議会リポート №116 2010年 1月 高槻市議会議員(草の根市民派) ふ た き よ う こ ―関大児童図書館− 市が運営する必要はありません! 奥本市長は選挙時の「未来をつくる高槻マニュフ ェスト」の中で、子ども図書館の新設(2009 年度) を約束していました。2009 年度といえば今年度、そ のため、9 月議会では「まちごと『子ども図書館』構 想」を明らかにしました。新たな施設を建設するの ではなく、子どもたちが「あらゆる場所」「あらゆ る機会」を通じて読書活動ができるよう、図書館、 学校図書館、公民館、子育て支援施設や地域文庫な どを公営、民営を問わずにつなぎ、市内全域を「ま ちごと『子ども図書館』」として機能させるシステ ムを構築するというものです。その中核施設として、 (仮称)子ども読書支援センター(以下、支援セン ター)を設置するが、支援センターには、大きく 2 つの機能(子ども図書館コア機能と配送・書庫機能) があり、場所は別々でもいいとしていました。 11 月に開かれた市街地整備促進特別委員会では、 子ども図書館コア機能を 2010 年 4 月に開校する関西 大学児童図書館で行うとの説明がありました。12 月 議会では、さらに右上図のような報告があり、子ど も図書館コア機能のうち、コーデネート機能は中央 図書館に、事業機能を関大児童図書館に、配送機能 は検討中とされています。 そこで、一般質問で、市と関大児童図書館との関 係について質しましたが、「施設や書庫等の設備、 蔵書は関大所有」「人の配置は検討中」とのことで、 関大から場所を無償提供あるいは借り、市立の施設 にするのかなど、具体的なことについては、検討中 との答弁が続きました。 「まちごと『子ども図書館』」の実現には、各施 9 月議会では、 設を結ぶ支援センターは重要です。その支援センタ ーの機能を 3 箇所に分散させ、ほんとうに機能が果 たせるのでしょうか。 関大施設内の児童図書館を市 12月議会報告 が関大から無償で借りて運営するなら、最初に機能 を考えて、施設、設備を考えるべきですが、すでに 関大が市や国の補助を受け、設計、書庫等を発注し ています。にもかかわらず、なぜ、開校間際の今頃 に、このような提案があるのでしょうか。しかも、 来年度予算編成の重要なこの 12 月に、なぜ検討中 との答弁が続くのでしょうか、納得できません。 「関大児童図書館は、関大が運営をし、市民に開 放すべき」「関大は幼稚園も経営しておられ、絵本 や児童書に関するノウハウをお持ちのはず」「市が 援助するなら、地域文庫のひとつとして市の蔵書を 貸し出しては」と、関大施設内の児童図書館を市が 運営することに反対しました。 市は関大に土地を無償提供し、さらに市民が利用 できるとする施設、設備に、補助金を出しています。 これからは、関大のほうから市民への貢献策を積極 的に示すべきではないでしょうか。 二木洋子事務所 〒569-1123 高槻市芥川町2-6-1 スカイジャンプビル2F TEL・FAX 072-685-0468 E メール:wasabi@osk3.3web.ne.jp http://www3.osk.3web.ne.jp/ wasabi 二木洋子 駅前での無人予約本貸出しサービスは不要! ≫≫図書館行政 市内にある 5 つの図書館(中央、天神山、小寺池、 れるシステムを導入するという提案がありました。 芝生、阿武山)では、1 月 15 日から新システムがス 「場所は交流センターのどこか」 「交流センター利 タートします。すべての本に IC タグをつけ、盗難 用者に迷惑をかけるのでは」と質したところ、 「1 階」 防止を図るとともに、貸出し時に、自動貸出機を使 「迷惑をかけないようにする」との答弁でした。 えば、人を介さず借りることができるシステムで、 しかし、1 階のフロアーはすでに手狭で、とても 今までに説明もあり、当初予算で議会の合意を得て 新たな設備等を設置する場所はありません。駅前は いました。 