平成25年度 - 佐賀大学大学院工学系研究科技術部

平成25年度
Vol.5
佐賀大学大学院工学系研究科技術部
巻
頭
言
工学系研究科技術部報告の刊行によせて
工学系研究科長(技術部長)
石橋
孝治
理工学部技術部は、平成 19 年 4 月に理工学部の各学科に分散所属していた技術職員を組
織化することにより誕生しました。平成 22 年 4 月の組織見直しにより、工学系研究科技術
部となりました。技術職員は、“ものづくり”を通じて人類の安全安心に基づいた生活を豊
にする工学分野(電気電子工学、機械システムエ学、都市工学)と、理と工の架け橋を担
う融合分野(情報科学、循環物質化学、先端融合工学)に総勢 24 名が、機械部門、電気部
門、環境・情報部門を構成して所属しています。専門知識及び技術スキル等の教授におけ
る教育・研究支援者としての役割のみならず、地域社会と産業の発展と振興に貢献する役
割を果たすこともミッションの一つとしています。
技術職員は各部門において日々研鑚を重ねています。学内においては、職員自らから部
門別にテーマを決めて研修会を開催し、技術の研鑚を行うと共に他部門の技術職員も参加
し、自らの専門分野以外の技術の習得に努めています。また、実行委員会を構成して技術
研究会を開催することにより、技術職員間での知識や技術の共有にも努めています。一方、
学外においては九州地区国立大学法人等が主催する研修会、総務省行政管理局が主催する
情報システム統一研修会、九州総合技術研究会や機器分析技術研究会などへの参加し、技
術発表や聴講などを通じて知識ならびに技術の形成も積極的に行っています。このように
技術部の諸活動により培われた専門技術を継承し、技術職員のスキルアップを恒常的に図
り、高度な人材育成の要求にも対応できるよう努めて来ています。
平成 21 年度に創刊した本技術部報告も平成 25 年度で Vol.5 を数えることになりました。
SAGA わくわく祭エンスフェスタやみんなの科学広場への出展等の地域社会貢献活動も含
め、平成 25 年度の活動成果をとりまとめました。皆様方の忌憚のないご意見をいただき、
更なる研鑚に努めたいと考えております。ご一読の程、よろしくお願い致します。
最後に、技術職員にとって、上記のような学内外における技術の研鐸、自らの能力の向
上への取り組み、地域貢献を計画的、組織的に行えるようになったことは、組織化による
大きな成果と言えます。理工系人材の育成を担う理工学部は改組によりその機能強化を計
画しています。より一層、高度な技術が要求されることとなると思われますが、技術部の
技術職員が一丸となって、CPD(Continuing Professional Development)に取り組み、皆様
の期待に違わぬ成果をあげてもらえるものと確信しています。
目
次
1. 学科外業務活動報告・・・・・・・・・・・・・・・1
2. 技術研修・技術研究会報告・・・・・・・・・・・・6
3. 技術部全体会議議題・・・・・・・・・・・・・・・24
4. 佐賀大学技術研究会・・・・・・・・・・・・・・・29
1.学科外業務活動報告
1. 学科外業務活動報告
(1)支援業務
運営支援業務 4 件,
技術支援業務
10 件
次頁に内訳を記載した。
(2)社会貢献活動
(ⅰ)SAGA わくわく祭エンスフェスタ 2013(資料
主
別紙
)
催:佐賀県
開催日:平成 25 年 8 月 24 日(土)~8 月 35 日(日)
場
所:佐賀勤労者総合福祉センター(佐賀市
出
展:機械部門
メートプラザ佐賀)
テーマ:いぬ、ねこキーホルダー作り
来場参加者数:約 1,800 名
ブース来場参加者数:約 390 名
(ⅱ)第 3 回みんなの科学広場 in 唐津(資料
主
別紙
)
催:みんなの科学広場 in 唐津実行委員会
開催日:平成 25 年 10 月 6 日(日)
場
所:唐津市ふるさと会館「アルピノ」
出
展:電気部門
テーマ:身体の動きでロボットを動かそう
来場参加者数:約 600 名
ブース来場参加者数:80 名超
(ⅰ)、(ⅱ)について報告書を4頁,5頁にそれぞれ記載した。
-2-
1.(1)支援業務
A.運営支援業務
依頼者
日時
内容
担当部門、または担当
工学系研究科長
通年
議事録等登録システム改善業務
田中、羽根、村岡
総合分析実験センター
通年
液体窒素製造装置に関する
鳥飼
准教授
兒玉宏樹
工学系研究科事務室
技術支援業務
6/26
工業系高校校長との懇談会
環境・情報部門
会場設営・撤収
工学系研究科事務室
8/22
理工学部後援会総会
機械部門
会場設営・撤収
工学系研究科長
H26 年
工学系研究科・理工学部
2 月~
ホームページ管理業務
大隈
B.技術支援業務(依頼件数 10 件:内、機械部門 10 件
依頼者
(工)技術部
技術専門職員
柴
柴
技術員
池田
機械
4/30
三軸圧縮試験用載荷おもりの加工
機械
5/1
車止め穴蓋製作
機械
5/14
ベーンせん断試験装置の部品加工
機械
5/20
モリブデン板
機械
6/11
側溝枡蓋の製作
機械
事務員
6/14
車止め穴蓋製作
機械
12/6
試料抜取り機ハンドル加工
機械
2/17
学生実験用ケイ素鋼板のワイヤカット切断
機械
3/25
丸椅子脚部溶接
機械
ワイヤカット切断
進
(教)附属小学校
佐野哲也
(事)教務課
副課長
奥村直美
(工)都市工学専攻
柴
錦春
(工)技術部
技術専門職員
藤崎寿一
(教)附属小学校
事務員
アーク溶接
錦春
総合分析実験センター
教授
4/12
奥村直美
(工)都市工学専攻
教授
担当部門
錦春
(事)教務課
副課長
内容
藤崎寿一
(工)都市工学専攻
教授
受諾日
佐野哲也
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1.(2).(ⅰ) SAGAわくわく祭エンスフェスタ2013 参加報告
SAGAわくわく祭エンス 2013
イベント名 : SAGAわくわく祭エンス 2013
イベント内容
基礎科学に対する理解を深めていただくことを目的に、子供から大人まで幅広い年齢層の人たち
が、科学技術全般に親しみ、楽しむことができるイベント。
開催日時 : 平成25年8月24日(土) 10時~17時
開催日時 : 平成25年8月25日(日) 10時~17時
開催場所 : 佐賀勤労者総合福祉センター(メートプラザ佐賀)
イベント参加人数 : 幼児から小学生を中心に約1800名
ブース出展参加人員 : 6名
青沼 ・ 松岡 ・ 村岡 ・ 川平 ・ 河端 ・ 花屋
出展ブースタイトル : 『いぬ・ねこキーホルダー作り』
出展ブース内容
いぬとねこのオリジナルキーホルダー作りを行うブースを出展した。
準備された金属板に好きな文字を打ったり、穴を開けたりと皆真剣に取り組んでいた。金属板への
いぬ・ねこ形彫りをCG等で説明すると、興味津々に耳を傾け金属加工の知識を深めていた。
ブース参加人数は390名と大盛況で、準備した全ての材料がさばけた。今回、金属加工をテーマ
としたブース出展で、多くの子供たちに金属加工の魅力を伝えることができた。
イベント風景
写真1.ブース全体
写真2.穴あけ加工
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1.(2).(ii) 第3回 みんなの科学広場 in 唐津 参加報告
第 3 回 みんなの科学広場 in 唐津
参加報告
イベント名称:第 3 回 みんなの科学広場 in 唐津
主催・みんなの科学広場 in 唐津実行委員会
共催・唐津市,唐津早稲田交流推進協議会,からつ大学交流連携センター
講演・佐賀県教育委員会,唐津市教育委員会,唐津商工会議所,九州大学,佐賀大学
福岡工業大学,早稲田大学
参
加
:電気部門(吉田 浩,築地 浩,永渕 一成,上地 佑)
テーマ名
「身体の動きでロボットを動かそう」
開 催 日 時 :平成 25 年 10 月 6 日(日)10:00~16:00
開 催 場 所 :唐津市ふるさと会館「アルピノ」
イベントの概要
科学技術の面白さ,楽しさ,発見の喜びや感動を多くの子どもたちに体験してもらうために,唐津市
内の中学校,高等学校が中心となって,科学に親しむイベント「第 3 回 みんなの科学広場 in 唐津」が
開催され技術部電気部門も出展参加した.
