第7章 都市整備・まちづくりの方針

第7章
都市整備・まちづくりの方針
1.土地利用
1)市街化区域の土地利用方針
2)市街化調整区域の土地利用方針
3)主要課題地区の土地利用方針
2.市街地整備
3.街路・道路
1)幹線道路
2)生活道路
4.公園・緑地
5.下水道・河川
1)基本方針
2)主要な施設の配置方針
3)主要な施設の整備目標
6.景観
7.歴史・文化
8.交通
1)鉄道・バス
2)駅・駅前広場
3)歩行者・自転車ネットワーク
9.安全・安心(防災に関すること)
10.社会経済情勢の変化への対応
第 7 章
都市整備・まちづくりの方針
都市整備・まちづくりの方針は、目標年次を平成 32 年とすることを踏まえ、今後
10 年(短期)及び 20 年(中長期)における都市計画及び社会資本整備に関するガ
イドラインを示すものである。ガイドラインの枠組みは下図の通りであり、各項目
の役割は以下の通りである。
●景観
●土地利用
都市景観形成の方針を示す。
区域区分、地域地区(用途地域、特別用途
地区等)の検討・見直しの方針を示す。
●歴史・文化
●市街地整備
歴史的な景観の保全と再生を要する地区
拠点及び周辺市街地の整備方針を示す。
等の方針を示す。
●交通
●街路・道路
公共交通、駅前広場、歩行者・自転車ネッ
都市計画道路の整備・追加・廃止及びその
トワークの整備方針を示す。
他道路の整備方針を示す。
●安全・安心
●公園・緑地
防災対策の方針を示す。
公園・緑地の整備方針を示す。
●社会経済情勢の変化への対応
●下水道・河川
下水道(汚水・雨水)及び河川の整備方針
高齢化対策、環境対策、市民参加推進の方
を示す。
針を示す。
都市整備・まちづくりの方針の枠組み
都市整備・まちづくりの方針
.
社 会 経 済 情 勢の 変
化への対応
9.
安全・安心
8.
交通
市民参加
環境対策
高齢化対策
防災対策
歩行者・自転車ネットワーク
駅前広場
︵歴史街道︶
中山道・木曽川・航空機産業
鉄道・バス
7.
歴史・文化
﹃景観計画﹄
河川
下水道
︵緑の基本計画︶
﹃水と緑の回廊計画﹄
生活道路
幹線道路
新産業拠点
周辺市街地
東部拠点
主要課題地区の方針
市街化調整区域の方針
6.
景観
5.
下水道・河川
4.
公園・緑地
3.
街路・道路
2.
市街地整備
1.
土地利用
市街化区域の方針
165
10
1.土地利用
1)市街化区域の土地利用方針
(1)住居系地域
住居系地域については、市街地における道路、公園・緑地(オープンスペース
の確保)、下水道などの都市基盤整備や未利用地の活用、社寺林等の保全などに
努め、緑あふれる暮らしやすい環境の整備を推進する。
今後の高齢化社会における生活利便性の確保や環境負荷※の低減といった観点
から、郊外部における住居系市街地の拡大を抑制するとともに、鉄道駅周辺等の
公共交通結節点周辺における住宅・宅地の供給を促進する。また、郊外にみられ
る既存の大型住宅団地についても、暮らしやすさが確保できるよう日常生活利便
性の向上を図る。
◆既成住宅地
古くから住宅地を形成している既成住宅地については、道路・公園等の基盤
施設の充実により居住環境の改善を図る。特に交通利便性の高い住宅地につい
ては3∼4階程度の集合住宅の立地促進などにより土地の高度利用を進める。
また、健康施設、福祉施設等との複合化により、生活弱者にも配慮した多様な
住民ニーズに対応する居住機能の集積を促進する。
◆周辺住宅地
近年市街化区域に編入された周辺住宅地については、農地等の都市的未利用
地が残存していることから、基盤整備を進めることによりこれら農地等の宅地
化及び公園・緑地等の基盤整備用地としての活用を促進し、住宅地としての熟
成を図る。また、農地所有者に対しては定期借地方式による土地活用等の手法
を紹介するなど、土地活用に関する啓発を行う。
◆郊外住宅団地
団地開発による郊外住宅団地については、戸建て住宅を中心とした住宅地と
して熟成しつつあり、今後は低層住宅地として良好な居住環境の保護・形成を
図る。
(2)商業系地域
商業系地域については、賑わいのある商業空間の創出を目指して、都市景観に
配慮しながら駅前広場空間の施設や道路などの整備を進めるとともに、土地の高
度利用を促進し、都市機能の向上を図る。
また、住居系地域同様、高齢化社会の到来等を見据え、鉄道駅周辺等の公共交
通結節点周辺における商業、医療、福祉機能等の都市機能の集積を促進する。
◆拠点商業地
那加駅・新那加駅周辺と市役所周辺を含む地区及び鵜沼駅周辺地区は、それ
ぞれ本市の既成住宅地における拠点的商業地としての役割を果たしている。今
後も歩道整備等のハード的な事業や商店街活性化施策等のソフト的な事業の展
開により既存機能の強化・充実を図る。また、鵜沼駅周辺地区については、自
由通路の開通により、利便性が高まった新鵜沼駅周辺地区と併せて、交通バリ
アフリーの推進によるまちづくりを行う。
※環境負荷: 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障原因となる恐れのあるもの。
166
◆大規模集客施設立地エリア
東海北陸自動車道の岐阜各務原インターチェンジ周辺においては、大型商業
施設を中心に高速交通体系の交通利便性を活かした広域的な商業地形成を図る。
巾下地区計画内の住居系用途地域に立地している商業施設の集積地は、都心
南北軸に位置し、今後とも商業地としての機能の充実を図る。
鵜沼三ッ池町の第二種住居地域に立地している大型商業施設や工業系用途地
域が定められているものの既に大型商業施設が立地する鵜沼各務原町について
は、商業系土地利用の維持・誘導を図る。
また、蘇原青雲町に立地する大型商業施設についても引き続き、商業系土地
利用の維持・誘導を図る。
◆近隣商業地
郊外住宅団地内の商業施設の集積地は、地域住民の生活を支える近隣商業地
としての機能を果たしており、今後ともその機能の充実を図る。
◆沿道商業地
新総合計画で生活文化交流軸として位置付けられた国道21号、(都)犬山東
