ニュースレターvol.2

新学術領域研究
精神機能の自己制御理解にもとづく思春期の人間形成支援学
精神機能の自己制御理解にもとづく思春期の人間形成支援学
目次
領域代表あいさつ
領域代表あいさつ
東京大学大学院医学系研究科 精神医学分野
笠井 清登 ................................................... 3
研究成果
<A01>
ヒトの思春期を考える
総合研究大学院大学 長谷川 眞理子.................................................................................. 4
時間割引における自己制御の神経経済学
北海道大学・大学院・文学研究科・社会科学実験研究センター 高橋
青春期の健康・発達コホート研究
東京都医学総合研究所
泰城 .................... 5
Tokyo Teen Cohort Study
西田 淳志.................................................................................. 6
中高生の睡眠習慣は親の考えで変化するか?
東京大学大学院教育学研究科 健康教育学分野 佐々木
司 ............................................... 7
<A02>
霊長類の社会行動実験を用いた自己制御の神経基盤解明
理化学研究所 適応知性研究チーム 藤井 直敬 ................................................................. 8
音声の認識における自己と他者
首都大学東京 大学院人文科学研究科 萩原
裕子.............................................................. 9
視点を変えて自分と他者を見る脳活動
首都大学東京大学院 言語科学教室 橋本
龍一郎 .......................................................... 10
言語・文化・認知のインターフェイスと自己制御
広島大学大学院教育学研究科/言語と認知のプロジェクト研究センター
酒井 弘 ....... 11
「生活と脳」を明らかにする real-world neuroimaging
群馬大学 大学院医学系研究科 神経精神医学 福田 正人 ............................................... 12
発声制御と自己認知
東京大学大学院総合文化研究科 岡ノ谷 一夫 ................................................................. 13
<A03>
分子から社会までの統合的アプローチによる自己制御の形成・修復支援
東京大学大学院医学系研究科 精神医学分野
言語・認知による自己制御支援方策開発
笠井 清登 ............................................... 14
~メタ認知訓練法の開発と効果の検討~
東京都医学総合研究所 心の健康プロジェクト 山﨑 修道 ........................................... 15
うつ病発症のリスクの高い新入大学生に対する精神の自己制御性の獲得による発症予防介入
広島大学医歯薬保健学研究院精神神経医科学
岡本 泰昌 ............................................... 16
1
社会における自己制御の支援方策開発
京都大学大学院医学研究科 村井 俊哉 ............................................................................ 17
身体イメージの自己修復支援
神経性無食欲症の臨床研究および臨床応用を通して
名古屋大学医学部附属病院精神科 田中 聡 ..................................................................... 18
研究成果
思春期コホート研究に DNA メチル化マーカーを導入する際の技術的検討
東京大学大学院 医学系研究科 分子精神医学講座 文東 美紀 ......................................... 19
思春期の性成熟が自己制御能力低下に及ぼす影響およびその遺伝・環境リスク要因の解明
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科・神経機能学 西谷
正太 ........................................ 20
思春期の精神病理に対する情動・認知的自己制御力の影響に関する発達行動遺伝学研究
慶應義塾大学文学部 藤澤 啓子 ....................................................................................... 21
敵か味方か? -こころの理論とシミュレーションの生物学的根拠を求めて
新潟大学医学部・超域学術院 長谷川 功 ........................................................................ 22
言語の臨界期脳にせまる: 思春期とその前後の音声言語習得
慶應義塾大学・社会学研究科、Ecole Normale Supérieure, IDEC
皆川
泰代 .............. 24
認知神経科学と fMRI 実験による思春期の自我機能の成立とその神経基盤の解明研究
玉川大学脳科学研究所 伊藤 岳人 ................................................................................... 25
長期自己制御の神経基盤の解明と形成支援への多次元アプローチ
研究代表者 (独) 国立精神神経・医療研究センター 花川
隆 ......................................... 26
思春期および小児期・青年期における精神疾患の治療と予防に関わる脳神経倫理学
東京大学大学院総合文化研究科 石原 孝二 ..................................................................... 27
環境からのフィードバック促進による反応の結果予期の変容効果
信州大学教育学部 高橋 史 .............................................................................................. 28
ヒト高次連合野の成熟前後における神経回路特性と神経可塑性の検証
横浜市立大学大学院医学研究科 精神医学部門 中村 元昭 ........................................... 29
気分障害発症における思春期早発の影響
理化学研究所 脳科学総合研究センター 笠原 和起 ........................................................ 30
活動報告
領域会議 .................................................................................................................... 31
若手・女性研究者向け夏合宿 ................................................................................... 32
業績一覧 .................................................................................................................... 35
2
領域代表あいさつ
精神機能の自己制御理解にもとづく
思春期の人間形成支援学
東京大学大学院医学系研究科 精神医学分野
笠井 清登
概要
思春期は、人間が社会との交流を通じ
て自我を育み、人間性を形成するため
に極めて重要なライフステージです。
長い思春期は、進化史上人間に特徴的
であり、これは、大脳皮質のなかで最
後に前頭前野が成熟することと対応し
ています。近年、従来の成人のこころ・
脳の研究に加えて、赤ちゃんや子供の
こころ・脳の研究が進展してきました
が、思春期はこれらの狭間で研究対象
となってきませんでした。身体発達上、
健康度の非常に高い時期であるため、
精神の発達も健康な時期であるとの誤
本領域は、分野横断的な研究者の連携
教育・社会への還元のため、思春期学
解があったのです。しかしながら、精
により、「思春期」「自己制御」をキ
についての教科書の編集始、全国の小
神疾患の大半が思春期に発症すること
ーコンセプトとした、新しい総合人間
中学校の保健室へ配布される壁新聞で
や、日本では思春期・青年期の死因の1
科学を創出します。思春期コホートか
の「青春脳」シリーズ企画、中学生の
位が自殺であるなど、思春期は精神の
らのエビデンスによる提言や具体的な
保健体育の教材として「こころの健康」
健康にとっても危機であることがわか
支援策の開発を通じて社会に貢献する
副読本の作成にそれぞれ着手するとと
ってきました。
ことを目標とします。
もに、広報・市民との対話として、7
人間は、進化過程で発達した前頭前
平成 24 年度は、本領域を新たな学
月に小学生とその保護者を対象にひら
野を活用して自我機能を成立(自己像
術領域として確立するために精力的な
めきときめきサイエンスプログラム
を形成)させ、自分自身の精神機能さ
活動を行いました。本領域の計画研究
「こころの健康を科学する」を開催し
らには脳機能を自己制御する、「精神
の目玉である、東京ティーンコホート
ました。
機能の自己制御性」を持つに至りまし
をスタートさせたことは特筆すべきこ
平成 25 年度は、各計画研究・公募
た。人間は、思春期にこの自己制御機
とです。5 月には、伊佐正先生、坂井
研究間の共同研究をさらに推進し、10
能を用いて、自己を形成し、発展させ
克之先生、安藤寿康先生、山岸俊男先
月の国際シンポを通じて、思春期の総
るのです。「汝自身を知れ」との言葉
生をゲストに招き、本領域への期待を
合人間科学を国際的に推進する潮流を
にあるように、自己制御は、古より哲
語っていただく公開シンポジウムを行
作っていきたいと考えております。さ
学の重要なテーマでしたが、こうした
いました。7 月には、本領域の計画研
まざまな分野の研究者の方々が本領域
再帰性・自己参照性を持つ概念は、脳
究・公募研究者が一堂に会し、若手・
に関心を持っていただき、ご指導いた
の分子メカニズムの解明を重視する還
女性研究者育成のための合宿を行いま
だけますよう宜しくお願い申し上げま
元主義的な脳科学では扱うことが困難
した。
さらに領域のコンセプトを英文総
す。
でした。この自己制御性を成熟させる
説にまとめて発表しました(Kasai K:
ためのライフステージである思春期が
Toward an interdisciplinary science of
研究対象となってこなかったのは、最
adolescence: insights from schizophrenia
後の砦としていわば必然だったのです。
research. Neurosci Res 75: 89-93, 2013)。
3
研究成果
ヒトの思春期を考える
総合研究大学院大学
長谷川
眞理子
概要
思春期は、子ども期とともに他の霊
長類の生活史にはない期間であり、自
分の周囲の社会環境に適応した自己を
形成するための極めて重要なライフス
テージです。思春期は、いつの時代も
波瀾万丈なものです。ここでの発達の
歪みは、深刻なこころの問題や社会病
理に多大な影響を及ぼします。それが
成人における精神疾患に波及して、結
果的に社会全体にも多大な損害をもた
らすのです。現代は、いじめ、不登校、
引きこもり、ゲーム、携帯電話、イン
ターネット、塾、お受験など、子ども
のストレスが山ほどあります。それに
よって、思春期に問題をかかえる子ど
東京ティーンコホート立ち上げ
もが増えています。
ンコホートの参加者の一部に対して、
平成 24 年度は、ついにティーンコ
本計画研究は、10 代の地域標本から
また、A03 班と協調しながら、ティー
ホートの第一期調査を開始しました。
なるティーンコホートを対象に、精神
10 歳の誕生日を迎える前後の児童と
医学、心理学、行動学的な調査を行う
その主たる養育者を対象に、質問紙調
ことを目的としています。ヒトの進化
査と調査員によるインタビューを実施
における思春期の特殊性に着目し、進
しています。
別途,唾液や MRI の調査にもご協力い
ただくという“サブサンプル”プロジェ
クトの準備も進めてきました。こちら
は、平成 25 年度に開始される予定です。
児童虐待・少年犯罪データの分析
化心理学・人間行動生態学からの仮説
を導入し、発達パターンの集団内変異
の幅を測定するとともに、自己制御の
発達におけるどのような要因が、その
後の精神機能自己制御に影響を及ぼす
かを検討したいと思っています。こう
して得られた結果から、思春期の発育
のための具体的支援方法を考察します。
11 月に開始した調査ですが、3 月ま
ティーンコホートのスタートアプと
での間に、すでに 1000 組を超える世
同時に、児童虐待・殺人データの分析
帯からご協力をいただきました。この
も進めています。
ペースで調査が進めば、最終的には
5000 組から 6000 組の親子データが得
られると期待できます。日本で初めて
の大規模な思春期コホートですから、
大切に育てていきたいと思っています。
児童虐待にかんする新聞記事を収集
したり、検挙された児童虐待事件の詳
細な情報について警察からの情報を取
得したりしてきました。少年犯罪につ
いては、2000 年以降の裁判記録を元に、
データの整理と分析を進めているとこ
ろです。
4
研究成果
時間割引における自己制御の神経経済学
北海道大学・大学院・文学研究科・社会科学実験研究センター
1.時間割引における自己制御
2.時間割引に影響する心理要因
高橋 泰城
3.時間割引に影響する生物学的
要因
時間割引(異時点間選択)とは、よ
以前、我々は、時間知覚が、時
り小さいが、より早く生じる結果(報
間割引に影響することを報告した
神経経済学研究により、時間割引に
酬または損失)と、より大きいが、よ
(http://goo.gl/da1gz)。すなわち、①
は、線条体や orbitofrontal cortex など
り後で生じる結果(報酬または損失)
遠い将来における時間間隔は、過小評
の報酬関連の脳部位が関連している
のどちらを選ぶか(または避けるか)
価され、直近の時間間隔は過大評価さ
こと、また、ドーパミンやセロトニン
という意思決定(選択行動)のことで
れる→②将来の待ち時間は耐えやすく
などの神経伝達物質、さらにコルチゾ
ある。たとえば、「今すぐもらえる5
錯覚され、直近の待ち時間は耐えがた
ールなどのストレスホルモンの作用
万円」と、「一年後にもらえる10万
く知覚される→③将来計画は過度に忍
が関与していることが知られている
円」のどちらか一方を選ぶというよう
耐が必要なものが立案され、その計画
(http://goo.gl/EBiJb)。我々は、さら
な意思決定問題が、時間割引課題の一
どおりの実行に失敗しやすい、という
にこのような生物学的基盤の理解を進
種である。通常、結果(報酬または損
ことである。このことは、行動経済学
めるため、時間割引が、遺伝子多型と
失)の価値は、時間とともに割り引か
では、「双曲割引」と名付けられてい
どのように関連するか、佐々木グルー
れ、その主観的価値(報酬を受け取っ
る。
プと調査を行ってきた。その結果、ド
た時のうれしさや損失を負担すること
時間割引においては、この「双曲割
ーパミン受容体や、グルココルチコイ
に対する嫌悪感)は小さくなる。時間
引」以外にもアノマリー(合理的意思
ド受容体機能に関連する遺伝子が、時
割引における自己制御とは、予定した
決定理論では説明できない現象)が知
間割引と関連することを見出した
選択計画どおりに、実際の選択行動を
られているが、たとえば、符号効果(報
(Kawamura et al., 2012; 2013)。ド
実行する能力のことをさす。これまで
酬のほうが損失よりも速く時間割引さ
ーパミン受容体は時間知覚の制御を通
の研究により、時間割引における自己
れる)や、金額効果(大きい報酬より
じて、またグルココルチコイド受容体
制御は、発達とともに増強され、将来
小さい報酬のほうが速く時間割引され
は、ストレスや覚醒度の制御を通じて、
を見据えた計画をたて、その計画がき
る)などが知られている。これらのア
時間割引に影響すると考えられる。
ちんと実行できるようになっていくこ
ノマリーに対しても、我々は、時間知
今後は、思春期における発達ととも
とが知られている。しかし、薬物依存
覚の性質により説明ができることを提
に変化する生物学的要因が、どのよう
などの自己制御の問題がある人は、時
唱した (Takahashi and Han, 2012)。
に時間割引における自己制御を変化さ
間割引が強く(すなわち、報酬の価値
つまり、報酬を待っている場合よりも、
せていくか、さらに調査をすすめてい
が、将来に先延ばしされると速く減衰
損失を待っている場合のほうが、待ち
く予定である。
しやすい)、将来の計画と実行に困難
時間が短く感じられ、また、大きな報
があることが、我々の研究でも明らか
酬をまっている場合よりも、小さな報
参考文献
になっている。
酬を待っている場合のほうが、待ち時
Han RK & Takahashi T Tempospect
theory of intertemporal choice.
Psychology 2012. Vol.3, No.8, 555-557
神 経 経 済 学 に お い て は 、時 間 割 引
間が長く感じられることにより、符号
における自己制御が、どのような
効果も金額効果も説明ができる。以上
神経活動や神経伝達物質と関連す
のように、時間割引における自己制御
るか、我々も解明を進めてきた
問題の根底には、「時間の認識」にお
(http://goo.gl/EBiJb)。最近ではこれ
ける奇妙な心理効果が横たわっている
までの研究を踏まえて、さらに詳しい
と結論できるのである。
心理要因や生物学的要因を探究してい
る。
5
Kawamura et al. DNA polymorphism in
the FKBP5 gene affects impulsivity in
intertemporal choice. Asia-Pacific
Psychiatry Volume 5, Issue 1, pages
31–38, March 2013
Kawamura et al. Variation in the
DRD2 gene affects impulsivity in
intertemporal choice. Open Journal
of Psychiatry, 2013, 3, 26-31
研究成果
青春期の健康・発達コホート研究
Tokyo Teen Cohort Study
東京都医学総合研究所
西田 淳志
Tokyo Teen Cohort Study
グを実施。調査開始後も、研究者が定
プロセスとそれに影響を与える諸要因
第1期調査が順調に進行中
期的に訪問調査に同行し、実施状況を
分析に関する共同研究を本年開始した。
本研究の目的は、思春期にさしかか
モニターしたうえで再度トレーニング
った大規模な出生コホート(特定の期
を重ねている。調査の進捗状況は毎週
A03 計画研究との連携によるバイ
間内に出生した集団)を縦断的にフォ
の研究ミーティングにより把握され、
オマーカーの収集
ローアップすることにより、思春期の
改善・修正が必要な点が同定されると
本新学術領域研究の A03 計画研究グ
健康と発達のプロセス、それに影響を
迅速な対応がとられる仕組みを構築し
ループとの連携によるサブサンプル研
与える諸要因を解明することである。
ている。現在までに得られた 1,000 世
究の準備を開始。本研究によって構築
昨年度からの予備調査等を含む入念
帯以上の集積データの予備的解析もす
される Tokyo Teen Cohort のサブサ
でに開始された。
ンプルに対して MRI による脳画像撮像
な準備を経て、今年度より Tokyo Teen
1
Cohort Study 第1期調査が順調にス
やホルモン試料等を含むバイオマーカ
タートした。第1期調査は、都内3自
思春期の Self-regulation に関する
ーを収集する共同研究体制の構築を進
治体に居住する 10 歳児世帯約 14,000
英国コホートとの具体的連携
めている。
世帯を対象に任意の協力を要請し、同
Tokyo Teen Cohort Study の国際ア
意が得られた世帯に対して戸別訪問調
ドバイザリーボードメンバーでもある
参考文献等
査を実施している。すでに 1,000 世帯
英 国 医 学 研 究 機 構 (MRC) Unit for
1.
以上の協力が得られ、10 歳児の健康や
Lifelong Health & Aging のマーカス・
Teen Cohort Study ホームページ
発達、養育者の方々の生活習慣等の包
リチャーズ教授らは、現在、世界最長
http://ttcp.umin.jp/about/
括的な情報の集積がすすめられている。
の追跡継続期間(67 年間)を誇る出生
この 2 年間にわたる第1期調査は平成
コ ホ ー ト 研 究 (1946 British Birth
al. Adolescent self-organization
26 年初旬に終了する予定であるが、現
Cohort Study)を進めており、近年、
predicts midlife memory in a
時点までの調査協力率を踏まえると最
1946 年に開始された出生コホート研
prospective birth cohort study,
終的に 5,600 世帯からなる「青春期コ
究の思春期データの再解析を行い、
Psychology & Aging, in press
ホート」が構築される見込みである。
self-regulation に関する因子を新たに
第1期調査は 5,000 件以上の戸別訪
同定した。思春期の self-regulation 因
問調査を実施するため約 30 名の調査
子が 26 歳時点までの教育達成レベル
員体制をとっている。調査協力率や今
に有意な影響を与え、それを介し 43
後の協力継続率を高めるためには、調
歳時の認知機能に有意な影響を生じさ
査員のトレーニングが非常に重要とな
せ て い る こ と を 報 告 ( Xu et al.
る。我々研究チームでは、第1期調査
2
Psychology & Aging, in press) 。成人
開始までに協力率の高い海外出生コホ
期以降の認知機能に影響を与えること
ート研究プロジェクトの調査員トレー
が確認されたこの self-regulation 因子
ニングノウハウを現地調査により習得
を Tokyo Teen Cohort Study において
し、それに基づいた調査員トレーニン
導入し、思春期 self-regulation の形成
6
2.
青春期の健康・発達調査:Tokyo
Xu MK, Jones PB, Barnett JH, et
研究成果
中高生の睡眠習慣は親の考えで
変化するか?
