第20回記念 市民環境活動報告会 講演要旨集 ~新たな飛躍~地球の明るい未来を目指して 平成26年3月1日(土) かながわ県民センター2階大ホール 第 20 回記念市民環境活動報告会実行委員会 第 20 回記念 市民環境活動報告会 ~新たな飛躍~地球の明るい未来を目指して 実行委員長 はじめに 柳川三郎 環境問題は、複雑化、多様化、深刻化の状況にあることから、市民レベルでの環境 活動は、よりその重要性をより増していると思います。 一言で「環境問題」と言いましても、その切り口は、大気、水、自然、廃棄物、エネ ルギー、化学物質、遺伝子、消費、食物、人口、貧困、健康、戦争など多様な問題を 抱えています。 これまでの日本における環境問題におきましても、経済の急成長に伴う公害問題な どから、昨今ではライフスタイルがもたらす累積された汚染や、国同士が影響し合う 地球規模の問題に変化しつつあります。 このような経過におきまして、過去の市民活動報告会はご参加いただきました市民 活動グループ、 公益法人、行政機関等の熱心な取り組みの報告がなされたところです。 第 20 回記念市民環境活動報告会を開催することにあたり、私たち実行委員会は、 「~新たな飛躍~地球の明るい未来を目指して」と題して検討することといたしまし た。 中でも、3.11 東日本大震災において顕在化した原発問題、そこから展開される政府 や公共団体の取り組みとともに、市民レベルで何が出来るかということも問われてい ると思います。 このことから、「再生エネルギー政策における現状と問題点」を今回の基調講演の テーマといたしました。 口頭発表におきましては、昨今の状況を踏まえ、「環境教育、身近な環境への取り 組み、ライフスタイルの改善等」について発表をいただくことといたしました。 さらにテーブルセッションにおきましても、これらのことを意見・情報交換してい ただきたいと思います。 特に今回テーマにしています「身近な」という言葉は私たちや将来を担う子供たち にとっても、重要な「キーワード」になると考えています。 それは、身近に「環境の変化」が起きていることがあるとともに、従来の「自然」 も残っている場合があり、これらを「見つけ出す」 「見分ける」ことから環境への対応 を考える出発点になるということです。 身近であることは、「日常的」ということが出来ると思いますが、環境問題への取り 組みが理解しやすいことで、子供たちへもつながっていくものと思います。 この報告会は、環境活動の情報発信、交換、交流、などと共に個人やグループのレ ベルアップを図るものでもありますので、ご利用いただければ幸いです。 皆様方の今後のご活躍に期待いたします。 第20回記念市民環境活動報告会プログラム 10:00~10:05 10:10~10:30 10:35~10:55 11:00~11:20 11:25~11:45 11:50~12:10 13:00~14:00 14:05~14:25 14:30~14:50 15:00~16:20 16:20~16:25 開会のあいさつ 第20回記念市民環境活動報告会 実行委員長 柳川三郎 《口頭発表》 環境教育指導者による保育園の「エコ育」の 取組み 横須賀市環境教育指導者連絡会 高橋弘二 トコロジスト活動報告 ~身近な生物多様性と保全活動~ トコロジストの会 7 弘中健一 神奈川の身近な自然を訪ねて 13 全国森林インストラクター神奈川会 田中真次 川崎市民の地球温暖化防止活動 認定NPO法人アクト川崎 竹井斎 活動20年、これからの課題・・・ ファイバーリサイクルネットワーク 赤岡清子 《基調講演》 3.11後の日本のエネルギー政策 株式会社ケイエスビー 代表取締役社長 東海大学工学部 水素・エコテクノロジー研究室 教授 国際水素エネルギー協会 副会長 ライトダウンキャンペーンで素敵な夜を ~CO2削減/小さな取組の大きな可能性に ついて~ 川崎市地域女性連絡協議会 19 25 27 内田裕久 39 青木恵美子 小学生を対象とした環境学習教室の活動報告 ~県及び大学と連携した取り組みの成果~ NPO法人神奈川県環境学習リーダー会 大岩俊雄 《テーブルセッション》 ①再生エネルギー 水野次郎 石井榮 ②環境学習 三島通世 田口繁雄 ③自然観察 吉岡嗣二郎 片野真琴 ④新ライフスタイル(生活環境) 荒谷輝正 川村卓正 押見史 閉会のあいさつ 1 45 環境教育指導者による保育園の「エコ育」の取組み 横須賀市環境教育指導者連絡会 ○高橋弘二 中村修二郎 野崎章子 依田 毅 遠田和雄 1.はじめに 横須賀市では 2002 年より、環境学習リーダー(県)、環境カウンセラー(国)、 アイクル・マイスター(市)が学習プログラムを登録し、小中学校からの依頼 により出前授業を行う「環境教育指導者派遣事業」を実施しています。 一方 2011 年、市立保育園では、保育士研修会で園児の環境教育を目的として 「エコ育年間計画」を作成し取り組んでいます。 今年度から横須賀市(環境政策部環境企画課)が環境教育指導者の専門性・ 経験を保育園の環境教育「エコ育」に役立てようと、対象を保育園(子ども育 成部保育課)まで広げ取組みを始めました。 すでに数ヶ所の保育園で実施し、依頼された保育園から評価をいただいてお りますので、保育園児の環境教育の普及に役立てればと報告いたします。 2.横須賀市環境教育指導者派遣事業 2.1 事業の位置づけ [国] :環境保全活動の意欲の増進及び環境教育の促進に関する法律(環境教育 促進法:2012) ・地方自治体による環境教育推進の枠組みの充実・行動計画の作成 ・学校教育における環境教育の充実 [市]:横須賀市環境基本計画(2011-2021) <環境教育関連個所を抜粋> ・基本目標5「市民、事業者、市の協働により、環境的側面、経済的側面、 社会的側面の統合をはかります」 (1)環境教育・環境学習の推進 施策の目標 施策の項目 環 境 教 育 ・ 環 境 学 習 の 場 を 確保 ①環境教育・環境学習の推進のため し 、 地 球 環 境 、 地 域 環 境 に やさ の体制づくり しい人づくりを進めます ②環境教育・環境学習の機会の充実 図-1 施策の目標と項目 [施策の方向] ①環境教育・環境学習の推進のための体制づくり(抜粋) イ.環境教育・環境学習の拠点となる施設・設備を整備・活用する ウ.環境教育に係る指導者の登用および活用の拡大をはかる キ.市民、事業者、市の連携および協働による環境教育・環境学習の取り 組みの実践を推進 -1- ②環境教育・環境学習の機会の充実(抜粋) ア.環境教育・環境学習に関する各種学習会、イベントなどを市が主催し、 開催 ウ.環境学習プログラムなどの活用を促す 2.2 横須賀市環境教育指導者派遣事業内容 (1)事業の現状(2012 年) ・横須賀市担当部署:環境政策部環境企画課 ・環境教育指導者登録数 14 名 ・派遣回数(延べ人数) 22 回(70 人) ・登録分野(プログラム数):7 分野(44 プログラム) ①大気環境(1)、②水環境(8)、③身近な自然(17)、④廃棄物(7)、 ⑤地球温暖化(6)、⑥総合(5) (2)事業の周知・広報 ①資料(手引き、実施事例集など)全小中学校へ配布 ②校長会で紹介 ③環境フォーラムや学校で開催するパネル展などで紹介 ④市のホームページ、広報紙などで紹介 (3)環境学習実施の手順(●:発信) 表-1 項 目 ①授業の依頼(書)*1 ②指名、実施可否打診 派遣依頼書 ③実施受託・日程調整 環境学習実施の手順 行政 学校 ○ ● ● ● 指導者 ○ ○ OK ○ ● ● ● ○ ● ⑥配布資料など事前送付 ○ ● ⑦環境学習授業の実施 ⑧実施報告書提出 ● ● ● ④事前打合せ ⑤実施計画書*2 ○ ○ ○ ● *1:学校名、学年、人数、責任者と「テーマ(プログラム)」「実施時期」 *2:実施事例などを示し、学校側の要望を取り入れて実施計画書を作成する 2.3 その他、環境教育促進・普及活動 ・環境教育・環境学習ネットワーク会議(市民、市民団体、事業者、市)の開催 ・よこすかECO通信の発行(年4回) 3.小学校の環境学習(「水環境」の実施事例) 3.1 実施状況 ・実施学校数:年間 3~5 回(学校) -2- ・実施授業数:5~10 回 ・対象:3、4年生(~6年生)、「総合学習の時間」又は「社会科」 1クラス(約 30 名単位)、2校時(45 分x2) ・指導者:環境教育指導者(1~3 名) 実習、体験学習の場合は同補助指導者(横須賀「水と環境」研究 会会員)1~4 名に協力してもらい実施 3.2 出前授業の内容 (1)教室(学校)内での授業 □お話とパワーポイントによる説明 ・身近な水・水の循環について ・近くを流れる平作川について「いま・昔」、「生き物」 ・水のきれいさ、汚れ調べ □実習:水質検査(パックテスト、透視度計) (2)学校ビオトープ ・お話と生き物・植物観察・スケッチ (3)野外自然体験 ・時間:午前中約3時間半(8:40~12:15)、給食前に戻る。 ・場所:川の上流部 ・体験:五感を働かせる、気づき、道草 3グループに分かれて往復路の自然観察と、現地では約 20 分間ずつ ①水質検査、②水生生物調査、③源流探検を体験する。 ※1クラス単位、約 30 名(約 10 人x3 グループ) 横須賀の川は(小さい)狭いので、環境容量を考慮し人数を限定する。 3グループに分かれ、それぞれ指導者・補助指導者がつく。 4.保育園における「エコ育」 4.1 横須賀市の担当部署 ・保育園は子ども育成部保育課・・・(厚労省) ・小中学校は教育委員会・・・・・・(文科省) ・環境教育指導者派遣事業は環境政策部環境企画課・・・(環境省) 4.2 保育士研修会作成の「平成23年度 エコ育年間計画」 (1)ねらい: ①地球環境について知り、自分たちでできるエコ対策に取り組む ・温暖化 ・節電 ②水の大切さを知り、身のまわりの節水に興味を持つ ・節水 ・水を汚さない ③身の回りの資源に興味を持ち、物を大切にする心を養う ・ゴミの4分別 ・3R ・環境マーク (2)各月ごと、ねらい(テーマ)、内容、配慮事項を決め、環境構成及び参考 資料が記載されている。実施の結果を「子どもの様子と評価」の欄に園長、 -3- 担当(保育士)が記載・記名する(表-2 参照)。 (3)②水に関する取り組みについて 期 月 1期 5月 3期 11 月 4期 1月 表-2 平成23年度エコ育年間計画(抜粋) ねらい 配慮 環境構成及び 内 容 (テーマ) 事項 参考資料 3月 水について知 る 水を汚さない 工夫を知る どこで水が使われて いるかを考えてみる 汚さないためにでき る事を考える (略) 水の大切さを 知る 環境について (まとめ) 水がなくなったらど うなるかを考える エコについて子ども 達と考える (略) (略) (略) 「ウチのかぞくはエコ レンジャー」紙芝居 「横須賀の水道・下水 道」横須賀市上下水道局 パンフレット 1年間のまとめをクイ ズ形式 「ちきゅうのためにで きる10のこと」絵本 エコクイズ ※実際の計画(書)には、右端に「子どもの様子と評価(園長)(担当)」の欄がある。 4.3 事前の授業見学会 環境教育指導者が「エコ育」に取り組むにあたり、すでに実施されているC 保育園を訪問し、「エコ育」の現場を見学する機会をつくって いただきました。 テーマは「水を大切に」でしたが、担当された保育士の方の授業の進め方が 素晴らしく、すべての面で参考になるところが多く大変勉強になりました。 これまで行ってきた小学校低学年とは違った「3~5歳児を 30 分間、わかり やすく飽きさせずに授業をする」ための取組み(工夫)の必要性を感じました。 4.4 保育園の「エコ育」の実施例(A、B保育園) 2013 年 10 月と 12 月、市立保育園2個所で「エコ育」を実施しました。 (1)実施内容 ①テーマ:「水のはなし」と「水を使った実験(遊び)」 表-3 前半 30 分 内容 保育園・園児 A B 年少組と年中長組の授業構成 内容 指導者 休憩 準備 5分 後半 30 分 内容 指導者 年少組 15 人 絵本読み聞かせ 1人 実験(水遊び) 3人 年中長組 30 人 実験(水遊び) 3人 水のはなし 1人 年少組 19 人 実験(水遊び) 4人 年中長組 49 人 水のはなし 1人 --- 実験(水遊び) 5人 ※指導者 5 名、補助指導者 3 名(延べ) ② 内容 □ 絵本読み聞かせ:「サンタン(サンショウウオ)の川たんけん」 □ 水のはなし:・みんなのお家で使っている水/・水を大切にしよう □ 水の実験(実演):ティッシュペーパーとトイレットペーパーの違い ・小便小僧 ・浮き沈みするクラゲ -4- □ 水の遊び(全員参加):・1円玉を水に浮かべる ・カラフルな3種類の水時計 (2)保育園にお願いしたこと ①理解力、集中力に差があるため、相談の結果、 「年少組(3歳児)」と「年 中長組(4、5歳児)」に分けてもらい実施しました。 ②「水の遊び」は全員参加で行うので、1グループ10人以下に分けて行 いました(グループ数だけ、指導者、補助指導者が必要)。 ③園児の扱いに慣れていないため、担任の保育士の方は常に近くにいても らい、園児の行動に注視していただきました。 (3)園児向けに工夫したこと ①“楽しい水遊び”を中心に考えていましたが、 「エコ育年間計画」では“エ コを学ぶ”ようになっているため、 「水を大切にする」 「食べ残し、飲み残 しをしない」「ティッシュペーパーとトイレットペーパーの違い」につい て学ぶ「お話・実演」を取り入れました。 ②耳で聞くより目で見た方がわかりやすく理解しやすいので、できるだけ 話すことを「事前に絵にして(裏にマグネットテープを貼り付け)」ホワ イトボードに貼りながらお話を進めました。 ③3択クイズでは、挙手するのではなく、ジャンケンで先生に勝った人が 正解といって(なるようにして)「最初はグー、ジャンケンポン」とやっ たところ、全員参加で大変盛り上がりました。 (4)成果 ①園児にとっては、いつもと違って、外から来たおじさん、おばさんが話 をして(遊んで)くれたので、大変うれしそうでした。特に、全員が参加 する初めての「水の遊び」は好評でした。 ②これまで保育士による「エコ育」が行われてい ましたが、環境教育指導 者による環境の専門性、経験を活かした、これまでとは違った目線での授 業が行われたと評価されました。 ③授業の前後の時間、職員室で園長・担任保育士といろいろなお話をしま した。そのことが園長・保育士の方々の環境教育・啓発になったと思いま す。実施した両保育所とも、職員室で茶菓子(給食)をいただきながら園 長、保育士の方たちといろいろ意見交換・情報提供、歓談できました。 (5)感想 A保育園では、終わってから園児が全員で感謝の歌を合唱し、指導者一人 ひとりに手づくりの金メダル(折り紙)を首にかけてくれました。純真無垢 な園児たちと一緒に時を過ごすのは楽しく、しかも自分たちがやることでみ んなに喜んでもらえるのだから大変遣り甲斐を感じます。 (6)反省 報告書に写真を添付しようと選んだのですが、笑顔で授業しているのがあ りませんでした。園児が打ち解けて話を聞いてくれるためにも、これからは 常に“笑顔・スマイル”でありたいと反省した次第です。 -5- 保育園の「エコ育」写真集 写真1 絵本の読み聞かせ(年少組) 写真2 お家で使う水についてのお話(年中長組) 写真3 ティッシュペーパーとトイレット ペーパーの違いを実験する。 写真4 人気の「1円玉を浮かべる実験」 “よくできました。” 写真5 3種類のカラフルな「水時計」を 転倒して楽しむ。 写真6 終わってから小さな椅子に腰かけて おいしい給食をご馳走になりました。 -6- トコロジスト活動報告 ~身近な生物多様性と保全活動~ トコロジストの会 発表者 ○弘中 健一 福島 錦一 1 はじめに 大和市では全国に先駆け 2009 年度より「トコロジスト制度」を設けるとともに「トコ ロジスト養成講座」を実施しています。 