通し、全体の発表に 向け2つの議題と結論をまとめた。全体的に時間配分に戸惑うことが多かったが、夜のミー ティングなどで足りない時間を補い、無事に全体発表を終えることができた。 20 2.環境分科会 A.議題 一、北東アジア圏内の都市ごみ処理システムの向上 都市化が進む北東アジア圏内において、効率的かつ 環境に配慮した都市ごみ処理システムは必要不可欠 である。予算や技術の質、都市計画など様々な要因 が原因で各国地域間でごみ処理システムが異なって いる中、共通のシステムの在り方を模索した。 二、北東アジア圏内における環境配慮型企業参入の促進 多くの企業は利益や生産性を優先し、環境への配慮を怠りがちである。そのような企業に加 え、商品を価格のみで判断し購入する消費者も多い。経済成長の著しい北東アジア圏内にお ける看過できない問題である、経済発展と環境保護のバランスについてが議論の中心となっ た。 B. 議論の成果(決議案) Ⅰ.北東アジア圏内の都市のごみ処理システムを向上すること 6か国地域共通の問題として、食料廃棄物などを含めた大量のごみ排出が挙げられるが、土地の 制限により埋立地が不足している現状がある。また、3R(Reuse, Reduce, Recycle)に関する市民の 認識の低さやごみ処理に関する法律が正しく機能していないなどの懸念もある。加えて、北東アジ ア圏内において、ごみ処理に関する国際機関の不在も問題点として挙げられる。モンゴルと大陸中 国においてはごみ処理に関するインフラシステムの不足も問題となっている。 1. 埋め立てされるごみのより良い活用のために、以下の内容を実行することを推奨 a. ごみから発生するガスをより効率的に処理できるように、ガスの収集率を向上する b. ごみの埋め立て技術を利用し、環境に考慮した公園や浮島を建設する 2. 埋め立て地付近の住民への優遇措置 a. 減税 b. 一定額の電気料金の無料化 c. 公園や図書館等の福祉施設の建設 3. 缶、プラスチック、可燃ごみ、生ごみに分別できるごみ処理容器設置の援助 4. ごみ処理に対するさらなる政府からの金銭的支援 21 a. 海外の技術の習得 b. より多くの専門家の養成 5. 深刻なごみ問題の現状を以下の方法により世間に告知し、リサイクルの徹底とごみの減量化を 求める a. Facebook, twitter, Instagram 等の情報媒体の利用 b. ごみの不法投棄者などを通報する合法的なサイトの設置 c. 以下における環境に関する教育の徹底 i. 国民 ii. 学校 iii. マスメディア 6. 環境配慮型企業を優遇する以下の内容を盛り込んだ法律制定 a. 包装材の素材や二酸化炭素排出量などを基準とする「環境配慮」の標準の適用 b. 商品に目印として貼付することを許可する「環境配慮」の称号の賦与 7. 違法ごみ廃棄に対する罰則の規定 8. 梱包商品へ以下のような表示を義務付ける法律の制定 a. 環境汚染について示唆するスローガンの包装紙への掲載 b. バーコードの色分けによる正確なごみ分別の指示 c. 各商品における二酸化炭素排出量、包装材の情報と価格の表示 9. 飲食店から排出された食糧ごみに対する全額の 10 パーセントの罰金の賦課 10. 以下の目的のための国際機関の設立 a. 環境に配慮したごみの処理技術などを他国と交換 b. 各国間の技術を交換するための年次会議の開催 c. 発展途上国における高度なリサイクルシステム確立の援助 d. 会議参加国によるごみ問題に対する一定額の投資の義務化 e. 北東アジア圏内の国による、期限や減らすごみの割合を明確にしたごみ減量に関する公 約の締結 f. 北東アジア圏内の国における自立したごみ処理システム確立の援助 g. 年次会議における減量の割合と期限の方針の話し合い 22 Ⅱ.北東アジア圏内における企業の環境配慮への取り組みを促進すること 環境分科会は、環境破壊によって利益を得ている企業の存在、企業が環境への影響を軽減させる ためにかかる膨大な費用、市民のエコマークの認識不足、「エコ」という名称の乱用による環境配慮 のレベルのばらつき、環境配慮に関して政府組織と企業との間で起こりうる不正を問題点として挙げ る。 1.汚染を引き起こす物質への規制を厳格化 2.環境配慮に関する北東アジア内の国際機関の設立 a. エネルギー効率、温室効果ガス排出、商品包装方法などの統一基準を設け、その達成度合 に応じた毎年の企業のランク付け b. エネルギー利用や環境汚染への対処などの監督 c. 偽装の「エコ」を謳う企業に対する強い非難 d. 非道義的な企業による環境破壊を周知するメディアの支援 3.各国の基準を設定している組織から成る、環境配慮における北東アジア圏内での国際標準機関 の設立 a. 企業の環境配慮に関するパフォーマンスを評価し、エコマークを認可として賦与 b. ISO(国際標準化機構)よりも低い申請費を設定 c. 参加企業に対し、専門家による助言、養成、支援を提供 d. 環境問題や環境にやさしい商品というコンセプトを周知 e. 環境にやさしい商品の開発や企業の環境配慮に関する取り組みを競う大会を開催 4.環境配慮型企業への減税や補助金 5.環境問題に関してアドバイザーを雇うよう各企業への義務付け 6.環境に配慮したスタートアップ企業への寛容な資金援助 a. 少ない融資条件 b. 低い利子の設定 c. 長い満期の設定 7.政府による環境にやさしい商品に限定した市場の設置 a. 送料無料のネットショッピングサイトの設立 b. 無償の広告など、政府による資金援助 c. 