SEMI News | Vol. 22, No. 2

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SEMI News
Vol.22 No.2 March – April 2006
Contents
ii
SEMIの最近の活動から
P.1 巻頭言:SEMIの活動について
P.2 SEMI FORUM JAPAN 2006 開催のお知らせ
P.3 SEMICON Korea 2006 報告/ISS U.S. 2006 およびSMC 2006 報告
P.4 MTF(Manufacturing Technology Forum)に ついて
P.6 2006年3月 SEMIスタンダード出版状況
P.14 バイオナノプロセス:生体分子が作るナノ 構造素子
P.16 MEMS慣性センサ(加速度センサ、角速度セ
ンサ)の概説
P.18「カラーTFT液晶ディスプレイ」(改訂版)の
編集を終えて
P.20 開発秘話:MEMS用シリコン深掘りエッチン
グ装置の開発
P.8 SEMIマーケット・レポート
P.22 技術紹介:汎用原料を用いた新型薄膜太陽
電池
P.10 自動車産業の半導体技術動向
P.24 SEMI新会員企業のご紹介
P.12 重要性を増す人間工学
iii
SEMI News コラム:天気予報
H2 06.3.10 17:22 ページ 1001
SEMIの最近の活動から
第1四半期ももうすぐ終わります。
ついこの間新年を迎えたと思っていたら、もう第1四半期の締めくくりに近づきま
した。
2月にはSEMICON Koreaに行ってまいりました。活発な投資を反映し、大変活気にあ
ふれた展示会になりました。日本からのご出展社も大勢来場されていました。また
2月末から3月にかけ、沖縄でGlobal FPD Partners Conference (GFPC) が開催されまし
た。昨年を上回る参加者を迎え、FPDの現状と将来に関する論議とネットワーク作
りに熱気あふれるイベントとなりました。
一方、昨年後半来会員各社様をお騒がせしておりました会費値上げの件ですが、1
月更新の会員様につきましては、既に200社を上回る企業・団体様から継続のご意志
を頂戴しました。引き続きフォローアップに努めてまいりますので、ご質問等あり
ましたら遠慮なく担当のスタッフにお問い合わせくださるようこの場をお借りして
お願いいたします。この会費値上げをめぐっての一連の動きの中で最も喜ばしいこ
とは、特に日本の会員様を中心とした真剣かつ的を射たフィードバックのおかげ
で、SEMIのオペレーションの改善が進み、透明性が高まってきたことです。グロー
バルな会計報告を含む活動の状況報告、展示会以外の主要なSEMIの活動の案内と近
況報告、各種表彰の報告などを、四半期ごとに1回、会員の皆様に報告させていた
だくことになりました。今更ながらの感無きにしも非ずですが、少しでも会員サー
ビスの向上につながることは積極的に実現していきたいと考えております。
既にあちこちでご案内済みではありますが、本年はいよいよセミコン・ジャパンが
第30回の記念開催となります。いまや世界最大規模に成長したセミコン・ジャパン
を、一層意義深くかつ楽しめるイベントとすべく、会員各社様からご参集いただい
たメンバーで構成される委員会を中心に、SEMIスタッフ一同運営に工夫を凝らして
まいります。まもなくセミコン・ジャパンのご出展案内とお申し込みの受付が開始
されますが、昨年以上に素晴らしいセミコンとなりますよう、ぜひとも皆様のご指
導とご協力をお願い申し上げます。
SEMIジャパン 代表
SEMICON Korea 2006 会場にて
2006, 3-4
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Contribution Article
SEMIの活動について
株式会社日立ハイテクノロジーズ 半導体製造装置営業統括本部 評価装置営業本部 中村 修
SEMIは、参加会員企業数が2千数百社を超えるグローバルな組
このように世界中の事務局とコ
織で、展示会、国際会議、シンポジウム等を世界11ヵ所の事務局
ミッティメンバーの積極的な参
を中核として活動しています。
画があってイベントが作り上げ
活動の基本理念は 「会員への新しい価値創造。ヒューマンリレ
られていきます。
ーション、カンパニーリレーション構築。グローバルな協調関
係促進、公正な競争環境創出。半導体、FPDをコアとする関連
小職が実際にITPCに参加し続け
産業界の健全な発展に資する」 と理解しております。
ている理由を紹介させていただ
SEMIの基本理念をベースにして、1970年の発足以来、グローバ
くと下記を挙げることができま
ルな展示会、国際会議、シンポジウム等のイベントは最近ますま
す。本格的に参加してみて本当
す活動が活発になってきていると思います。2002年には中国へ
に良かったと思いますし、やってみてSEMIの良さがよく判りました。
の進出も実現し、活発な市場での活動が本格化してきています。
①半導体企業のトップの方々との交流
これによって半導体、FPD関連の関連主要地域での基盤ができ
②その時々の最もホットなテーマで議論、シンポジウムに参加
あがりました。事務局の方々はそれぞれの地域の特長を強調す
することによりビジネスの材料を得ることができる。
ることに努めながら、グローバルな協調を目指し活動されてい
③委員会を通して業界への意識が高まり、一体感が生まれる。
ます。基本理念は徹底されていると思います。
④参加各社の業界での存在を相互にアピールし、また相互に認
識できる。
セミコン・ジャパンをはじめ、海外も含め展示会へは出展社の立
場から長年参加しておりました。SEMIのイベントの企画に本格
これらの活動を通じて感じたSEMIへの要望ならびに助言を、僭
的に従事するようになったのは2002年のITPCからです。2003
越ですが下記に記します。
年は日本委員会副委員長、2004年はグローバルVice Chairman、
①もっと人員増強が必要ではないかと思います。参加企業を引
2005年はグローバルのChairmanとして従事いたしました。また
2004年からはセミコン・ジャパンの諮問委員会に参加しており
っ張って行ける主体性を持った運営ができるようになります。
②会員企業からのより積極的な参画意識を高める仕掛けが必要
ます。
と思います。多忙な人達が貴重な時間を割いて参加するので、
各イベントの企画、活動そのものは各国の事務局の方々のご尽
イベントの魅力、効用を十分にPRすることが必要です。このた
力により進んでおりますが、会員企業の方々の参加をなくして
めのPRマテリアル、つまりビデオ、DVD、Home Pageの充実
は語れないと思います。
等。
具体的な例としてChairを務めたITPC 2005の例をご紹介いたし
ます。
③イベントに初参加する方々への特別会費の設定。これにより
体験PRができます。
毎月グローバルな電話会議により打ち合せをしながら企画を具
④会計報告を含めた活動内容等々の透明度を高くすることによ
体化しました。当日は事務局の方々が事前に準備されたAgenda
り会員との信頼関係、相互理解を深めることができます。信頼
を資料として、会員企業のコミッティメンバーと世界各国の事
のなかからSEMIのため、ひいては業界のために役立ちたいと
務局メンバーによりディスカッションを進めます。電話会議は
いうメンバーの出現が期待できます。
ペンと電話さえあれば世界中どこからでも参加できるので、あ
SEMIの事務局、会員全体で業界をもっともっと盛り立てていき、
る時は空港のラウンジから、またある時は移動中の電車のデッ
活性化していけばSEMIと各企業にとってさらに有益でメリット
キから電話をし、メンバーとのミーティングを行いました。また、
のあることになると考えます。
SEMICON China、SEMICON West、セミコン・ジャパン等では
Face to Face Meetingを行い、定期的に集まるようにしてきました。
小職も微力ながら今後ともSEMIの活動には積極的に参加して
さまざまな角度からの意見が必要なので、ミーティングのテー
まいります。
マに沿って各メンバーが自由に議論できるよう務めました。
SEMIのますますのご発展を祈念いたします。
3-4, 2006
1
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SEMI FORUM JAPAN 2006
SEMI FORUM JAPAN 2006 開催のお知らせ
「SEMI FORUM JAPAN」 は、
・SEMI太陽光発電技術セミナー
半導体ビジネスに関わる全ての
・SEMIマーケットセミナー
方々に、分野や企業の枠を超え
・IC Tutorialセミナー:多層配線コース
て、半導体技術/ビジネスにつ
・IC Tutorialセミナー:リソグラフィコース
いてじっくりと語り合っていただ
・STEP/S2-0703
くフォーラムです。第 6 回目の
−半導体製造装置の環境、
健康、
安全に関するガイドライン−
開催となる 「SEMI FORUM
・JASVA Day OSAKA (日本半導体ベンチャー協会シンポジウム)
JAPAN (SFJ) 2006」 は、来る6月12日(月)・13日(火)の2日間、
大阪市北区中之島のグランキューブ大阪 (大阪国際会議場)
にて開催いたします。昨年は、2日間で19のプログラムおよび2
つのスタンダード関連会議に、延べ1,551名のご参加をいただき
−設計・ファブレスのみがベンチャーにあらず
∼半導体ファブで活躍するつわものたち−
・応用物理学会シリコンテクノロジー分科会 研究集会
−接合技術ワークショップ−
ました。
・SEMI FORUM JAPAN フレンドシップパーティ
本年の基調講演会には、ベンチャービジネスのモデルともいえ
■6月13日(火)
る企業の創始者である(株)堀場製作所 最高顧問 堀場雅夫 氏を
・メモリーセミナー
お迎えします。また技術セミナーでは、昨年より開催のナノテク
セミナーやJISSO (実装) セミナーに加え、本年新たに、SEMI太
陽光発電技術セミナーやメモリーセミナーを設け、従来にも増し
て多岐にわたるイベントを用意し、今後の技術革新、ビジネス展
開を皆様とともに考え、議論できる場をご提供いたします。
−メモリー技術の現状と次のステップへの挑戦−
・多層配線技術セミナー
−多層配線ブレイクスルー技術の動向−
・微細化のブレイクスルーセミナー
−線幅ばらつきをキーワードにした技術課題 (45nmノード)−
・フロントエンドプロセスセミナー
会期:2006年6月12日(月)・13日(火)
会場:グランキューブ大阪 (大阪国際会議場)
主催:SEMI
協賛:社団法人日本半導体ベンチャー協会 (JASVA)
SSIS半導体シニア協会
−最先端フロントエンドプロセス技術−
・第8回SEMIマイクロマシンセミナー
−自動車産業への応用と進化する実装技術−
・IC Tutorialセミナー:エッチングコース
・IC Tutorialセミナー:拡散・注入コース
・SEMIスタンダード会議
プログラム概要 (※プログラムは変更される場合があります。)
・第6回 SSIS半導体シニア協会特別シンポジウム
■6月12日(月)
・応用物理学会関西支部主催セミナー
・基調講演会「自今生涯」
(株)堀場製作所 最高顧問 堀場 雅夫 氏
−シリコンカーバイド(SiC)パワーデバイス実用化のテイクオフ
に向けて−
・第35回 VANS (半導体業界ソフトウェア供給会社技術交流会)
セミナー
−ビジネス変化点に入ったデバイスメーカーのIT戦略−
・マニュファクチャリングサイエンスセミナー
−コストと品質を両立させた半導体デバイスの製造方法を探る−
・ナノテクセミナー
−いよいよ現実味を帯びるナノインプリント技術−
・JISSO
(実装)
セミナー
−システムインパッケージと周辺技術の動向−
2
お申込み受付開始は3月20日(月)を予定しております。
お問合せ先:SEMIジャパン イベント受付
Tel: 03-3222-5993
e-mail: jeventinfo@semi.org
WEBサイト: www.semi.org/sfj
2006, 3-4
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SEMICON Korea Report / ISS U.S. SMC Report
SEMICON Korea 2006 報告
上り調子の韓国半導体産業を反映した活気ある総合イベント
去る2月8日(水)∼10日(金)の3日間にわたって、韓国ソウル市の
COEX (Convention & Exhibition Center) でSEMICON Korea 2006
が開催された。COEXのあるブロックには、ホテルと韓国最大の
オフィスビルである貿易会館 (KWTC) が隣接しており、さらに
それが地下の巨大なショッピングモールでつながっているという
経済中心地である。出展規模は317社1,120小間 (昨年:290社
1,005小間) と過去最大規模となり、COEXから借り上げた3つのフ
ロアー全てを埋め尽くした。同時にSEMIテクノロジーシンポジウ
ム (STS)、マーケットセミナー、SEMIスタンダード会議などの併
催イベントも行われた。来場者数については集計中であるが、昨
年の23,665名を数%程度上回ることが見込まれる。SEMICON
Koreaの記者会見では、2005年度の韓国内の半導体製造装置の
売上高が過去3番目であることを、SEMI役員であるSongwon
SEMICON Koreaでは、オンサイト・ブース・アサイニング (開催
EdwardsのJ.C. Kim会長が述べたほか、同国のデバイスメーカーの
期間中の次年度受付ならびに小間位置割当作業) を行ってお
45nmの早期実現に向けて、製造装置業界が非常に活況である
り、昨年比20%増の約1,090小間が既にアサインされている。2007
ことが出展社からも聞かれた。ちなみに韓国半導体産業協会
年は1月31日(水)∼2月2日(金)の3日間にわたって同会場で開催
(KSIA) によると、セミコン・ジャパン 2006に誘致する韓国出展
されるが、さらに1ホール追加して1,300小間規模に拡大して行わ
社の規模を前回のほぼ 2 倍にする予定とのことであった。
れる予定である。
ISS U.S. 2006 およびSMC 2006 報告
ボブ・グラハム賞はAct International社 ビル・トビー氏が受賞
1月8日(日)∼11日(水)、米国カリフォルニア州ハーフ・ムーン・ベ
また業界を代表する企業で
イにおいて、第28回 「ISS U.S. 2006」 (Industry Strategy Symposium
あるアプライドマテリアルズ
U.S. 2006) が、290名の参加者を得て開催された。ISSは半導体およ
およびノベラスシステムズの
び半導体製造装置・材料の経営戦略セミナーで、日本、米国、ヨ
設立にも一役買った半導体
ーロッパ等で毎年開催されてきた。業界のトップエグゼクティ
産業界の著名なリーダーで
ブ、エコノミスト、専門アナリストによる講演で構成され、その年
あるボブ・グラハム氏に敬意
の半導体業界の市場動向を探るイベントとしてご好評をいただ
を表してつけられた。授賞式
いている。本年の基調講演は、TSMC CEOのRick Tsai氏、Dell
では、
トビー氏をISS会場全員
CTOのKevin Kettler氏、Applied Materials President and CEOの
がスタンディング・オーベーションで称え、おおいに盛り上った。
Michael Splinter氏、National Semiconductor Chairman and CEOの
またISSに続き同会場おいて、「SMC 2006」 (Strategic Materials
Brian Halla氏ほか。講演やパネルディスカッションを通じて、多
Conference 2006) が、1月11日(水)∼14日(金)に開催され、168名が参
くのアナリストたちはコンシューマー・エレクトロニクスが半導
加した。SMCは特に半導体材料業界に焦点を当てた経営戦略セ
