H22.10 NO.72

この
この
平成22年10月号
2001年9月11日 アメリカで衝撃的なテロ事件が発生しました。その後世界
からは平和という文字が薄らいできた感じがしました。やがて時の流れが
人間の心を癒したかと思いきや平和を掲げるべき人たちがコーランを焼却
すると宣言して再び不安が広がりました。歴史は繰り返すという言葉を思
い出すと寒くなります。秦の始皇帝が実行した焚書坑儒を思い出します。
秋の到来です。山々には心を癒してくれる果実が実ります。町の広場で子
供たちの平和な戦争が始まっています。この原点に人間は戻らなければな
らないと思います。 猛暑の疲れが残らないようにして下さい!
2009年6月に辻井伸行君がバンクライバーン音楽ピアノコンクールで見事に優勝しました。盲人の彼が世界を魅了したのです。めだかの学校も月刊誌で
紹介しました。誕生と同時に小眼球という病気で盲人としての人生を歩き始めましたが、お母さんは彼が3歳の時におもちゃのピアノで曲を弾くのを聞いて
早くも才能を見抜きました。医師である父は「ピアノばかりしていては駄目だ!」と口癖のように言ったという。しかし母のほめる言葉が嬉しくてピアノの
練習は苦に思わなかったという。やがて数々のコンクールで好成績を残し世界のひのき舞台で巨匠クライバーンに抱きしめられるという栄光を掴みました。
テレビでは22歳の誕生日の映像を紹介していました。「いつまでも両親の世話になるのでなく、一人立ちしなければいけない」とつぶやきます。いまでは
世界を舞台に演奏旅行の日程が詰まっているという。「僕の演奏を聞いて喜んでくれる人がいるならば、僕はいつまでも頑張る!そして父が言っていた言葉
の意味の重さに気がつくようになりました」と云う。障害を背負っても堂々と生き抜いてきた姿がまぶしく見えました。お母さんは伸行君が幼い時に「でき
ないことを嘆くより、できることをやろう!」と言ったといいます。まさに金言です。この平易な言葉にはとても重い、素晴らしい力が潜んでいます。今「め
だかの学校」が取り組んでいる難聴問題ではほとんどの人が中途難聴者なのです。障害は、その人の個性だと言い切る人もいます。しかしその境地に至る迄
は棘の道です。いままで聴こえていた人が聞こえにくくなっていくのです。伸行君にはとても大きな御両親の愛が支えとなっていました。難聴を抱えて悩ん
でいる人にも、障壁を乗り越えるまでは周囲の人の理解と協力が必要です。難聴者は世上で考えられているよりもはるかに大勢の難聴者が増えつつある。
当の難聴者が自分の難聴に気がつくのも遅いし、それ以上に周りの人はその人の難聴に気が付きません。聴こえるフリをする難聴者が多いのです。情報
社会ではこの問題は大きく膨らんでいきます。
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★ ある先生の紹介
講演資料:「長寿社会を楽しもう! 100歳まで補聴器を不要に!」
琉球大学名誉教授の野田 寛先生の講演内容を読んで大変感動いたしました。日本では高齢者難聴が大変な勢いで増えている。
しかし難聴は他の障害に比して他人には判らない。補聴器を使わない難聴者もとても多いからです。情報化社会においてコミニ
ケーションが取れないことは大きな社会問題である。こうした難聴者を取り巻く情勢については「めだかの学校」も折に触れ月
刊誌で紹介してきていますが、筆者が野田先生の講演に感動したのは「難聴の原因を知り、進行を止めることができる!」と言
い切っておられること。また食事のコントロールや適切な運動で苦痛である耳鳴りなども治すことができると明言されているこ
とである。次に補聴器は上手に使えば聴こえも満足できるようになるとも仰っておられます。難聴は高齢に向かうと進行するも
のである。耳鳴りは原因不明のために不治である。これらは、筆者をはじめ多くの難聴者の常識となっている。そこで「めだkの学校」では補聴器だけでは