東京大学大学院教育学研究科 健康教育学分野
概要
佐々木 司
いう結果でした。おそらくそれと関連
今回の解析では、神経経済学の指標
思春期では、様々なことを自分で決
してか、そのような子どもでは不安・
として開発された、Kirby の「時間割引
めていくようになっていく年代です。
抑うつのレベルも高い傾向にありまし
率」についても検討しました。これに
その中には、就寝時刻なども含まれて
た。ということは、親が「早寝・早起
ついては昨年度、成人データの解析か
います。中学生ではまだ親に言われた
き」を強調するだけでは、子どもの睡
らド-パミン受容体などの遺伝子多型
時刻に就寝している生徒もかなり多い
眠習慣と健康には必ずしも良い影響は
と関連する可能性を報告しましたが、
のですが、高校生になるとこれがうん
現れないということで、何らかの工夫
今年度からは中高生でデータ収集を始
と減って、大部分の生徒が自分で就寝
が健康教育には必要ということが考え
め、解析しました。この指標は、「今
時刻を決めています。自分で就寝時刻
られます。ただしこれは親の影響が無
すぐに報酬を手にするのと、後日にも
を決めるようになると、中には夜更か
意味ということではありません。今回
う少し高い金額の報酬を手にするのと
しの習慣が身について慢性の睡眠不足
の調査では親と子どもの就寝時刻には
どちらが良いか」を選ばせて計算する
となり、心身の健康を損ねる子どもが
はっきりとした相関がみられました。
もので、長期的展望を考慮して行動を
出てくるなどの問題があり、これに対
つまり親が夜更かしする家庭では、子
制御する力がどの程度あるかを反映す
する対処が求められています。1つ考
どもも夜更かししやすいということで
ると考えられます。今回の解析で、中
えられる方法は、親が注意をする、と
す。親が自分の生活習慣をきちんとす
高生の女子ではこの力が弱いと自傷行
いう方法で、我々は週末の就寝時刻と
るということは、子どもの生活習慣に
為のリスクが高いことを示唆する結果
起床時刻に対する親の態度と実際の生
とっても大切なことと思われます。
が得られました。自己制御力成長の指
徒の就寝・起床時刻との関係を東大教
標として有望であり、今年 6 月に予定
育学部附属中等学校(東大附属)で調
ところでこれまでの解析では、各人
べました。週末に注目したのは、大人
の遺伝的背景の違いが睡眠習慣にも精
でも中高生でも最近は、普段の睡眠不
神的健康度に影響して、両者に関連が
足を週末に補っている人が多いからで
あるように見えるだけ、という可能性
す。またこれが極端になると、週末ず
は排除できません。そこで今回は遺伝
っと寝て過ごして週明けの調子を崩す
的背景を統制するため一卵性双生児ペ
ということが出てきます。さて親の態
アでの検討も行いました。その結果、
度の子どもの就寝・起床時刻への影響
同じ遺伝的背景をもっていても、睡眠
ですが、中学生でははっきりとした影
時間や就寝時刻の違いが、不安・抑う
響はみられませんでしたが、高校生で
つの違いを有意に説明する、という結
は就寝時刻には影響がなく、起床時刻
果が得られました。これは、遺伝的背
にだけ影響していました。つまり「週
景が同じであっても、睡眠習慣のコン
末もきちんと早寝、早起きを」と考え
トロールができれば精神的健康度を改
ている親の子どもでは、寝る時刻は早
善できることを示しており、睡眠習慣
くならないのですが、起きる時刻だけ
に関する健康教育の開発・実施の意義
早くなり、睡眠時刻が減ってしまうと
を強く支持する結果と考えられます。
7
している調査でも引き続き調べて、よ
り詳細な結果を報告できればと思いま
す。
参考文献
Kawamura Y, Takahashi T, Sasaki T
ら 2013. Variation in the DRD2 gene
affects impulsivity in intertemporal
choice. Open J Psychiatyr 3, 26-31,
2013
研究成果
霊長類の社会行動実験を用いた
自己制御の神経基盤解明
理化学研究所
適応知性研究チーム
藤井 直敬
はじめに
わたしたちヒトは高い社会性をもっ
ている。社会性とは、他者の振る舞い
や環境のなかに埋め込まれた社会環境
文脈を読み解き、その瞬間的な変化に
応じて、自分自身の行動を最適化する
能力を指している。
ヒト以外の動物種でも、個体間の関
係性に応じた様々な社会的適応行動が
見られるが、ヒトが反応する社会的文
脈情報の多様性は、ヒト以外のそれと
比べて、明らかに広い。
社会的文脈は、五感を通じて観察可
能な環境情報のみならず、目に見えな
い他者との関係性履歴を含む、さまざ
まな異なる種類の情報が統合されるこ
とによって構成されている。
その複雑な条件の中で、自分自身の
行動が引き起こす社会的リスクを最小
化しつつ自己要求を最大化する最適行
動選択するための社会的能力をわたし
たちは発達の過程で獲得する。
われわれの社会的行動を左右する社
会的文脈は、時々刻々移り変わるため、
社会的に問題を起こさずに日々の生活
を送るためには、わたしたちは、常に
状況を適切に判断し、それに応じた自
己制御が必要とされる。
そのような、予測困難かつダイナミ
ック環境変化に対応するための社会的
自己制御機能が失われると、我々の行
動は社会的問題を引き起こしてしまう。
ヒト社会では、社会的に不適切な行動
を繰り返す個体に対して、不寛容であ
り、自己の社会的存在を保持するとい
う意味で、われわれの社会的自己制御
機能の重要性は日々増大している。
本研究課題は、そのような社会文脈
依存的な自己制御機能を明らかにする
ために、ニホンザルを対象として、そ
の社会的環境認知機能の脳内メカニズ
ムを明らかにする。
ニホンザルにおいて、社会的能力が
身につく時期は、ヒトと同様に幼少期
後半から、思春期であり、ヒトのそれ
と類似の自己制御性を持つニホンザル
の社会認知メカニズムの理解は、ヒト
のそれを理解することに大いに役に立
つと期待される。
方法
サルの目の前にスクリーンを置き、
社会文脈刺激と情動刺激の 2 種類の刺
激を順番に提示する。
社会文脈刺激は、サルとサルが隣り
合わせ、サルとヒトが隣り合わせそし
てサル 1 頭だけが座っている 3 種類の
映像である。その後、スクリーンの半
分が隠され、サル 1 頭だけが座ってい
る様子が映される。
それに引き続いて与えられる情動刺
激は、サルが怖がっている様子と、サ
ルが何事も無く平静でいる様子の 2 種
類である。つまり、全部で 2X3=6 種類
の画像シーケンスが試行ごとにランダ
ムに提示される。(上図参照)
情動刺激の認知処理が、事前に示さ
れる社会文脈刺激の影響を受けると仮
定すると、情動刺激提示期間に、事前
の社会文脈刺激を弁別する脳内メカニ
ズムがあるはずである。
その社会認知メカニズムをネットワ
ーク構造という新しい視点から明らか
にするために、多次元生体記録手法と
呼ぶ独自に開発した大脳皮質全域から
神経活動を記録出来る技術を利用した。
これまでの成果
多次元生体情報記録手法を用いて大
脳皮質全体から記録された大規模デー
タを元に、その中に隠れたネットワー
8
ク構造を明らかにするデータマイニ
ング手法を用いた。データマイニング
は、脳領域のクラスタリング、領域間
の因果的結合、課題条件間の因果的結
合の比較等の事前処理を行った 3 頭
分のデータを 3 次元データ空間に配
置し、PARAFAC と呼ばれる手法で解
析した。(文献参照)
結果として時系列に応じて変化する
5 種類のユニークなネットワーク構造
が明らかになった。それらは、文脈単
独を区別するもの、情動刺激を区別す
るもの、そして、文脈依存的に情動を
区別するものなどであった。
これまで、このような大規模データ
を用い、主観的バイアスを廃して解析
することで意味のある機能的ネットワ
ーク構造を明らかにした例は殆どない。
今後は、この研究を発展継続するこ
とで、ニホンザルの社会環境における
社会認知機能とそれを用いた自己制御
メカニズムを明らかにする。
参考文献
Chao Z and Fujii N, Mining spatiao
-spectro-temporal cortical dynamics:
a guideline for offline and online
electrodcoticographic analysis, Methods
in Neuroethology, Springer in press
研究成果
音声の認識における自己と他者
首都大学東京 大学院人文科学研究科
萩原裕子
誰の声?
普段、親しい友人でも、電話などで
声だけを聞くと、「誰の声か」を特定
するのはなかなか難しいのではないで
しょうか。メタ認知や自己像の形成過
程には、「声」の認識が深く関わって
いると言われています。脳の神経基盤
がまだ発達途中である思春期では、
「声」の認識が上手くできない場合、
自己像の形成にも影響を及ぼすものと
思われます。そこで私たちは、音声を
聞いた時に、どんな情報に基づいて声
の主を判断しているのかを調べてみま
した。声の認識とは、実際に耳から聞
こえてくる音声と、その話者に対する
聞き手のイメージとを照合する作業で
あると考えます。今回は、音声の高さ
(基本周波数)と音声の構造(フォル
マント周波数)に着目して行動実験を
行いました。
研究内容
具体的には、5 段階の基本周波数
(F0 を中心に半音 2 つずつ上下に設
定)のそれぞれについて、3 種類の周
ッチが高く/低くなる)ほど、自他とも
に声の特定は難しいことが分かりまし
た。一方、HIGH の場合、基本周波数
として低い周波数帯域のみ抽出
(LOW) 、 高 い 周 波 数 帯 域 の み 抽 出
(HIGH))を設定し、3 モーラからなる
単語の音声刺激を、合計 15 種類作成
し、30 名の成人日本人(自分及び同性
の友人 4 人の合計 5 人のグループが 6
グループ、男女各 3 グループ)に、話
者の声が誰の声なのかを特定してもら
いました。
その結果、NORMAL と LOW の場合
過程の神経基盤の解明に向けて
の高低の違いが声の特定に影響を及ぼ
今後、同じ音声刺激を用いて事象関
すことはありませんでしたが、面白い
連電位により、自分及び他人の声を特
ことに、自分の声の方が他人の声より
定する神経基盤を探ること、また自分
も有意に特定しやすいことが分かりま
の発話が少し遅れて本人に聞こえるよ
した。
うな状況での脳反応をみる予定です。
できればトリにも同様の音声刺激を用
波数帯域(加工なしの原型(NORMAL)、
第 2・第 3 フォルマントの平均を境界
声によるメタ認知・自己像の確立
自分の声と他人の声の違い
これより、「声」の特定には基本周
いて同様の実験を行い、メタ認知の進
化についても探りたいと思っています。
波数及び第 3 フォルマント以下の周波
数帯域で構成される母音が重要な役割
を担っていることが明らかになりまし
文献
た。一方、母音の情報がなく、主に高
[1] Belin P, et al., British J of Psychology,
い周波数帯域のみという、音声情報が
102:711-725 (2011).
極端に制限されている状況では、発話
[2] Gainotti G, et al., Neuro- psychologia,
表象のある自分の声の方が、それのな
49:2273–2282 (2011).
い他人の声よりも、よりイメージしや
[3] Liberman AM & Mattingly IG,
すいのではないかと思われます。
Cognition, 21: 1-36 (1985).
[4] Scott SK, et al., Nature Rev
は、基本周波数が F0 よりも離れる(ピ
Neuroscience,10:295-302 (2009).
9
研究成果
視点を変えて自分と他者を見る脳活動
首都大学東京大学院
はじめに
ASD の視点取得に関する機能的
私たちは、自分について誰かに話を
しなくてはいけないとき、何を意識し
ながら話すでしょうか?自分に対する
自己像のようなものを持っていて、そ
れに基づいて素直に話す一方で、話し
ている相手がどんな人かによっても、
自分についての話し方が明らかに変わ
ることがあるはずです。言い換えると、
「自分が自分のことをどう思っている
か」だけではなく、「相手が自分のこ
とをどう思っているか?」を意識しな
がら話さなくてはならないのです。た
とえば、自分ではテニスが上手と思っ
ていても、相手の実力が自分よりも上
で、しかもそのことを周りに鼻にかけ
ているようであれば、自分が思ってい
るよりは少し下手(したて)に自分の
腕前について話すかもしれません。自
分という話す対象が同じでも、自分だ
けでなく他人の立場にたってどうみえ
るかを推測することは、視点取得
(perspective-taking)と呼ばれ、私たち
は普段他人とコミュニケーションを交
わすときには何気なくおこなっている
こころの働きと考えられています。
MRI 研究
自閉症スペクトラム障害と視点取
得
自閉症スペクトラム障害(Autism
Spectrum Disorder 以下、ASD と略し
ます)は、社会相互性と言語・非言語
的情報を使ったコミュニケーションに
大きな問題を抱えています。その原因
について、学説的にもこれまでにいろ
んな説明がなされて来ましたが、視点
取得の問題は、中でも有力な説明の一
つです。実際、ASD の方に多くみられ
る傾向として、自分のことを一方的に
しゃべったり、他者の意見を受けつけ
なかったり、自分の視点以外の見方を
全く理解できかったりすることがあり
ます。それでは、自分と他者で立場を
変えて人物や物事をみるためには、脳
の中でどのような機能が働いているの
か、また ASD の方は脳のどういう働き
に異常があるために、視点取得に問題
がみられるのでしょうか。
この問題に取り組むため、私たちは
機能的 MRI と呼ばれる脳機能を計測す
る機械を使って、視点取得をおこなっ
ているときの脳活動を測定しました。
これまでに、26名の成人 ASD の方と、
20名の定型発達の方のデータを収集
しました。実験課題は、「自分は自分
を頭のいい人だと思う」というような
文を提示して、「はい」か「いいえ」
のボタンを押していただきました。文
のパターンは、「自分は自分を・・・
と思う」のように、自分の視点で自分
を判断する条件(self-self:SS 条件)、
または「自分は母親を・・・と思う」
のように、自分の視点で他者を判断す
る条件(self-other:SO 条件)、さらに「母
親は自分を・・・と思う」(other-self:
OS 条件)、「母親は母親を・・・と思
う」(other-other:OO 条件)の4条件を
作成しました。つまり、
「誰は(視点)」
と「誰を(対象)」に、それぞれ「自
分(自己)」と「母親(他者)」の2
種類がありますので、2 x 2 で合計4
種類の文ができます。そして、それぞ
れの条件に対する脳活動の大きさを機
能的 MRI を使って調べました。自分、
あるいは他人についての性格や特性に
ついて判断させる課題は自己・他者参
照課題とよばれ、ASD の方がこれらの
処理に異常があることを報告した脳画
像の研究はいくつかあります(1)。しか
し、今回のように自己・他者参照処理
に、さらに視点の要因を加えて調べた
研究は、今回が初めてになるかもしれ
ません。
現在もいろんな解析を試しています
が、今回はその一部だけ説明します。
まず、評価する対象によって脳活動が
どう変わるかを調べるため、二つのグ
ループの実験協力者のデータを合わせ
(46 名のデータ)、自分を対象にした
施行(SS と OS)と、他者(SO と OO)を
対象にした施行を比較したところ、大
脳正中部構造前部と呼ばれる脳の場所
が、自分に関する判断をしたときによ
り強い活動を示していることが分かり
10
言語科学教室
橋本 龍一郎
ました(図 A、丸印)。さらに、この
領域の活動について、4つの条件それ
ぞれにおける脳活動の大きさを調べた
ところ、まず、定型発達の方と比べて
ASD の方の活動が、全体的に低下して
いることが分かりました(図 B)。さ
らに、今回の主眼である視点の効果を
調べたところ、定型発達の方は他者の
視点をとることによって、脳活動が高
まっているのに対し、ASD の方は逆に
自分の視点で判断した方が、他者の視
点に立つよりも活動が高いことが分か
りました(グループと視点の交互作
用:図 B)。この結果は、まだ予備的
なもので、他にも追加の解析をする必
要がありますが、今のところ、この内
側前頭前野の上部の活動が定型発達の
方と大きく異なることが、ASD の方で
頻繁に見られる視点取得の問題と関係
があるのではないかと考えています。
参考文献
Lombardo MV, Chakrabarti B, Bullmore
ET, Sadek SA, Pasco G, Wheelwright
SJ, Suckling J; MRC AIMS Consortium,
Baron-Cohen S. Atypical neural selfrepresentation in autism. Brain. 2010;
133:611-24.
研究成果
言語・文化・認知のインターフェイスと
自己制御
広島大学大学院教育学研究科/言語と認知のプロジェクト研究センター
はじめに
図1.敬語・敬称の処理モデル
わたしたちの誰もが,社会生活のな
かで「言葉づかい」の問題に悩んだ経
験があるのではないでしょうか.人間
が自分をとりまく社会の一員として,
他のメンバーとうまくコミュニケーシ
ョンをとって生きて行くためには,相
手に「何を伝えるか」のみならず「ど
のように伝えるか」にも心を配らなけ
ればなりません.そして,どのような
言葉を選ぶかの選択に欠かせないのが,
自分が所属する社会や組織の文化的背
景と,その中での自己の位置づけを正
しく認識することです.たとえば,友
だち同士なら許される言葉づかいでも,
学校における学生と先生,会社におけ
る部下と上司の間では,不適切だとみ
なされます.言語,文化,そして自己
に関する社会認知といった複雑な要因
がからみあうこのようなコミュニケー
ション行動は,思春期以降の社会性の
発達とともに獲得され,意識的な調
整・制御を繰り返すことで,無意識的
に最適な行動パターンが形成されると
考えられます.今年度の研究では,そ
の代表的な例である敬語・敬称を題材
に,言語・文化・認知のインターフェ
イスの解明に取り組みました.
酒井 弘
た.すると,適切でない敬称が呈示さ
れると N400 と呼ばれる ERP 成分が増
大することがわかりました.次に,敬
称を使用したのに敬語を使用しないと
LAN(Left Anterior Negativity)と呼ば
れる成分が,逆に敬称を使用しないで,
いきなり敬語を使用すると P600 と呼
ばれる成分が観察されました.このよ
うに,それぞれの課題に応じて異なる
成分が観察されたことから,敬語・敬
称処理の過程には複数のステージが存
在し,異なる神経メカニズムが関与し
ていることがわかりました.
図2.敬語・敬称処理の脳機能計測
敬語・敬称処理の認知モデル
敬語や敬称を適切に使用するために
は,少なくとも3つのステップが必要
です.まず,対象となる人物と自己と
の関係を考慮して,敬意を払うべきか
否かを決めなければいけません(ステ
ージ1).続いて,社会文脈と敬意の
有無を考慮して,使用する言語表現を
決定します(ステージ2).最後に,
一度使用する言語表現を決定したら,
発話の中で一貫して同じレベルの表現
を使用する必要があります(ステージ
3).実例をご覧ください.