体および装置・材料業界を牽引し、2008年まで今後3年間は健
ミナーで、今年で第2回を迎えた。IBM Watson研究所のThomas
全な成長を続けると口を揃えた。
N. Theis博士、Air Products のJerry Ermentrout氏などによる講演
ISS初日の席上、第7回ボブ・グラハム賞の受賞式が行われ、本年
と、材料メーカー、アナリストによるパネルディスカッションで構
は、Act International社プレジデントのAubrey C. (Bill) Tobey (ビル・ト
成され、半導体材料の開発コストを削減するための新たなアプ
ビー) 氏が受賞した。ボブ・グラハム賞は、顧客満足の向上と半
ローチによるコラボレーションなどについて、活発な議論が行わ
導体製造装置・材料産業の更なる発展に寄与するマーケティン
れた。日本からは、次世代半導体材料技術研究組合 (CASMAT)
グ活動の創出・推進を通じて顧客に多大な貢献を果たした個人
理事 研究部長の川本佳史 氏が講演し、米国における初めての
を称えるものである。本賞の名称は、インテルの創立に参画し、
CASMAT活動の紹介に注目が集まった。
3-4, 2006
3
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SEMI Standards
MTF (Manufacturing Technology Forum) について
昨年7月米国で開催されたSEMI役員会で、SEMIスタンダード開発
・開発に時間がかかりすぎる
プロセスの改善を図るためにMTF (Manufacturing Technology
・わかりにくい、使いにくい
Forum) の設立が決定され、12月の役員会ではその運営支援策が
等の厳しいご批判の声を耳にしました。SEMI役員会は事態を
承認されました。
ここではMTFの概要についてご紹介し、今後の皆
深刻に受け止め、スタンダード担当役員およびSEMIスタッフに
様のご支援をお願いいたします。
対策検討を指示しました。
昨年7月の役員会に報告されたプロジェクトチームの結論は、
■はじめに
300mm量産が開始されてから5年が経ち、今日では20ラインを上
・変化の激しいソフトウェアの分野では、必ずしもユーザーニーズ
に的確に対応できていない
回る300mm工場が世界中で量産を始めています。ウェーハ出荷
・スタンダード開発過程でさまざまなユーザーニーズ、技術コン
も面積比で全体の20%を超え、既に200mmウェーハの40%のレベ
セプトの調整、合意形成に長時間を要し、開発が大幅に遅れた
ルに迫るまでに達しています。また、そのプロセス技術・装置仕様
ケースがある
からみても、今や300mmラインは先端デバイス製造の主力にま
で成長しています。また、これからのデバイス需要の伸びに応じ
・一部のユーザー要望、技術提案に偏ったスタンダードが開発さ
れている
て、2012年までにさらに50ライン (20KPM換算) を上回る新ラ
・改善策として、スタンダード開発に着手する前に、ユーザーニー
イン投資が必要との予測も報告されており、今後の半導体産業
ズ、新技術動向、新スタンダードの価値について関係者で議論
の発展を支える主役として大きな期待が集まっています。
し、方向づける仕組みが必要
という内容でした。この改善策を具体化するものとして、MTFの
■300mmプライムと450mm
設立準備を開始することが指示されました。
当初はDRAM、MPU等の量産を主な目的に計画された300mm
その後の関係者の話し合いで骨格が固まり、去る1月26日に米
ラインも、その後の携帯、デジタル家電等の急成長とそれに組み
国サンノゼでのミーティングで、喫緊の業界課題である300mm
込まれるSoCの隆盛にみられるデバイスの需要構造変化に伴い、
プライムおよび450mmへの円滑な移行を当面の対象分野とし
最近ではさまざまなチップを短工期低コストで製造することが
て、そのスタンダード開発をサポートする活動を早期に開始する
強く求められています。このような動きに対応して、 すでに
ことが合意されました。
JEITA、ISMI等の有力業界組織ではその効果的な対策を見出
以下にこれまでの検討内容をご紹介します。
すべく取り組みを開始しています。ISMIでは300mmラインの一
層の生産性向上をめざした新ファブ構想を300mmプライムと
■MTFとは
名づけ、関係者へのプロモーションを進めています。
MTFでは、デバイスメーカーと装置・材料サプライヤが一堂に会
また、これまでの半導体産業の発展を支えてきたMooreの法則
し、スタンダードにかかわる半導体業界の重要課題について議
に則った高集積、高機能、コストダウンのトレンドを今後とも維持
論します。ITRSおよびデバイスメーカーからの製造装置等への
していくために 、ITRS 2005では 、2012年に次世代ウェーハ
要求、要望とそれに対するサプライヤからの意見、提案をもとに、
450mmの量産開始が提案されていますが、ここでも多品種生産
その主なアイテムにつき、コストダウン、生産性向上効果、技術
への対応が大きな課題として指摘されています。
的経済的実現可能性等につき意見交換し、 標準化すべき
テーマ、その技術コンセプト、必要時期をとりまとめます (Pre-
■SEMIスタンダード開発の課題とその改善策
Standard Guideline)。その結果はSEMIスタンダードの各技術委
SEMIスタンダードは1973年に活動を開始して以来、装置、材料、
員会に伝えられ、効果的なスタンダード活動を展開するための
評価測定、さらには半導体工場および装置を管理するソフトウ
指針として利用されます。また、重要と思われる新規スタンダー
ェアの分野で、その時々の業界ニーズに応じたグローバル標準
ド活動についてアドバイスを行うこともMTF活動の一つと位置
開発を進めてきました。現在では約700のSEMIスタンダードが
づけられており、技術委員会活動の優先度判断、方向づけに役
半導体業界のさまざまな場面で広く活用されています。
立つものと期待されています。
しかし、近年一部の関係者からの、
なお、装置サプラヤの意見をとりまとめ、MTFへ提言する組織と
・タイムリーな標準化ができていない
してESG (仮称Equipment Suppliers Group) の設立準備も並行して
4
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SEMI Standards
進められており、AMHSを含む世界の関係装置メーカー各社に
その他の業界重要課題解決にもこの枠組みが活用され、スタン
趣旨説明および参加への呼びかけが行われています。
ダード開発を支える効果的な活動が展開されることを願ってい
MTFの活動組織の詳細は現在詰めが行われています。デバイス
ます。皆様のご支援ご参加をお願いいたします。
メーカーおよび装置サプライヤの代表で構成されるSteering
CommitteeがMTFの運営を企画し、全体活動を調整
します。
具体的な技術活動はテーマに応じて設置される技
術タスクフォースが中心となって実行されます。そ
れぞれの分野の専門家が調査、議論、検討を行い、
Pre-Standard Guidelineを作成します。また、必要に
応じてワークショップを開催し、MTFの活動内容を
報告して、関係者の理解を深めるとともに、スタンダ
ード活動への支援、スタンダードの有効利用を呼び
かけます。
■MTFの期待効果
MTFにより生み出される効果としては、
・デバイスメーカーと装置・材料サプライヤが半導体
MTFの役割
業界の重要課題について早期に話し合う場を持つ
ことにより、相互理解を深めることができる
・スタンダード開発が必要な重要な技術課題につき、
デバイスメーカーと装置サプライヤの議論の成果
が 文書化され (Pre-Standard Guideline)、公表され
ることにより、効率的なスタンダード活動が展開で
き、タイムリーに必要なスタンダードが開発できる
・SEMIスタンダードの価値が向上し、開発支援、スタ
ンダード適用についての関係者の理解が深まる
■おわりに
今回の取り組みは、これまでのスタンダード開発に
MTFの活動組織(案)
おいて、
・必要なスタンダードとは?
・いつまでに必要か?
・どうすればスタンダードが広く使われるか?
・どのような技術が有効か?
等々について、各技術委員会メンバーが悩みつつ開
発を進めてきた状況に大きなエポックをもたらすも
のと期待しています。すなわち、デバイスメーカーと
装置サプライヤの専門家が前広に業界の重要課題
について議論し、スタンダードの方向性についてア
ドバイスを行うことにより、前述の自問自答に費や
される時間が大幅に短縮され、効率的なスタンダー
ド活動が展開されるものと期待しています。
今回は300mmプライムおよび450mmへの円滑な移
行を主テーマとしてMTFがスタートしますが、今後
3-4, 2006
MTFの期待効果
5
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SEMI Standards
2006年3月 SEMIスタンダード出版状況
2006年3月 (0306版) では14の新しいスタンダードが出版され
Surface Mount Gas Distribution Systems (表面実装ガス分布システ
ます。これらは昨年の9月から12月に技術委員会審議を通過し
ムでコンポーネントの寸法を規定する、既存の14個のスタンダー
(www.semi.org)
か
たスタンダードです。既に、2月中旬にはWeb
ドについて解説しています。)
ら入手可能になっています。
SEMI M9.8 Specification for Round 200 mm Polished Monocrystalline
今回の 新しいスタンダードには、下記に示すように多様な内容
Gallium Arsenide Wafers (200mm径単結晶鏡面ガリウム砒素ウ
が含まれています。MEMS製造用の ウェーハ・ボンディングの
ェーハの仕様です。)
アライメント・マーク仕様をはじめ、RF電源のパワー測定方法、
SEMI M63 Test Method for Measuring the AI Fraction in
真空ポンプ用のセンサ/アクチュエータ・ネットワーク仕様、ミニ
AIGaAs on GaAs Substrates by High Resolution X-ray Diffraction (高
エン環境からのパーティクル汚染測定方法、200mm GaAsウェ
分解能X線回折によるGaAs基板上のAlGaAsエピ層のAl混晶比
ーハ仕様、GaAs上のAlGaAs層のAl混晶比測定方法、EL2濃度測
決定方法を提供します。)
定方法、化合物半導体成長用サファイア基板仕様、VSBマスク描
SEMI M64 Test Method for the EL2 Deep Donor Concentration in
画装置のためのデータフォーマット仕様、等が含まれています。こ
Semi-Insulating GaAs Single Crystals by Infrared Absorption
の他にも、多くのスタンダードが0306版として改訂され出版され
Spectroscopy (赤外吸収測定の測定条件および報告方法の定義
ています。詳細はSEMI WEBサイトの新規改訂スタンダードを
により、半絶縁性GaAs単結晶中のEL2濃度測定の精度と再現性
ご参照ください(www.semi.org/standards)。
を改善します。)
SEMI M65 Specification for Sapphire Substrate for Compound
■0306版の新規スタンダードリスト
Semiconductor Epitaxial Wafers (化合物半導体エピタキシャル
SEMI E54.18 Specification for Sensor/Actuator Network Specific
成長用のサファイア基板の基本仕様、評価方法および特性記述
Device Model for Vacuum Pump Device (プロセス装置と真空ポン
方法を定義します。)
プの間の通信インターフェースを提供します。)
SEMI MS1 Guide to Specifying Wafer-Wafer Bonding Alignment
SEMI E133.1 Provisional Specification for XML Messaging for
Targets (MEMS製造装置用のウェーハ・ボンディングに利用され
Process Control System (PCS) (E133に対応したXMLメッセージのフ
るアライメント・マークを指定するためのガイドです。)
ォーマットを定義し、相互運用可能な通信方式を供給します。)
SEMI P45 Specification for Job Deck Data Format for VSB Mask
SEMI E142.2 Specification for SECS II Protocol for Substrate
Writers (VSBマスク描画装置ためのSEMI P39 OASISTMに基
Mapping (SECS/GEMインターフェースを使用して、サブストレ
づいた共通ジョブデック・データフォーマットです。ジョブデック・
ートマッピングデータの通信プロトコルを提供します。)
データフォーマットの標準である
“MALY”
は、VSBマスク描画
SEMI E143 Test Method for Measuring Power Variation into A
装置への直接入力フォーマットとして、Seleteによって2004年3月
50-OHM Load and Power Variation and Spectrum into A Load with
に開発されました。)
a VSWR of 2.0 at Any Phase Angle (ドライエッチやPVD、CVD装
置のRFジェネレーターの出力パワーおよびスペクトルを測定す
SEMI スタンダード商品
る方法を提供します。)
SEMI E144 Provisional Specification for RF Air Interface between
RFID Tags in Carriers and RFID Readers in Semiconductor
Production and Material Handling Equipment (キャリアのRFIDタグ
と半導体製造装置ならびに搬送機器のRFIDリーダ間のインター
フェース様書を提供します。)
SEMI E145 Specification of Units for the Semiconductor Industry in
XML (半導体産業で用いられる単位系のXML仕様を提供します。)
SEMI E146 Test Method for the Determination of Particulate
Contamination from Minienvironments (FOUP・FOSB等のミニエン
環境からのウェーハへのパーティクル汚染測定方法を定義します。)
SEMI F102 Guide for Specification for Dimension of Components for
6
SEMIスタンダードは、正文は英語で作成されており、1年に3回
出版しています。SEMIジャパンでは、英語版を翻訳した日本語
版SEMIスタンダードを出版しております。SEMIスタンダードは、
半導体製造、FPD製造において、さまざまな材料や装置、サービ
スに対応しており、その分野は次のとおりです。
・製造装置ハードウェア ・製造装置ソフトウェア
・設備
・フラットパネルディスプレイ(FPD)
・ガス
・材料(シリコンウェーハ・化合物半導体)
・マイクロリソグラフィ
・パッケージング
・プロセスケミカル
・環境、健康および安全 (EHS)
・トレーサビリティ
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US Report