町線バイパス、坂祝バイパス線及び産業都市軸として位置付けられた江南関線、
並びにいちょう通り((都)岐阜蘇原線)沿道等については、交通利便性を活用
した沿道立地型商業業務系施設の立地が進んでおり、今後ともその機能の充実
を図る。
(3)工業系地域
工業系地域については、自然との調和に配慮しながら、高度利用と良好な工場
経営が円滑に行える環境の確保を図る。また、既存産業の高度化・規模拡大に対
応するとともに新規産業の受け皿となる工業用地の確保に努める。
◆既存工業地
周辺に住宅地が立地する既存工業地については、工場施設内における緑地の
確保等により、既成市街地内に位置する工業地として周辺の市街地環境に留意
しつつ、工場経営が円滑に行える環境の維持を図る。
◆既存工業団地
岐阜県金属工業団地、各務原市工業団地、木材流通団地、各務東町工業団地
等の工業団地は本市の重要な工業地としての役割を果たしていることから、今
後も工業専用団地として現有機能の維持・強化を図る。
◆新産業拠点
東海北陸自動車道の岐阜各務原インターチェンジ周辺においては、高速交通
体系の交通利便性を活かし、商業と工業が交流する新たな産業拠点の形成を図
る。
また、テクノプラザ周辺においては、情報産業・流通産業・次世代産業等の
新産業の誘致により新たな産業拠点の形成を図る。
167
土地利用方針図
※2006 年版
:変更箇所
168
2)市街化調整区域の土地利用方針
(1)優良な農地との健全な調和に関する方針
農業系地域については、農地が市民生活を支える農産物の生産地域であるとと
もに、雨水の保水機能や地下水の涵養機能※、緑地的空間機能など多面的な機能
を有することを重視し、優良農地の保全に努める。特に、新境川を水利とする市
域北部の水田を中心とする地域と、畑地が主である鵜沼地域の農地については、
生産性の高い農業を営む農地として保全を図る。
(2)災害防止の観点から必要な市街化の抑制に関する方針
北部丘陵山地は、本市の主要な市街地河川である新境川の上流にあたり、流出
流量の増大を防ぐ防災的観点等から、砂防指定地、急傾斜地崩壊危険区域及び保
安林の開発を抑制する。また、土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域を岐
阜県より指定(現在検討中)し、土砂災害特別警戒区域においては、宅地開発や
建築行為を抑制する。
(3)自然環境形成の観点から必要な保全に関する方針
森林・緑地・水辺系地域についてはその保全に努める。また、市民生活にうる
おいとやすらぎを与える場として整備・創造を図り、自然共生型の土地利用に努
める。
・飛騨木曽川国定公園並びに緑地保全地区に指定されている八木山の保全を図る。
まえ ど
・前渡不動及び長平山の独立峰、外山、北山、金毘羅山等の樹林地や段丘崖に位置
する斜面緑地、八坂神社、加佐美神社等の社寺林は、地域の重要な緑として保全
を図る。
・国営木曽三川公園各務原緑地及び新境川・大安寺川は市街地内の貴重なオープン
スペースとして整備・保全を図る。
・苧ヶ瀬池の水辺空間と愛宕山南側斜面緑地を景勝地景観として整備・保全を図る。
・伊木山、うぬまの森などの居住近郊山林の整備を進め、市民が緑と親しむ憩いの
場として活用する。
(4)秩序ある都市的土地利用に関する方針
蘇原北部、稲羽西、前渡、大伊木等の集落地周辺については、開発行為の集積
により無秩序な土地利用が進まないよう開発許可の適切な運用を行うものとす
る。
また、前渡東町地区については、周辺の環境に配慮した地区計画による工業系
土地利用を図るとともに、国営木曽三川公園各務原緑地及び新境川・大安寺川に
ついては、貴重なオープンスペースとして整備・保全を図る。
市街化調整区域における建築形態規制は、従来建ぺい率 70%・容積率 400%が
指定されていたが、平成 12 年に「都市計画法及び建築基準法の一部を改正する
法律」により、計画的かつ適切な土地利用を図るため地域の実態に即した規制を
適用できることとなった。
こうした状況を受け、本市の市街化調整区域では、建築実態を踏まえ建ぺい率
60%未満かつ容積率 200%未満の組合せを適用しており、今後ともこの規制を維
持するものとする。
なお、開発行為における緑地の取り扱いについては、各務原市開発指導要綱の
適切な運用により、区域内に一定規模の緑地が確保されるように指導するものと
する。
※涵養機能: 森林の土壌が、降水を貯留することで、地下水の水源を供給する機能。河川へ流れ込む水の量を平準化して洪水を緩和するとともに、
川の流量を安定させる効果もある。
169
3)主要課題地区の土地利用方針
土地利用上、特に課題を有する地区の土地利用方針を以下に示す。
<短期の土地利用方針>
◆中山道新加納立場地区
・歴史的文化遺産の活用により魅
力・活気あふれるまちづくりを推
進し、安心して楽しめる沿道空間
を創出することにより、中山道新
加納立場地区のまちなみ再生を
進める。
・工場移転に伴う工場跡地と周辺区
域を含め、組合施行による新加納
土地区画整理事業及び周辺生活
道路の整備を促進する。
◆巾下・花園町周辺地区
・巾下地区計画内に立地する商業
施設の集積地については、今後
もその機能の充実を図る。
◆加佐美神社周辺地区
・歴史ある趣深い集落景観の保
全と再生を図る。
◆インターチェンジ周辺地区
・既に立地している広域的な商業
施設と隣接する工業系用途地
域が交流し、新たな産業を創出
する産業拠点の形成を図る。
◆国営木曽三川公園各務原緑地
(河川環境楽園周辺地区)
・河川環境楽園については、自然
に親しめる場の形成を図る。
・河川環境楽園、かさだ広場、各
務原アウトドアフィールド等を
一体的に活用し、交流拠点の形
成を促進するため、サイクリン
グロードの整備を進める。
◆ごんぼ積み集落周辺地区
・緑化促進や竹林等の保全、防
災性の向上等により、ごんぼ
積みとそれに挟まれた細い
路地等が織りなす川中島特
有の景観を活かしたまちづ
くりを進める。
◆河跡湖公園周辺地区
・自然と共生した公園と周辺緑地