このようなモデルが妥当かどうか,
それぞれのステージに想定される認知
プロセスがどのような神経メカニズム
によって制御されているのか,事象関
連電位(Event-Related Potential)を使
った実験で探ってみました.
敬語・敬称処理の神経メカニズム
まず人物の写真を呈示して,続いて
呈示される敬称が適切かどうか判断す
る際の事象関連電位を計測してみまし
11
まとめ
敬語や敬称の使用には,聞き手に向
けた配慮に加えて,社会の中の自己の
位置づけを確認する重要な役割もある
と考えられます.思春期の社会性の発
達と自己制御の解明に,敬語・敬称研
究が貢献することが期待されます.
研究成果
「生活と脳」を明らかにする
real-world neuroimaging
群馬大学 大学院医学系研究科 神経精神医学
生活と脳
人間の生活は脳機能によって実現さ
れています。そのメカニズムとして、
福田
正人
の目的にそって意識的に構成される書
に振舞っている際の脳機能は大いに異
き言葉とそれを音声に変換した(洗練
なることが予想されます。
された)話し言葉へと変化します。
そうした real-world neuroimaging に
脳機能 → 情報処理機能 → 認知機能
そうした個別の認知機能の再構成に
適した脳機能画像に近赤外線スペクト
→ 社会機能という系列が想定でき、後
伴って、認知機能全体についても再構
ロスコピィ near-infrared spectroscopy
者は前者に規定された機能であるとい
成が生じます。生活と密接に関連した
(NIRS)があります[3]。これまで、共感
うのが自然な理解です。
全体論的な機能から、個別の要素的な
や協調や対抗ゲームや会話などを課題
しかし、脳機能の成立を系統発生や
能力が分化し、その組み合わせで説明
にした検討が、hyperscanning, two-
個体発生の視点から考えると、そうし
しやすい要素還元主義的な構成へと変
brain approach, interactive brains など
た要素還元主義的な捉え方が適当でな
化することになります。
のキーワードとともに報告されていま
いこと、倒立した議論であることがわ
物を摘まむ時に、腕全体を動かして
す。私たちは初対面の 2 人が会話をし
かります。脳は動物が生命を保ち種を
体のすべてを使って取り組んでいた子
ている最中の脳機能の測定を行い、統
維持するために生きていく、つまり生
供が、成長とともに体の他の部分を動
合失調症や気分障害についてのデータ
活を可能にするために進化し発展し最
かさずに指先だけでできるようになり、
をまとめています。これらの結果をも
適化された臓器だからです(生活を可
すると腕全体の運動は個別の動作の組
とに、精神疾患を自己制御という視点
能にするために進化した脳)。
み合わせとして説明できるようになる
から捉えていくことを予定しています。
という、運動の発達と同じ過程です。
これらを通じて、「実生活という自
生活・社会生活を可能にすることにあ
こうした小児期の認知機能から成人
然な状況のなかで(現実世界)、課題
るという、全体論的な考え方が必要と
の認知機能への再構成は、時期として
として与えられるのではなく自発的な
なります。「生活」と「脳」は内容とレベ
は思春期に、機序としては言語の関与
意志にもとづいたり必要に迫られて
ルを全く異にしており、普通は対語と
により生じます。
(内発性)、ひとつのことだけに絞ら
したがって脳の機能の基本は、日常
は考えません。しかし生活と脳との関
ずに複数のことを並行しながら(並列
係は、このように本質的なものです。
処理)、想像だけではなく実際の動き
その本質的な関係は、「自らの身体を
として行動を起こし(実行・遂行)、
用いて行動という出力を行う」という
働きかけた物や相手から反応がありそ
機能により支えられています[1]。
れに対して次の行動を起こしていく
(相互性)時の脳機能」(行動脳)を
思春期における脳機能の転換
解明していきたいと考えています[4]。
行動という出力に結びつく面を強調
した精神機能である認知は、思春期に
文献
再構成を受けます。思春期前には自然
[1] 福田正人ら(2012) 統合失調症の認
知障害論. Progress in Medicine
32:2369-75.
に発生した自動的で無自覚な過程であ
った認知が、思春期後には自覚にもと
づく意識的で制御が可能な認知へと変
化します[2]。
生活に向かう脳研究
このように考えてくると、実生活に
例えばフィルタ機能は、刺激により
近い自然な状況のなかで(real-world
自動的に惹起される不随意な過程から、
neuroimaging)、実際に対人関係を行
行動の目的に沿って随意的に振り向け
っている最中に脳機能を検討する
られる過程へと変化します。言葉の中
(two-person neuroscience)ことの重
心的なあり方は、感情を伴って生活の
要性が明らかになります。実験室にお
必要性に応じて自動的に口をついて出
ける研究という不自然な状況に置かれ
てくる(本来の)話し言葉から、表現
た時の脳機能と、実生活のなかで自由
12
[2] 福田正人(2013) 発達精神病理とし
ての統合失調症.福田ら『統合失調
症』,医学書院,東京,印刷中.
[3] 福田正人(2012)心理現象・精神
症状の脳機能と近赤外線スペク
トロスコピィ(NIRS).Brain and
Nerve 64:175-183.
[4] 福田正人(2012)
『もう少し知りた
い統合失調症の薬と脳』(改訂版),
日本評論社,東京.
研究成果
発声制御と自己認知
東京大学大学院総合文化研究科
岡ノ谷
一夫
概要
私たちは、社会の中で他者とかかわ
りあいながら生きています。周囲の環
境や社会的な文脈に即して、自らを律
し行動を制御する能力はとても大切で
す。私のプロジェクトではこの行動の
可塑性(修正可能性)と、それが発達に
ともなってどう変化するのかに着目し
ています(図)。特に、これまで培って
きた発声制御・学習の研究分野におい
て、自己制御能力とその発達過程につ
いて検証可能な神経基盤仮説を提出す
ることを目的としています。
成果と展望
鳴禽の歌の可塑性: 鳥の歌は試行錯
誤により獲得されます。したがって、
フィードバックに基づいて行動を適切
に修正する自己制御能力を調べるよい
モデルになります。私たちは特に複雑
な系列規則をもつジュウシマツの歌に
着目し、歌の特定の要素だけを任意に
学習することが出来るかどうかを調べ
ています。平成 24 年度はノイズ回避
学習実験をおこないました。これは、
歌が特定の条件を満たす場合だけ、罰
刺激として即時に短いノイズ音を提示
し、このノイズ音を避けるように歌を
再学習させるというものです。実験の
結果、音高・リズム・遷移パターンな
ど歌の特定要素を、それぞれ任意に変
化させられることが分かりました。ま
た、この可塑性は大脳-基底核連関に
よるものである可能性が高いことも分
かってきました。今後は、ジュウシマ
ツの歌研究では、現在確認されている
可塑性の神経メカニズムを、薬理学的
操作や電気生理学的手法によって確か
めます。その後に、幼年期・成年期・
壮年期の比較および性ホルモンを操作
図:自己修正のスキームと可塑性の発達的変化の仮説.
することによって、自己制御能力の発
達的変化を明らかにしていきます。
これら以外にも、メラトニン合成能
を遺伝的に導入したマウスを笠原和起
齧歯のメタ認知: メタ認知の自己参
氏(公募班)より譲渡を受け、発声制
照性は高次な認知機能ですが、その萌
御と聴覚能力の相互的な対応関係を音
芽は齧歯類にもあるだろうと考えてい
響的解析により調べる予定です。これ
ます。もし、ラットでのメタ認知課題
によって、発声における自己制御と性
を確立させることができれば、メタ認
成熟との関連を明らかにしていきます。
知についてより詳細な神経科学研究が
さらに、ヒトの発声制御を対象とし
可能になります。そこで、簡単な訓練
た研究を領域内共同研究として、萩原
から徐々に高度にしていくことで、高
裕子・保前文高・橋本龍一郎各氏(分担
度なメタ認知課題に到達する方略をと
/連携研究者)とともに開始しました。
ります。平成 24 年度の実験の結果、2
私のグループからは動物を使った研究
択のレバー押し課題で、本来、報酬比
と共通する実験基盤を提供し、後にヒ
率と比例するはずのレバー押し反応率
トと動物を包括した考察をおこないま
において、直前に行った課題に依存し
す。今後、聴覚フィードバックの操作
たバイアスがみられました。これは自
が発話に及ぼす影響と、対象者個人の
己の行動履歴によって次の行動を変化
性格的傾向との関連を調べていきます。
させるような、自己参照的な機能のあ
参考文献
らわれである可能性があります。今後
1. 岡ノ谷一夫(2013).「つながり」の進
は、ラットのメタ認知研究では、本年
化生物学-はじまりは、歌だった.
度みつかった履歴依存性の反応率バイ
朝日出版社
アスについて、履歴条件を複雑化して
2. 橘 亮 輔 , 高 橋 美 樹 , 岡 ノ 谷 一 夫
再現性を確保します。また、時間割引
(2012). さえずりを学ぶ、さえずりか
課題を利用して自己参照性のある状況
ら学ぶ-鳴禽の歌学習の進化と神
を作りだし、課題の遂行可能性を調べ
経基盤.現代思想 8 月号, 224-235
ます。
13
研究成果
分子から社会までの統合的アプローチ
による自己制御の形成・修復支援
東京大学大学院医学系研究科 精神医学分野
笠井
清登
目的
出来るかどうかの検討を行っていきま
カーを計測するための準備をおこない
精神機能の自己制御性は、自己の精神
す。
ました。
機能をメタ認知(自己の認知を認知す
②
⑥
ること)することにより再帰的に制御
A03分担研究者の西村、連携研究者の
A02 計画研究代表者の藤井との密接な
し、発展的に改編することが出来る能
八幡・滝沢、A02分担研究者の橋本、
連携により、社会的文脈における自己
力であり、これにより複雑な社会環境
連携研究者の保前らの協力により、精
制御行動の脳基盤について、サルとヒ
適応的な行動が可能となります。この
神機能の自己制御障害の介入方法の一
トで比較検討する研究を開始しました。
人間独自の精神機能は、進化の過程で
つとして、近赤外線スペクトロスコピ
ヒト前頭葉が格段に発達した中で獲得
ー(NIRS)を用いたニューロフィード
文献
されたもので、個体においても、前頭
バック法を考案し、特許出願を致しま
葉が成熟する思春期に確立します。思
した(3)。これは、NIRSで計測された
春期は、社会環境に適応した自己を形
前頭前野の賦活量を視覚的に表示し、
成するための極めて重要なライフステ
それをコントロールすることを支援す
ージであり、ここでの自己制御の発達
るシステムです。
の歪みは、現代の若年層に見られる深
③
刻なこころの問題や社会病理に多大な
A03分担研究者の山崎、連携研究者の
影響を及ぼします。本計画研究(A03)
石垣との連携により、言語・認知によ
は、思春期における精神機能の自己制
る自己制御支援法の効果と脳基盤検討
1) Koike S, Takano Y, Iwashiro N,
et al.: A multimodal approach to
investigate biomarkers for psychosis
in a clinical setting: the integrative
neuroimaging studies in schizophrenia
targeting for early intervention and
prevention (IN-STEP) project. Schizophr
Res 143: 116-124, 2013.
2) Kasai K: Toward an interdisciplinary
science of adolescence: insights from
schizophrenia research. Neurosci Res
75: 89-93, 2013.
3) 笠井清登、滝沢龍、八幡憲明、西
村幸香、橋本龍一郎、保前文高ら:
生体光計測装置を用いた脳活動訓
練支援装置、信号処理プログラム、
および信号処理方法.特願
2012-231962、2012 年 10 月 19 日
4) Sakakibara E, Takizawa R, Nishimura
Y, et al: Genetic influences on frontal
activation during a verbal fluency task:
a twin study based on multichannel
near-infrared spectroscopy. Neuroimage,
in press.
5) Takizawa R, Nishimura Y, Yamasue
H, Kasai K: Anxiety and performance:
the disparate roles of prefrontal
subregions under maintained
psychological stress. Cereb Cortex,
in press.
神経モジュレーション研究
心理社会的介入研究
御の形成過程(A01)と神経基盤(A02)
のため、メタ認知訓練法の本施行を開
の理解にもとづき、分子~神経モジュ
始しました。メタ認知指標・各種心理
レーション~心理・社会的介入までの
指標と治療アウトカム指標の関連を検
幅広いアプローチによって、思春期の
討するための、リクルートと評価を行
若者が精神機能の自己制御性を育み、
いました。学生相談等教育分野と連携
それによって自己を発展させ、成熟し
し、思春期の若者を対象とした実践も
た人間形成に至る過程の支援策を開発
開始しました。
します。
④
A03内連携研究
A03分担研究者の西村や連携研究者の
成果
滝沢との連携により、前頭前野におけ
①
るNIRS信号の遺伝性を検討しました
分子研究
私たちは、思春期に発症し自己制御障
(4)。また、単純な計算課題を出来るだ
害を呈する統合失調症の、発症臨界期
け早く正確に長時間行うという自己制
にある患者を対象として総合的研究を
御を要する心理課題における前頭前野
行いました(1,2)。血液のメタボロミ
の賦活をNIRSで検討しました(5)。
クス解析を行ったところ、いくつかの
⑤
分子(特許の関係上、具体名を伏せて
思春期の自己制御の発達の脳基盤を解
おりますことをお許しください)につ
明するため、A01との密接な連携によ
いて、健常者と比べて有意な低下を認
り、東京ティーンコホート対象者(10
めました。今後これらの分子を標的と
才児とその母親)に対するバイオマー
A01との連携研究
して、精神機能の自己制御障害を治療
14
A02 との連携研究
研究成果
言語・認知による自己制御支援方策開発
~メタ認知訓練法の開発と効果の検討~
東京都医学総合研究所
概要
心の健康プロジェクト
山﨑 修道
本研究では、統合失調症への心理療
談等教育分野と連携し、思春期の若者
言語・認知による自己制御は、ヒト
法の 1 つである「メタ認知訓練法(メ
を対象とした実践も始まっています。
特有の機能である言語を用い、自己を
タ認知トレーニング)」を、統合失調
今後はネットワークとの連携を深め、
モニタリングする表象(メタ認知)を
症をはじめとする精神病性障害患者に
医療以外の現場における自己制御支援
活用することで、自己を適応的に制御
実施し、その前後での心理機能の変化
方策としてのメタ認知訓練法の可能性
する非常に高度な機能です。ヒトをヒ
と、対応する脳機能の変化を測定しま
についても具体化していくことを検討
トたらしめている前頭前野が、この高
す。心理療法による変化を検討し、精
しています。
度な機能を司っていると考えられてい
神機能の自己制御能力の回復プロセス
ます。
とメカニズムを明らかにします。
精神疾患の 1 つである統合失調症で
は、「自分の精神機能が不調だ」とモ
ニタリングする「病識」が失われるこ
とが多くあります。統合失調症を持つ
人では、前頭前野の機能が低下してい
ることが、過去の研究から多く報告さ
れています。
これまでの進捗(平成 24 年度)
平成 23 年度に引き続き、本年度まで
に、東京大学医学部附属病院入院・通
院中の 15 歳~40 歳の精神病症状・精
神病前駆症状を持つ患者 5 名(パイロ
ット施行 2 名、本施行 3 名)にメタ認
知訓練法を実施しました。本年度は、
プログラム前後でのメタ認知指標(ベ
ック認知的洞察尺度(自己参照・自己
確信)、メタ認知的信念尺度、自己意
識尺度(公的自己意識・私的自己意識))、
心理療法では、自らの精神機能の不
調について、他者との対話を通じて、
自己モニタリング能力を高め、精神機
能の不調につながる自己の「考え方の
クセ」への気づきを促します。弱まっ
たメタ認知能力を、言語を通じて回復
し、自己制御能力を回復していくプロ
セスになります。
これまで統合失調症に対しては薬物
療法がほぼ唯一の治療法とされていま
したが、近年の研究から、薬物療法に
心理療法を付加することで、幻聴や妄
想といった症状を改善することが明ら
かになってきました。
各種心理指標(Rosenberg 自尊心尺度
(自尊心)、BIS/BAS 尺度(パーソナ
リティ))と治療アウトカム指標(陽
性陰性症状評価尺度(精神病症状)、
CES-D(抑うつ)、WHO-QOL(QOL))
の関連を検討するため、リクルートと
評価を行いました。上記の指標に加え
て、プログラム参加時のモチベーショ
ンや満足度指標についても評価を行い
ました。
評価研究に加えて、日本各地でメタ
認知訓練法導入を開始している施設と
のネットワーク(MCT ネット)に参画
し、実践面での情報収集を行いました。
現時点では数は少ないものの、学生相
15
文献
山﨑修道 回復・社会復帰における
CBTp 統合失調症の認知行動療法
(CBTp)-わが国での現状と今後の
展望- 精神神経学雑誌 印刷中
山﨑修道、 市川絵梨子、 菊次彩、 吉
原美沙紀、 萩原瑞希、 北川裕子、 夏
堀龍暢、 小池進介、 江口聡、 荒木
剛、 笠井清登 (2012) 精神病への認
知行動療法~早期支援における認知
行動療法の活用 特集/精神病早期
介入のエビ デ ンス:アッ プ デート
臨床精神医学、 41: 1465 -1468.
池淵恵美、 中込和幸、 池澤聰、 三浦
祥恵、 山﨑修道、 根本隆洋、 樋代
真一、 最上多美子 (2012) 統合失調
症の社会的認知: 脳科学と心理社会
的介入の架橋を目指して 精神神経
学雑誌、 114: 489-507
Koike S, Takano Y, Iwashiro N,
Satomura Y, Suga M, Nagai T,
Natsubori T, Tada M, Nishimura Y,
Yamasaki S, Takizawa R, Yahata N,
Araki T, Yamasue H, Kasai K (2013)
A multimodal approach to investigate
biomarkers for psychosis in a clinical
setting: The integrative neuroimaging
studies in schizophrenia targeting for
early intervention and prevention
(IN-STEP) project. Schizophrenia
Research, 143, 116-124.
Kirihara K, Kasai K, Tada M, Nagai T,
Kawakubo Y, Yamasaki S, Onitsuka
T, Araki T(2012) Neurophysiological
impairment in emotional face
processing is associated with low
extraversion in schizophrenia. Progress
in Neuro-Psychopharmacology &
Biological Psychiatry, 37, 270-275.
