世田谷パブリックシアター+文学座+兵庫県立芸術文化センター 『トロイラスとクレシダ』開幕 ! ! 「シェイクスピア最大の問題作」が興奮のエンターテインメント作品へ! 強烈な個性の登場人物たちを取り巻く「愛」と「戦い」の火ぶたが切って落とされる! 世田谷パブリックシアター、文学座、兵庫県立芸術文化センターの三者による共同制作作品、 『トロイラスとクレシダ』が 7 月 15 日(水)世田谷パブリックシアター(三軒茶屋)にて初日を迎えました。 「演出家とキャストの初日コメント」と「みどころ」をお届けいたします。 《 初日コメント 》 初日公演を終えた、現在の心境について ◆鵜山 仁 (演出) ◆浦井健治 (トロイラス トロイ王の末息子) ◆ソニン (クレシダ トロイの神官の娘) ◆岡本健一 (ダイアミディーズ ギリシャの将軍) 「問題劇」といわれているだけあって見どころが多く、ラブストーリーとしてもグロテスク な喜劇としても受け取ることができる作品、条理と不条理、笑いと涙が混在している 芝居なのだとお客様に教えていただきました。矛盾したものがぶつかり合うと芝居は 弾んでいくもので、この先も右肩上がりに良くなっていくと思いますので、ぜひ皆さんに ご覧いただきたいです。 キャスト全員で鵜山さんの演出を信頼し、稽古してきた毎日でした。一致団結してや ってきたチームワークがお客様にメッセージとして届き、想像以上の反応をキャッチ ボールのように返していただけたことに、役者もスタッフも高揚しています。お客様に 必ず何かしらの満足していただけるプレゼントができるように、メンバー誰一人欠ける ことなく千秋楽までやり切りたいです。 私たちは鵜山さんの演出のもと、カンパニーとしてこの作品のメッセージを発信して いますが、最終的にはその日のお客様がどう捉えるかによって、この作品の「色」が決 まるのだと感じました。この作品ほどそのように感じたことはありません。毎日初日を迎 える気持ちでゼロから始めて、その日のお客様と対峙し、この作品を作り上げていき たいと思います。 全身全霊で稽古をやってきたので、お客様に良い反応をいただけて嬉しいです。登 場人物の 1 人 1 人が主役になりうる、つかみどころがたくさんある作品で、作品の核と なるものはお客様それぞれが決めるものだと思います。この作品の終わりがないという ところが人生とも似ているなとも感じました。観るたび琴線に触れる部分が違う作品に 仕上がっていると思うので、千秋楽まで非常に楽しみです。 1 ◆渡辺 徹 (パンダラス クレシダの叔父) ◆今井朋彦 (ユリシーズ ギリシャの将軍) ◆横田栄司 (アキリーズ ギリシャの将軍) ◆吉田栄作 (ヘクター トロイ王の長男) 以前から、文学座の先輩方にも最終的な演出家はお客様だと言われてきましたが、 初日を迎えて最後のエネルギーが注入されたという気がします。改めて作品の面白 さを実感しています。お客様に心から楽しんでいただき、最後に何かが残るという演 劇の理想的な形だと思います。良い作品、そして良いお客様にめぐりあえて感謝して います。 今回ほど、お客様が僕たちの予想を裏切る反応をしてくださる芝居はそれほどありま せん。字面で読んでいては見過ごすような部分までしっかりと理解してくださったことに 感動しました。鵜山さんは台詞ひとつひとつに含まれているものを追求する大切さを 役者に思い出させてくださる演出家です。今回のような複雑な作品では特に、そこま でしないといけないということを、演出の中で伝えてくださいました。 「稽古は裏切らない」と感じました。鵜山さんの演出のもと粘り強く稽古を積み上げて こられたのは誇りですし、初日ではその積み重ねがまだ小さいながらも実ったと思いま す。