ベビーブーマーズとジェネレーションX&Y
パシフィック・ドリームス・インク 代表取締役 酒井 謙吉
日本には 「団塊の世代」 という今また一躍脚光を浴びている
結婚して家族を持ち、社会の中でも中核を担う世代として、企
(?) 言葉がありますが、アメリカでは 「ベビーブーマーズ (Baby
業や社会の中で重要な役割と責任を果たすようになってきまし
Boomers)」 というそれにあてはまる言葉があります。いわゆる
た。このジェネレーションXには、子育てのために有給休暇を消
「アメリカ人の団塊の世代」 なのですが、日本の団塊の世代よ
化し、会社が終わった後もまっすぐ帰宅し、子供たちと一緒に過
りも年齢の幅が大きく、一般的には、1946年から1964年の間に
ごす時間をできるだけつくるように努力しているという特徴が
アメリカで生まれた現在42歳から60歳までの世代を指します。
あることが最近の調査でわかってきました。これは前世代のベ
この世代は7,800万人と非常に巨大な人口構成グループを形成
ビーブーマーズと比較しても顕著な特徴のようでありまして、こ
しておりまして、アメリカ社会での経済発展の主たる牽引役とし
の世代の人々は家庭重視派が明らかに多くなってきていると言
て、今までに重要な役割を果たしてまいりました。
うことができます。
こう書きますとおわかりのように、このベビーブーマーズも今年
さらにこの特徴は、次に続くジェネレーションYでも継承され、よ
から、はからずも世代の最年長者層は60歳の大台に突入してい
りいっそう家庭や子供重視の傾向を持つものであるとの推測
くわけです。退職の時期を迎えるとともに、国民皆医療保険が
がなされています。このような特徴がどうしてできたかの理由と
存在しないために起こる医療問題や個人的な格差の大きい社
しては、女性の社会進出が始まった時期と相対して育った最初
会であるがための退職後の年金問題などが、今後は徐々に表面
の世代であるために、家庭に対する思い入れはベビーブーマー
化してくるように思われます。しかしながらアメリカは、次にご説
ズに比べてひときわ強い、アメリカの離婚率の上昇 (平均約
明するように大きな世代の台頭がありますし、国民の出生率も
50%強) によって、シングルペアレントによって育てられた世代
先進諸国の中ではきわめて高い数字を維持し続けております
であること、高学歴化 (半数以上が大学に進学)、晩婚化 (平均初
ので、日本のような人口減による老齢化社会を迎えたり、若年
婚年齢が1960年の22.8歳から2003年には27.1歳に上昇)、男女
者層が年金生活者を何人も支えていかなければならないとい
平等意識の普及と進展、企業側の都合によるリストラやレイオ
うような事態にはならないでしょう。
フを体験した、などの社会的背景からくる要因が根強く絡んで
このベビーブーマーズの後に生まれた世代を 「ジェネレーション
いるということが挙げられます。
X」 と呼んでおり、世代区分的には、諸説があるものの、1965
このようにアメリカでは、世代間によって顕著な特徴があり、そ
年から1976年の11年間に生まれた、現在30歳から41歳までの約
れによって生じる消費傾向も世代間で当然のことながら異な
4,300万人を指します。さらに、1977年から1997年の20年間に生
っています。よく言われるのが、ジェネレーションXやYは、好き
まれた約8,000万人近い世代構成層を 「ジェネレーションY」
な音楽はインターネットからダウンロードしたり、CDを焼いた
と呼んでいます。ジェネレーションYはすでにベビーブーマーズ
りして聴くものだというiPod世代であるのに対して、私自身も
を凌ぐ人口の一大勢力と化しておりまして、アメリカの人口構成
含めましてベビーブーマーズのおじさんたちには、iPodに対し
の30%を占めつつあります。ジェネレーションYはかつてベビー
てはいまだ相当に抵抗感が根強く、音楽というものはまだまだ
ブーマーズがそうであったと同じように、アメリカの次世代を担
お店でCDを買って聴くものだというように、ターゲットとする
う巨大な消費者グループとして、多くの企業のマーケッターか
世代によってマーケッティング・アプローチや販売方法も明確
ら注目を集めている世代です。
に異なってくるわけであります。
ここでもおわかりのように、ジェネレーションXは、ベビーブー
今後は、「クリックをするために生まれてきた子供たち」 という
マーズとジェネレーションYとの大きな人口構成世代の間には
別称までがあるジェネレーションYの世代に対して、効果的な
さまれて生まれた比較的人口の少ない世代でありまして、マー
マーケッティングを打つことによって、さらに新しい技術が創
ケッティング・リサーチなどの中でもあまり大きな注目を集め
出され、第二のiPodのような画期的は新製品が生まれてくるの
ることがありませんでした。しかも、ジェネレーションXが台頭
ではないのでしょうか。ターゲットとする世代に密着したマー
していた当時は、ベビーブーマーズとの比較の中で、「反社会
ケッティング、そしてそのリサーチに基づく新技術・新製品の開
的な傾向がある」 とか 「怠け者である」 とかいったきわめて
発は企業の栄枯盛衰に直接かかわってきます。またその波及効
ネガティブな評価の烙印をマスコミなどから押されて、ロスト
果もきわめて広い裾野にわたって作用してまいります。各世代
ジェネレーションなどとも呼ばれて揶揄されたりと評価はさん
の特徴を十分理解し、それに合わせた効果的なマーケッティ
ざんでした。
ングを行うことを、企業で働く人々は決して侮ってはならない
しかしながら、このジェネレーションXに属する人々も、今では
ものだと思います。
3-4, 2006
7
P08-09 06.3.10 17:32 ページ 8
Market Statistics
SEMIマーケット・レポート
2006年半導体製造装置市場は2桁成長が期待できる
グローバルネット株式会社 代表取締役 武野 泰彦
■変化するシリコンサイクル
万ドルであった (図2)。2位は韓国で、2004年は前年比46.1%増
2004年絶好調であった半導体製造装置市場が下降局面に入り、
の46億1,100万ドル、2005年は唯一26.4%増と58億3,200万ドル
2005年の市場の下落が懸念されていたが、予想されていたより
と成長した (図3) 。3位は台湾で2004年前年比166.7%増の77
も少なく終わった。そして2006年は2桁成長の伸びが期待され
億1,900万ドルと2倍以上の市場規模とした。2005年は前年比
る。その理由は、1) 半導体産業はパソコンだけでなく、FPDテ
26%減の57億1,900万ドルと韓国に抜かれる結果となった (図
レビ、携帯電話、携帯音楽端末、車載用等新しい応用市場の拡
4)。米国は2002年までトップの位置にいたが、2003年にトップを
大が見込まれる。2) 地域的に、米国市場だけでなく、BRICSや
日本に譲り、2005年は昨年と同じ4位の2.1%減の56億9,100万ド
アジア市場が拡大する。3)トリノ冬季オリンピックの開催、ワー
ルであった。米国の半導体生産は米Intel社や米TI社等大規模
ルドベースボールクラシック (WBC)、サッカーワールドカップ
に生産するメーカが限られており、半導体生産がアジアにシフ
など世界的な大イベントが目白押しで開催される。このように
トしている (図5)。欧州は、前年比6.1%減の32億5,800万ドルで
2006年はシリコンサイクルから考えれば、底の市場になる年で
あった (図6)。ROW/中国は2004年は121%増の71億4,300万
あるが、今年は市場拡大の見込める年になりそうである。
ドルの市場であったが、2005年は前年比41.4%減の41億9,200
■2005年半導体製造装置市場の地域別シェアでは3年連続
万ドルと最下位であった (図7)。
■微細化への投資が進み露光描画装置市場がトップシェアの
日本市場がトップ
Worldwide SEMS (Semiconductor Equipment Market Statistics)
48億4,329万ドルに
の12月までの集計結果がまとまったので報告する。2005年 (1
2005年世界半導体製造装置出荷統計を分野別に見ると、ウェー
月∼12月) の世界半導体製造装置出荷額は前年比12.5%減の
ハプロセス装置が半分以上の69.3%シェアを占め前年比は
323億8,175万ドルであった (図1)。昨年に続き日本市場が地域
10.2%減の227億9,200万ドル。テスト装置はシェア16.1%となり
別ではトップとなり、前年比1.1%減と前年とほぼ同じ81億8,700
52億9,314万ドルと前年比16.9%減であった (図8)。ファブファ
7,000
6,000
80
50,000
金額
前年比
60
40
100万ドル
100万ドル
40,000
20
30,000
1.40
Booking(受注額)
Billings(販売額)
B/Bレシオ
1.20
5,000
1.00
4,000
0.80
3,000
0.60
2,000
0.40
1,000
0.20
B/Bレシオ
%
100
60,000
0
20,000
−20
10,000
0
−60
1999
2000
2001
2002
2003
2005 年
2004
図1 年別世界半導体製造装置出荷額推移と前年比推移 (SEMI/SEAJ)
14,000
1.40
Booking(受注額)
Billings(販売額)
B/Bレシオ
12,000
1.20
2002年
2003年
2004年
2005年
図3 韓国の半導体製造装置市場推移 (SEMI/SEAJ)
12,000
1.20
10,000
1.00
8,000
0.80
0.80
6,000
0.60
4,000
0.40
2,000
0.20
0.00
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
図2 日本の半導体製造装置市場各年別推移 (SEMI/SEAJ)
100万ドル
8,000
0
8
2001年
1.00
B/Bレシオ
100万ドル
10,000
0.00
2000年
Booking(受注額)
Billings(販売額)
B/Bレシオ
6,000
0.60
4,000
0.40
2,000
0.20
B/Bレシオ
0
−40
0.00
0
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
図4 台湾の半導体製造装置市場推移 (SEMI/SEAJ)
2006, 3-4
P08-09 06.3.10 17:32 ページ 9
Market Statistics
シリティーは、前年比10.7%減の20億4,400万ドルとなった。ア
ルであった。地域別に見ると日本の比率が高く、25.8%の8億1,477
ッセンブリ/パッケージ装置は50.2%増と前年の伸び率より下
万ドル。3位はCVD装置となり、12.9%シェアの29億6,284億ドル
がって18億4,517万ドル。また微細化が進み、マスクプロセスへ
で、地域別には韓国が26%シェアの7億8,900万ドルとなった。
の対応が重要になり、マスク/レチクル装置は前年比4.7%増の
■2006年は韓国市場が牽引役に
6億7,400万ドルであった。前年比の伸び率がトップだったのは、
2005年11月の世界半導体製造装置市場統計の受注額を見る
ウェーハ製造装置で、300mmの需要増にあわせ投資された結
と、前年同月比3.5%増、前月比3.5%増の28億1,200万ドルで
果、前年比21.4%増の1億4,400万ドルとなった。装置別に見る
BBレシオが 1.25であった (図 9)。12月は前年同月比 4.2%増
と、ウェーハプロセス装置中のトップシェアは21.2%の露光描
の前月比0.4%増BBレシオ0.88と好調の兆しを見せている。地
画装置市場で、市場規模が48億4,329万ドルで地域別に見ると
域別に見ると韓国の受注額が好調であり、11月が前月比11.4%
韓国のシェアが24.2%と高く、微細化に力を入れていることがわ
増の4億3,800万ドル、12月が前月比15.2%増の5億500万ドル
かる。次いでエッチング装置は13.8%のシェアで31億4,879万ド
と順調に市場が成長している (図10)。
1.40
18,000
60,000
16,000
Booking(受注額)
Billings(販売額)
B/Bレシオ
14,000
Total Test Equipment
Fab Facilities Equipment
Assembly and Packaging Equipment
Wafer Processing Equipment
Wafer Manufacturing Equipment
Mask/Reticle Equipment
1.20
50,000
1.00
0.80
8,000
0.60
100万ドル
40,000
10,000
B/Bレシオ
100万ドル
12,000
6,000
30,000
20,000
0.40
4,000
10,000
0.20
2,000
0
0
0.00
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
1998
2005年
図5 米国の半導体製造装置市場各年別推移 (SEMI/SEAJ)
Booking(受注額)
Billings(販売額)
B/Bレシオ
8,000
2001
2002
2003
2004
2005
4,500
1.6
Booking(受注額)
Billings(販売額)
B/Bレシオ
4,000
1.20
3,500
7,000
1.00
1.4
1.2
3,000
6,000
1
0.80
4,000
0.60
2,500
0.8
2,000
100万ドル
5,000
B/Bレシオ
100万ドル
2000
図8 世界半導体製造装置製品別出荷額推移 (SEMI/SEAJ)
1.40
9,000
1999
3,000
0.40
2,000
0.4
1,000
0.2
500
0.20
1,000
0.6
1,500
0
0
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
0
1月
2004年
0.00
2005年
図6 欧州の半導体製造装置市場の推移 (SEMI/SEAJ)
3月
5月
7月
9月
11月
1月
2005年
3月
5月
7月
9月
11月
図9 世界半導体製造装置市場の月別推移 (SEMI/SEAJ)
8,000
1.40
7,000
1.20
1,000
900
800
6,000
0.80
0.60
3,000
0.40
2,000
100万ドル
Booking(受注額)
Billings(販売額)
B/Bレシオ
4,000
700
B/Bレシオ
5,000
100万ドル
日本
1.00
600
500
400
北米
台湾
韓国
300
欧州
200
0.20
1,000
ROW
100
0
0.00
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
図7 その他地域(含中国)の半導体製造装置市場推移 (SEMI/SEAJ)
3-4, 2006
中国
0
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
図10 2005年半導体製造装置の月別地域別受注推移 (SEMI/SEAJ)
9
P010-011 06.3.10 17:34 ページ 10
Semiconductor Design
自動車産業の半導体技術動向
半導体新技術研究会 代表 村上 元
1 はじめに
多くのセンサー、マイコン、モータ類などがネットワークで繋が
自動車の電子化の現状と未来への半導体技術開発の方向性を
れ、ハードとソフトの融合が進む (図1)。
討論するために、半導体新技術シンポジウムの自動車特集とし
「将来の快適な車とは、椅子にタイヤを付けた個人専用の車とな
て、「各社の自動車用半導体戦略と2006年の展開」 をテーマと
り、椅子の車に座った状態でバスや電車に乗り、階段や悪路でも
した第16回シンポジウムを東京の後楽園会館で開催した。