「トコロジスト」とは、トコロ=場所、ジスト=専 門家、の2つの言葉を併せた「その場所の専門家」という意味の造語で、故・浜口哲一氏 (神奈川大学教授)が提唱したものです。受講者は受講終了後、自分たちでフィールド(ト コロ)を選定して活動を行っています。トコロジストの活動は何らかのテーマに限定され たものではなく、フィールドの動物や植物・地勢・文化・民俗等、幅広く観察し、観察結 果を公開していくことを基本としています。 私たち2名(いずれも 70 歳代)は講座修了後 2010 年春から「トコロジストの会」とい う会を作り、市内にある「上和田野鳥の森(面積 4.2 ヘクタール) 」という緑地で活動して います。規約や会費も無い自由なグループで、自然観察や環境保全等に携わったメンバー はおらず、全くの素人集団です。 2 フィ-ルドの概要 場所:大和市内 住宅地に隣接 面積:4.2ha 形態:高低差 8mの斜面緑地(森林) 遊具・トイレ等一切無し 散策路有り 地権:民有地が 80%、市有地が 20% 湧水:有り 水温は年間を通じ 17 度 C 湿地:有り(0.4ha) 湿地は 1970 年ころまで田圃 現在は耕作放棄地となり草地 図1 森の鳥瞰図(by Google) 参照ホームページ:http://park.geocities.jp/kamiwadabird/ 連絡先:kamiwadabird@gmail.com -7- 3 活動のスキーム 上述のようにトコロジスト活動には決められたテーマは無く、講座終了後は行政からの 指導・支援もありません。何をやったら良いのかわからないままトコロジスト活動の基本 である「観察・記録・公開」に則り、活動のスキームを組立てました。一番大切なことは 「継続する」ことで、そのためにはデジタル技術を利用して手抜きをすることも必要と考 えました。 3.1 観察の対象 観察対象は限定せずフィールドにある全てのものを対象としましたが、現状は植物観察 が中心になっています。また、植物調査の方法には、コドラート法とかトランセクト法と かいろいろな方法があるようですが、私たち「トコロジストの会」が行う活動は学術調査 ではなく、学者になるための活動でもないことから、難しいことは一切抜きにして、森の 中を歩いた時、目についたものをあるがままに見つめ記録に残すこととしました。 3.2 記録方法 いろいろな観察では観察結果を「野帳」と呼ばれるノートに記録する方法が用いられて います。講習会でも「野帳」に記録するよう教えられましたが私たちは野帳を使用しませ んでした。野帳のデータはアナログであり、一旦野帳に記録して帰宅後デジタル情報に整 理しなおすのは手間がかかるからです。最近のデジカメは、日付、緯度、経度、方位など を情報として残すことができ、私たちの観察記録としては野帳に代わりうると考えたから です。 また、植物調査等では「証拠標本」を採取することが行われていますが、私たちは「標 本」を採取しても保管する場所がなく、また、 「標本」を採集することにより個体数を減ら す弊害もあると考え標本は採集せず、代わりにデジカメ写真を利用しました。写真は一枚 の写真だけでなく、前後左右や部分的なマクロ写真など何枚もの写真を残しています。そ の理由は、図鑑やネットで調べて私たちなりに同定したとしても本当に正しいかどうか疑 問も残ります。そこで、後から専門家が見たとき写真同定ができるよう、特徴ある部分の 写真を残しておこうと考えたからです。 3.3 公開方法 市井の一市民にとって観察結果を 保管・公開する場がありません。そこ で、WEB上に無料のサイトを借りて 自分たちでホームページを作成し公開 することにしました。ブログの方が簡 便ですが、アーカイブとしてはホーム ページの方が優れています。これによ り経済的な負担もなく、観察結果をタ イムリーに公開することができます。 図2 ホームページのトップ画面 http://park.geocities.jp/kamiwadabird/ -8- 4 観察活動の状況 以下にこれまでの観察活動の概要を報告します。 4.1 樹木マップの作成 森には周囲が 150 センチを超える大きな木がありますが 木の名前もわからず、 「どんな木があるのだろうか」と云う 単純な疑問から「樹木マップ」の作成を行いました。森の 中にある散策路沿いの樹木の名前と胸高周長を記録しまし た。クヌギ、コナラ、シラカシなど沢山ある木については、 生えている場所や大きさ等において特徴的なものだけリス トアップしています。主な樹木に名札を付け、森に来る人 たちの役にたてばと考えています。戦前はマツが沢山あっ たようですが今は一本も有りません。民有地の境界線上に はサワラが植えてあります。 図3 樹木マップ 4.2 植物調査 森の植物を調べるにあたり過去の文献を探したところ、以下の文献があることがわかり ました。 (1)「大和市の植物(大和市文化財調査報告書 第 40 集)」 大和市教育委員会が 1991 年に発行したもので、大和市を当時の中学校区(9区)に分 割し、各学区内にある植物を悉皆調査したもの。 (2)「大和市史8(上) 別編 自然」 大和市が 1996 年に発行したもので、大和市の自然全体について総括的に調べたもの。 下鶴間公所(しもつるまぐそ)、上草柳(泉の森)、上和田野鳥の森の三地区につい ては「植生調査」も行っている。 これによると、1990 年ころ大和市には 1,002 種類の植物(花卉や野菜を除く)があった と記されています。また、 「上和田野鳥の森にある」と明記された植物は 186 種類でした。 これらの資料を参考にしながら森の中の植物を調査していますが、現時点で 297 種類の植 物が観察されており、豊富な植物相を見ることができます。森の中の湿地にはオニスゲや ツリフネソウの群落がありますが、大和市内でオニスゲが見られるのはここだけです。 表1 上和田野鳥の森にある植物種類数 図4 オニスゲ -9- 4.3 動物調査 動物調査については殆ど進んでいませんが、 たまたま目についた 150 種類 (鳥類を除く) ほどをホームページで公開しています。 動物調査の中で特徴的なものを 2 点記します。 4.3.1 野鳥調査 地元の写真家のUさんが森に飛来する野鳥を写真に収 め情報提供してくれています。 これによると 50 種類ほどの 野鳥が観察されており、ヤマシギという近年珍しくなった 野鳥も含まれています。また近くの森からオオタカが飛来する こともあります。 図5 ヤマシギ 4.3.2 キクメハシリグモを確認 観察会の中で水に潜るクモを見つけ、日本蜘蛛学会評議員 で東京大学大学院農学生命研究科農学特定支援員の谷川明男 氏に同定をお願いしたところ、国内では生存記録の少ないキ クメハシリグモであることが確認されました。これまで 9 都 府県で確認されていますが、 神奈川県内では初めての確認で、 日本蜘蛛学会のニュースレター 「遊絲」 でも報告されました。 図6 キクメハシリグモ 4.4 その他の調査 森の周辺には鎌倉時代の武将、和田義盛の居城があったと言われており、史跡もあるこ とから、森の周辺の寺院や石仏等の文化財についても調査しました。 5.「観察」から「再生」へ ~ビオトープ池の作成~ 森の中に年間を通して、水温 17℃の湧水があり小さな小川が流れています。小川の流域 は湿地で 1970 年ころまで田圃として利用されていました。 耕作放棄地となった今ではスゲ 類やタデ類が繁茂し、両岸から樹木が覆いかぶさり半日蔭となっています。地域の人の話 では、田圃だったころにはカエルやゲンゴロウなどがおり、ミズニラ等の水生植物もあっ たそうですが、今は全く見ることができません。何が原因でなくなったのかはわかりませ んが、再生のための試みの一つとしてビオトープ池を作成することにしました。 湿地の下流に乾田化しアズマネザサの茂みになっている所があり、そこに池を掘ること にしました。出来上がった池の面積は約 100 ㎡で、小川の水を引き込んだ流水式の池とな っています。 図7 作成したビオトープ池(約 100 ㎡) -10- 図8 掘削前のササヤブ 2011 年末に池ができましたが、現時点ではカエルもゲンゴロウもミズニラも再生してお りません。しかし、池の周辺には、これまで見られなかったチョウジタデやヒメクグなど の植物が 20 種類ほど見られるようになりました。「シードバンク」と云う言葉があるそう で、土を掘り返したことにより地中に埋もれていた種が芽を出したのではないかと思われ ます。 図9 チョウジタデ 図10 ヒメクグ 6.森を守るために 活動を行っているうちに、上和田野鳥の森は自然環境が保たれ、いろいろな生物が生息 している貴重な森であると感じるようになりました。この森を開発から守り後世に伝えて いくためにトコロジストとしてできることは何でしょうか。 上和田野鳥の森は市内でもあまり知られておらず、市外では殆ど知られていません。私 たちは「上和田野鳥の森」の存在を市の内外に広く知ってもらうことが保存の一助になる のではないかと考えました。そこで、(公財)日本生態系協会ならびに(一社)関東地域づく り協会が募集している「関東・水と緑のネットワーク拠点百選」に応募し選定されました。 これまでに全体で 50 箇所あまりが選定されていますが、大和市内では一箇所だけです。ま た大和市が募集した街づくり賞にも応募し「上和田野鳥の森ビオトープ」として受賞する ことができました。これら市内外に対する広宣活動に対しては毀誉褒貶がありますが、私 たちは森の保存に有効だと信じ、これからも続けていくつもりです。 図11 関東・水と緑の ネットワーク拠点 100 選 図12 大和市街づくり賞 上和田野鳥の森ビオトープ (注)森の約 80%は民有地で、市有地は残りの 20%ほどです。大和市は地権者と契約を結 び「保存緑地」として保全に努めています。 -11- 7. 今後の予定 森の中の湿地・小川にはアメリカザリガニが沢山います。また、サワガニや各種のヤゴ 類(オニヤンマやヤマサナエ、カゲロウ等)がいます。しかし魚類を確認できません。昔 は沢山いたというドジョウも確認できません。アンモニウム、リン、亜硝酸、pH、CO Dについて簡便なパックテストで水質調査を行いましたが問題になるレベルとは考えられ ません。なぜ魚類が生息していないのか調べて行きたいと思います。 8.終わりに 高齢化社会において、定年退職後の高齢者の社会参加や生涯学習の観点から、また経費 削減の観点からも、高齢者のボランティア活動への参加を呼び掛けている自治体も多いと 思われます。私たちも、市の呼びかけに乗って活動を続けてきましたが、これまでの活動 を通じて一番困っていることの一つは「公開」するためのメディアとして何を利用すれば 良いのかということです。3・2 項でホームページを利用した公開方法を説明しました。し かし、無料サイトを借りてホームページを開設した場合、次のような不安が付きまといま す。 (1)無料サイト(サーバー)の閉鎖 サイト提供者の都合で何時閉鎖されるかわからない。 (2)サイトを借りている人が死亡するとサイトを返却しなければならない。 高齢者が多いボランティア活動においては大事な問題。 大和市のように「トコロジスト制度」を行政の制度として設けたのであれば、トコロジス トが集めたデータを将来にわたって有効に利用できるよう、保管・公開するサーバーも行 政側で準備して欲しいものです。 トコロジストに限らず、市民ボランティアが集めた情報をICT技術を使って、「誰で も、いつでも、どこでも」見えるようにすることが、市民参加型の社会を進めるうえで必 要なのではないかと思います。 最後になりましたが、ご指導・ご協力いただいた、ビオトープ管理士のKさん、写真家 のUさん、「上和田野鳥の森を守る会」の方々に厚く御礼申し上げます。 大和市イメージキャラクター ヤマトン -12- 神奈川の身近な自然を訪ねて 全国森林インストラクター神奈川会 http://www.jfik.org/ 田中 真次 1.はじめに 私たち、全国森林インストラクター神奈川会は,2008 年 4 月に神奈川県と その近県に在住する森林インストラクターの資格取得者で構成される任意団体 としてスタートしました。森林インストラクターは、一般社団法人全国森林レ クリエーション協会により認定された資格者です。 (資格試験は「環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律」の第 11 条の規定に基づき、平成 17 年度から「人材認定事業」として環境大臣並びに 農林水産大臣の登録を受けて実施しています。) 自然と森林の仕組み、森林づくりと林業、野外での活動、教育の方法、安全 対策のすべてについて一定レベルの知識を持っています。 森を訪れる子どもから大人までが、心地よく過ごし、楽しみ、感じ、自然を 深く知ることが出来るよう、さまざまな活動を通してお手伝いをする「森の案 内人」です。私たちは神奈川の森の今を発信し、かけがえのない大切な森の物 語を、次の世代に伝えて行きたいと思います。 具体的には、 「自然観察会」として、森を歩いてさまざまな植物・動物・キノ コ類を観察します。 「クラフト作り」として、ドングリ、木の実、木の枝などい ろいろな森の素材・部材を加工し個性的作品を作ります。子どもたちを対象と し森を舞台に「キャンプ」やいろいろな「野外ゲーム」を行います。小学校の 「総合学習」の一環として校庭、近隣の自然公園における樹木・草花・動物等 に関する環境教育。里山、森林公園等の「森林保全整備」、造林地を対象により 専門的な「林業支援・植林」の実施・指導等々をしています。 当会では、160名以上の専門家がさまざまな分野で子どもから大人の「森 との出会い」をお手伝いしています。 2.「神奈川の身近な自然を訪ねて」って何。 2.1 活動の動機 神奈川県は概して、県東部には大都市である横浜市と川崎市が東京湾に面し ており、県西部には緑豊かな丹沢山地から足柄山地、箱根山が連なっています。 低地の酒匂川が流れる足柄平野には小田原城の城下町である小田原市が開けて おり、県中央部には相模川が流れ相模湾に注いでいます。また、県南東部は鎌 -13- 倉幕府が置かれた鎌倉市から、明治以来の軍港都市・横須賀市がある三浦半島 にかけて、三浦丘陵が連なっています。さらに、公園では、富士箱根伊豆国立 公園、丹沢大山国定公園、県立丹沢大山自然公園、県立陣馬相模湖自然公園、 県立真鶴半島自然公園、県立奥湯河原自然公園の自然公園もあります。県内は 山、川、海の自然、そして歴史、文化等々に恵まれた素晴らしい地域です。 身近なのんびりと歩いて行ける自然の森には樹木、草花、キノコ、昆虫、野 鳥等自然の仲間がたくさんいます。今、そこにいる仲間たちがさまざまな「言 葉」で私たちに語りかけてきます。それは、色、匂い、音、味、触感です。 その五感を研ぎすませて彼らのメッセージを受け止め、感動を覚える時、私 たちは自然の一員として、このとても大切な・大好きな地球で生きている喜び や楽しみを実感できるのです。もっとその身近な自然に触れてみませんか。 そこには目に見えない癒しや、身近なところで気づかなかった多くの発見、 不思議、感動、わくわく感があります。もう少し身近な自然に近づいて、樹木、 草花、キノコ、虫、鳥などの名前を覚えてみませんか。彼らの暮らし方を知っ てみませんか。私たちの生活、文化、歴史等と身近な自然との関わりを一緒に 学んでみませんか。 身近な自然や森を知れば知るほど親しみが湧き、自然の仲間たちと一緒にそ こで生きていることを実感できると思います。 このような思いで始まったのが、「神奈川の身近な自然を訪ねて」なのです。 身近な自然との繋がり、身近な自然の仕組み、身近な自然と今後どのように関 わっていったらいいのかなど、 「神奈川の身近な自然を訪ねて」の参加者の皆さ んと一緒に学ぶことが目的です。 2.2 活動実績 第一回目は、2010年9月20日に北鎌倉→瓜ヶ谷→源氏山→銭洗弁天→ 佐助稲荷のコースでした。下記は2010年9月から2014年2月までの過 去38回の活動実績です。 