シンポジウム「医師養成大学院(メディカルスクール)を考える」 http://www11.ocn.ne.jp/~sugihara/ 今、日本の医療は、未曾有の超高齢化社会を目前に控え、大きな転換期を迎えています。 医師・医療者不足、大震災と原発事故からの復興・復旧、超高齢化、福祉との連携、地 域医療、在宅医療、社会復帰、チーム医療、緩和医療、患者さんの意識の高まり、国際化・ グローバル化など、私たちが抱える課題は、枚挙に暇がありません。 このような背景を受けて、プライマリ・ケアを中心とした幅広い診療能力の習得を目的 として、2004 年 4 月、新臨床研修制度が始まりました。また、2009 年度からは、医学部 定員の増員も開始され、最近は、医師不足の地域を中心に医学部新設の動きも出てきまし た。 しかし、医学教育の方法や質に関する関心は、これまでは医療者の中でさえも決して高 くはなく、議論 も不十分でした。日本の医学部には優れた点もあるのですが、良き臨床医 を育てるという観点から見れば、以前から、学力偏重の入学試験、医学部教員の研究偏重 などについて、一般市民や患者さんからも疑問が指摘されています。 ... 今こそ、患者さんが期待する医療者をどのように育てるべきか、立場を越えて皆さん で考えるべき時ではないでしょうか。様々な立場の方々がご参加下さり、熱い徹底討論に 加わって下さるのをお待ちしております。 シンポジウム「医師養成大学院(メディカルスクール)を考える」 実行委員会委員長 杉原正子 【日時】2012 年 11 月 11 日(日) 13:30~17:30 (開場 13:00) 【会場】東京大学本郷キャンパス医学部1号館3階講堂 (赤門のやや手前の新しい赤レンガのアーチ型の門をくぐって入り右手 2 つ目の 赤レンガの建物です。地図はこの頁の一番下もご覧ください。) http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_02_02_j.html 【交通】営団地下鉄・都営地下鉄 本郷三丁目徒歩8分 湯島駅又は根津駅(地下鉄千代田線) 徒歩 8 分 東大前駅(地下鉄南北線) 徒歩 1 分 【参加費】無料 【対象】どなたでもご参加頂けます。 (お申込みやご入場が多数の場合は先着順で制限させて頂くことがあります。) 【プログラム】 第1部 13:30~15:00 課題提起「今、なぜ医師養成大学院(メディカルスクール)なのか?」 13:30~13:50 本田宏氏「医師不足問題の構造と対策」 (済生会栗橋病院院長補佐、医療制度研究会副理事長) 13:50~14:10 杉原正子氏 「今、医師養成のあり方を問い直す~社会経験のある研修医の立場から」 (慶應義塾大学病院研修医) 14:10~14:30 矢野晴美氏 「グローバル化に対応した医療者教育に向けて」 (自治医科大学 感染症科 准教授) 14:30~14:50 山崎学氏 「コックになる人間は料理が好きでなければ駄目」 (公益社団法人日本精神科病院協会会長、 医療法人山崎会サンピエール病院理事長・院長) 14:50~15:00 討論・質疑応答 休憩 15:00~15:10 第2部 15:10~16:40 立場を越えて考える「理想の医師養成大学院(メディカルスクール)とは?」 15:10~15:25 杉原正子氏「他国のメディカルスクールの動向」 (慶應義塾大学病院研修医) 15:25~15:45 天野慎介氏「メディカルスクールは患者と医療を救うのか」 (NPO 法人グループ・ネクサス理事長、 厚生労働省がん対策推進協議会会長代理) 15:45~16:05 福井次矢氏 「メディカルスクールのメリットとデメリット」 (聖路加国際病院 院長、聖路加看護学園 理事長) 様々な立場からのリレー式講演 16:05~16:10 秋葉春菜 医師のキャリアパスを考える医学生の会 16:10~16:20 大磯義一郎氏「ロースクールの課題点 / メディカルスクールの法的な壁」 (浜松医科大学医学部「医療法学」教授、加治・木村法律事務所、 帝京大学医療情報システム研究センター客員教授) 16:20~16:30 井上清成氏「医師に求めるもの」(弁護士、井上法律事務所) 16:30~16:40 討論・質疑応答 第3部 16:40~17:20 まとめ 17:20~17:30 田口空一郎氏(総合司会) 全体討議 【総合司会】田口空一郎氏 (構想日本 政策スタッフ、河北総合病院 理事長政策室 室長) 【懇親会】 18:00~21:00 会費 4000 円(貸切、3時間飲み放題) チムニー本郷店 (03-5684-4970、赤門と本郷三丁目交差点の中点) http://r.gnavi.co.jp/g213900/menu1.html 【申込】氏名、所属、連絡先等を記載の上、下記までメール(件名は「医師養成大学院」) でお申込みください。 