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大学院理工学研究科 材料工学専攻
准教授 林 幸 / 助教 渡邊 玄
林 幸 准教授
渡邊 玄 助教
専門分野: 鉄冶金学、材料物理化学、熱物性
キーワード: 鉄、非鉄、製錬、スラグ、ガラス、物性、構造
電子メール:hayashi@mtl.titech.ac.jp
TEL&FAX:03-5734-3586 & 3589
現在の研究内容と目指すもの
現在、林研究室では熱力学、移動速度論、金属電子論などの学問
を基礎とし、炭酸ガス排出量抑制高温プロセス開発のための基盤
研究、すなわち、低炭素高炉実現を目指した鉱石還元・溶融挙動
の解明やグリーンエネルギー発電による電力を加熱源に用いるマ
イクロ波誘導加熱現象の解明についての研究に取り組んでいます。
また、亜包晶鋼の連続鋳造用モールドフラックスの開発やFe1-xO表
面構造および水素還元のナノスケール観察、溶融スラグの物性値
(活量、熱伝導度、超音波物性など)と構造との関係など、バラエ
ティー豊かで独創性に富んだ研究を行っています。
高炉の模式図
主な研究テーマ
・高炉内鉱石還元・溶融挙動の解明
鉄鋼業のCO2排出量割合は日本全体の14.%であり、その大部分は
高炉から排出されています。高炉とは、鉄鉱石をコークスにより還
元し銑鉄を得るための炉ですが、高炉に挿入されるコークスは、還
元材であるとともに、燃焼による原料の加熱源、さらに高温ガスの
通気を確保する隙間を作るための構造材の役割も果たしています。
私たちは、コークス比を下げることにより生じる通気の問題を解決
するため、通気の妨げとなる鉱石の溶融挙動に着目し、通気性を
損なわない鉱石開発のための基礎研究に取り組んでいます。
・物質のマイクロ波加熱と複素誘電率・透磁率測定
高温プロセスでは、現在、化石燃料の燃焼エネルギーを用いており、
地球温暖化をもたらす炭酸ガスを多量に排出しています。炭酸ガス
排出量を大幅に抑制するには、非化石燃料(原子力、風力、太陽
光、核融合等)により発電する電気を加熱源に用いる必要がありま
す。そこで私たちは、電気による加熱源としてマイクロ波に着目しま
した。マイクロ波は、従来加熱法に比べ、内部加熱、選択加熱、反
応促進効果など優れた特性を持っています。私たちは、物質とマイ
クロ波の相互作用についての研究を行っています。
出力10kW型マイクロ波炉
・亜包晶鋼の連続鋳造用モールドフラックスの開発
亜包晶鋼は、連続鋳造過程において溶鋼から鋳型への抜熱が不
均一である場合、縦割れが発生するという性質があります。均一抜
熱を達成するためには、溶鋼と鋳型との間の潤滑剤であるフラック
スを結晶化させ抜熱速度を遅くすることが重要です。私たちは、フ
ラックスの結晶化速度を正確に測定するためのホットサーモカップ
ル装置を開発し、フラックスの結晶化と伝熱について研究を行い、
実用フラックスの開発に取り組んでいます。
走査型トンネル顕微鏡とFe1-xO表面構造
・ Fe1-xO表面構造・水素還元のナノスケール観察
FeOの固体表面欠陥構造や水素還元反応をSTMやLEEDにより、原子ス
ケールで観察し、第一原理計算により解析を行っています。
・溶融スラグの物性値と構造との関係
シリケート融体は、鉄・非鉄精錬に用いられ、特に近年鋼の高品質
化にともない溶融スラグの物性値を知ることが重要となっています。
私たちは、様々な溶融スラグの物性値を測定しています。
ホットサーモカップル法によるモールドフ
ラックスの結晶化挙動の観察