2014年2月22日 1月26日 2013年12月7日 11月10日 10月26日 9月16日 鎌倉の名刹「杉本寺」、花の寺「瑞泉寺」等を巡る 元町・山手・港の見える丘公園を巡る 国指定史跡「称名寺」の庭園と森を巡る 城ケ島の自然を楽しむ 元町・山手・港の見える丘公園を巡る (荒天中止) 酔芙蓉の里を巡る (荒天中止) -14- 7月24日 6月29日 5月25日 4月20日 3月20日 2月23日 1月26日 2012年12月9日 11月24日 西丹沢の森林セラピー基地で自然を楽しむ 二ヶ領用水・長尾の里・東高根森林公園を巡る 小田原一夜城とハナミョウガの花の道の散策 森戸川・二子山を巡る 陽春の矢倉沢往還・大山道を歩く 鎌倉広町緑地から腰越の社寺を巡る 酒匂川の冬鳥と二宮尊徳の故郷を探訪する 酒匂川の冬鳥と二宮尊徳の故郷を探訪する 座間谷戸山の湧水と歴史の里を巡る 10月31日 湧水湿地「池峯」を訪ねて‐奥湯河原自然公園を歩く 10月30日 同上 9月29日 秋の草花を訪ねて、鎌倉アルプスを行く 8月25日 潮風が心地よい「緑の江の島」を巡る 葉山の海岸と三ヶ岡山緑地を巡る 7月29日 6月16日 花ショウブの鑑賞と久野諏訪の原古墳群を歩く 5月23日 大涌谷の森とイワカガミを楽しむ 5月20日 同上 4月28日 春の里山を満喫‐渋沢丘陵・頭高山を歩く 3月29日 春の草花を訪ねて‐鎌倉アルプスを行く(雨天中止) 2月25日 1月29日 2011年12月23日 11月23日 10月29日 9月17日 8月20日 7月24日 6月25日 5月22日 梅の香に誘われて‐曽我の里を巡る 北鎌倉から鶴岡八幡宮を歩く 鎌倉中央公園、源氏山周辺 入生田 長興山、箱根湯本 早雲寺周辺 渋沢丘陵 湘南平・高麗山の森と歴史をたどる 県立奥湯河原自然公園を歩く 南足柄 天狗伝説の里めぐり 自然のつながり、真鶴半島「魚つき林」を歩く 箱根・大涌谷でイワカガミを楽しむ 3月・4月 2月26日 1月22日 2010年12月18日 11月27日 10月17日 9月20日 東日本大震災のため中止 丹沢七沢地区、日向薬師周辺 川崎北部黒川地区 氷取沢、円海山周辺 逗子神武寺周辺 城ヶ島 鎌倉 -15- 2.3 活動内容 基本的に月一度の「神奈川の身近な自然を訪ねて」を企画しています。 本番前にはコースの下見を2回から3回は通常実施します。樹木、草花、野 鳥等の名前を憶えることが最終目的ではありませんが、このコースにどのよう な植物があり、どのような動物が住んでいるかを下見で確認します。それらが 地域の人たちと生活、文化、歴史等の面からどのような関わりがあるか。 その地域の名所・旧跡や景色の良い場所を案内するためには、その地域の地 形、地質も含めた自然環境や自然史も下調べをします。 この下見下調べを通して、どのような内容にすれば参加者と一緒に楽しい時 間を過ごすことが出来るかというコース・シナリオを作ります。但し、マニア ックな難しいシナリオは不要です。 このシナリオ作りには、下記の“伝える技術(テクニック)”が大切です。 ① 参加者にどのように伝えるか。参加者との人間的コミュニケーション。 ② 自分が伝えたい内容は自分の言葉に置き換えて話す。 ③ 森の案内は目の前で起こっていることから話を始める。 ④ ここぞと思われる時に一番語りたいことを言う。 ⑤ 相手が具体的にイメージできる表現を考える。 ⑥ 話し手の気持ちは聞き手に伝わる。 ⑦ 準備した情報は無理に使いきらない。 ((社)日本森林インストラクター協会の“森の案内人の基本”より一部抜粋) 子どもから大人までの環境教育の理念のもとに、このコース・シナリオが上 手く行くように私たちは最大限努力しなければなりません。 参加者には参加費に見合うだけの満足感を持ち帰ってもらわなければなりま せん。 実施に当たっては、一つのグループに講師役(リーダー)及び補佐役(サブ リーダー)の森林インストラクター、合計二人が基本的に担当し、さらに全体 的な安全担当責任者として一人の森林インストラクターも配置します。 一つのグループは8名~12名の参加者で構成されます。 集合場所でグループ分けされた順番に、大自然や里山から都市の小さな自然 まで、のんびりとした小さい旅へと出発します。 まずは訪れた地域の全体的な地形、歴史、地名の由来、名所・旧跡、コース の概略等を説明します。 そして安全対策やトイレの場所は重要な説明項目です。 このようにしてシナリオを進めます。 -16- 2.4 参加者・参加費等 参加者は団塊世代以上の人たちで構成されています。神奈川県内からの参加 者がほとんどですが、千葉、静岡、東京からも参加者がいます。 毎月、平均50名くらいの参加数で、当初は参加数が8名の時もありました が、その後一番多い時では113名もありました。 現在では約8割がリピーターで、電話、ファックス、ホームページ、メール、 葉書での申し込みがあります。今では、終了時点で、次の参加申し込みがかな りあり、このような状況は参加者と講師役の私たちとの信頼関係が出来上がっ ており、次回はどのような場所でどのような話を聞けるか、どのような体験が 出来るか月一度の企画を楽しみにしている参加者の率直な評価があると考えて います。 歩行距離もスローペースの4~5キロ(ウオーキングとは違う)高山には行 かない、危険を伴う無理なコースは企画しない、午前10時に集合して、午後 2時半頃には解散するという参加者の技能と体力に配慮した安全な企画です。 また自然や森が大好きな参加者同士の交流の場にもなっており、近い将来に参 加者のための、参加者による「友の会」を発足させようという提案もあります。 参加費は、他の歴史探訪会、ウオーキング等の参加費と比べると高めの設定 で一人当たり保険込みの1500円ですが、参加者には十分に満足感を味わっ てもらい、今日まで続けられたことは、参加者にその価値を充分に認めて頂い ている証と認識しています。 終了後は、参加者からメール、葉書等で感謝のメッセージ等を頂きます。下 記はほんの一例ですが、ご参考までに紹介します。 ①「寒い日ではありましたが、楽しい時を過ごすことが出来たことを感謝して おります。なぜ、冬に咲く花は黄色が多いのでしょうか。これもまた自然の創 りだす摂理でしょうか。」 ②「今日は楽しい一日をありがとうございました。 しだれ桜までの道が、宝の -17- 道のようで感動しました。 話を聞きながら植物にくらべると人間はちっちゃい なと今までの自分を反省しました。皆様の元気と森林の空気で、すっかりリフ レッシュした一日でした。」 ③「7月に森林インストラクターの皆さんと行った南足柄天狗伝説の里めぐり の大雄山・最乗寺の紅葉が見たく立ち寄りましたが、残念ながら最乗寺の紅葉 は先の様でした。インストラクターの方々の細かい説明を受けながらの見学が いかに楽しいかを改めて実感しました。今後とも宜しくお願い致します。」 3.「身近な自然を学ぼう」 2013年9月より「身近な自然を学ぼう」という下記5回シリーズで「神 奈川の身近な自然を訪ねて」の同じ仲間で、毎回特定のテーマに絞った勉強会 を始めました。 午前は特定のテーマに関わる室内での座学、そして午後は野外でそのテーマ の観察会を実施します。 参加費は資料代、保険等を含めて5回シリーズの10,000円で募集した ところ、定員30名が3日で満員になり、10名以上の方々をお断りするとい う嬉しい結果になりました。 2013年9月4日 第1回 2013年10月2日 第2回 2013年11月6日 2014年2月5日 2014年3月5日 「身近な草花を学ぼう」 「身近なキノコ、昆虫、クモなどを学ぼう」 第3回 「身近な樹木を学ぼう」 第4回 「身近な野鳥を学ぼう」 第5回 「身近な春の草花を学ぼう」 この「身近な自然を学ぼう」は、基本的な自然や森林の大切さを学んで、そ の必要性を次世代に伝えて行きたいという願いから企画しました。参加者から は非常に好評で、この「身近な自然を学ぼう」を2014年は8回、8月を除 く4月から12月の第3木曜日に計画しています。 4.今後の展開 私たちの活動は、参加者と一緒に①森に親しむ、②森を知る、③森を守ると いう一連のステップを考えています。①森に親しむは「神奈川の身近な自然を 訪ねて」で、②森を知るは「身近な自然を学ぶ」です。最後の③森を守るにつ いては、上記①や②を経験した参加者と一緒に森林インストラクターが管理・ 監督する森の保全整備や林業支援・植林活動を実施することです。今後このよ うな形態での森の保全活動等を推進して行きたいと考えています。以上 -18- 川崎市民の地球温暖化防止活動 認定特定非営利活動法人アクト川崎 理事長 竹井斎 1 地球温暖化防止活動の始まり 川 崎 市 は 1 9 9 8 年 1 0 月 、地 球 温 暖 化 防 止 を は じ め と す る 地 球 環 境 の 保 全 の た め 、「 川 崎 市 の 地 球 温 暖 化 防 止 へ の 挑 戦 ~ 地 球 環 境 保 全 の た め の 行 動 計 画 ~ 」を 策 定 し ま し た 。翌 1 9 9 9 年 に は 、市 民 、事 業 者 、 学 校 、行 政 の 協 働 に よ り 推 進 す る「 川 崎 市 地 球 環 境 保 全 行 動 計 画 推 進会議」が組織されました。ここに、公募市民と事業者が集まり、 市 民 部 会・事 業 者 部 会・学 校 部 会・行 政 部 会 の 4 つ の 部 会 が 組 織 さ れ 、エ ネ ル ギ ー ・ ラ イ フ ス タ イ ル ・ 交 通 ・ み ど り ・ 廃 棄 物 と い う 5 つ の テ ー マ を 柱 に 、そ れ ぞ れ の 主 体 に よ る 活 動 、連 携 さ れ た 取 組 が 開始されました。 当 初 の 市 民 部 会 の メ ン バ ー は 3 0 名 程 度 で あ り 、5 つ の テ ー マ 全 て に 取 り 組 む に は 無 理 が あ る こ と か ら 、2 0 0 0 年 に 活 動 分 野 の 選 択 と 集 中 を 行 う こ と に な り ま し た 。み ど り に つ い て は 各 所 で の 緑 地 の 維 持管理活動、廃棄物については「川崎・ごみを考える市民連絡会」 な ど の 活 動 も あ る こ と よ り 、ラ イ フ ス タ イ ル 分 野 と エ ネ ル ギ ー 分 野 に 集 中 す る こ と に な り ま し た 。最 終 的 に は 、グ リ ー ン コ ン シ ュ ー マ ー の 普 及 に 取 り 組 む「 グ リ ー ン コ ン シ ュ ー マ ー グ ル ー プ 」、家 庭 を 中 心 と し た 省 エ ネ の 普 及 啓 発 を 行 う「 省 エ ネ グ ル ー プ 」、自 然 エ ネ ル ギ ー の 普 及 啓 発 を 進 め る「 ソ ー ラ ー チ ー ム 」、そ し て 、取 り 組 み 方が難しい「交通グループ」が誕生しました。 そ の 後 、国 は 2 0 0 2 年 に 新 し い「 地 球 温 暖 化 防 止 対 策 推 進 大 綱 」を 決 定 し 、京 都 議 定 書 を 批 准 し ま し た 。川 崎 市 に お い て も 2 0 0 2 年 に「 川 崎 市 環 境 基 本 計 画 」 を 改 訂 し 、「 地 球 温 暖 化 防 止 対 策 の 推 進 」 を 優 先 的 に 解 決 す べ き 緊 急 性 の 高 い 分 野 と し て 重 点 分 野 の 1つ に 掲 げ 、 「 2010年 に お け る 二 酸 化 炭 素 等 の 排 出 量 を 1990年 レ ベ ル に 比 べ 6% 削 減 す る こ と を 目 指 す 」こ と を 目 標 に 掲 げ ま し た 。そ し て 、川 崎 市 における地球温暖化対策の更なる推進のため、行動計画を改訂し、 具 体 的 な 数 値 目 標 や 、各 主 体 別 の 取 組 内 容 を 明 ら か に し た「 川 崎 市 地球温暖化対策地域推進計画~川崎市の地球温暖化防止への挑戦 ~ 」 を 2004年 3月 に 策 定 し ま し た 。 新 行 動 計 画 策 定 に 伴 い 、 推 進 組 織 の 見 直 し を 図 り 、「 か わ さ き 地 球 温 暖 化 対 策 推 進 協 議 会 」を 組 織 し 、地 球 温 暖 化 対 策 推 進 法 に 定 め ら れ る 地 域 協 議 会 と し て 登 録 し ま し た 。市 民 部 会 を 中 心 と し た 、実 践 グ ル ー プ ・ チ ー ム の 取 組 は 、継 続して行われていきました。 注 ) 連 絡 先 : takei@kwccca.com、 044-813-1313 -19- 2 市民部会を中心とした活動 2.1 グリーンコンシューマグループ グ リ ー ン コ ン シ ュ ー マ ー グ ル ー プ は 、最 初 に レ ジ 袋 削 減 の た め に 、 お 店 へ の ア ン ケ ー ト 調 査 を 実 施 し 、マ イ バ ッ グ の 持 参 を 進 め る 活 動 を 開 始 し ま し た 。当 時 は マ イ バ ッ グ を 持 つ こ と が い い に 決 ま っ て い る け ど 、そ ん な 活 動 は 広 ま ら な い 、マ イ バ ッ グ な ん て か っ こ 悪 い と い う 雰 囲 気 が あ り 、ま た 、レ ジ 袋 を 削 減 す る に は 有 料 化 す れ ば 簡 単 な こ と 、と い う 認 識 は あ り ま し た 。活 動 は 市 民 発 で 行 動 し 、出 来 る ことから始めて社会を変えていきたいという気持ちが先行したも の で し た 。や が て 、マ イ バ ッ グ 持 参 が 当 た り 前 の よ う に な り 、レ ジ 袋の有料化も地域ごとに協定を結ぶなどで定着してきました。 「川崎をエコショッピングタウンに」しよう と、小中学校への出前授業、イベント等での廃 棄 物 や 3 R に つ い て の 普 及 啓 発 、 「 1店 1エ コ 運 動 」 「 エ コ シ ョ ッ ピ ン グ ・ク ッ キ ン グ 」 な ど を 始 めました。これらの活動は、環境と経済の両立 に根ざしているもので、そこから「エコろじぃ エコろじぃちゃん エコのみぃちゃん ちゃん」と「エコのみぃちゃん」の双子のキャ エコちゃんず ラクター「エコちゃんず」を生み出し、今では、 川崎市の地球温暖化対策のキャラクターへと 図1エコちゃんず 成長しました。 2.2 省エネグループ 省 エ ネ グ ル ー プ は 省 エ ネ に 関 す る 一 般 市 民 向 け の「 家 族 み ん な で C O 2 削 減 に チ ャ レ ン ジ ! 」に 続 き 、市 内 小 学 校 の 主 に 5 年 生 を 対 象 と し て 、毎 年「 夏 休 み の エ コ ラ イ フ・チ ャ レ ン ジ 」を 実 施 し て い ま す 。 川 崎 市 内 の 全 小 学 校 の う ち 、希 望 す る 小 学 校 の 児 童 と そ の 家 族 み ん な で 家 庭 の 省 エ ネ に 挑 戦 し 、 実 践 を 通 じ て 環 境 意 識 の 向 上 と 、 CO2 削減を実感してもらう活動です。省エネの実践に取り組むことで、 夏 エ コ チ ャ レ ン ジ 前 後 の 行 動 意 識 は 改 善 さ れ 、電 気 使 用 量 の 削 減 等 を 通 じ た CO2削 減 に つ な が っ て い ま す 。 ま た 、「 地 球 温 暖 化 」「 省 エ ネ 」 な ど を テ ー マ に 、 総 合 的 な 学 習 時 間 で 「 環 境 」 に つ い て 学 習 を 始 め る 小 学 校 5年 生 に 対 し て 、 出 前 授業を開始しました。学校で行う「環境」についての授業(知識) と 「 夏 休 み の エ コ ラ イ フ チ ャ レ ン ジ 」( 実 践 ) が リ ン ク す る こ と で 相乗効果が期待されます。 