技術系職員紹介BOOK - 早稲田大学 理工学術院

早稲田大学
Waseda University
技術系職員紹介BOOK
Introduction of Technical Staff
学術院長×技術部長対談
求む!イノベーション人財
理工学術院統合事務・技術センター 技術部 部長
理工学術院長
伊藤 正徳
大石 進一
Q:早稲田大学の技術部の組織について教えて
ください。
Q:教員の方々から見た技術系職員とはどの
ような存在でしょうか?
伊藤部長:理工系 3 学部の実験教育や研究支援に携わる技術
大石学術院長:早稲田大学の創設者である大隈重信は、理工
上ります。
た。その伝統は今でも引き継がれており、実験教育における
系職員は、専任職員や嘱託職員を合わせるとおよそ 150 名に
幅広い技術分野で多数の職員を擁し、かつ、ひとつの組織
として機能しているのは、他大学にはない大きな特徴であり、
強みでもあります。
Q:なぜ、早稲田大学では技術系職員を組織化
させているのでしょうか?
教育に重点を置き、その中でも実験教育に力を入れてきまし
技術系職員の寄与は大きいですね。
大学の教育・研究活動は、様々な分野の専門家である技術
系職員よって支えられています。日々研鑽しながら教職員が
一体となって、教育や研究活動を行うことができるので、多
数の職員スタッフによる支援はとても心強いです。
伊藤部長:現在の西早稲田キャンパスに理工学部が移転する
Q:今後、技術系職員に期待することは何です
か?
西早稲田キャンパスに移転してからは、技術系職員をまとめ
大石学術院長:大学として、これからの時代はイノベーショ
前は研究室や学科に技術系職員が配属されていました。今の
て共通実験室制度を発足し、すべての学科がどの実験室も利
用できるように運営することとなりました。そのため、技術
系職員は職員組織として学科や研究室から離れ、組織力を発
揮し、現在に至っています。
2
ンを起こせる人財を生み出す教育の実施が求められており、
今後は教員と共に独創的な教育を開発するような存在であっ
て欲しいですね。
一方では自身の技術力についても際限なく追究していって
技術系職員とは
早稲田大学技術系職員の4つの大きな役割
早稲田大学の技術系職員は、学科や研究室からは独立した組織として構成されており、主に理工系の分野
において、高い専門知識や技術力をもって業務を展開しています。
業務内容は、 実験教育 技術・研究支援 インフラ・環境・安全 社会連携
など非常に多岐に渡っており、現在、約 90 名の技術系職員が教員と協働しながら、各分野で活躍しています。
社会連携
実験教育
技術・研究支援
質の高い実験教育を
高い専門知識と技術
キャンパスの安全を管
地域や企業と連携
る技術者を育てます
バックアップし、世
の快適な環境づくりを
リソースを社会に還
実現し世界に通用す
力で最先端の研究を
界を相手に戦います
インフラ・
環境・安全
理し、教育研究のため
サポートします
し、大学の持つ教育
元します
聞き手
理工学術院統合事務・技術センター 技術部
教育研究支援課(四系)
田中 亜純
欲しいと考えています。学生に教える喜び、研究に携わる喜
Q:早稲田大学の技術系職員を志望される方
へ
スを考えながら取り組んで欲しいですね。
大石学術院長:まずは、教育の面白さ、
びの両方を味わってもらいたいです。この 2 つを自らバラン
伊藤部長:2005 年に今の技術部が出来ました。発足当時、専任
職員数を 60 名程度として非専任職員を増員し、実験教育と研究
支援を滞りなく遂行できるようにして専任職員は教員と協働す
ることでその役割を高度化すること
を目指しました。
効率的に業務を遂行できるように
なった一方、専任職員の業務は実験
教育のマネジメントへ仕事の中心が
シフトしてきました。その弊害とし
て専任職員が深みのある技術力を身
学生の成長は何物にも代えがたい喜び
です。そして、研究支援における技術
を極める喜び。この 2 つの喜びを追究
したいと考えている方にとって、早稲
田大学は最適の場所です。これからの
21 世紀を世界中の人がうまく生きてい