低い価格設定のための、消費者に対する年会費の導入 23 d. 商品購入に応じたエコポイント制の導入 e. 環境にやさしい商品や技術の展覧会 f. 出店者に対する、カーボンフットプリントや包装材料の商品への表示の義務付け 8.エコマークやエコシンボルのさらなる周知活動 9.以下のことをメンバー国に義務つけた、北東アジア圏内の環境配慮に関する国際協力組織の設 立 a. 環境にやさしい商品の低い価格での貿易 b. 各国の現状や経験を共有する毎年の会議への出席 c. 環境に配慮した企業へのさらなる資金援助 C.議論の流れ・感想 環境分科会でもまずは議論の方法を覚えることに徹した。1日目は議論方法に戸惑い、国 によって議論の流れに対する認識が異なっていた。議論の流れの説明に苦労し、議論そのも のが進むかと不安になったが、日を重ねるごとにどの国の参加者も流れを理解し、議論の内 容も深化していった。参加者全員が四苦八苦しながら議論の中で考えをまとめた。 1つ目の議題についての議論が長引き、2つ目の議題に割く時間が短くなってしまったこ とが大きな反省点であるものの、1つの議題に 10 時間もの時間を費やし、決議案を完成さ せた時には感慨深いものがあった。 1つ目の議題では、都市廃棄物管理法について話し合った。それぞれの国がリサイクルや ごみの出し方と処理の仕方について説明し合った結果、どの国もごみの量を減らせていない ことや、未だに分別が十分にされていないことが判明した。それを踏まえ、どうすれば効率 よく廃棄物を再利用できるかについて議論した。さらに、ごみの埋め立て地の確保について も議論を重ねた。非常に多くの提案が出た有意義な議論であった。 二つ目の議題では、都市のごみ処理管理体制の向上と環境配慮型企業の促進について話し 合った。初めに各国の問題点を出し、次にその問題の解決策を全員で考えた。 全体の議論を通して具体的な解決策や提案が出され、非常に充実した決議案を作成するこ とができた。 24 3.教育分科会 A.議題 一、教育を通しての相互理解の深化 歴 史認識やメディアによる情報操作など、北東アジア 圏内の相互理解を達成する上で、未だ多くの障害が残 っている。このことはしばしば外交問題に関わること もあり、相互理解の深化は非常に大切な課題の一つで ある。そこで、本分科会では教育を通してどのように 歴史認識の齟齬をなくすかということを中心に話し合 った。 二、教育を受ける機会の均等化 教育機会の均等は教育における最も重要な問題の一つと言える。なかでも北東アジア圏内で は発展状況の差異が大きいため、各国地域の課題に対してそれぞれ解決策を提案しあった。 B. 議論の成果(決議案) Ⅰ.教育を通して北東アジア内に機会の均等を提供すること 北東アジア圏内における教育機会の均等化は未だに十分に達成されていない。 子供が自分の夢を達成するにあたって、学位記が必要以上に重要視されている現状がある。 議論の初めでは、義務教育とその実施の重要性、そして北東アジア圏内での小学校の就学率 が 100 パーセントではない実態を認識した。 北東アジア圏内では通塾が社会現象になっており、多くの子供たちが点数主義の世界に陥れ られている。 また、貧富および都心からの距離の差が、塾で得られる教育の質に差を生み、不平等な教育 機会の要因となっている。 特に大陸中国では、9年間の義務教育が定められており授業料は無料であるにもかかわらず、 農村部に住む子供が制服や文房具、給食費などその他の必要な教育費が払えず、学校に通え ていないという現状がある。 都市部と地方で教育と生活環境の質に差があり、学校教育の平等性が妨げられている。 教員への給料、教育資本、学習環境の面で私立学校教育が公立学校より優れているという現 状があるが、金銭面で余裕のない家庭の子供は私立学校へ通えていない。 さらに、ロシアでは教育機関における深刻な汚職が目立ち、裕福な家庭の親が、子供を大学 入試に突破させるために賄賂を使うことがよくある。 1.すべての韓国の学校に対し、生徒が自分の将来について考え、就きたい仕事を自ら探すこ とを支援するために、以下の内容をカリキュラムに盛り込むことを推奨 25 a. 中学生の自学自習、職場体験などの活動機会の増加 b. 高等学校教育において、生徒が広い選択肢の中から自らの就きたい仕事を選択でき るよう、さまざまな分野についての情報を与え、教育を行う 2.韓国政府への提案 a. 社員採用時、企業が学位のみの採用基準を使用することを禁止する b. 社員採用時、企業が応募者の能力、考え方を基準にすることを奨励 c. 教育と学習への動機を本来あるべき姿へと補正する d. 大学において、学部生入学選考の際、入学試験の得点のみを基準にするのではなく、 将来の仕事、その夢への意志の強さなども考慮することを勧める 3.中国政府への要請 a. 親が義務教育対象年齢の子供を小学校へ通学させることを義務づける法律を定め、 違法行為があった際の処罰を明確にし、確実に実行させる b. 小学校へ就学するための指導と保護者への金銭的支援 c. 大企業、社会法人、実業家の協力を得て児童の義務教育就学を支援 d. 農村部の多くの子どもたちは金銭的理由で就学が難しいという深刻な問題を解決 するため、義務教育対象年齢の子供を持つ親へ安定した仕事を提供する 4.モンゴル政府への要請 a. 公立学校の教員の昇給 b. 公立学校の教育・学習環境の改善 c. 国家予算の無駄遣い削減・公立学校教育に対する出資の増加 d. 公立学校へのカウンセリングや、指導などのための支援や機会の提供・投資 5.モンゴル・台湾政府への強い推奨 a. 