満足な聞こえは得られず周辺機器をも上手に使いましょうと呼びかけている。野田先生の講演集を読み終えると、さっそく先生に手紙を書いた。どうして
も先生の蓄積された経験と知恵をご教授いただき、「めだかの学校」の聴こえの支援活動にもっと幅を持たせたかったのです。毎月第一土曜日にはめだか
の学校を開催して色々な方の聴こえの相談を受けているが、機器の紹介はできても「難聴にどの様に対処するか?」というアドバイスができない。どの難聴
者も難聴そのものについては非常に真剣であり、治したい、聴こえるようになりたい、という切実な願いを持っておられる。しかし耳鼻咽喉科や補聴器店
を訪ねても、聴こえの方法は補聴器に頼ることしか教えてくれないのが現実です。野田先生のような考えの持ち主に出会えたのは神のお導きだと筆者は考
えております。色々な処方や考え方をご教授いただきたく、面談希望のお手紙を差し上げた処、御叮嚀な返事が届きました。折を見つけて拝眉ご教授戴
きたいと切望しております。 御紹介いたしました講演会の資料は日本共産党台東区議会議員団(FAX03-5246-1487)で入手。
★ 日本の高齢社会と難聴問題
還暦(60)、古稀(70)、喜寿(77)、傘寿(80)、米寿(88)、卒寿(90)、白寿(99) という具合に高齢を寿ぐ風習があります。でも最
近のニュースでは何とも痛ましい悲しい実態が報じられています。不景気風に追われてホームレス社会で住所不定になったり、
沖縄では空襲で行方不明になった人が家族身内もなく生存不明という事態もあったと聞きます。高齢になっていくと寿ぐという
字がつく意味が薄れていく社会かもしれませんね!加齢により生ずる“老人性難聴”は多くの人に生じ得ます。従来より70才以
上で約半数が、90才以上になると殆んどの人が補聴器を必要とすると云われています。近年、加齢による難聴は内耳を養ってい
る血管の動脈硬化であることがはっきりして来ています。老人性難聴の患者さんの殆どが徐々に悪化してい
たのに最近国民的課題となった“メタボリック症候群”予防の様に食事をコントロールし運動励行や体操
などを行うと、この5∼6年、80∼90%の患者さんの聴力は悪化しない。それは耳動脈の血流が改善されるからと思われ、適切な予防に
より、進行防止、語音明瞭度の改善が可能となると野田先生は言っておられ「高齢難聴者の早期発見・早期対応」活動通じて、老人ク
ラブ、ミニデーサービス、自治会などにて、この難聴の予防・進行停止・内容の改善と健康講話を行い、百歳を過ぎても補聴器が不要
となるよう指導していおられます。この難聴の前兆としての耳鳴は“中性脂肪”との関連が、メマイ・フラツキ(前庭・三半器官の障
害)と“総コレステロール”との関連がわかって来ており、脳梗塞、心筋梗塞と同様、内耳の血管の梗塞により急に難聴を伴うことも
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あるので耳鳴り、メマイ、フラツキ、難聴は高脂血症が関連している場合これを改善させることにより消失、改善が可能だと仰っ
ています。野田先生は人工内耳、補聴器の適合運動にまで活動を広げておられます。こうした取り組みされている先生もめだかの
学校は求めていたのです。どの医師も補聴器店も難聴を説明してくださるが、どうすればよいかという指導性がない。めだかの学
校へ訪ねてくる多くの方々はどうすればよいのかを相談するところがないのです。医師も補聴器店も「補聴器には使い慣れること
が大切です!」という。では慣れるまではどうすればよいか? 手話も分からない、筆談には遠慮が伴う。やがて慣れるまでに社会
生活から脱落していってしまう。再び医師や補聴器店に相談に行くと両耳装着が効果的とさらに補聴器を薦める。健常者がいだく
補聴器への信頼度が難聴者を苦しめる。会社で働いていたときに「もっと良い補聴器を買いなさいよ!」と言われて悲しい思いをしたことがある。やがては
聴こえたふりをして自分をごまかすことの繰り返しである。野田先生は補聴器は高価な品物だから満足のいく聞こえが得られるまで何度も補聴器店へ通いな
