THE SADTLER NEWSLETTER Vol. 24 Oct., 2008 (Japanese) Coming Soon! KnowItAll インフォマティクスシステム バージョン 8 の新機能 Mixture Analysis F T - I R スペクトルによる混合物サンプルの同定は非常に難しいとされています。データベースに同じ混合 物のサンプルのスペクトルがあれば、同定の手がかりとなることもありますが、その混合比率によってス ペクトルは変化するため、スペクトル検索だけで未知化合物の同定をすることは誤った結果を導き出す可 能性もあります。そのため、混合物サンプルのスペクトル解析では、通常純粋化合物のスペクトルとの差 をとって同定したり、ある化合物に固有の小さなピークに着目して検証していくなど、スペクトロスコ ピーの専門知識を駆使し、時間と根気のいる作業となります。 KnowItAll インフォマティクスシステムバージョン 8 には Mixture Analysis という新しいプラグインが追加さ れます。混合物サンプルのスペクトルから候補となる化合物を見つけ出し、検証していく独自のアルゴリ ズムを搭載した混合物スペクトル検索のためのツールです。今回はこの新機能について、簡単に紹介しま す。 混合物スペクトルの解析は非常に神経を使う作業 まず、通常のスペクトルサーチを行いその結果と で す 。あ ら か じ め わ か っ て い る も の に せ よ 、 ス ペ クトルの成分を手作業で分離するのは根気のいる Mixture Analysis との違いを比較してみます。 KnowItAll インフォマティクスシステムに標準の混合 仕事です。この煩わしい作業を自動的に行うため 物サンプルスペクトルファイルに対しスペクトル検 に開発された新しい機能が Mixture Analysis です。 索を行いました。条件は以下の通り。 Mixture Analysis はおおよそ次のようなアルゴリズム で行われます。 ○ 考えられる候補成分の数の設定できます。 ○ データベースに対してスペクトル検索を行い、特定 の範囲で未知スペクトルと似ている順に並べられた 仮想の検索結果を作成します。 ○ 仮想ヒットリストのすべてのデータに対して以下の プロセスが繰り返されます。 仮想ヒットリストのスペクトルとデータベース のスペクトルを一定の比重で加算し、比重を変 化させながら測定スペクトルと加算されたスペ クトルとの差が最小になるまで続けられます。 このプロセスは仮想ヒットリストとデータベー スのスペクトルのすべての組み合わせで行われ、 これにより追加された新しい成分は測定スペク トルと加算されたスペクトルとの類似点を向上 させます。 ○ サンプルスペクトル :Tumix.dx ○ データベース : コンデンスドフェイズ (SA) ○ サーチアルゴリズム Euclidean Distance ○ ベースライン補正なし 次のようなヒットリストが作成されました。 ○ Mixture Analysis のヒットリストは加算されたスペ クトルが測定スペクトルと似ている組み合わせの順 で並べられます。 Sadtler Newsletter Vol.24 通常のスペクトルサーチでは、スペクトルの面積を重視 し、その差の少ないものを順にリストします。ベンゼン の特徴である 3100 cm -1 と 700cm - 1 近傍のピークは無視 4. オプションタブで検出したい成分の数 ( 予想され る成分の数 ) を設定します。ここでは 2 を設定し ます。 されたような検索結果しか得られません。この場合、 1. サンプルスペクトルからシクロヘキサンのスペクトルを引 き算し、その差スペクトルを再度検索する。 2. AnalyzeIt IR などの解析支援ツールを使って、シクロヘキ サンにはないピークがどのような官能基に由来するもので あるかを検証する。 などの再検証が必要となります。 次に Mixture Analysis を実行します。使い方は通常のスペ クトルサーチとほとんど同じです。 1. Mixture Analysis プラグインを開きます。Raman や NIR、 UV スペクトルでも Mixture Analysis が可能です。 5. 参照する候補化合物の数を設定します。ヒット リストにリストされる組み合わせの数となりま す。ここでは 25 と入力します。 2. データベースを選択します。(SA を選択 ) 3. スペクトルの種類を選択し、スペクトルファイルを開きま す。