2 .3 ソ ー ラ ー チ ー ム・か わ さ き 市 民 共 同 お ひ さ ま プ ロ ジ ェ ク ト ソ ー ラ ー チ ー ム で は 、当 初 か ら 、地 球 温 暖 化 防 止 の た め に 発 電 時 -20- に CO2を 排 出 し な い 再 生 可 能 エ ネ ル ギ ー の 導 入 を 増 や し て い き た い と い う 思 い で 、太 陽 光 発 電 設 置 を 市 民 で 出 来 る 仕 組 み 作 り と 、「 太 陽 と 遊 ぼ う 」と い う 普 及 啓 発 イ ベ ン ト や 学 校 へ の 出 前 授 業 を 中 心 に 取り組んできました。 2007年 、 ( 財 ) 広 域 関 東 圏 産 業 活性化センターの「グリーン電力 基金」の新しい地域協働プロジェ クト助成金が使用できる見込みが たち、川崎市国際交流センターの 屋上への設置に向けた調整も進み ました。そこで、地球温暖化対策 協 議 会 と 2006年 に 設 立 さ れ て い た アクト川崎が中心となって、 図2市民共同おひさま発電所 「 か わ さ き 市 民 共 同 お ひ さ ま プ ロ ジ ェ ク ト 」を 立 ち 上 げ 、2 0 0 7 年 1 2 月 か ら 募 金 活 動 を 開 始 し 、3 月 ま で に 目 標 1 5 0 万 円 を 大 き く 上 回 る お 金 を 集 め 、設 置 工 事 を 経 て 、2 0 0 8 年 8 月 2 4 日 、点 灯 式 を 迎 え ま し た 。 ま さ し く 、~ あ な た と わ た し と お ひ さ ま と ~ み ん な の「 お 金 」と 「思い」を集めてつくった地域の太陽光発電設備でした。 2 号 機 は サ ッ カ ー Jリ ー グ の 川 崎 フ ロ ン タ ー レ 麻 生 練 習 場 ・ ク ラ ブ ハ ウ ス に 太 陽 熱 温 水 器 の 設 置 で す 。 2010年 6月 か ら 、 新 た に 募 金 活 動 を 開 始 し 、東 京 ガ ス 環 境 お う え ん 基 金 、地 域 新 エ ネ ル ギ ー 等 導 入 促 進 事 業 の 助 成 金 を 得 な が ら 、 2011年 2月 の 設 置 に 至 り ま し た 。 2.4 協働の取組 か わ さ き 地 球 温 暖 化 対 策 推 進 協 議 会 は 4つ の 部 会 が そ れ ぞ れ 主 体 的 に 活 動 す る と と も に 、部 会 間 で 連 携 し て 活 動 し て い る こ と が 大 き な 特 徴 で す 。 全 国 的 に は 4つ の 主 体 ・ 部 会 が そ れ ぞ れ 活 動 し 、 連 携 しながら地球温暖化防止に取り組むというスタイルは珍しいよう で し た 。川 崎 に お い て 、公 害 克 服 の 過 程 に 市 民 、事 業 者 、行 政 が 反 発 し な が ら も 連 携 し て き た と い う 下 地 が あ っ て 、可 能 に な っ た と 考 え ま す 。特 に 実 践 活 動 は 市 民 が 中 心 と な り な が ら も 、他 の 市 民 団 体 、 事 業 者 、学 校 、行 政 と の 協 働 ・ パ ー ト ナ ー シ ッ プ で 進 め て い く 活 動 スタイルをとりました。 3 特定非営利活動法人アクト川崎の設立 かわさき地球温暖化対策推進協議会で組織強化を検討する中で、 川崎市内を中心とした地球温暖化防止に寄与することを目的とし て 、事 務 局 体 制 の 見 直 し 検 討 が 始 ま り ま し た 。 背 景 に は 、1 ) 行 政 か ら 事 務 局 業 務 委 託 を 一 つ の 団 体 に 継 続 す る こ と は 難 し い こ と 、 2) 行 政 職 員 の 異 動 に 影 響 さ れ な い 市 民 活 動 の 持 続 性 確 保 の た め 、ま た 、 -21- 3)市 民 と 行 政 と の 協 働 の 機 運 の 高 ま り が あ り ま し た 。 市 民 部 会 の 中 に 検 討 ワ ー ク キ ン グ を 設 け 、1 ) 市 民 と し て の 活 動 の 持 続 性 を 担 保 す る 、2 ) 市 民 の な か に 種 々 の 力 を 蓄 積 す る 、3 ) 法 人 格 を 持 つ こ と で「 お 金 」を 扱 い 易 く す る を 目 的 に 、事 務 局 を 担 う こ と の 出 来 る ア ク ト 川 崎 を 設 立 す る こ と に な り ま し た 。2 0 0 5 年 1 2 月 に 設 立 総 会 を 行 い 、 2006年 5月 に 特 定 非 営 利 活 動 法 人 ア ク ト 川 崎 が 認 可 さ れ ま し た 。そ の 年 か ら 、ア ク ト 川 崎 は 「 か わ さ き 地 球 温 暖 化 対 策 推 進 協 議 会 」の 事 務 局 を 担 う と と も に 、 2 0 0 8 年 度 か ら は「 川 崎 市 地 域環境リーダー育成講座」の企画運営も担うようになりました。 ア ク ト 川 崎 は そ の 他 、事 業 者 と 市 民 と の 交 流 を 進 め る「 エ コ ぷ ら っ と か わ さ き 事 業 」、 3 R 推 進 団 体 連 絡 会 な ど と 連 携 し た「 目 か ら う ろ こ の 3 R ワ ー ク ッ シ ョ ッ プ 」開 催 と「 か わ さ き ス マ ー ト リ サ イ ク ル 」 の 冊 子 作 成 、「 環 境 市 民 活 動 助 成 金 」 な ど を 実 施 し て き ま し た。 4 新しい体制作り 4.1 川崎市地球温暖化防止活動推進センター指定 川 崎 市 は 低 炭 素 社 会 の 実 現 、良 好 な 環 境 を 将 来 の 世 代 に 引 き 継 ぐ た め 、2 0 1 0 年 4 月 1 日 施 行 の「 川 崎 市 地 球 温 暖 化 対 策 推 進 条 例 」を 制 定 し 、2 0 1 0 年 1 0 月 に は「 川 崎 市 地 球 温 暖 化 対 策 推 進 基 本 計 画 」( 計 画 期 間 は 2011年 度 か ら 2020年 度 )を 策 定 し ま し た 。 ま た 、各 都 道 府 県 で 指 定 さ れ て い た「 地 球 環 境 温 暖 化 防 止 活 動 推 進 セ ン タ ー 」( 以 下 、セ ン タ ー と い う ) が「 地 球 温 暖 化 対 策 の 推 進 に 関 す る 法 律 」の 改 正 に よ り 、指 定 都 市 等 で も 指 定 で き る よ う に な っ た の を う け 、川 崎 市 で も 民 間 団 体 か ら 公 募 し 、審 査 の 結 果 、ア ク ト 川 崎 が 2010年 12月 1日 、 セ ン タ ー と し て 指 定 さ れ ま し た 。 セ ン タ ー は 市 内 の 地 球 温 暖 化 防 止 に 関 わ る い ろ い ろ な 団 体( 市 民 活 動 団 体 、事 業 者 、行 政 等 )と 連 携 し て 、地 球 温 暖 化 対 策 に 係 る 質 問、相談への対応・地域におけ る実践モデル活動支援・活動ネ ットワークの連携強化・情報の 収集・発信等の役割を担います。 ま た 活 動 拠 点 と し て JR武 蔵 溝 ノ 口駅近くの高津市民館11階に 「CCかわさき交流コーナー」 写真1CCかわさき交流コーナー が開設されました。 4.2 川崎市地球温暖化防止活動推進員 川 崎 市 は 2011年 4月 か ら 、 川 崎 市 地 球 温 暖 化 防 止 活 動 推 進 員 ( 以 -22- 下 、推 進 員 と い う )を 委 嘱 し ま し た 。推 進 員 の 活 動 内 容 は 地 球 温 暖 化 防 止 に 関 す る 自 ら の 実 践 、普 及 啓 発 、実 践 活 動 の ア ド バ イ ス 、市 や セ ン タ ー の 施 策 へ の 協 力 、創 意 工 夫 に よ る 地 球 温 暖 化 防 止 の 推 進 等 と さ れ て い ま す 。市 民 部 会 の メ ン バ ー の 多 く が 推 進 員 に な り 、新 し い 参 加 者 も 得 て 、現 在 、8 1 名 が 活 動 し て い ま す 。グ リ ー ン コ ン シ ュ ー マ ー 、 省 エ ネ 、 ソ ー ラ ー に 加 え て 、「 生 ご み リ サ イ ク ル 相 談 窓口」「3R推進」のプロジェクトも新しく活動を拡げています。 ま た 、 そ れ ま で の 全 市 対 象 の 活 動 か ら 、 7つ の 区 毎 の 取 組 も 開 始 さ れ ま し た 。区 役 所 と の 連 携 も 進 め な が ら 、イ ベ ン ト 等 に お け る 普 及 啓 発 、環 境 学 習 ・ 環 境 教 育 、様 々 な 実 践 活 動 を 、区 ご と に 特 色 を 出しながら、活動を始めています。 4.3 CCかわさき交流コーナーを拠点とした活動 C C か わ さ き 交 流 コ ー ナ ー で は 、毎 月 、テ ー マ を 決 め て 、展 示 を 行 う と と も に 、テ ー マ に 沿 っ た ミ ニ 講 座 を 開 催 し て い ま す 。夏 休 み に は 小 学 生 を 対 象 に 、自 由 研 究 支 援 を 目 的 と し た「 自 由 研 究 体 験 教 室」を実施しています。 川 崎 市 で は 太 陽 光 発 電 ・ 太 陽 熱 温 水 器 に 加 え て 、雨 水 貯 留 槽 の 補 助 金 事 業 が 始 ま り 、セ ン タ ー で 申 請 書 類 の 受 付 ・ 審 査 、助 成 金 交 付 を 2 0 1 1 年 度 か ら 行 っ て い ま す 。ま た 、太 陽 光 発 電 の 相 談 窓 口 も 2 0 1 4 年から開設しました。 4.4 コンソーシアム事業 環 境 省 の 補 助 事 業 と し て 、2 0 1 1 年 度 か ら 地 域 活 動 支 援 ・ 連 携 促 進 を 目 的 と し た コ ン ソ ー シ ア ム 事 業 が 始 ま り ま し た 。初 年 度 は「 か わ さ き 緊 急 節 電 コ ン ソ ー シ ア ム 」と し て 、推 進 員 、市 民 団 体 と と も に 、 町 内 会 ・ 自 治 会 、マ ン シ ョ ン で の 節 電 セ ミ ナ ー 、節 電 ア ド バ イ ス を 実 施 し ま し た 。そ れ ま で の「 砂 漠 に 水 を 撒 く よ う 」な 普 及 啓 発 活 動 から、一歩進むことが出来たように感じます。 2 0 1 2 年 度 は 省 エ ネ を 加 え た「 か わ さ き 節 電 ・ 省 エ ネ コ ン ソ ー シ ア ム 」 、 2013年 度 は 「 か わ さ き ス マ ー ト ラ イ フ 推 進 コ ン ソ ー シ ア ム 」 と し て 、「 緑 の カ ー テ ン の 推 進 」 を 加 え る と と も に 、 9 月 か ら 開 始 さ れ た 全 市 の ご み 収 集 体 制 の 変 更 に 合 わ せ て 、「 ご み 減 量 ・ 分 別 の 推進」を加えて、町内会・自治会へのアプローチを行いました。 も う 一 つ 、2 0 1 2 年 度 か ら 、そ れ ま で「 か わ さ き か え る プ ロ ジ ェ ク ト 」と「 N P O 法 人 川 崎 市 民 石 け ん プ ラ ン ト 」が 実 施 し て い た 、廃 色 油 を 回 収 し て BDFを 製 造 す る 取 組 を コ ン ソ シ ー ア ム と し て 活 動 し 、 回 収 拠 点 の 拡 大 、 BDFバ ス ツ ア ー や イ ベ ン ト で の 発 電 機 使 用 な ど の 利用拡大に取り組んできました。 -23- 4.5 家庭エコ診断事業 環 境 省 の 家 庭 エ コ 診 断 事 業 は 2010年 度 か ら 始 ま っ て い ま し た が 、 セ ン タ ー で も 2 0 1 1 年 度 か ら 対 応 を 開 始 し ま し た 。診 断 員 研 修 か ら 始 ま り 、企 業 従 業 員 の 節 電 意 識 向 上 の た め の 企 業 内 診 断 な ど に も 取 り 組 ん で い ま す 。現 在 、1 5 名 の 診 断 員 が 登 録 し て お り 、家 庭 に お け る 省 エ ネ ・ 低 炭 素 化 を 進 め る ツ ー ル と し て 、今 後 も 取 り 組 ん で い く 予 定です。 5 政策提言 5.1 MAKE the RULEキ ャ ン ペ ー ン 、 か わ さ き 気 候 変 動 円 卓 会 議 2008年 8月 か ら 始 ま っ た CO2な ど の 温 室 効 果 ガ ス の 削 減 目 標 を 定 め 、そ の 目 標 達 成 の た め に 温 室 効 果 ガ ス を 確 実 に 減 ら す 制 度 作 り を 求 め る「 MAKE the RULEキ ャ ン ペ ー ン 」に 、趣 旨 に 賛 同 し た 団 体( N P O 法 人 ア ク ト 川 崎 、川 崎 の 交 通 と ま ち づ く り を 考 え る 会 、N P O 法 人 川 崎 フ ュ ー チ ャ ー ・ ネ ッ ト ワ ー ク 、持 続 可 能 な 地 域 交 通 を 考 え る 会 ) 、 個 人 が 「 MAKE the RULE川 崎 」 と し て 参 加 し ま し た 。 MAKE the RULEキ ャ ン ペ ー ン は 2011年 3月 31日 を も っ て 終 了 し ま し た が「 か わ さ き 気 候 変 動 円 卓 会 議 」と し て 、活 動 を 継 続 す る こ と と な り 、市 民 館 の 市 民 自 主 講 座 の 企 画 運 営 を 行 う な ど を 続 け て い ま す 。 5.2 討論型世論調査 川 崎 市 地 球 温 暖 化 対 策 推 進 協 議 会 は 地 域 協 議 会 の 立 場 で 、上 智 大 学 の 柳 下 正 治 教 授 の 市 民 、事 業 者 、自 治 体 等 に よ る 対 話 を 進 め る 研 究 に 関 わ っ て い ま し た 。2 0 1 1 年 、政 府 に よ る 環 境 ・ エ ネ ル ギ ー 政 策 に つ い て の 国 民 的 議 論 が 進 も う と す る 中 、柳 下 教 授 は「 政 府 の 動 き を 待 て な い 」と 地 球 環 境 基 金 を 申 請 し 、上 智 大 学 、一 般 社 団 法 人 地 球 温 暖 化 防 止 全 国 ネ ッ ト 、N P O 法 人 ア ク ト 川 崎 と で 、川 崎 市 民 を 対象とした「討論型世論調査」を行うことになりました。 その後、政府も同様な調査を実施することになり、結果的には 2012年 8月 に 一 週 間 の 間 を お い て 、 双 方 の 試 み が 実 施 さ れ ま し た 。 国 の 政 策 の 方 向 性 を 決 め る の に 、国 民 の 意 見 が 参 考 に さ れ る 手 法 は 画 期 的 で す 。川 崎 版「 討 論 型 世 論 調 査 」に 参 加 し た 川 崎 市 民 は 、当 日 の 討 議 内 容 ・ 態 度 や 、シ ン ポ ジ ウ ム ( 1 2 月 開 催 ) で の 発 言 で も「 成 熟した市民像」を具体的に示し、関係者に深い感銘を与えました。 6.これから 仮 に 温 室 効 果 ガ ス 排 出 を ゼ ロ に 出 来 て も 、残 念 な が ら 、急 に は 地 球 温 暖 化 は 止 ま り ま せ ん 。し か し 、こ れ か ら も 川 崎 市 民 1 4 5 万 人 に 、 低 炭 素 社 会 の 実 現 を 目 指 す 活 動 を 進 め な が ら 、気 候 変 動 へ の 適 応 策 の推進にも取り組んでいきます。 -24- 活動 20 年、これからの課題・・・ ファイバーリサイクルネットワーク 発表者 赤岡 清子 1、はじめに 私たち市民と故繊維業者(古繊維の回収業者)の二者が合意し「古布・古 着」を回収し、最後のリサイクルに至るまで、実践しながら情報を発信す る活動団体です。 2、設立の経緯 設立のきっかけは、今から約 24 年前、消費生活団体などで行われるバザー や不用品即売会の売れ残りが出た際に、それを利用してくれるところを探し ても見つからず、結局はごみとして出さざるを得ないという事が度重なって いました。そっと処分しながら“もったいない”との思いがありました。 そんな折、ミニフォーラム「リサイクルって本当に役に立つの?」 という 故繊維業者の講演を聞きました。講演を聞いたのち、「古布・古着」の回収 について学習会重ね、実験回収を 1 年間行い、これはやれる!と手ごたえを 感じて、FRNのシステムを整え、1992 年 6 月「ファイバーリサイクルネ ットワーク」を設立しました。 3、回収からの新たな展開へ 1)地区ごとに連絡会と回収拠点をつくり、年間の予定を立て、故繊維業者に 依頼します。設立当初は、回収拠点 71、回収量約 100 トンでしたが、2000 年には回収量約 490 トン、回収拠点も 300 拠点を超えていました。 しかし 1999 年頃から各地域で故繊維の行政回収が始まると、徐々に私たち 市民活動の回収量にも影響を及ぼし、徐々に回収量減となっていきました。 活動を始めて 21 年、回収量、拠点数ともに設立の時と、ほぼ同じ数字とな りました。 1999 年から春と秋に「リサイクルきものフェア」を開催しています。 「リサイクルきものフェア」は、回収した衣料 の中に混在している着物、 帯、和装小物の再利用と活かし方の提案の場です。 「リサイクルきものフェア」では、まだ着られる着物を安く販売したり、 リフォーム用の着物や端布なども販売しています。 -25- また、リフォームの仕方やサンプルを展示して、啓蒙活動をしています。 古くなった浴衣などの生地を利用して裂き布ぞうり作り、端布を利用した 布花ブローチ作りの講習会なども企画をしています。 提供しているリユース製品、リフォーム製品は、回収や寄付によって集ま ったものや、それを材料にしてメンバーの方々が色々とアイディアを出し 合ってリフォームしたものです。 「リサイクルきものフェア」の益金の一部はFRN(ファイバーリサイク ルネットワークの略称)基金として海外支援などに役立てるとともに、フ ァイバーリサイクルネットワークの活動を支えてもいます。 4、これからの課題 2000 年 3 月、横浜市南区に現事務所を持つことが出来ました。事務局は色々 な情報の提供、啓蒙のためのイベントや見学会などの企画なども行ってい ます。 活動を継続していくためには、多くのボランティアの皆さんの協力、支えが 無くては成り立ちません。 「古布・古着」の回収は各地域拠点の方々の協力があって成り立っています。 また、 「リサイクルきものフェア」を開催するためには半年の準備期間を要 します。開催までの作業を定期的に行い 黙々と準備をすすめてくれている 協力者の皆さんの段取りの素晴らしさは 、長年の経験からくるものと頭が 下がる思いです。 しかし、今春で 31 回を迎えたこの「リサイクルきものフェア」も、協力者 の方の年齢が高くなり、年々作業の厳しさを実感している現状があります。 活動を継続していくための課題として、①協力者の確保 ②作業の仕方の工 夫 ③作業の分担を担ってもらうために、事務所を置いている地域の就労 継続支援事業所等とのコラボレーションは、さらに一歩すすめたところで す。 ※本日は言葉の発表だけではなく、日頃和装小物などの再利用の提案として リメイク品や小物つくりをしていますので、作品を見て頂きたいと思いま す。 ファイバーリサイクルネットワーク事務局 〒232-0071 横浜市南区宿町 2-40 大和ビル 101 電話:045-710-6507 FAX:045-710-6508 ホームページ:http://www.fiber.jp/ -26- -27- 東日本大震災後の日本列島の大きなひずみ since 11th March 2011 *国際水素エネルギー協会 (IAHE) 副会長 株式会社ケイエスピー(KSP Inc.) 代表取締役社長 東海大学 工学部 水素・エコテクノロジー研究室 教授 内田 裕久* 3.11後の日本のエネルギー政策 第20回記念市民環境活動報告会基調講演 2014年3月1日 2013 ⑨ドイツ化学会DECHEMA 国際会議再生可能エネル ギー フランクフルト市2013 ⑩インドネシア 水素・燃料電 池国際会議 ジョグジャカ ルタ市2013) ⑥スイス 国立材料試験研究 所チューリッヒ市2012 ⑦ドイツ ゲッチンゲン大学 ゲッチンゲン市2012 ⑧ウズベキスタン NATOワー クショップ サマルカンド市 東京電力福島第一原子力発電所国会事故調査委員会報告書 黒川清委員長 http://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3856371/naiic.go.jp/en/report/ (NAIIC) Report (NAIIC) Report The National Diet of Japan: Fukushima Nuclear Accident Independent Investigation Committee Recommended Report: 東京電力福島第一原子力発電所 では何が起きたのか? ①タイ モンクット王立大学ラ カバン バンコク市2011 ②サウジアラビア アルイマム 大学 リヤド市2011 ③マレーシア 水素・燃料電 池国際会議 クアラルン プール市2011 ④デンマーク 東海大学コペ ンハーゲンセンター市2011 ⑤ノルウェー 国立エネルギー 研究所 オスロ市2011 2011年3月11日以降、この講演内容は 下記の機関からの要請で行いました Seawall From the IAEA accident report by Prof. Dr. Kenkichi Hirose, Tokai University, and Special Advisor to METI, Japan, July 2011. Seawall (height: 10m) 東京電力福島第一原子力発電所 1) 3.11自然災害・原子力災害後の 不透明な日本のエネルギー政策 2) 原子力への正しい理解を 3) 日本の再生可能エネルギーの現状 4) 水素エネルギー研究開発と普及の現状 5) まとめ 内容 6 1 2014/1/30 -28- 0.1~0.2μSv/h 2013年11月 0.4~0.5μSv/h 2011年11月 2013年 平成25年度文部科学省作成 放射線モニタリングより 栃木県那須湯本 空間放射線量 東日本の放射線分布 2013年 Diesel oil tanks for emergency generators • The Fukushima‐Diichi NPS lost total power ‐ blackout, and no cooling water was supplied to all NPPs. • This resulted in melt‐down and melt‐through of fuel rods with h huge amounts of radioactive substances in the reactors. f di i b i h • Radioactive substances were burst into air, and contaminated wide areas of Japan and sea in and near the NPPs’ site. The 3.11 Disaster ‐ Mega‐quake, Tsunami and Nuke Accident ‐ 54 on 1st March 2014 Now 0 NPP is in operation on 14th March after the earthquake attack Hydrogen Explosion or H d E l i Nuclear Explosion of No.3 reactor Explosion, meltdown, burst of radioactive substances into air and extensive contaminations on 12th March Hydrogen Explosion of No.1 reactor 東日本の放射線分布 2011年 Radioactivity mainly from 137Cs ☺)Natural radioact. =2.4mSv/y in average 廃棄 : USD 45 billion=4.5兆円 再稼働 : USD 27 billion=2.7兆円* <Note> * No cost for additional measures for terror attack, or the building the second control room for sever accident is included. * TEPCO’s payment for accident processing expenses is expected to exceeds USD 100 billion. <Scheme 2> <Scheme 1> < Data Source from Tokyo Shimbun Newspaper 31th May 2013> Calculated for the 50 NPPs of the 10 electric power companies by the nonpartisan cabinet members 原発50基の廃棄処理と再稼働 ‐ どちらが安い? ‐ Tokyo 0.07 Tsukuba 0.2 Fukushima Sendai 0.1 ☺ Iwaki City: 0 2‐0 0.2 0.5μSv/h 5μSv/h =1.75 – 4.38mSv/y ☺ Europe / Kanagawa 0.05μSv/h =0.43mSv/y Radioactivity in air at 1 m height above ground 2 2014/1/30 -29- 宇宙空間は放射線で満ちている • 「原子の力」を利用する技術 • 不安定な原子構造からより安定した原子構造に 変化しようとする際に 粒子または電磁波の形で 変化しようとする際に、粒子または電磁波の形で 放出されるのが放射線 1) 電磁放射線 X線 ガンマ線 2) 粒子放射線 アルファ線 ベータ線 中性子線 <利用技術> 1)発電(ウランの核分裂)=原子力発電(原発) 核兵器(高濃縮ウラン) 2)医療・農業・工業・産業に利用 原子力工学=原発ではない (財)放射線利用振興協会 内部被曝 1.65 mSv/年 外部被曝 0 75 mSv/年 0.75 合計2.4 mSv/年間 地表の日常生活での被爆 放射線利用分野 From Wikipedia : Earth’s magnetic field; NASA 大量の放射線を含んだ太陽風が地球に吹き付けている 地磁気が太陽風から人類を守っている 3 2014/1/30 0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 (108kWh) Generated electricitty Oil Nuclear Hydro LNG Renewable Coal 日本の発電構成 (METI 2012) Year 10.7% 25.0% 9.0% 39.5% 14.4% 1.4% 人口減少 日本の産業力は? 東海大学工学部原子力工学科はいち早く 湘南キャンパスの放射能測定結果を公表 http://www.ex.u-tokai.ac.jp/fukushima.html 1952 1955 1960 1965 1970 1971 1972 1973 1974 1975 1976 1977 1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 -30- June 2010 • 水素エネルギー社会の実現 50% (2020) to 70%(2030) 売り上げに占める割合 • 原発推進: 54 (2009) + 9 (until 2020) + more than 14 (until 2030) > 77 NPPs • 再生可能エネルギーシステムの商品化 • 次世代自動車の商品化: 3.11以前 旧エネルギー基本計画 2014年1月BP社発表 エネルギー供給の96%は輸入に依存 エネルギ 供給の96%は輸入に依存 原発を入れると80%が輸入依存(2010年) ⇒ 脆弱なエネルギー供給構造の強化 ⇒ エネルギーセキュリティの強化 ⇒ クリ クリーンエネルギー ンエネルギ 、省エネ技術開発が必須 省エネ技術開発が必須 2035年世界の電力供給予想 日本のエネルギー政策 JAPAN’S ENERGY POLICY AND STRATEGY 事実と背景 4 2014/1/30 -31- Sep. 2011 0 5 10 15 20 25 CIF Price Japan CIF price Northwest Europe market price Crude oil LNG and NG Coal 高価格の化石燃料 Japan Premium Average e German import p price Europe US Central Applachian spot price 2. 再生可能エネルギーの推進 (continued) 3. 省エネ技術の強化 (continued) 却下 「 2012年新エネルギー基本計画を発表予定」 1. 原発依存性3つのオプション* 0% 15% 25% *) このプランは2013年2月、自民党政権により 3.11後、民主党政権発表 on 23rd 2011 Fuel price (USD/MM MBtu) US 2014年1月30日現在 新エネルギー基本計画は? 0 CIF Price CIF Price CIF Price 1980 1985 1990 1995 2000 Changes in fuel prices in Japan 1975 10,000 20 000 20,000 30,000 40,000 LNG Coal 60,000 50,000 Oil 70 000 70,000 80,000 2005 安価、安定輸入できる石炭 2010 ベ ス電源は原発か ベース電源は原発か 政権与党内部でも見解が分かれる 東京都知事選挙の影響 政府による新エネルギー基本計画の発表は 1月から2月下旬へずれ込む見込み • 再稼働可能な原発電力比:15%~20%程度か • 再生可能エネルギーが30%近くなる可能性 • • • • JPY/Ton ベース電源:新トレンド 石炭・天然ガス火力の推進 UK (2005) US (2005) (2005) France Isogo in Japan (2010) (2005) 日本の再生可能エネルギー 5 2014/1/30 A permitted maximum level for new thermal power systems after 2013. Japan NOx SOx Renewable Energy in Japan Emissions of NOx, SOx from thermal power plants 0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5 ‐ 2013年5月経済産業省(推進)と環境省(反対)が承認 – g/kWh 3.11後のエネルギー基本計画案 Henry Hub price -32- output ≦ 20kW 57.75 20 output ≦ 20kW 57.75 Wind Tariff/JPY 15 biogas, woody materials, wastes and recycled woods 25.2 20 output ≦ 15,000kW 27.3 15 biogas, woody materials, wastes and recycled woods 13.65 ~ 40.95 20 Hydroelectric Tariff/JPY duration/year Geothermal Tariff/JPY duration/year Biomass Tariff/JPY duration/year FY2012 15 42 output > 15,000kW 20 30.45 200kW≦output <1,000kW 20 23.1 output > 20kW 10 42 output < 10kW FY2013 15 42 output > 15,000kW 20 30.45 200kW≦output <1,000kW 20 23.1 output > 20kW 10 38 output < 10kW バイオマス発電 地熱発電設備容量 : 0.5 GW (Oct 2013) with difficulty of sites in national parks, y p , or hot springs バイオマス発電設備容量 2.4 GW (Oct 2013) *FIT only for PV was reduced in 2013. 