の保全、周辺市街地における緑
化促進等により、自然環境と調
和したまちづくりを進める。
170
◆航空宇宙科学博物館周辺地区
・航空宇宙文化にふさわしい魅力
を有した施設誘致等の土地利用
を検討する。
◆テクノプラザ地区
・テクノプラザⅠ期・Ⅱ期地区に隣接す
る東側周辺地域において、工業団地の
形成を図る。
◆歴史街道地区
・中山道鵜沼宿、苧ヶ瀬池周辺地区、村国座周辺地区を
つなぐ中山道、苧ヶ瀬街道等の道路沿道を各務原市の
主要な歴史的資源・地区を結ぶ『歴史街道』と位置付
け、その位置付けにふさわしい沿道景観の形成を図る。
◆鵜沼東町地区
・都市幹線道路の整備に併せて、
面的整備を図る。
◆鵜沼駅・新鵜沼駅周辺地区
・新鵜沼駅周辺地区の整備を組
合施行による鵜沼駅東部土地
区画整理事業及び周辺生活道
路の整備により促進する。
◆鵜沼南町地区
・住民参加型のまちづくりを推
進し、都市幹線道路及び生活
幹線道路・公園・排水等居住
環境の向上に資する都市基
盤施設整備を促進するとと
もに、木曽川の自然環境を活
用したまちづくりを行う。
◆鵜沼宝積寺町地区
・木曽川の自然環境や美しい都
市景観に配慮した住居系の土
地利用を図る。
◆城山地区
・戦国時代、鵜沼城のあった城
山を景観の保全に配慮した
土地利用を推進する。
◆前渡東町地区
・周辺の環境に配慮した地区計
画による工業系土地利用を図
る。
171
<中長期の土地利用方針>
◆鉄道駅周辺等公共交通の結節点周辺
・住宅・宅地の供給促進及び商業、医
療、福祉機能等の都市機能の集積に
より、今後の高齢化社会における生
活利便性の確保や公共交通の利用に
よる環境負荷の低減を図る。
◆新たな幹線道路沿道地区
・(都)各務原扶桑線沿道については、当該道路の広域性を生かし
た工業系土地利用の展開を検討する。
・(都)岐阜鵜沼線沿道については、市街地の東西軸として商業業
務系土地利用の展開を検討する。
・
(仮)那加小網線沿道については、既存集落地等を経由するこ
とからその地域特性に調和する土地利用の展開を検討する。
(都)岐阜鵜沼線
(都)各務原扶桑線
(仮)那加小網線
◆国営木曽三川公園各務原緑地
(勤労青少年運動場周辺地区)
・各務原アウトドアフィールドから勤労青
少年運動場を経て(仮)各務原大橋の架
橋付近を結ぶサイクリングネットワー
クを検討する。
◆前山地区
・前山地区については、本市の中
心部に位置し、広大な面積を持
つ地区であるため、その土地利
用を検討する。
※生垣等沿道緑化助成: 建築物の敷地において新たに植栽をするときに補助金を交付するとともに、植栽をするために、既設ブロック塀を取り
壊す行為についても補助金を交付する本市の助成制度。
172
2.市街地整備
市域の中央部を2本の鉄道(JR高山本線、名鉄各務原線)と国道 21 号とが近接し
て横断し、その沿線・沿道に市街地が形成されている。また、市域北部の丘陵地には、
昭和 40 年代から 50 年代に開発された大型住宅団地が立地している。
なお、市中央部には、航空自衛隊岐阜基地があり、大規模自然災害への救援及び市
街地、山林火災への応援など防災支援に大きな役割を担っている。しかし、市域を南
北に分断するなど土地利用上の制約要因となっており、航空機による騒音問題など環
境面でも市民生活に少なからぬ影響を及ぼしている。
今後は、現在形成されている市街地における都市基盤の整備や利便性の確保に努め
るとともに、防災性の向上に向け建物が相当程度密集する地区での準防火地域の指定
や浸水多発箇所の排水機能の充実、ブロック塀の倒壊対策(生垣等沿道緑化助成)な
どを促進する。
また、高齢化社会の到来を見据え、鉄
道駅周辺等公共交通の結節点周辺にお
いて、商業、医療、福祉機能等の都市機
能を集積することにより、自動車交通に
依存することなく暮らすことができる
環境づくりや、既存商店街の活性化支援
につながるような道路及び駐輪場等の
整備を促進する。
▲鉄道駅周辺等の公共交通結節点における都市機能集積事例
平成 21 年撮影
市街地の整備にあたっては、環境負荷の低減や美しい都市景観の創出を図るため、
市街地の緑化(建物屋上・壁面や敷地の緑化促進、一定規模以上の建築・開発行為に
対する緑化等)や道路・公園等の基盤施設の緑化を進めるとともに、道路舗装改良に
よる温暖化対策、屋外広告物の規制・建築物の適正な誘導も検討する。
▲建物の壁面緑化の事例 平成 21 年撮影
以上の点を踏まえ、市街地整備は以下の基本方針のもとに進める。
◆東部拠点の整備継続
・本市の東の玄関口として、平成 16 年にJR鵜沼駅前広場、平成 21 年に名鉄新鵜
沼駅前広場、自由通路の整備を完了している。引き続き、両駅の東側の地域にお
いて、企業所有の未利用地及び周辺区域を含め、組合施行による土地区画整理事
業(鵜沼駅東部土地区画整理事業)、また、土地区画整理事業区域外周辺の生活道
路の整備を促進する。
173
◆新加納地区の整備
・工場移転に伴い工場跡地及び周辺区域を含め、組合施行による土地区画整理事業
(新加納土地区画整理事業)、また土地区画整理事業区域外周辺の生活道路整備を
促進する。
◆新産業拠点の整備
・新たな産業立地の受け皿としてテクノプラザⅢ期事業を推進する。
・東海北陸自動車道岐阜各務原インターチェンジ周辺については、交通利便性を活
かした新たな産業の創出を図る。
174
3.街路・道路
1)幹線・補助幹線道路
(1)幹線・補助幹線道路網の構想
幹線道路は都市の骨格を形成する道路であり、市内と市外を結ぶ交通や通過交
通を主体に処理する機能を有しており、本市及び隣接市町を含んだ広域的な視点
から位置付けられる道路である。補助幹線道路は幹線道路を補完し、主に地域内
交通を幹線道路へ誘導する機能を有する。本市においてはこれら道路の整備を促
進し、道路の段階構成が明確な幹線・補助幹線道路網を構築する。
本市が目指す幹線・補助幹線道路網の構想を下図に示す。
なお、都市計画道路については、『都市計画道路の見直しに関する国の方針』
に基づき、今後の都市を取り巻く状況の変化や目指すべき将来の都市像に的確に
