TMAX Commercial Property Price Index

[ティーマックス・リサーチ・レポート]
2015.3.20
ティーマックス不動産天気予報【2015.1 調査】
2015 年は全用途から「くもり」が消え、
「晴れ時々くもり」と晴れ模様が続く予報に
株式会社ティーマックス
不動産戦略室 03-5501-2950
「ティーマックス不動産天気予報」は、J-REIT 保有不動産から基準不動産を抽出し、各物件の現
在~6 ヵ月後、7 ヵ月後~12 ヵ月後の NOI(Net Operating Income)を予測し、中長期的に安定的
と見込まれる基準 NOI との乖離を天気図に見立てて不動産市況の見通しを定性的に表現するもの。
今回は 2014 年 12 月末時点の天気と、2015 年上期(2015 年 1 月~6 月)、2015 年下期(2015 年
7 月~12 月)の天気予報を公表する。
<不動産天気予報 概況>
全用途の 2014 年 12 月末時点の天気は「晴れ時々くもり」、2015 年上期と 2015 年下期ともに「晴
れ時々くもり」となり、晴れが続く予報となった。
用途別では、オフィスの 2015 年以降は堅調な賃貸マーケットを反映し「晴れ時々くもり」となる予
報。賃貸住宅・物流施設も 2015 年以降「晴れ時々くもり」が続く予報である。商業施設は、現在は消
費税の影響で短期的なマイナスだが、「晴れ時々くもり」に好転する予報となった。
不動産天気予報図
現在
2 0 1 5 年上期の予報
2 0 1 5 年下期の予報
2 0 1 4 年1 2 月末
2 0 1 5 年1 月~6 月
2 0 1 5 年7 月~1 2 月
晴れ時々くも り
晴れ時々く もり
晴れ時々く もり
晴れ時々くも り
晴れ時々くも り
晴れ時々くも り
晴れ時々くも り
晴れ時々くも り
晴れ時々くも り
くも り
晴れ時々くも り
晴れ時々くも り
晴れ時々くも り
晴れ時々くも り
晴れ時々くも り
全用途
オフィス
賃貸住宅
( レジ デンス)
商業施設
物流施設
TMAX Valuation Co.,Ltd.|TMAX All Rights Reserved.
1
用途別の分析結果は以下の通りである。
■オフィス
2014 年 12 月末時点の天気は「晴れ時々くもり」となり、2015 年上期以降も「晴れ時々くもり」
の予報となった。
オフィスでは稼働率が先行指標となり賃料よりも先に反応するが、稼働率と賃料との関係はエ
リアによって状況が異なっている。主要エリアでみると、大手町・丸の内・有楽町エリアにおい
ては、2015 年に約 9.5 万坪の新規供給があり、2016 年以降も引き続き新規供給が見込まれるも
のの、当エリアは集約移転などのニーズが高いため、需給バランスは引き続き逼迫すると予想さ
れる。地方主要都市では、名古屋駅前では 2015 年に大型ビル 2 棟の竣工により延約 10 万坪の供
給があることから、一時的に需給バランスが緩和する可能性がある。大阪駅周辺では空室率が改
善し増床・拠点集約などの前向きな要因での移転ニーズが多く募集賃料を値上げする動きがみら
れた。
J リートにおけるオフィス(全エリア)の実績稼働率(2014 年 12 月末)は、97%と高稼働が
続いている。エリアごとに状況は異なるものの、新規賃料の上昇により賃料ギャップ(新規賃料
と稼働賃料との乖離)は解消しつつあり、2015 年以降は NOI が改善する見込みである。
■賃貸住宅
2014 年 12 月末時点の天気は「晴れ時々くもり」となり、2015 年上期以降も「晴れ時々くもり」
の予報となった。
国土交通省の住宅着工統計資料によると、2014 年の貸家着工数は 36.2 万戸で、増加傾向にあ
るものの過去 10 年平均の貸家着工数 38.9 万戸に比べるとまだ少なく、賃貸マーケットへの影響
は限定的だとみられる。J リートにおける賃貸住宅(全エリア)の稼働率をみても、96%と高稼
働を維持しており、継続賃料も安定している。今後もこうした傾向が続き、NOI は安定的に推移
する見通しである。
■商業施設
2014 年 12 月末時点の天気は「くもり」となったが、2015 年上期以降は「晴れ時々くもり」の
予報となった。
経済産業省の商業販売統計によると、2014 年の百貨店売上高は 6.8 兆円(前年比+1.6%)、ス
ーパー13.3 兆円(前年比+2.4%)
、コンビニエンスストア 10.4 兆円(前年比+5.6%)となり、
いずれの業種も前年比プラスとなっている。個人消費の回復や円安による訪日外国人客の消費増
加が国内消費を下支えする効果をもたらしている。J リートにおける商業施設(全エリア)の稼
働率は良好であり、賃料も安定的に推移すると考えられる。
■物流施設
2014 年 12 月末時点の天気は「晴れ時々くもり」となり、2015 年上期以降も「晴れ時々くもり」
の予報となった。
EC 市場の拡大に伴い需要は旺盛であり、足元における大型物流施設の空室率は低位で推移し
TMAX Valuation Co.,Ltd.|TMAX All Rights Reserved.