くためには、科学技術の発展が不可欠
です。その科学技術への貢献のため、
教育と研究の面で携わることができる
のは、大きな魅力だと思いますよ。
に付ける機会が減ってきているかも
伊藤部長:先生や学生との仕事を現場で楽しみながら取り組
を改善するための取り組みが必要だ
れることができるチャンスがある職場でもあります。一方で、
識して自身の技術力を高める姿勢を持って欲しいですね。
ていますので、そういった活動に興味がある人にも是非チャ
しれません。今後、組織としてそれ
んで欲しいと思います。本人次第では、最先端の研究にも触
と考えていますが、各職員が自ら意
子供達に科学の面白さを伝えるような社会連携活動も実施し
レンジして欲しいですね。
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実験教育
電気
質の高い実験教育を実現し
世界に通用する技術者を育てます
実験教育を通じて、世界に通用する技術者を養成します
業務内容
電気工学実験室では、電気・電子・通信分野の様々な実験を実施しており、7 学科、約 1200 人
の学生が通過しています。実験の項目も多岐に渡り、アナログ回路やデジタル回路などの基礎的
な分野から半導体や光通信など専門性の高い応用分野までを取り扱っています。我々職員はこれ
ら実験の内容説明や進行上の指導を行ったり、実験装置の開発なども行っています。
実験の現場に立つ場面が多いのが本実験室の特徴のひとつですが、知的好奇心を擽るような話
を交えながら学生を指導することを心がけています。また実験中に学生が悩んでいてもすぐに答
えを教えるのではなく、その仕組みや原理の理解へと繋がる気付きを与えることで、学生が能動
的に学ぶ環境づくりに努めています。
本学職員を目指す人へのメッセージ
私は民間の電気機器メーカで 9 年間働いた後に本学へと移りましたが、前職で培った専門スキ
ルを存分に活かせる職場だと感じています。前職では「回路設計の担当」
「プログラム実装の担当」
など、分担する業務エリアが分かれていることが通例でしたが、本実験室では自身の担当実験を
総合的に任される場面が多く、電気・電子・通信工学に対するオールラウンドな専門性が求めら
れます。幅広い分野の実験を担当することは困難な面も多いのですが、その分自身が一から作り
理工学術院統合事務・技術センター 上げた実験セットを使って学生が実験している姿を見ると、非常にやりがいを感じます。また本
技術部 教育研究支援課(三系)電気工学実験室
実験室は設備や計測機器なども非常に充実しており、職員の技量次第で学生に教育効果の高い実
山脇 卓也
験教育を提供できる環境だと言えます。
本学の技術系職員は学生の専門教育に深く関わることのできる職域です。世界で通用する技術
者を養成するために、皆さんの力を発揮してみませんか?
機械・熱
実践的な専門実験で世界レベルのエンジニアへと導きます
業務内容
熱流体実験室では機械系と環境系の 2 学科を対象とした教育実験を行っています。機械系
ではボイラーを使用した「性能試験」や実際の自動車のエンジンを使用した「内燃機関の性
能試験」や「制御工学」実験、環境系では下水処理技術や波・水流の特性を調べる「水理・
水質実験」の説明と実習での技術支援等を行っています。
さらに、学生の理解が深まるように、質問を投げかけることで会話重視の実験を行ったり、
学生がより鮮明に実験のイメージが湧きやすいように、実験内容が社会でどのように役立っ
ているのかを最新技術を例に出して関連性も伝えています。また、「水理・水質実験」では留
学生を対象とした英語のみの教育実験も行っています。
技術系職員は、学生の理解を深めて興味を引き出す指導力、幅広い知識とグローバルな目線、
英語指導力で実験室業務を支えていくことが求められています。
仕事のやりがい
技術系職員の良いところに「自由度の高さ」があります。実験室での専門分野の業務だけ
でなく、技術的に広い知識を習得するために他の専門分野の業務を行ったり、技術系とは異
なった他業務も行うことができ、所々深く視野の幅を広げることができる「自由度の高さ」