さいと教えていますが、高齢者が何度も補聴器店へ足を運ぶこ事は大変です。でも先生の言われることはとても大切です。それこそ難聴者一人ひとりの聴こ
えの具合は異なるのです。どう聴こえているのか?どの様に聞こえが悪いのか?を何度も店員さんや医師に説明することが重要です。難聴者自身の声を医師
や補聴器店に伝えるということがとても重要であり、医師や補聴器店が不親切だと言っているわけではありません。くれぐれも誤解しないでください。
★ 9月4日 めだかの学校 体験会
この日も猛暑日です。ウンザリする暑さにも拘らず名古屋や岡崎、豊川、豊橋からも来客がありました。岡崎から来られたT氏は左
耳は言葉が聞こえなかったが、右耳だけで活動出来ていた。しかし最近は右耳も聞こえ辛くなってきた。何か良い方法はないだろ
うかという相談であった。色々と話を伺い、ソラやループやサンヨーのワイヤレスシステム、ソニーのトランシーバー、ソニーの
ヘッドホーンなどを試聴してもらった。どの機器も、基本的には音声を耳元まで届ける方法を利用している。どれを試聴されても
「よく聴こえる!」と首を縦に振られます。そこでTさんには「めだかの学校はプロ集団でなく、聴こえに役立つ色々な機器を紹
介しており、医師のように指導することはできません。でもTさんの聞こえは何らかの機器で聴力を補充すれば、それほど心配す
ることはないと思います。ただし、難聴が進むと場所や条件によって聞えが異なってくるのです。医師や補聴器店を訪ねても「補聴器」を薦めます。その
指導自体は正解ですが、説明ほどにはあらゆる場面で有効な聞こえを提供してくれない場合があります。そんな時にめだかの学校での体験を思い出して、
自分に合った聴こえの支援方法を考え出してください。まづは耳鼻咽喉科を訪ね、正確な聴力検査を受けてください。そして信頼できる補聴器店に行って
相談してください。そして昔から音声が聞こえない左耳には高価でなくてもよいから音が聞こえる様に耳かけ式補聴器をお勧め
します」と説明しました。次に蒲郡市内のTさん。以前よりソラを使っても、ループを利用しても、面と向かっての会話も出来
ません。校長はTさんの聴力支援する方法がないものだろうかといつも考えており、校長が最近購入したハイパワーの補聴器を
試聴してほしいと思っていました。このHB−J7PBはデジタルですがパワーが強く校長は満足しました。さらに外部入力も
ループ機能も装備しているので、これにソラを組み合わせて試聴すれば何とかならないだろうかと考えたのです。しかし色々
と試聴してみたのですが、結果は残念でした。校長の難聴よりも重症の様です。神経トラブルが大きく影響しているのです。
Tさんに色々と工夫を試みてもこれが「めだかの学校」の限界です。それだけに琉球大学の野田先生の様な処方を紹介できれ
ばさらに役に立つ活動が出来ると思いました。Tさんの為にも早く野田先生に会いたいと思いました。Tさんとは次第に人工
内耳の話に移って行きました。Tさんは大学病院の指導を受けておられるので、自分に合った聴こえの道を見出されるだろう
と思います。校長は人工内耳については勉強不足ですが、やはり空気中を音が伝搬する理屈は同じであり、音を耳元まで届け
る工夫は必要だと思っています。
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HB−J7PB
★ 11月6日 「めだかの学校」秋の文化祭
<文化祭での主な内容>
A.聴こえの支援機器体験
ソラシステム ループシステム ワイヤレスシステム テラ
B.聴こえの工夫に関する相談会
C.講演
テラの開発について−−−−−−
東京工業大学--------中村健太郎先生
これからの聴こえの支援について−−
「めだかの学校」校長----三好和宏
失敗しない補聴器選びの為に−−
東海リオン㈱ 社長-----石原龍起様
補聴器の手入れ等について−−−
岡崎ヒヤリング㈱-----------木村友哉様
来賓挨拶