地方教員への特別手当と給料の増額 b. 地方教員の労働環境を向上させるための努力 c. 都市化や経済発展のための地方インフラの整備 26 6.モンゴル・台湾の教員へ、教育の質が教員による影響を受けないよう、働く学校を5年 ごとに移動することを要請 7.ロシア政府への推奨 a. 汚職を行った教員への処罰の強化(汚職発覚後の教員免許はく奪など) b. 民間監視員を配置し、入学試験などの大学による選考を監視させる等、入学選考の 体制を立て直す。 c. 選考資料を送る手順を厳格化し、賄賂を渡す機会を排除する Ⅱ.教育を通して北東アジア内での相互理解を達成させること 北東アジア各国地域には偏見が存在する。 教科書上では、同じ歴史上の出来事に対して異なった記述がそれぞれの国地域で行われてい るという現状がある。加えて、小学校の教科書上に各国地域同士の衝突について過度の記述 がある反面、差別意識をなくすための学習内容が殆ど記述されていないという現状がある。 また、マスメディアによる他国地域に関する情報の不適切な伝え方が相互理解に負の影響を 及ぼしている。 このような状況下で、北東アジア内での相互理解の達成へ向けての道が模索されている。 1.各国地域の政府への推奨 a. 教員が生徒へ本人の意思や考えを強制することを禁じる法律の制定 b. 差別意識をなくすための内容を教科書に含むという規定の制定 c. 北東アジア各国地域へインターネット使用の機会を提供。特に、世界中で普及して おり他国の人とコミュニケーションや情報交換ができるサイトの利用 2.各国地域の外務省に対し、北東アジア圏内での相互理解を図るための機関の設立を推奨 3.各国地域の学校への提案 a. 歴史科目教員への特別国際コースの開講 b. 以下の方法によって生徒に自立して考えることを促す ⅰ.議論を含んだ授業方法の確立 ⅱ.自分で考えること、批判的思考の重要性の説明 ⅲ.授業内容に対する自らの見解の記述の義務化 27 4.各国地域のメディアへの提案 a. 世界共通言語となっている英語でコミュニケーションが取れるようなソーシャル ネットワークページの開設(例.“Human of b. New York ”という Facebook ページ) 他国の文化や思想を肯定的に理解できるようなテレビ番組の作成 (例.JTBC のアブノーマルトーク) 5.各国地域政府の教育機関への提案 a. 関係国の協力のもと行う、同じ歴史上の出来事に対する共通の教科書記載内容の作 成 b. 教員交換制度の導入 6.他国文化を広く知ってもらうため各国地域の文化の日を開催することを以下の機関に提 案 a. 各国地域の外務省 b. 各国地域の学校 C.議論の流れ・感想 教育分科会では、まず「教育の機会均等化」に関する議題から話し合いを進めた。議論は非 常に難航した。各国によって教育の機会均等の定義が異なり、共通の解決策を出すことは不可 能であったためである。例えば大陸中国参加者は、都市部と農村部の格差や大陸中国の義務教 育の現状について言及していた。大陸中国では義務教育に法的拘束力がないため、当たり前の ように皆が小中学校に通えるというわけではない。その他にも、私立高校と公立高校での格差 や塾に関する問題など、教育の機会均等化に関する観点は国によって大きく異なっていた。そ こで、教育分科会では、6か国地域それぞれの問題を洗い出し解決策を練るという形をとっ た。議論を終えホテルに戻ってからも、ロビーに再び集合し、夜遅くまで話し合いを行い、皆 で協力しながら案を練った。多くの時間をこの議題に費やした結果、非常に良い解決策を見出 すことができたものの、もう一つの議題である「北東アジア間における相互理解の促進」には 充分な時間を費やすことができなかった。しかし一つ目の議題よりもわかりやすく参加者の関 心も高い議題であったため、円滑に議論を進めることができたように思われる。異文化を受け 入れるためには異文化の人たちと実際に接する必要がある、ということが全体の共通認識とし て存在していた。そこで、SNS の積極的な活用や外国人教員の増加、さらには SRT2015 のような 国際会議の機会を増加することなどが提案された。以上のように、時間配分こそ異なったもの の、二つの議題に対し、自分たちの考えを存分に盛り込むことができたと考える。 28 3. 人権分科会 A.議題 一、北東アジアにおける言論の自由の保障 世界人権宣言第 19 条「すべて人は、意見及び表 現の自由に対する権利を有する。この権利は、干 渉を受けることなく自己の意見をもつ自由並びに あらゆる手段により、また、国境を越えると否と にかかわりなく、情報及び思想を求め、受け、及 び伝える自由を含む。」によって言論の自由は基 本的人権として保障されている。これを踏まえ、 北東アジアにおける言論の自由の現状、言論の自 由を守る方法という2つの側面から議論を進めた。 二、性的指向や性別認識のよる差別の減少 近年、ジェンダー問題や性的少数者の人権が多くの国で注目されている。しかし北東アジ ア各国には性的少数者に対する差別は依然として存在している。こういった現状を踏まえ、 どのようにして北東アジア各国から性的嗜好や性別認識に対する差別を減らすことができる かということについて議論を進めた B. 議論の成果(決議案) I. 北東アジア各国地域における表現の自由の確保 北東アジア地域における表現の自由の侵害を深く懸念 憲法において表現の自由が基本的に保証されている国であっても、表現の自由に関する問題 が存在することを認識 表現の自由と人間の尊厳という2つの基本的な人権が衝突することを考慮 北東アジア地域における表現の自由がすべての人々に保証されるべき基本的人権だと信じる 1. 