2012.1.16 ニイタカ衛生通信 外食のアレルギー対応のポイント 国内では、卵、乳、小麦など7品目を「特定原材料」に指定しこれらを含む食品や添加物を表示する 国内では食品衛生法に基づき、食物アレルギーのある方を中心とした消費者の健康被害防止のために、 「食物ア レルギー表示制度」でアレルギー物質(表1参照)を含む食品について、それを含む旨の表示を義務付けています。 ように定めた「食物アレルギー表示制度」が食品衛生法で施行されています。外食企業においてもホー 外食企業においては表示の義務はありませんが、ホームページでアレルギー情報を提供したり、メニューにアレ ムページでアレルギー情報を提供したり、メニューにアレルギー源を記載するなどの動きが活発化して ルギー物質を記載するなどの動きが活発化しています。しかしながら、実際食物アレルギーのある方がレストラ います。しかしながら、実際アレルギー患者さんがレストランに行った際に、「従業員に食材について ンに行った際に、 「従業員に食材について尋ねてもわからない」 「アレルギー対応メニューが未整備」といった声 尋ねてもわからない」「アレルギー対応メニューが未整備」といった声はまだまだ聞きます。万が一、 はまだまだ聞きます。万が一、アレルギー対応が適切にされていなかった場合には、その対応を信用した食物ア アレルギー対応が適切にされていなかった場合には、その対応を信用した食物アレルギー患者がアレル レルギーのある方がアレルギー症状を起こし、重篤な場合には命が危険にさらされることもあります。 ギー症状を起こし、重篤な場合には命が危険にさらされることもあります。 このような事故を防止するために、今回は外食における食物アレルギー対応のポイントをご紹介いたします。 このような事故を防止するために、今回は外食における食物アレルギー対応のポイントをご紹介い 【表1;アレルギー物質(特定原材料等)】 規定用語 特定原材料 特定原材料等の名称 卵、乳、小麦、かに、えび そば、落花生 (表示が義務化された7品目) 特定原材料に準ずるもの (可能な限り表示することが推 奨された 18 品目) あわび、いか、いくら、オレンジ、キウイフルーツ、牛肉、 くるみ、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、 もも、やまいも、りんご、ゼラチン 備考 症例数が多い 症状が重篤である 症例数が少ない たします。 「食物アレルギーの子を持つ親の会」会員の中で、 「外食を利用したい」とお考えになっている方を対象に調査さ れたアンケート結果※を3件ご紹介します(図1~図3参照)。これらの調査結果から外食企業として出来ることは何 か、外食における食物アレルギー対応についてを考えていきましょう。 アンケート回答者の半数近くが発症経験あり、と答えています。 図1;外食で食物アレルギーを発症した経験 ■発症に至った原因・経緯 【コンタミネーション※※、混入、表示ミス、店員の知識不足】 ③無回答 2% 事例A:うどんをそばと同じ鍋で茹でていた。また、器がきちんと洗浄され ていなかったため、卵成分が残っていた。 ①ある 44% ②ない 54% 事例B:乳を含む他のジェラートとアイスクリームスクープが併用だったた め、乳が付着していた。 事例C:醤油の原料として小麦が使われていることを従業員が知らなかった。 事例D:米粉のパンにグルテン(小麦に含まれる成分)を使用 ※※コンタミネーション:もともとアレルギー物質を含まない食品に、アレルギー物質が微量混入すること コ ンタミネーシ ョンに 注意!! 元々特定原材料を含まない食品に、特定原材料が混入する可能性がある場合は、周辺 機器の徹底した洗浄や、器具の使い分けにより、混入を防止することができます。 コンタミネーションを防ぐには、アレルギー対応専用の調理器具を使って調理する必要が 調理時の工夫 あります。