対応するよう、必要に応じて都市計画道路の追加、廃止、現状維持など見直しを
実施する。
●都市計画道路の見直しに関する国の方針
平成14年8月2日 社会資本整備審議会 道路分科会 中間答申
今、転換のとき ~よりよい暮らし・経済・環境のために~ 18 項より抜粋
都市計画道路について、今後の都市を取り巻く状況の変化や目指すべき将来の都市像
に的確に対応するよう、都市計画道路の追加、廃止、現状維持など必要な見直しを早期
に実施する必要がある。
幹線・補助幹線道路網図
(都)江南関線
(都)坂祝バイパス線
(都)岐阜鵜沼線
(都)日野岩地大野線
(仮)南町通り
延伸路線
(都)一般国道21号線
(都)犬山笠松線
(都)岐阜稲羽線
岐阜南部横断ハイウェイ
(仮)那加小網線
175
(都)各務原扶桑線
(都)犬山東町線
バイパス
(2)整備方針
今後整備を促進すべき主要な路線は以下の通りである。
整備促進路線(短期)
路線名
目的
事業主体
(都)犬山東町線バイパス
鵜沼地区における交通流動の円滑化及び(都)一般国
道21号線に連絡する都市間交通※路線として整備す
る。
岐阜県・市
(都)岐阜鵜沼線
【(主)川島三輪線
∼(県)六軒停車場線】
市街地北側の東西軸として都市内及び都市間交通の
円滑化を図る路線として整備する。
岐阜県
(都)各務原扶桑線
【(仮)新愛岐大橋
∼(主)芋島鵜沼線】
(仮)那加小網線
(都)犬山東町線
(仮)南町通り
広域的通過交通※や都市間交通が集中する(都)江南
関線の渋滞を緩和するため、愛岐大橋上流側に(仮)
新愛岐大橋を架橋し、(主)芋島鵜沼線に至る新設路
線を整備する。
欅通り及び飛行場通りからなる都心軸と川島地区を
結ぶため、(仮)各務原大橋を架橋し、本市の南北軸
を整備する。
(都)犬山東町線バイパスと新鵜沼駅を連絡する区
間を整備する。
(都)犬山東町線バイパスによる鵜沼南町地区の分
断を解消するため、生活幹線道路として整備する。
岐阜県
市
市
市
整備促進路線(中長期)
路線名
(都)一般国道21号線
(都)坂祝バイパス線
(都)江南関線
(都)岐阜稲羽線
(都)犬山笠松線
目的
本市を東西に横断する広域的な幹線道路であり、経
済・産業・防災等の重要な役割を果たす路線として整
備を促進する。
国道21号に連絡し、都市間及び広域的通過交通の
円滑化並びに、慢性的な渋滞の緩和を図るバイパス路
線として4車線化整備を促進する。
本市の南北道路交通の軸となっており、広域的通過
交通や都市間交通が集中する路線として整備を促進
する。
本市西部の南北道路交通路線として、岐阜市と稲羽
地区を結ぶ地域的な役割の道路として整備を促進す
る。
本市南部の東西道路交通路線として、犬山市と笠松
町を結ぶ地域的な役割の道路として整備を促進する
(都)岐阜鵜沼線
市街地北側の東西軸として都市内及び都市間交通の
【(主)川島三輪線以西
円滑化を図る路線として整備を促進する。
及び(主)江南関線以東】
(都)一般国道21号線に集中する広域的な通過交通
を市街地外へ誘導するとともに、本市南部地域の東西
岐阜南部横断ハイウェイ
軸を形成する主要な幹線道路としての機能が期待さ
れていることから、当該道路の整備を促進する。
岐阜地域の環状線の一部を形成し、並びに本市西部
(都)日野岩地大野線
の南北軸として都市間交通の円滑化を図る。また、川
及び延伸路線
島地区との連絡を強化するため、当該路線の(都)一般
国道21号線以南への延伸を図る。
広域的通過交通や都市間交通が集中する(都)江南
(都)各務原扶桑線
関線の渋滞を緩和するため、
(主)芋島鵜沼線から(都)
【(主)芋島鵜沼線
一般国道21号線、(都)岐阜鵜沼線に至る新設路線
∼(都)一般国道21号線】
の整備を促進する。
事業主体
国
国
岐阜県
岐阜県
岐阜県
未定
国
未定
未定
※都市間交通: 各都市間を結ぶ交通。
※広域的通過交通: ここでは、高規格幹線道路等を利用し、広い範囲の移動を目的に本市内を通過するだけの交通のことをさす。
176
整備促進路線(短期)
(都)岐阜鵜沼線
(仮)南町通り
(都)犬山東町線
(都)犬山東町線
バイパス
(都)各務原扶桑線
(仮)那加小網線
整備促進路線(中長期)
(都)日野岩地大野線
(都)江南関線
(都)岐阜鵜沼線
(都)坂祝バイパス線
(都)岐阜鵜沼線
(都)一般国道21号線
(都)各務原扶桑線
(都)一般国道21号線
(都)犬山笠松線
岐阜南部横断ハイウェイ
(都)岐阜稲羽線
(都)日野岩地大野線延伸路線
177
(3)都市計画道路の追加・変更及び廃止の方針
先の整備方針に沿って都市計画道路の整備を進めるため、都市計画道路につい
ては以下のように追加及び変更(廃止を含めて)の手続きを進める。
今後の都市計画道路の追加及び変更路線
短期
追加
中長期
(都)日野岩地大野線延伸路線
―
路線
岐阜南部横断ハイウェイ
(都)犬山笠松線
(都)三柿野蘇原線
((都)岐阜蘇原線∼(都)一般国道21号
線間)
変更
路線
当該路線と鉄道との交差形式は、JR高山本線
が立体交差で計画決定されているのに対し、名
鉄各務原線では(都)一般国道21号線との距
離が短いため平面交差で計画決定がされてい
る。当該路線の整備に当たっては、整備促進を
図る上から平面交差形式への計画変更を検討
する。
当該路線の計画決定ルートと整備済みの県道
芋島鵜沼線のルートが整合していないため、南
部横断ハイウェイの都市計画決定に合わせ、当
該路線の線形を変更する。
▲(都)三柿野蘇原線 平成 21 年撮影
▲(都)三柿野蘇原線 平成 21 年撮影
▲(都)犬山笠松線 平成 21 年撮影
▲(都)犬山笠松線 平成 21 年撮影
178
都市計画道路の見直し(短期)
(都)三柿野蘇原線
都市計画道路の見直し(中長期)
(都)犬山笠松線
岐阜南部横断ハイウェイ
(都)日野岩地大野線延伸路線
179
2)生活道路
本市の幅員別道路網の現況を見ると、既成市街地及び集落地における生活道路
(地区の街区を構成する道路であり、主に沿道に住む人が利用する道路)の多く