研究成果
うつ病発症のリスクの高い新入大学生に
対する精神の自己制御性の獲得による
発症予防介入
広島大学医歯薬保健学研究院精神神経医科学
概要
ヒトの精神機能は、自分自身を知り、
制御するという他の動物にない特長
(自己制御精神)を持つ。この機能を
支える前頭前野を成熟させるために、
ライフステージ上、他の動物に比べて
格段に長い幼少期および思春期を持っ
ている。現代社会では、この時期の自
己制御精神の発達に歪みが生じ、うつ
病などの精神疾患や自殺などの深刻な
こころの問題が増加している。うつ病
はその病因関連遺伝子だけではなく、
うつ病に特有な病前性格関連遺伝子
(生真面目、ネガティブ認知、思考柔
軟性欠如など)が発症脆弱性として関
与している。日本では若年層の自殺率
が OECD 加盟国中最悪であり、日本の
若年層の死因の第一位が自殺であるこ
とからも、自己制御の形成・修復の支
援方法を開発することは緊急性の高い
国家的課題である。そこで、本研究で
は、広島大学に新規に入学した大学生
(18,19 才)のうち、質問紙などにより抽
出したうつ病発症の危険因子を有する
学生を対象とし、5週間の前頭前野の
機能を強化する介入(認知行動療法/
ウエイティングリストコントロールの
いずれかに割り付け)を実施する。介
入前と介入終了後(5 週間後)に、う
つ病発症の危険因子、対処行動、血中
バイオマーカー、脳構造および脳機能
の変化を解析し、その後のうつ病発症
を 2 年間にわたって追跡調査する。本
年度はその予備的段階として、1)認知
行動療法(CBT)による介入プログラ
ムを作成し、その有用性、実効性の予
備的検討、2)自己制御を評価する脳賦
活課題作成、3)新入大学生のうつ病発
症に関するコホート研究(1 年間)を行
っている。今回のニュースレターでは、
順をおってこれまでの進捗状況につい
て紹介する。
1) 認知行動療法(CBT)による介入プ
ログラムを作成し、その有用性、実効
性の予備的検討
海外では、うつ病ハイリスク思春期
例に対する CBT の有効性示唆する報
告(Garber et al., 2009)がいくつか散見
されることから、CBT を用いた介入プ
ログラムの作成を行っている。これを
予防介入に向けて5セッション程度の
短縮し、CBT のなかでも行動活性化を
中心とした単純な治療プログラム(大
野裕、岡本泰昌監訳,2012)に改訂し、
実際のうつ病患者を対象とした、実効
性や有用性の検証を行った。今後は、
定期的な時間を融通しにくい新入大学
生にどのような形でプログラムに参加
してもらうかを検討する必要がある。
2) 自己制御を評価する脳賦活課題作成
自己制御を評価するための脳賦活課
題としては、認知的再評価による予期
不安の制御課題、金銭遅延報酬課題作
成 し 健 常 者 を 対 象 と し た functional
MRI による脳機能測定を行い、予備的
な結果を得た。これまでの基礎検討を
踏まえ、行動活性化によって強化され
る機能をもちいた自己制御課題に改変
していく予定である。
3)うつ重症度により新入大学生のうつ
病発症に関するコホート研究
うつ病発症のリスクの高い新入大学
生のうつ病発症に関するコホート研究
として、閾値下うつ症状をうつ病発症
のリスクと考え、BDI-II
(抑うつ尺度)の重症度
により広島大学新入生を
10 点以下、11-17 点、18
点以上の 3 グループに層
別化し、無作為抽出した
66 名、56 名、56 名につ
いて 1 年間のうつ病発症
についてのフォローアッ
プを行っている。現在、
16
岡本 泰昌
第4回の調査(隔月)を終了し、各
グ ル ー プ と も 90%以 上 の 追 跡 率 を
維持し、抑うつの重症度の平均点は
経時的に安定していた。しかし、
BDI-II が 18 点以上の閾値下うつ症
状を持つグループでは、BDI-II の点
数が高まる症例の割合(うつ病発症)
が多かった。今後は、本年5−6月に
かけて構造化面接である Composite
International Diagnostic Interview を
行い、過去1年間のうつ病の発症を
評価し、グループごとの発症率を評
価する。また、性格傾向、ソーシャ
ルサポート、過去一年間のライフイ
ベントとの関連性を評価する。
参考文献
Brent et al., Clinical practice. Adolescent
depression. N Engl J Med 347, 667-71,
2002
Gaeber et al., Prevention of Depression
in At-Risk Adolescents: A Randomized
Controlled Trial. JAMA 301, 2215-24,
2009
大野裕、岡本泰昌、うつを克服するた
めの行動活性化練習帳-認知行動療法
の新しい技法-(監訳、創元社、2012
Yoshimura S,Okamoto Y et al.,
Cognitive behavioral therapy for
depression changes medial prefrontal
and ventral anterior cingulate cortex
activity associated with self-referential
processing. Soc Cogn Affect Neurosci.
(in press)
研究成果
社会における自己制御の支援方策開発
京都大学大学院医学研究科
村井 俊哉
病的賭博の神経基盤
概要
自己制御は、脳における自己・他者・
依存症では衝動制御の障害や報酬に
社会の表象を通して行われる。その表
対する感受性の障害が原因で、自己制
象の舞台となる脳領域の構造や機能に
御が破綻しているのではないかとの仮
異常をきたした場合、自己制御は破綻
説がある。我々は病的賭博患者を対象
する。統合失調症や広汎性発達障害な
として MRI 画像、行動・心理検査を施
どの精神疾患、脳損傷、サイコパスな
行、報酬予測と関連した線条体等の脳
どに見られる衝動性、依存症、社会行
領域の活動に、対照群との間で差がみ
動障害はその端的な例である。従来、
られることを fMRI で見いだした。さ
これらのさまざまな行動面での障害を
らに、これらの領域の活動が衝動性や
自己制御という観点から統一的に理解
一方、統合失調症においては、個別
リスク態度や性格傾向など、自己制御
する試みは行われてこなかった。そこ
の認知能力の障害よりも、具体的な日
にとって鍵となる心理機能とどのよう
で我々は神経画像解析と実験心理学的
常生活レベルでの困難こそが、自己制
に関係しているのかを解析中である。
アプローチを組み合わせた研究手法に
御の達成と深い関連を持つのではない
よって、社会的行動に問題のある各種
か、という発想から、主観的な生活の
精神神経疾患を対象に、それらに固
質(QOL)に着目した画像解析も行っ
発達障害者の行動心理特性を多角的
有・あるいは共通の自己制御性の異常
た。結果、統合失調症の主観的 QOL
に評価する国際的に汎用性の高い
の解明を試みている。そして、そのよ
低下と関連する大脳皮質体積の減少が、
ABCL(他者評価)、ASR(自己評価)
うな成果から、逆に健康な自己制御が
右背外側前頭前皮質など、複数の領域
などについて、その日本語版を開発し
社会においていかにして可能になって
に認められた(Ubukata et al., 2013)。
た。これらを我々が独自に完成した発
いるのかを浮き彫りにし、また自己制
このような全般的な主観的指標の生物
達障害者の行動評価スケールと組みあ
御性の障害の回復方略に向けての示唆
学的基盤に着目していくことは、今後
わせ、発達障害の自己制御性に関わる
を得ることも目指している。
の研究でも重要な課題であると我々は
諸特性を総合的に評価するツールが整
考えている。
えた。さらに発達障害者の衝動性を評
統合失調症患者を対象とした研究
統合失調症については、自己制御障
発達障害者の衝動制御障害
価する実験心理学的課題の作成を終え、
外傷性脳損傷例を対象とした研究
今後、心理・行動特性の相互関連を検
害の基盤の候補となる形態学的異常に
外傷性脳損傷(びまん性軸索損傷お
ついて、MRI 画像で包括的な解析を進
よび局所脳損傷)の患者においても、
めた。結果、統合失調症では、全脳レ
自己制御の諸側面は障害される。これ
文献
ベルで、大脳皮質厚減少と白質統合性
らの被験者を対象に MRI 画像の撮像を
1.Sasamoto et al. Schizophr Bull, 2013
の低下とが強い相関を示していること
進めてきたが、本年度までで 20 名を
2.Kubota M et al. JAMA Psychiatry,
が示された(Sasamoto et al, 2013)。さ
超える被験者の撮像を終えた。このう
らに、この皮質・白質の病理の相互関
ち、びまん性軸索損傷例については、
連は、自己制御にとって重要な視床―
皮質・白質の体積減少部位を統計学的
眼窩前頭皮質の投射において際立つこ
画像処理によって解析し、同病態に特
とを見いだした (Kubota et al, 2013)。
徴的なパターンを見いだした。引き続
このような形態学的な知見が、統合失
き、これらの病態にみられる自己制御
調症の自己制御障害のそれぞれの局面
の障害と特異的に関連する脳領域を探
とどのように関連しているのかを検討
索していく予定である。
することが、引き続きの課題として残
されている。
17
討していく段階に入っている。
2013
3.Ubukata et al. J Psychiatr Res, 2013
研究成果
身体イメージの自己修復支援
神経性無食欲症の臨床研究および臨床応用を通して
名古屋大学医学部附属病院精神科
背景
田中 聡
療前後でどう変化するのか、2)それ
確に認識できず治療を求めることが少
神経性無食欲症は思春期の女性に好
は脳画像上の局所・全体変化といかに
ないことなど、メタ認知の障害に関す
発する疾患であり、「思春期やせ症」
相関するのか、を明らかにすることに
る生物学的基盤の一端が明らかとなり
「拒食症」などとも呼ばれ、制限型と
着目しました。
ました。このことは、これらの障害に
ついて、現在の治療(再栄養療法が中
むちゃ食い/排出型に大別されます。
抑うつなどの二次的な精神症状がみら
現在得られている成果
心)で改善しやすい部分と改善しづら
れることも多く、疾患による死亡率は
1)NIRS(近赤外光トポグラフィ)に
い部分について、一部を切り分けるこ
5~18%と高く、約半数が慢性化す
よる前頭部脳血流の計測では、知的作
とにもつながります。
ると言われています。
業を行った際、健常の方で見られる脳
今後、こういった認知の特性への自
我が国における一般女子学生に対す
血流の増加が患者さんたちにはあまり
覚を促し(メタ認知の形成)、おひと
る調査では、神経性無食欲症は 1.4%、
みられないという現象が確認されまし
りおひとりの障害の個性をとりいれ精
神経性大食症はほぼ同率、特定不能の
た。健常の方では、この血流が多いほ
神療法に反映させるような新治療の開
摂食障害は 8.7%と高率に認められま
ど、社会性を担う前頭部の機能が高く、
発を行い、症状ごとの治療反応性予測
した。このように、この疾患はしばし
質問紙でとらえる社会への不安感が低
にも活かしていく予定です。これらの
ばみられるにも関わらずわかっていな
いという関係がみられましたが、患者
特性は健康な思春期にも一時的にはみ
いことが多く、病態を解明すると共に、
さんたちでは前頭部の血流が低いほど
られることもあるものであり、一般の
より有効な治療法の開発、早期のスク
社会に対する不安感が低いという逆転
思春期における人間形成の支援に活か
リーニングツールの開発が求められて
が観察されました。一般に低栄養状態
すことができる可能性があり、広く若
います。
で脳の機能は低下するとされています
い世代の国民の精神衛生に貢献してい
くことを目指します。
その発症機序については様々な仮説
が、この逆転現象に体重の影響はない
がありますが、遺伝因子を背景として、
ことが確かめられました。患者さんた
脳の高次機能障害などの身体的基盤が
ちは様々な理由から社会活動が減り、
参考文献
影響を与え、ストレスや思春期の自立
サポートが減ることも多いのですが、
Fairburn et al. : Eating disorders. The
葛藤・やせ願望などを発病のきっかけ
それにも関らず社会的孤立を感じない
Lancet, 361(9355)407-416, 2003.
として、低栄養と精神症状・食行動異
という先行研究もあります。前頭部の
常が相互誘導的な悪循環を来している
機能が低下している患者さんたちは、
Kaye et al. : New insights into symptoms
ものと推定されています。
社会的な孤立感を感じづらい、結果と
and neurocircuit function of anorexia
して医療などの助けを求めることが少
nervosa. Nat rev Neurosci, 10(8)573-84,
ないという日常臨床でしばしばみられ
2009.
研究の概要
神経性無食欲症で治療を受けている
る知見と一致しています。
患者さんたちにご協力いただき、ゲノ
2)患者さんたちの脳 MRI 検査では、
久松由華ら、一般大学生の食行動異常
ムを含めた血液成分、脳の高次機能、
発病後常に萎縮が見られる部位:視床
と摂食障害の関連について、日本心身
性格傾向・精神症状など、脳 MRI 画像、
(感覚統合)と、低体重の時のみ萎縮
医学会における口演、2000.
前頭葉を中心とした NIRS(近赤外分
が見られる部位:頭頂後頭連合野(体
光法)所見について定量的なデータ採
性感覚や視空間情報処理)・帯状回(情
Tiller et al. : Social support in patients
取を行なっています。これらは治療(再
動・痛み・注意力などの認知)が確認
with anorexia nervosa and bulimia
栄養療法)前後に2回サンプリングさ
されました。
nervosa.
れ、包括的な経時的検討と健常ボラン
ティアとの比較検討を行います。
患者さんたちに見られたこれらの結
果からは、普段の空間認知に問題がな
我々はまず、1)気質、主に注意力
くても自身のやせを認識しづらいこと
と記憶についての高次機能、身体イメ
(ボディイメージの障害)や、自分が
ージの認知の歪みなどの精神症状は治
社会的に孤立しているということを正
18
International
Journal
Eating Disorders, 21(1)31-38,1997.
of
研
研究成果
思春期
思
期コホー
ート研
研究に DNA メチル
メ
化
マ カーを導
マーカ
導入す
する際の
の技術
術的検討
東京大
大学大学院 医学系研究
究科 分子精神
神医学講座
文東 美紀
概
概要
ゲノム DNA は塩
塩基配列の情報
報と共に、塩
基
基の修飾状態とい
いう情報も併せ持
持っていま
す。塩基の修飾と
とは主にシトシン
ンのメチル
環境によって変動
動すること
化状態を指し、環
が
が分かってきてい
います。そのため
め、DNA メ
チル化が思春期の
の環境を反映する
る良いマー
と期待されます。しかし現
カーに成り得ると
況
況では
DNA メチル化をコホート
ト研究に応
用するための技術
術や方法論が確立
立されてお
ため本研究では、応用に向
りません。そのた
け
けてさまざまな基
基礎技術の検討を
を行ってい
ます。
か
増幅を用い
1. 少量の DNA からの全ゲノム増
技術の検討
たメチル化解析技
コホート研究で
で採取できるサン
ンプル量に
の有用性を検
検討するため、健常
常者 20 名分の
DNA メチ
チル化変動率の大
大きい部位の探索
索
唾液、血液試
試料から得た DNA を使用して、
を行い、マ
マーカーとして有用であるか検
検討
ゲノム上の約
約 40 万か所のメチル化率のデ
を行う予定
定です。
は
は限りがあるため
め、多くの部位の
のメチル化
ータ取得を行
行いました。唾液
液サンプルから
解
解析をする際には
は DNA 量の不足
足が問題に
のメチル化解
解析は、バクテリア
ア DNA の混入
サンプルを使用し
した解析のハイス
スル
4. 多数サ
なることが考えら
られます。そこで
で、メチル
や、DNA 抽出
出方法によるメチ
チル化率の変動
ープット化
化の検討
化
化解析用に処理を
を行った DNA(バ
バイサルフ
などの問題が
があると考えられ
れます。そのた
ァイト処理 DNA))に対して、DNA
A 合成酵素
め予備的検討
討として複数の方
方法で DNA 抽
の測定法として、次
新たな DNA メチル化の
ノム DNA の増幅
幅を行い、こ
を使用して全ゲノ
出・精製を行
行い、結果を比較
較したところ、
ケンサーを利用した技術の確立
立を
世代シーケ
れ
れらの産物が実際
際にメチル化解析
析に使用で
唾液の抽出・精製法によるデ
データの顕著な
行っていま
ます。次世代シ
シーケンサーを使
使用
きるかを検討しま
ました (文献1)。
そ
その結果、
今後、唾液・血
変動はありませんでした。今
したメチル
ル化解析は従来
来よりも精度が良
良く、
サ
サンプル間で大き
きくメチル化が変
変動してい
チル化状態の全
全体的、
部分的な
液の DNA メチ
広い範囲で
でのメチル化測
測定が可能である
ると
る部位に関しては
は問題なく使用で
できるが、
相関などを検
検討していく予定
定です。
考えられま
ますが、まだほ
ほとんど実績があ
あり
変
変動率が少ない部
部位に関しては、解釈に注
意
意が必要という結
結果が得られまし
した。
ません。現
現在、Illumina 社の
社 MiSeq を使
使用
ル化をコホート研
研究に使用す
3. DNA メチル
して解析を
を行っています
す。予備的なデー
ータ
る際の適切な
なゲノム DNA 部位の探索
部位
が取得でき
きており、従来の
の DNA メチル化
化測
をコホート研究
究に使用す
2. DNA メチル化を
サンプルの妥当性
性の検証
る際のスタートサ
定法で得ら
られた結果との
の比較を行ってい
いま
研究のマーカーに
に DNA メチル
コホート研
す。
化を用いる場
場合、個人間のメ
メチル化変動が
コホート研究で
では、非侵襲的に
に採取でき
大きい DNA 部位を選択する
部
ことが重要と
文献
いての研究が理想
想的ですが、
る唾液試料を用い
考えられます
す。今回、候補領
領域として、精
1. Bundo et al., Clinical Ep
pigenetics, 2012
2
唾
唾液から抽出した
たDNA を用いた
たDNA メチ
神疾患との関
関与が多く報告さ
されている脳由
Nov 22;4((1):22
ル
ル化研究の先行研
研究は非常に少な
ない現状に
来神経栄養因
因子 (BDNF)遺伝
伝子のプロモー
あります。コホート研究における
る DNA メチ
ター領域につ
ついて、約 100 名分の健常者の
名
ル
ル化解析のスター
ートサンプルとし
して、唾液
DNA メチル化
化データを取得しました。今後、
、
19
研究成果
思春期の性成熟が自己制御能力低下に
及ぼす影響およびその遺伝・環境リスク
要因の解明
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科・神経機能学
西谷 正太
概要
近年、いじめ、不登校、ひきこもり
の増加に象徴される思春期児童の学校
不適応の増加が社会問題となっている。
これら不適応行動の根源には、その場
の状況に合わせて、自己を抑制し適切
な行動をとる能力=自己制御能力の問
題がある可能性がかねてから指摘され
てきた。成人を対象とした近年の研究
により、社会的疎外、亜鉛摂取量不足
など、自己制御能力低下をもたらすリ
スク要因が明らかにされつつある。し
かし、これら成人で得られた知見のみ
を基にして、思春期児童の自己制御能
力低下を説明することは出来ないと考
えられる。なぜなら、思春期は、ライ
フサイクルの他の時期には見られない
急激な心身の変化を経験する極めて特
異な時期だからである。このような思
春期の独自性を踏まえると、思春期児
童の自己制御能力低下には、成人とは
異なるリスク要因が関与している可能
性が十分に考えられる。しかし、思春
期という特異な発達段階に焦点を絞っ
て、自己制御能力の問題が生じるメカ
ニズムを究明した研究はほとんど存在
しない。そこで、平成 24 年度より以
下の研究を行った。
平成 24 年度の活動成果
本研究では、小学生~若年成人を対
象に、社会性・自己制御能力計測、内
分泌機能計測、遺伝子多型計測、環境
因子計測を実施し、これらを基に、社
会性・自己制御能力の問題をもたらす
思春期特有のリスク要因を解明するこ
とを目的とし、以下の研究を行った。
タナーの発達段階のⅠ度、Ⅱ度に相
当する年齢の小学生 70 名、Ⅲ度に相
当する年齢の中学生 27 名、Ⅴ度に相
当する年齢の高校生 79 名を対象に、
頬粘膜及び唾液試料の採取、3 種類の
行動課題による社会性・自己制御能力
の測定を行い、その発達的変化を調べ
た。
1
①顔認知課題 A :[発達群]と[視線
の逸れ方]に、有意な交互作用が見ら
れ、小学生は、中学生・高校生に比べ、
微妙な視線方向の弁別能力が低いこと
がわかった。
2
②顔認知課題 B :[発達群]と[情動]
に、有意な交互作用が見られ、中学生・
高校生の快情動処理は左半球優位だっ
た一方、小学生では快表情・不快表情
処理のいずれにも有意な半球優位性は
見出されなかった。
③意思決定課題:[発達群]と[トラ
イアル数]の交互作用に有意傾向が見
られ、自己制御能力課題における学習
曲線の群間比較では、中学生において、
長期的に得な意思決定の学習が、他の
2 群に比べ遅れる傾向にあることがわ
かった。
以上①~③の行動課題成績の暫定的
分析の結果、思春期前期~中期を境に、
重要な社会的刺激である表情・視線の
処理様式に変化が起こる可能性が見出
された。また、思春期中期には、目先
20
の報酬につられて長期的に損な意思決
定を行う傾向が、他の年齢群よりも強
い傾向にある可能性が示唆された。
次年度の計画として、本年度に引き
続き、各年代のデータ取得を継続して
行う。一方、これまで実施した対象者
から得た生体試料から、遺伝子多型・
内分泌機能の解析を行い、行動傾向と
の関連性を分析し、行動傾向の発達過
程に脆弱性をもたらす因子の探索を進
める。遺伝子多型・内分泌機能につい
ては、既に確立しているため、収集済
みの検体から、随時解析を進める。
文献
1. Cohen Kadosh K, et al., (2012)
Effects of Age, Task Performance,
and Structural Brain Development on
Face Processing, Cereb Cortex
[Epub ahead of print].