このイベントには,唐津市内の中学校,高等学校をはじめ大学・企業・公的機関が体験ブースを出展
し,技術部電気部門では生体信号を計測・解析してロボットを操作する内容の「身体の動きでロボット
を動かそう」の体験ブースを出展した.
電気部門のブースでは,参加者の身体から計測される生体信号(心電図・筋電図)を見るコーナーと,
参加者の腕の表面から計測される電気信号(筋電図)を利用し,腕型ロボットを操作してお菓子を掴み
取るというコーナーを設け実験を行った.今回の参加者は小学生が中心であり,実験原理が理解できる
か心配したが,UFO キャッチャーの要領でロボット操作ができるため,子供達は興味を持って実験に臨
んでいた.この体験ブースでは 80 名を超える参加者があり,順番待ちができるほどであった.今後もこ
のようなイベントに参加し,子供達が科学に興味を持つよう協力を行いたい.
-5-
2.技術研修・技術研究会報告
2.技術研修・技術研究会報告
2-1
研修
【A. 技術部主催研修】
(1) 第 8 回工学系研究科技術部専門技術研修(平成 25 年度)
内
容:増幅回路の基礎と製作(生態信号の計測)
日
程:平成 25 年 9 月 19 日(木)~9 月 20 日(金)
場
所:理工学部 5 号館 104・105 号室
担
当:電気部門
講
演:杉
講
師:吉田
剛直准教授(海洋エネルギー研究センター)
浩,藤﨑寿一,永渕一成
受講者数:18 名
(2)技術伝承 OJT による技術伝承
内
容:機械工作実習について
前期:平成 25 年 4 月 10 日(水)~7 月 25 日(木)
後期:平成 25 年 10 月 2 日(水)~平成 26 年 1 月 30 日(木)
受講者数:1 名
(1)(2)については 8 ~ 10 頁に報告書を記載した。
【B. 九州地区国立大学法人等研修】
(1) 技術職員スキルアップ B 研修
当番校:宮崎大学
受講者数:2 名(土木・建築分野)
(2) 技術専門員研修
当番校:長崎大学
受講者数:1 名
【C. その他の研修】
(1)情報システム統一研修(第 1/四半期~第 4/四半期)
受講者数:5 名(CD-ROM 研修 3,集合研修 2)
(2)放送大学を利用した研修(第 1 学期、第 2 学期)
受講者数:7 名
(3)佐賀大学新採用者研修(平成 25 年 9 月 4 日~平成 25 年 9 月 6 日)
受講者数:1 名
(4) 佐賀大学フォローアップ研修(平成 25 年 9 月 19 日~平成 25 年 9 月 20 日)
受講者数:1 名
(5) 佐賀大学中堅職員研修(平成 25 年 6 月 24 日∼平成 25 年 6 月 25 日)
受講者数:1 名
-7-
2.1.A-(1) 第8回 工学系研究会技術部 専門技術研修報告
第8回
研修名 : 第 8 回
工学系研究科技術
工学系研究科
部専門技術研修(平成 25 年度)
技術部専門技術研修(電気分野)
研修期間 : 平成 25 年 9 月 19 日(木)~平成 25 年 9 月 20 日(金)
研修場所 : 理工学部 5 号館 104・105 室
参加人数 : 15 名
機械部門
―
松岡,杉町,大隈,村岡,川平,花屋
電気部門
―
吉田,藤崎,石峯,永渕,上地
環境・情報部門
講師
―
―
山内,川崎,野口,鳥飼
技術専門職員
吉田浩,技術専門職員
永渕一成
研修概要
1日目
―
①講演『生体信号の特徴と解析:脳波を中心として』
講師:杉剛直准教授(海洋エネルギー研究センター)
②トランジスタ増幅回路(原理・基礎,回路製作,回路の動作確認・評価)
2日目
―
①オペアンプ回路(原理・基礎,オシロスコープを用いた実習)
②生体信号計測用作動増幅回路(回路製作,回路の動作確認・評価)
研修を終えて
本研修では、電気回路の基礎である増幅回路の製作を行った。一般的によく用いられる増幅素子であ
るトランジスタ及びオペアンプについて、その原理、基礎を習得するとともに、実際に回路の製作を行
い、機器類を用いて実測・評価を行うことによって回路製作技術の基礎を習得した。
また、応用例として医工学分野における生体計測の現状と展望についての講演を聴講することにより
知見を広めることができた。
習得した増幅回路の基礎知識や製作技術は、今後の支援業務において大いに役立つと考えられる。
研修風景
写真1.回路の基礎説明
写真2.オペアンプ回路製作
-8-
2.1.A-(2) 技術伝承研修OJTによる新採用者への技術伝承報告
技術伝承研修 OJT による新採用者への技術伝承 報告
研修名:
平成 25 年度 技術伝承研修 OJT による新採用者への技術伝承
「機械工作実習について」
講師:
青沼陽介,松岡宗治,杉町等,大隈善文,松本哲夫,村岡昭男,宮部義久,
川平雅彦,河端亨
研修期間:
機械工作実習Ⅰ:平成 25 年 4 月 10 日~平成 25 年 7 月 25 日
機械工作実習Ⅱ:平成 25 年 10 月 2 日~平成 26 年 1 月 30 日
研修場所:
理工学部実習工場
受講者:
1名 (機械部門: 花屋倫生)
研修の概要:
機械工作実習Ⅰ,Ⅱは技術部機械部門の職員が各テーマに分かれ,指導を行っている.本研修
は,
機械部門に新規配属された職員を対象とし,各テーマの機械工作実習を体験させ,
実習内容,
および指導方法を把握させることを目的とする.機械工作実習Ⅰ,Ⅱのテーマは下表のとおりで
ある.
表.機械工作実習のテーマ
機械工作実習Ⅰ
機械工作実習Ⅱ
1
鋳造
旋盤
2
溶接
NC
3
旋盤
溶接
4
フライス盤
手仕上げ
5
手仕上げ
立・横フライス盤・立削り盤
6
マシニングセンタ
シーケンス制御
7
エンジン分解・組立
マイクロマウス
8
精密測定
9
ドラフティング
研修を終えて:
機械工作実習Ⅰ,Ⅱの指導は技術部機械部門の職員が各テーマを担当しており,新規に配属さ
れた者についてもいずれかのテーマを担当することになっている.今回,研修の対象となった花
屋氏は,機械工作実習Ⅰでは全テーマを回り,機械工作実習Ⅱでは1つのテーマについて詳細に
学び,実際に担当を行った.