は、6m未満もしくは4m未満の狭幅員道路によって構成されている。
これら道路不足地区(市街化区域内については「4m以上の道路から 20m以上
離れた区域を道路不足区域」、
「6m以上の道路から 20m以上離れた区域を道路改
善区域」と定義し、特に道路不足区域が広範囲に形成されている地区を道路不足
地区とするとともに、市街化調整区域内については「4m未満の道路が密集する
集落区域」を道路不足区域と定義する。)は、交通安全上及び防災上の問題が懸念
される。
特に、幅員4m未満の狭あい道路については、緊急車両(消防車:タンク車及
びポンプ車)の進入が困難な道路も多くみられ、火災などの日常的な災害時の安
全性を確保するといった観点からも大きな問題を有している。(次ページ図参照)
また、狭あい道路沿いに設置されたブロック塀については、災害時の倒壊や見
通しの悪さ等から危険性が大きく、狭あい道路の解消にあわせ、その改善が求め
られる。
道路不足地区及び狭あい道路の分布状況
180
消防車(ポンプ車 L=5.5m W=2.2m)
L=5.5m
W=2.2m
消防車(タンク車 L=7.55m W=2.6m)
W=2.6m
L=7.55m
▲狭あい道路(鵜沼南町地内) 平成21年撮影
▲狭あい道路(前渡西町地内) 平成21年撮影
▲狭あい道路(那加西市場町地内) 平成21年撮影
▲狭あい道路(那加雄飛ヶ丘町地内) 平成21年撮影
181
このような状況から、これら狭あい道路が多くみられる道路不足地区について
は、行政側が主体となって道路拡幅又は新設道路の整備により安全で快適な居住
環境の確保を図る必要があり、こうした生活道路の実態を踏まえ、以下にその整
備方針を示す。
◆既定計画の整備促進
既定計画(都市計画道路、地区計画、市道計画)の整備を図ることで道路不足
状況が概ね解消する場合は、既定計画路線の整備を促進することを方針とする。
◆住民参加による主要な生活道路の計画づくりと整備促進
既定計画が無い場合は、今後、住民参加により主要な生活道路の整備路線を検
討し、その整備促進を図ることを方針とする。
・幹線道路の整備により、住宅地への通過交通の流入を抑制するとともに、歩
道の確保を検討する。
・主要な生活道路における交差点改良(隅切りの設置等)を検討する。
・住宅地等における歩行者優先道路の面的な整備を検討する。
・通過交通の流入しにくい面的な交通規制の導入を検討する。
◆幅員4m未満の生活道路の解消
幅員4m未満道路の多い既成市街地や集落地において安全で快適な住環境を
確保するため、建築基準法第 42 条第 2 項に規定された道路(以下、
「2 項道路」
という)について、(仮称)生活道路拡幅整備事業制度など生活道路整備に関す
る支援及び奨励制度を確立し、個々の建築行為と連動しながら確実に後退用地の
確保を進めるなど、地域住民の理解と協働により幅員4m未満の道路の解消を図
る。
【具体例】
●地区計画道路の整備
●2項道路における確実な後退用地の確保
・道路中心線より2mは寄付受納
・寄付を確実に促すため、分筆登記費用等の一部を補助
・寄付受納後、市による後退用地部分の整備
●緑の条例による生垣助成制度の活用促進
生活道路整備の流れ
狭あい道路(2項道路)
地区計画道路整備事業
(道路幅員6m・暫定5m可)
2項道路の個別拡幅
(道路幅員4m)
用地取得(簡易工作物撤去処分・
立竹木移転補助)
用地は寄付受納(分筆登記等費用
補助)
道路整備
182
4.公園・緑地
「水と緑の回廊計画」は、各務原市における都市緑地法第4条の1の規定により策
定された本市の「緑の基本計画」であり、本市の緑地の保全及び緑化の推進に関する
施策を総合的かつ計画的に実施するため、その目標と実現のための施策等を示す「緑」
全般に関する幅広い総合的な計画である。
「水と緑の回廊計画」は平成 12 年度に策定した後、水と緑豊かなまちづくりに取組
み、第 25 回緑の都市賞において全国 1 位の「内閣総理大臣賞」を受賞するなど、大き
な成果を上げてきた。平成 18 年度には定期的な改訂の時期を迎え、施策展開の状況や
景観法の制定、都市緑地法の改正などを踏まえ、計画の見直しを行った。
本都市計画マスタープランにおける公園・緑地の方針はこの『水と緑の回廊計画』
を受けるものとする。
http://www.city.kakamigahara.lg.jp/shisei/machi/miz
utomidori/index.html
主な公園・緑地の整備方針(短期)
名称
・羽島用水上部利用(公園化)
整備の概要
未整備区間の整備を継続する
・(仮)城山緑地
・風致地区(苧ヶ瀬池)
・国営木曽三川公園各務原緑地
引き続き整備を継続する
・生命の森
未整備箇所の整備を継続する(∼H26 年)
・(仮)桐野公園
・ふるさと広場
再整備
・桜公園
再整備
・緑町1号公園
再整備
・羽場南公園
・(仮)浜見公園
・尾崎東公園
再整備
・宝積寺北公園
再整備
・山脇緑地
・(仮)山崎南公園
・(仮)新加納公園
主な公園・緑地の整備方針(中長期)
名称
整備の概要
・風致地区
・街区公園
(概ね1箇年/年)整備予定
183
主な公園緑地の方針(短期)
尾崎東公園
風致地区指定
(芋ヶ瀬池)
(仮)桐野公園
(仮)新加納公園
(仮)浜見公園
桜公園
(仮)山崎南公園
羽島用水上部利用(緑地化)
羽場南公園
(仮)城山緑地
山脇緑地
生命の森
ふるさと広場
国営木曽三川公園各務原緑地
緑町 1 号公園
主な公園緑地の方針(中長期)
184
桜回廊都市
平成 20 年 1 月 「水と緑の回廊計画」の施策の一つとして、市内一円を桜で彩る「桜回廊
都市」の計画を発表した。
【桜回廊づくり計画】
既存樹木
第1期計画
第2期計画
百十郎桜 5km
平成15∼18年度
平成19∼23年度
平成24∼26年度
3km
15km
16km
合計 39km
▲広報かかみがはら 平成 20 年1月 15 日号
(平成20年3月1日付
岐阜新聞)
(参考資料
【訪ねてみたい各務原の史跡】)