数カ国による共同国際人権裁判所を設立し、ある1国の政府が国民の表現の自由の侵害 を止めることができるようにする a. 国際人権裁判所の機能と詳細について i. 法律や国際法に関しての専門家が裁判員の役割を果たす 学界や、報道、教育の専門化が傍聴人の役割を果たす ii. 国際裁判所についての知識や経験を得るため、ヨーロッパ連合の人権裁判所 など他の国際裁判所からの諮問を受ける 29 b. 国際人権裁判所の影響適応範囲 i. 国内の裁判所が政府によって管理され、国内で解決できない場合のみに対応す る ii. 表現の自由を侵害する政府に注意勧告を促すことができる c. 人権侵害を止めるために北東アジア地域が協力してできること i. 輸出入の制限や関税の規制などの経済制裁 ii. 外交の制限などの外交制裁 d. 数カ国による共同国際人権裁判所についての詳細 i.裁判員は 4 年ごとに交代する ii.たとえば北東アジア地域の中において最も小さい国である台湾などに国際裁判 所の拠点を構える iii.国ごとに国際裁判所の支部を設置する e. 国際裁判所運営の資金 i.参加国からそれぞれ資金を募る ii.各国の資金はそれぞれの国内総生産によって変える f. 国際裁判所の発展と参加国内における表現の自由の基準向上のため、参加国によ る協力体制を高める II. 性的指向や性別認識による差別の縮小 レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、とクィア(LGBTQ)のための基本的 人権は保護されるべき見解 ジェンダーアイデンティティや性的指向に基づく差別は許されることではないと認識 LGBTQ の問題に関する意識の欠如、およびそれに向けられた世論の圧力を考慮 LGBTQ に伝統的な価値観を用いての差別は明らかに彼らに精神的な苦痛を強いていると懸念 政府による LGBTQ に関する支援と理解が十分でないことを認識 1.北東アジア各国地域の教育に以下の内容が含まれるように提唱 a. LGBTQ とは何か、LGBTQ に関する、彼らの先入観を最小限にするような紹介 b. 性別認識や性的指向の紹介、またはその差異の認識 c. LGBTQ の存在理由、また子供たちに LGBTQ の存在を教える 2.北東アジア各国地域に以下のような教育システムを確立するように提唱 a. 大衆や学生に向けた LGBTQ 教育のための教科書や資料集、教育的映像の導入 b. 学校教員養成の必須科目に LGBTQ に関する議論を導入、また LGBTQ の人々や専門家 による講義を含む c. LGBTQ に関する議論やディベートを教育過程に組み込む、 30 d. LGBTQ クラブの形成を禁止しないこと、または LGBTQ 当事者たちが交流できる場を 提供し確保する 3.各メディア機関に以下のことを提案する a. メディアは LGBTQ に関連する差別の言葉についての規制を設けるべきである b. LGBTQ の人々をからかうことなど、メディアは LGBTQ や LGBTQ の文化に消極的なイ メージの投影をするべきではない 4.LGBTQ の認識不足が深刻な問題につながることに賛同し、それを解決するには以下のよう なことをするべきである a. インフラを再設計するなど、LGBTQ のためにより快適な環境を提供すること i.公共場所にあるジェンダーフリーのトイレ ii.ジェンダーフリーの制服 b. 規制の整備として、学校においての LGBTQ 差別によるいじめや自殺などの関連問題 について教えることを義務づける i.雇用、兵役、教育の性別認識や性的指向による差別を禁止 ii.性別認識の多様性と性的指向を平等に受け入れる結婚体制の確立を目指すため に、結婚に関する法律は社会保障制度に基づいて確保する iii.企業や政府などの雇用面接時に、履歴書に性別による差別を禁止する。また、 LGBTQ に向けての差別の防止に務める 5.政府に以下のような行動をとることが必要であると提案する a. 公務員に LGBTQ についての教育を義務付ける、 b. 公職者の中で LGBTQ フレンドリーな人々を積極的に活用する c. 公的な性別変更の手続きを簡単にする。例えば、性変換手術を必要としない程度に 性別変更の必要条件を引き下げることや、性変換手術を公的保険に含めること等。 d. 公式文書に男性 M と女性が F の二つの項目の他に、もう一つの選択肢を増やすこと。 例えば、ID カードに自分のジェンダーアイデンティティとして X を増やす等。 6.以下のような明らかな差別的行為は禁止すべきだと強調する a. HIV などの様々な感染症を持つのではないかという根拠のない理由で LGBTQ を差別 すること b. 伝統的な価値観に基づく性別平等と性的指向への差別的行動 7.北東アジアの各国地域の LGBTQ に対する状況が大きく異なることを確認し、個々の国地域 に応じた対策を行う a. 台湾は以下のことを目標とする i.家族制度法の成立 31 ii.パートナーシップ法の成立 iii.同性婚法の成立 iv.養子法の成立 v.スポーツや音楽系サークルなど台湾における LGBTQ コミュニティの拡大 b. 日本は以下のことを目標とする i.性だけでなく人種や宗教などアイデンティティの多様性を教育やメディアを通 して広め、人々が違いを受け入れられるようにする ii.結婚制度の変更に着手する c. 