2. Workman L, et al., (2006) Development
of cerebral lateralisation for recognition
of emotions in chimeric faces in
children aged 5 to 11, Laterality
11(6):493-507.
研究成果
思春期の精神病理に対する情動・認知的自己制御力
の影響に関する発達行動遺伝学研究
慶應義塾大学文学部
藤澤 啓子
概要
思春期における内在化・外在化型問題
思春期は、抑うつなどの内在化型問
題と反社会的行動などの外在化型問題
といった精神病理の様相が、児童期・
成人期とは異なる。内在化型問題と外
在化型問題が同一個人に発生する頻度
は高く、発生の予測因は共通するもの
が多い(例:親の養育態度)。そのた
め、思春期における精神病理の発生機
序について、問題発生をもたらす要因
が複数あり、結果として発生する問題
のあり方が複数通りあると考える、複
数原因・複数結果帰着性のものととら
えることが必要であると考えられる。
思春期の発達課題と自己制御力
思春期は、周囲の大人との関係の調
節や、将来への長期的目標を認知し、
情動や行動を適切に調節、統制する、
情動・認知的自己制御力の獲得が発達
課題のひとつとなっている。しかし、
思春期における急激な身体的変化(第
二次性徴の開始など)は、衝動や情動
の活性化等を生じ、自己制御力の獲得
への脆弱性をもたらす。また、抽象的
思考や内省的思考が可能となり、情動
の認知、社会的認知の仕方が変化する
ため、情動的認知的要因も、自己制御
力の獲得への脆弱性をもたらすと考え
られる。このように、思春期における
精神病理の発生に影響する、情動・認
知の自己制御力は、思春期ならではの
生物学的脆弱性と情動・認知的脆弱性
を孕んでいる。
これらを踏まえ、今年度、本プロジ
ェクトでは、自己制御力において重要
であると考えられる、情動認識能力及
び実行注意制御に着目し、それらが内
在化型問題(抑うつ)や外在化型問題
(反社会的行動)にどのように関連し、
その背後に遺伝要因と環境要因がどの
ように寄与しているか明らかにするこ
とを目的とした。
方法
慶應義塾大学ふたご行動発達研究セ
ンター双生児レジストリに含まれる双
生児とその保護者を対象に、質問紙調
査を実施し、約 1000 組の双生児とそ
の保護者から回答を得た。
質問紙調査には、第二次性徴の開始
に関する項目 (Pubertal Development
Scale: [1])・抑うつ状態に関する項目
(Depression Self-Rating Scale for
Children: [2])・反社会的行動欲求に関
する項目[3]・実行注意制御に関する項
目 (Effortful control from EATQ: [4])・
情動認識能力に関する項目[5]などが
含まれた。
結果と考察
(1) 自己制御力と内在化型問題の関連
における遺伝と環境
女児において、第二次性徴の進行程
度が自己の情動統制を媒介して抑うつ
症状を高め、その関連において遺伝要
因が寄与していることが示された。こ
れらのことから、思春期の女児で特に
第二次性徴の開始が進んだ子どもに対
しては、抑うつ症状へ介入する際、そ
の子どもの情動統制のあり方に着目す
ることによって効果的な介入ができる
可能性が考えられた。
(2) 自己制御力と外在化型問題の関
連における遺伝と環境
児童後期以降の子どもの行動抑制の
制御が低いと、反社会的傾向が高まり、
その関連においては遺伝要因が両者を
負に相関させる影響を及ぼすことが示
された。このことから、思春期の子ど
もの反社会的傾向については、問題行
動自体を介入対象とするとともに、行
動抑制の制御などその子の気質に焦点
21
をあてた対応をすることがより効果的
である可能性が示唆された。
文献
[1] Petersen, A. C., Crockett, L.,
Richards, M., & Boxer, A. (1988). A
self-report measure of pubertal status:
Reliability, validity, and initial norms.
Journal of Youth and Adolescence,
17(2), 117–133.
[2] 村田豊久・清水亜紀・森陽二郎・
大島祥子(1996).学校における子ど
ものうつ病 -Birleson の小児期うつ
病スケールからの検討- 最新精神医
学,1,131-138.
[3] 濱口佳和・石川満佐育・三重野祥
子 (2009). 中学生の能動的・反応的攻
撃性と心理社会的不適応との関連―2
種類の攻撃性と反社会的行動欲求およ
び抑うつ傾向との関連― 教育心理学
研究,57, 393-406.
[4] Ellis, L. K., & Rothbart, M. K. (2001).
Revision of the Early Adolescent
Temperament Question-naire.Poster
presented at the Biennial Meeting of
the Society for Research in Child
Development, April, 2001, in Minneapolis,
MN.
[5] 田中芳幸・真井晃子・津田 彰・田
中 早 (2011). 小学生版「社会性と情
動」尺度の開発. 子どもの健康科学,
11(2), 17-30.
研究成果
敵か味方か?
-こころの理論とシミュレーションの生物学的根拠を求めて
新潟大学医学部・超域学術院
目的
長谷川 功
にいるのを,別の登場キャラクター‘ピ
らることを示唆する予備的な知見を得
ヒトは集団社会という環境の中で,
ンク’が上から登りたい‘サル’を手
た。この節約は動画と記号の条件性反
自己と他者を区別し,心を持つ生き物
助けして目的達成を助ける,または突
応だけでは説明できず,助ける,邪魔
としてお互いの心の状態を推測し理解
き落として妨害する. この場面で,ま
をする,という関係性が汎化している
する能力を発達させてきた.「敵」「味
ず始めに助ける動画の試行だけ集中呈
ことが示唆されたが、まだ検討した場
方」の区別は,社会的動物としてのヒ
示して「ミ」を選べるようにした後に,
面の数が少ないため、ルール習得の初
トにとって,根源的能力の一つである
邪魔をする動画だけ呈示して「テ」を
期に見られる一般的な学習促進効果と
が,この能力がどのような神経回路の
選ばせる,という「ブロック化」を繰
区別するためにさらに検証が必要であ
動作によって担われるのか,また個体
り返して,基準に達するまで学習させ
る。
の成長における自己制御の確立にどの
た(学習達成まで 2560 試行)。次に,
ように関わるかといった理解もまだ不
キャラクターの役割を反転して学習さ
十分である.このような高次認知能力
せ(600 試行),さらに役割を試行ご
今後さらに同じキャラクターで場面
の大脳メカニズムを直接的に調べるた
とにランダム化する(80 試行),とい
の異なる動画,またキャラクターの異
めには動物モデルの確立が必須である
う順で、学習を進めた.連続する 80
なるバージョンなど様々な場面におけ
が、これまでのところ適切なモデルが
試行の前半・後半の正答率がともに
る学習を経験させた後、動画中の心理
存在しない.本研究では,非言語的な
90%以上となることを学習達成基準
的物体の「敵」「味方」の社会関係と
アプローチによって「助ける」「邪魔
とした.
シンボルの連合がどこまで汎化するか
今後の実験計画
をする」という関係の認知を検証する
次に,異なる場面2での学習を行っ
の検証を行っていく.さらに当事者の
ための新しい動物実験パラダイムの開
た.木のバナナを取りたいが届かずに
一方の立場にたって,適切な行動が取
発を目指す.今回の研究期間では, ニ
目的を達することができないキャラク
れるか否かの実験的検証も行いたい.
ホンザルが,助ける/邪魔をするという
ターを,もう一方のキャラクターがバ
精神機能の自己制御理解の動物モデ
関係を区別し,その判断を明示的に報
ナナを取れるように抱き上げて目的を
ルとして、非言語的に社会関係の認知
告できるか検討して認知パラダイムの
助ける,または木のそばから追い払い
能力を評価する適切なパラダイムは重
基本的枠組みを構築した.
目的を邪魔する.キャラクターは場面
要であり,また本研究の目指す非言語
1 と同じ‘サル’‘ピンク’であり,
的認知パラダイムは,霊長類の実験研
役割をいずれかに固定して「助ける」
究のみならず、ヒトを対象とした発達
実験方法と結果
まず、助ける/邪魔をするという社会
「邪魔をする」試行をランダム化した
認知心理学、広汎性発達障害児の行動
的関係をそれぞれ描出した 10 秒前後
学習(学習達成:2920 試行,役割反転
学的評価や、領域の研究にも応用可能
の動画を人形劇で作成した.試行ごと
後:1360 試行)の後に,役割もランダ
なものと考えられる。
に呈示した動画の内容に応じて 2 つ
ム化して訓練している(現在進行中).
の選択記号の中から,「助ける」の時
は「ミ」を,「邪魔をする」の時は「テ」
これまでにわかったこと
をレバー操作で正しく選ぶと報酬が得
我々が構築した新規認知パラダイム
られるオペラント実験系を構築した.
により,ニホンザルが「助ける」「邪
馴化訓練を終えた一頭のニホンザルで
魔をする」という社会関係を適切な記
この課題が習得可能か検討した.
号を選ぶことにより明示的に報告でき
最初の学習に用いた場面 1 では,登
るようになることがわかった。また同
場キャラクター‘サル’が山を登りた
じ場面で登場キャラクターの役割を入
い意図を持っているが頂上まで登れず
れ替えた場合には認知学習の節約がみ
22
23
研究成果
言語の臨界期脳にせまる:
思春期とその前後の音声言語習得
慶應義塾大学・社会学研究科、Ecole Normale Supérieure, IDEC
概要
思春期前
実験予定
本研究の目的は、思春期前後におけ
臨界期
皆川
泰代
思春期後
実施中、準備中
る音声言語の学習メカニズムに関わる
乳児
脳内基盤とその発達的変化を、脳機能
学童
思春期
成人
音声学習能
力と脳機能
イメージング手法と行動的手法で明ら
かにすることです(右図内青矢印)。同
時に、ここで明らかになる学習能力や
互いの関連性
その脳内基盤と、思春期特有の様々な
認知能力、
自己制御能力
因子(自己制御能力に関与する種々の
認知能力、情動反応)がどのように連
関しているかを明らかにします(右図
内ピンク矢印)。これらの目的のもと、
乳児期・学童期・思春期・成人期の 4
つの年齢グループに対してそれぞれの
力を可能とする学習メカニズムや、そ
施し、こうした様々な因子が、個々人
実験を行い、比較検討する予定です。
れと密接に関わると考えられる自己の
の学習段階においてどのように作用す
意識の発達・感受性・統制能力との連
るのか、学習反応結果とともに、学習
関がどのようなものか、詳細はまだ明
前後における、安静時の領域間相関解
らかにされていません。
析や、外的刺激反応時の機能連関解析
外的刺激と自己
乳児は胎児期より外的刺激を受容し
法を用いて明らかにしていく予定です。
徐々に適応しながら様々な発達を遂げ
そこで、私達は獲得のある程度なさ
ます。例えば、生後間もない乳児は異
れ聞き慣れた母国語やそうでない外国
図中に示すとおり、乳児の音韻学習実
なる言語音を知覚する能力を持ってい
語といった経験差のある音声刺激を用
験は既に実験を開始しており、他の年
ますが、成人になるにつれ、母国語以
い、音韻文法規則の脳反応の違いを明
齢グループについては科学的根拠に基
外の言語音を知覚することが困難にな
らかにしようとする一方[3]、ヒトの言
づいた英語学習教材を開発しているグ
ると言われています。これらを決定す
語発達のごく初期の段階でも、自己の
ループとの協働を実現することができ、
る大きな原因の一つは児を取り巻く周
経験に根差し、自分に聞き慣れた音声
夏休み実施にむけて準備を進めていま
囲の環境からの外的刺激の経験・学習
や聞き慣れた名前を知覚する際には、
す。
です。外的刺激の無意識的または意識
自己意識との深い関わりが指摘されて
的学習により、母国語に対する巧緻な
いる前頭葉の働きが関与している可能
文
知覚能力は徐々に精錬される一方、経
性を明らかにしつつあります。また、
[1] 皆川泰代.
験の薄い外国語に対する知覚能力は減
自己の性格特性といった感受性の違い
衰し、選択的な母国語獲得が可能にな
が、情動を喚起する刺激を知覚する際
っていると考えられています。
の前頭葉の無意識的で自動的な反応に
こうしたヒトの認知機能や言語の発
達については、乳幼児期にも簡便に使
影響する可能性を成人実験で検討して
います。
用が可能な近赤外分光法(NIRS)をはじ
めとした脳機能イメージング法のおか
学習機序と自己
げで、多くのことがわかってきました
今後は、乳児期・学童期・思春期・
[1,2] 。しかし、こうした高度な言語能
成人期の年齢グループで音声学習を実
24
献
Brain and Nerve, 64
(9), 1023-1032. (2012).
[2] Cristia et al. PLoS One. (in Press) .
[3] Minagawa-Kawai et al. Frontiers
in Psychology. (in Press).
研究成果
長期自己制御の神経基盤の解明と
形成支援への多次元アプローチ
研究代表者 (独) 国立精神神経・医療研究センター
花川 隆
研究概要
学業やスポーツ、あるいはダイエッ
トなどの目標に向かって努力しよう、
と決心した経験を多くの人が持つの
ではないでしょうか。意思を保ち続け
目標が達成できることもあれば、継続
を断念してしまうこともあるでしょ
う。こういうときには、適切な目標が
設定されているか、そしてその目標に
向かって努力を保ち続けることがで
きるか、の二つの要素が重要かもしれ
に 4 カ月間の学習を完遂した参加者は
ところ、継続を選択する人と辞退を選
ません。まず個人に合った到達可能な
およそ半数でした。次に別の参加者を
択する人を 80% 以上の確率で見分け
目標が設定されていなければ努力の継
集め、計画立案・実行力が必要とされ
る こ と が で き ま し た ( 特 願
続は困難でしょう。自分の能力を正し
る認知タスクを時間制限なしに実施し
2012-268648:性向判別装置)。
く理解し目標を設定するにはメタ認知
ました。実際の所要時間は数十分から
この結果は、努力を継続するために
力が重要と考えられます。目標設定に
一時間程度でしたが、最後まで課題を
必要な長期自己制御力の獲得を支援す
(1)
関わるメタ認知力 や自己制御力 の
実施した参加者はやはりおよそ半数で
る方法の開発に役立つと考えています。
神経基盤は最近の研究で明らかになっ
した。努力を継続した参加者と、途中
私たちは、努力の継続が困難であるた
てきました。ところが、もう一方の要
でやめるという決定をした参加者の間
めに社会的問題を抱えている若者へ新
素である『努力継続』を司る神経基盤
に、やる気、知能指数や人格特性に差
たな支援法を提供することを目標とし
は、いままで研究の対象になってきま
はありませんでした。つまり、やる気
て努力を続けていきます。
せんでした。メタ認知力に加えて、
『努
についての本人からの事前申告、知的
力継続』のメカニズムが明らかになれ
レベルや性格特性からはどちらの行動
文献
ば、個人の脳情報に基づいた目標の最
を選択するかはわかりませんでした。
1)
適化とその実現に向けた努力継続法を
ところが、学習や課題の前に撮像した
Making Involves Modulation of the
提案できるかもしれません。私たちは、
MRI 画像を用いて脳灰白質の体積と神
vmPFC Valuation System. Science
目標の内容に依存しない努力継続力の
経線維走行のまとまり具合の指標であ
存在を仮定し、その神経メカニズムを
る白質異方性を比較したところ、どち
明らかにしたうえで、努力継続力を強
らの実験でも最後まで継続することを
introspective accuracy to individual
化する方法の開発を目指しています
選択した群ではそうでない群と比べ、
differences in brain structure.
(概念図)。
前頭前野の一部(前頭極)の灰白質体
Science 329(5998):1541-3.
(2)
積が大きくその周囲の白質異方性が高
研究成果
いことがわかりました。前頭極が『努
我々はまず、英語学習意欲が高い大
力継続』を選択する意思決定に関わる
学生を集め、TOEIC の得点向上を目標
可能を示す結果です。さらに、この結
にとして 4 カ月間毎日英語語彙の学習
果は脳の構造が努力継続を選択する人
を行う実験を計画しました。参加者は
を特徴づけることを意味します。そこ
実験内容を事前に十分理解し、高い参
で、前頭極の灰白質体積と周囲の白質
加意欲を示しました。ところが、実際
異方性の値を用いて判別器を作成した
26
Hare et al. Self-Control in Decision-
324: 646-648.