理工学術院統合事務・技術センター 技術部 教育研究支援課(二系)熱工学・流体・制御工学実験室
高橋 宣之
4
が技術系職員のやりがいだと感じています。
特に大学には各分野に様々な専門スキルを持った職員がいるため、自分自身を高められる
環境が整っています。日々知識を深め、学生が様々なことを学び将来のイメージを広げるこ
とのできるような支援ができる技術系職員になりたいと思っています。
実験教育
質の高い実験教育を実現し
世界に通用する技術者を育てます
化学
質の高い実験を提供し、学生の実験センスを養います
業務内容
化学系の専門実験室の運営業務を担当しています。学生が毎日滞りなく実験を実施できる
よう、試薬や器具、機器の準備・調整をはじめ、指導用資料の作成、実験での操作説明、TA
の指導、レポート管理や実験室予算の管理に至るまで、実験室の運営にかかわることはすべ
て行なっております。また、実験指導においては、学生が実験の重要性や目的・手法を広い
視野で体得するためのセンスを磨けるよう努めています。さらに、教育の質の向上のために、
教員とともに新規実験の立ち上げや、実験内容の見直しも定期的に行なっています。実験室
関連の業務以外では、学内の薬品点検や環境監査、理工学術院国際化推進チームにも参加し、
大学の環境改善にも携わっています。また、地域貢献の一環として小中高生を対象に実施し
ている実験教室では、実験内容の検討や指導を行っています。
仕事のやりがい
学生と対面する仕事が多く、特に実験指導中はこちらが工夫することで実験がスムーズに
進行する、学生の理解が深まる等、学生の反応や成長を直に感じることができ、とてもやり
がいを感じます。また、語学研修や海外研修等、学内の研修制度が充実しているのも魅力です。
近年では理工系留学生の増加により英語のみで実験を行なうクラスも開講しているのですが、
理工学術院統合事務・技術センター これまで研修で学んできた英語能力を活かし、英語による指導用資料の作成や、実際に実験
技術部 教育研究支援課(四系)化学分析実験室
指導を行なうこともあります。また、海外での留学フェアに参加し、留学生の募集活動にも
海部 淑江
携わっています。仕事を通じて、学生だけでなく自身も更なる成長ができる環境であること
生物・生命
を嬉しく思っています。
実践的な実験教育の実現により大学の発展へと貢献します
業務内容
先端生命医科学センターは、東京女子医科大学と早稲田大学による医理工融合研究教育拠
点として 2008 年 4 月に設立しました。本センターにおける技術系職員の役割は、
「教育支援」
と「研究支援(安全管理含む)」の 2 つに大別されます。教育支援では、2 学部 3 学科 1 専修
で展開される生命系の学部専門実験の対応、研究支援では、質量分析計やフローサイトメー
タなど、最先端の計測装置を用いた研究活動の支援を主としています。私は、教育支援を中
心に担当しており、その業務は、教員や TA と共に実験指導を行うだけでなく実験の事前準
備や実験室全体の管理なども行っています。
実験内容は専門性が高く、遺伝子組換え実験、培養細胞を用いた実験やタンパク質の機能
解析、また動物を使った実験もあり、マウスの掴み方から薬液投与、血中のグルコース濃度
の測定や初代培養を用いたカルシウムイメージングなど、手馴れない学生に一から指導する
場面もあります。
仕事のやりがい
業務は一言では言い表せないほど多岐に渡ります。技術系職員として専門的な知識が必要
なのは当然ですが、自分の専門とする分野以外においても、知識や技術を吸収できるような
柔軟性と向上心が求められます。また、本学の技術系職員はただ実験を実施するだけでなく、
理工学術院統合事務・技術センター より教育効果の高い実験への改善や、効率的な実験室運営を教員と協働しながら模索する使
技術部 教育研究支援課(四系)先端生命医科学センター
命があり、実験実習を通じて大学を良くしていきたいという強い想いや使命感が求められる
地神 貴史
職種だと言えます。実験項目を自分達で組み立てて実施し、学生の満足感が見られる時はと
てもやりがいを感じます。
5
技術・研究支援