アキリーズという破天荒な人物を演じるにあたり「舞台に出たからには爪痕を残し て来い」という文学座の伝統的な教えの意味が今ようやく分かってきました。これから 他の役との掛け算でもっともっと良くしていきたいです。 ある種、難解なシェイクスピア作品の中から鵜山さんが今に通じるメッセージを拾い 上げてくださったと思います。舞台美術や照明、音楽の力も絶大で、様々なシチュエ ーションを成り立たせてくださいましたので、役者は自分の役割をしっかりと果たせば よいという信頼がありました。この初日の成功は、総合演出の勝利に他ならないと思 います。 《 みどころ 》 『トロイラスとクレシダ』は、歴史上名高いトロイ戦争という男たちの「戦い」と、駆け引きや裏切りが渦巻く 男女の「愛」の二本柱からなる物語です。悲劇的でありながら、笑劇的、風刺劇的要素も多く含むことから、 シェイクスピアの“問題劇”の代表格とされている本作は、世界的にも上演機会の稀な作品として知られ ています。 演出の鵜山仁はこの作品を現代にも通じる物語として、舞台上に立ち上げました。本作の登場人物たち は、トロイ軍はカーキ色、ギリシャ軍は迷彩柄という現代の戦闘服にも通じる衣裳に身を包んでいます。紀 元前のトロイ戦争の物語でありながら、舞台がヨーロッパとアジアの境目であるという点も相まって、2000 年が経過した現代の世界情勢をも連想させます。 せり出した舞台は客席と地続きになっており、登場人物たちは客席の間を縦横に動きまわり、我々観客に対 しても語りかけます。さらに全編を彩る打楽器の音色がめくるめくシーンにぴたりと寄り添い、時に恋人たちの 胸の高鳴りを増幅させ、また時に戦場で激突する将軍たちの格闘を鼓舞しながら、舞台と客席を包み込み 臨場感を何倍にも高めます。 読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞後、初のストレートプレイへの登場となる浦井健治を始め、総勢 26 名の 出演陣の熱演と、重厚かつ軽妙なスタッフワークにより、本作は紀元前のトロイ戦争の時代と、400 年以上前 のシェイクスピアの時代、そして現代の接点が鮮やかに浮き彫りになる、シェイクスピア劇の醍醐味を十 二分に味わえる興奮のエンターテインメント作品となっています。どうぞお見逃しなきよう。 2 《 ストーリー 》 トロイとギリシャによるトロイ戦争が始まって 7 年。トロイ王プライアム(江守徹)の末王子トロイラス(浦井健治)は、神 官の娘クレシダ(ソニン)に恋焦がれている。クレシダの叔父パンダラス(渡辺徹)により二人は結ばれ、永遠の愛 を誓い合う。しかし、トロイを裏切りギリシャ側についた神官は娘のクレシダとトロイの将軍との捕虜交換を求め、ク レシダはギリシャに引き渡されてしまう。一方、トロイ王の長男ヘクター(吉田栄作)は膠着した戦況を打破するため ギリシャ陣営へ一騎打ちの申し出を伝える……。 《 公演概要 》 世田谷パブリックシアター + 文学座 + 兵庫県立芸術文化センター 『トロイラスとクレシダ』 2015 年 8 月 20 日(木) 18:30 開演 会場: 大垣市市民会館 【作】 ウィリアム・シェイクスピア 【翻訳】 小田島雄志 【演出】 鵜山仁 【出演】 浦井健治 / ソニン / 岡本健一 / 渡辺徹 / 今井朋彦 横田栄司 / 鵜澤秀行 斎藤志郎 高橋克明 / 櫻井章喜 石橋徹郎 鍛治直人 / 松岡依都美 荘田由紀 𠮷野実紗 / 木津誠之 神野崇 内藤裕志 宮澤和之 / 廣田高志 若松泰弘 植田真介 / 浅野雅博 小林勝也 / 吉田栄作 / 江守徹 【演奏】 芳垣安洋 高良久美子 3
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