自由に移動できる車にすることではないか。トヨタ自動車は、ア
基調講演は、東京大学大学院情報工学科システム情報学専攻の
イスイング (I Swing) と呼称したコンセプト車を昨年の愛知万
新誠一助教授と、ダイハツ工業株式会社電子技術部次長の伊東
博や自動車ショウで展示した。車の先にはロボットがあり、これ
敏夫工学博士にお願いした。基調講演に引き続き、半導体各社か
ら車やロボットに必要とされ半導体技術をタイムリーに開発し
ら最新の車載用半導体の開発状況と2006年度への対応を順次
ていただきたい」 と半導体新技術研究会の活動を激励された。
1)
説明いただいた 。
3 ダイハツ工業 伊東博士の基調講演 「次世代コンパクト
2 新誠一助教授の基調講演 「自動車産業における最新技術動向」
カーのカーエレクトロニクス」
新先生は、現在の自動車産業は変革期の中にあり、ハイブリッド
「国内コンパクトカーの特徴として、女性ユーザ、高齢者の増加、
車に代表されるモータ駆動の車になると、自動車の機能は格段
使用頻度が高く、行動半径が小さいなどがある。これらのユーザ
に便利になり、「走る・曲る・止る」 の基本機能に加えて「安全・快
の数は、高級車のレクサスに代表される高級車の購入層に較べ
適・利便性」 を加えた革新が進むと示唆された。その中心には
て、市場規模は格段に広い。この市場に対応するために、電気モ
半導体の新技術が数多く適用されるとし、ハードとソフトの融合
ータでタイヤを駆動できるハイブリッド自動車 (HEV) は、タイヤの
技術が車そのものを大きく変える。そのために、材料からシステ
動きを変幻自在に設計できるので、苦手な人が多い縦列駐車や
ムまで統合的に検討していく研究が必要であることを、強調し説
車庫入れを電気モータのタイヤを使うことで駐車アシストでき
明された。今後の自動車は、周囲の動的・静的物体の瞬時による
る。安全性を格段に高めることを目的にして、高度な知能化を図
形状把握、天候による路面や視界の環境変動の情報伝達と動的
った自動車ASV (Advanced Safety Vehicle) に向けた開発が進行中」
制動、ドライバー健康状態の観察による運転者アシストなど、車
で、安全運転を支援する各種のセンサー情報からの信号を受け、
の周りの環境変化を物理量で計測し、その計算モデルに従い車
センサー情報の処理の過程を総体的に実現するために、センサ
内・社外LANで車の動きを監視し、ドライバーに情報伝達すると
ーフュージョンの考え方などについて、実験中の自動車モデル
ともに、必要に応じて車をより安全な方向に導くようになる。
によるビデオ画像などで詳細な説明がなされた (図2)。
運転者が不得意とされる縦列駐車や車庫入れは、CCDなどのカ
メラセンサーやミリ波レーダー、近・遠赤外線など電磁波による
位置計測で支援され、インホイールモータと呼ぶ各車輪の中に
モータが内蔵されるようになるので、車庫入れなどが完全自動
でできるようになっていく。これらの機能を実現するために、数
図2 コンパクトカーこそ安全性が重要 (ダイハツ工業 伊東敏夫博士資料)
4 半導体各社の開発現状と今後への対応
4.1 フリースケールセミコンダクター社の対応 杉山弘幸 氏
車載用半導体市場で業界No.1の位置を確保できた。自動車は、
図1 ハードとソフトの融合が重要 (東京大学 新誠一助教授資料)
10
GPS信号に同期化させた位置検出など、無線関係の技術を車載
2006, 3-4
P010-011 06.3.10 17:34 ページ 11
Semiconductor Design
タ自動車のご協力を得て、トヨタ自動車の技術誌を会場に展示
させていただいた2)。次世代の車作りに向けて、産学の関係者の
知恵が融合して、この分野での世界的地位の確立に向けた活動
ができるように、半導体新技術研究会も側面的な支援をさせて
いただけたら、この上ない幸せと存じます。
図3 SiGe技術がミリ波領域へ拡大 (フリースケール 杉山弘幸氏資料)
に適用する技術が重要になることなどを説明され、ミリ波領域に
対してもSiGe技術の適用を開発中であることなどが紹介された
(図3)。
4.2 ルネサステクノロジ社の対応 林義弘 氏
車載用LANの国際協調の取り組み状況についてご説明いただ
図5 FlexRayの適用拡大中 (富士通 高橋均氏資料)
いた。車の使うマイコンは各種あり、マイコン設計技術や半導体
パッケージ技術を駆使して、高速・高機能・低価格・高信頼のマイ
コン事業の推進のロードマップなどを報告された (図4)。
図6 画像認識技術が安全性を支援 (東芝 井爪誠氏資料)
図4 RISC型CPU性能向上 (ルネサス 林義弘氏資料)
画像認識技術実用化動向
4.3 富士通社の対応 高橋均 氏
車載LANの安全化のために、差動信号品質など伝送信号品質の
1000
4.4 東芝の対応 井爪誠 氏
自動車の安全運転や運転支援のために、画像処理技術がますま
す重要になってきているとして、画像処理技術の現状を中心に、
ビデオなどを交えて説明された (図6)。
4.5 NECエレクトロニクスの対応 金子博昭 氏
歩行者(無条件)
全方位予測認識
→衝突回避
全方位認識
不審者検知
歩行者(昼間)
→いたずら防止
→衝突回避
前方障害物(二輪車含む)
路肩 乗員姿勢検知
歩行者検知(夜間)
標識・信号認識・路面マーク認識
視線検知、 側方 / 後方障害物
仮想表示支援用
前方障害物検知 居眠り検知 →接触回避
目標物認識
姿勢検知
乗員頭部姿勢検知 高度駐車支援
ランドマーク認
組込み汎用MPU
識→ドライブガ
交差点看板
性能レンジ予測
イド
白線
白線等
青字
:ナビ系
側方 / 後方障害物検知
(レーン)
→駐車支援+
赤字:制御系
ナンバープレー
ト
鳥瞰図
顔認証
路面マーク
/ 記号
車線逸脱警報(白線)
QRコード
駐車支援
2007に向けて
重要性などを説明され、FlexLayの開発経緯、開発状況、開発キッ
ド、顧客支援の方法などを説明された (図5)。
専用プロセッサで実現 2009に向けて 2011に向けて
用 100
途
と
計
算 10
量
予
測
[GIPS]
1
駐車支援(表示)
2005
マイコンの重要性を示唆され、マイコンの製品現状と開発中の
製品開発状況などについて説明された(図7)。
2010
2015
図7 画像データ計算量拡大を専用CPUで実現 (NEC 金子博昭氏資料)
<参考文献>
5 おわりに
1) 第16回半導体新技術研究会シンポジウム資料
車載用半導体の技術については、ハイブリッド車を開発し、HEV
2) トヨタ・テクニカル・レビュー
「ハイブリッド特集」
Vol.54, No.1,
を時代の車つくりの基本に据えて事業展開されておられるトヨ
3-4, 2006
2005/8, 220
11
P12-13 06.3.10 17:36 ページ 12
EHS
重要性を増す人間工学
インテル株式会社 佐倉 英俊 / キヤノンアネルバ株式会社 真白 すぴか
■大型化する製造装置
図3で、女性が手を伸ばし
半導体では300mmウェーハ、FPDでは畳サイズを超えるガラス
ても男性の目の高さにしか
基板での生産工場が世界各地で展開されるに至り、工場運営に
届かないのを見ると、装置
おける安全管理も新たな側面を見せ始めています。ウェーハや
設計で想定している範囲
ガラス基板の大型化および重量の増加に伴い搬送工程は完全
の広さをご理解いただける
自動化され、搬送に伴う作業者への人間工学的負担はほぼ解消
かと思います。
されました。しかし、保守・サービス作業等では人手が介入する
図3 設計基準となる、小柄な
女性と大柄な男性
非定常な作業が存在するため、作業性の向上による安全管理の
改善が強く求められています。
■人間工学とは何か
人間が最大の力を発揮できる図4のような姿勢を 「中立の姿勢」
英語ではErgonomics。人間が作業する時間、姿勢および体力に
と呼び、作業者への負担が大きくなりすぎる図5のような種々の
関係して発生する体調の不具合を予防するための学問が人間
「無理な姿勢」 と合わせてチェックリストの範囲が定められて
工学です。自動車の運転席や航空機のコックピットは、この学問
います。
に基づいて設計されています。シートベルトで拘束された姿勢で
の長時間の作業を求められますから、操作するものは手の届く
リーチの範囲に設置しなければいけませんし (図1)、頻繁に使
用するハンドル等の部品は疲労を最小限にするため、体に負担
のかかりにくい位置に設置する必要があります (図2)。
図4 中立の姿勢
図5 無理な姿勢 ( 側屈>20°
)
■非定常作業に関する課題
装置の保守・サービス等の作業は、作業者の動きが想定しにくく、
意図した機能を実行する日常の操作とは異なる対応が必要にな
ります。危険作業のリスクを削減するため、作業分析を重点的に
図1 重要な操作部
図2 頻繁に使用する操作部
実施して、作業基準の設定等の必要な対策を講じるわけです。S8
では、図6のような頻繁にありそうなものから、図7のような避け
半導体製造装置を設計する際に必要となる、種々の人間工学に
て通りたいものまで、多様な姿勢を想定して必要最低限の作業
関する情報を盛り込んだものが、「SEMI-S8 半導体装置の人
スペースを提示しているわけですが、四つんばい、仰向けといっ
間工学エンジニアリングに関する安全ガイドライン」 であり、
たつらい姿勢での修理作業は遠慮したいものです。
初版は1995年に発行されました。その当時、装置設計上問題と
生産現場の声に充分耳を傾けていただき、人にやさしい=効率
なっていたさまざまな課題をSESCと呼ばれる数値チェックリス
の良い装置、を実現していただきたいと思います。
トとして規定したことで、ユーザーと装置メーカーとの対話が円
滑に進むようになり、現在では日常の操作に関する設計問題は
ほぼ解消しています。ちなみに、さきほどの図1、図2はこのチェッ
クリストから引用したものです。
S8の基本思想は、体力の弱い人と強い人の両方を満足させるこ
とにあります。力仕事や高さに関しては小柄な人を基準にし、狭
い空間での余裕や低さに関しては大柄な人を基準にしています。
12
図6 ひざまづき
図7 四つんばい
2006, 3-4
P12-13 06.3.10 17:36 ページ 13
EHS
・大型化・複合化により直接視認が困難になり結果的に誤認
識や誤操作の可能性が高くなります。
‐例えば、いくつかの装置に囲まれた空間や、ノーマルオペレ
ーション時真空下にあるようなメンテナンス位置は、いわ
ゆる閉鎖空間 (Confined Space) となる場合が多く、いくら
入口部に見張りをおいても内部の作業者に危害が及ぶよう
な誤操作が行われる可能性が高まります。特に、ロックアウ
ト・タグアウトが適用できない調整などのような作業では、
図8 FPD用の基板搬送機構の例(FPD安全ワークショップ
村田機械/後藤氏資料より
装置や可動部の大きさとあいまって、誤操作から発生する
危害のリスクは半導体製造装置とは比較にならない大きさ
になることがありえます。
■大型基板を取り扱うFPD製造装置の場合に顕著な問題
FPD製造装置の場合には、取り扱う基板サイズの増加により、装
以上の例からわかるように、FPD製造装置においては、顧客作業
置や部品類が半導体製造装置に比べて格段に大きくなっていま
によるメンテナンスだけでなく不定期・低頻度の作業も含めて、
す。また、いくつかの工程用の装置を直接または基板搬送システ
管理的手順のみに依存した人間工学リスクのコントロールでは、
ムを介して連結し、あたかも化学プラントのような体裁をとる
深刻な人身事故の発生リスクを社会一般が受け入れられるレベ
複合システムも広く採用されています。図8は典型的な第6世
ルまで下げられない可能性が高いということになります。本質
代のRGVシステムの例ですが、300mmシリコンウェーハ用の
安全の方向、すなわち、クリアランスやアクセス性などはSESC
FOUPや作業者に対して基板・カセット・装置等がどのくらい大
に推奨される値を実現すべきですし、重量物用のリフティング
きくなるかご想像いただけるかと思います。それにより顕著に
機構やガラス基板の取扱い治具の用意やそれらの使用のため
現れる問題としては、以下の2点があげられます。
の情報のマニュアル記載などを通じて人間工学リスクを低減す
ることが、装置や複合システム全体の安全性向上につながるも
・従来より人間工学的配慮の不足から発生しがちであるといわ
のと考えられます。
れてきた健康障害、例えば筋骨格系障害(MSD: Musculoskeletal
Disorders)、眼精疲労などの原因となるだけではなく、他の危険
■開発中の安全ガイドラインでの取り組み
源への暴露につながり、結果的により重大な傷害事故を引き
現在SEMI日本地区EHS委員会では、複合化したFPD製造シス
起こす可能性が増加します。
テムの安全を取り扱う安全ガイドライン (SEMI Draft Document
例を2、3あげると、
#3814, Environmental, Health, Safety Guideline for FPD Manufacturing
‐クリアランスの十分でないメンテナンス場所へのアクセ
System) を開発中ですが、この文書はS2同様クリアランス・ア
スや無理な姿勢で作業をせざるを得ないようなメンテナ
クセス性などの設計基準はS8のSESCに依っています。しかし、
ンス位置などの存在は、腰痛や打撲などの原因になりうる
それにくわえ、高所、閉鎖空間での安全作業を可能にするため
だけでなく、巨大化した基板搬送機構への接触や、作業者
の設計スペック、視認に代わる安全確認手段など、FPD製造装
が運搬している物や工具を落とすことによる直接・間接の
置固有の人間工学的課題にS8とは違う角度からも取り組んで
設備・人に対する危害発生等のリスクを増加させる要因に
います。
もなりえます。
人間工学の課題に半導体業界が取り組み始めたのは、200mm
‐チャンバー上部に設置されたメンテナンス用のプラット
ウェーハの時代でした。理由は作業者のケガの予防です。その
フォームなどでは、マニュアルマテリアルハンドリングに
後の300mmウェーハではFOUPが10kgに到達して手搬送が非現
関する基準値を守った重量作業でも、もし転倒した場合
実的であることから搬送完全自動化が必須となりました。一方
などは落下による怪我のリスク増大を招きかねません。
FPD業界では当初から自動搬送が前提であったと思いますが、
‐基板ワレなどのトラブルシューティングでは、大きくて重
ガラス基板の搬送重量は1,000kgに到達し、今や製造装置は建
い基板の欠片をマニュアルハンドリングすることによる人
設機械の様相を呈しています。これだけスケールが異なってくる
間工学リスクだけではなく、鋭利なガラス片による怪我の
と、安全対策の手段も現実に合った独自色が出てくるものと感
可能性も高まります。
じている次第です。
3-4, 2006
13
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Nanotechnology
バイオナノプロセス:生体分子が作るナノ構造素子
松下電器産業株式会社 先端技術研究所 吉井 重雄 / 山下 一郎
1. はじめに
体とし、次にその自己集合機能を用いてナノ構造を構成し、その
半導体加工の微細化は数十ナノスケールの領域に突入し、ナノ
後タンパク質部分を除去して無機ナノ構造を素子に適用する手
領域の機能構造が注目されている。ナノ構造は、超高速・低消費
法 (バイオナノプロセス) を考案してデバイス応用を目指して
電力化の他、量子効果等の新原理素子や健康医療分野への展
いる。
開も期待される。しかし、数ナノメートル領域の構造を大量かつ
均一に作製しようとすると、トップダウン加工では限界があるこ
3. フェリチン分子と、自己集合による2次元結晶化
とも明らかになりつつある。著者らは、ある種の生体分子が持つ
我々ヒトを含む多くの生体内には、鉄濃度の調節をつかさどる、
無機化合物を形成する機能 (バイオミネラリゼーション) と、自
フェリチンと呼ばれるタンパク質がある。フェリチンは24個の
己組織化機能を利用することで、ボトムアップ型のナノ構造作