高い専門知識と技術力で最先端の研究をバックアップし
世界を相手に戦います
機械
ものづくりで想いをカタチにするサポートをします
業務内容
工作実験室では研究支援(卒修論支援)として、学生が研究装置や部品の図面を持参して職員
が機械加工を行う「依頼加工」と設計・加工に関する「相談」、学生自身が実験室で加工を行う際
の「技術サポート」の 3 つの業務を主に行っています。
特に理工学術院で行われる研究はハイレベルかつ多様であり、建物に使用する鉄骨材の加工や
溶接から、ロボットやエンジンの製作、分析装置に使用する部品等、学生が自身の研究に合わせ
た内容で相談に来ます。その要望に応えるためにも、技術系職員には高い工学系専門知識と専門
にとらわれない「応用力」が求められています。一言で表すなら「工学系の何でも屋」のような
業務内容になっています。また、実験室での作業は操作を誤ると取り返しのつかない事故につな
がる可能性もあるため、安全装置を取り付ける等の学生への安全面対策も技術系職員の重要な役
割です。
仕事のやりがい
実験室では教員や学生と相談することが多く、自身の学んできた内容がリアルに活かせる場だ
と思います。特に大学はその特徴柄、最先端の研究に触れる機会が多く、自分のスキルを高める
ことができるとともに、その最先端の研究に設計・加工・測定の分野から「ものづくりのプロ」
理工学術院統合事務・技術センター としてサポートを行うことができる非常にやりがいのある職場だと感じます。
技術部 教育研究支援課(二系)工作実験室
卒業時期になると工作実験室で作業をしていた学生が製作した装置や論文を見せに来てくれる
西 佑起
こともあり、自分の技術が教育・研究に携わっていると実感できるうれしい一時です。
物性計測
エキスパートとして大学の研究レベル向上に貢献します
業務内容
物性計測センターラボには、学部や専攻を問わず誰でも使用可能な研究用装置が設置されてい
ます。職員は装置の管理やメンテナンスをはじめ、ユーザーである学生や教員により質の高い研
究をしてもらえるよう装置使用法のトレーニングや依頼測定を行っています。また、装置ひとつ
ひとつはとても高価で、一つの装置をいかに効率よくかつ効果的に使用してもらうかの運用面で
も日々試行錯誤が欠かせません。ユーザーのニーズはさまざまであり、ただ測定をサポートする
のではなく、目的を聞き内容を理解したうえで、より良い結果を出すためにはどの測定が適切か
▲ X 線解析装置
ディスカッションを行い、 本当のニーズ を一緒に考えていくことも業務の一つです。
仕事のやりがい
ユーザーの持ち込む教科書にない未知の研究試料に対し、いかに測定を行うか頭を悩ませるこ
とが多いですが、工夫を凝らした結果、よい成果や発見につなげることができたときはとても嬉
しく、やりがいに感じます。
▲ 透過型電子顕微鏡。超高倍率での試料解析が可能
技術系職員に求められること
理工学術院統合事務・技術センター 実験室であれば、実験項目や装置の管理だけで終わらせず、装置原理、さらには実験目的(教
技術部 教育研究支援課(四系)物性計測ラボ
育系なら実験内容や教育効果、研究系なら研究目的)まで踏み込んでいくことです。そのためには、
後藤 隆弘
日々高い専門知識を収集し、測定の試行錯誤や装置をいじり倒して技術を磨いていくことが欠か
6
せないと思います。
技術・研究支援
高い専門知識と技術力で最先端の研究をバックアップし
世界を相手に戦います
研究活動支援
研究成果を社会に還元するためのサポートを行います
業務
産学官研究推進センターでは早稲田大学の教職員の成した研究成果を社会に還元することを目的として
知的財産権の保護、活用及び、産学連携の構築を担っています。その中で私は、主に知的財産権の保護を
目的とした特許出願等の権利化手続や、研究より前段階における研究契約確認等の業務を行っています。
特許では申請された案件についての学内外の手続や、センター全体の方針を組立てる業務を弁理士の方
など様々な専門家と協力しながら行っています。さらに、産学連携では企業・大学・教員の各立場を理解