韓国は以下のことを目標とする i.LGBTQ が周囲の人々にカミングアウトしやすい環境づくりを進める ii.韓国内の LGBTQ の存在と関連した問題の可視化 d. モンゴルは LGBTQ への人々の認識を変える取り組みを行うことを目標とする e. 大陸中国は以下のことを目標とする i.LGBTQ の人々の基本的人権、政治的地位、雇用に関する法的規約の成立 ii.新聞やテレビ番組、インターネット等メディアによる LGBTQ に関する積極的な 情報発信の促進 iii.LGBTQ の人々の自己アイデンティティの形成や LGBTQ 当事者同士、当事者とそ うでない人々の交流の促進 iv.LGBTQ に関するサークルや活動の合法化 C.議論の流れ・感想 人権分科会のメンバーは議論の方法に不慣れな者が多く、最初は議論の方法に慣れること に時間を割いた。一番目の議題は表現の自由の保護に決まり、まず各国地域の状況を共有し た。台湾と韓国から人権国際委員会の設置が提案されたが、まだ内容が詰め切れていなかっ たため通らなかった。議論を進めていった結果、日本とモンゴルから人権国際裁判所とヘイ トスピーチを減らすための取り組みが提案され、内容を詰めていく作業に移った。大陸中国 が一番厳しい状況であったため、その状況改善のために何ができるか話し合った。しかし、 なかなかいい解決策が見つからず、各国地域において人権が侵害されそうになった場合の歯 止め役として裁判所を設置する提案がなされ、賛同を得た。また、ヘイトスピーチを減らす ためにはメディアと教育が重要だという意見が一致し、具体的な対策を議論の中で詰めてい った。 二つ目の LGBTQ への差別撤廃に関する議題でも、始めに情報共有を行った。LGBTQ につい ては各国地域がそれぞれ違う段階にいることが分かったが、各国地域共通で取り組むべきこ とを模索した。LGBTQ になる理由について激しい議論が交わされ、LGBTQ への差別撤廃にも メディアと教育は重要であるという結論に至った。また公共政策については、どんな人も心 32 地よく使えるようなジェンダーフリートイレと制服の案が出され、差別撤廃のためには NGO の活動も必要不可欠という意見で一致した。 今回の議論で一番の成果は各国地域のステレオタイプの払拭ができたこと、各国地域で真 剣に問題意識を持っている参加者と議論ができたことである。北東アジアの国地域同士でい い印象を持っているところもあれば悪い印象をもっているところもある。例えば、今回の人 権分科会でも扱ったヘイトスピーチのように、韓国 や大陸中国に良い印象を持っていない 人が日本では少なくない。しかし、実際会ってみると母語や環境が違うだけで同じ学生だと 気付かされた。何かの問題解決に当たる際、自国の利益を中心に動くのではなく、世界の 人々がより幸せに暮らすためには何をすべきなのかをまず考えるべきだろう。そのための小 さな一歩として、今回の議論は意味のあるものだったと思う。 33 (3)「SRT2015」の反省と将来展望 1.議論について 議論に関する振り返り及び改善点としては、主に議題の決定と議論の形式の二項目に分け られる。まず議題の決定に関して以下のような意見が出た。今年は日本側が事前に決定した 候補の中から議題を他国地域参加者に選択してもらったが、これについて、事前の候補選択 の段階から各国地域が話し合い内容を決めるべきとの声がきかれた。また、二つの議題を一 つに絞ることで、より議論の内容を深化できるとの意見もあった。次に議論の形式に関して である。今年新しく導入された方式により議論が円滑に進んだという意見の一方で、従来の 議論形式でも支障ないという意見も出た。これらの意見を踏まえた上で、夏開催共通の新議 論形式の導入という大きな提案もなされた。今回の議論形式に対し様々な意見・提案が出さ れたが、総じて各分科会ともに活発な議論が交わされ、実りのある成果が挙げられたといえ る。 2.スケジュールについて 事業全体を通じての最大の反省点はスケジュールに時間的な余裕が無かったことである。 長時間にわたる議論や毎朝晩の送迎の長い待ち時間のために、参加者の疲労が蓄積してい た。そのため議論だけでなく、自由時間や他の分科会に所属する参加者と交流する時間をよ り多く設けてほしいとの声が上がったが、これらの要望には、運営スタッフが開催中スポー ツ大会などの新たな企画を盛り込むことで応えることができた。以上より、運営側が参加者 の目線に立って臨機応変に企画 を進めることの重要性を再認識した。 3.各プログラムについて 本事業では、参加者の出迎えから最後の見送りまでの間、開催中の様々なイベントの企 画・運営を9名の日本人運営スタッフが行った。 参加者が無事到着し安堵したのも束の間、運営スタッフは初日からキャンパスツアーやも てなしで学内を動き回った。その後の親睦会では参加者が笑顔で交流し、首尾よく事業を開 始することが出来たように思われる。 文化交流会では、各国 20 分の発表時間が短すぎたという意見があったものの、プレゼン テーションやゲームを楽しみ、お互いの文化に触れることが出来た。また、交流会の前に体 育館で自由にスポーツができる時間を急遽設けたが、参加者が身体を動かしつつ、より仲を 深める契機となった。これにより、プログラム中参加者への柔軟な対応が求められることを 実感した。 企業訪問に関しては、企業訪問班に運営を任せていたことで責任の所在が曖昧になり、円 滑な運営が出来なかったように思われる。また、実施後の参加者の声から、日本側の考えだ けでなく、他国地域参加者のニーズも企画内容に反映させるべきであったと思う。 