サブユニットが集合して構成された超分子で、図1左のように、
1)
製法を開発し、「バイオナノプロセス」 として提案している。 本稿
内部が空洞の球殻状構造 (外径約12nm、内径約7nm) をとり、
ではバイオナノプロセスの概要を述べた後、これを応用した2次
生体内で鉄を空洞内に蓄積している。著者らは、ウマの野生種
元結晶や任意位置への単一ナノドット配置、さらにメモリ素子へ
フェリチンを遺伝子的に改変した人工フェリチンを作製し、これ
の応用について紹介したい。
までに各種無機材料 (金属、半導体、酸化物) のナノ粒子を内
部に形成することに成功している。
2. バイオナノプロセスとは
ナノ粒子を導入したフェリチンは、その自己集合能を利用する
生物を観察すると、生体分子からなる微小部品が巧妙に構成さ
ことで、2次元的に整列させることができる。例えば水溶液表面
れ、高度な機能が実現されていることがわかる。自然界において
にpoly-1-benzyl-L-histidine薄膜を形成してフェリチン分子を自
多彩なナノ構造がタンパク質の自己集合によって作られている
己集合させ、基板に転写することで、高品質2次元結晶がシリコ
事実は、従来の限界を破るナノ構造構築に向けた方向性を示唆
ン基板上で実現できている。1)
している。またタンパク質が持ちうる形態・機能の多様性、遺伝
情報による設計可能性は、デバイス作製における工学的アプロ
4. 単一ナノドットの基板上へ任意配置
ーチと高い親和性を持っている。無論、遺伝子コードによるタン
デバイス応用では、複数ドットの配列だけでなく、単独のナノド
パク質高次構造の設計や機能発現には未解明の部分も多いが、
ットを基板上の任意の位置に配置することも重要となる。著者
近年この分野は目覚ましい発展を遂げている。
らはこれを、基板とフェリチン間の局所的静電相互作用を利用
このようにタンパク質はナノ構造構築への規格部品として魅力
して実現している。具体的には中性溶液中で負に帯電するSiO2
的であるが、一方、現実の電子・光学用途で要求されるのは、依然
表面に、正に帯電するアミノ基修飾のナノパターンを作製し、負
として半導体や金属等の無機材料が主である。そこで著者らは、
に帯電するフェリチン分子をアミノ修飾面に配置した。溶液中
図1に示すように、まずタンパク質に無機材料を担持させて複合
の静電相互作用はパターン形状やDebye長により大きく影響を
図1 バイオナノプロセスによる無機ナノコア形成、自己組織化配列、デバイス化の概念図
14
2006, 3-4
P14-15 06.3.10 17:38 ページ 15
Nanotechnology
図2 アミノ修飾パターンに接近する
フェリチン分子をとりまく電位
分布の一例
受けるため、まず選択的に
一で高密度なドット配置が可能となる。著者らは導電性のCoコ
単一フェリチン分子が配置
アを導入したフェリチンを作製してメモリ素子への応用を試み
できる条件を、数値計算に
た。ゲート領域のトンネル酸化膜上にCo-フェリチンを配置し、
よりシミュレートした。はじ
外殻タンパク質を除いてさらに制御酸化膜層で埋め込んだ。図
めに溶液内電位分布を求
4は埋め込まれたドットの断面TEM像、および作製したメモリ素
めた。電位分布はフェリチ
4)
子のId-Vg特性である。
ン/基板の表面電荷とイオ
ドットのない素子では通常のFET特性が見られたのに対し、Co
ン分布で決まるが、これは
ドットを配置した素子では明確なヒステリシスを有するメモリ
半導体内のキャリア分布と
動作が観測された。これは生体分子を応用して作製したナノ構
同様、Poisson-Boltzmann方
造が、電子デバイスして機能することを初めて実証した結果で
程式により支配される。
ある。
図 2は、フェリチン分子を
15nm径の修飾パターンに
6. おわりに
接近させた際の電位分布
ナノ領域の電子デバイスには、ドット以外にもナノスケール配線
を計算した結果の一例で
への要求がある。この用途にはチューブ状タンパク繊維、例え
2)
図3 Si基板上に配置された単一フ
ェリチン分子のSEM像
ある。この電位分布とvan
ばタバコモザイクウイルス等が応用できる。ここでも外部タン
der Waals相互作用からフ
パク質の機能・形状の設計可能性は、実際の回路網を形成する
ェリチン-基板間相互作用
上で重要な役割を果たすであろう。バイオナノプロセスの開発
を系全体の自由エネルギ
はまだ始まったばかりであるが、加速度的に発展するバイオテク
ー変化として算出でき、フ
ノロジーを活用することで、半導体デバイスの技術領域を飛躍
ェリチン吸着過程のポテン
的に拡大する可能性を秘めている。
シャル障壁を見積もることができた。計算によると、溶液pH7、
イオン強度0.5mM、修飾パターン径15nmとしたとき、パターン
上記は松下電器産業(株)先端技術研究所および奈良先端科学
直上に選択的単一分子配置が可能なポテンシャル障壁の低い
技術大学院大学 冬木研究室のメンバーとの共同研究による成
領域が現われた。実際に、熱酸化膜上にアミノシラン化合物:3-
果で、ここに感謝の意を表す。本研究の一部は文部科学省リ
aminopropyltrieth-oxysilane (APTES) の蒸気法修飾によりナノ
ーディングプロジェクトとして実施した。
パターンを作製し、上記条件で吸着実験を行ったところ、図3に
示すように格子状に配置されたほとんどのAPTESパターンで単
2)
<参考資料>
一フェリチン分子の吸着が確認できた。 一方下地SiO2上への
1) I. Yamashita: Thin Solid Films 393, 12 (2001).
吸着は見られず、高い選択性が得られている。フェリチンの外殻
2) S. Kumagai, et al.: Appl. Phys. Lett, in press.
タンパク質部分は後工程で選択的に除去できるので、ナノドット
3) S. Yoshii, et al.: Jpn. J. Appl. Phys. 44, 1518 (2005).
1,3)
だけを残して利用できる。 この結果は、適切に設計した局所
4) A. Miura, et al.: Jpn. J. Appl. Phys. 45 L1 (2006).
的静電相互作用を利用することで、目的とするナノ
領域への単一フェリチン分子、さらには単独ナノドッ
トの選択配置が可能であることを示している。
5. フローティングドットメモリ素子
次世代のフローティングメモリの候補として、ナノ
ドットを活用したメモリ素子が期待されている。ド
ットを電荷保持に利用するには、高密度のドットを
形状やサイズ・分布状態を均一に制御して作ること
が重要となる。ここで球殻タンパク質を利用すると、
粒径の過大化やドット間接触を防ぐことができ、均
3-4, 2006
図4 Coドットメモリ素子のTEM像および動作特性
15
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MEMS
MEMS慣性センサ (加速度センサ、角速度センサ) の概説
M.T.C 代表取締役社長 徳永 博司
■はじめに
てきている。アナログデ
加速度、角速度は振動や回転動作により日常的に体感できる力
バイセズ社は、携帯電話
学量であり、物体の運動を把握するために必須の物理量である。
機メーカーの要求価格
近年MEMS加工技術の進歩により、加速度センサ、角速度セン
「3軸品で1米ドル」に対し
サのMEMS慣性センサの製品化が促進されている。例えば、ハ
て新プロセス技術で対
ードディスクの落下検知やディジタルカメラの手ぶれ防止など、
1)
応するという。
小型化、軽量化の効果により従来不可能であった箇所への搭載
ピエゾ抵抗型;ピエゾ抵
が実現し、電子機器の高機能化に貢献している。
抗型加速度センサは、
本稿では、入門者向けに加速度センサおよび角速度 (ジャイロ)
印加された加速度に対
センサの概略を解説する。
応したひずみがピエゾ
■慣性センサ市場予測
抵抗に加わり、抵抗値が
図-1は、携帯電話向け慣性センサの市場予測である (YOLE
変化する性質を利用し
DEVELOPPMENT社)。2008年には加速度センサの搭載は対前
ている。特徴として、①3
年度比2倍以上の飛躍的伸びを示す。加速度センサはモーショ
軸加速度センサが得ら
ンによる操作、角速度センサはカメラの手ぶれ防止用途やGPS
れやすい ②検出回路が
補完機能用として用いられる。携帯電話用角速度センサは2008
簡単である ③小型化に
年ごろから本格的に立ち上がると予想されている。
適していること、などが
図-2 2軸加速度センサ
アナログデバイセズ社ADXL
あげられる。最近多くの
国内メーカー (北陸電
気工業、日立金属、富士
通メディアデバイス、沖
電気など) からこのタイ
プの加速度センサが製
図-3 ピエゾ抵抗型 3 軸加速度センサ
構造図
品化されてきている。
図-3に代表的な3軸加速度センサの構造図を示す。SOIを微細
加工したフレーム部、錘部、ビーム (梁) 部の3つの部分から成
図-1 慣性センサ市場予測
っている。フレームから伸びる4本のビームで支えられている錘
は可動であり、4本のビームはSOI基板の活性層で形成されて
■加速度センサ
いる。ビーム上には予めイオン注入などによりピエゾ抵抗が埋
動作原理には1)静電容量型 2)ピエゾ抵抗型 3)圧電型 4)熱検知
め込まれている。(具体的には、PNジャンクション領域をピエゾ
型、FET動作型などがあるが、ここでは静電容量型、ピエゾ抵抗
抵抗として使用している) 加速度印加により錘部が変位し、ビ
型、FET動作型について概説する。
ームに歪が加わり、この応力によりピエゾ抵抗の抵抗値が変化
静電容量型;加速度印加により可動部が変位して生じる静電容
する。抵抗値の変化を図-4で示すブリッジ回路の出力電圧とし
量の変化を電圧に変換している。アナログデバイセズ社の櫛歯
て取り出している。3軸加速度センサの場合、x軸、y軸、z軸の各
型表面MEMSが主流である (図-2)。表面MEMS技術はIC回路
軸に対してR1からR4までの4つの抵抗でブリッジ回路が3組構
製造プロセスとの整合性がよく、モノリシックタイプのMEMS
成されている。
加速度センサが作りやすい。最近では高温アニールが必要な
z軸用ピエゾ抵抗は、x軸またはy軸用ピエゾ抵抗と同一のビー
POLY Siプロセス (iMEMS) から、SOIを用いたプロセスにより
ム上に形成されている。z軸方向加速度を検出する場合は、R3
集積回路の微細化に対応する新プロセスに移行する動きになっ
とR4を入れ替えている。これは、z軸方向の加速度の場合はR3
16
2006, 3-4
P016-017 06.3.10 17:41 ページ 17
MEMS
とR4に加わる圧縮と引
張り応力の組み合わせ
がx軸またはy軸の場合
とで正反対に成るため
製品化が進んでいるが、
ΔR/R=πI・σI+πt・σt
ΔR;抵抗変化分、R;ゲージ抵抗
角速度センサにも多軸化
πI、πt;ピエゾ抵抗係数
の動きが出てきている。
;
l 長手方向
σI、σt;応力 t
;横方向
である。
2005年7月にSONYが、圧
電型 1 軸角速度センサ 2
FET増幅型;FET構造の
ゲート直下の酸化膜を
R4 R3
Vout = − Vcc
R1+R4
R2+R3
個を1PKGに収めて2軸角
速度センサ (GSU-350)
除去し、ゲート容量を可
3)
を発表した。
変にする。加速度に応じ
一方、1素子で2軸の角速
検出用 2 軸ジャイロモジュール
てゲート容量Coxが変化
度が測定できる素子の開
『 GSU-350 』 (外形寸法 縦 7 ×
するために、ドレイン電
発も行われており、スペー
流の変化として捉えるこ
ス効率アップ、高性能化に
2)
図-6 SONY 2 軸角速度センサ手ぶれ
横7×厚さ1.3mm)
とができる。 他の加速
期待が寄せられている。
度センサが静電容量や
センサの融合;さらには、3軸加速度センサと2軸角速度センサな
図-4 ブリッジ回路
抵抗など受動素子として
4)
どを融合した5軸モーションセンサの開発も進められている。
働くのに対して、FET(能
動素子) 動作を原理とする。もともと増幅機能とセンサ機能が
■おわりに
一体化できているので、高感度化および小型化しやすいという特
以上、慣性センサ (加速度センサおよび角速度センサ) の概略に
長がある。今後、製品化に向けた開発に注目したい。
ついて解説したが、今後は、民生用に見られるような低価格版を
応用分野
追求する方向と、低価格追求よりむしろ高感度、高分解能などの
自動車用エアバック衝撃検知センサ、カーナビ用センサ、傾斜セ
性能を追求する方向の二極化が進むものと思われる。
ンサ、HD用落下検知センサ、盗難防止用振動センサ。
MEMS技術による慣性センサは、以上述べた2極化する双方の市
■角速度センサ (ジャイロセンサ)
場要求に十分応えられる素子として発展していくものと思われる。
動作原理
動作原理としては、振動
<参考文献>
型、回転型、ガスレート
1) 「CMOSとの混載で小型化 米Analog Deviceが先導」 日経マイ
クロデバイス2006年2月号 pp.42-45
型、光型 (サグナック効
果 ) などが あ るが 、
2) S.Buschnakowski, A.Bertz, W.Brauer, R.Schuberth, G.Ebest,
MEMS角速度センサと
T.Gessner "DEVELOPMENT AND CHARACTERISATION
しては振動型が多く使わ
OF A HIGH ASPECT RATIO VERTICAL FET SENSOR FOR
れている。図-5は振動型
図5 コリオリの力 (Fcx)
角速度センサの動作原
MOTION DETECTION" Transducers 2003 pp1391-1394
3) 「業界最小手振れ検出用2軸ジャイロモジュールを商品化」
理である。質量mの錘がz軸に沿って速度Vzで振動している場合、
SONY プレスリリース
例えばy軸周りに角速度yが加わると、X軸方向に 「コリオリの力
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/200507/05-036/
(Fcx)」 が発生する。コリオリの力による物体の変位を、圧電材料の
4) Yoshiyuki Watanabe, Toshiaki Mitsui, Takashi Mineta, Yoshiyuki
起電力や静電容量の変化として捉えることができる。コリオリの
Matsu and Kazuhiro Okada
力Fcx=2mVzωyから、角速度は、ωy=Fcx/2mvzとして求めるこ
"SOI MICROMACHINED 5-AXIX MOTION SENSOR USING
とができる。
RESONANT ELECTROSTATIC DRIVE AND NON-RESONANT
応用分野
CAPACITIVE DETECTION MODE" Transducers 2005 pp.511-513
カメラの手ぶれ補正用センサ、カーナビ用センサ、ヨーレートセ
ンサ、携帯電話のナビ補完機能用。
著者紹介:
(株)
富士通メディアデバイス出身、MEMSデバイス (主
■今後の動向
に加速度センサ)の開発を担当。2005年2月にMTC設立。MEMS
慣性センサ多軸化の動き;加速度センサの3軸化はすでに各社で
製品開発・量産化などのコンサルティング
3-4, 2006
17
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FPD Industry
「カラーTFT液晶ディスプレイ」(改訂版)の編集を終えて
株式会社日立ディスプレイズ 主管技師長 川上 英昭
思えば 「カラーTFT液晶ディスプレイズ」 の初版は1996年に発
大きさは余りに有名な話である。液晶による光シャッタ方式は
行されました。この当時、液晶あるいはLCDの入門書への要望
このときに始まると言える。この表示モードは動的散乱モード
があり、SEMIスタンダードFPDテクノロジー部会が編集委員会
(DSM: Dynamic Scattering Mode) LCDであった。Dr. G. H.