今回の研修により,機械工作実習の内容全般を把握することができた.その上で機械工作実習
Ⅱのテーマの1つである精密測定実習を実際に担当し,指導することができた.また,次年度の
機械工作実習Ⅰについて,溶接実習の担当を宮部氏と共に行うことが決まった.実習の指導にお
いて,この研修の経験が大いに役立つと考えられる.
-9-
2-2
技術研究会
【A.学内】
(1) 佐賀大学技術研究会
佐賀大学の各部局代表の技術職員で実行委員会を構成し、佐賀大学技術研究会を開催した。
開催日時:平成 26 年 2 月 28 日(金)
会
10:00~17:15
場:理工学部大学院棟 301 室
発表者数:10 名(内技術部 5 名)
参加者数:50 名
なお、本研究会内容および技術部発表者の発表要旨と発表用スライドを 4 章に記載した。
【B.学外】
以下の技術研究会に発表・聴講参加した。
(1) 平成 25 年度
機器・分析技術研究会
鳥取大会
開催日:平成 25 年 9 月 12 日(木)~9 月 13 日(金)
開催地:鳥取大学
発表者数:1 名
聴講者数:1 名
(2) 第 35 回生理学研究会
開催日:平成 26 年 2 月 20 日(木)~2 月 21 日(金)
開催地:岡崎コファレンスセンター(愛知県)
発表者数:1 名
(3) 核融合科学研究所技術研究会
開催日:平成 26 年 3 月 13 日(木)~3 月 14 日(金)
開催地:犬山国際観光センター(愛知県)
聴講者数:1 名
(4) 平成 25 年度情報技術研究会
開催日:平成 26 年 3 月 17 日(月)~3 月 18 日(火)
開催地:九州工業大学
聴講者数:1 名
(5) 平成 25 年度九州総合技術研究会 in 長崎大学
開催日:平成 26 年 3 月 19 日(水)~3 月 20 日(木)
開催地:長崎大学
発表者数:2 名
聴講者数:7 名
各項の報告書ならびに(1)(2)(5)の発表要旨を 11 ∼ 23 頁に記載した。
-10-
2-2B(1)平成25 年度 機器・分析技術研究会 鳥取大会報告
出張報告書
平成 25 年 9 月 17 日
出張期間
出張先
出張内容
出張者
平成 25 年 9 月 12 日(木)
~ 平成 25 年 9 月 13 日(金)
鳥取大学
平成 25 年度 機器・分析技術研究会 鳥取大会への参加
機械部門 :河端,花屋
計2名
平成 25 年度 機器・分析技術研究会 鳥取大会に参加し,発表を行った.
機器・分析技術研究会概要
参加者 211 名.口頭発表 6 件,ポスター発表 74 件.
発表題目
P-69 機械工作実習における手仕上げ実習の紹介
佐賀大学工学系研究科技術部 ○河端亨
発表数:1 件
概
要
感想
他大学の技術職員と交流することにより,専門知識を深めることがで
きた.初めての発表であったが,多くの技術職員との議論ができ,非常に
有意義なものとなった.この経験により,仕事への意欲がわき上がること
を感じた.初めて発表した私にとって,得るものの多い研究会であったと
思う.
-11-
2-2B(1)平成25 年度 機器・分析技術研究会 鳥取大会発表要旨
機械工作実習における手仕上げ実習の紹介
○河端亨
佐賀大学
工学系研究科 技術部
kawabata@me.saga-u.ac.jp
1.はじめに
佐賀大学理工学部機械システム工学科では,機械工作実習が行われており, 機械工作実習Ⅰの 1 テーマ
として手仕上げ実習が行われている. 機械加工された部品を組立時に微調整して正しく動作させるため,
その場で巧みに直すのが手仕上げの役目である.本稿では,手仕上げ実習の内容について紹介を行う.
2.機械工作実習Ⅰについて
機械工作実習Ⅰは, 自分の手で,道具や機械を扱い,「ものづくり」の難しさや楽しさを味わうこと,工
作機械に慣れ・親しむことを目的としている.それは,学部 2 年次に行われ, 1 班は 7~8 名にて構成される.
各班はローテーション方式で表 1 のテーマについて実習を行う.各テーマは 2 週で行われ,学生(定員 90
名)を 2 分割し,水曜日 3・4 校時と木曜日 3・4 校時に振り分ける.2 分割するのは人数の問題であり,両日と
も同様な内容が提供される.
表 1 機械工作実習Ⅰ テーマ一覧
No.
実習名
実習内容
1
鋳造実習
木型の製作,鋳型の造形作業を行う
2
溶接実習
鉄板の突き合わせ溶接,曲げ試験を行う
3
旋盤実習
段付き軸の加工を行う
4
フライス盤実習
ブロックの加工を行う
5
手仕上げ実習
ヤスリ作業,キサゲ作業,ケガキ作業,穴あけ作業を行う
6
マシニングセンタ
二次元図形を G 言語で記述し,アルミ板に図形を彫る
7
エンジン分解・組立
農耕用エンジンの分解・組立作業を行う
3.手仕上げ実習について
(1) 概要
手仕上げ実習は,正しいケガキの仕方を身につけること,基本的なヤスリがけ作業を体得すること,キサ
ゲ作業によって正確な平面を仕上げる方法を理解することを目的としている.
本実習では,1 週目に,鋳物の表面をヤスリがけし,ヤスリ仕上げされた面をキサゲによって仕上げる.2
週目に,厚さ 4.5mm,80mm 角の鋼板を,ケガキ作業をして穴あけ・ねじ立て作業を行い,図 1 のような製品を
製作する.
-12-
図 1 製作図面
(2) 1 週目作業手順
ⅰ)荒目,中目,細目,油目の順に平ヤスリを使い,工作物の表面を削る.
ⅱ)平キサゲを使い,工作物の表面を仕上げる.
ⅲ)定盤に摺り合わせて,赤当たりをみる.実習風景を図 2,製品を図 3 に示す.
(3) 2 週目作業手順
ⅰ)ヤスリ,スコヤーを使い,鋼板の面を直角に仕上げる.
ⅱ)ケガキ工具にてケガキ線を引き,穴あけ位置にポンチを打つ.
ⅲ)ボール盤を使い,ねじの下穴をあける.
ⅳ)タップを使い,M8P1.25 のねじを立てる.実習風景を図 4,製品を図 5 に示す.
図 2 実習風景 1
図4
図 3 1 週目の製品
実習風景 2
図 5 2 週目の製品
4.まとめ
佐賀大学理工学部機械システム工学科における手仕上げ実習について紹介した. 手仕上げは,派手な
作業ではないが,試作や少量生産では重要な役割をしめる.最も重要なことは,目的(どこをどのように加
工すれば正しく動くのか)を見極めることであるが,これは経験を要し簡単なことではない.本実習にて,
学生が手仕上げの技術を身につけ,就職後に生かしてくれれば幸いである.