フィールドトリップでは、60 名以上もの大人数の参加者を無事に先導する難しさを痛感 した。一人でも迷子になれば全体を巻き込む大問題となるため、フィールドトリップ中は一 34 時も気を抜けなかった。特に大勢の観光客で賑わう竿燈祭りでの先導は難しく、ストレスを 感じてつい口調や態度が厳しくなってしまう運営スタッフもいた。ここでは人数確認方法の 工夫と、運営スタッフも参加者と一緒に楽しむという気持ちの切り替えの必要性を再認識し た。 ホテルや大学内でのパーティーでは、参加者が準備や片付けを率先して手伝ってくれたた め、運営スタッフも参加者の一員として存分にパーティーを楽しむことができた。 開催中の全企画の責任が運営スタッフにあったと言っても過言ではない。その仕事は周り が認める以上に多く、かつ重要であった。しかし、議論参加者の笑顔を見られたことでそれ らの重圧は全てやりがいに変わったように感じられた。 4.今後の展望について SRT の規模は年々拡大し、本年度は日本で初めての6か国地域参加での事業実施となっ た。今後の規模拡大や発展を考える上で、一番重要と考えられるのはロシア、台湾、中国の 3か国地域の支部の確立である。現時点では支部の存在していないこれらの3か国地域で支 部を確立し、安定した参加者数を確保することが当面の目標となるであろう。また、日本だ けでなく各国地域が SRT に関する資料を作成、情報発信することも次年度の開催に向けて必 要である。来年度は SRT 団体設立後初となる台湾での開催が決定しており、開催成功のため に過去の開催での失敗や改善点を考慮する必要があるだろう。今後は日本語、英語両方での 資料の作成を心掛けると同時に、SRT の活動を多くの人に知ってもらうため、SNS などを通 した広報活動にもより力を入れていきたい。 35 4、助成・協賛団体様一覧(敬称略、五十音順) 本開催では、以下の財団様、企業様ならびに団体様よりご助成・ご協賛・ご後援を頂いた。 開催の成功は、そのごあってこそのものであり、団体一同心より御礼を申し上げる。 〔助成財団〕 一般財団法人 MRA ハウス 一般財団法人 人間塾 公益財団法人 秋田県国際交流協会 公益社団法人 青少年育成秋田県民会議 公益財団法人 双日国際交流財団 公益財団法人 三菱 UFJ 国際財団 独立行政法人 国際交流基金 〔協賛企業〕 秋田いすゞ自動車株式会社 秋田印刷製本株式会社 秋田海陸運送株式会社 秋田東北商事株式会社 秋田清酒株式会社 新政酒造株式会社 株式会社秋田銀行 株式会社秋田住宅流通センター 36 36 株式会社サノ 株式会社那波商店 有限会社マゼンタ 〔後援団体〕 秋田市 秋田県 公立大学法人 国際教養大学 日露青年交流センター NPO 法人 日ロ交流協会 37 添付資料1:参加者名簿 日本 金指みなみ 日本 20 国際教養大学 (2年) 長谷川綾子 日本 19 国際教養大学 (2年) 金成夏海 日本 21 国際教養大学 (2年) 倉持あゆみ 日本 19 国際教養大学 (2年) 坂田明穂 日本 19 国際教養大学 (2年) 金光美希 日本 21 国際教養大学 (2年) 小松千尋 日本 20 国際教養大学 (2年) 松野ちひろ 日本 19 国際教養大学 (2年) 松田みどり 日本 20 国際教養大学 (2年) 平良真子 日本 21 国際教養大学 (2年) 邱筠婷 台湾 20 国際教養大学 (2年) 李呂威 アメリカ 19 国際教養大学(1年) 松本裕貴 日本 20 国際教養大学(1年) 渚ひとみ 日本 18 国際教養大学(1年) 菅野歩実 日本 19 国際教養大学(1年) 白井優毅 日本 18 国際教養大学(1年) 澁井智 日本 19 国際教養大学(1年) 村上剛大 日本 18 国際教養大学(1年) 片岡莉沙 日本 18 国際教養大学(1年) 柳下裕美 日本 19 国際教養大学(1年) 眞鍋せいら 日本 19 立教大学(2年) 新谷友理 日本 21 早稲田大学(3年) Seung-woo Cha 韓国 21 ソウル国立大学(4年) Dong-woo Lee 韓国 21 ソウル国立大学(3年) Do-hun Kim 韓国 20 ソウル国立大学(4年) Jong-yeop Kim 韓国 22 ソウル国立大学(3年) Min-sik Oh 韓国 21 ソウル国立大学(3年) Seung-hoon Lee 韓国 20 ソウル国立大学(3年) Yong-jik 韓国 19 ソウル国立大学(3年) Ui-jong Bong 韓国 23 ソウル国立大学(3年) Seung-min Yoo 韓国 21 ソウル国立大学(3年) Eui-chan Jung 韓国 20 ソウル国立大学(3年) Dong-seok Lee 韓国 23 ソウル国立大学(4年) 韓国 38 台湾 Ping-Chun Chang 台湾 19 国立台湾大学(1年) Joanne May Chen 台湾 18 国立台湾大学(1年) Yu-Hsin Wu 台湾 19 国立曁南国際大学(2年) Yu-Ting Hung 台湾 19 東海大学(2年) Erh-Chia Ku 台湾 20 国立政治大学(3年) Hsieh Yun-Liang 台湾 20 国立政治大学(3年) Shao-Ching Wan 台湾 21 国立台湾芸術大学(3年) Chen Chin-Yuan 台湾 19 国立台湾大学(1年) Ching-Ting Wang 台湾 20 国立台湾大学(2年) Siang-Ling Wang 台湾 19 国立台湾大学(1年) Yi-Chia Tsai 台湾 