2)
Fleming SM et al. (2010) Relating
研究成果
思春期および小児期・青年期における
精神疾患の治療と予防に関わる
脳神経倫理学
東京大学大学院総合文化研究科
概要
石原
孝二
本論文では、初回エピソード精神病
エンハンスメントやインフォームドコ
本研究は、統合失調症・自閉症の治
(FEP)と初回エピソード統合失調症
ンセントに関するニューロフィードバ
療と予防にかかわる倫理的問題を中心
(FES)、精神病未治療期間(DUP)
ック特有の倫理的問題を抽出する作業
に、人格形成期である思春期(および
と未治療期間(DUI)の違いに言及し
を行い、その成果をワークショップに
その前後の小児期・青年期)における
ながら統合失調症および精神病に関す
おいて発表した。
精神医学的介入一般がもたらす倫理的
る「早期介入」と「予防」の概念を整
問題を明確化すること、そしてまた、
理するとともに、統合失調症の「前期
その解決に向けて一定の方向性を示す
症状」概念からARMS(At Risk Mental
石原孝二, 佐藤亮司. 2012.10. 統合失
ことを目的としている。
State) 概念への転換における倫理的
調症の早期介入と予防における倫
含意を分析し、発症前の医療的介入と
理的問題.『社会と倫理』
医療化の拡大が問題視され得ることを
27:135-151.
2013年度は①統合失調症における
早期介入と予防に関する倫理的問題の
検討、②自閉症に対するオキシトシン
の治療適用に関する倫理的問題の検討、
③ニューロフィードバックに関する倫
理的問題の検討を進めた。また、国際
ワ ー ク シ ョ ッ プ Ethical Issues in
Psychiatryを開催したほか、Emory大学
倫理センター脳神経倫理プログラムデ
ィレクターのKaren Rommelfanger氏、
King’s College LondonのNikolas Rose
【論文】
指摘した。本論文ではまた、Yale大学
のPRIMEクリニックで行われた早期
介入研究に対する批判や「臨床的均衡」
【口頭発表】
R. Sato, K. Ota, K. Ishihara, “Ethical
に関する議論、早期介入に伴って生じ
issues in Neurofeedback”, Ethical
る新たなスティグマに関する議論など
Issues in Psychiatry Workshop,
を検討したほか、精神疾患の予防戦略
Jan. 31, 2013, The University of
におけるポピュレーションストラテジ
Tokyo.
ー適用の可能性とその倫理的問題の検
討の必要性について論じた。
K. Ishihara, “Oxytocin and Autism:
Ethical Issues” Ethical Issues in
Psychiatry Workshop, Jan. 31,
2013, The University of Tokyo.
教授の講演会を開催し、本研究の海外
②自閉症に対するオキシトシンの治療
共同研究者および国内外の研究者たち
適用に関する倫理的問題の検討に関し
と精神疾患に関する治療・予防に関す
ては、オキシトシンの効果に関する研
schizophrenia and autism, 2013
る倫理的問題について議論を交わした。
究 状 況 を 踏 ま え な が ら 、 Deborah
Neuroethics International Conference.
BarnbaumのAutistic Integrity概念の検
Seoul, January 11, 12, 2003.
①統合失調症における早期介入と予防
に関する倫理的問題の検討に関しては、
その成果を論文(論説)「統合失調症
の「早期介入」と「予防」に関する倫
理的問題:「早期介入」の多義性と
ARMSをめぐって」にまとめた。
討を行ったほか、統合失調症への早期
介入における倫理的問題とも対比しな
がら、人格形成への影響の可能性につ
いて検討を行った。
③ニューロフィードバックに関する倫
理的問題の検討に関しては、ニューロ
モデュレーション一般と比較しながら、
27
K. Ishihara, The neuroethics of early
detection
and
intervention
for
K. Ishihara, Autism and the Brain:
From a Japanese Perspective.
2012 International Conference on
Mind Sciences, Humanity, and
Culture, Taipei, October 26, 2012.
研究成果
環境からのフィードバック促進による
反応の結果予期の変容効果
信州大学教育学部
高橋
史
概要
児童青年期の攻撃行動に対する問題
反応の
検索
解決スキル訓練では,周囲とのやりと
反応の
結果予期
目標の
明確化
データ
データベース
ベース
対人行動の自己制御(問題解決スキル)
を向上させる。この訓練の最大の特長
手がかりの
解釈
は,介入効果の持続性である。
問題解決スキル訓練の短所としては,
気
が
済
む
友
人
関
係
実
効
性
「反応の結果予期」
謝る
りを知覚してから反応するまでの一連
の情報処理(Fig.1)を改善することで,
反撃
行動の実行
「行動の実行」 (仮:ビデオ刺激の視聴)
仲間からの
評価と反応
手がかりの
符号化
反撃
気
が
済
む
友
人
関
係
謝る
実
効
性
「仲間からの評価と
反応」
Fig.2 仲間からの反応が自己制御を更新する
Fig.1 社会的情報処理モデル
非効率性が挙げられており,十分な介
入効果を得るために数十回のセッショ
ンが必要であるとされている(Kazdin,
1997)。一方,これまでの介入研究で
は,「仲間からの評価と反応」(環境
からのフィードバック)に積極的に注
意を向けるという手続きが含まれてこ
なかった。つまり,環境からのフィー
ドバックを通して個人の認知が変容す
るという基礎的知見(e.g. Huesmann
& Guerra, 1997)が介入に十分に活か
の訓練を受けた。実験群は,比較対照
群が受けた訓練に加えて,「行動の実
行」と「仲間からの評価と反応」を収
録したビデオを視聴して,「反応の結
果予期」→「ビデオ視聴(環境からの
フィードバック)」→「反応の結果再
評価」という相互参照を疑似的に体験
ションという限られた介入期間でも自
した。介入前後には,Takahashi et al.
己制御の向上が可能であることが示さ
(2009)にしたがって,反応の結果予
れた。しかしながら,本研究の知見を
期の数および確信度を測定した。
他学年に応用する際には慎重を期する
されているとは言い難い。
そこで,本研究では,問題解決スキ
ル訓練の効率性を高めるため,環境か
らのフィードバック(Fig.1 では「仲間
からの評価と反応」)を活用した自己
制御の形成方法を開発し,その効果を
検証する。
方法
公立中学校に在籍する中学1年生
60 名(男子 34 名,女子 26 名)を,従
来型の問題解決スキル訓練を行う群
(比較対照群)と,環境からのフィー
必要がある。たとえば,反応の結果予
結果
期はおよそ小学6年生以上の児童生徒
群および時期を独立変数,各測定
においてのみ攻撃行動の自己制御に寄
値を従属変数とする二要因分散分析
与するということが報告されており
を行った。その結果,向社会的対処
(Takahashi et al., 2009),自己制御
の有効性予期の確信度において,群
の機能は学年によって異なる可能性が
と時期の交互作用が有意であった
ある。そのため,本研究の知見を学校
(F[1,114]=4.10, p<.05)。単純主効果
教育現場にて応用するにあたっては,
の検定を行ったところ,実験群におい
小学5年生以下の児童に対する一般化
てのみ有意な向上が認められた
可能性について再検討する必要がある。
(p<.01)(Fig.2)。反応の結果予期
の数については,両群共に顕著な改善
文献
は認められなかった。
Takahashi, F., Koseki, S., & Shimada,
ドバック促進を追加する群(実験群)
に振り分けた。
両群共に,通常授業時間を用いた1
回 50 分計2回の実験的授業に参加し
た。比較対照群は,「反応の結果予期」
H. (2009). Developmental trends in
考察と今後の展望
本研究の結果から,環境からのフィ
children’s aggression and social
problem-solving. Journal of Applied
ードバックを積極的に活用して反応の
Developmental
結果予期を再評価することで,2セッ
265-272.
28
Psychology,
30,
研
研究成果
ヒト高
ヒ
高次連合
合野の
の成熟前
前後に
における
神 回路特性
神経回
性と神
神経可塑
塑性の
の検証
証
横浜市立大学大
大学院医学研
研究科
精神
神医学部門
中村 元昭
概
概要と研究目的
的
本研究では、ヒトにおいて
て最も進化
発
発達を遂げ、メ
タ認知的な自
自己制御機
構
構の舞台となり
得る、前頭連
連合野を中
心
心とした高次連
連合野に着目し
している。
研
研究目的(右図
図参照)として
ては、経頭
蓋
蓋磁気刺激法(
(TMS)による
る誘発電位
(脳波)[1]を
を生物学的指標
標として高
次
次連合野の興奮
奮閾値測定や刺
刺激部位特
異
異性を検証する
ること(目的1)、機能
的 MRI(fMRI)
)を用いて TMS
T
誘発
BO
OLD 反応[2]を指標として
て、高次連
合
合野の巨視的機
機能結合を検証
証すること
( 目的2)、経
経頭蓋直流電 流刺激法
(tDCS)や TM
MS のシータバ
バースト刺
激
激(TBS)[3]
による介入前
前後の神経
可塑性誘導効果について定量脳波
(qEEG)や fMRI を用いて検
検証し、低
関での倫理審
審査委員会での
の審議を受け
侵
侵襲的な治療的
的介入の可能性
性とその安
承諾を得た。
。予備的実験を
を繰り返し、
成人期
期群と思春期群
群のデータを比
比較
全
全性を探ること
(目的3)が
が挙げられ
TMS / qEEG
G 実験のプロトコールを確
して、高
高次連合野の生
生物学的指標に
につ
る。高次連合野
野はヒトに特徴
徴的なライ
立した。TM
MS / qEEG 同時
時記録実験に
いてその
の成熟前後での
の変化を検討す
する
フステージであ
ある思春期に成
成長し、成
おいては、前頭連合野の
前
TMS
T
誘発電位
予定であ
ある。
人
人期早期に成熟
熟することが示
示唆されて
を測定するこ
ことに成功した
た。特に TMS
い
いる。従って、
思春期と成人
人期早期の
により惹起さ
される介在ニュ
ューロンの活
高
高次連合野の生
生物学的指標を
を比較する
動を反映する
ると考えられる
る N100 成分
ことで、高次連
連合野の成熟過
過程を検証
は比較的安定
定して測定する
ることができ
できる可能性が
があり(目的4)、思春
た。被験者 数はまだ少な
ないが、主に
期における支援
援の方向性を提
提言できる
N100 成分を
をアウトプットとして、刺
可能性がある。
激強度に依存
存した変化や TBS による
修飾効果(神
神経可塑性様変
変化)を測定
計
計画の概要と平
平成 24 年度の進捗
することがで
できた。以上よ
より高次連合
中枢神経への
の介入方法とし
しては、低
野の興奮性や
や可塑性を反映
映するバイオ
侵
侵襲的な経頭蓋
蓋磁気刺激法(
(TMS)と
マーカーとし
して N100 成分
分の価値が期
経
経頭蓋直流電流
流刺激法(tDCS
S)を採用
待される。T
TMS / fMRI 同時
時記録実験に
し、関心領域は
は前頭連合野、頭頂連合
おいては、B
BOLD 信号をア
アウトプット
野
野、側頭連合野
野などの高次連
連合野であ
として、TMS
S 誘発 BOLD 反応を測定す
反
る。主な評価方法
法は定量脳波(qEEG)
る。TMS / fM
MRI 実験におい
いては、TMS
と機能的 MRI(
(fMRI)である
る。方法論
によるノイズ
ズを軽減する方
方法を概ね確
的には、TMS と同時に
と
qEEG または
立したが、実
実験プロトコー
ールと解析手
fM
MRI を測定す るというオン
ンライン測
法の完成には
はもう少し時間
間を要するた
定実験が基本となる。平成 24
2 年度の
め次年度の課
課題としたい。
。
進
進捗状況として
ては、秋までに
に本研究計
画
画に必要な実験
験環境を整備し
し、所属機
29
平成 25 年度の計画概
概要
参考文献
献
1. Rosa
anova M, Ca
asali A, Belli na
V, Rest a F, Mariott i M, Massim
mini
M. Natu
ural frequen cies of hum an
corticothalamic circuiits. J Neuro
osci
2009; 29
9(24): 7679-85
5.
2. Hanakkawa T, Mima T, Matsumoto
o R,
Abe M, Inouchi M, Ura
ayama S, Ana
ami
K, Hond a M, Fukuyam
ma H. Stimulu
usresponse
e profile during single-pu
ulse
transcran
nial magnetic
c stimulation to
the
prim
mary
motor
cortex.
Cerreb
Cortex. 2
2009 Nov; 19(11): 2605-15.
3. Huang
g YZ, Edward
ds MJ, Rouniss E,
Bhatia K
KP, Rothwell JC. Theta bu
urst
stimulatio
on of the human motor corttex.
Neuron 2
2005; 45(2): 201-6.
研究成果
気分障害発症における思春期早発の影響
理化学研究所 脳科学総合研究センター
概
笠原 和起
要
本領域は精神機能の自己制御の解明
を目指しているが、精神の自己制御の
破綻を来す精神疾患の一つに気分障害
がある。思春期におけるイベントが気
分障害に発症にどのように影響するか
は、ほとんど研究されていない。そこ
で、気分障害モデルマウスを用いて思
春期(性成熟期)のイベントと発症の
相関について解析しようとしている。
我々はこれまでに、変異 Polg1 トラン
スジェニックマウス(Tg マウス)が双
極性障害の動物モデルとして妥当であ
ることを明らかにしてきた[1]。この Tg
マウスは、実験用系統(C57BL/6J)で
作製したため、メラトニン合成能を持
たない[2,3]。この合成能を持たせれば
性成熟の時期を遅らせることが可能で
ある(正しくは、実験用マウスが野生
本来よりも異常に早いのであり、それ
を正しい時期に戻す)[3]。
今年度行ったこと
C57BL/6J 系統と野生由来マウス系
統(MSM/Ms)と掛け合わせ、メラト
ニン合成能を有する C57BL/6J コンジ
ェニックマウスの作製を完了させた。
また、このコンジェニックマウスと Tg
マウスを 2 回掛け合わせて、メラトニ
ン合成能を持つ双極性障害モデルマウ
スを作出した。現在、この作出したマ
図 1 メラトニンの生合成系とマウス 2 系統の遺伝子型 (mut:変異型、+:正常型)
エピソード頻度が変わるか、症状の重
症度が変わるか、などを調べている。
今後の研究の推進方策
複雑な遺伝子型のマウスの交配をす
ることは、実験に使用するマウスの数
判明した問題点
を増やすことにつながる。使用数を抑
本研究課題では、3 つの遺伝子座の
制するために、別の研究手法も用いる
組み合わせでマウスを作出するため、
ことを考慮中である。すなわち、合成
実際に行動解析を開始するまでに時間
能のないマウスにメラトニンを投与す
がかかる。3 つとは、メラトニン合成
る方法を利用する。投与による方法と
系酵素 AANAT と HIOMT の 2 遺伝子
遺伝的に合成能を規定する方法は、そ
(図 1)と、Tg マウスが持つ変異 Polg1
れぞれ利点・欠点があるが、得られた
である。目的のマウスを作出する過程
結果の解釈にあたっては相補的に役立
で、実験用マウス系統 C57BL/6J の
つと考えられる。
Aanat アリール(すなわち変異型)が
酵素活性を完全に失わせるわけではな
文
いことが明らかになった(図 2)。こ
[1] Kasahara T et al., Mol Psychiatry
の想定外の事実のため、メラトニンを
作らないというコントロールのマウス
を作り出すためには、想定していたよ
りもさらに繁雑な交配が必要であるこ
献
11, 577–593 (2006).
[2] Ebihara S et al., Science 231,
491–493 (1986).
[3] Kasahara T et al., PNAS 107,
6412–6417 (2010).
とが判明した。
ウスを長期の行動解析(半年間の予定)
に供しているところである。メラトニ
ンを持たない Tg マウスはうつ病エピ
ソード様の行動変化を示すが、メラト
ニン合成能を持って性成熟の開始が遅
れることにより、この行動学的な表現
型がどのように変化するか、すなわち、
図 2 Aanat, Hiomt の遺伝子型とメラトニン合成能
30
活動報告
領域会議
領域会議
<日時>
2013 年 3 月 3 日(日) 9:00-17:00
<場所>
東京大学医学部附属病院
中央診療棟
7階
大会議室
午前は、ポスター発表形式で A01~A03 までの公募班の進捗状況報告がなされました。A01 から文東美紀先生(東京大学)、
西谷正太先生(長崎大学)、藤沢啓子先生(慶應義塾大学)、A02 から長谷川功先生(新潟大学)、皆川泰代先生(慶應義
塾大学)、伊藤岳人先生(玉川大学)、花川隆先生(国立精神・神経医療研究センター)、A03 から、石原孝二先生(東京
大学)、高橋史先生(信州大学)、中村元昭先生(横浜市立大学)、笠原和起先生(理化学研究所)が発表をしました。
午後は、A01、A02、A03 各計画班の進捗状況報告がありました。A01 から長谷川眞理子先生・西田淳志先生、佐々木司
先生・高橋史先生、A02 から八幡憲明先生、萩原裕子先生・橋本龍一郎先生、酒井弘先生、福田正人先生、岡ノ谷和夫先生、
A03 から笠井清登先生・西村幸香先生・木下晃秀先生、山﨑修道先生・夏堀龍暢先生、岡本泰昌先生、村井俊哉先生、田中
聡先生が発表をしました。
各班ともに研究の進捗が目に見える形となり、闊達な議論がなされました。今後、本領域内の多岐に渡る学際的な研究が、
如何に有機的なコラボレーションを産み出せるかが興味深いところであります。
まとめとして、本領域をご担当頂く文部科学省研究振興局学術調査官である、松田哲也先生(玉川大学)よりご講評を頂
きました。
31
活動報告
若手・女性研究者向け夏合宿
<日時>
2012 年 7 月 14 日~15 日
<場所>
伊豆山研修センター
7 月 14 日(1 日目)(敬称略)
13:00 領域代表・合宿幹事挨拶(笠井清登・田中聡)
13:05 ポスターセッション
A1-1 股村美里「思春期の子どもの睡眠習慣と不安・抑うつの変化に関する縦断的検討」
A1-2 小塩靖崇「各国における学校メンタルヘルスリテラシー教育プログラムの検討」
A2-1 徐鳴鏑「Recognition of Self vs. Other voices」
A2-2 里麻奈美「自己/他者の行為認知におけるパースペクティブの制御」
A2-3 高橋美樹「さえずり文化の継承にみるジュウシマツと野生種間の生得的制約の比較」
A2-4 加藤君子「‘敵と味方’認知の霊長類モデル」
A2-5 橘亮輔「聴覚フィードバックの実時間操作のための信号処理技術開発」
A2-6 石毛陽子「会話中の健常者における不安と脳機能の関連についての検討」
A3-1 片山寛人・幸村州洋「NIRS および MRI を用いた神経性食思不振症の中枢神経機能障害探索」
A3-2 結城笙子「ラットを用いた比較メタ認知研究」
A3-3 高橋史「小中学生の問題解決による攻撃行動の制御効果」
A3-4 山本哲也「うつ病の再発にかかわる認知的脆弱性の神経生理学的基盤の検討」
15:00 招待講演 1『女性として科学者になるということ』 森郁恵先生
16:15 招待講演 2『私と研究
名古屋大学大学院理学研究科
-アメリカ留学から学んだこと-』 三宅なほみ先生
東京大学大学院教育学研究科
17:00 懇親会
19:00 有志企画(花火、スイカ割り)
21:00 交流会
最初に、笠井清登領域代表および田中聡先生(名古屋大学)より挨拶があり、A01、A02、A03 の三つの領域の若手研
究者 12 名のポスターセッションが取り行われました(A01 座長:山﨑修道、A02 座長:岡ノ谷一夫、A03 座長:笠井清
登)。各研究者に対して、今後の研究の発展へとつながる質問が次々と上がり、活発な議論が繰り広げられました。
招待講演では、森郁恵先生と三宅なほみ先生にお越しいただき、ご講演いただきました。森郁恵先生は、線虫
Caenorhabditis elegans をモデル動物とした分子神経遺伝学、感覚受容の分子機構、神経回路に基づく行動の分
子基盤の解明、記憶と学習の分子機構の解明などの研究をしてきた研究者です。三宅なほみ先生は、認知科学、
認知心理学をベースに人の理解や学習のメカニズムとそれを支援する方法や環境作りといった、人の賢さに関わ
る研究をしてきた研究者です。お二方の先生方より、女性研究者としてどのような道を歩んでこられたのか、実
体験に基づくお話をいただきました。会場にいる多くの若手研究者から、研究内容に関することから、研究者と
して生きていくにあたっての悩みに関することまで、様々な質問が上がりました。
本合宿では、お子さんのいらっしゃる研究者の参加もできるよう、ベビーシッター制度を採用しました。一日の終わり
32
には、お子さんたちを交え、懇親会、花火・スイカ割りといったリクリエーションや、交流会が行われ、研究者同士の親
睦が深められました。
33
7 月 15 日(2 日目)(2 日目については Vol.1 の領域会議の欄で報告済)
9:00
計画班進捗報告(計画代表・分担研究者:各 5-10 分程度)
13:00
総括班:来年度の企画について
13:30
計画班内連携及び公募班-計画班連携
15:00
計画班間の共同研究進捗状況
各計画班の進捗報告として、A01、A02、A03 の計画代表・分担研究者の発表がありました(A01:長谷川眞理子、高
橋泰城、西田淳志、佐々木司、A02:藤井直敬、萩原裕子、橋本龍一郎、酒井弘、福田正人、岡ノ谷一夫、A03:笠井清
登、山﨑修道、西村幸香、岡本泰昌、村井俊哉、田中聡
発表順、敬称略)。次に、25 年度の企画(国際シンポジウム、
夏合宿、年度末会議等)についての日程の取り決めなどが行われました。その後、各計画班内連携及び公募班・計画班連
携の為、話し合いが行われ、各計画代表である長谷川眞理子、藤井直敬、笠井清登より報告がなされました。最後に、思
春期コホートフォーカスグループ連携(A01-A02)と、メタ認知:ヒト動物比較(A02 -A03)の 2 つに分かれ、計画
班間の共同研究の進捗状況の確認、情報交換、計画の為、話し合いが行われた後、各代表より報告がなされました。
34
業績一覧
学術論文
【A01・欧文】
1)
Takahashi T (2012) Quantum Decision Theory for Computational Psychiatry. NeuroQuantology. 4: 688-691.