-13-
2-2B(2)第35回生理学研究会報告
出張報告書
平成
出張期間
出張先
出張内容
出張者
平成
26 年
2 月 20 日(木)
~
平成
26 年
26 年
2月
月
日
21 日(金)
岡崎コンファレンスセンター
愛知県岡崎市明大寺町伝馬8−1
第 36 回 生理学技術研究会(合同開催:第 25 回 生物学技術研究会)
電気部門:永渕 一成
計 1 名
生理学技術研究会は,大学・高等専門学校および大学共同利用機関に
おける医学,生物学,工学分野の技術職員が技術向上と技術交流,業務
遂行上の技術的問題や疑問点,失敗事例の集積,実験施設や機器の管
理・運営問題等の討論を通して,研究および教育活動に寄与するととも
に,技術ネットワークの拠点形成を行うことを主旨として,生理学研究
所・技術課が開催している研究会である.
生理学研究所から研究会開催の案内が届いた事で本研究会を知り,今
回はポスターセッションでの発表を行なった.私の発表内容は生体信号
の利用に関するものであり,生理学研究所・技術課で同様の生体信号に
関する業務を行っている方々からご助言やご指導を頂いた他,研究会の
概
要
発表内容は生物学や生理学分野の基礎科学から設備機器の保守管理,安
全衛生に関するものまで非常に多岐にわたっており興味深い内容が多
かった.高い意識をもって職務を遂行している技術職員との意見交換は
私自身の刺激にもなり,意見交換を行った方々には感謝している.
今回の研究実施および研究会発表を行うにあたり,ご協力いただいた
先端融合工学専攻システム制御研究室および技術部・電気部門の皆様に
感謝いたします.
-14-
2-2B(2)第35回生理学研究会発表要旨
筋電信号を利用したロボット制御システムの製作
永渕
一成(佐賀大学工学系研究科
技術部)
NAGAFUCHI Kazunari : Development of Robot Control System using Electromyographic Signals
Biological signals such as electroencephalogram and electromyogram (EMG) of human can be used as control inputs for computer,
devices and instruments. Experimental equipment of robot arm control system by using EMG signals was developed and was
demonstrated in some social events. Robot arm moves according to the control inputs generating from the surface EMG of left and right
forearms, and is able to catch a small object like confectionery.
1. 目的
AD変換器を介してパソコンに取り込まれ、パソコン
脳波や筋電図などの生体信号を意思決定に利用した
ではその波形から実験者の意思決定を判定し、ロボッ
福祉機器が開発・販売されるなど,生体信号の利用が
トアームに操作指令を出す内容である。
注目されている。佐賀大学工学系研究科技術部でも生
(1)意思決定からロボット動作まで
体信号の応用例として、実験者の意思決定に前腕の筋
意思決定により腕の表面から計測された表面筋電図
電図を利用して、実験者が腕に力を入れることでロボ
は生体アンプで増幅し、その測定波形(図2(a))を
ットを操作し、物を掴むことができるロボット制御シ
AD 変換器を介してパソコンに取り込む。パソコンで
ステムを製作した。このシステムを地域の科学イベン
は取り込まれた筋電図を整流・積分し連続した緩やか
トで実演を行った内容も紹介する。
な波形(図2(b))となる。その電圧が閾値を超え、0.5
秒を経過すると実験者の意思決定と判定される。パソ
2. 方法
コンはその判断結果をロボットアーム(マイコンボー
製作したロボットアーム制御システム全体と筋電図
処理の流れを図1に示す。
ド)に指令し、ロボットアームは実験者の意思の通り
に操作する事ができる。パソコンは筋電図から意思決
定の判定処理を行うほか、生体信号波形および判定結
果の表示用として使用している。
(a)測定した表面筋電図
(a)ロボットアーム制御システム全体
(b)筋電図処理の流れ
図1 ロボットアーム制御システム
このシステムは、実験者が左右の前腕に力を入れる
(b)実際の判定画面
ことで腕の表面から計測される表面筋電図を利用して
意思決定を行う。筋電図は生体アンプで増幅した後、
図2 表面筋電図の処理の流れ
(2)ロボットの操作方法
-15-
実験者の意思決定は、力を入れる腕が「右腕のみ」
、
に示す。実験ブースでは参加者自身の筋電図や心電図
「左腕のみ」
、
「左右両腕」の3パターンが可能である。
を見るコーナーを設け、生体信号についての理解を深
その際のロボット動作は「右腕のみ」→右旋回、
「左腕
めたのちに、ロボットアーム制御システムでの実験を
のみ」→左旋回、
「左右両腕」→物を掴む(掴んでいる
行った。参加者は小学生が中心で、実験の原理につい
場合は離す)となっている。
て理解できるか心配したが、UFO キャッチャーの要領
(3)製作した生体アンプ
でお菓子を取ることができる本システムは、順番待ち
製作した生体アンプの回路構成を図3に示す。生体
ができるほどの人気で、子供達は実験を楽しんでいる
アンプは左右両腕の筋電位を測定するために 2ch とし、
と感じられた。今回の実験を通して、少しでも科学に
増幅率
(100 倍~3 万倍)
とフィルタの遮断周波数
(LPF、
興味を持ち続けていてくれることを期待したい。
HPF)が可変できるようになっている。アンプ部には
計装用アンプ(AD620)を使用したほか、持ち運びを
考慮し、電源をACアダプタとするなど小型化を目指
した。
図3 製作した生体アンプの構成
図 5 科学イベントでの実演風景
(4)製作したロボットアーム
4. 今後の課題
製作したロボットアームを図4に示す。ロボットア
今回のイベントでは小学校低学年から高齢者まで幅
ームはラジコン用サーボモータを動力として計4軸が
広い年齢の方が実験を体験した。測定される筋電図は
可動し、先端には物を掴むためのハンド部を備えてい
実験者ごとに特徴があり、その都度アンプの増幅度と
る。ラジコン用サーボモータの制御には、プログラム
閾値の調整が必要であった。多くの方に効率よく実験
開発環境や周辺機器が充実し PWM 信号も出力可能な
できるように増幅度と閾値を自動設定できる機能を実
マイコンボード Arduino UNO を使用した。
現したい。
謝辞
今回のロボットアーム制御システムを製作するにあ
たり、生体信号処理プログラムのご提供等、様々なご
指導を頂いた佐賀大学 先端融合工学専攻 システム制
御研究室 後藤 聡 教授、杉 剛直 准教授、松田吉隆
助教、ならびに同研究室の学生の皆様に深く感謝いた
します。ロボットの製作、制御プログラムの作成等、
ご指導、ご協力を頂いた佐賀大学工学系研究科技術部
(電気部門)の方々に深く感謝いたします。
図4 ロボットアーム
本研究は平成25年度 科学研究費補助金(奨励研
究)
・課題番号(25918015)の助成を受け実施しました。
3. 科学イベントでの実演