便利だからと、次から次へとなんでも交流センター 12 月議会では、突然、総務省地域 ICT 利活用推 に押し込むのは問題です。 進事業交付金の補助を受け、新たに、JR 高槻駅前 国の補助金を消化するためのような今回の唐突な の総合市民交流センター内に予約資料受け渡しコー 事業提案に私は反対するとともに、交流センターに ナーを設置、予約本棚、自動貸出機、セキュリテイ どのような機能をもたせるのか、まずは市としてき ーゲートなどの設備を配置し、予約本を無人で借り ちんと方針を出すべきであると要望しました。 ≫≫遺跡保存 子どもたちにも発掘調査の体験を! 12 月議会の一般会計補正予算・文化財保護費の中 全確保が整えば、子どもたちへの説明や現場見学、 に、市立芥川小学校の発掘調査費が含まれていまし 現地説明会開催を検討していく」との答弁でした。 た。現在、芥川小学校では体育館、プールの建替え 自分たちの小学校の下に、古代の人たちの生活跡 工事が計画されており、試掘をしたところ、遺跡が が眠っているという、子どもたちが古代へのロマン 発掘されたため、本格調査をする費用です。 をひろげるまたとない機会、郷土の歴史を学ぶ貴重 そこで、何が発見されたのか、JT 医薬研究所敷地 な機会であり、ぜひ、歴史学習にいかしてほしいと、 内で発掘された芥川遺跡との関係、子どもたちに発 そして地元での丁寧な説明会開催を要望しました。 掘調査の体験や、地元への説明会を質したところ、 「試掘調査で、地下約1mの深さで約 1700 年前の 古墳時代前期の土器片が出土した」 「芥川遺跡では地 下約 3mで約 3500 年前の縄文時代後期の食用ドン グリの貯蔵庫、地下約 2mで、約 2300 年前の弥生 時代前期の墓地や後期の住居跡、中国後漢時代の鏡 などが発掘されており、距離も年代も近いことから、 関連遺構が広がっているのではと想定している」 「安 芥川遺跡の案内板(紫町公園) ≫≫ 土壌汚染対策 環境保全への配慮を! 2009 年 4 月に土壌汚染対策法が改正され、汚染 置計画、公害の防止、住民説明会、環境配慮計画な 対策が拡充されましたが、法改正を受け、高槻市も どについて事前協議を求めるとともに、住民説明会 汚染土壌処理業の許可権限を持つことになりました。 等の記録も提出させ、かつ、必要に応じて、専門家 そのため、許可手数料を 23 万 9500 円とする条例提 の意見も聴いて、対応していくとのことでした。 案がありました。 全国各地で土壌汚染が深刻な問題となっており、 現在、市内には汚染土壌処理業者はありませんが、 土壌浄化のため、運び出された汚染土壌の処理が、 もし申請があれば、心配なのは汚染土壌処理施設周 大きな問題となっています。市の指導要綱は、環境 辺への汚染土壌による環境汚染です。どのような対 アセスメントの簡略手続きという内容になっていま 策を講じるのか質したところ、 「汚染土壌処理業の許 すが、申請があれば、新たな環境 可の申請に関する指導要綱」を策定し、申請前に行 汚染を起こさないよう、環境保全 政指導を行っていく、具体的には、事業者には、設 への十分な配慮を要望しました。 2 二木洋子の議会リポート わさび通信 №116 2010年 1月 市民参加で策定を! 「総合計画」とは、自治体の最上位の計画で、地 方自治法第 2 条第 4 項に基づくものです。計画は、 ≫≫総合計画(1) 12 月議会には、本年 2 月に総合計画審議会を設置す る条例提案がありました。 基本構想、基本計画、実施計画の 3 本立てになって そこで、審議会のメンバー構成、市民参加、今後 いて、基本構想は議会の議決が必要です。計画期間 のスケジュール等について質したところ、 「委員数は は、高槻市の場合 10 年です。