したうえでの調整・交渉や、国際展示会を利用した本学の未来の研究パートナー探しも行っています。
このように、早稲田大学の知的財産を扱う産学官研究推進センターのメンバーの一人として社会に大学
の技術・知的財産を還元し、活用してもらうための活動を行っています。
技術系職員に求められること
研究活動支援業務では教員、専門家や企業との意見交換の際に、職員が技術的なバックグラウンドを
有することは大きな強みとなります。特に大学の研究は最先端であり、その理解は容易ではないため、
社会に大学の研究成果を伝える上で、技術系職員としての専門性が重要となってきます。
また、研究成果がどのように社会に還元できるかを見定めるために、社会の動向に対する広い視野も
重要となります。特に近年は国際的な研究連携、産学連携のニーズも増えています。困難の多い分野で
研究推進部 産学官研究推進センター はありますが、国際化に向けて力を入れていく必要があると考えていますので、英語力だけでなくチャ
レンジする意欲も必要となります。
服部 貴澄
研究成果は一人だけでは世に送り出すことはできません。もちろん主役は教員ですが、職員も教員と
一丸となり、研究成果を社会に還元したいという想いが仕事の核心になると思います。
コラム
理工のさらなる進化
理工の全学生にとって必修科目である理工学基礎実験の国際化について紹介します
際コース実施に向けた
国 技術系職員の役割
本 学の留学生への実験対応
早稲田大学は文部科学省の国際化拠点整備事
まず始めに、実験テキストや指導する上で必
業 ( グローバル 30) に採択され、理工学部では
要な各種資料等を理工系の専門用語に注意しな
2010 年 9 月より国際コースとして留学生の受け
がら教員と協力して英訳する必要があります。
入れを開始しました。国際コースでは全ての授
実験の実施については、実験準備はもちろんの
業が英語で実施されており、実験科目において
こと、指導教員との打ち合わせや学生へのガイ
も例外はなく英語で対応しています。理工学基
ダンスを実施しています。指導教員も外国人教
礎実験では、国際コース専用の実験項目・内容
員が多く、教員や学生に対して英語で対応する
は用意せず、従来日本語で提供している実験項
必要があり、職員の語学力強化の必要性を実感
目と同様の内容を留学生に提供しています。ま
た 2014 年にはスーパーグローバル大学創成支
援に採択され、より実験教育の強化に注力して
います。
理工学術院統合事務・技術センター 技術部 教育研究支援課(四系)
先端生命医科学センター
三浦 克吉
しています。
また、留学生数の増加や実験現場の様子を踏
まえ、カリキュラムの変更や指導教員の確保な
ど、事務系職員と連携して国際コースの運営に
携わることもあります。
国際
コー
ス実
験風
景
7
インフラ・環境・安全
キャンパスの安全を管理し
教育研究のための快適な環境づくりをサポート
情報
IT 技術と創造力で、より良い情報環境を実現します
業務内容
理工メディアセンターの業務は大きく2つに分類することができます。1つは、PC ルー
ムの Windows・Mac・Linux 環境や教室・会議室などの AV 環境、各種ウェブサービスなど、
理工系キャンパスの情報インフラを管理・運営することです。そしてもう1つは、教員や学
生の要望に応じ、新たな情報環境を企画して実現することです。
特に理工系キャンパスでは、技術系職員の持つ情報系の専門スキルに対する期待が高く、
教員や学生から数多くの要望が出され、レスポンスの速い具現化が求められています。それ
らの要望に対し、実際にシステムのプロトタイプを開発したり、業者へ依頼する際の仕様書
を作成したりするため、情報分野についての高い専門性が求められます。要望を具体化し実
現するという、ある意味では IT コンサルタントとシステムエンジニアを併せたような業務と
呼べるかもしれません。
また、情報インフラは整備されていて当然という感覚を持つ人も多く、なかなか評価を受
けづらい面もありますが、早稲田の情報インフラを支えているという強い達成感を得られる
職場です。
技術系職員に求められること