小・中学生を対象に、科学技術の楽しさや面白さ、
発見の喜びや感動の体験を目的として平成 25 年 10 月
参考文献
に、佐賀県唐津市において「第 3 回みんなの科学広場
1) 鈴木美朗志(2012) たのしくできる Arduino 実用
in 唐津 2013」が開催された。この中で佐賀大学工学系
回路:
(東京電機大学出版局)
研究科技術部は「身体の動きでロボットを動かそう」
2) 木下真吾(2013) 垂直多関節ロボットアームの眼
と題してロボットアーム制御システムの体験ブースを
電図信号を用いた操作:
(佐賀大学卒業論文)
出展し、実験者の腕の表面筋電図を認識してロボット
でお菓子をつかみ取る実験を行った。その様子を図5
-16-
2-2B(3)平成25 年度 核融合科学研究所 技術研究会 聴講参加
出張報告書
平成 26 年 4 月 25 日
出張期間
平成 26 年 3 月 13 日(木)
~
平成 26 年 3 月 14 日(金)
犬山国際観光センターフロイデ
出張先
愛知県犬山市
出張内容
平成 25 年度
出張者
核融合科学研究所
技術研究会
聴講参加
田中久治
計1名
上記研究会に参加し、特に情報系技術職員の方々の日常業務や研究活
動について、情報収集や意見交換を行った。
概
要
-17-
2-2B(4)平成25 年度 第9 回情報技術研究会聴講参加
出張報告書
出張期間
出張先
出張内容
出張者
平成
26 年
3 月 17 日(月)
~
平成
平成
26 年
26 年
3月
4月
25 日
18 日(火)
九州工業大学情報工学部(飯塚キャンパス)
福岡県飯塚市大字川津 680-4
第 9 回情報技術研究会聴講参加
環境・情報部門:鳥飼 紀雄、羽根 由恵
計
2名
第 9 回情報技術研究会に聴講参加し、参加である情報系技術職員の日
常業務や研究活動について、情報収集や意見交換を行った。
情報技術研究会は、九州工業大学の技術部が開催した情報技術を主と
した分野の研究会である。今回の研究会は学外からも多数の技術職員が
参加し、日常業務紹介やシステム構築・運用などの活動報告が行われた。
発表内容や意見交換会では日常業務に参考になるものが多数あり、実り
ある研究会参加であった。
概
要
-18-
2-2B(5)平成25 年度 九州地区総合技術研究会報告 in 長崎大学
出張報告書
平成 26 年 3 月 25 日
出張期間
出張先
出張内容
平成
26 年 3 月 19 日(木) ~
3 月 20 日(金)
国立大学法人長崎大学
平成 25 年度 九州地区総合技術研究会 in 長崎大学への参加
電気部門:吉田 浩、築地
出張者
平成 26 年
浩、藤崎寿一、永渕一成、上地 佑
機械部門:青沼陽介、川平雅彦、河端 亨、花屋倫生
計 9名
九州地区総合技術研究会 in 長崎大学にて発表及び聴講参加した。
また、九州地区大学等総合技術研究協議会会議に参加した。
九州地区総合技術研究会参加者数:209 名。
口頭発表者:59 名、ポスター発表者:44 名、聴講者:106 名
工学系研究科技術部 発表件数:2 件
D-12 題目:科学イベントへの金属加工体験ブース出展
機械部門:川平雅彦
概
要
P-26
題目:電気電子工学実験「実験 5 誘導モータの製作・評価」
電気部門:藤崎寿一
研究会において日常業務の中なら、実験・実習、製作、運用等におけ
る創意工夫や失敗談、改善など技術向上等について活発な意見交換が行
われ、有意義な研究会であった。
協議会会議について
議題
1. 平成 25 年度研究会実施報告(長崎大学)
2. 平成 27 年度研究会開催準備状況報告(九州工業大学)
3. 平成 29 年度研究会開催地の決定(沖縄工業高等専門学校)
4. その他
会議:5 名参加
-19-
2-2B(5)平成25 年度 九州地区総合技術研究会報告 in 長崎大学発表要旨
電気電子工学実験B「実験5 誘導モータの製作・評価」
藤﨑
寿一
佐賀大学 大学院工学系研究科 技術部
1. はじめに
佐賀大学理工学部電気電子工学科の学生実験は、電気電子工学科に関わる工学系研究科の教職員か
らなる学生実験委員会(教授を除く)で対応している。電気電子工学実験は、A,B,C,D の 4 科目
からなり、それぞれ、2 年次前・後学期、3 年次前・後学期に開講されて、各実験内容は学生実験委
員会で議論した『学生実験学習教育目標』に沿って行われている。現在、電気電子工学実験 B(以降、
実験 B)
「実験 5 誘導モータの製作・評価(以降、誘導モータ実験)」を担当しており、今回は、実験 B
に関する報告を行う。
2. 誘導モータ実験の目的
先に述べたように、各実験は学習教育目標に則して行っており、実験 B の目的は「電磁気学の応
用と電子回路の動作・現象を理解するとともに、与えられた課題に対して実験計画を立案し、更に、
考察の検証ができ、わかり易く報告できる能力を養う」ことになっている。担当する誘導モータ実験
は、「電磁気学の応用」の部分を担っており、4 週にわたって実験を行う。
3. 実験内容
実験は、下記に示す項目に従って行う。
1) 誘導モータの製作と回転(1 週目)
図 1 に示す装置を用意しており、被覆銅線を 400 回巻くことにより 4 個の電磁石コイルを作製
してロータ(回転子)を回転させることが出来れば、作製コイルのインダクタンスや装置の寸法な
どを計測する。計測が終われば「第 1 週チェックシート」に、モータの回転原理と作製モータに
関する計測結果を纏め、各班ごとに、担当教職員へ回転原理などの説明を行う。これらが終われ
ば、第 2 週目の計測方法と計測結果の正当性を確認する為の「第 2 週予習シート」を渡す。
2) 誘導モータの計測(2 週目)
各班ごとに学生が、第 1 週目に渡した「第 2 週予習シート」内容に従い、計測方法の説明を担
当教職員に行った後、モータに関する計測を 2 つの電流パラメータについて行う。計測内容は、
図 2 に示す様に、全体電圧(Vb-e)-電流特性(Iall),分流する電流(IL)-電流(ILC)特性,回転数,磁束
15
ローター
電磁石コイル1
15 170
φ36
電磁石コイル4
電磁石コイル2
50
電磁石コイル3
15
15
10
15
140
15
170
図1
誘導モータ装置キット
-20-
c
IL
空間B
空間C
a
r1
r3
d
空間A
空間D
C
b
r2
Iall
ILC
e
図2
計測図と実際の写真
密度(空間 A,B,C,D)である。計測結果は、「第 2 週チェックシート」に纏め提出させている。
各班 の計測 結果 の正当 性を確 認後、「回 転数を 速くす る」か、「 回転効 率を良 くする 」かの どち
らかの改善方法を選択させ、具体的な改善内容を提案させている。
3) 誘導モータの性能改善(3 週目)
第 2 週目に提案した改善内容に従って改善を行い、第 2 週目と同じ内容の計測を行う。パラメ
ータは、各班、「改善内容に対し、電圧または電流のどちらが適切か」を考えさせ、選択させて
いる。
4) 誘導モータの演習と報告会(4 週目)
前半で、実験で行った内容を理解させるために、学生に対する誘導モータの質問を行い、後半
で、各班毎に液晶プロジェクタによる実験のプレゼンテーションを行う。発表に対しては、学生
間において質疑応答を行っている。
4. レポートについて
実験レポートは、『学生実験学習教育目標』のレポートのまとめ方に従い、卒業研究や学会などの
