(科学実験2) 出発だ!宇宙飛行士になった気分で実験! 水を使った加速度計(基礎編) <目 1.ねらい<目的と概要>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 2.材料集めの情報やヒント ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 2-1.用意するもの 3.工作と実験 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 3-1.工作手順 3-2.使い方 4.安全対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 5.科学する心を育てるための具体的なヒント・・・・・・・ 2 6.この教材を用いることのできる子どものレベル・・・・ 2 次> 7.この教材を用いることのできる活動団体の経験年数 ・・・ 2 8.関連項目 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 8-1.学習指導要領との関連 8-2.活動総覧(活動マップ) 8-3.教材系統図(カリキュラムマップ) 8-4.キーワード 9.補足資料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 本教材は宇宙とのつながりを軸として科学を身近に感じてもらうために作った 科学教材です。本教材の利用による事故等については一切責任を持ちかねます ので、本教材の利用は、経験のある指導者の指導の下に行って下さい。 2005年(平成17年)3月31日 日本宇宙少年団 教材検討グループ 出発だ!宇宙飛行士になった気分で実験! - 水を使った加速度計(基礎編) - 1.ねらい<目的と概要> 加速度とは、ものが動いているときのその速度の時間的変化率です。この加速度はものに加わる 力と比例しています。でも、こんな表現ではなかなかわかりにくいですね。しかし、子供達は、エ レベーターに乗って下がるときに急に軽く感じたり、また上がるときには急に重たく感じたりする ことを知っています。それから、自動車が発車するときに、体をシートに押しつけられるように感 じることをからだでは感じています。それを視覚的にわかりやすくしたのが水を使った加速度計で す。水の動きと体で感じる加速度、または力を比較することで、水の動きで加速度が計れることを 知ることができます。 2.材料集めの情報やヒント 2-1.用意するもの 1)3.5インチフロッピーディスクのケース 100円ショップで、3個パック100円位で売っています。あまり大きいと水の量も 多くなるので、3.5インチフロッピーディスクのケースがお薦めです。ただし、3.5 インチフロッピーディスクケースくらいの薄さの透明なケースがあればよい。 2)防水用透明テープ これは、クラフトセンターなどで入手できます。水を漏らさないようにしなければなら ないので防水用を使います。 3)(できれば水を入れるための)スポイト 最近見かけなくなったのですが、やはり100円ショップで購入できます。子供達にス ポイドの使い方を教えるのも一興です。 3.工作と実験 3-1.工作手順 1)フロッピーディスクを、フタを開閉するちょうつがいが両方とも上側になるように立てる。 上から水を入れるための穴(直径3~4mm)を開けておく。(これには、熱した半田ゴテ などがよい。ドリルだと割れやすい) 2)テープでフタを密閉する。このとき、角の処理に工夫がいる。10mm くらい長めに貼り付け ておき、余った部分にフロッピーディスクの角に沿ってハサミをいれ、それを面に沿って 貼り付けるとよい。 3)水を入れてできあがり。 3-2.使い方 1)フロッピーディスクの穴のほうを上に持ち、水を1/3から半分くらい入れる。 2)フロッピーディスクを横に動かして、水がどんな動きをするか観察する。 3)車に乗って発進してもらう。ゆっくり走りだした場合、すこし速く走りだした場合、速く 走りだした場合で水がどのような動きをするかを観察する。また、その時の車の速さとど う関係があるか調べさせるとよい。水の傾きが同じになるようにアクセルを調整して、100 円ショップで売っているストップウォッチを使って時刻と車の速度計を記録し、横軸に時 1 刻、縦軸に速さをとってグラフをひくと、直線になることがわかるだろう。カーブを曲が るときは、フロッピーディスクの広い方の面を自分に向けるように指導する。横方向の水 の動きがわかるように。 4)宇宙飛行士がスペースシャトルで宇宙へ出発するとき、最大2.5Gまでの加速度を受け る。このときのフロッピーディスクケースで観察される水の傾きは arctan(2.5)=68.2 度ですから、分度儀で計って 68 度の線を「9.補足資料」を参考に描いて車で発進しても らう。これが宇宙飛行士が感じる加速度だと知らせると、たぶん自分が宇宙飛行士になっ た気分になるだろう。そして、これなら僕でも/私でもやれると。 4.安全対策(子どもに危険を予知させる指導を含む) ハサミを使った工作なので、初めにハサミの使い方、友達へのハサミの渡し方を指導しましょう。 もし、車に乗って水の動きを調べるときは、必ずシートベルト着用を義務づけるようにしましょう。 5.科学する心を育てるための具体的なヒント こんな問いかけをしてみましょう。 「どうして水が動くのだろう」 「水が動く方向と自分の体が感じる方向は同じかな?反対向きかな?車の動きとは同じ? 反対?関係ない?」 「からだは、どうして力を感じるのだろう?どこで感じるのだろう?」 6.この教材を用いることのできる子どものレベル 加速度そのものはわかりにくい概念ですが、「1.ねらい」でも書いたように、子供達は、エレ ベーターに乗って下がるときに急に軽く感じたり、また上がるときには急に重たく感じたりするこ とを知っています。それから、自動車が発車するときに、体をシートに押しつけられるように感じ ることをからだでは感じています。それを視覚的にわかりやすくしたのが水を使った加速度計です。 水の動きと体で感じる加速度、または力を比較することで、水の動きで加速度が計れることを知る ことができます。従って、作った加速度計を生活のいろんな場に応用して、「へえー、体も水も同 じように感じるんだ。」「体はどうして加速度(又は力)を感じるんだろう?」といった疑問を発 してくれることが期待されます。以上のことを考えると、この教材は小学校の低学年以上で使える と思います。 7.この教材を用いることができる活動団体の経験年数 体で感じたことを水で視覚的にしめすものなので、かなり低学年でも理解できると思われる。そ の意味で活動団体の経験年数は関係なく使用できる。 8.関連項目 8-1.学習指導要領との関連 小学校編:内容B「物質とエネルギー」 中学校編:第1分野(1)身近な物理現象、(5)運動の規則性 8-2.活動総覧(活動マップ):「加速度計」 8-3.教材系統図(カリキュラムマップ):将来位置づける。 8-4.キーワード:加速度・加速度計・宇宙への出発時・反対向き・ロケット 2 9.補足資料 Fig.2 tanθ = α g α g Fig.1 ∴ θ=tan -1 α=1g θ=tan -11 = 45° 2g tan -1 2 = 63.44° 4g tan -1 4 = 75.96° 6g tan -1 6 = 80.54° 重力場の下で、一定の 加速度を鉛直線に垂直 方向に受けている水は 、 ON 方向に β= g 2+α2 の加速度場にあるかの Fig.1のようにあたかも ような動きをする。従 って水面の傾きは α θ= tan −1 g (θはどんな液体を使っ ても変わらない。) で与えられる。 横方向に1G、2G 、4G、6Gを受ける 水は Fig.2に示す傾きを示す。 教材提供 :日本宇宙少年団福岡分団 麻生茂氏 追記、編集:「宇宙航空分野における次世代人材育成のためのリーダー育成支援」検討委員会 日本宇宙少年団 教材検討グループ お問合せ先:財団法人日本宇宙少年団 TEL.03-5542-3254 FAX.03-3551-4870 e-mail kyozai@yac-j.or.jp 発行 :宇宙航空研究開発機構 広報部 ©JAXA 無断転載を禁じます 3
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