地方自治法にこの規定 前回規模、公募市民委員も予定」 「委員選任には、審 が盛り込まれたのは 1969 年、以後高槻市は 10 年ご 議会委員選任基準を遵守するよう努める」 「行政素案 とに計画を策定、2001 年から 2010 年までの現第 4 を 2 月から審議会で審議してもらい答申を受け、パ 次の計画は「心ふれあう ブリックコメント(市民意見募集)を経て、2010 年 水と緑の生活・文化都市」 をめざしています。そして、2010 年中に、2011 年 ∼2020 年の第 5 次総合計画を策定予定です。 12 月議会に、基本構想提案」とのことでした。 前回は委員数 36 人でうち公募市民委員は 4 人だっ 庁内では、2008 年 4 月から 1 年 9 ヶ月かけて、総 たため、多くの世代がかかわれるように、今回はも 合計画行政素案が職員の手で検討、作成されており、 っと公募市民委員枠を増やすように要望しました。 名称は「総合戦略プラン」でいいのか! ≫≫総合計画(2) 庁内で検討されてきた総合計画行政素案に関して 事業を優先的、重点的に取り組むことで、戦略的か は、6 月議会、12 月議会で、 「総合計画策定等に係る つ実効性の高い計画とする」「基本構想は 10 年間だ 基礎調査等報告書」や計画策定指針、計画の全体像 が、第 5 次では基本計画は 5 年で見直し、実施計画 (イメージ)等の報告がありました。その中で、総 は毎年見直す」 「今後、都市間競争が厳しくなり、 『戦 合計画の名称を「総合戦略プラン」としていました。 略プラン』というのは適切」との答弁でした。 一般質問では、素案策定いたるまでに事前にどの そこで、「職員アンケート調査には、1500 人もの ようなニーズ調査をしたのか、現計画と次期計画の 教職員が入っておらず、子どもを取り巻く状況を一 相違について、戦略というのはもともと「闘い」を 番よく知っている学校現場の教職員の方にもアンケ 前提とする軍事用語であり、市民、行政、事業者が ートをとるべき」「10 年後の自治体は、都市間競争 一体となって計画実現をめざすには、名称はいかが ではなく、自治体連携、協力が必要であり、総合計 かと質したところ、「これまで、市民 5000 人アンケ 画の名称としてふさわしくない」 「総合計画は市民の ート、一般常勤職員 2578 人アンケート、自治会長 皆さんにも親しんでいただく名称にすべきで、行政、 959 人意識調査など行った」 「違いは、市がめざす将 市民、事業者が協力して取り組んでいけるような名 来像を明確に定め、その実現のために必要な施策や 称にすべきと」指摘、要望しました。 その他の質問項目 ●9 月議会でとりあげた「前島クリーンセンター第一 整備計画で、駅から花時計付近までのデッキ中央 工場更新計画の DBO 方式」について、コンサルタ 部に幅 4m(デッキ幅 10m)の屋根をつける計画 ント会社に委託した報告書が 12 月議会に提出さ が示されたため、屋根は圧迫感を生み出し、景観 れる予定でしたが、提出されませんでした。一般 上つけるべきでないと反対しました。 質問で理由を質したところ、 「データの整理、内容 ●総務省地域 ITC 推進事業交付金を使い、 「赤ちゃん の精査に努めている」との答弁だったため、9 月議 の駅(オムツを替えたり授乳できる場所)」や子育 会に続き、慎重な対応を求めました。9 月議会では、 て支援施設の地図情報を携帯電話サイトに掲載す 「元気市民」の 2 議員からも「慎重に」と、12 月 る事業の提案がありました。携帯サイトを新設す 議会では、自民党議員から「直営を軸に考えるべ るなら子育て情報を掲載すべきで、公共施設で未 き」、共産党議員から「慎重に」との質疑、要望が 整備の「赤ちゃんの駅」もまずは整備が先だと、 ありました。 年度後半の突然の提案に反対しました。この事業 ●JR 高槻駅南公開デッキのバリアフリー化等の再 二木洋子の議会リポート わさび通信 №116 2010 年 1月 も総務省の予算消化事業ではないでしょうか。 3
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