予稿集と同じように、レポート用紙 2 枚以内(書式:A4 サイズ 2 段組)に纏めさせ、次回の実験日
に提出させている。尚、付録として、予習課題や計測した値に対する計算過程を記述した理論値など
を添付させている。
5. 工夫している点
誘導モータ実験においては、学生に実験内容を深く理解させるために、各週毎にチェックシートを
作成し、大学院生のティーチングアシスタントに実験内容を理解させ、かつ、学生により的確に指導
できるように手引書も作成している。より良い実験になるように、チェックシートや手引書などの改
善を続けている。また、今年度より、実験データをチェックする際、パソコンによる理論計算値と実
験結果との比較を行い、誤計測を防ぐように工夫した。
6. 最後に
本実験 B では、上述した実験が安全かつ迅速に進むように、図 1 に示した誘導モータ装置キット
の製作・保守や性能改善のための道具の製作も行っている。今後も、学生が「誘導モータ」について、
より良く理解できるように、担当教員と共に力を合わせて、改善を行っていきたい。
-21-
2-2B(5)平成25 年度 九州地区総合技術研究会報告 in 長崎大学発表要旨
科学イベントへの金属加工体験ブース出展
○川平雅彦
佐賀大学大学院工学系研究科
1. はじめに
大学の社会貢献業務は、年々重要性を高めている。それに伴い佐賀大学大学院工学系研究科技術部では、毎年青少年を
対象とした科学イベントに参加している。イベントに参加するたび、機械加工の醍醐味である金属加工の体験ブースを出
展したいと考えていた。学外で金属加工の体験を行うことができれば、より多くの人がものづくりに興味を持ってくれる
と確信していたからである。しかし、学外のイベントでは多くの問題があり、ブース出展に至っていなかった。今回は、
昨年度多くの問題を解決し出展した、金属加工体験ブースの紹介とイベント参加の結果について報告する。
2. 参加イベント
今回参加したイベントは、
『第 2 回 みんなの科学広場 in 唐津』である。科学技術の楽しさや面白さ、発見の喜びや感
動を多くの青少年に体験してもらうイベントである。市内の中学校・高等学校をはじめ、大学・企業・公的機関がブース
を出展しており、毎年開催が予定されている。
開催日時は、平成 24 年 12 月 16 日(日)10 時~16 時であった。
開催場所は、唐津市ふるさと会館「アルピノ」ホール及び広場であった。
3. 準備
学外のイベントで金属加工の体験ブース出展には、多くの問題があった。以下の問題を解決しながら、準備を整えた。
○ 安全性 : 金属や工具の取扱、加工時のケガへの安全対策が必要である点。
○ 材料費 : 参加人数分の材料を準備するには費用が掛かりすぎる点。
○ 準備時間 : 日々の業務をこなしながらのイベント準備に時間がかかる点。
○ 設備(工具) : 学外のイベントであるため、使用できる機器の制限が大きい点。
○ イベント参加時間 : 加工(製作)に掛けられる時間が少ない点。
○ 内容 : 小学生から高校生までの幅広い年齢が、興味を持って体験できる作業内容である点。
3.1
出展ブースのテーマ
テーマは、
『ネジ切り』に決定した。ネジ切りは「タップ」や「ダイス」といった工具を用いて比較的、簡単に加工を
体験できる。幼い子供たちでも参加でき、工具の持ち運びや安全対策も他の金属加工に比べて容易である。
3.2
出展ブースの内容
内容は、金属部品に自分でネジを製作し、組み立てて製品を作り上げることに決定した。普段、身近にあるネジを自分
の手で製作することでものづくりに興味を持ってもらおうと考えた。また、自分で製作したネジを使って製品を組み上げ
ることでより一層の魅力を感じることができると考えた。製作時間は 10 分~15 分を予定し、他のブースへの参加に支障
をきたさないようにした。
3.3
キットの製造・生産
キットの製造は設計から行った。設計には材料費や生産期間、魅力を考慮した。少ない材料費で生産することを考えて、
材料には廃材や実習での製品を使用することとした。また、生産期間が短いことから出来るだけ手間のかからない単純な
形を目指した。そして子供たちが興味を持つように、製品の形状は動物(フクロウとライオン)をかたどることとした。
生産数は、昨年度のイベント参加人数を参考に 100 個程度とした。図 1、図 2 に組み上がった製品を示す。
-22-
図 1.フクロウ
3.4
図 2.ライオン
イベント促進
イベント促進のために、手順書やポスター、アンケートなどを作成した。
手順書はフクロウキットとライオンキットで製作工程が異なるため、2 種類作成した。これによりイベントをスムーズ
に進めることができた。
ポスターもフクロウとライオンの 2 種類を作成した。このポスターによるブース装飾が多くの子供たちの目に留まり、
大盛況のキッカケとなった。
アンケートは、次回イベント実施の参考のために作成した。アンケートは製品を包装する合間に書いてもらった。そし
て、アンケートと引き換えに包装された製品を手渡した。これによりアンケート回収率 100%を達成した。
4. 実施結果
94 名の参加者により準備した材料は全て捌け、大盛況に終わった。アンケートから感想を一部抜粋して紹介する。
・きょう、ネジでフクロウのつくりかたをおしえてもらって、じょうずにつくれてうれしかった。♡(小 2 女子)
・ネジが、あんなにかんたんにできたのが、すごかったです。
(小 5 男子)
・分りやすく教えてくれたので、カンタンにできてよかったです!!(小 6 女子)
・楽しかったので来年も来てください。
(中 1 男子)
また、参加者の分布を図 3 に示す。
14
12
10
8
男
6
女
4
2
0
幼児 小1 小2 小3 小4 小5 小6 中1 中2 中3 高1 高2 高3 大人
図 3.学年別グラフ
5. まとめ
科学イベントでは珍しい「金属加工」をテーマとしたブースで、皆興味津々に取り組んでいた。アンケート結果から幅
広い年齢の子供たちが金属加工に魅力を感じたと確信している。今後は、さらに金属加工体験のイベント充実を目指した
い。金属加工体験の機会を増やすことで、ものづくり分野の人材育成に貢献していく。
-23-
3.技術部全体会議議題
3.技術部全体会議議題
第1回
平成 25 年
4 月 25 日(木)
8 時 40 分~9 時 05 分
出席者 24 名
1.平成 24 年度技術部活動報告について
①
研修
②
技術研究会
③
社会貢献活動
④
業務依頼
⑤
資格取得
⑥
人事評価の一次評価者の確認
2.その他
①
平成 25 年度海洋エネルギー研究センター共同研究公募共同研究 A
②
平成 25 年度科学奨励研究
第2回
平成 25 年
採択者 1 名
採択者 1 名
5 月 30 日(木)
8 時 40 分~9 時 00 分
出席者 23 名
8 時 40 分~9 時 05 分
出席者 22 名
1.平成 25 年度技術部計画について
①
研修計画
②
出張計画
③
佐賀大学技術研究会
④
社会貢献事業
⑤
実務委員体制
第3回
平成 25 年
6 月 27 日(木)
1.技術部運営委員会について
①
活動報告
②
決算報告
③
活動計画案
④
予算案
2.研修について
①
平成 25 年度佐賀大学中堅職員研修
②
平成 25 年度九州地区国立大学法人等技術職員スキルアップ B 研修
③
情報システム統一研修(第 2/四半期)
3.研究会について
①
平成 25 年度機器・分析技術研究会
鳥取大会
4.社会貢献活動について
①