2)
Han R and Takahashi T (2012) Psychophysics of time perception and valuation in temporal discounting of gain and
loss. Physica A. 391: 6568-6576.
3)
Han R and Takahashi T (2012) Tempospect Theory of Intertemporal Choice. Psychology. 3: 555-557.
4)
Takahashi T (2012) Emotion Interference Solves Social Dilemma. Theoretical Economics
5)
Yamane S, Takahashi, T, Kamesaka A, Tsutsui Y, Ohtake F (2013) Socio-Emotional Status, Education, and
Letters. 2: 446-449.
Time-Discounting in Japanese Non-Smoking Population: A Multi-Generational Study. Psychology. 4: 124-132.
6)
Takahashi T (2012) Molecular neuroeconomics of crime and punishment: implications for neurolaw.
7)
Takahashi T, Nishinaka H, Makino T, Han R, Fukui H (2012) An Experimental Comparison of Quantum Decision
NeuroEndocrinology Letters. 33: 667-673.
Theoretical Models of Intertemporal Choice for Gain and Loss. Journal of Quantum Information Science. 2: 119-122.
8)
Takahashi T,Cheon T (2012) A nonlinear neural population coding theory of quantum cognition and decision making.
World Journal of Neuroscience. 2: 183-186.
9)
Kawamura Y, Takahashi T, Liu X, Nishida N, Tokunaga K, Ukawa K, Noda Y, A et al (2012) DNA polymorphism in
the FKBP5 gene affects impulsivity in intertemporal choice. Asia-Pacific Psychiatry. 5: 31-38.
10)
Yoshiya Kawamura, Taiki Takahashi, Xiaoxi Liu, Nao Nishida, Yoshihiro Noda, Akane Yoshikawa, Tadashi Umekage,
Tsukasa Sasaki (2013) Variation in the DRD2 gene affects impulsivity in intertemporal choice. Open Journal of
Psychiatry. 3: 26-31.
11)
Takahashi T, Han R Nakamura F (2012) Time discounting: Psychophysics of intertemporal and probabilistic choices.
Journal of Behavioral Economics and Finance. 5: 10-14.
12)
Kawamura Y, Takahashi T, Liu X, Nishida N, Tokunaga K, Ugawa K, Noda Y, Yoshikawa A, Shimada T, Umekage T,
SasakiT (2013) DNA polymorphism in the FKBP5 gene affects impulsivity in intertemporal choice. Asia Pac
Psychiatry. In press.
13)
Kawamura Y, Takahashi T, Liu X, Nishida N, Noda Y, Yoshikawa A, Umekage T, Sasaki T (2013) Variation in the
DRD2 gene affects impulsivity in intertemporal choice. Open Journal of Psychiatry. 3: 26-31.
14)
Tochigi M, Nishida A, Shimodera S, Oshima N, Inoue K, Okazaki Y, Sasaki T (2013) Irregular bedtime and nocturnal
cellular phone usage as risk factors for being involved in bullying: A cross-sectional survey of Japanese adolescents.
PLoS ONE. 7: e45736.
15)
Oshima N, Nishida A, Shimodera S, Tochigi M, Ando S, Yamasaki S, Okazaki Y, Sasaki T (2012) The Suicidal
Feelings, Self-Injury, and Mobile Phone Use After Lights Out in Adolescents. J Pediatr Psychol. 37: 1023-30.
16)
Tochigi M, Nishida A, Shimodera S, Inoue K, Okazaki Y, Sasaki T (2013) Season of birth effect on psychotic-like
experiences in Japanese adolescents. The Suicidal Feelings, Self-Injury, and Mobile Phone Use After Lights Out in
Adolescents. European Child and Adolescent Psychiatry. 22: 89-93.
17)
Fujisawa TX, Nishitani S, Obara T, Shinohara K
(2012) Loneliness depends on salivary estradiol levels in
adolescent females. Neuro Endcrinology Letters. 33(5):525-9.
18)
Nishikawa S, Nishitani S, Fujisawa TX, Noborimoto I, Kitahara T, Takamura T, Shinohara K (2012) Perceived
parental rejection mediates the influence of serotonin transporter gene (5-HTTLPR) polymorphisms on impulsivity in
Japanese adults. PLoS ONE. 7(10):e47608.
35
19)
Watanabe N, Nishida A, et al (2012) Deliberate Self-Harm in Adolescents Aged 12-18: A Cross-Sectional Survey of
18,104 Students. Suicide Life Threat Behav. 42:550-560.
20)
Bundo M, Sunaga F, Ueda J, Kasai K, Kato T, Iwamoto K. (2012) A systematic evaluation of whole genome
amplification of bisulfite-modified DNA. Clinical Epigenetics 4:22.
【A01・和文】
1)
小塩靖崇、股村美里、佐々木司.日本におけるメンタルヘルスリテラシー教育.精神科 22:12- 19, 2013.
2)
股村美里、宇佐美慧、福島昌子、米原裕美、東郷史治、西田淳志、佐々木司.中高生の睡眠習慣と精神的健康の変
化に関する縦断的検討.学校保健研究 印刷中.
【A02・欧文】
1)
Suzuki K,Wakisaka S and
Fujii N. (2012) Substitutional reality system: a novel experimental platform for
experiencing alternative reality. Scientific
2)
Reports. 2:459.
Minagawa-Kawai Y, Cristia A, Long B, Vendelin, Hakuno Y, Dutat M, Filippin L, Cabrol D and Dupoux E. Insights on
NIRS sensitivity from a cross-linguistic study on the emergence of phonological grammar. Frontiers in Psychology. In
Press.
3)
Cristia A, Dupoux E, Hakuno Y, Lloyd-Fox S, Schuetze M, Kivits J, Bergvelt T, van Gelder M, Filippin L, Charron S,
and Minagawa-Kawai Y. (2013) An online database of infant functional Near InfraRed Spectroscopy
studies: A
community-augmented systematic review. PLoS One. 8.
4)
Miyata H, Minagawa-Kawai Y, Watanabe S, Sasaki T, Ueda K. (2012) Reading speed, comprehension and eye
movements while reading Japanese novels: evidence from untrained readers and cases of speed-reading trainees.
PLoS One. 7.
5)
Naoi N, Minagawa-Kawai Y, Kobayashi A, Takeuchi K, Nakamura K, Yamamoto J, Kojima S. (2012) Cerebral
responses to infant-directed speech and the effect of talker familiarity. Neuroimage. 59:1735-1744.
6)
Watanabe H., Nakamura M., Ohno T., Itahashi T., Tanaka E., Ohta H., Yamada T., Kanai C., Iwanami A., Kato N., &
Hashimoto R. (2013) Altered orbitofrontal sulcogyral patterns in adult males with high-functioning autism spectrum
disorders. Social Cognitive Affective Neuroscience.
7)
Sato M. (2012) Towards a cognitive science of literary style: Perspective-taking in processing omniscient versus
8)
Sato M. (2012) The Cognitive Representation of Japanese Giving and Receiving Auxiliaries: Evidence from an
objective voice. Proceedings of the 34th Annual Conference of the Cognitive Science Society. 959-964.
Eye-tracking Study. The Technical Report of Language and Thought of the Institute of Electronics, information and
Communication Engineers. 37-40.
9)
Sato M. (2012) The case of the missing pronouns: Does mentally simulated perspective play a functional role in the
comprehension of person? Cognition. 127:361-374.
10)
Hata M., Homae F., & Hagiwara H. (2013) Semantic categories and contexts of written words affect the early ERP
component. NeuroReport. 24(6):292-7.
11)
Sato T, Fukuda M, Kameyama M, Suda M, Uehara T, Mikuni M. (2012) Differential relationships between personality
and brain function in monetary and goal-oriented subjective motivation: multichannel near-infrared spectroscopy
study of healthy subjects. Psychiat Clin Neurosci. 66:276-284.
12)
Narita K, Fujihara K, Takei Y, Suda M, Aoyama Y, Uehara T, Majima T, Kosaka H, Amanuma M, Fukuda M,
Mikuni M. (2012) Associations among parenting experiences during childhood and adolescence,
hypothalamus-pituitary-adrenal axis hypoactivity, and hippocampal gray matter volume reduction in young
adults. Hum Brain Mapp. 33:2211-23.
【A02・和文】
1)
福田正人.臨床神経生理学から見た精神疾患の病態生理.精神神経学雑誌 115:187- 193, 2013.
2)
福田正人,村井俊哉笠井清登,池淵恵美.統合失調症の認知障害論.Progress in Medicine 32: 2369-2375, 2013.
3)
福田正人,三國雅彦.先進医療「うつ症状の光トポグラフィー検査」.精神神経学雑誌 114: 801-806, 2013.
4)
福田正人,三國雅彦.心理現象・精神疾患へのNIRSの応用.電子情報通信学会誌 95: 372-376, 2012.
36
5)
滝沢龍,笠井清登,福田正人.ヒト前頭前野の発達と進化.日本生物学的精神医学会誌 23: 41-46, 2013.
6)
橘亮輔, 高橋美樹,岡ノ谷一夫.さえずりを学ぶ、さえずりから学ぶ
鳴禽の歌学習の進化と神経基盤.現代思想 8
月号: 224-235, 2012.
【A03・欧文】
1)
Yoshimura S,Okamoto Y et al. Cognitive behavioral therapy for depression changes medial prefrontal and ventral
anterior cingulate cortex activity associated with self-referential processing. Soc Cogn Affect Neurosci. In Press.
2)
Kirihara K, Kasai K, Tada M, Nagai T, Kawakubo Y, Yamasaki S, Onitsuka T, Araki T (2012) Neurophysiological
impairment in emotional face processing is associated with low extraversion in schizophrenia. Progress in
Neuro-Psychopharmacology & Biological Psychiatry. 37:270-275.
3)
Koike S, Takano Y, Iwashiro N, Satomura Y, Suga M, Nagai T, Natsubori T, Tada M, Nishimura Y, Yamasaki S,
Takizawa R, Yahata N, Araki T, Yamasue H, Kasai K (2013) A multimodal approach to investigate biomarkers for
psychosis in a clinical setting: The integrative neuroimaging studies in schizophrenia targeting for early intervention
and prevention (IN-STEP) project. Schizophrenia Research. 143(1):116-124.
4)
Takizawa R, Nishimura Y, Yamasue H, Kasai K. (2013) Anxiety and Performance: The Disparate Roles of Prefrontal
Subregions Under Maintained Psychological Stress. Cerebral Cortex. In Press.
5)
Sakakibara E, Takizawa R, Nishimura Y, Kawasaki S, Satomura Y, Kinoshita A, Koike S, Marumo K, Kinou M,
Tochigi M, Nishida N, Tokunaga K, Eguchi S, Yamasaki S, Natsubori T, Iwashiro N, Inoue H, Takano Y, Takei K,
Suga M, Yamasue H, Matsubayashi J, Kohata K, Shimojo C, Okuhata S, Kono T, Kuwabara H, Ishii-Takahashi A,
Kawakubo Y, Kasai K. (2013) Genetic influences on frontal activation during a verbal fluency task: A twin study
based on multichannel near-infrared spectroscopy. Neuroimage. In Press.
6)
Sasamoto A, et al. (2013) Global association between cortical thinning and white matter integrity reduction in
schizophrenia. Schizophrenia Bulletin. Epub ahead of print.
7)
Kubota M, et al. (2013) Thalamocortical disconnection in the orbitofrontal region associated with cortical thinning in
8)
Ubukata S, et al. (2013) Regional gray matter reduction correlates with subjective quality of life in schizophrenia.
schizophrenia. JAMA Psychiatry. 70:12-21.
Journal of Psychiatric Research. 47:548-554.
9)
Nakamura M. (2012) Neuromodulation in clinical psychiatry; its history, present, and future. Japanese Journal of
Biological Psychiatry. 23(2):121-129.
10)
Saeki T, Nakamura M, Hirai N, Noda Y, Hayasaka S, Iwanari H, Hirayasu Y. (2012) Localized potentiation of sleep
slow-wave activity induced by prefrontal repetitive transcranial magnetic stimulation in patients with a major
depressive episode. Brain stimulation. Aug 31. Epub ahead of print.
11)
Nakamura M. (2012) Therapeutic Application of Repetitive Transcranial Magnetic Stimulation for Major Depression.
Seishin Shinkeigaku Zasshi. 114(11):1131-1149.
【A03・和文】
1)
笠井清登.若手精神科医の皆さんへ - アカデミアとコミュニティの融合による New Way of Working (NWW)for
Psychiatrists -.精神神経学雑誌 115: 331-336, 2013.
2)
荒木剛、笠井清登.急性期の精神医療的問題.内科 110: 1080-1084, 2012.
3)
島田隆史、金生由紀子、笠井清登、佐々木司.生殖補助医療と発達障害の関連.日本生物学的精神医学会誌 23: 201-204,
2012.
4)
笠井清登.神経科学研究者とのコラボレーションの推進(巻頭言).日本生物学的精神医学会誌 23:163, 2012.
5)
村井俊哉、笠井清登.臨床生理学的アプローチ・イメージング-脳病態の理解,新たなバイオ・マーカーの開発に
向けて.実験医学 30: 177-181, 2012.
6)
岡本泰昌.うつ病の行動活性化療法.医学のあゆみ 242: 505-509, 2012.
7)
吉野敦雄、神人蘭、 岡本泰昌.認知行動療法と薬物療法の併用効果.臨床精神医学 41: 1009-1015, 2012.
8)
池淵恵美, 中込和幸, 池澤聰, 三浦祥恵, 山﨑修道, 根本隆洋, 樋代真一, 最上多美子.統合失調症の社会的認知: 脳
科学と心理社会的介入の架橋を目指して.精神神経学雑誌 114: 489-507, 2012.
37
9)
山﨑修道, 市川絵梨子, 菊次彩, 吉原美沙紀, 萩原瑞希, 北川裕子, 夏堀龍暢, 小池進介, 江口聡, 荒木剛, 笠井清登.
精神病への認知行動療法~早期支援における認知行動療法の活用
特集/精神病早期介入のエビデンス:アップデ
ート.臨床精神医学 41: 1465 -1468, 2012.
10)
山﨑修道.回復・社会復帰における CBTp
統合失調症の認知行動療法(CBTp)-わが国での現状と今後の展望-精
神神経学雑誌 印刷中.
講演/学会発表/アウトリーチ活動
【A01】
1)
長谷川眞理子:「進化心理学から見た子育てと発達」安田女子大学心理学部設立記念講演
2)
高橋泰城:「心理物理・神経情報コーディング理論による異時点間選択および不確実性下の意思決定へのアプロー
チ」行動経済学会
3)
2012 年 12 月 09 日
2012 年 10 月
広島
青山学院大学(東京)
韓若康・高橋泰城:「Psychophysics of time perception in decision under risk」行動経済学会
2012 年 12 月 09 日
青山学院大学(東京)
4)
Hiraiwa-Hasegawa, M:Abusive mother and crying baby:trade-off between the previous and future offspring. 24th
annual meeting of the Human Behavior and Evolution Society, June 2012, New Mexico, USA.