waruko_sugihara@yahoo.co.jp ==========================キリトリ============================== 氏名: 所属: 職種: メールアドレス: 懇親会参加(18:00~21:00): 出席 欠席 【発表要旨】 本田宏氏「医師不足問題の構造と対策」 (済生会栗橋病院院長補佐、医療制度研究会副理事長) 大震災と原発事故に襲われた日本に、人類未曾有の「超高齢化社会」がひたひたと迫っ ています。しかし日本政府は貧弱な医療福祉体制整備はそっちのけで、原発再稼働と社会 保障と税の一体改革と称した消費増税を強行、さらに TPP 参加まで目論んでいます。 一方グローバルスタンダードと比較すれば、日本の医療提供体制は貧弱で、医師をはじ めとした医療者の労働環境も劣悪ですが、医師不足や医療崩壊が社会的問題となっている 今でも、医療者の中には日本の医療は世界でトップレベルと信じている人がいることも事 実です。 今日本にとって震災復興、福島原発収束や避難民対策は最優先課題ですが、医療再生、 介護体制整備も優先度の高い喫緊の課題のはずです。本シンポジウムでは今なぜメディ カ ルスクール導入が必要なのか、日本の医師不足を解決する観点から考えてみたいと思いま す。 杉原正子氏「今、医師養成のあり方を問い直す~社会経験のある研修医の立場から」 (慶應義塾大学病院研修医) 現在、日本の医師養成は、6年制の医学部のみで行われているが、論者は、4年制大学 の既卒者、すなわち学士が入学する4年制の医師養成大学院(メディカルスクール)の開設を 提案する。法の壁などの課題もあるため、まずは特区制度でモデル校を開設するのが現実 的であろう。 医師養成大学院に関しては、情報不足のままイメージから賛否を二項対立的に唱えてい る方も多く、現場からの情報発信が急務であると考えた。また、これを機会に医師養成や 医学教育を根本的に考え直し、日本の医療の未来を考える契機としたかった。 論者が医師養成大学院を提案する理由は2つある。第一に、医療資源に関して言えば、 医学部の学士編入学の人数枠が入学希望者に比べ少なすぎるため、6 年制にあふれ出し、論 者のように 1 年次から再入学せざるを得ない学士が少なくない。国民にとっても本人にと っても時間とコストの浪費である。 第二に、医師の質と教育内容という点でも、社会の急激な変化に伴い、多様な経歴の多様 な医師を育てる、臨床に特化した医師養成機関が求められている 。 これら2点に対して、6年制のままで、学士編入学の枠を増やし、教育内容も改善すれば いいのではないかという反論が想定できるが、そもそも編入という方法自体が不自然であ り、既存のシステムや編入学という制約下では教育内容の大改革も期待できない。既存の 6年制の医学部は、研究偏重と縦割りが浸透し、需要が急激に高まっている診断学、プラ イマリケア、地域医療、家庭医療、救急医療、総合内科などを重点的に教育することは難 しい。 一方、医師養成大学院の開設に際しては、学位の再整備、文系出身者などを想定した医 学準備教育(米国でいう Pre-Med)制度の確立などの課題点も少なくない。実際韓国では、一 旦メディカルスクールを開設したものの、本格的な導入に失敗している。しかし、日韓で は背景も異なり、これらの課題に関する内発的な議論こそ、医師養成や医学教育の大改革 の可能性を秘めているとも言える。 以上について、情報提供と提案を行い、参加者と徹底討論していきたい。 矢野晴美氏 「グローバル化に対応した医療者教育に向けて」 (自治医科大学 感染症科 准教授) 現在、世界には、医療、環境問題、エネルギー問題、貧困、戦争などの各国共通の課題 がり、世界的経済危機の現在、教育は分野によらず最重要課題のひとつである。特に医学 教育は、先進国の高齢化と途上国人口爆発によりもっとも重要な領域のひとつとして世界 で注目されている。最近の医学教育学の目覚しい発展、進化から新しい教育モデルや評価 方法が多数提唱されており、世界の医学部・メディカルスクールでは、試行錯誤しながら もよりよい教育の実現が模索されている。一方、日本では、OECD 各国の平均に比べ、人 口やニーズに対する相対的な医師不足、地域医療の維持危機などがあることから、教育へ のリソース配分・投資が十分に進んでいないのが実情である。グローバル化と各国相互依 存がます ます進行している現在、世界的視点を持ち、地域に貢献でき、医師として世界に 十分通用する知識、スキル、態度を備えた人材教育が不可欠である。リソースが限られた 中で、いかに 20-30 年後、それ以降の未来に向けた医学教育を構築するかは国益に直結す ると確信する。