サイエンスフェスタ 2013(仮称)への出展依頼
②
第 3 回みんなの科学広場 in 唐津への出展依頼
5.技術部報告集について
第4回
平成 25 年 7 月 25 日(木)
8 時 40 分~9 時 00 分
1.研修について
-25-
出席者 24名
①
第 8 回工学系研究科技術部専門技術研修
②
平成 25 年度九州地区国立大学法人等技術職員スキルアップB研修
③
情報システム統一研修(集合研修)
④
新採用者研修(佐賀大学)
⑤
フォローアップ研修(佐賀大学)
2.研究会について
①
平成 25 年度機器・分析研究会鳥取大会
3.社会貢献活動について
①
SAGA わくわく祭エンスフェスタ 2013
②
第 3 回みんなの科学広場 in 唐津
出展部門決定
機械
4.運営支援について
①
工業系高等学校校長懇談会
②
理工学部後援会総会
第5回
平成 25 年
8 月 29 日(木)
8 時 40 分~8 時 55 分
出席者
20 名
1.研修について
①
第 8 回工学系研究科技術部専門技術研修(実施報告)
②
平成 25 年度九州地区国立大学法人等技術職員スキルアップ B 研修
③
情報システム統一研修(集合研修)
④
新採用者研修
⑤
フォローアップ研修
2.研究会について
①
平成 25 年度
機器・分析技術研究会鳥取大会
②
平成 25 年度
佐賀大学技術研究会
参加者 2 名決定
3.社会貢献活動について
①
SAGA わくわく祭エンスフェスタ 2013(実施報告)
②
第 3 回みんなの科学広場 in 唐津
出展部門決定
電気
4.運営支援
①
第6回
理工学部後援会について
平成 25 年
9 月 26 日(木)
8 時 40 分~8 時 50 分
出席者
16 名
1.研修について
①
第 8 回工学系研究科技術部専門技術研修(実施報告)
②
平成 25 年度九州地区国立大学法人等技術職員スキルアップ B 研修(実施報告)
③
情報システム統一研修(実施報告)
④
新採用者研修(実施報告)
⑤
フローアップ研修(実施報告)
2.研究会について
①
平成 25 年度
機器・分析技術研究会(実施報告)
②
平成 25 年度
佐賀大学技術研究会(実施内容報告)
3.社会貢献活動について
-26-
①
第 3 回みんなの科学広場 in 唐津
4.その他
①
第7回
平成 25 年度前期技術職員人事評価について
平成 25 年 10 月 31 日(木)
8 時 40 分~9 時 25 分
出席者
22名
1.研究会について
①
平成 25 年度佐賀大学技術研究会(進捗状況報告)
②
平成 25 年度
③
平成 25 年度九州地区総合技術研究会 in 長崎大学
実験・実習研究会岩手大会
2.社会貢献活動について
①
第 3 回みんなの科学広場 in 唐津(実施報告)
3.研修について
① 情報システム統一研修
② 平成 25 年度九州地区国立大学法人等技術専門研修
4.人事評価について
第8回
平成 25 年 11 月 27 日(水)
8 時 40 分~9 時 23 分
出席者22名
1.研究会について
①
平成 25 年度佐賀大学技術研究会
②
平成 25 年度
③
平成 25 年度九州地区総合技術研究会 in 長崎大学
④
第 35 回生理学技術研究会
⑤
核融合科学研究所
⑥
情報技術研究会
実験・実習研究会
技術研究会
2.研修について
① 平成 25 年度九州地区国立大学法人等技術専門員研修
3.その他
①
平成 26 年度来てみんしゃい佐賀大学の公募について
②
工学系研究科・理工学部ホームページメンテナンス業務依頼について
第9回
平成 25 年 12 月 24 日(火)
8 時 40 分~8 時 58 分
出席者
1.研究会について
①
平成 25 年度佐賀大学技術研究会
②
平成 25 年度
③
第 35 回
④
核融合科学研究所
⑤
情報技術研究会
⑥
情報システム統一研修(第 4/四半期)
⑦
平成 26 年度第 1 学期放送大学利用による職員研修について
九州地区総合技術研究会 in 長崎大学
生理学技術研究会
技術研究会
-27-
19 名
第 10 回
8 時 40 分~9 時 00 分
平成 26 年 1 月 30 日(木)
出席者
19 名
1.研究会について
①
平成 25 年度佐賀大学技術研究会
②
平成 25 年度
③
第 35 回
④
核融合科学研究所
⑤
情報技術研究会
九州地区総合技術研究会 in 長崎大学
生理学技術研究会
技術研究会
2.その他
①
工学系研究科・理工学部ホームページメンテナンス業務依頼について
②
技術部予算執行額および残額について
第 11 回
8 時 40 分~9 時 00 分
平成25年2月27日(木)
出席者
21名
出席者
22 名
1.研究会について
①
平成 25 年度 佐賀大学技術研究会
②
平成 25 年度 九州地区総合技術研究会 in 長崎大学
③
核融合科学研究所
④
情報技術研究会
技術研究会
2.技術部予算執行額について
3.HP 管理業務費について
第 12 回
平成 26 年 3 月 31 日(月)
8 時 40 分~9 時 15 分
1.平成 25 年度工学系研究科技術部活動報告について(実施報告)
①
研修について
②
技術研究会について
③
社会貢献活動について
④
業務依頼
⑤
技術部予算について(決算報告)
2.平成 26 年度工学系研究科技術部活動計画(案)について
①
平成 26 年度学外技術研究会について
②
平成 26 年度研修について
③
平成 26 年度社会貢献活動について
3.人事評価について
4.その他
その他
(1) 競争的資金
平成25年度 海洋エネルギー研究センター共同研究公募 共同研究A 採択者:1名
平成25年度 奨励研究 採択者:1名
以上
-28-
4.佐賀大学技術研究会
ご
挨
拶
本学技術系職員の皆さんが、
「佐賀大学技術研究会」を立ち上げて4年目にな
りますが、今年も、本庄キャンパスおよび鍋島キャンパスに勤務されている技
術職員の方々が一堂に会し、日頃従事されている種々の業務に関連して、創意
工夫したこと、成功例のみならず失敗の経験なども含む種々の事例紹介や研究
発表および情報交換会が実施される運びとなりました。
ご承知のように、技術系職員の皆さんの職務は、
「専門的な知識や技術・技能
をもって、大学の教育・研究・医療活動等を支援すること」であり、その内容
も多岐に亘っていますが、職務遂行上、身に着けている知識や技術・技能も折
に触れ更新したり、新たに習得する必要もあり、各種の講習会やセミナー、研
修会等により自己研鑽に努め、自らの能力・資質の向上を図ることが期待され
ているところです。
今回の研究会では、専門分野が異なる10名の皆さんが、発表要旨集原稿を
準備の上、それぞれのテーマで研究発表を行い、質疑応答や意見交換がなされ
ることになっていますが、所属部署や専門分野の枠を越えてのこのような全学
的集まりは、技術職員皆さんの相互理解を深めることにも繋がり、極めて意義
深いことと思われます。
なお、本研究会のプログラム前半には、情報セキュリティ講習会として、
「情
報セキュリティの基礎知識」と題した講習が組み込まれています。これは、
「佐
賀大学情報セキュリティポリシー」の規定に基づき、情報セキュリティ対策及
び情報倫理の周知徹底等を目的とした講習会の開催と受講が本学に義務付けら
れているもので、技術職員の皆さんだけではなく全学の教職員を対象としてい
ます。
最後に、本日の盛会と本研究会の今後益々の発展・充実を祈念しまして開会