20 13.65 ~ 40.95 27.3 output ≦ 15,000kW 20 25.2 20 1,000kW≦output <30,000kW 20 1,000kW≦output <30,000kW duration/year 20 37.8 42 Tariff/JPY duration/year FY2013 output > 10kW FY2012 output > 10kW PV 20 35.7 Output < 200kW 10 34 FY2012 Output < 10kW (Double generation)※ 20 35.7 Output < 200kW 10 31 FY2013 Output < 10kW (Double generation) 固定価格買い取り制度 Feed-in Tariff in Japan 2012(July) –2014(March) 太陽光発電 Fig.1 Oogishima solar farm (13MW) Ref: Tokyo Electric Power Co.,Inc. 発電設備容量が急伸 PV 8.5 GW(May 2013)=> 11.2 GW(Oct 2013)* Wi d 2 7 GW Wind 2.7 GW Hydraulic (small to medium scale) 9.6 GW Biomass 2.4 GW Geothermal 0.5 GW Total capacity = 26 3 GW Total capacity = 26.3 GW *) 固定価格買い取り制度(FIT)導入で、太陽光 (METI, May 2013 to Sep 2013) 日本の再生可能エネルギー設備容量 Fig.1 Sakai solar farm (10MW) Ref: Sakai City Houses 7GW Non houses 3 8GW Non‐houses 3.8GW mega‐solar stations (over 1 MW) mega‐solar stations (over 10 MW) 太陽光発電設備容量 : 11.2GW (Oct 2013) with an extremely rapid growth by the FIT Pinwheel and observation device Ref: NEDO Wind power Kasumi Ref: WIND POWER Group WIND POWER Group • FITにより突出する太陽光設備容量の拡大 • 太陽光発電事業収益への過剰な期待と投資 => 建設権利転売、電力融通促進・電力自由 化の影響、FIT見直し など • 遅れる風力発電 • これからの地熱・バイオ発電 • 「地産地消」の再生可能エネルギーは? 再生可能エネルギー問題点 風力発電 Shinizumo wind farm (78MW) Ref: Japan Power Academy wind power station incl. below 1 MW offshore wind power station 風力発電設備容量 : 2.7GW(Oct 2013) with a slow growth rate. 6 2014/1/30 -33- => 原油から水素を中心したシステムへ => 神奈川県川崎市:石油から水素貯蔵・利用地域へ • 積極的な水素利用で中東からの原油輸入量を減らす • 原油輸入価格の余剰分で水素インフラ整備、関連産 原油輸入価格の余剰分で水素インフラ整備 関連産 業育成、水素市場に向けた雇用創出へ 日本では人口減少、効果的な省エネ技術の普及で、 原 原油輸入量は減少する見込み 入 減少 見込 石油関連企業の対策 水素・燃料電池と雇用創出 燃料電池技術がリード 水素エネルギー 研究開発と普及の現状 日本でも本格的 普及がはじまる 日本経済新聞 2013年10月31日 水素社会、2050年までは欧州が牽引 日本経済新聞 2013年10月31日 世界の水素社会市場は160兆円 (2050年) 水素価格は1/3 売上高は20倍 日本経済新聞 2013年10月31日 2050年、世界の水素需要は60倍へ <比較> 放射線利用市場 1)原子力発電 5~8兆円/年 2)医療 (X-ray, γ-ray, heavy ions beam for medical a ) 農業 業 産業 5 兆円/年 treatment)・農業・工業・産業:5~8兆円/年 3)宇宙開発 ?円/年 • 燃料電池市場は50兆円/年(2050年) 急速に伸びる日本の水素市場 7 2014/1/30 -34- 燃料電池自動車 FCV Emphasis in basic research on materials / Hydrogen storage containers in vehicles and for delivery and stations 3. 水素社会へのインフラ整備 Commercialization by 2015 Cost reduction / Higher durability 2. 燃料電池自動車FCV “ENE FARM” has been commercialized. Cost reduction / Performance improvement Cost reduction / Performance improvement 1. 定置型燃料電池システム:エネファーム 水素エネルギー現状と普及課題 燃料電池実用化推進協議会FCCJ 燃料電池自動車普及シナリオ Over 50,000 units have been installed up to August 2013 up to August 2013 Typical output: 750W to 1 KW PEFE / SOFC PEFE / SOFC ca.USD 20,000 per unit => ca.USD 70 to 80 per unit in 2016 広がる定置型燃料電池 ENE FARM • • • • • 広瀬雄彦 エネルギー・資源 35(2014)29など 天然ガス製造水素によるFCV => 35 ‐ 40% 天然ガス製造水素による 原油精製によるガソリン 車 => 19% 原油精製ガソリン利用ハイブリッド車 => 34% 天然ガス火力発電による電気自動車 => 33% 天然ガス自動車 ガ => 29% Data from Toyota/Nikkei March 21st 2013 なぜ燃料電池自動車 FCV? FCV の高いエネルギー利用率 ⇒ Increasing power security 都市ガス、メタンガス、下水から 発生する水素を利用した燃料電池発電 8 2014/1/30 -35- S j Station Senju St ti Haneda Station Ariake Station L‐CO2 for Agricultural applications 東京ガス水素燃料電池ステーション 3)水素=> FC燃料電池 => EV電気自動車 2)天然ガス => <改質> =>H2水素 => FCV燃料電池自動車 1)ガソリン => GVガソリン車 給油はマルチステーション 19th Apr 2013 不安定な再生可能エネルギー 水素や蓄電池で安定化 Solar / Wind/ Fuel Cell Hybrid Systems A realistic business for JX ENEOS : For many gasoline vehicles customers, and a few FCV customers. customers 日本初のマルチステーション 神奈川県海老名市 ENEOS Ice Molten Salt 熱貯蔵 化学的貯蔵 水素 MH High Pressure H2 L H2 L‐H2 電気的貯蔵 Pumped Water Storage Flywheel Pressed Air 機械的貯蔵 蓄電池 Redox flow Li‐ion Ni‐MH NaS Pb Capacitor Superconductor 再生可能エ ネルギー 電気化学的貯蔵 for Peak cut & shift / Backup / Power smoothing 再生可能エネルギーの貯蔵と出力揺らぎ平滑化 燃料供給時間と売値 EV: 30 min で数百円 FCV: 3 min で数千円 ガソリンステーションレベル 燃料電池自動車と電気自動車 9 2014/1/30 -36- 1)迅速な規制緩和 => > 国際社会との調和 2)安価で、安定な水素製造・貯蔵・輸送 3)社会インフラ整備 4)パブリックアクセプタンス ー水素を正しく理解してもらう ー「水素は危ない」を払しょくする 水素社会実現には何が必要か Tokai University/Nasu Denki Tekko *)Tokai University has operated a solar-hydrogen storage system over 10 years long in the 1980s 1. A Windmill (< 2kW) 2. 2 Solar cells (1kW) 3. S.P.E (2.2kW) 4. Pressure gauge 5. MH tank 0.9kg nano-FeTi ×3 tanks 6. Reservoir 7. Fuel cells (850W) 太陽ー風力エネルギーを水素で貯蔵する 水素吸蔵合金の利用~4年以上の連続運転中 Toyota FCV バス 緊急発電機 • 水素ステーション建設 約5億円 (EU、USAでは約1~1.5億円) • ガソリンスタンド 建設 約1億円 • 高圧ガス保安法・消防法・建築基準法など 規制緩和が必要 • 2015年ま 2015年までに1台500万円程度へ に1台500万円程度 • 自動車市場におけるFCVが占める割合 : 5%(2025) => 10%(2030) Nikkei : March 20th 2013 • METI reformed the high pressure gas law in A il 2013 t April 2013 to accelerate the introduction of l t th i t d ti f FCV in 2015. 70MPaH2 燃料電池自動車の価格 March 18th 2013 TOYOTA FC‐BUS This is useful for evacuees in a big hall like school or gym. 車内にコンセント2箇所設置、最大出力3kWの電力を100時間以上供給 A Toyota FC bus supplies 3 kW over 1000 h for 5days. 供給電力量 300~500 kWh 体育館照明 約5日分 規制緩和の必要性 A solar-hydrogen power station (HONDA) for FCV at Saitama Prefectural Office, Japan (left). The generated power from FCV can be used as AC power source to external systems using an inverter in an emergency (right). HONDA 太陽ー水素ーFCVシステムと 発電機になるFCV 埼玉県庁 10 2014/1/30 -37- • • • • ニュース : 千代田化工建設 水素放出反応 M(HSA) – H2 (H+) <= MH - Q : 吸熱 水素貯蔵反応 M(HSA) + H2 (H+) => MH + Q : 発熱 Reversible Hydrogen Reactions of Hydrogen Storage Alloys (HSA) 可逆的な水素と水素吸蔵合金の反応 千代田化工建設は川崎市に世界最大の 水素供給施設を2015年末までに建設予定 Total supply volume: 6x108 m3 for 500,000 FCVs Supply Capacity: 40,000 FCV/day JPY120/m3 => JPY80/m3 => > JPY60/m3 No extra liquefaction is needed 30th September 2013 世界最大の水素貯蔵・供給施設の開発に成功 TOLUENE Methyl-Cyclohexane (MCH) 1988年6月21日 1000回充放電可能を実証 企業が Ni/MH電池のR&Dを開始 プリウスなどのハイブリッド車開発へ 水素吸蔵合金を利用した ニッケル水素電池 TOLUENE ‐95 to +100℃ Storage capacity 6 2 wt% 6.2 wt% 47.4 g‐H2/m3 トルエンを用いた容易な水素貯蔵と輸送 Hydrogen desorption => Discharge MH => M(HAS Electrode) – H+ into H2O Hydrogen absorption => Charge M(HAS Electrode) + H+ from H2O=> MH VW TOYOTA Hybrid Vehicles ‐ Reversible Hydrogen Reactions ‐ ニッケル水素蓄電池 and desorption reactions of hydrogen storage alloys (HSA) are utilized for various applications • Reversible hydrogen absorption Technology gy without Consuming Hydrogen 水素を消費しない水素利用技術 排熱利用 11 2014/1/30 -38- MH冷水製造機を使った 1000m2 すいそイチゴ栽培ハウス A 1500 kW wind power system combined with and controlled by with a 102 kWh Ni‐ MH battery since 2007 by Kawasaki Heavy Industries, Ltd (KHI). Ni-MH battery Power converter 高い安定性と信頼性のニッケル水素蓄電池を使った 電力回収と風力発電の貯蔵・平滑化 KHI サツキマス養殖に成功 40 cm HOT → 1.2US冷凍トンの冷却能力3基のMH冷凍機 と工場排熱で、0-5℃の冷水製造。 ±1℃の水温調整が可能。 ← ALLOY MH Metal Hydride Freezer systems ±1℃の制御が可能 水素吸収反応熱 水素吸蔵合金とは? COLD • 原子力=> 原子の力を利用=> 放射線利用技術 (1)発電 (2)医療・農業・産業・工業利用 • 純粋な科学技術の視点から自然災害国日本にとって原発 事故リスクは他国に比べて高い => 3.11日本の体験は世界の教訓 • アジアや他国の原発普及を考えると、国際緊急原発事故 対策チームを創るべき => 放射線工学人材の育成=> 宇宙開発へ貢献 再生可能エネルギーへの過剰な期待 への過剰な期待、投資には要注意 投資には要注意 • 再生可能エネルギ • いろいろなエネルギーシステムと組み合わせて利用できる 水素技術を開発し、人間環境にやさしい技術:エコテクノロ ジーの開発・利用を実現し、人間の安全保障を高めるよう 努力したい まとめ ALLOY MH 水素吸蔵合金とは? 水素放出反応熱 12 2014/1/30 ライトダウンキャンペーンで素敵な夜を ~CO2 削減/小さな取組の大きな可能性について~ 川崎市地域女性連絡協議会(川女連) http://www.web-k.jp/kawajoren/index.html 青木恵美子・岩崎香代子・岩本孝子 1.はじめに 川崎市地域女性連絡協議会(以下、「川女連」)は、1947 年に前年からの準備 会を経て「川崎市婦人連盟」を結成し母親学級を開設、1958 年に「川崎市婦人 団体連絡協議会」に改称し婦人学級を実施、1990 年に婦人の表現を女性に変え て現名称に至ります。生活もままならない終戦直後から、地域に密着した実践 活動を展開し、67 年の歴史を歩んできました。 川女連では「学習・親睦・奉仕」をモットーに、5つの専門部会「子育て支 援部」、「平和女性部」、「環境消費部」、「文化部」、「広報部」と、各地区単位に よって構成されています。電話相談室「子育て心のケアネット」の子育て支援・ 男女共同参画の推進、平和のつどいや環境学習・消費者教育の継続、文化芸能 の発表会開催など社会教育関係団体として、下記の5つの活動目標を掲げ地域 に根ざした幅広い課題に取り組んでおり、今回は、環境消費部の活動について 報告いたします。また、川女連は、エコマーク商品の第 1 号でもある「ちふれ 化粧品」の生みの親と言われている全国地域婦人団体連絡協議会(以下、 「全地 婦連」)と全国指定都市地域女性団体連絡協議会に加盟しています。 川女連の活動目標 1 国際的な視野において平和について考え行動する 2 高齢社会に対応し、いきいきと生活するための支援活動を推進する 3 青少年の問題に対して、地域で子育て活動を暖かく見守り支援に努め 4 男女共同参画社会を身近なものにするための学習に努める 5 環境市民の輪を広げ、持続可能な社会の実現をめざす 1・1 環境消費部について 環境消費部では、環境市民の輪を広げ持続可能な社会の実現をめざすために ダンボールコンポストによる生ごみの堆肥化や廃食油リサイクル石けんの普及、 キャンドルナイトやライトダウンキャンペーンの実施を通して、地球温暖化防 止の活動に取り組んでします。川女連として、かわさき生ごみリサイクル実行 委員会に参画し、川崎・ごみを考える市民連絡会が築いてきたネットワークを 活かし情報交換や生ごみ堆肥化の推進に取り組んでいます。川女連会員が作っ -39- た堆肥を小分けし『みどりっこ』 (写真1)と名 付け、普及啓発用に頒布しています。また、廃 食油のリサイクル推進については、川崎市民石 けんプラントが製造している安全安心な石けん 『きなりっこ』の普及や廃食油の回収を行って います。昨年末には、 「重曹・石けん・クエン酸・ ピカピカ掃除&洗濯術」 (日本文芸社)を参考に、 石けん講習会を開催し、参加者から年末の大掃 除に大変役に立ったとの声が届きました。 写真1 みどりっこ さらに、フェアトレードや電磁波問題、廃棄物問題などタイムリーなテーマ による環境問題講演会や実践講習会などを年数回開催、また、環境産業都市・ 川崎における工場見学(昭和電工、JFE等)や屋上からメガソーラー(浮島 太陽光発電所)が展望できる「かわさきエコ暮らし未来館」などの施設見学会 を実施し、問題意識の向上に努めています。 1・2 情報収集と研鑚の場 東京電力福島原発事故以降、毎年秋に開催される全国地域婦人団体連絡協議 会全国研究大会(47 都道府県+2 政令指定都市)と関東ブロック会議(1 都 10 県 1 市)では、エネルギー・地球温暖化対策など一体的な見直しを必要とされ ることから低炭素社会の構築を訴える基調講演や分科会が多く開催され、全国 の女性団体へ体系的に情報の共有と普及啓発が行われています。また、毎年6 月に開催される全国指定都市地域女性団体連絡協議会研究大会(7 指定都市)で は、暮らしの中から CO2 削減を目的に、約 7 千世帯規模で「環境家計簿 10 月~ 12 月」を実施してきました。東京電力福島原発事故による節電意識の高まり、 エネルギー問題への関心の深まりから 10%近い CO2 削減の効果を確認したこと から 2012 年で一旦終了しました。資金調達や会員育成など政令指定都市の共通 した課題解決にむけて協議することで意義ある研鑚の場となっています。 神奈川県においては、県民部会・企業部会・行政部会の三者によるかながわ 地球環境保全推進会議の構成団体として県民部会に参加し、持続可能な社会か ながわの実現にむけて環境保全や新アジェンダの推進に取り組んでいます。 川崎市においては、川崎温暖化対策推進会議(CC かわさき)の CC 川崎エコ会 議メンバーとして参加し、地球温暖化防止に取り組 んでいます。正式名称は、カーボン・チャレンジ川 崎エコ戦略と言います。市民や事業者など川崎市の 多様な主体が一丸となって取り組む温暖化戦略 の ことで、環境と経済の調和と好循環を推進し、持続 可能な社会を地球規模で実現するため、全市をあげ て取り組むことを目的に 2008 年に設置されました。 イメージキャラクターのろじいちゃん&のみいち ゃんの「エコちゃんず」(右図)は大人気です。 出 典 : CC かわ さ きホ ー ムペ ージ -40- 2.ライトダウンキャンペーン 2・1 ライトダウンキャンペーンとは 毎年夏至の日を中心に「CO2 削減/ライトダウンキャンペーン」を環境省が、 ライトアップ施設等の消灯を呼びかける地球温暖化防止の取組です。 2003 年か ら始まり、京都議定書第一約束期間の初年度でありサミットイヤーでもあった 2008 年より夏至ライトダウン(ブラックイルミネーション)に加え、7/7 七夕 の日にライトダウンを呼びかける「七夕ライトダウン(クールアース・デー)」 が実施されています。これらの取組はライトアップに馴れた日常生活の中、電 気を消すことでいかに照明を使用しているかを実感し、地球温暖化問題につい て考える機会をつくることを目的としています。 2・2 スローガンと削減電力の集計 2012 年は「ライトダウンジャパン 2012」と題し「でんきを消して、未来をみ つめよう」を、2013 年は「ライトダウン 2013」と題し「でんきを消す夜。地球 を想う夜が、ちょっとステキになりますように。」をスローガンに、夏至の日か ら 7 月 7 日までの間を啓発期間として実施されました。両日を特別実施日とし 夜 8 時~10 時までの 2 時間の一斉消灯を呼びかけ、全国の参加施設数と登録者 自己申告の削減消費電力量を集計しています。表1は、近年の実施結果です。 表1 実施年 実施結果(夏至の日と 7 月 7 日の合計) 削減消費電力量 参加施設数 (参 加 施設 か らの 申 告に よ る数量 の 集 計値 ) 2013 年 36,128 箇所 632,013.28kWh 2012 年 33,808 箇所 1,737,133.90kWh 2010 年 138,905 箇所 1,803,356.00kWh 2009 年 162,233 箇所 2,365,658.00kWh 出典:環境省報 道発表資料 CO2 排出削減量 約 322t- CO2 ( 約 23,000 世 帯 の 一 日 あ た り の CO2 排 出 量に 相 当) 約 717t- CO2 ( 約 55,000 世 帯 の 一 日 あ た り の CO2 排 出 量に 相 当) 約 800t- CO2 ( 約 5 万 8 千 世 帯の 1 日あ た り の CO2 排 出 量に 相 当) 約 949t- CO2 ( 約 6 万 5 千 世 帯の 1 日あ た り の CO2 排 出 量に 相 当) ※2011 年は、東日本大震災を受けた節電の必要性を踏まえ、昼も夜も自主的にライトダウン することを呼びかける「昼も夜もライトダウン 2011」キャンペーンが実施され、電力消費 量抑制に寄与するため、 6 月 22 日~8 月 31 日の期間で、昼夜それぞれ任意 2 時間以上の 消灯を呼びかけました。夏至の日と7月7日の 両日とも夜 8 時から 10 時までの 2 時間程 度、一斉にライトダウンする施設が対象。夏至の日のライトダウンには、13,740 施設が参 加予定、約 585,814kWh の電力消費量の削減が予定されていたとのこと (6 月 21 日時点) ※参加施設数の推移 (2008 年は両日、2007 年~2003 年は夏至の日に最も近い日曜日に実施 ) 2008 年:149,937 箇所 2007 年:63,138 箇所 2006 年:39,845 箇所 2005 年: 22,716 箇所 2004 年: 6,088 箇所 2003 年: 2,278 箇所 -41- 3.活動内容 3・1 2012 年と 2013 に参加登録 夏至の日と 7 月 7 日の特別実施日の消灯に参加する施設は、 「 CO2 削減/ライト ダウンキャンペーン」のホームページにて登録をすることになっています。2012 年より夏至の日か 7 月 7 日のいずれか 1 日でも参加登録が可能になりました。 川女連は 2012 年と 2013 年に、川崎駅前の集合住宅において当該管理組合と ともにライトダウンキャンペーンを実施しました。参加登録は、原則 Web 以外 では受け付けていません。サイト内のフォームに施設名称・削減消費電力量・ 実施方法などの情報を特別実施日の前日までに登録すると、ホームページ等で 参加施設として紹介されます。ライトダウン設備を持たない場合でも呼びかけ 団体として登録することができます。川女連は呼びかけ団体として登録し、会 員ら各家庭でのライトダウン実践を呼びかけました。 3.2 ライトダウンキャンペーンの様子 集合住宅の管理組合と防災センターの協力によりポスターを掲示し、住民へ の普及啓発を行いました。また、川女連が 2004 年より取り組んでいるキャンド ルナイトも併せて実施しました。2012 年、最初の年は七夕のみの実施で、雨天 ということもあり、たまたま通りがかった人たちが気付くというまずまずの手 ごたえでした。2013 年、2 年目は住民から率先して LED キャンドルの持参があ りました。通行人はもちろん、時間になると親子で 1 階へ降りてきて鑑賞する などやりがいを感じました。写真 2 は集合住宅ロビーの照明がライトアップさ れている実施前、写真 3 は消灯し、微かに LED キャンドルの灯りが点在してい る実施後の様子です。2012 年・2013 年のライトダウン実施場所は同じです。 写真 2 3・3 実施前(ライトアップ) 写真 3 実施後(ライトダウン) 実施結果について データ提供:集合住宅防災センター 実施情報(2013 年) 削減 実施項目(夜 8 時~10 時) 夏至ライトダウン(6/21) 2.24kWh デザイン照明・光柱 32W×35 本 七夕ライトダウン(7/7) 2.24kWh デザイン照明・光柱 32W×35 本 -42- 3・4 キャンドルナイトの取組 川女連では、2003 年に枝廣淳子さんの講演会を開催したことがきっかけで、 2004 年より 100 万人のキャンドルナイトに参加、 「でんきを消して、スローな夜 を。」に賛同し、ささやかながら実施してきました。また、廃食油を使ったキャ ンドル作りの講習会を川崎市消費生活展や川崎市平和館などで開催し、川女連 独自の「冬至~クリスマス☆ロマンチックキャンドルナイト」を冬季限定で呼 びかけてきました。廃食油キャンドルの扱いは注意が必要で、近年は LED キャ ンドルを使用しています。2012 年に、100 万人のキャンドルナイトは終了する という区切りをつけましたが、川女連は受け継いでいきたいと考えています。 30 個ほどの LED キャンドルを揃え、貸し出しも実施しています。 廃食油を使ったキャンドル作り LED キャンドルで「七夕」 4.まとめ 小さな取組の大きな可能性について 4・1 クールアース・デーを素敵な夜に ライトダウンキャンペーンは地球温暖化防止のための国民運動「チャレンジ 25 キャンペーン」の一環として実施されています。2008 年の G8 サミットが日 本(洞爺湖)で 7 月 7 日の七夕の日に開催されたことを契機に、毎年 7 月 7 日 がクールアース・デーと定められたいきさつがあります。 必ずその日にという制約はなく、好きな時間にいつでも誰とでも、一人でも、 ライトダウンやキャンドルナイトを行うことができます。灯りを落とした空間 で、地球のこと環境のこと家族のこと平和のこと未来のことなど様々な想いを 巡らせることはとても素敵な夜ではないでしょうか。CO2 排出削減量はささやか で小さな取組でも、昨今、加速的に多忙化している日常においてライトダウン キャンペーンによる素敵な夜は、未来にむけてライフスタイルの見直しや知恵、 気づきを得ることの出来る大きな可能性を秘めていると思います。 4・2 廃食油キャンドル 廃食油の資源化を伝えるためにキャンドル作りを実施してきました。作る過 程でリサイクルについて学ぶことができ、石けんや車の燃料(BDF)に資源化さ れることから回収作業の必要性への理解につながります。油凝固剤を使う方法 は 40℃以上になると油が溶け出し、芯が倒れるなど危険で注意を要します。 -43- 4・3 LED キャンドル まるで本物の炎のようにゆらゆらと揺れる LED キャンドルが、年々低価格になって 100 円ショッ プでも出回っています。火傷や火災の心配もなく、 省エネルギーの LED キャンドルは今後もライトダ ウンキャンペーンに活用されていくことでしょう。 LED 照明においては、光の質やコントロールなど 今後も高付加価値の革新的な技術開発とともにグローバル化にむけて標準化が 求められます。 4・3・1 LED 照明機器の導入について 表1の 2013 年実施結果の削減消費電力量が参加施設数に対して低いのは、 LED 照明の導入が促進されたからだと推測されます。理由の 1 つに、2010 年 に「新成長戦略」で、グリーンイノベーションによる環境エネルギー大国戦 略の柱の一つとして、高効率次世代照明(LED 照明、有機 EL 照明)を 2020 年 までにフローで 100%、2030 年までにストックで 100%普及させる目標を掲げ たことと、2012 年に「日本再生戦略」で 2020 年までに公的設備・施設の高効 率次世代照明の導入率 100%達成の方針が示されたことで省エネルギー導入 拡大が順調に実践されているからです。照明が変われば、世界は変わります。 4・3・2 集合住宅の環境配慮活動について ライトダウンキャンペーンの会場となった集合住宅は 365 世帯、共有廊下 の照明 1531 個を LED 電球に交換し、電気使用量・電気料金を約 60%削減しま した。