現時点で、端的に国内医学教育の課題を表現するなら、「座学と見学中心」 の教育から「問題解決型と参加実践型」への教育システムの大きなシフトということであ る。世界で 1980 年代から提唱されている“SPICE ”と呼ばれるカリキュラムモデル (Student-centered, Problem-solving, Integrated, Community-based, Electives 学生主体、 問題解決型、基礎医学と臨床医学の統合型教育、地域基盤型、選択科目主体)をご紹介しな がら、今後の日本の方向性を議論したい。 福井次矢氏 「メディカルスクールのメリットとデメリット」 (聖路加国際病院 院長、聖路加看護学園 理事長) 全ての医学生が 4 年制大学の(医学以外の)課程を修了した者であることから、メディ カルスクールには、結果として、より優れた臨床医を養成できる可能性が高くなるという 教育学的メリットがあることは明らかであろう。しかしながら、この点についてさえ、北 米などでそのような教育システムとそのシステムで養成された医師と診療現場で経験をと もにしたことのある者とそうでない者との間に、大きな認識の差があるように思われる。 わが国の現行の高校卒業後 6 年制の医師養成課程と比較して、メディカルスクールには どのようなデメリットがあり、その創設を阻んでいるのかについても言及する。 井上清成氏「医師に求めるもの」(弁護士、井上法律事務所) 法曹(弁護士、判事、検事)の様相は、ロースクール、新司法試験、新司法研修制度に よって、大きく変わりつつある。たとえば目に付きやすい所で、医療関連法実務で言えば、 医療のわかるダブルライセンス弁護士や、行政法たる医療関連法規(医師法、医療法、健 康保険法など)のわかる弁護士の登場が挙げられよう。これらの人々がいずれ、医療と法 律のずれを、法律を正す方法によって直していくことと思われる。 もちろんロースクール等は、デメリット も大きかった。しかし、とにもかくにも法曹の 世界を確実に変えつつある。メディカルスクールも同様な事態を引き起こすであろう。一 つの例を挙げれば、今までは医療とさしたる関係も無く所与のものだった刑法や民法に対 して、単純に医療に適用するのはおかしなものだと、その不当さを真に理解し、それらを 法改正する動きにつながっていくことと思われる。 【演者の横顔(略歴)】 田口 空一郎(たぐち くういちろう)氏 東京大学大学院総合文化研究科 社会医療法人河北医療財団 広域科学専攻(科学技術社会論) 博士課程単位取得退学 理事長政策室室長 http://kawakita.or.jp/ 一般社団法人フューチャー・ラボ代表理事 http://thefuturelab.jimdo.com/ 構想日本 東京財団 政策スタッフ(非常勤)http://www.kosonippon.org/ 医療・介護・社会保障制度の将来設計 プロジェクトメンバー http://www.tkfd.or.jp/research/project/project.php?id=73 本田 宏(ほんだ ひろし)氏 弘前大学医学部卒、同大第一外科、東京女子医科大学腎臓病総合医療センター外科を経て 済生会栗橋病院外科部長、副院長を経て 2011 年より院長補佐 参考 HP)「医療制度研究会」 杉原正子(すぎはら http://www.iryoseido.com/ まさこ)氏 早稲田大学教育学部数学科卒業。日本アイ・ビー・エム(株)にてシステムエンジニア(SE) として 5 年半勤務した後、退職して早稲田大学大学院教育学研究科国語教育修士課程修了。 普連土学園高等学校非常勤講師、米国ハーバード大学大学院比較文学科留学を経て、東京 大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻博士課程単位取得退学。 2010 年 3 月、山梨大学医学部卒業、その後、早稲田大学医療人類学研究所招聘研員。 2011 年 4 月より慶應義塾大学病院研修医。 参考 HP)「杉原正子(すぎはら まさこ)のブログ」 http://ameblo.jp/masako-sugihara/ 矢野 晴美(やの はるみ)氏 93 年岡山大学医学部卒業、沖縄米海軍病院、岡山赤十字病院を経て 95 年渡米し、ニューヨ ークベスイスラエルメディカルセンターにて内科レジデント、テキサス大学ヒューストン 校にて感染症科フェロー、南イリノイ大学感染症科アシスタントプロフェッサーとして勤 務。2003 年ジョンズホプキンス大学公衆衛生学修士、2005 年に帰国し自治医科大学に勤務 し 2006 年より、現職、自治医科大学感染症科准教授。2012 年、オランダ・マストリヒト 大学にて医学教育学修士取得、現在も連携し研究を継続中。専門は臨床感染症学、医学教 育学。 