のご挨拶と致します。
2014年 2月28日
佐賀大学理事・副学長
中
-30-
島
晃
平成25年度佐賀大学技術研究会スケジュール
開催日時:平成26年2月28日(金)10時~17時15分
開催場所:理工学部大学院棟3階301室
開始時刻
終了時刻
9:45
10:00
10:00
10:10
10:10
11:40
内
容
受
付
開
会
開会の挨拶
式
中島
晃
理事
情報セキュリティ講習
題目:「情報セキュリティの基礎知識」
講師:全学教育機構
11:40
13:00
13:10
17:10
堀
昼
研
良彰 教授
食
究
発
表
口頭発表(パワーポイント使用)
17:10
17:15
17:40
19:00
発表者数
10名
発表時間
12分
質疑応答
5分
閉
会
式
情報交換会(懇親会)
場所:佐賀大学美術館「カフェ
-31-
ソネス 2 階」
平成25年度佐賀大学技術研究会
平成 26 年 2 月 28 日(金)
13:10~13:50
研究発表プログラム
理工学部大学院棟 3 階 301 室
セッション 1(座長:八木ひとみ)
1
「疫学研究
2
「福祉健康科学部門・リハビリテーション工学分野における業務紹介」
医学部 先端医学研究推進支援センター 教育研究支援室
一ノ瀬 浩幸
13:50~14:30
3
4
セッション 2(座長:田端
寿美)
「晩白柚果皮と花からの精油の抽出と成分分析」
総合分析実験センター 本庄地区
新地
姉理華
岩吉
真輝
「農学部における研究支援業務の紹介」
農学部 本庄キャンパス技術部
14:30~14:50
14:50~15:50
5
J-MICC STUDY(ジェイミック スタディ)の紹介」
医学部 先端医学研究推進支援センター 社会医学
堀田 美加子
休
憩
セッション 3(座長:吉田
浩)
「総合情報基盤センターにおけるグループウェア・サイボウズ Live の活用」
総合情報基盤センター
小野 隆久
6
「学生実験(電気電子工学実験 D)における担当内容について」
工学系研究科技術部 電気部門
築地
浩
7
「コンクリートの強度試験について」
工学系研究科技術部 環境・情報部門
15:50~16:10
16:10~17:10
8
9
10
休
山内
直利
野口
剛志
川平
雅彦
河端
亨
憩
セッション 4(座長:松岡
「支援業務について」
工学系研究科技術部
宗治)
環境・情報部門
「機械部門における新人育成の体系整備」
工学系研究科技術部 機械部門
「手仕上げ実習の紹介」
工学系研究科技術部
機械部門
-32-
6
学生実験「電気電子工学実験 D」における担当内容について
工学系研究科
技術部
電気部門
築地
浩(Hiroshi Tsukiji)
1.はじめに
配属先の電気電子工学科に学生実験検討委員会があり、電気部門の技術職員は教員とほぼ同等
な立場でこれに所属し、学生実験における教育支援に当たっている。各技術職員は実験の科目や
テーマごとに支援担当分がほぼ決まっており、当方は実験 A、実験 C、実験 D におけるテーマ
をひとつずつ担当している。本稿では実験 D における担当分の実施内容について報告する。
2.電気電子工学実験 D の位置づけ
電気電子工学科の専門必須科目である学生実験は、実験 A,B,C,D の 4 科目が設けられ、
それらの受講者は担当教職員や TA のもとで、実験に必要な機器類の取扱から実験データの処
理・考察や報告書の作成の方法などを段階的に習得するシステムとなっている。実験 A と実験 B
はそれぞれ 2 年生の前期と後期に、実験 C と実験 D は 3 年次のそれぞれ前期と後期に実施され
る。ゆえに実験 D は学生実験の総括的位置づけであり、実施期間全 15 回分をひとつの実験テー
マにグループで取組ませることが特徴である。またその教育目標は学生の自主性、協調性および
想像性の育成を重視し、PDCA サイクルを基盤とした実験や成果発表会を通じて問題解決能力や
プレゼンテーション能力を養うことにある。なお成果発表会には最終成果報告書およびその概要
を会場へ持ち込み、口頭発表と伴わせて教職員らや同席学生らと議論検討することから、実験 D
は別称“ミニ卒論”とされている。
3.実験内容とその一部結果例
学生らは実験 D のガイダンス時に紹介される複数の実験テーマのうち、いずれかひとつに割
り当てられる。テーマによって割当人数は異なるが、当方は毎年約6名の学生を受け持つ。テー
マや実験内容はその担当者に委ねられ、当方はなるべく学生が興味を持ち、社会的にも話題性の
高い題材を考慮し、“燃料電池”を選定した。燃料電池は外部(貯蔵容器)から供給された水素と
空気中の酸素を結合させ、電力と熱を発生し、排出物は水だけというクリーンエネルギーデバイ
スのひとつである(図1)。その電気的特性を調べることが本実験の主旨であるが、自主性や創造
性を養う面から、学生が好奇心や製作意欲を維持できるように電動模型の電源として扱った。
当方が立案・実施した実験内容とその結果一例を実施順に以下に示す。
① 電動模型の選定:学生らに燃料電池本体(図2)を与えるとともに、その定格値や本実験で使
用できる予算を伝え、3名1グループで製作する模型を提案させる。
・ 市販の燃料電池(Horizon 社製 PEM 型
定格/個:0.6[V],0.4[A]
重量:27[g])を数
個を組み合わせて使えるように、予め1グループ当り4個用意した。
② 方向性の確認:製作物の設計内容や可能性および合理性についてミーティングし、本実験の
主旨を踏まえつつ、実験の最終到達目標を明確にした上で、製作物を決定する。
・ 殆どのグループが電池搭載型の模型自動車を提案するので、最終到達目標はその“最高
速度と安定性を得るために最適な燃料電池の接続手法の確定”とした。なお、本実験で
-33-
の安定性とは速度が一定で、路面状況が多少変化しても走破できることと定義した。
また、提案される模型自動車は完成時の概寸 15[cm]×10[cm]程度でマブチモータ
FA-130 に似た付属モータと単三乾電池 2 本で動作する仕様のプラモデルキットが多い。
③ 製作準備:②と予算的条件を踏まえ、パーツやキットを必要最小限で購入する。
④ 電動模型の製作:グループによって製作内容が異なるが、基本的に自由に作らせる。また製
作中、不足したパーツの調達は基本的にジャンクを活用もしくは学生らに作らせる。
⑤ 動作実験:燃料電池の組合せを任意に行わせ、完成した電動模型に搭載し(図3)その動作を
確認する。動作特性把握のための測定項目を次のようにした。
・ 実走行速度 v[m/s](後の理論的検証を簡易化するため、実験方法を工夫させる)
<工夫例>平坦な床で直線経路 10[m]を数回走行させ、加速を経てほぼ等速となると思
われる経路後半 5[m]分の速度の平均値を実走行速度 v[m/s]とする。
・ 電動模型がスイッチ OFF 時(無負荷時)の電圧 E0[V],スイッチ ON 時のタイヤ空転
時のモータ端子電圧 E[V],モータ電流 Ia[A],タイヤ回転数 N[rpm]
・ スイッチ ON 時でタイヤを拘束させた場合のモータ電流 Is[A]
なお、燃料電池4個を用いて実施できる接続法は電気的バランスを考慮して1個のみ、2個
直列(2S)、2個並列(2P)、3個直列(3S)、3個並列(3P)
、4個直列(4S)、4個並列
(4P)、2並列×2直列(2P-2S)である。このうち、2P-2S 以外について上記測定を行う。
⑥ 実験結果の定性的検討:