21 国立台湾師範大学(3年) Yi-Huei-Liu 台湾 20 国立台湾大学(3年) Siang Wun Siao 台湾 20 国立清華大学(3年) Bolor Jamiyandagva モンゴル 20 モンゴル国立大学(3年) Bilguudei Batsaikhan モンゴル 21 モンゴル国立大学(3年) Nomin Purewbatar モンゴル 17 モンゴル国立大学(1年) Dulmaa Jadamba モンゴル 17 モンゴル国立大学(1年) Namuunaa Hishigtumur モンゴル 18 モンゴル国立大学(2年) Ankhbayar Altangerel モンゴル 20 モンゴル国立大学(3年) Jargal Tsolmon モンゴル 21 モンゴル国立大学(3年) Bumtsend Erdenebat モンゴル 17 モンゴル国立大学(1年) Khuslen Battulga モンゴル 22 モンゴル国立大学(3年) Ulzii Nyamlkhagva モンゴル 20 モンゴル国立大学(3年) Namuun Bayarsaikhan モンゴル 21 モンゴル国立大学(3年) Tselmeg Bat-Erdene モンゴル 20 モンゴル国立大学(3年) ロシア 19 極東連邦大学(1 年) Mingjian Wang 中国 28 対外経済貿易大学(2年) Joonyeong Yoon 韓国 20 北京大学(2年) Jiayu Zhou 中国 23 対外経済貿易大学(2年) Wang Xin 中国 24 対外経済貿易大学(1 年) Yuanhang Chen 中国 21 対外経済貿易大学(2年) モンゴル Khishigtumur Nyamlkhagva ロシア Pavlina Puzina 大陸中国 39 添付資料2:詳細スケジュール表 2015/8/5 2015/8/6 2015/8/7 2015/8/8 2015/8/9 水 木 金 土 日 朝食 朝食 朝食 朝食 7:30 8:00 8:30 9:00 9:30 開会式 10:00 10:30 議論⑦ 11:00 プレゼン 11:30 テーション 議論② 企業訪問 12:00 12:15 昼食 休憩 12:30 プレゼンテーション 13:00 昼食 移動 13:30 14:00 昼食 議論⑤ 14:30 講演会 15:00 議論方法説明 15:30 16:00 キャンパスツアー 議論 ① 休憩 休憩 議論⑥ 議論⑨ 夕食 夕食 休憩 休憩 休憩 議論④ スポーツ・ スポーツ・ 文化交流会 文化交流会 休憩 16:30 17:00 17:30 議論⑧ 議論③ 親睦会 18:00 18:30 夕食 19:00 19:30 夕食 竿燈祭り 20:00 20:30 21:00 21:30 22:00 22:30 40 2015/8/10 2015/8/11 2015/8/12 2015/8/13 月 火 水 木 朝食 朝食 朝食 朝食 議論のまとめ⑩ プレゼンテーション 昼食 昼食 7:30 8:00 8:30 9:00 9:30 10:00 10:30 11:00 11:30 12:00 12:30 13:00 13:30 14:00 14:30 15:00 プレゼンテーション 角館・たざわこ プレゼンテーショ ン作り⑪ 芸術村 フィールドトリ ップ 「SRT の将来」セッション 15:30 休憩 16:00 16:15 プレゼンテーショ 16:30 閉会式 ン作り⑫ 17:00 17:30 移動 18:00 夕食 18:30 19:00 19:30 20:00 送別会 ホテルにて 休憩 夕食 日本酒試飲会 20:30 プレゼンテーショ 21:00 ン練習⑬ 21:30 22:00 22:30 カフェテリア B302,B303,C201,C204,C205 須田ホール 須田ホール 41 帰国 添付資料3:アンケート結果 SRT2015 に関するアンケート調査 回答者総数:60 名 ① 開催前アンケート 1. SRT2015 へ期待していたことは何か。 参加者の多くは、学術的に充実した熱い議論を通して北東アジア6カ国の協力関係について 話し合ったり、互いの抱える問題について他国からの視点での新しい解決策を知ったり、異 なった教育を受け異なった文化の中で育った学生の、自分とは違う考え方を知ったりするこ とを求めていたようだ。また、北東アジア出身の生徒との交流を通して互いの文化を知り、 理解し合い、友達になることで自国に対する各国の偏見を取り除くとともに、自らの北東ア ジア各国への理解を深めることも期待していたようだ。加えて、多くの参加者は日本開催で あることから、日本での生活を体験すること、秋田の自然を満喫すること、日本文化につい て知ることも SRT2015 に期待していたようだ。 回答例 ・「他国参加者が北東アジアについてのどのように考えているのかを知りたい。」 ・「他の国の参加者と友達になって、たくさん話すことで相互理解を達成したい。」 ・「大好きな日本の文化について知りたい。」 2. SRT2015 に参加するにあったての目的は何か。 日本を訪れること、他国参加者と友達になることで自分のネットワークを広げること、自分 の意見を他国参加者の前で発表する勇気と自信を身につけること、英語でのディスカッショ ンを通しての英語・交渉・説得能力をつけることを目的としていたようだ。また、各国の様々 な観点から歴史・文化・経済問題について知り、問題解決に努めることで、自分の視野を広 げることや北東アジア内での良好な関係を築くことも目的として挙げられていた。 