理工学術院統合事務・技術センター
技術系職員にとって、専門技術と知識が必要なのはもちろんですが、理工メディアセンター
技術部 技術企画総務課 情報担当課長
では新しい情報環境を実現するための企画力や発想力、また、自らの企画を他者に伝え実行
嶋村 貴志
環境
するための折衝力など、幅広い知識と能力が求められています。
「化学」を武器に安全なキャンパスを実現します
業務内容
環境保全センターは、学内の実験廃棄物や化学物質管理など化学物質に係
る管理業務をメインとする組織ですが、私はその中で安全衛生および環境管
理に携わっています。労働安全衛生法や水質汚濁防止法に基づき作業環境測
定や排水分析を行い、有害物質が基準値を超えて検出された場合は、改善に
向けて提案や対策を講じます。また、当センターが所有する分析装置を利用
して、学生への研究支援業務も行っています。学生や同僚からは常に刺激を
受け、新しい発見があり、その発見が次の業務に生かされる職場です。
技術系職員に求められること
年齢と共に自分に求めるものは変りつつありますが、今は「技術力」「人間
性」「バランス感覚」だと思っています。まず、「技術」系職員ですから、も
ちろん技術力。次に人間性。技術を伝承するということは、技術の裏に秘め
られた極意も継承するということであって、長年かけて蓄積してきた極意と
いうものは人間性に深く関わっています。同じ技術であっても、より深くよ
り濃く伝えていくには人間性が要になると思います。最後に、様々な学生が
環境保全センター
松尾 亜弓
8
いる中で、彼らの特性、周囲の状況を素早く察知し、彼らにあった研究支援
をオーダーメイドするためには、バランス感覚が問われます。いずれも一朝
一夕で手に入るものではなく、日々試行錯誤の中、勉強の毎日です。
インフラ・環境・安全
キャンパスの安全を管理し
教育研究のための快適な環境づくりをサポート
施設
先進的なキャンパスを創造します
業務内容
キャンパス企画部企画・建設課では、主に「キャンパス整備計画の企画立案」「施設
の新築計画の企画・発注・工事監理」「施設の改修および保全計画の企画・発注・工事監理」
およびこれらに関連した業務等を担当しています。当課の技術系職員は建築設計事務所
や建築・設備施工会社の出身者も多く、民間企業で培った専門性と経験を存分に発揮し
ています。 キャンパスや学内施設の企画立案に始まり、基本計画、設計・工事発注、施工、さ
らには完成後の施設運営と、全ての工程に携わることができるのが、本学職員の大きな
魅力の一つです。また、本学では創立 150 周年に向けた中長期計画の中で、先進的な教
育・研究環境の実現を目指し様々な改革を行っています。その中で、キャンパス内の大
規模な新規建設、改修のプロジェクトが多数稼動しており、キャンパス企画部の技術系
職員が担う役割は非常に大きいものとなっています。
技術系職員に求められること
まず技術系職員として、企画、設計、工事監理 ( 品質、安全、コスト面など ) に関する、
キャンパス企画部 企画・建設課
鎌田 紘爾
安全
深く幅広い知識と経験が求められます。また、大学における教育・研究活動に対し強い
関心を持っていることも非常に重要です。これらに加え、学内の学生や教職員の持
つ多種多様なニーズに対し、ハード面からそのニーズを満たすための傾聴力、分析力、
企画力、調整力、実行力を持った人材を求めています。
現場力と想像力でキャンパスの安全を支えています
業務内容
技術企画総務課は、西早稲田キャンパスの①施設・工事、②安全衛生、③情
報の3つのセクションに分かれています。私は安全衛生を主な業務としてお
り、各研究室や実験室の方々と連携しながら構内の事故を未然に防止する取
組みや、万が一事故が生じた際の検証と再発防止を手掛けています。一言で
安全対策と述べても、やるべきことは山積していますので、限られた予算の
中で優先順位を付け実施することが鍵となります。また、大学は毎年学生が
大勢入れ替わり、安全に関するノウハウが伝承されにくい環境です。こういっ
た職場環境や、私自身が入職した時期が東日本大震災の直後であった背景も