フライパンや菜箸などについたアレルギー物質が混入してしまうリスクがあるか らです。専用の調理場や調理器具を用意するのが難しい場合は、フライパンにクッキングシ ートを敷いたりホイル焼きなど、他の食材と触れないような工夫で対応することもできます。 配膳時の注意点 ・椅子やテーブルを丁寧に拭く ・専用の食器を使う ・専用のカトラリーを用意 ・配膳の手違いを防ぐ為、責任者を決める ※出典:食の安全対策、品質管理の情報源「規格書タイムズ」 ;2010 年「外食のアレルギー対応に関するアンケート」より 対象:「食物アレルギーの子を持つ親の会」会員 回答:252 名 Point 1 情報提供<まずはHPやアレルギー物質一覧表をもとに、お客様に正確な情報を!> 図2を見ますと、アンケート回答者の多数の方が①~③のアレルギー情報を信頼できると答えていますが、実際 信頼性の高い情報提供は出来ているでしょうか? 多くのお客様が望んでいらっしゃることもあり、お客様からの期待を裏切らないためにも、外食企業として最低 限「ホームページ」、および「アレルギー物質一覧表」の情報を充実化する必要があると考えられます。まずは「ホ ームページやアレルギー物質一覧表をもとに、お客様に正確な情報を伝える」ことからはじめましょう! 図2;アレルギー情報が信頼できると思う手段 0 20 40 60 80 100 120 140 160 ①来店予定の外食店舗のHP 169 ②アレルギー物質一覧表 164 ③お店の人に聞く 95 ④電話 68 ⑤口コミ(知人・友人) 36 ⑥携帯サイト 20 ⑦口コミ(ネット) アレルギー物質 16 ⑧折込チラシ 10 ⑨その他 11 ⑩無回答 メニュー名 3 アレルギー物質一覧表例です。タ レなどの調味料にもアレルギー物質 は含まれていることが多いので、見 落としがないよう注意が必要です。 Point 2 アンケート回答者の 多数の方が①~③のア レルギー情報を信頼で きると答えています。 180 和風 甘口 タ 辛口 レ ポン酢 レモン汁 ロ ー ス ・ カ ル ビ 特定原材料に準ずるもの オ ゼ 落 ア イ く キ り バ 小 え かそ 大鶏豚牛 いさ 山松レ ラ 卵 乳 花 ワ 鮭ク る ウ桃んナ 麦 びにば 豆肉肉肉 かば 芋茸ン チ 生 ビ ラ み イ ご ナ ジ ン ○○ ○ ○○ ○ ○ ○○ ○ ○ ○ ○ ○ ロース 特定原材料 ○○ ○ ねぎ塩カルビ ○ ○ ○ 焼しゃぶカルビ ○ ○ ○ ○ 積極的に従業員に対して食物アレルギー教育を行う 図3;従業員の食物アレルギー教育 0 50 100 150 200 従業員の食物アレルギーの知識レベルが低い と、店舗でお客様からのアレルギーに関する問合 250 せに対して正確な情報を提供することが出来ませ ん。また、口頭でのやりとりでは行き違いが起こ ①必要 ったり、混雑時には声をかけづらいなどデメリッ ②やや必要 ③どちらともいえない ④あまり必要でない ⑤必要でない ⑥無回答 トもあります。このようなことを防ぐには、本部 や店舗で確認している資料(アレルギー物質情報) アンケート回答者の 多数の方が、従業員に対 するアレルギー教育が 必要があると答えてい ます。 を用意しておくと便利です。資料があると、食物 アレルギーの方にわかりやすく、短時間で多くの 情報を提供できます。また、従業員側にとっても 自信をもって回答できるため、サービスの向上に もつながります。 【まとめ】:外食で食物アレルギーによる事故を防ぐためには・・・ ・食品メーカーによる規格書情報を社内で共有化 ・生鮮等の原材料情報を管理 ・本部(責任者)がメニュー情報を作成・公開 ・最新情報の周知徹底 ・全従業員の食物アレルギー教育 これらの情報連携と情報教育を徹底し、 包括的に対応することが大切です!
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