新境川放水路が完成して間もない頃、歌舞伎役者・市川
百十郎は新境川の完成を祝うとともに、堤防沿いに桜を植
えたいと村人に申し出た。百十郎は昭和6年に 1000 本、
翌年に 200 本の桜の苗木を寄附、住民と共に植樹を行った。
その後、太平洋戦争や終戦後の薪や炭の物資不足により
次々と伐採され、この桜は数十本を残すのみとなってし
まったものの、昭和 38 年市制発足とともに 300 本の苗木
が植え直され、市制 25 周年に「百十郎桜」と命名された。
185
5.下水道・河川
1)基本方針
(1)整備方針
◆下水道(汚水、雨水)
近年、市民の生活環境に対する意識の変化や、民間設置のコミュニティプラン
トの老朽化等に伴い、下水道整備に対する要望が多くなっている。
このような状況の下、下水道整備には多大な費用が必要なため、財源の確保が
大きな課題となるが、市民の理解を得ながら、費用対効果を十分考慮し、計画的
に普及を推進する。
下水道汚水管渠の総延長は、平成 20 年度末には約 479kmとなっており、下水
道普及率(下水処理区域内人口/総人口)は 66.0%となっている。また、下水道
(雨水)の平成 20 年度末の整備状況は全体計画面積 5,148ha のうち 1,350ha に
ついて事業認可を受け、整備を進めており、整備された排水面積は 823.7ha、整
備率は 61.0%となっている。
今後は、経年劣化による不明水※の増加も予測され、管渠やマンホールの補修
や清掃等の維持管理を計画的に行う必要がある。
下水道が整備された区域内の早期接続を促進するため、融資あっせんと利子補
給制度を継続するなど、加入促進を図る必要がある。
市街地における浸水被害の解消を図るため、準幹線水路の整備を促進するとと
もに、河川や都市下水路等を含めた計画的な雨水対策や、適切な維持管理を推進
する。
◆河川
本市には、木曽川をはじめとする美しい河川と東部及び北部に保水機能を有す
る緑豊かな山地があり、この素晴らしい地勢及び森林を保全する。また、自然と
の共生や水辺空間の活用を考慮し、砂防事業や河川改修、短期間集中豪雨(ゲリ
ラ豪雨)の対策を含めた内水排除事業を推進する。。
新境川以西の境川流域では保水・遊
●境川流域総合治水対策事業
水機能を保持する土地利用を行うと
境川流域において、河道改修、遊水地
ともに、境川流域整備計画に基づき、 整備、保水機能の維持・増進、流域分離
学校グランド等を活用した貯留施設
等、総合的な治水対策を実施する事業。
の整備など総合的な治水対策事業を
境川は岐阜市、羽島市、各務原市、岐南
促進し、下流部への流出量の抑制を図
町、笠松町を流域に持つ。
る。
(2)整備水準の目標
◆下水道(汚水、雨水)
下水道(汚水)においては平成 26 年度末における下水道普及率(下水処理区
域内人口/総人口)を 77.5%にすることを目標とする。
下水道(雨水)においても既成市街地を中心に時間降雨量 51.5mmに対応する
水路整備を促進する。
※不明水: 管の老朽化や誤接合などの要因により、汚水管に雨水が流入する現象のこと。
186
◆河川
河川災害の未然防止と境川流域総合治水対策事業を促進する。親水性護岸や多
自然型河川※の整備など良好な水辺環境を創出する。
▲大安寺川多自然型護岸 平成20年撮影
(岐阜県施行 施行年度:平成2年から平成9年度)
2)主要な施設の配置方針
◆下水道(汚水、雨水)
・今後とも事業認可区域の拡大を図り、市内各処理分区における整備を順次進め
る。
・雨水幹線、排水路については、蘇原第1、百曲第1、上戸、大伊木、小伊木、
南町などの排水区において整備を引き続き促進する。
・雨水幹線が整備済であっても、その幹線に接続する排水路が未整備となってい
る地域においては、その整備を促進する。なお、概ね10年以内に以下の下水道
の整備を進める。
◆河川
・水害の防止を図るとともに、境川下流部の負担を軽減するため、土地利用を含
め、境川流域整備計画に基づき、総合的な治水対策事業を促進する。
・新境川の堤防天端※や高水敷※を活用した遊歩道の整備を促進する。
3)主要な施設の整備目標
概ね 10 年以内は下記の下水道及び河川の整備を引き続き進める。
今後の主要な施設の整備目標
種別
名称
備考
那加成清、蘇原第1、蘇原第2、朝日、三ツ池、南町、
下水道(汚水) 公共下水道整備
緑苑、宝積寺、翠沼、三井、上戸、前渡西、各務、川島
第1の各処理分区の一部
上中屋雨水幹線(上戸排水区)、大伊木第1・第2雨水
下水道(雨水) 公共下水道整備
幹線(大伊木排水区)、鵜沼古市場第1・第2雨水幹線
(小伊木排水区)
河川
境川
総合治水対策(上戸排水機場、流域貯留浸透施設)
※多自然型河川: 治水上の安全を確保しつつ、水辺や瀬、淵など多様な河川環境を保全・創出したり、改変する場合も最低限にとどめ、良好な自然
環境の復元が図られた河川。
※堤防天端: 堤防の一番高い部分。
※高水敷: 複断面の形をした河川で、常に水が流れる低水路より一段高い部分の敷地のこと。平常時にはグラウンドや公園など様々な形で利用さ
れているが、大きな洪水の時には水に浸かる。
187
下水道(汚水)整備予定図
下水道(雨水)整備方針図
188
6.景観
本都市計画マスタープランにおける景観の方針は「景観計画」を受けるものとする。
「景観計画」は、景観法第8条に規定する「現にある良好な景観を保全し、また地域
の特性にふさわしい景観を形成する必要がある地区等について、良好な景観の形成に
関する方針や行為の制限等を定める計画」として策定したものである。
http://www.city.kakamigahara.lg.jp/shisei/machi/keikan/index.html
平成 18 年 3 月の「景観計画」策定後、テクノプラザ地区(H19.3.31)及びグリーン
ランド柄山地区(H20.4.1)を景観地区として決定するとともに、都心ルネサンス地区
や市民会館周辺地区などの 23 地区が重点風景地区として決定済である。
今後は、新たに 4 地区の指定を行うとともに、各々の地区について、地区独自の景