あり、私自身積極的な啓発活動が重要であると考えています。
仕事のやりがい
およそ20棟ある建物に計1万人の学生・教職員を抱えるキャンパスでは
突発的な事案が生じます。これらの事案に対処するために、私たちは今起こっ
ていることを背景含めた広い視野で正確に把握する必要があります。普段は
事務的な仕事をしていますが、技術屋は現場が命と言われるだけに、現場に
理工学術院統合事務・技術センター
赴いて事情を聞き、得られた情報をもとに打つべき策を講じるのです。事故
技術部 技術企画総務課
や疾病に関することだけでなく、施設の補修や改修にも同様なことですが、
梅澤 和仁
飽きない面白さがあります。
何をすれば現状を打破できるのか想定しながら職務にあたる点は良い意味で
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社会連携
地域や企業と連携し
大学の持つ教育リソースを社会に還元します
科学実験教室
実験の面白さを濃縮し、小中学生への実験を企画します
業務内容
私が日常携わっている業務は、基幹・創造・先進理工学部 1 年生全員(約 1900
人)が受講する「理工学基礎実験」の運営です。それに加えて、自治体と共同で
実施する科学実験教室や、早稲田大学が主催する科学実験教室「ユニラブ」の実
験企画を行っています。これらの実験教室では小中学生を対象としているため、
彼らが科学技術に興味・関心が持てるよう工夫しながら、大学生の実験内容をア
レンジして行います。対象学年の学習指導要領を基に、実施する実験内容の中に
知らない言葉や習っていない概念が無いかを確認し、実験や工作に面白さが組み
込まれているかどうかを意識しながら、教員や先輩職員とともに入念に作り上げ
ていきます。このように、科学実験教室に関する業務は日頃の大学生の実験教育
とは違った面白さややりがいがあります。
仕事のやりがい
早稲田大学の科学実験教室には、参加する小中学生だけでなく保護者の方々も
大きな期待を寄せています。そのプレッシャーの中で、子供達が目を丸くして興
味深く演示実験を観察している姿や、実験や工作を楽しむ姿を見た時に「苦労し
理工学術院統合事務・技術センター 技術部 教育研究支援課 ( 一系 ) 物理系基礎実験室
中川 翔
ものづくり工房
ながら難しい実験をアレンジした甲斐があった」と感動的な気持ちになります。
科学実験教室で彼らに、「科学って楽しい!」「もっと好きになった!」と言われ
た時は、思わずガッツポーズをとりたくなる瞬間です。
高い志と実践力をもった学生輩出の仕組み作りをしています
業務内容
私は技術企画総務課で再配置管理室事務局(西早稲田キャンパスのスペースを
教育・研究の観点で効果的に運用するため、活用計画を企画・調整する業務)や
小中学生向け科学実験教室ユニラブ(毎年8月開催)の事務局等を主に担当して
いますが、最近では『WASEDA ものづくり工房』を核とした社会連携業務が増え
てきており、企業との連携教育プログラム等の企画・調整・運営をしています。
ものづくり工房はカリキュラムとは関係なく、様々なアイデアを自分の手で実現
するスペースで、より高い「発想力」「人的ネットワーク」「積極性」「実行力」を
身につけた高い志を有する学生の育成を目的としています。企業との連携により、
さらに高い教育効果を生み出すとともに、企業にとっても有益な活動となるよう
日々試行錯誤を重ねています。
本学職員を目指す人へのメッセージ
今、社会で求められている「世界的な視点から問題を解決できる学生」、「広い
視野と自分で考え抜く底力をもった学生」を育成することは、実験・実習教育や
研究支援で日ごろから学生に接する機会の多い技術系職員の大きな役割のひとつ
理工学術院統合事務・技術センター
技術部 技術企画総務課
柿下 尚哉
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です。他大学に類を見ないほど大規模で歴史もある早稲田理工の技術系職員組織
を有効に活用し、学生が自発的に試行錯誤する仕組みを考え、理工教育のスタン
ダードを我々と一緒に作っていきませんか?