を組織して、その部会に関わった多くのメンバーのご支援、ご尽
Heilmeierはこの功績により2005年京都賞を受賞された。
力によって、発行できたことを思い出します。筆者も監修者とし
この 後 、GH (Guest-Host) LCDが 1968年に 、ECB (Electrically
てメンバーの一人でした。今日までの10年に亘って、液晶ディス
Controlled Birefringence) LCDが1970年に、これはVA (Vertically
プレイ (LCD) の入門書として、初心者から第一線の技術者、
Aligned) LCDを含むものであった。TN (Twisted Nematic)
管理者までに好評を得てきたことは、技術進歩が著しい中で大
LCDが 1971年に、くし歯電極 (Inerdigital Electrode) 方式が
変幸いでありました。
1973年に、とさまざまな表示モードが相次いで発明された。この
しかし、この10年間のLCDの進歩が目覚しいことは周知の通り
中から、TN LCDがLCD事業の主流になった。その後の10年、20
であり、この2、3年は、現状を捉え今後に繋がる改訂版への要望
年を経て、1990年代に、視野角拡大の視点から表示モードが見
が寄せられていました。それに応えるように、今回は、初版の編
直されることになった。そこには、"温故知新"の云われがあり、
集に携わった一部の方々に賛同・参加していただき、さらに新規
それを表1にまとめてみた。
の委員の方々に加わっていただいて、SEMIジャパンにカラー
表1 FPDにおける温故知新の例
TFT液晶ディスプレイ改訂版編集委員会を組織しました。委員
および関係者の多大なご支援、ご尽力をいただいて、2005年10
月に改訂版の編集を終え、発行するに至りました。多大な労力
年代
LCD TN →
モード
を惜しまなかった編集委員および関係者の皆様に、編集委員
ECB →
長として深く謝意を表します。幸いにも、昨年10月に開催された
FPD International 2005での発売を機に、時宜を得た入門書との好
評をいただき、肩の荷が軽くなった思いでおります。ここに編集
後記として、編集の過程での思い等を雑文にまとめました。
今回の編集作業の中で、"LCDの歴史"の扱いをいかにするか、
多くの意見、議論のあったところです。LCDには多様な側面があ
'70年代
AMD
&
TFT
'80年代
'90年代
'00年代
TN →
STN →
TN →
STN →
VA →
MVA, PVA → MVA, PVA
TN
STN
Inter Digital → (FLC) →
IPS →
IPS
AM-LCD
AM-LCD
AM-LCD
CdSe
a-Si, (p-Si)
a-Si, p-Si
AM-OLEDの
Backplane
?
TN : Twisted Nematic STN : super Twisted Nematic ECB : Electrically Controlled
Birefringence VA : Vertical Alignment MVA : Multiple-domain VA PVA : Patterned VA
Inter-Digital : Inter-digital Electrode IPS : In-Plane Switching FLC : Ferroelectric Liquid Crystal
り、それを捉える視点によって、見解が分かれたり、強調すべき
ところに違いがでてきます。これは調整すべきものとも考えない
TN LCDは、小型数字表示器として1970年代に実用化されて
し、かといって各々の視点で書き並べるような訳にもいかず、お
以来、着実に進化してパソコン用ディスプレイに用いられ、AM
よそ無難に、サワリだけが残ったと思われます。これに反するこ
LCDの表示モードとして確立し、さらに光学フィルムの進歩と相
とですが、ここでは敢えて"LCDの歴史"からの教訓として、「温故
俟って、将来も見込める勢いを継続している。
知新」 の側面を私見として述べてみます。
広視野角液晶に注目すると、VAモードは、'70年代のECBモー
ドとして単純マトリックスLCDの研究対象であった。'80年代
には、単純マトリックスLCDとして、STN LCDが主流になっ
この10年間に起こったLCDの技術革新の中で、特筆すべきこと
たが、これに対抗する一つとしてVAモード技術が刷新された。
の一つに、視野角拡大の課題に対して数種の表示モードを有す
この時点で位相差フィルムとの組合せでVAモードの実用化
るLCD技術が確立されたことを挙げることができる。次に、それ
が図られた。この'80年代のVAモードが原点となり、光学フィ
らの表示モードの発展の歩みを振り返る。
ルムの新技術と相俟って広視野角LCDとしてのMVA、PVA等
LCDの始まりをどこに見るかは論のあるところである。1960‐
が'90年代に開発されるに至ったと解釈できる。
1970年代を顧みると、LCDの発明は1962年に米RCA Lab.のDr.
IPSモードに関しては、'70年代のくし歯電極構造のLCDに端を発
G. H. Heilmeierのグループによる。この発明から数年後の1968
し、FLC (強誘電性液晶) の分子挙動を実現するものとして、
年にLCDの発表・デモがあり、それがLCD開発に与えた衝撃の
1989年にIPS NLC (In-plane Switching Nematic Liquid Crystal)
18
2006, 3-4
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FPD Industry
として発明され、'90年代に実用化されて、今日まで発展してきた。
レッシングに特有の技術を必要としたためである。これは、当然、
この間を支えたのは、液晶科学の著しい進歩と材料の革新によ
駆動用LSIによって実用化された。その後、ディスプレイ・コン
るところが大と考えている。現在では、1997年9月に設立された
トローラの進展とともに、ドライブ・エレクトロニクスとのイン
日本液晶学会が、液晶産業の基盤形成を継続して支えている。
ターフェイス技術が確立され、さらに進歩している。そこに、動
一方、AM LCDのバックプレーンであるTFT技術に目を転ずる
画表示の駆動技術が開発・確立された。これをハード技術で実
と、1960年代に米RCA Lab.のDr. P. K. Weimerらのグループ
現し、続いてソフト化の動きが続いている。そこに、TV表示画像
によって研究開発が推進され、1971年に米RCA Lab.のDr. B. J.
の画質向上のためにビデオ・プロセッシングが登場し、LCD駆
LechnerらのグループからAM LCD方式が提案された。この中
動技術との融合が始まった。ドライブ・エレクトロニクスからビ
には、TFT LCDだけでなく、MIM LCDの原型とも言える 「ダ
デオ・プロセッシングまでの一貫した、広い意味でのディスプレ
ブルスレッショルド・ダイオードアドレス液晶方式」、 PALC
イ・エレクトロニクスの分野が形成されている。これを、従来の
(Plasma Addressed LC) の原型と言える「プラズマ・アドレス液
概念ではLSIの分野あるいはTVの分野と捉えて済ます傾向も
晶方式」 も含まれていた。TFT LCD方式のコンセプトにはす
ある。しかし、筆者にはディスプレイ分野の一つとして確立され
でに次の4点が含まれていた。
ていくものと確信できる状況であり、FPD技術のコアと捉えて正
(1)ビデオ信号を制御できる。すなわち、連続的に振幅変調できる。
面から取り組む必要があると考えている。
(2)しきい値を制御できる。AM LCDといえどもバイアス値がある。
過去の例を挙げると、前述したように、AM LCDのコンセプトは
(3) 信号を1フレーム期間中は保持できる。
1971年に提案され、これはLCD駆動の基本と認識されて、こ
(4) スメア (筋ムラ) を回避できる。
の技術概念は現在の TFT LCDの中に生きている。また、
1973年に単純マトリックスLCDの駆動方式が提案されて、約
この4点に対し、電圧振幅変調、信号書込み、保持、およびリセッ
10年後にSTN LCDの出現によってその実用期を迎えたこと
ト機能を具体的に提案していた。この中のリセット機能を除い
に思い至る。
て、3点は継続して基本の機能となっている。さらに、交流駆動法
最近の例の一つに、AM OLEDでは、ドライブ・エレクトロニ
を提案しており、これは実用上の必須の機能になっている。
クスからビデオ・プロセッシングまで一貫したディスプレイ・エ
その後、20年近くを経て、a-Si TFTの出現によって、'80‐'90年
レクトロニクスが研究されている。これは、すでに、開発された
代にTFT LCDの著しい進歩を成し遂げて、今日を迎えている。
LCDのドライブ・エレクトロニクスからビデオ・プロセッシング
この間、p-Si TFTも確実に進歩し、今日では中小型LCDが主
までを含むデジタル・ディスプレイのコンセプトをベースにして
に実用化されている。また、有機ELでのAM OLEDの研究開
いる。LCDとのアナロジーを出発点としたディスプレイ・エレ
発が現在活発化し、将来に亘って、そのバックプレーンにどのよ
クトロニクスの研究が、将来のAM OLEDの基本方式を導出
うなTFTが開発されるか、重要な時期に直面している。
することは容易に推測できる。
このように、"温故知新"の観点から私見を述べてきたが、その根
「カラーTFT液晶ディスプレイ」 の初版においては、TFT技術
底には液晶科学、薄膜およびデバイス技術等の進歩に支えら
をa-Si TFTに絞って解説した。改訂版ではその方針を継続す
れ、そのときのニーズに導かれて、新技術が市場に登場していく
ることを確認し、a-Si TFTを主にした。その一方では、低温ポリ・シ
様子が見えると思う。本著の中では、技術の解説を主としたが、
リコン (LTPS) TFTの存在も大きくなっており、新たな解説を加
産業史、科学史の議論が啓蒙に有益であり、より広い視点から
えることにした。しかし、多くのページを割くこともできず、概略
LCDの歴史を語られることが望ましい。
程度の内容であり、p-Si TFTの解説を期待する方々には不満の
また、改訂版では、LCD TVの新技術として、動画表示技術の
残るものとなった。この不足の部分は次の企画に委ねたい。
解説を加えた。その中には、駆動技術として、オーバー・ドライブ
技術およびバックライト駆動技術を含んでいる。最近では、筆
者も原点に戻って、ディスプレイ・エレクトロニクス (Display
終わりに臨み、この改訂版が今後10年、入門書としての役割を
Electronics) の学会活動に参加する機会が増えている。この折
果たせるか、予測は困難ですが、期待したいとの思いもあります。
に最近の動きを補足してみたい。
しかし、技術の進歩はその速度を早めており、今後の10年に大
LCDは代表的なFPDであることは言うまでもないが、ディスプ
きな技術革新を期待したいと強く思っております。その際には、
レイ・エレクトロニクスの視点からは、代表的なデジタル・ディ
再改訂版ではなく、新版が編集、発行されることを期待し、ディ
スプレイと見える。振り返ると、ディスプレイ・エレクトロニクス
スプレイの今後の大いなる発展に確信を持ち、編集後記といた
は駆動 (Drive Electronics) から始まった。マトリックス・アド
します。改めて、この改訂版の関係者の皆様に深謝いたします。
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Topics
開発秘話:MEMS用シリコン深掘りエッチング装置の開発
住友精密工業株式会社 代表取締役社長 神永 晉
MEMS - Micro Electro Mechanical Systems (微小電気機械システ
発の大きな推進力となったと言われている。
ム)−とつきあうようになってから、かれこれ20年になる。それ以
このボッシュプロセスと呼ばれるDRIE技術は、シリコンのエッ
前の1970年代初めから、半導体製造プロセスを用いてシリコンで
チングと保護膜のデポジッションを交互に繰り返すことにより
機械的部品の製作を手掛けていた方々は日本の内外におられる
高アスペクト比の溝を形成するもので、塩素系の腐食性ガスを
が、"MEMS"という言葉が米国を起点として一般的に使われるよ
使わず、クライオプロセスを必要とせずに室温でシリコン深掘
うになったのは1987年ごろと言われる。その当時の米国の動き
りを可能とすることを特徴とし、MEMSの3次元構造を製作す
に触発され、センサー等のMEMSデバイスの開発を思い抱きな
るための強力な微細加工技術となった。
がら、1990年前後にMEMS用の微細加工プロセス技術の開発を
試みた。
1995年以降、このボッシュプロセスに基づきSTS社が世に出し
たICP (Inductively Coupled Plasma) によるシリコン深掘り技術
当初、小口径 (2∼4インチ) 用のウェーハ工程一貫プロセス装置
は、デファクト・スタンダードとしてMEMS業界に受け入れられ
(リソグラフィから成膜・エッチングを含む) を開発し、大学や企
た。この高速エッチング技術により研究開発のみならず製品生
業の研究所向けへの販売を試みると同時に試作請負を試みた
産をも計画することが可能になったことから、ユニークな3次元
が、大きな事業とはならなかった。最近のMEMS向けファウンド
構造を持つMEMSデバイスを設計する客先が次々に現れ、そ
リサービスの動きを見るにつけ、時期尚早であったかとの思いを
れを実現するための新たな要求に応える深掘り技術が求めら
禁じ得ない。そのような試みの過程で、英国で研究開発用に特
れた。我々はそのような要求を満足するために、基本的なボッ
化したプラズマプロセス装置を製造販売していた中小企業であ
シュプロセスに更なる機能を開発して追加し、ASE (Advanced
