アーカイブ新聞 (2015 年 3 月 5 日 第 781 号) 国立天文台・天文情報センター・特別客員研究員 中桐正夫 *多天体分光器開発中の堂平観測所の Plate 発見 筆者は 1987 年頃「経天体同時分光器による星団構造の研究」という科学研究費一般研究 (C)を得て光ファイバーを使った多天体同時分光器の開発を行っていた。おそらく日本で 初めてのファイバーを使った多天体同時分光器の開発者であった。一応の結果は出したが、 その頃からハワイ島マウナケア山頂に建設した大型光学赤外線望遠鏡「すばる」の仕事が 忙しくなり十分な成果は残さなかった。その頃、この多天体同時分光器は東京天文台堂平 観測所の 91 ㎝反射望遠鏡の主焦点を使用するため、星団の星野写真を何枚か撮影した。そ の星野写真の乾板と分光写真などの写真乾板が出てきた。発見された天体写真乾板の一覧 が表 1 である。 多天体分光器で撮影するためのフィールド写真 撮影年月日 番号 天体名 α 19860316 No.1 τVir 14:00.9 19860316 No.2 M5 15:17.6 δ 1:37 2:03 露出開始 露出終了 27:51:00 exp:分 10sec 5 乾板 手札 手札 27:46:00 手札 手札 19860316 19860316 19860411 19860411 19860411 19860411 19860411 19860411 19860411 19860412 19860412 19860412 19860412 19860412 19860412 19860412 19860412 19860412 19860413 19860413 No.4 No.5 No.1 No.2 No.3 No.4 No.5 No.6 No.7 N0.8 No.9 No.10 No.11 No.12 No.14 No.15 No.16 No.17 13-1 13-2 M39 ハレー彗星 80Leo 80Leo M51 M21 M16 M29 M39 M50 M47 M48 M67 M83 M64 M101 M13 M23 M36 M67 21:31.0 19:54.3 11:25 11:25 13:29.3 18:03.9 18:00.0 20:23.5 21:31.7 07:02.4 07:36.0 08:13.0 08:50.3 13:36.2 12:56.1 14:02.7 26:50.0 17:56.1 05:34.4 08:50.3 48:20 -23:39 3:53 3:53 47:16 -22:30 -13:47 38:28 48:23 -8:20 -14:27 -5:46 11:52 -29:51 21:45 54:25 27:10.0 -19:01 34:08 11:52 28:50:30 29:03;03 28:58:30 29:05:33 5 3 24:35:00 25:41:00 26:27:00 27:15:00 27:34:00 20:26:00 20:40:30 20:49:00 21:57:00 22:20:00 25:06:00 25:39.0 :26:50 27:50:00 26:50.0 20:38 24:55:00 25:51:00 26:37:00 27:25:00 27:44:00 20:36:00 20:45:30 20:59:00 22:07:00 22:40:00 25:26:00 26:39 27:10.0 28:10 19:58 20:58 10 10 10 10 10 10 5 10 10 20 20 60 20 20 20 20 19860413 19860413 19860413 13-4 13-5 13-6 M81 M81 M101 09:54.5 09:54.5 14:02.7 69:08 69:08 54:25 22:03 24:43:00 26:58:00 24:03:00 26:42:00 27:58:00 120 120 60 多天体分光器 19881220 No.4(No.1) 19881220 No.2 19881220 No.3 19881221 No.4 19881221 No.5 19881221 No.6 19881222 No.7 19881222 No.8 Pleiades Pleiades αLeo Pleiades εCrv οVir 16Vir K1 Pleiades Pleiades 10991222 No.10 Pleiades 12:09.3 -22:33 12:04.5 8:48 12:19.8 3:22 ガイド メモ フォーカステスト、手札カメラ P.H.No.5 シャッター開かず シャッター開かず フォーカステスト、膜面剥がれ フォーカステスト 破損あり 103a-D 103a-D 膜面剥がれあり 大島 13:13(UT) 13:23(UT) 10 1N 13:24:40(UT) 13:29:40(UT) 5 103a-F C:10sec、B:20sec,D:40sec、E:5sec 5 103a-F B:30sec、C:60sec、E:120sec B:5min、C:10min、E:16Vir K1 4.96mag 20min E:20min 22:49:15 4 23:13:35 4 B:076155、E:076172 ミス 24:35:25 3 表 1 発見された 1988 年当時の星団・スペクトルなどの写真 多天体分光器で撮影するフィールド写真は、ファイバーをセットする堂平観測所の 91 ㎝ 反射望遠鏡の主焦点カメラで撮影した主にメシエ天体を撮った。写真乾板は 11.8x12.6 ㎝ の乾板と手札版(8x11.7cm)の乾板が使われた。写真 1 が 11.8x12.6 ㎝の乾板で撮影され たもの のである。写 写真 2 は手札 札版(8x11. 7cm)の乾板 板によるもの のである。そ そのうち 2 枚はフ ォーカ カステストで であり、2 枚はシャッタ 枚 ターが開かず ず何も映っていない。 ールド写真 写真 1 写真乾板 1 1.8x12.6 ㎝によるフィ ㎝ 写真 2 手札乾板に によるもの 天体分光器に によるスペク クトルも一応 応得られてい いて、それらが が写真 3 であ ある。 ファイバー多天 4 本のスペクトルを拡大 大したもの 写真 3 ファイバー ー多天体分光 光器によるスペクトル ー同時多天体 体分光器は日 日本で最初に に開発研究が が行われたも もので、科学 学研究 のファイバー この 費一般 般研究 C で採択されたものである。 。このように に同時に 4 天体のスペク 天 クトルを同時 時に撮 影するところまで ではできたが が、研究代表 表者であった た筆者は、ハ ハワイに建設 設した大型光 光学赤 望遠鏡「すば ばる」のプロ ロジェクトに に移りこの研 研究は沙汰や やみになった たが、ファイ イバー 外線望 同時多 多天体分光器 器の開発は能 能丸淳一氏が が新たに始め めたはずであ ある。筆者が が開発したフ ファイ バー同 同時多天体分 分光器はファ ァイバー5 本 本を使い、1 本はガイド用 本 用で 4 本をコ コンケイブグ グレー ティングを使った た分光器に導 導くものであ あった。写真 真 4 が 5 本の のファイバー ーの位置決め め部分 平観測所の 91 ㎝反射望 望遠鏡主焦点 に装着された。 で堂平 写真 写 4 ファ ァイバー位置 置決め駆動部 真 5 がコンケイブグレー ーティング 1 枚を使った た多天体同時 時分光器であ ある。写真 5 の左 写真 下の円盤がファイ イバーを差し し込む天体の の位置板であ ある。 写真 5 コンケイブグ コ グレーティン ング 1 枚を使った分光器 これら筆者が開発していたファイバー同時多天体分光器の関連機材は、筆者が「すばる」 建設のためにハワイ滞在中、総合情報棟(現在の南棟)建設のために保管してあった木造 の本館(二)が取り壊された際廃棄されてしまっていた。痛恨の限りである。 これらアーカイブ新聞の記事にお気づきのことがあれば、編集者中桐にご連絡いただけ れば幸いです。中桐のメールアドレスは、arcnaoj@pub.mtk.nao.ac.jp
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