研修・プロジェクト
新たな価値を提供するため
日々研鑽し続けます
海外協定大学派遣研修制度
私がこのプログラムに応募した動機は、早稲田大学が文部科学省の国際化拠
点整備事業 ( グローバル 30) に採択され、留学生を対象とした実験・実習科目
における教育支援や研究支援で英語を用いた対応が必須になってきたことにあ
ります。
そこで、私は①英語力の向上、②海外大学の動向や運営手法に関して知見を
広めること、③新たな教育手法の知見を深めることを目指し、Staff
Development Program である海外協定大学派遣研修制度を活用してカナダの
アルバータ大学に 80 日間研修出張をしてきました。
研修先では英語力強化のための語学スクールや授業・実験室の見学、意見交
換、留学生受入箇所での業務補助などを行いながら、海外大学の運営手法等を
学んできました。
「国際化」に貢献する技術系職員の新たな役割を担います
研修後はこの経験を、実験・実習科目における英語対応や実験環境の整
理工学術院統合事務・技術センター
技術部 教育研究支援課 ( 二系 ) 備等、円滑な運営に活かしています。さらに、海外での留学フェア等を通
研修先にて
じて留学希望者に早稲田大学への留学説明・支援をする Global Recruiting
材料実験室
斉藤 純一 Project(GRP) にも参加し始めました ( インド地域担当 )。留学フェアでは理
これは事務系職員だけでは難しく、本研修を経験した技術系職員ならでは
工系の研究に関する相談も多く、理工系教員と繋がりの深い技術系職員と
しての知識に加え、その内容を英語で説明するスキルが必須になります。
の業務としてやりがいを感じます。
今後は技術系職員として、語学的にも技術的にも留学生のサポートを行
えることと、事務系職員とは異なる視点から大学全体を考えることのでき
る職員になることが重要と考えています。
プロフェッショナルズ・ワークショップ
早稲田大学では、職員が自ら手を挙げて参加する公募制のプロジェクトが
ワークショップ風景
存在しており、プロジェクトへの参加を通じて自己を成長させたい、もしく
は大学に貢献したいという強い意欲を持った職員が多数参加しています。私
は「プロフェッショナルズ・ワークショップ」というプロジェクトに参加し
ました。
本プロジェクトは、学生向けの実践型産学連携教育プログラムを提供する
ものであり、具体的には企業・自治体などが実際に抱える課題について、本
学の学生が企業の「プロフェッショナル」と協働し、その解決策を模索・提
案するというものです。
プロジェクト活動を通じ、理工系の視野を大学全体へと届けます
ワークショップ風景
理工学術院統合事務・技術センター
技術部 教育研究支援課 ( 三系 )
電気工学実験室
椿野 結哉 職員は企業と学生を結びつけるパイプ役となり、プロジェクト運営の中心
を担うことになります。企業との協定締結に始まり、テーマの調整や学生の
募集、また開催期間中は学生たちのアドバイザーとして、時に厳しく学生た
ちを導いていかなければなりません。実験教育の現場で学生と触れ合う機会
の多い技術系職員にとっては活躍の機会も多い上、プロジェクトで得られた
ファシリテーションやマネジメントの経験等は、業務にも活かされます。
技術系職員は多くの場合、理工系学部が主な職場となりますが、大学職員
として、理工系の分野だけでなく、大学全体の視野に立ち、業務に当たる必
要があります。また逆に、理工系の学部・学生のニーズを大学全体に届ける機
会を得られるという意味でも、技術系職員のプロジェクト参加は大変意義深
いものだと言えるのではないでしょうか。
11
技術系職員データ
8%
11%
22%
性別
年代
男
92%
20 代
25%
33%
27%
40 代
50 代
11%
女
30 代
採用
区分
60 代
新卒
73%
既卒
2015.1.21 現在
組織図
理工学術院統合事務・技術センタ ー 技術部
・物理系基礎実験室
教育研究支援課(一系)
・化学系基礎実験室
・生命科学系基礎実験室
・工作実験室
・材料実験室
教育研究支援課(二系)
・熱工学・流体・制御工学実験室
・製図・CAD室
・測量実習室
・人間系・都市系・温熱環境実験室
・学科実験室(経営システム、土質、環境資源)
教育研究支援課(三系)
・電気工学実験室
・工学系基礎実験室
・化学分析実験室
・有機化学実験室
・物理化学実験室
教育研究支援課(四系)
・学科実験室(工業化学、化学工学)
・物性計測センターラボ
・マイクロテクノロジーラボ
・生命科学実験室(先端生命医科学センター)
・生命科学機器室(先端生命医科学センター)
・施設管理・安全管理
技術企画総務課
・理工メディアセンター
・映像情報ラボ
・WASEDAものづくり工房
・研究推進部 (産学官研究推進センター、研究マネジメント課など)
・総務部 環境安全管理課
・キャンパス企画部
・教育・総合科学学術院
・研究総合支援課 各務記念材料技術研究所
・環境保全センター
発行日 2015 年 2 月
発行元
発行元
早稲田大学
早稲田大学 理工学術院
理工学術院 統合事務
統合事務・
・技術センター
技術センター 技術部
技術部 〒169
〒169 ‒‒ 8555
8555 東京都新宿区大久保3−4−1
東京都新宿区大久保3−4−1
電話:
電話: 03-5286-3000 E-mail:
03-5286-3000 E-mail: info@sci.waseda.ac.jp
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URL: http://www.sci.waseda.ac.jp/tech/staff/
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