観計画における風景形成基準等に沿いながら、良好な景観形成に向けた規制・誘導を
図るものとする。
▲重点風景地区指定予定地区(権現山東部)
平成 21 年撮影
▲重点風景地区指定予定地区(村国座)
平成 21 年撮影
189
▲重点風景地区指定予定地区(ごんぼ積み)
平成 21 年撮影
7.歴史・文化
中山道、木曽川及び航空機産業の歴史・文化は、本市の都市形成過程において重要
な要素である。今後もこれらの歴史・文化を継承していくため、以下の方針を示す。
【中山道(歴史街道)】
中山道鵜沼宿及び苧ヶ瀬池周辺地区並びに村国座周辺地区をつなぐ中山道、苧ヶ瀬街道
等の道路沿道を本市の主要な歴史的資源・地区を結ぶ『歴史街道』と位置付け、その整備
を進めるほか、皆楽座、村国座等の主要な歴史資産の有効活用により交流人口の増加を図
る。
▲村国座(由来の看板) 平成 21 年撮影
▲村国座(子供歌舞伎)
▲村国座(外観) 平成 21 年撮影
▲村国座と村国神社 平成 21 年撮影
▲おがせ池 平成 21 年撮影
▲皆楽座 平成 21 年撮影
190
▲鵜沼宿(旧大垣城鉄門) 平成 21 年撮影
▲鵜沼宿(道路整備イメージ)
▲鵜沼宿(鵜沼西町公民館完成イメージ)
▲旧大垣城鉄門由来の看板 平成 21 年撮影
【木曽川】
雄大な自然景観と周辺の歴史的景観により、
多彩な表情を見せてくれる木曽川の洪水の跡
地で歴史的遺産である河跡湖、また水害対策
として玉石積み(ごんぼ積み)を家屋の基礎
として建物を建てているごんぼ積み集落につ
いては、豊かな自然及び個性ある景観が残さ
れており、今後は、重点風景地区に指定した
上で、まちづくりを進める。
▲ごんぼ積み集落 平成 21 年撮影
▲河跡湖公園 平成 21 年撮影
▲かわしま燦々夏祭り 平成 17 年撮影
191
【航空機産業】
1917 年(大正 6 年)に陸軍演習場
が設けられた各務原台地に『各務原
飛行場』が設置されたことにより、
1937 年(昭和 12 年)に川崎航空機
岐阜工場が立地し、併せて、工場従
業者用の社宅も多く整備された。こ
れは、各務原市の都市化の源であり、
今日も航空機産業は本市の基幹産
業である。この歴史と文化を紹介す
る航空宇宙科学博物館の周辺地区
については、岐阜県グリーンスタジ
アム等の集客施設と連携を図りな
がら、飛行機の歴史を物語る施設誘
致等、地域資源を生かし、より多く
の人を引き付ける魅力を有した観
光レクリエーション拠点の形成を
目指し、市街化調整区域の性格を変
えない範囲で、一定の都市的土地利
用の誘導を進める。
(平成 21 年 2 月 24 日付 岐阜新聞)
川崎航空機岐阜工場周辺(昭和 36 年頃)
社宅(旭町)
社宅(那加雄飛ヶ丘)
川崎航空機
岐阜工場
社宅(楠町)
明治時代に陸軍演習場が設けられた各務原台地に1917年(大正6年)各務原飛行場が設置され、1937年
(昭和12年)に川崎航空機岐阜工場が立地し、併せて、工場従業者用の社宅も多く整備された。これは、各務原市
の都市化の源であり、その後の発展の礎となっている。
192
8.交通
1)鉄道・バス
本市の鉄道は、JR高山本線(駅数4)と名鉄各務原線(駅数 12)が市域中央
部を東西に平行して走り、地域間交通を担う輸送機関として重要な役割を果たし
ているが、近年利用者数は全体として横ばい傾向にある。しかし、駅間距離が短
い 16 の駅(平均駅間距離 名鉄:1km 弱、JR:3km)を有していることから、高
速大量輸送鉄道という位置付けよりも都市内交通手段としてのLRT(ライト
レールトランジット:大量輸送機関とバスの中間の輸送力をもつ新しい中量輸送
システム)としての性格が強く、市民の鉄道という位置付けとして再評価する必
要がある。
バス路線は、各務原ふれあいバス、岐阜乗合自動車、岐阜バスコミュ二ティ、
名鉄バスが運行されているが、その利用者数は少ない。
このような公共交通の利用実態を踏まえ、以下に鉄道・バスの施設整備方針を
示す。
・平成 17 年(2005 年)
、名鉄新鵜沼駅から中
部国際空港まで1時間で連絡する直行列車
の運行が開始されている。今後は、市内の公
共交通網の利便性を高めるため市内各駅と
各務原ふれあいバス・路線バスの連絡強化に
努めるとともに市内の各公共公益施設への
移動利便性の向上に努める。
▲各務原ふれあいバス 平成21年撮影
・鉄道に関しては、運行の増発、輸送力の補強や安全の確保のほか、主要駅等に
おいては、身体に障がいを持った方にもやさしく分かるような電光掲示板、音
声等による案内方法の導入を関係機関に要請し、その充実に努める。
・バスに関しては、市民の公共交通に対するニーズに対応した身近な交通手段の
確保からバス路線の維持に努めるほか、低床式、電光掲示板付きバスの導入に
努める。
・公共交通の利用促進に向け、路線バス停における快適な待合場所の確保や駐輪
場の整備、鉄道駅での送迎バス運行など企業従業者向けの公共交通利用促進策
の導入などの検討を進める。また、高齢者等の交通弱者の足の確保のため、地
域交通サービスや福祉移動サービス等地域にあった交通サービスの導入を検討
する。
2)駅・駅前広場
本市の各駅の利用者は、徒歩・自転車が大部分を占めているため、主要駅以外
の駅周辺では顕著な交通混雑はなく交通環境の改善に向けた駅前広場整備の必要
性は低い。このような駅前広場の利用実態を踏まえ、以下に駅前広場空間の施設
整備方針を示す。
193
鉄道等の公共交通利用の利便性を高めるために、各駅の特性に応じて各務原ふ
れあいバスや自動車による送迎・待合せのための交通スペースの確保や駐輪場の
整備を進める。
▲鵜沼駅駐輪場 平成 21 年撮影
▲欅通り駐輪場 平成 21 年撮影
▲市役所前駅広場 平成 21 年撮影
また、各種公共交通機関等が乗り入れる交通結節点である鵜沼駅・新鵜沼駅前
広場周辺については、平成14年に策定した「新鵜沼駅周辺地区交通バリアフリー
基本構想」に基づき、移動の円滑化・利便性向上・安全確保を図るための各種整
