気体放電現象における原子・分子過程の研究

〈電気システム工学科〉
気体放電現象における原子・分子過程の研究
佐々木 典彦(SASAKI Norihiko)
tb262@sendai-nct.ac.jp
教綬
所属学会・協会
日本物理学会,原子衝突研究協会
キーワード
①直流放電 ②高周波放電 ③プラズマ ④原子・分子過程
研究課題
●希ガス、N2 などを含む混合気体放電プラズマの物性
●気体の高周波絶縁破壊特性
●気体中イオンの輸送特性
研究シーズ
[1] N. Sasaki et al., 16th ESCAMPIG & 5th ICRP, Grenoble, 2 pp. 217-218 (2002)
[2] N. Sasaki and Y. Uchida, 19th ESCAMPIG, Granada, 3-16 (2008)
[3] N. Sasaki, M. Shoji and Y. Uchida, IEEJ Trans. FM 127 pp.714-718 (2007)
[4] K. Iinuma, S. Sasaki, J. Atmospheric Electricity 28-2 pp.51-61 (2008)
提供可能な技術
●プラズマ発生
●プラズマ計測(プローブ法、分光法)
図 1. 典型的な小口径放電(径 5mm)の様子
Ne 3 torr
10mA
図 2. 2nd psb (360-380 nm)の典型的な発光
Ne-N2 (10%)
600
N2
10
1
0.1%
Ne
500
V Sp-p (V)
現在プラズマは,半導体プロセス,環境改善,気体レーザ,ディスプレイ
など様々な分野で利用されている.従って,その基本的物性を明らかにする
ことは応用上重要である.
そこで当研究室では,応用上しばしば用いられる分子ガスを含む混合気
体プラズマを対象に,分子の内部状態の一つである「振動」に特に着目し,
混合比を細かく変化させながらプラズマの物性を調べることを大きなテーマ
の一つとしている.
使用する気体は希ガス(Ar, Ne)と分子気体の混合であり,分子気体として
振動励起断面積が大きく,絶縁ガスである SF6 の代替候補でもある N2 を選
択した.その結果,比較的径の大きい直流放電プラズマ(60 mm)では,僅か
数%の N2 の混合による振動励起が,振動温度,電子温度及び中性気体の
加熱に極めて大きな影響を与えることを実験的に明らかにした[1]. [2]は小
口径プラズマ(5 mm, 図 1)を用いた同様の実験を扱っており,そこでは低 N2
混合領域において[1]とはかなり異なる振動温度特性が得られている(図 2)
.現在 mm サイズ未満のプラズマがディスプレイに用いられているため,小口
径プラズマにおけるこの結果は興味深く,今後さらに多角的に調べていく予
定である.
[3]は,典型的な容量結合型高周波放電装置(13.56 MHz)によるプラズマ
発生に係わるものであり,電極間距離を変えつつ,気体の混合比を細かく
変化させながら静的絶縁破壊特性を得ている.これまで詳しく調べられては
いない高周波絶縁破壊における Penning 効果を広く確認したものとなってい
る(図 3).
また,地球電磁気学的観点から大気中の導電現象に関心が持たれている.
[4]は,平衡下の大気中イオン群の移動度に関する Mohnen の予想を解析的
に確認したものである.
400
300
200
100
0
0.01
0.1
1
10
100
p (torr)
図 3. Ne-N2 混合系における高周波破壊特性
13.56MHz 電極間距離:2.64cm