ダイヤモンドを用いた電気化学的DNAセンサー

TX テクノロジー・ショーケース
in つくば 2010
その他(ナノバイオテクノロジー)
P-113
ダイヤモンドを用いた電気化学的DNAセンサー
■ 将来展望
ダイヤモンドセンサーが非常に安定であることが実証さ
れました。これは、医療や食品検査などの幅広い分野で
の恒常的な使用が可能であることを意味します。
今後、ナノ剣山構造とセンサーの微小化技術の組み合
代表発表者
�� ����つ� ����
所
(独) 産業技術総合研究所
ダイヤモンド研究センター
属
問合せ先
Fe(CN)63-/4-
検出
2��DNA
1��DNA
図1 電気化学的DNAセンサーの検出原理
図2 10nm間隔で並ぶダイヤモンド・ナノ剣山構造
1.0
ダイヤモンド電�
0.8
0.6
�電�
0.4
0.2
0
10-12 10-11 10-10 10-9 10-8 10-7 10-6 10-5
�ー���DNA�度(�)
Iss DNA (μA)
電��(uA)
■ 研究成果
図1に示した検出原理を分子レベルで具現化するため
に、10nm間隔で並ぶダイヤモンド・ナノ剣山構造の作成
方法を新たに開発しました(図2)。この大きさは、通常の
微細加工技術では作製が非常に困難な領域です。
導電性のボロンドープダイヤモンド電極上に作製した
ナノ剣山型DNAセンサーにより、金などの従来センサー
よりも1000倍の高感度化に成功しました(図3)。また、30回
以上のDNA検出の繰り返し実験において、非常に安定し
たシグナルが得られることを実証しました。
さらに、ナノ剣山の1本1本にそれぞれ1分子のDNAを
固定できることが明らかとなりました。これにより、DNAセン
サーの感度(検出したいDNAの数)が、ナノ剣山構造の作
成時に決めることができるようになります。
わせにより、さらに高感度なDNAセンサーの開発を行い
ます。具体的には100~1000個程度のDNAを簡便に検出
できる技術の開発を目指します。
また、今回開発した微細加工技術は、様々な大きさの
ナノ剣山が作製可能であるため、特定の疾病や微生物な
どへ適用するために、RNAや抗体、酵素などの検出が可
能な高感度センサーの開発が期待されます。
��化��た電��
■ はじめに
ダイヤモンドは化学的な安定性が優れていると共に、生
体適合性や表面修飾性、電気化学的に特異な性質を有
していることから、バイオ・医療分野への応用が期待され
ている材料です。また、近年の新型ウイルスの流行や、食
品の安全性問題などから、安全・安心な社会を実現する
ための非常に高感度なバイオセンサーの開発が求められ
ています。
産総研ダイヤモンド研究センターでは、微細加工技術
と表面修飾技術を駆使して、電気化学的検出を行う高感
度なダイヤモンドバイオセンサーの研究開発に取り組ん
でいます(図1)。
101
CV
100
10-1
0
DPV
5
10
15
20
25
30
Hybridization/denaturation Cycles
DNA検出の������(�)
図3 ナノ剣山型DNAセンサーの検出感度(左)とシグナ
ル安定性(右)
■ キーワード: (1) ダイヤモンド電極
(2) DNA センサー
(3) ナノ加工
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