ここでは IR をクリックし、ファイルを開くダイアロ グボックスで tumix を選択します。 Sadtler Newsletter Vol.24 6. < サーチ > ボタンをクリックします。 スペクトル t u m i x はベンゼンとシクロヘキサンの混 7. ヒットリストはスペクトルの形が似ている成分 ( デー タベースの化合物 ) を組み合わせた形で表示されま 合物です。純粋化合物のデータベース( S A ) から、 Mixture Analysis によって、ベンゼンとシクロヘキサ す。 ンのそれぞれの成分が分離されて、検出されまし た。 Mixture Analysis は KnowItAll インフォマティクスシステムバージョン 8 より ChemWindow 以外 のエディションに搭載されます。また、その他にもスペクトル検索をより効果的に行うため のツールが充実しています。 その一つが A T R スペクトルハンドリングツールです。その機能を簡単に紹介すると次の通り になります。 ○ ユーザーデータベースを作成する際に透過スペクトルを ATR スペクトルに変換、ATR スペクトルを 透過スペクトルモードに変換することが可能。 ○ データ処理に ATR 補正のほかに、透過スペクトルを ATR スペクトルに変換する逆 ATR 補正機能を追 加。 ○ 透過スペクトルを ATR スペクトルに変換してサーチが可能。 K n o w I t A l l インフォマティクスシステムバージョン 8 は 2 0 0 8 年 1 2 月リリース予定です。 すでに K n o w I t A l l インフォマティクスシステムをお持ちの方でバージョン 8 の機能に興味のあ る方は弊社までお問い合わせ下さい。アップデートに関してご相談させていただきます。 アップグレードやプラグインの追加、操作方法などを問い合わせいただく場合には お手元のセキュリティーデバイス番号もしくはシリアル番号をご確認の上、ご連絡 ください。お使いの製品の仕様やバージョンをお知らせいただくことでより早い対 応が可能になります。 お問合せ、ユーザー登録は informatics_jp@bio-rad.com へ Sadtler Newsletter Vol.24 FAQ より この状態でも検索を行うことは可能ですが、 ヒットリストはロックされたされた状態(下 図 ) となり、スペクトルとコレクションコード しか表示されません。このロックを解除する にはサブスクリプションライセンスまたは ヒットリストキーが必要となります。 ①ライセンスについて KnowItAll IR エディションにはデモ用として 90 日間のサブスクリプションライセンスがつい ています。ライセンスドングルを USB ポート にさしこんでから 90 日間ハブ・イットオール IR を利用することができます。 SearchIt プラグ インのデータベース選択タブで Reference-Full Access を選択し、<すべて選択 > をクリックし て、ハブ・イットオール IR すべてを検索対象 にすることができます。 ③ヒットリストキー 所有しているデータベース(ユーザーデータ ベースやパッケージデータベースなど ) とライ センスの切れたデータベースからのエント リーがヒットリストに混在していると、ヒッ トリストキーは利用できません。 ( 下図参照 ) ②ライセンス終了後 ライセンスが終了した場合、データベース選 択タブでは、購入したものだけが、 <Reference-Full Access> にリストされ、その他 のものは <Reference-Limited Access> にリストさ れます。 これは所有しているデータベースからなんら かの情報を得ることができたことを意味する ため、ヒットリストキーの無駄な消費を避け るために設計されたものです。ヒットリスト キーを利用する場合には検索対象のデータ ベースから所有しているデータベースを削除 してください。選択したデータベースの設定 はサーチプロファイルに保存しておくことが できます。 バイオ・ラッド ラボラトリーズ株式会社 インフォマティクス事業部 〒 114-0002 東京都品川区東品川2-2-24 天王洲セントラルタワー 20F TEL 03-6361-7080 Fax 03-5463-8483 E-mail informatics_jp@bio-rad.com Sadtler Newsletter Vol.24
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