るSurface Technology Systems (STS) 社の製品の日本向け販売
Silicon Etch) 技術として集大成している。結局のところは、生
を手がけた。
産性を高めるためにエッチレートを大きくすることが至上命題
ほぼ同時期に、シリコン深掘り
となるが、並行して、側壁垂直度に代表される形状制御の維持
技術 (DRIE:Deep Reactive Ion
向上、側壁の表面粗さの維持向上、レジストに対する選択比の
Etch 図1) を開発・特許化した
維持向上、均一性の維持向上、さらにはSOI基板の酸化膜界面
ドイツのRobert Bosch社が、そ
におけるサイドエッチ (ノッチング) 防止等々の新機能を付加
の基本プロセスを具体化する装
してきた。これらの技術により、シリコン深掘りを可能とした基
置メーカーとしてSTS社をパート
本的なDRIE技術から、複雑な3次元構造を持つMEMSデバイ
ナーに選択し、DRIE技術の共
スを製品として生産することを可能とするASE技術に至るまで、
同開発を進めることになった。
ユーザーの新たな要求を満足するものとしてその機能を高めて
MEMS用の微細加工プロセス
きた。この技術を世に出して以来、新しいMEMSデバイスの開
技術の開発を推進していた当
発を目指す多くの客先との間で、我々が提供する深掘り技術へ
社は、すでに日本向け販売で良
好な関係を確立していたことも
図1 Si深掘りエッチング例
高アスペクト比トレンチ形成
(1.5um幅×80um深さ)
あり、STS社を1995年に買収し100%子会社として傘下に納めた。
の客先からのフィードバックおよび更なる要求、それを開発課
題として我々サイドにおける更なるプロセス技術の開発という
繰り返しでレベルを高めてきた。
買収成立後直ちに現地に乗り込み、英国人経営幹部とともに会
社経営およびDRIE技術の開発とその装置製品化を進めた。1995
数々の国際会議でも、この10年間のMEMSの目覚しい発展は、こ
年に世の中で最初のMEMS用シリコン深掘り装置が出荷された
のSTS社によるシリコン深掘り技術の貢献によるものと言っても
が、期せずして欧州・米国・日本へほぼ同時期に納入された。
過言ではないと言及されることが多いが、この間のエッチレート
従来の半導体製造プロセスにおけるRIEによるエッチング速度
の進化を見ても図2にあるような大きな進歩を見せた。MEMSデ
の数倍の速さで、バルクシリコンに高アスペクト比の溝を形成す
バイスの場合は開口面積の大きなデバイスの加工を必要とする
るこの技術は、ユーザーを驚かせ、その後のMEMSデバイス開
場合が多いが、ボッシュプロセスに立脚したASE技術は、半導体
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2006, 3-4
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Topics
有しながらも公開会社とした。2001年のピーク時には、当初の10
倍以上の売り上げを達成し、従業員400名近い規模の企業とな
り、地元からも大いに歓迎された。この間、STS社と当社の間で、
技術者同士の交流、共同開発、等々を試み、言葉や文化の違い
に戸惑いながらも相互交流を深め、2001年以降は日本国内のお
客様のご要望に応え、迅速な対応を図るため、当社で国産した
装置を日本市場で納入している。
過去10年を振り返ると、欧州・米国・日本・アジアのMEMSに関
図2 Si深掘りエッチングレート向上の歴史
わる主要大学や企業研究所のほとんどに装置を納入し、業界デ
ファクト・スタンダードとして、皆さんに使っていただきながら、
新しく出されるご要求が我々にとっては次の開発課題となって
きた。特に日本のお客様の試みが、欧米に比べて広範囲のアプ
リケーションを目指しているケースが多く見られ、STS社を含め
た我々の開発課題設定において重要な役割を果たしてきた。
深掘り技術性能の飛躍的向上により、その用途が拡大し量産に
供される分野が増加している。既に量産体制にある自動車用各
種センサー、インクジェットプリンターノズル、ディスプレー等に
加えて、現在DRIE技術を使用していないMEMSデバイスでも、
その機能・性能向上の要求からDRIE技術を使用する動きが顕
在化している。また、DRIE技術をその源にある半導体分野へ還
図3 ASE装置Pegasus
流させ、パッケージングやパワーデバイスの分野でも、我々の最
新技術が取り入れられている。
製造プロセスに使われてきた従来技術による深掘りに比して大き
DRIE技術を初めて市場に提供し、その進展の先頭に立ってき
な力を発揮する。昨年発表した量産用ASE装置"PEGASUS"(図
た我々は、MEMS製品の開発が広まるに連れ増加している客先
3) は、過去 10年に亘るシリコン深掘り技術の集大成として、
の多様なご要望に応えるため、MEMS加工技術の品揃えを拡大
MEMSデバイスの量産ラインに供する最新鋭機である。MEMS
している。現在、シリコン深掘り装置以外にシリコンの犠牲層ド
デバイスにとどまらず、パッケージング用途など3次元加工を必
ライエッチング装置、酸化膜の犠牲層ドライエッチング装置、レ
要とする各種分野に順次導入が進んでいる。
ーザー加工装置および基板の薄板化用装置を提供している。
DRIE技術の特質を生かして、MEMSデバイスとして、シリコンジ
STS社は、1995年に傘下に納めた当時は従業員70数名の研究開
ャイロの開発も英国大手企業との合弁会社で手がけており、す
発型の小企業であった。英国ウェールズの炭鉱地帯の谷あいに
でに大量生産のレベルにある。MEMSの潜在的な用途は膨大
あり、建屋も古く、固定資産の価値はほとんどゼロに等しいもの
である一方、それぞれのデバイスに固有の加工プロセスを必要
であった。当時の日本における一般的な価値基準から言えば、買
とするという点はMEMSの魅力でもありまた大きな課題でもあ
収を決断するのは非常に難しい状況ではあったが、潜在的な技
るが、その観点から、微細加工プロセス装置事業に必要な技術
術とそれを支える研究者・技術者集団に投資するという観点か
開発とデバイス生産による量産検証の相乗効果も期待している。
ら敢えて買収に踏み切った。完全子会社とした後、業容が拡大
する見込みがある程度立ったことから、新工場の建設プロジェク
MEMS産業発展のための業界のお手伝いにも関わっているが、
トに着手し、地元政府が研究開発型企業のために計画した工業
MEMS産業発展のキーのひとつは、「MEMSデバイス」 開発・
団地に新建屋を建設し、1998年には、チャールズ皇太子 (Prince
製作者と 「MEMS加工プロセス技術」 開発・提供者、さらには
of Wales) のご来臨を得て竣工式を開催した。その後、2000年にロ
「シーズ開発の役割を担う」 大学との相互の共同作業にあり、
ンドン 証 券 取 引 所 の 新 興 企 業 向け 市 場 AIM (Alternative
それぞれの用途に応じた開発とそれに基づく事業化の実績を
Investment Market) に上場し、親会社として過半数の株式を保
一つひとつ作り上げていくことが必要であると感じている。
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Topics
技術紹介:汎用原料を用いた新型薄膜太陽電池
長岡工業高等専門学校 電気電子システム工学科 教授 片桐 裕則
1. はじめに
2. CZTS薄膜の作製
太陽から降り注ぐ無尽蔵の光エネルギーを利用した太陽光発電
我々は、硫化法によりCZTS薄膜を作製しています。これは、真空
は、クリーンな再生可能エネルギーであり、地球温暖化防止の観
製膜装置を用いたCu-Zn-Sn-S系のプリカーサの作製とその後
点から大きな期待が寄せられています。現在、最も一般的な太陽
の硫化水素雰囲気中での熱処理による硫化の二段階作製法で
電池はシリコン結晶系で構成されています。これは、トランジス
す。従来は、真空蒸着による積層プリカーサを用いていました2)。
タからLSIへと劇的な進歩を遂げたシリコンテクノロジーのおか
現在は、三元同時スパッタ装置による混合プリカーサを用いてい
げです。しかし、太陽電池応用の観点からは、素材としてのシリ
ます3)。三個のターゲットには、Cu、ZnS、SnSを用いています。基板
コンに100点満点を与えることはできません。シリコンの光吸収
には、安価なソーダライムガラス (SLG) を用いています。各ターゲ
3
-1
係数は10 cm 台であるため、太陽光線を十分に吸収させるため
ットに加えるrf 電力を独立に制御することにより、スパッタされた
には数10μmから100μm程度の厚みが必要となるからです。
混合プリカーサ内の金属組成比を調整します。次に、混合プリカ
これまで、かなりの厚さを持つシリコンウェハーがそのまま太
ーサをアニール室に搬送し、N2+H2S反応ガス雰囲気中で熱処理
陽電池として用いられてきたのは、この理由によります。したが
することによりCZTS薄膜を作製します。
って、シリコン結晶系太陽電池を量産しようとすると、極めて多
プリカーサ作製時には、各rf電力・スパッタガス圧力・基板温度・
量の高純度シリコンが必要となることがわかります。
スパッタ膜厚などが、また硫化時には、硫化水素濃度・硫化時基
このような背景のもと、2005年8月10日付で、昭和シェル石油よ
板温度・硫化時間・昇温レート・下降レートなどがパラメータと
り 「次世代型CIS太陽電池 商業生産に関するお知らせ」 がプレ
なります。
1)
スリリースされました 。CISとは、主原料である銅 (Copper)、インジ
ウム(Indium)、セレン(Selenium) の頭文字をとった薄膜系の太
3. CZTS薄膜の特性
陽電池の名称です。CISの化学式はCuInSe2となります。CISでは
図1に、 硫化時の硫化水
4
5
-1
光吸収係数が10 から10 cm 台と極めて大きいため、光吸収層の
素濃度をパラメータとし
厚みを数μmとした薄膜太陽電池が構成できることになります。
たCZTS薄膜の光学特性
したがって、シリコン結晶系で危惧される原料不足問題に影響さ
を示します。同一バッチ
れることがありません。まさに、CISは次世代型薄膜太陽電池の
で作製した混合プリカー
最有力候補であるといえます。
サを、4種類の硫化水素濃
しかし、CISは希少元素であるインジウムを構成元素として含ん
度雰囲気中で硫化処理し
でいます。将来の大量生産段階において、資源上の制約が気に
ました。硫化水素濃度が
なる所です。産総研によると、CIS薄膜太陽電池を年間1GW生
5%と低い試料では、高エ
産する際、インジウムは10から30トン必要になるとの試算がなさ
ネルギー側で光吸収係数
れています。これは、我が国のインジウムの総需要の10%程度に
が小さくなる傾向にあるこ
すぎないと言われています。しかし、今後の液晶事業拡大による
とがわかります。しかし、
ITO透明導電基板の需要増大や、それに伴うインジウム価格の
10%以上の試料ではほとんど差異が認められません。特に着目
高騰などの不安要因が存在することも事実です。人類は、化石エ
していただきたいのは、吸収係数の立ち上がりからすべての試料
ネルギーに対する極端な依存から脱却し、今、再生可能エネルギ
で禁制帯幅が約1.5eVであること、および基礎吸収端付近で
ーの積極的な利用を模索しています。太陽電池材料に関しても、
104cm-1台の大きな光吸収係数を有することです。一般に、光吸収
多くの選択肢を有する事が必要となります。そこで長岡高専で
層の禁制帯幅が小さいほど、長波長側の光感度が上昇するため、
は、CISの希少元素インジウムを亜鉛 (Zinc) およびスズ (Tin)
短絡電流が増加します。逆に、禁制帯幅が大きいほど、フェルミ準
で、セレンを硫黄 (Sulfur) で置換したCu2ZnSnS4 (以下CZTS) を光
位のずれ幅のマージンが広がることから、開放電圧が上昇しま
吸収層として利用する 「汎用原料を用いた新形薄膜太陽電池」
す。したがって、(電圧×電流) を最大にするために、光吸収層に
を研究しています。
は最適な禁制帯幅が存在するこがわかります。単接合太陽電池
22
図1 硫化水素濃度をパラメータとした
CZTS薄膜の光学特性
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Topics
の場合、最適禁制帯幅は1.4-1.5eVと求められています。CZTSの
5. おわりに
場合、この最適禁制帯幅に極めて近くしかも光吸収係数が大き
汎用原料を用いたCZTS系新型薄膜太陽電池について紹介させ
いことから、薄膜太陽電池の光吸収層として最適な光学的特性
ていただきました。特徴は、太陽電池に最適な光学特性と環境負
を持っていることがわかります。
荷の小さな材料だけで構成できる点にあります。現在、CBD-CdS
CZTS薄膜の組成を調査するために、ICP発光分析を実施しまし
に換わる新たな界面層の製膜プロセスの開発とCZTS薄膜の組
た。図2に、SLG上に作製したCZTS薄膜の硫化時の基板温度に
成制御に着目した実験を開始しています。現段階で、オール・ド
対する組成比変化を示します。S/Metal比に着目すると、基板温
ライ・プロセスで作製したCd-Free界面層との組み合わせで、
度580℃未満では十分に硫化されていないことが見て取れます。
5.74%の変換効率を確認しています。今後とも、長岡高専が発
信する最新データにご注目ください。
謝辞
本研究の一部は、NEDO革新的次世代太陽光発電技術研究開
発の受託研究として実施されたものです。新潟県中越大震災以
降、ながおか新産業創造センター (NBIC) および長岡技術科学大
学に研究スペースの提供をいただきました。関係者各位に感謝申
し上げます。
<参考文献>
1) 昭和シェル石油ホームページ
2) H. Katagiri, Thin Solid Films, 480-481(2005)426.