参考 HP)http://www.jichi.ac.jp/hospital/rinsyoukansen/review%20GOMI.htm 山崎 學(やまざき まなぶ)氏 昭和 41 年(1966) 日本大学医学部卒 昭和 41 年(1966) 日本大学医学部付属板橋病院にてインターン 昭和 42 年(1967) 医師国家試験合格 昭和 47 年(1972) 日本大学 大学院卒(内科系精神医学専攻科)医学博士 昭和 47 年(1972) 日本大学医学部 精神神経科助手 昭和 52 年(1977) 防衛医科大学校 専任講師(文部教官) (~1980 年) 昭和 52 年(1977) 日本大学医学部精神神経科 兼任講師 昭和 57 年(1982) 医療法人 慈光会 昭和 62 年(1987) 社会福祉法人 慈光会病院 宏志会 天界園 平成 18 年(2006) 医療法人山崎会 サンピエール病院 (~1982 年) 理事長、院長 理事長 (~現職) (~現職) 理事長・院長(~現職) (法人・病院名変更) 平成 08 年(1996) 日本精神病院協会 病院管理委員会委員 平成 12 年(2000) 日本精神病院協会理事 (~2000 年) (~2002 年) 平成 14 年(2002) 日本精神病院協会常務理事 (~2004 年) 平成 16 年(2004) 日本精神科病院協会副会長 (~2010 年) 平成 22 年(2010) 日本精神科病院協会会長 福井 次矢(ふくい つぐや)氏 (~現職) 京都大学医学部卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院にて公衆衛生学修士(MPH)取得。 聖路加国際病院にて内科研修後、コロンビア大学 St. Luke's-Roosevelt Hospital(Research Associate)およびハーバード大学 Cambridge Hospital(Clinical Fellow)に留学。帰国後、 国立病院医療センター循環器科、佐賀医科大学総合診療部(教授)、京都大学医学部付属病 院総合診療部(教授)、京都大学大学院医学研究科臨床疫学(教授)-京都大学大学院医学 研究科社会健康医学系専攻(専攻長、健康情報学教授)を兼任-を経て、2005 年より聖路 加国際病院(院長)、2012 年より聖路加看護大学理事長。 大磯 義一郎(おおいそ ぎいちろう)氏 1999 年 日本医科大学医学部卒業 1999-2004 年 日本医科大学付属病院第三内科医師 2004-2007 年 早稲田大学大学院法務研究科 2007-2008 年 最高裁判所司法修習所司法修習生 2009-2010 年 201020112012- 国立がんセンター知的財産管理官、研修専門官 加治木村法律事務所 帝京大学医療情報システム研究センター客員准教授 国立大学法人浜松医科大学総合人間科学講座法学教授 帝京大学医療情報システム研究センター客員教授 日本精神神経学会情報管理委員会監事 井上清成(いのうえ きよなり)氏 1981 年東京大学法学部卒 86 年弁護士登録(東京弁護士会所属) 89 年井上法律事務所開設 2004 年医療法務弁護士グループ代表 2010 年厚生労働省社会保障審議会医療保険部会専門委員(出産育児一時金問題) 2012 年 2 月 指導監査処分改善のための健康保険法改正研究会を設立し、石川善一弁護士 と共同代表病院顧問、病院代理人を務める傍ら、医療法務に関する講演会、個別病院の研 修会、論文執筆などの活動に従事。現在、MMJ に「医療の法律処 方箋」を、月刊集中に 「経営に生かす法律の知恵袋」を連載中。著書に『病院法務セミナー・よくわかる医療訴 訟』、『医療再建』、『よく分かる病院のトラブル法的対応のコツ』(いずれも毎日コミュケー ションズ)、『病院法務部奮闘日誌』(日本医事新報社)、『医療事故損害賠償の実務』(和田 仁孝教授と共編・三協法規出版)など。 参考 HP)「指導監査処分改善のための健康保険法改正研究会」 http://www.kenpohoukaisei.sakura.ne.jp/ ▼シンポジウム「医師養成大学院(メディカルスクール)を考える」▼ http://www11.ocn.ne.jp/~sugihara/ /////// 人 ) 杉原正子(すぎはらまさこ) (c ⌒ ,⌒ 人_ ー 慶應病院 医師(研修医)、日本医学教育学会会員 米国内科学会(ACP)日本支部 Women's Committee 委員 日本医療政策機構・医療政策クラークシップ 2007 卒業生 杉原正子のブログ http://ameblo.jp/masako-sugihara
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