5)
股村美里、宇佐美慧、福島昌子、米原裕美、東郷史治、西田淳志、佐々木司:「思春期の睡眠習慣の問題と精神的
健康状態の関連についての検討」第 59 回日本学校保健学会
6)
2012 年 11 月 11 日
神戸国際会議場
北川裕子、西田淳志、下寺信次、佐々木司:「精神的不調を抱えた思春期生徒の help-seeking に関連する要因の検
討−中高生を対象とした大規模疫学調査の結果から−」第 59 回日本学校保健学会
2012 年 11 月 11 日
神戸国際会
小塩靖崇、米原裕美、香取潤一、東郷史治、佐々木司:「各国の学校メンタルヘルスリテラシー教育
日本導入へ
議場
7)
の課題」第 59 回日本学校保健学会
8)
2012 年 11 月 11 日
神戸国際会議場
北川裕子、西田淳志、下寺信次、佐々木司:“Serious suicidal ideation may interfere with help-seeking in bully
victimization adolescents.” 第 16 回日本精神保健・予防学会学術集会 平成 24 年 12 月 15 日 東京都笹川記念会館
9)
北川裕子、東郷史治、西田淳志、下寺信次、佐々木司:「いじめ被害の思春期生徒における希死念慮と help-seeking
との関連−中高生を対象とした大規模疫学調査の結果から−」第 9 回日本健康相談活動学会学術集会
平成 25 年 3
月 3 日 北翔大学 北方圏学術情報センターPORTO
10)
月3日
11)
北翔大学 北方圏学術情報センターPORTO
高村恒人、西谷正太、篠原一之:「思春期における愛着に関わる脳機能発達」第 31 回日本思春期学会総会・学術
集会
12)
2012.09.02
長野
藤澤隆史、西谷正太、篠原一之:「思春期の社会性発達にもたらす性腺ホルモンの影響」第 31 回日本思春期学会
総会・学術集会
13)
「日本におけるメンタルヘルスリテラシー教育」第 9 回日本健康相談活動学会 2013 年 3
小塩靖崇、佐々木司:
2012.09.02
長野
篠原一之、西谷正太、高村恒人:「母性愛、父性愛、子の愛着の神経相関」第 90 回日本生理学会
2013.03.27
東
京
14)
西田淳志:「社会階層と思春期の精神保健」第 16 回日本精神保健予防学会
平成 24 年 12 月 16 日
15)
出野美那子:
「情動認識能力と社会的スキルの心理社会的不適応へ及ぼす影響」第 24 回日本発達心理学会
東京
2013.3.15
明治学院大学
16)
田中麻未:「反社会的行動とパーソナリティに関する遺伝・環境の影響」第 24 回日本発達心理学会
2013.3.15
明
治学院大学
【A02】
1)
Fujii N: “Ecological Platform for Understanding Dynamical Neural Network in Primates” Neuroscience 2012: Society
for Neuroscience, 10/11/2012, New Orleans, USA.
2)
Ryosuke O. Tachibana, Neal Hessler, Kazuo Okanoya.: “Reinforced adjustment of inter-syllable gap duration in
birdsong.” The 17th Auditory Research Forum, Doshisha Biwako Retreat Center, Shiga, Japan, 2012/12/08.
3)
橘亮輔,Neal Hessler,岡ノ谷一夫:「さえずりの時間構造の制御学習」第 15 回関西支部若手研究者交流研究発表
会 2012/12/09 産業技術総合研究所、大阪
38
4)
結城笙子、松本結、関義正、岡ノ谷一夫:「オペラント学習の進度指標としてのラット超音波発声」日本動物心理
学会第 72 回大会
5)
関西学院大学、兵庫
結城笙子、松本結、関義正、岡ノ谷一夫:「オペラント学習がラットの情動性超音波発声に与える影響」第 2 回日
本情動学会大会
6)
2012/5/12-13
2012/12/22
慶應義塾大学, 東京
結城笙子、松本結、関義正、岡ノ谷一夫:「オペラント学習がラットの情動性超音波発声に与える影響」脳と心の
メカニズム第 13 回冬のワークショップ
7)
Neuroscience 2012
8)
ルスツリゾート, 留寿都.
2012.10.14 New Orleans, USA
細田 千尋、花川 隆:「タッピング運動における空間・回数系列に関わる神経基盤の比較」第六回 Motor Control 研
究会
9)
2013/1/9-11
Hosoda C, Tanaka K, Osu R, Honda M, Hanakawa T: “The more/less ability, the more/less brain structure”
2012.6.22
岡崎
Ikeda H, Tanaka S, Kato R, Kasahara K, Hanakawa T, Honda M, Watanabe K:“Visual-motor sequence learning by
competitive fighting game experts” 5th International Conference on Knowledge and Smart Technology 2013.01.31
Burapha University, Thailand
10)
皆川泰代、内田真理子、Alejandrina Cristia、Emmanuel Dupoux:「乳児のNIRS計測における血行動態反応:標
準モデル構築を目指して」日本赤ちゃん学会第 12 回学術集会
11)
胎週数による違い」日本赤ちゃん学会第 12 回学術集会
12)
2012 年 6 月 2 日
玉川大学
内田真理子、有光威志、池田一成、高橋孝雄、皆川泰代:「新生児の母親音声に対する大脳皮質局所血流反応の在
2012 年 6 月 2 日
玉川大学
有光威志、皆川泰代、柳橋達彦、木下眞里、三輪雅之、松崎陽平、北東功、内田(太田)真理子、池田一成、高橋
孝雄:
「新生児の音声対比に対する脳反応-早期産児から正期産児まで-」日本赤ちゃん学会第 12 回学術集会
年6月2日
13)
2012
玉川大学
有光威志、皆川泰代、木下眞里、三輪雅之、松崎陽平、北東功、内田(太田)真理子、池田一成:「近赤外分光法
による母親声に対する早期産児の脳反応」第 57 回日本未熟児新生児学会・学術集会
2012 年 11 月 26 日
パレア
ホール
14)
Minagawa-Kawai, Y.:“Interaction between brain maturation and experience: hemodynamic responses to speech
categories in full term and preterm neonates.” Conference of Functional Near Infrared Spectroscopy 2012 年 10 月 26
日 University College London
15)
Hakuno Y, Omori T, Yamamoto J, Minagawa-Kawai Y.: “Infants’ learning of word-object relations: The role of social
interaction.” XVIII Biennial International Conference on Infant Studies 2012 Minneapolis, Minnesota.
16)
Morisawa N, Hakuno Y, Minagawa-Kawai Y.: “Infants’ observation of mother and non-mother faces: The role of
audiovisual information and effects of mother-infant bonding.” XVIII Biennial International Conference on Infant
Studies 2012 Minneapolis, Minnesota.
17)
Minagawa-Kawai Y.: “Preterm and fullterm newborns’ responses to vowel and intonation changes.” Morning
Workshop for the 18th Annual Meeting of the Organization, Human Brain Mapping 2012 年 6 月 13 日 Beijing, China.
18)
Minagawa-Kawai, Y.: “Symposium Toward phenotyping and treatment of Autism Spectrum Disorders” the 35th
Annual Meeting of the Japan Neuroscience Society 2012 年 9 月 18 日 Nagoya, Japan.
19)
皆川泰代:「光トポグラフィーによる発達科学の最前線」第 17 回認知神経科学会学術集会、ランチョンセミナーⅠ
2012 年 9 月 29 日
20)
東京大学先端知ビル 武田ホール
橋本龍一郎、山田貴志、渡部洋実、金井智恵子、加藤進昌:「成人発達障害の言語性自己参照処理に関する脳活動」
第 35 回日本神経科学大会
21)
2012 年 9 月 19 日
名古屋
渡部洋実、橋本龍一郎、中村元昭、山田貴志、大野泰正、金井智恵子、加藤進昌:「自閉症スペクトラム障害にお
ける前頭眼窩面の解剖学的特徴」第 35 回日本神経科学大会
2012 年 9 月 19 日
名古屋
22)
橋本龍一郎:「発達障害の脳と遺伝のメカニズム」首都大学東京傾斜的研究費新規領域創成型研究公開ワークショ
23)
橋本龍一郎:「発達障害における最新の脳画像研究」昭和大学附属烏山病院公開講座「発達障害の最前線−最新の研
ップ・「分子と社会をつなぐ脳~生命・神経・言語科学が切り拓く未来~」
究と現場での対応」
24)
2013 年 1 月 12 日
2012 年 11 月 8 日
八王子・東京
世田谷・東京
Sakai, H.: “Processing Event in Real-Time” GLOW (Generative Linguistics in Old World) in Asia IX, September 6,
2012, Mie University, Tsu.
25)
Sakai, H.: “What do Japanese Honorifics tell us about Agreement Processing: A Neurocognitive Investigation”
Formal Approach to Japanese Linguistics 6, September 27, 2012, Humboldt University, Berlin.
39
26)
Sakai, H.: “Neurocognitive mechanisms for agreement computation: A view from an ERP study on Japanese
honorific processing” Tokyo Conference on Psycholinguistics 2013, March 9, 2013, Keio University, Tokyo.
27)
Sato, M: “Towards a cognitive science of literary style: Perspective-taking in processing omniscient versus objective
voice” Cognitive Science Society, August 3, 2012, Sapporo Convention CenterSapporo.
28)
Sato, M.: “The Cognitive Representation of Japanese Giving and Receiving Auxiliaries: Evidence from an
Eye-tracking Study” Mental Architecture for Processing and Learning of Language, July 21, 2012, Yamagata
University, Yamagata.
29)
Sato, M.: “Simulation in Language Understanding:How do we understand each other?” Nanyang Technological
University Linguistic Seminar, January 28, 2013, Singapore.
30)
福田正人,武井雄一,青山義之,上原徹,三國雅彦:「うつ病はどこまで客観化できるのか(シンポジウム)」第
34 回 日本生物学的精神医学会 2012.9.28. 神戸
31)
福田正人,青山義之,武井雄一,上原徹,三國雅彦:「NIRS の原理と先進医療の制度(シンポジウム)」第 34 回 日
本生物学的精神医学会
32)
神戸
福田正人:「精神疾患への臨床応用の現状(パネルディスカッション)」第 14 回日本ヒト脳機能マッピング学会
2012.7.6.
33)
2012.9.28.
札幌
福田正人:「臨床神経生理学から見た精神疾患の病態生理(教育講演)」第 108 回 日本精神神経学会学術総会
2012.5.24.
札幌
【A03】
1)
笠井清登:「うつ病とメンタルヘルス」東京大学医師会第 26 回市民公開講座
2)
笠井清登:「脳・生活・思春期発症の理解にもとづく統合失調症の早期支援とリカバリー」統合失調症講演会 2013
(特別講演)2013 年 1 月 25 日
3)
荒木剛、永井達哉、多田真理子、切原賢治、笠井清登:「統合失調症の ARMS 研究における MMN の役割と展望」
2012 年 11 月 19 日
東京
笠井清登:「統合失調症:脳・生活・思春期発達の交点」第 53 回中国・四国精神神経学会、第 36 回中国・四国精
神保健学会
5)
東京
横浜
第 42 回日本臨床神経生理学会学術大会
4)
2013 年 1 月 30 日
2012 年 11 月 15 日
岡山
笠井清登:「こころの健康を考える-思春期とこころの発達-」横浜市民メンタルヘルス講座
2012 年 10 月 17 日
横浜
6)
笠井清登:「思春期発達の社会神経科学と統合失調症研究」第 35 回日本神経科学大会
7)
笠井清登:「思春期のこころの健康と統合失調症の理解」第 35 回日本神経科学大会市民公開講座
日
8)
2012 年 9 月 18 日
名古屋
2012 年 9 月 15
名古屋
笠井清登:「こころの健康を考える - 思春期とこころの発達」市民メンタルヘルス講座 2012 年 10 月 17 日
名
古屋
9)
笠井清登:「青春脳:思春期の脳とこころを守る総合人間科学」第 20 回脳の世紀シンポジウム
2012 年 9 月 12 日
東京
10)
佐藤大樹、舟根司、八幡憲明、滝沢龍、桂卓成、木口雅史、小泉英明、福田正人、笠井清登:「光トポグラフィと
fMRI の同時計測による言語流暢性課題に伴う前頭部血行動態変化の検討」第 14 回日本ヒト脳機能マッピング学会
2012 年 7 月 6 日
11)
札幌
笠井清登:「若手精神科医の皆さんへ:アカデミアとコミュニティの融合による New Way of Working (NWW) for
Psychiatrists」第 108 回日本精神神経学会学術総会(教育講演)
12)
笠井清登:「精神医学とは何か?
2012 年 6 月 2 日
2012 年 5 月 25 日
札幌
統合失調症を通して考える脳とこころと生活の医学」精神科公開ゼミナール
長野
13)
笠原和起:「気分障害の生物学的アプローチ」第 116 回日本眼科学会総会
14)
Takaoki Kasahara: “Development and characterization of a mouse model for mood disorder” Infrafrontier / IMPC
2012 年 4 月 6 日
東京
Korea Meeting, 2012 年 9 月 26 日, 韓国・ソギィポ
15)
高橋史:「問題の明確化プロセスが解決策の案出数に及ぼす影響」日本行動療法学会 第 38 回大会
22 日
16)
2012 年 9 月
立命館大学
山﨑修道:「回復・社会復帰支援での CBTp. 統合失調症の認知行動療法(CBTp)~わが国での現状と今後の展望
~」第 108 回日本精神神経学会
2012 年 5 月 24 日
40
札幌
17)
山﨑修道:「メタ認知訓練プログラムの有用性について ~大学病院での研究と実践から~」日本心理臨床学会
31 回秋季大会
18)
2012 年 9 月 14 日
山﨑修道:「就労継続を支える心理社会的リハビリテーション(シンポジウム)」第 20 回日本精神障害者リハビリ
テーション学会
19)
2012 年 11 月 18 日
横須賀
山﨑修道:「精神病早期支援における心理社会的支援の教育・研修について(シンポジウム「精神疾患の早期介入
と継続支援におけるスタッフ・トレーニング」)」第 16 回日本精神保健予防学会
20)
第
名古屋
2012 年 12 月 16 日
東京
Koike S, Satomura Y, Nishimura Y, Takano Y, Iwashiro N, Suga M, Takizawa R, Araki T, Kasai K.: “Longitudinal
hemodynamic changes and prediction of functional outcome in at-risk mental state and first-episode psychosis.”
Third Schizophrenia International Research Society Conference, 2012 年 4 月, Florence, Italy.
21)
Kinoshita A, Takizawa R, Nishimura Y, Tochigi M, Sasaki T, Kasai K.: “Effect of Bdnf Gene Polymorphism on
cerebral blood flow in cognitive task; A NIRS study.” Society of Biological Psychiatry 67th Annual Scientific Meeting,
2012 年 5 月, Phildelphia, USA.
22)
西村幸香:「精神科領域における NIRS の臨床応用」第 17 回認知神経科学会学術集会
2012 年 9 月
23)
Satomura Y, Takizawa R, Nishimura Y, Koike S, Sakakibara E, Kinoshita A, Kasai K.: “The association between
東京
subjective quality of life and prefrontal hemodynamic response: A multi-channel near-infrared spectroscopy (NIRS)
study.” The 8th International Conference on Early Psychosis, 2012 年 10 月, San Francisco, USA.
24)
Koike S, Kawasaki S, Satomura Y, Nishimura Y, Takano Y, Iwashiro N, Suga M, Takizawa R, Araki T, Kasai K.:
“Activations in the prefrontal cortex predict functional outcome in ultra-high risk and first-episode psychosis.” The 8th
International Conference on Early Psychosis, 2012 年 10 月, San Francisco, USA.
25)
西村幸香:「疫学調査と NIRS」第 16 回日本精神保健・予防学会学術集会
26)
Kohji Ishihara: “The neuroethics of early detection and intervention for schizophrenia and autism(招待講演)” 2013
2012 年 12 月
東京
Neuroethics International Conference. Neuroethics in Context: East Meets West, 2013 年 1 月 11 日, ソウル国立大学
Hoam Guest House.
27)
Kohji Ishihara: “Autism and the Brain: From a Japanese Perspective(招待講演)”2012 International Conference on
Mind Sciences, Humanity, and Culture, 2012 年 10 月 26 日, 国立台湾大学.
28)
Kohji Ishihara: “Oxytocin and Autism: Ethical Issues” Ethical Issues in Psychiatry Workshop, 2013 年 1 月 31 日, 東京
大学駒場Ⅰキャンパス.
29)
Ryoji Sato, Koji Ota, Kohji Ishihara: “Ethical issues in Neurofeedback” Ethical Issues in Psychiatry Workshop, 2013
年 1 月 31 日, 東京大学駒場Ⅰキャンパス.
30)
村井俊哉: “Structural Neuroimaging Studies of Schizophrenia” 第 34 回日本生物学的精神医学会平成 24 年 9 月 28-30
日 神戸
31)
村井俊哉:「統合失調症にみられる社会脳の病態と社会性障害」第 108 回日本精神神経学会学術総会平成 24 年 5
月 24-26 日 札幌
32)
中村元昭:「rTMS の作用機序−主に脳形態画像と脳波の側面から−」第 34 回日本生物学的精神医学会
月 28 日
33)
2012 年 9
神戸
片山寛人,幸村州洋,河野直子,矢野(松岡)円郁,今枝美穂,田中聡,西岡和郎,飯高哲也,尾崎紀夫:「近赤
外線スペクトロスコピー(NIRS)を用いた神経性食思不振症の中枢神経機能障害探索」第25回日本総合病院精神
医学会総会
2012/11/30 大田区産業プラザ
報道発表
・
2012 年 9 月 24 日
高 橋 泰 城 ( A01 ) The Chronicle : The Marketplace in the Brain ( リ ン ク )
http://chronicle.com/article/The-Marketplace-in-Your-Brain/134524/
・
佐々木司(A01)共同通信:The Suicidal Feelings, Self-Injury, and Mobile Phone Use After Lights Out in Adolescents.
・
2012 年 9 月 4 日村井俊哉(A03)朝日新聞、京都新聞、産経新聞、日刊工業新聞、毎日新聞、読売新聞:「統合失
調症に神経回路の異常が関わることを MRI で同定—最新の解析技術を用いて病態の解明に貢献—」国内
41
図書
【A02】
1)
福田正人,糸川昌成,村井俊哉,笠井清登(2013):「統合失調症」医学書院
2)
福田正人(2013):「統合失調症(分担執筆:発達精神病理としての統合失調症)」医学書院
【A03】
1)
大野裕、岡本泰昌(2012):「うつを克服するための行動活性化練習帳-認知行動療法の新しい技法-」創元社、大阪
産業財産権
【A01】
1)
篠原一之、諸伏雅代、西谷正太(2012.10.26.)「プロジェステロンの変化に伴う不快症状の改善用組成物」株式会
社マザー&チャイルド
PCT/JP2004/005608 登録 5116942 PCT.
【A02】
1)
細田千尋、花川隆、大須理英子(平成 24 年 12 月 17 日)「性向判別器」国立精神・神経医療研究センター、国際電気通
信基礎技術研究所
特願 2012-268648
国内
【A03】
1)
笠井清登、木下晃秀、滝沢龍、八幡憲明、西村幸香、橋本龍一郎、保前文高、川崎真護(2012 年 10 月 19 日)「生
体光計測装置を用いた脳活動訓練支援装置、信号処理プログラム、および信号処理方法」国立大学法人東京大学
願番号:特願 2012-231962
国内
42
出