備を引き続き推進する。
▲新鵜沼駅前広場 平成21年撮影
▲JR鵜沼駅前広場 平成21年撮影
3)歩行者・自転車ネットワーク
自転車は近距離移動における自由度が高く、買い物や通勤・通学の端末交通手
段※として重要な役割を果たす交通手段であり、また騒音・排気ガスを発生せず、
エネルギー消費が少ない地球環境にやさしい優れた交通手段である。
本市は比較的平坦な地形であるため、市民が徒歩や自転車で快適に移動できる
交通環境に適していることから、今後の歩行者・自転車ネットワークの形成に向
けた方針を示す。
・都市計画道路や羽島用水上部空間等を活用した歩行者・自転車道の整備を検討す
る。
・桜回廊都市計画にあわせた河川沿いの歩行者・自転車道の整備を検討する。
・公共施設等を結ぶ歩行者・自転車道の整備を検討する。
・主要鉄道駅等におけるレンタサイクル・システムの導入を検討する。
※端末交通手段: 複数の交通手段を用いて1つの目的移動を行う場合に、代表交通手段に付随する移動手段のことで、例えば鉄道利用の場合の
駅までのバスや自転車、徒歩の移動手段のこと。
194
9.安全・安心(防災に関すること)
明治 24 年(1891 年)岐阜県・愛知県を中心に大規模な地震(濃尾大地震)が発生し
た。日本の内陸部で発生した地震としては最大級の規模(M8.0)で、死者 7,273 名、
全壊建物 14 万戸という大被害を生じた。各務郡では 4,076 戸の住家が被害を受けた。
濃尾大地震
本市の市街地の一部においては、狭あい道路が多いため緊急車両の円滑な通行が困難
な地区や、木造密集住宅地のため地震時等における延焼火災の拡大が危険視される地区
も見受けられる。
特に、本市は平成15年12月に東南海・南海地震防災対策推進地域に指定されたことか
らも、地震対策をより積極的に推進する。
風水害については、毎年台風が全国各地で大きな災害をもたらしているため、河川整
備などの対策を推進するとともに、また、最近では短期間集中豪雨(ゲリラ豪雨)が都
市部に水害をもたらしているため、内水浸水への対策もあわせて推進する。
安全・安心な暮らしを守るため、適切な防災対策が必要であり、今後は以下の方針
に沿った防災対策をより積極的に推進する。
・狭あい道路の解消やそれにあわせたブロック塀等の除却を公民協働で推進する。
・未整備都市計画道路等の整備推進により、市街地における延焼遮断帯の確保や緊急
輸送道路及び避難道路の整備を進める。
緊急輸送道路及び避難所
195
・橋梁長寿命化修繕計画に基づき橋梁の耐震性向上を推進する。
・建築物等耐震化促進事業(木造住宅耐震化診断、木造住宅耐震補強工事助成)を推進
する。
・都市公園の整備推進により、一次退避場所の充実を図る。
・建物の不燃化、耐震化においては防災対策を総合的に展開する。
・災害時要援護者に対する支援体制の強化を図る。
・浸水対策として、下水道(雨水)・河川の整備を推進する。
・ハザードマップ※(洪水、土砂災害、地震)等により、災害の発生する可能性のある
区域の情報提供に努める。
・地域防災力の基盤となる地域コミュニティの強化を図る。
▲延焼の防止となる社寺林 平成21年撮影
▲総合防災訓練 平成19年撮影
※ハザードマップ: 災害予測図。ある地域に、限られた一定の時間内に災害をもたらす自然現象の発生する可能性を図化したもの。
196
10.社会経済情勢の変化への対応
【高齢化対策】
これまで本市の人口は着実に増加する傾向にあったものの、今後は減少に転じるこ
とが予測され、同時に高齢化が一層進むことが予測されている。
こうした状況を踏まえ、本市においては、先に示すように公共交通結節点周辺にお
ける商業、医療、福祉機能等の都市機能の集積促進や交通バリアフリーの推進など、
高齢者に配慮した土地利用の規制・誘導や都市施設の整備を進める。特に、以下の方
針に沿った高齢者をはじめとする『人にやさしい都市づくり』を積極的に推進する。
・地域福祉計画、健康増進計画、障がい者福祉計画、高齢者総合プラン等に沿った各
種事業を推進する。
・鉄道駅周辺等の公共交通結節点周辺における住宅・宅地の供給の促進や商業、医療、
福祉機能等の都市機能の集積を促進する。
・道路、公園等のバリアフリー化を推進する。
・周辺国有地などの有効利用を国と連携し、高齢者の健康増進に資する公園等の整備
を検討する。
・駅前商店街や最寄商店街の活性化支援としての道路や駐輪場等の整備を進める。
・市営住宅の耐震補強を進めるとともに、バリアフリー化を推進する。
【環境対策】
同時に、環境問題への意識の高まり等を受け、以下の方針に沿った環境負荷の低減
につながる都市づくりを積極的に推進する。
・環境行動計画に沿った各種事業を推進する。
・電気エネルギーとして自然エネルギーの活用を検討する。
・地下水の保全を図るため、水田・森林の保全による地下水源の涵養、透水性舗装の
促進、汚水や雨水の循環利用システムの導入に努める。
・市街地の緑化(建物屋上・壁面や敷地の緑化促進、一定規模以上の建築・開発行為
に対する緑化の義務化の検討等)や道路・公園等の基盤施設の緑化を進める。
・道路舗装改良による温暖化対策を検討する。
・長期優良住宅の普及のほか、環境に配慮した建設工事や建設資材、廃材のリサイク
ルを促進するとともに、緑ごみリサイクル※を推進する。
【市民参加】
さらに今後の都市づくりにあたっては、ワークショップや意見交換会等を通じ、計画策
定の段階から市民協働のまちづくりを進めるとともに、各施策・事業の実施や実施後の維
持管理にあたってもボランティア団体やまちづくり団体などと協働して、その推進を図る
ものとする。
なお、計画策定等にあたっては、特に事業実施後の維持管理までを念頭においた、効率
的・効果的な計画づくりが求められることからも、費用対効果等財政面の観点からの検討
を十分に行った上で、その取り組みを進めることとする。
※透水性舗装: 路面に降った雨水を舗装内の隙間から地中へ還元する機能を持った舗装。
※緑ごみリサイクル: 落ち葉や剪定枝といった緑のごみを堆肥化など有効活用すること。
197