3) 木村、神保、上村、山田、ウイン、片桐、電子情報通信学会 技術研
究報告、CPM2005-153(2005).
図2 硫化時の基板温度に対するCZTS薄膜の組成比の変化
4. CZTS系薄膜太陽電池
図3に、CZTS系新型薄膜太陽電池の構造模式図を示します。下
部電極Moおよび窓層ZnO:Alの作製にはrfマグネトロンスパッ
タ法を用いています。界面層には、溶液成長法 (CBD法) によ
り作製したCdSを用いています。表面には、直列抵抗低減のた
めに、Al櫛形電極を蒸着法で形成しています。SLG基板上の合
計膜厚は5μm以下となっており、シリコン結晶系と比較して極
めて省材料で構成できることがわかります。
図4に、硫化温度をパラメータとしたCZTS系薄膜太陽電池の出
図3 CZTS系新型薄膜太陽電池構造模式図
力特性を示します。この特性は、疑似太陽光源であるソーラーシ
ミュレータ (AM:1.5, 100mW/cm2) 下で測定したものです。SLG基
板としてはほぼ限界の595℃という高い硫化温度で作製した試
料で、4.94%という変換効率が得られています。太陽電池の出
力は、(開放電圧×短絡電流×曲線因子) で決定されます。図4
のベストデータにおいても、曲線因子が0.52と低い値に留まって
います。この原因は、並列抵抗成分が520Ωと小さな値であるこ
Ω
Ω
とから、pn接合部の漏れ電流が大きいためであることがわかり
ます。したがって、プリカーサ作製条件ならびに硫化条件を最適
化することによるCZTS薄膜の高品質化と同時に、界面層を含
めた各層の最適化が必要となります。
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図4 硫化温度をパラメータとしたCZTS系薄膜太陽電池のJ-V特性
23
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SEMI Membership
SEMI新会員企業紹介
―日本で入会された会員企業をご紹介します―
■ 会社名 1)
所在地、連絡先 2)
代表者 3)
設立年度 4)
取扱製品
1) URL: http://www.tsurumi.co.jp
2) 代表取締役社長 久保山 純
5)
半導体/FPD製造装置・材料関連売上高
3) 1943年
■株式会社サンセー・インターナショナル・テクノロジー
4) 電子材料向け"超高純度”無機薬品 (液体・ガス) の製造販売
1) 〒399-8204 長野県安曇野市豊科高家1178-15
5) −
1) Tel: 0263-71-3511 E-mail: info@siti.jp URL: http://www.siti.jp/
2) 代表取締役 三浦 良晴
■株式会社トーヨーアドテック
3) 1994年5月
1) 〒104-0061 東京都中央区銀座6-16-12 丸高ビル
4) 半導体、FPD(LD/ULD)、電子部品製造装置の開発・製作・
1) Tel: 03-3542-1331 URL: http://www.toyo-adtec.co.jp/
2) 代表取締役社長 前田 哲郎
販売および基板統合搬送システムの開発
3) 2001年
5) 54億円
4) 半導体製造時の固定・保護用粘着テープ、電子部品搬送用
キャリアテープ、および半導体製造に伴う設備・部品の販売
■ JUKI株式会社
5) −
1) 〒182-8655 東京都調布市国領町8-2-1
1) Tel: 03-3480-4104 E-mail: webmaster@juki.co.jp
2) 代表取締役社長 中村 和之
■三菱化学株式会社
3) 1938年
1) 〒108-0014 東京都港区芝5-33-8
4) 工業用ミシン・家庭用ミシン・家庭製品 (家庭用ミシン・宝
1) Tel: 03-6414-3410 E-mail: 7108473@cc.m-kagaku.co.jp
飾品・健康関連商品・高級調理器具・家電品)、産業装置
1) URL: http://www.m-kagaku.co.jp
2) 代表取締役社長 冨澤 龍一
5) −
3) 1950年
4) 高機能洗浄剤 (Cu-CMP後洗浄剤・RCA代替洗浄剤)、電
■鶴見曹達株式会社
子工業用エッチング液、陽極酸化用化成液
1) 〒230-0045 神奈川県横浜市鶴見区末広町1-7
1) Tel: 045-503-7300 E-mail: info@tsurumi.co.jp
5) −
SEMIの会員制度と年会費
業種による4種類の会員区分
①正会員 (Corporate Member):半導体およびFPD関連業界に装置・材料、部品等を供給されている企業が該当します。
②準会員 (Associate Member):半導体およびFPDデバイスの設計、製造、販売に従事されている企業が該当します。
③賛助会員 (Allied Member):研究、教育、規制機構、協会・団体等が該当します。
④関連会員 (Affiliate Member):半導体およびFPD関連業界に出版、コンサルティング、保険、運送等のサービスを提供している企業が
該当します。
●会員の主な特典
・SEMIが主催、共催する展示会への出展
年会費(消費税込)
に際し、出展料の会員割引があるほか、
正会員
半導体・FPD関連売上高
準会員
賛助会員
関連会員
出展の優先権が得られます。
0∼6億円未満
¥231,000
¥115,500
¥86,625
・SEMIの出版物を購入する際に、会員割
6億円以上∼30億円未満
¥404,250
¥173,250
¥115,500
引価格が適用されます。
30億円以上∼120億円未満
¥1,155,000
¥519,750
¥288,750
・入会時に SEMIスタンダード集 (CD120億円以上∼600億円未満
¥2,310,000
¥57,750
¥750,750
¥404,250
ROM) を贈呈いたします。
600億円以上∼1,200億円未満
¥3,465,000 ¥1,039,500
¥577,500
・SEMIジャパンが発行している機関誌
1,200億円以上∼3,000億円未満 ¥5,197,500
SEMI News (隔月発行、和文) を無料で
¥1,617,000
¥866,250
3,000億円以上
¥6,930,000
お送りいたします。
●
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2006, 3-4
colum_表3 06.3.10 17:54 ページ 1
Colum
SEMI Newsコラム:天気予報
水野 修
この冬は寒かった。
次に、予想では競馬を思い浮かべれば十分であろう。競馬の
当初、気象庁の長期予報は暖冬ということだった。それがまる
予想がどの程度当るものか、私は知らない。しかし、これが当
で正反対となった。
るのなら競馬そのものがそもそも成り立たない。
聞けば、この寒冬は北極振動の影響という。北極の気圧が相
最後に、手相、占いは当るも八卦、当らぬも八卦。
対的に高くなれば寒気が下り易くなり、これが繰り返されるのだ
唯一、例外的に過去当ってきたものが世界の人口予測だそう
という。そのメカニズムが解明されておらず、寒い冬を予測
である。そしてこれは将来も当るだろうと言われている。その
することは困難だった、というのである。
今世紀の予測は人口爆発。不気味である。
予測が困難であるのに、なぜ長期予報を出すのだろう。
あとは技術的な予測について記したい。
これがシロウトの素朴な疑問である。
技術者の出す予測はまず当らない。かつて半導体の微細化の
現在は地球規模で温暖化の時代である。日本でも例えば日本
限界は1ミクロンと予測した人がいた。その予測が簡単に破ら
海沿岸地方では数十年前に比べて積雪量がずいぶんと少な
れると、その後も理論的に(!) いくつか限界が予測された。そ
くなっている。ということは、長期予報も暖冬ということにして
して全てが覆された。今では誰も限界予測をしない。
おけば十中八九は当るだろう。だから気象庁はそうした、とは
半導体のムーアの法則は過去の実績を未来に延長しただけ
思わないが、正反対の結果では少々意地悪な見方もしてみたく
で、予測とは言いがたい。
なる。
技術者はいつも目の前の課題解決に追われて苦労している。
先日、風邪で寝込んだ。寝ながら一日中テレビを見ていた。ニ
そのため、ちょっとした技術の飛躍がとてつもなく困難に思え
ュースのたびに天気予報もある。それを見ていて一つ気がつ
てしまう。そういう人種の予測が当るはずがない。
いた。翌日の天気予報が前日の朝と夕とで違うのである。翌
百年も昔、アメリカの特許庁長官が言った。19世紀までに主要
日の予報ですらこれである。これでよく週間予報を……と思
な発明はなされたので20世紀は特許庁が不要になる、と。人
うが、それだけではない。1ヵ月予報もある。そして長期予報。
間の予測能力などそんなものかもしれない。
昔から天気予報は当らないことの代名詞である。
これも少々古い話だが、戦前、各界の著名人にアンケート調査
天気予報は昔に比べて随分と当るようになったという話を聞
が実施されたことがある。テーマは、
いたことがあるが、にわかには信じられない。
《数十年後にどのようなことが実現されると予想するか》
しかし当らないのは何も天気予報だけではない。予報に限ら
というものであった。その答えの中で、最も荒唐無稽と思われ
ず、予測、予想、手相、占い、みな当らない。
たものは、
予測では経済予測にこんな話がある。
《人類が宇宙を飛ぶ》
経済企画庁の経済予測が当らないのを揶揄してある経済学者
というものだった。しかし、今になってみればこれが一番当っ
が言った。
ていた。この予測をしたのは漫画家だった。
「こんなに当らないのだから、経済企画庁は気象庁の隣に引っ
技術者もドラえもんのような発想が必要なのである。
越せ」
色々な過去の実績からすれば、最も当った予測は、荒唐無稽と
すると翌日抗議がきた。来たのは気象庁の予報官である。予
思われるような予測だった。つまり、夢のような予測である。
報官はデータを示し、このように当る確率が高いものを当らな
夢を持ちたいものだ。
いものと一緒にされるのは迷惑、というのである。これには件
荒唐無稽な夢を持ち、他人の批判など気にもかけずに邁進し、夢
の学者も閉口し、
を実現した人は多い。ただし、人の夢は合成すると儚という字に
「分かりました、今後、経済企画庁は気象庁からなるべく遠い所
なる。はかない夢と終わることが多いこともまた事実ではある。
に引っ越せ、と言うようにします」
はかない夢物語で終わるか、夢が叶うかは意志の強さに依存
すると予報官は、にこりともせず言った。
する。
「よろしくそのように願いたい」
夢は意志を持って叶えるものである。待っていて叶うものでは
そういう話をその学者自身から聞いたことがある。笑い話だか
ない。
らどこまで本当なのかは不明である。不明であるが、どうも気象
多くの若い技術者に夢のような技術を実現してほしいものであ
庁の感覚と私の感覚とは少しずれているようである。
る。日本の将来はそれしかない。株ころがしでは将来がない。
3-4, 2006
1
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2006年
1月8日(日)∼11日(水)
Industry Strategy Symposium(ISS)U.S.
カリフォルニア
1月11日(水)∼13日(金)
Strategic Materials Conference(SMC)
カリフォルニア
2月8日(日)∼10日(金)
SEMICON Korea
ソウル
2月28日(火)∼3月3日(金)
Global FPD Partners Conference
新イベント
SEAJ / SEMI
Industry Strategy andTechnology Forum(ISTF)2006
開催のご案内
万国津梁館 沖縄
3月21日(火)∼3月23日(木)
SEMICON China
上海
3月28日(火)∼3月30日(木)
FPD China
上海
開催概要
4月4日(火)∼6日(木)
・会期:2006年10月10日(火)∼11日(水)
SEMICON Europa
・会場:パシフィコ横浜 (横浜市西区みなとみらい)
ミュンヘン
SEMIは、半導体および半導体製造装置・材料の経営戦略セミナー 「ISS Japan」
5月9日(火)∼11日(木)
SEMICON Singapore
を1987年初回開催以来、毎年開催してまいりました。今般、SEAJ (社団法
シンガポール
と統合し、
両団体共同
人 日本半導体製造装置協会) 主催の
「SEAJ Forum」
6月12日(月)
・13日(火)
主催で、新イベントSEAJ / SEMI「Industry Strategy and Technology Forum
(ISTF)
」
を開催いたします。
ISTFは、半導体およびFPD業界に対して、より包括的かつ国際的な最新技
術情報、最新マーケティング情報の入手・交換および交流の場を提供す
SEMI FORUM JAPAN
グランキューブ大阪
6月14日(水)∼16日(金)
FPD Taiwan
台北
ることを目指します。両団体が協力してそのネットワークを駆使し、デバ
7月11日(火)∼13日(木)
イスメーカー、装置メーカー、部品材料メーカー、研究開発コンソーシアム、
SEMICON West
大学、地方自治体が一堂に会し、半導体およびFPD業界の更なる飛躍に
向けた議論を深める場、日本における業界最大級のフォーラムを実現し
ます。
サンフランシスコ
9月11日(月)∼13日(水)
SEMICON Taiwan
台北
9月25日(月)∼27日(水)
SEMI Expo CIS
モスクワ
10月10日(火)
・11日
(水)
Industry Strategy and Technology Forum 2006
パシフィコ横浜
(SEAJとの共同主催)
10月18日(水)∼20日(金)
FPD International
パシフィコ横浜
(主催:日経BP社 共催:SEMI)
10月31日
(火)∼11月2日(木)
SEMI Nano Forum 2006
サンノゼ
11月25日(日)∼11月8日(水)
International Trade Partners Conference
2006年
セミコン・ジャパン
ハワイ
12月6日(水)∼8日(金)
2月15日 2005年のシリコンウェーハ出荷面積・販売高を発表
幕張メッセ
*予定は変更される場合があります。
2日 7日 「GFPC (Global FPD Partners Conference) 2006」 開催迫る
1日25日 半導体プラスチックパッケージング材料市場調査結果
1日12日 SEAJ/SEMI 「Industry Strategy and Technology Forum 2006」開催
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SEMI News 3-4月号 2006年3月16日発行(隔月刊)
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