蒲郡市福祉課 蒲郡市市会議員
D.マジックショー −−− 高村正吉氏
☆聴こえの支援機器の完備の他に要約筆記も用意しています。
☆ 開催時間は午前10時∼午後4時までです。
昼食は参加者は各自ご持参ください。お茶、菓子等は
ご用意いたします。
お願い! 御参加予定の方は 0533−68−4443
までFAXを戴きたくお願いいたします。
重要なお知らせ
<インターネットのURL><Eメール>が変わりました。 Eメール :miyoshi.kazuhiro@topaz.plala.or.jp
URL :http://www9.plala.or.jp/miyoshikazuhiro/
★ 相談、ご意見はFAXでもメールでも
結構です。 FAX:0533-68-4443
★ 集中豪雨を思う
平成12年9月11日、午後3時過ぎに中部地方を大雨が襲い、会社では遠路通勤者は早退す
るようにとの通達がでた。猛烈な雨に背を押され名古屋駅ではどのホームも人波で溢れて
いた。案内放送は頻りに流れているが補聴器ではうまく聞こえない。とにかく私も人の列
に並んで待ちながら隣の人に状況を聞くのだがホームの喧騒とスピーカーの音で説明がわ
からない。こうした場合は補聴器は全くと言っていいほど役に立たない。やがて一部の人
波がホームを離れて階段を下り始める。駅員の詰め所に行って、筆談の説明を求めたら、
「下り線は冠水のために全線ストップです」と説明があった。階段を下りて行った人たち
は名鉄や近鉄での帰宅方法を探しに行ったのだ。私も岡崎まで戻れば何とか蒲郡までは帰
れると考えて、名古屋鉄道に駆け付けたが、これもストップ。次は寝場所の確保をせねば
ならず、ホテルや終夜営業のサウナを訪ね歩いたがどこも満員で入れない。電話ができな
い私は歩きづめで探したが、結局駅のホームで寝ることに意を決した。ところがホームは
すでに私が横になるスペースもなくホームのはずれにスペースを見出し、傘を頭に広げ横
になったが眠れるどころではない。吹き込む雨と床を伝う雨で一睡も出来ないまま夜が明
けた。売店では食べ物は売り切れ実にひもじい思いをし、ホームレスの寂しさを体験した、
朝の10時頃になると下り列車が入ってきた。とにかく少しでも蒲郡近くまで帰りたいと
いう思いで飛び乗ったが大府駅で完全停止。その先は全くの海に化していた。その水が引
くまで待つ以外に方法はなく、誰もがホームに座って待った。私も補聴器がぬれない様に
とポケットにしまったので無音の世界である。やがて居眠ったらしい。駅員に起こされて
みて驚いた。ホームには私一人しかいない。駅員は説明するが私には何も判らない。駅員
が案内する通りに大府駅の外に出ると、名鉄バスが停まっていた。国道23号線を走りな
がら岡崎まで乗せてくれた。携帯電話を使っている人に、私の自宅に電話を入れてもらい、
岡崎駅まで女房が迎えに来てくれた。「聴こえない!」ということの不便さをイヤという
ほど味わった体験であった。 この不便さは健聴者には想像できないと思う。
三菱東京UFJ銀行
蒲郡支店
「めだかの学校」
校長:三好和宏
普通預金口座
4542427
*会費のご協力に感謝致します。
聞こえの支援<相談会と体験会>
10月2日−−勤労福祉会館
11月6日−−勤労福祉会館(文化祭)
12月4日−−勤労福祉会館
時間は朝の10時から夕方4時まで
お願い! 「めだかの学校」は一切の業務をパソコンで行っております。この猛暑が原因とは思えませが機器本体が熱を帯びて動作が悪いので、システムを交換しました。その際
今までに受信したメールの一部が消滅いたしました。アドレスを登録しなかったメールもあります。近況でもなんでも結構ですから、簡単なメールを頂戴できますれば
幸甚に存じます。今度は必ずアドレス登録いたします。 アドレスは右のとおりです。 miyoshi.kauhiro@topaz.plala.or.jp
よろしく!
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