42 回答例 ・「マスメディアを通しては伝わらない各国の本当の姿を知りたい。」 ・「自国の代表として他国出身の参加者と友達になり、互いに理解を深めることで自国と各 国との関係作りに貢献することがどのようなことかを知りたかった。」 ・「国際会議を通して経験を得ることと、北東アジア内の学生と互いに理解しあうこと。」 ② 開催後アンケート 3. SRT2015 に満足していますか? 5 (とても満足):31票 4:23票 0% 3:6票 2:0票 1(大変不満足):0票 10% 52% 38% 4. SRT2015 で満足したことは何か。 多くの参加者が議論、フィールドトリップ、参加者との交流、会議の構成など様々な点に満 足していると答えた。本年度から新しい議論の形式を用いたこともあり、特に議論に関して 満足したという意見が多かった。しかし、中には新しい議論の形式は難しいので、今までの 形式を使うほうがいいのではないかという意見もあった。また、議論の次に多かったのがフ 43 ィールドトリップに関する意見である。参加者たちは、日本の伝統的な武家屋敷や雄大な自 然などを楽しんでいたようだった。 回答例 ・「政治的関与なしで一生徒として、他の北東アジアの生徒たちと何か共通の話題について 討論できたのはとても良かった。」 ・「各国の参加者たちと話をし、彼らの論題に対する考えや意見を知ることができたのは良 い経験となった。」 ・「活動を通して、色々な文化について知れて良かった。」 5. SRT2015 の期間についてどう思うか。 長い:3票 適当:45票 短い:12票 5% 20% 75% 44 6. 開催の期間についてどう思うか。(8月5日~8月 13 日) 適当:55票 0% 早い:0票 遅い:5票 8% 92% 7. 議論についてどう思うか。 今年は新しい議論の形式を用いたため、議論の進行方法に対しての感想が非常に多く見られ た。参加者側に少し混乱を招いてしまったが、最終的にはほぼ全参加者が理解をし、良い議 論を行うことができた。今後は、このようなことが再度起こらないためにも、事前の情報伝 達がより大切だと感じた。また、議題があいまいな部分があるという意見も多く見られた。 このことを踏まえて、来年からはより具体的な議題が求められると感じた。 回答例 ・「議長は議論の進行方法をしっかり理解しておくべき。」 ・「よりフォーマルな議論が行えて楽しかった。」 ・「内容自体は難しすぎず、簡単すぎずちょうど良かったが、もう少し具体的な内容にした ほうが良い。」 45 8. 文化交流会の時間についてどう思うか。 長い:1票 2% 適当:31票 短い:28票 47% 52% 9. SRT を終えて、この会議をより良いものにするためになにか改善点はあるか、また、 将来の SRT に何を期待するか。 会議の内容に対して大変満足しているという声が多く上がっている一方、参加者が述べた改 善点は二つある。 一つ目はスケジュールの忙しさだ。議論の時間数が多く、移動時間の関係で参加者が急いで 行動せねばならず、夜にホテルに帰った後も議論の準備をするなど、一日中忙しいスケジュ ールで疲れてしまったという意見が多々見受けられた。また、自由時間が比較的少なかった ため、全ての参加者と交流することができなかったという意見も挙げられた。最終プレゼン テーションのことを考慮すると議論の時間数は適切であったが、一日のスケジュールの濃さ に参加者は疲れてしまったようだ。ゆとりを持たせて各国参加者の交流を促しつつ、且つ議 論もしっかりと行えるスケジュールの設定が必要である。 46 二つ目は各国参加者の安定した確保である。ロシア人参加者が1名や中国人参加者が5名で あったのに対して韓国人参加者が13名であったことから見受けられるように、本年度は各 国参加者の人数にばらつきがあった。SRT がこの先も活発に活動できるように、毎年の各国 の参加者を一定数、安定して集められるようにすべきだとの意見が多かった。また、毎年各 国から一定数参加者を募ることで、将来は日本だけでなく、他の参加国での支部の設立を目 指し、SRT がより組織化され、発展していくことを望む声も上がっていた。 これらの点を改善した上で、参加者が北東アジア諸問題を解決すべく議論に積極的に参加し つつ、議論外でも各国参加者が密に交流し、お互いの国の文化や価値観をより学び合え、よ り相互理解を促すことを将来の SRT に期待する。 回答例 ・「スケジュールに余裕がなかったため、参加者と交流することがあまりできなかった。ま た一日の最後に議論する時には皆疲れきっていたため、もっと自由時間を設けて各国参加者 の交流を促し、一つ一つの議論の質を上げるべきだ。」 ・「今年のロシアの参加者が一名であったように、各国参加者の人数にばらつきがあるため、 各国が毎年10人は最低でも参加者を集められるような方法を考え、将来各国が支部を作れ るようになるのを目指すべきだ。」 ・「毎日のスケジュールの変更点や詳細などが全ての参加者に行き渡っていなかったため、 スケジュール伝達を徹底させるべきだ。」 47 北東アジア学生ラウンドテーブル 〒010-1211 秋田県秋田市雄和椿川奥椿岱 193-2 公立大学法人国際教養大学 森園浩一教授研究室内 TEL: +81-18-886-5900 48 FAX: +81-18-886-5910 E-mail: aiu.studentroundtable@gmail.com
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