2
ている。今後、内陸部において大型の供給が計画されており、一時的な空室率の悪化が懸念され
るものの、旺盛な需要を背景とし、次第に回復に向かう可能性が高い。J リートにおける物流施
設(全エリア)の稼働率も良好であることから、賃料も安定的に推移する見通しである。
調査概要
「ティーマックス不動産天気予報」は、①J-REIT が保有する不動産から基準不動産を抽出、
②基準不動産について 2014 年 12 月末時点を起点に、2015 年上期(1 月~6 月)の 6 ヵ月間の予測
NOI、2015 年下期(7 月~12 月)の 6 ヵ月間の予測 NOI を査定し、中長期的に安定的と見込まれる基
準 NOI との乖離率を求め、③指定セグメントごとに集計した乖離率を天気に見立てることで天気
予報図として表し、④これを 6 ヵ月ごとに更新するものである。
① 基準不動産の用途は、オフィス、賃貸住宅、商業施設、物流施設で合計 250 物件
選定基準は主要エリアに配慮し、
・オフィスは、大~中規模ビルを中心とし、主にマルチテナントビル
・賃貸住宅は、ワンルームとファミリータイプからそれぞれ抽出、高級賃貸物件もカバー
・商業施設は、NOI、賃料等の開示情報がある物件
・物流施設は、NOI、賃料等の開示情報がある物件
② 現在を起点とし 1~6 ヵ月後、7~12 ヵ月後の予測 NOI を査定
予測 NOI(Net Operating Income)は賃貸事業収益から賃貸事業費用(減価償却費、capex
等は含まない)を控除した純収益を指す。本調査では、投資法人が発表している決算短信等で
公表された実績値を参考に、市場賃料・空室率の査定値、テナント入退去の最新ニュース、独
自調査したテナント需給動向等を反映し、現在を起点にした 6 ヵ月間ごとの予測 NOI を査定
する。
③ 天気予報図の表示ルール
天気予報図は、基準不動産ごとに直近の実績 NOI(±0)
、1~6 ヵ月後の予測 NOI(+6)、
7~12 ヵ月後の予測 NOI(+7~12)と基準 NOI との乖離率を指定セグメント別に集計する。
<概念図>
(基準不動産)
決算短信による実績NOI比較
現在のNOIと
基準NOIとの乖離率
=
1~6ヵ月後の予測NOI(+6)
実績NOI(±0)-基準NOI
基準NOI
今後6ヵ月間のNOIと
基準NOIとの乖離率
=
予測NOI(+6)-基準NOI
基準NOI
7~12ヵ月後の予測NOI(+7~12)
7~12ヵ月後のNOIと
基準NOIとの乖離率
=
予測NOI(+7~12)-基準NOI
基準NOI
Σ (現在のNOI乖離率の指定セグメント集計)
Σ (今後6ヵ月間のNOI乖離率の指定セグメント集計)
Σ (7~12ヵ月後のNOI乖離率の指定セグメント集計)
現在の天気予報図へ
6ヵ月後の天気予報図へ
12ヵ月後の天気予報図へ
NOI乖離率がマイナス NOI乖離率がプラス
NOI乖離率がマイナス NOI乖離率がプラス
NOI乖離率がマイナス NOI乖離率がプラス
④ 天気予報図の調査時期
調査時期は、1 月と 7 月の年 2 回を予定している。
TMAX Valuation Co.,Ltd.|TMAX All Rights Reserved.
3
*免責事項
当ニュースリリースで示されているレポートは、投資判断のための情報提供を目的としたものであり、投資勧
誘や特定の銘柄への投資の推奨を目的としたものではありません。内容は現時点での判断を示したに過ぎず、
データ及び表現などの欠落、誤謬などにつきましては責任を負いかねますのでご了承ください。当レポートの
いかなる部分もその権利は株式会社ティーマックスに帰属しており、電子的または機械的な方法を問わず、無
断で複製または転送などを行わないようお願いします。
<本件に関するお問い合わせ>
株式会社ティーマックス
不動産戦略室
〒100-0011
東京都千代田区内幸町 2-2-1
日本プレスセンタービル
TEL:03-5501-2950
FAX:03-5501-2951
E-Mail:ff_t@tmaxv.co.jp
株式会社ティーマックスは、累計1 万6,000 件の不動産デューデリジェンス実績をもつ不動産評価会社です(不動産鑑
定業 東京都知事(3)第1823 号)。
不動産評価のリーディングカンパニーとして、全国のオフィス、住宅からオペレーショナルアセットまで多様な投資用不
動産の評価サービスを提供すると同時に、調査研究事業では不動産投資インデックスの開発・配信や、不動産マーケッ
ト全般の調査・分析を行っています。
「マーケット・リサーチ・レポート」は、ティーマックスが不動産の旬のトピックに関して分析、紹介するレポートです。
過去のレポートはホームページで公表しています。
http://www.tmaxv.co.jp/ (弊社ホームページトップ)→ナレッジレポート
TMAX Valuation Co.,Ltd.|TMAX All Rights Reserved.
4