ほか、非常階段や地下駐輪場の人感センサー付き照明器具への変更や デザイン照明のライトダウン、廃食油の回収、リサイクルフェアの開催など 管理組合の理解と防災センターの協力により身近に出来ることから実践を始 めています。省エネの取組が認められ、「かわさき環境ショーウィンドウ大賞 2012」に入賞しました。集合住宅のスマート化が求められます。 5 むすび 2011 年、計画停電時の薄暗いレストランの空間をヨーロッパのようだと表現 されたかたがいました。暗闇は安全面では問題ですが、ほどよい明るさの心地 よさに気づく機会にもなりました。全地婦連では 2007 年より、灯りを消してお 月見を楽しむ「月見夜楽(つきみやがく)」を、伝統的七夕ライトダウン推進委 員会では 2011 年より、星に願う二日間(旧暦の七夕 2014 年 8 月 2 日) 「伝統的 七夕ライトダウン」を呼びかけています。太古の昔から人々が見上げてきた月 や星を楽しむことは豊かな感性を育み、自然との共生を深める手がかりになり ます。乾正雄氏の「夜は暗くてはいけないのか―暗さの文化論」 (朝日選書)に、 「暗さは人にものを考えさせるのだ」という言葉があります。灯りを消して、 未来のことを考えませんか。ライトダウンキャンペーンで素敵な夜を。 連絡先★住所:〒210-0011 川崎市川崎区富士見 2-1-3 川女連 メール: kawajyo@web-k.jp -44- 小学生を対象とした環境学習教室の活動報告 ~県及び大学と連携した取り組みの成果~ NPO 法人神奈川県環境学習リーダー会 発 表 者 大 岩 俊 雄 1.はじめに 神奈川県環境学習リーダー会(以下 K-leader 会)は、1993 年に始まった神 奈川県環境科学センターの 「環境学習リーダー養成講座」の講座修了者によ り、96 年に「神奈川県環境学習リーダー連絡会」が発足、2002 年に名称を「神 奈川県環境学習リーダー会」に変更し、2007 年に NPO 法人になり現在に至っ ております(1)。K-leader 会のHPによると「持続可能な社会を目指して, 各々の得意分野で率先して環境保全活動に取り組んでいます。そして,各人 が活動を通して得た体験や ノウハウを地域の環境学習などに活かすことを 目的としています。」とあり、具体的な活動としては、「①行政・学校・地域 グループの環境保全・環境学習のための企画,推進、②環境イベントの企画、 運営、講師派遣」を行っています。 K-leader 会では第 18 回市民活動報告会で報告したような会員による県内 大気環境調査のような活動の他、県民を対象とした環境学習活動を行ってい ます。 今回は K-leader 会環境学習の中で、神奈川県環境科学センターと共催した 「夏休み子ども環境学習体験教室(2013 年 8 月 4 日~7 日)」と神奈川工科 大学との「酒匂川・中津川生きもの調査(平成 25 年 8 月 10 日・20 日)」の 2 例について報告いたします(2)。(いずれも公募による) 2.環境学習教室について K-leader 会の企画する環境学習の対象として環境関係のイベントでは、社会 人を含む不特定な年齢層を対象とすることもありますが、上記のような公募に より受講生を募集する教室では、小学校の 4~6 年生を対象としています。 ただし、「かながわコミュニティカレッジ連携講座「環境ボランア入門」の ような成人を対象とした講座も開催しておりますので、K-leader 会の教室の受 講生が小学生に限定されているわけではありません。 対象を小学生高学年としている理由は、未来を担う小学生に対して環境につ いて意識を持ち、子どもたちが成人した後も環境を保全してもらいたいという 意図は勿論ですが、環境教室に同行する保護者対象に環境保全の大切さの再確 認や K-leader 会の活動を広報する役割も期待しています。 -45- 今回は、次の 2 種類の環境学習教室をご紹介いたします。最初は、神奈川県 環境科学センターの協力をいただき開催した平成 25 年度の「夏休み子ども環 境学習体験教室」で、県内から受講生を公募して実施しました(3)。 次の神奈川県水源環境保全再生市民事業支援補助金事業の一環として開催 した「酒匂川・中津川生きもの調査」です。 屋外での観察と室内での講義・ 実験の二部構成を採用していますが、神奈川工科大学の高村教授、石綿客員教 授のご指導により、小学生やその保護者が大学の先生から教えていただくとい う機会の場でもあり、さらに大学の研究室の大学院生や学生の参加・協力を得 ることから若い世代へのアピール効果も副次的に期待されます(3)。 いずれの教室も楽しみ遊びながら環境について学んでいくように企画され ています。 3.夏休み子ども環境学習体験教室概要 この教室は、神奈川県環境科学センターの全面的なバックアップの下、 K-leader 会が夏休みに主催するもので、受講生募集は共同で、教室会場や機材 は環境科学センターの施設、備品を借用しています。 表1 夏休み子ども環境学習体験教室内容一覧 8 月 5 日(月)いろいろな電池を作ろう 電池がデジカメや時計など身近に使われていることを確かめ、次に 2 種類の金属を食塩水 に漬けることで電気が起こり、オルゴールが鳴ることを体験しました。続いて、各種硬貨 を使った電池や備長炭とアルミホイルの電池作りを体験しました。これらの工作を通じて 楽しみながらエネルギーの大切さも学びました。 8 月 6 日(火)ケナフ知ってる?ハガキを作ろう 紙を森林の樹木を原料とせずに生長の早いケナフ(西アフリカ原産のアオイ科フヨウ属の 植物)から作ることができることを体験していただきました。屋外に出て、ケナフの実物 を見てもらい、二酸化炭素を良く吸収することから地球温暖化の防止にも繋がることを学 びました。次にケナフの繊維から、各自、オリジナルのハガキを作りました。 8 月 7 日(水)水の不思議を知ろう 身近な液体である「水」が実は、いろいろなものを溶かすことができる溶媒であること、 固体を溶かして見た目に見えなくなっても重さは同じで変わらないこと、油と水は混じら ないが、石けんなどで乳化できることなど、水を題材に実験をしてもらいました。水があ る地球で生物が発生し、水と生きものとの関係について学びました。 8 月 8 日(木)二酸化炭素について調べてみよう 地球温暖化に関係する二酸化炭素について、大気中での存在量、他の気体との比較から始 まり、水に溶解しやすいことをペットボトルがつぶれる実験で、温暖化に関わることは二 酸化炭素を入れた容器に光を当てる実験で確かめました。二酸化炭素を出さない生活につ いても考えました。 -46- 対象となる受講生は県の公報、環境科学センターのHP,K-leader 会HP等に よるため、受講生の居住地は県内各地広範囲にわたりますが、開催施設が平塚 市の神奈川県環境科学センターであることから、平塚市近隣からの受講者が多 い傾向がみられます。なお、会費は徴収していません。各教室はそれぞれ個別 に募集していますが複数の教室に応募。参加する受講者もいます。各教室の受 講者は 20 数名から 30 名程度で 10 時から 12 時までの 2 時間です。 平成 25 年度の夏休み子ども環境学習体験教室の各教室の内容を表 1 に示しま す。各教室間に若干違いがありますが、主に工作を通じて環境やエネルギーに ついて考える教室(ケナフ、電池)と実験を通じて身近な大気や水について考 える教室(大気、水)がありますが、環境問題に関心を持つきっかけとなるこ とに違いはありません。 写真1 夏休み子ども環境学習体験教室(左:いろいろな電池を作ろう、右:ケナフ知ってる?ハガキを作ろう) 写真 2 夏休み子ども環境学習体験教室(左:水の不思議を知ろう、右:二酸化炭素について調べてみよう) 4.酒匂川・中津川生きもの調査 この教室は、神奈川県水源環境保全再生市民事業支援補助金事業の一環として実 施されたもので K-leader 会と神奈川工科大学が共催により開催しています。なお、 それぞれ酒匂川生きもの調査は小田原市教育委員会、中津川生きもの調査は厚木市 教育委員会の後援をいただき、前者は小田原市内の小学生、後者は厚木市内の小学 -47- 生が受講対象で公募により募集しています。開催日はそれぞれ平成 25 年 8 月 10 日 及び 20 日です。いずれも午前 10 時~12 時までの 2 時間で、開催場所は、酒匂川 と講義会場は小田原アリーナ、講師は神奈川工科大学石綿客員教授、神奈川県環境 科学センター齊藤部長でした。小学生 10 名+保護者が参加、水生昆虫、甲殻類、 魚類など水生生物の観察、採取等現地調査の後、アリーナにて石綿先生の講義があ りました。 中津川生きもの観察会は 10 時~13 時の 3 時間、現地調査は中津川、会場は神奈 川工科大学の教室を使用しました。講師は神奈川工科大学高村教授、石綿客員教授 及び同大学生・院生 14 名がスタッフとして参加する等、バスの手配も含め、神奈 川工科大学のバックップがありました。申し込みが 60 名以上あり、抽選で選ばれ た子ども 34 名+保護者が参加しました。水生昆虫、魚を採取し、大学に持って帰 って観察しました。石綿先生の水生生物に関する講義、高村先生の簡易水質調査な ど、実験を大学の教室で行いました。 写真 3 生きもの観察会(左:酒匂川生きもの観察会 現地調査、右:中津川生きもの観察会 水質簡易試験) 5.受講生の反響と効果 夏休み子ども環境学習体験教室の受講生のアンケート結果の抜粋を引用すると 以下のようになります。教室の内容に留まらず、さらに知りたいという回答が多く、 再度、受講したいという回答が多いことは主催者としては大いに励まされる回答で した。その他、自由記入欄でも教室で科学あるいは環境に目をむけるようになった きっかけになったという回答が多くありました。 質問 環境についてもっと知りたいと思いましたか? ア もっと知りたいと思った イ 何も思わなかった ウ どちらでもない 71% 9% 20% -48- 質問 来年も夏休み子ども環境教室が開催されたら参加したいですか? ア 参加したい 77% イ 参加したくない 0% ウ どちらでもない 23% 6.他の学習(教室)形態等との比較 K-leader 会で実施している他の形式の学習教室との比較を行うと以下のように なります。なお、人通りの多い箇所での展示や環境フェスティバルでの展示は、学 習教室ではありませんが、参考のために示しました。 参加者の意思による程度が高い順に、「応募により参加し、かつ少額であれ会費 徴収のある教室~応募により参加し、会費徴収のない教室~出前授業など学校教育 の一部で行うもの~環境展など展示~公共通路や店舗等での展示・講演」になると 思われます。なお、自宅からの教室または展示までの距離、所要時間などの大きな ファクターですがここでは触れません。 上記の分類で中心に置かれている小学校での出前授業では参加者相互はクラス メートであり、また学級担任の先生も同席することが多いですから学校生活の延長 線上と雰囲気で学習できます。一方、参加する側には選択しているわけではないの で、意欲という点では初めから興味のある子ども、関心がなかったが講師の説明等 で感心、興味が出てきた子ども、短時間では関心を持ってもらえなかった子どもに 分かれます。 応募による参加の場合、その教室のテーマに関心を持ち、興味があるために参加 しているので、一律に学校教育の一部としての出前授業と比較するとテーマに対す る関心度は高いと考えられます。 その対極に位置するのが、不特定多数対象の展示があります。環境展や科学展で は、保護者を含めて関心がある方がそもそも入場していますが、一般の方が対象の 場合、環境保護に対する市民活動の話から始めることもあり、一方、専門的な質問 をする方もあります。 では、環境学習体験教室や生きもの調査に応募するかどうかを決定するのは、参 加している小学生であるかというと、その決定については保護者の意向が大きく反 映しています。この件について、本教室ではアンケート調査を行ってはおりません が、小学生 4~6 年生の場合、保護者が教室の応募やその内容の判断に関わる例が 多いようです。ただし、子どもが全く興味を示さない場合は応募しないこともあり ますのである程度、環境問題に関心のある保護者とその子女が教室に参加している ことになります。 7.市民への環境問題への関心の提起と市民団体の環境活動への広報効果 環境学習体験教室、生きもの調査のいずれも保護者が同行し、あるいは教室で講 師の説明を聞くことになるので、主催者側としては、環境問題への関心の提起や環 -49- 境保護活動への市民団体の貢献を広報できる場としても有用であると思われます。 さらに、生きもの調査では先述のように神奈川工科大学の大学生・大学院生 14 名 がスタッフとして参加しました。K-leader 会の講師陣は中高年齢層が多いですが、 小学生の保護者に相当する 30 代、また、大学学生、大学院生の 20 代への市民活動 アピールや活動の継承への期待もあります。 8.まとめ K-leader 会の環境学習活動は、小学校ヘの出前授業、小学生対象の公募による教 室、成人対象の環境入門講座等の環境学習講座を行っております。その中で今回取 り上げた小学生対象の公募教室は、小学生及びその保護者、さらに企画によっては 大学生など多くの世代に対して環境について学び、考える場を提供する手法のひと つとして有効であると考えています。今後とも神奈川県及び県内の大学等とともに 環境学習活動を通じて環境保全活動に多少なりともお役に立ちたいと考えており ます。 参考 (1)神奈川県環境学習リーダー会 HP:http://npo-k-leader.net/ (2)神奈川県環境科学センターHP 講座・イベントのお知らせ: http://www.k-erc.pref.kanagawa.jp/learning/event/event.html (3)神奈川県環境学習リーダー会 HP 会報のページ会報 No. 84 -50- テーブルセッションのご案内 15:00~16:20 今年は興味、関心のあるテーマについて、もっと詳しく聞いてみたい人や共 に活動してみたいという人のためにテーブルセッションを用意しました。口頭 発表の方も是非ご参加下さい。 <どなたでも自由に参加できます> テーマ1 テーマ1 再生エネルギー かながわ地球環境保全推進会議 水野次郎 石井 榮 NPO法人神奈川県環境学習リーダー会 テーマ2 テーマ1 環境学習 NPO法人かながわ環境カウンセラー協議会 三島通世 田口繁雄 NPO法人神奈川県環境学習リーダー会 テーマ3 テーマ1 自然観察 NPO法人神奈川県環境学習リーダー会 NPO法人かながわ環境カウンセラー協議会 吉岡嗣二郎 片野真琴 新ライフスタイル (生活環境) テーマ4 NPO法人神奈川県環境学習リーダー会 NPO法人かながわ環境カウンセラー協議会 かながわ地球環境保全推進会議 -51- 荒谷輝正 川村卓正 押見 史 テーブルセッションの配置図 テーブル4組 間にパネルを3 組づつ配置 演 題 -52- テーブルセッション メモ 第 20 回記念市民環境活動報告会 実行委員会 委員長 副委員長 会 計 委 員 委 員 委 員 委 員 柳川三郎 川村卓正 田口繁雄 荒谷輝正 石井 榮 吉岡嗣二郎 水野次郎 委 員 押見史 委 員 三島通世 委 員 片野真琴 委 員 吉野榮一 (オブザーバー) 鷺山享志 高崎苗帆 (NPO 法人神奈川県環境学習リーダー会) (NPO 法人かながわ環境カウンセラー協議会) (NPO 法人神奈川県環境学習リーダー会) (NPO 法人神奈川県環境学習リーダー会) (NPO 法人神奈川県環境学習リーダー会) (NPO 法人神奈川県環境学習リーダー会) (かながわ地球環境保全推進会議) (かながわ地球環境保全推進会議) (NPO 法人かながわ環境カウンセラー協議会) (NPO 法人かながわ環境カウンセラー協議会) (NPO 法人かながわ環境カウンセラー協議会) (神奈川県環境科学センター環境活動推進課) (神奈川県環境計画課)
© Copyright 2024 Paperzz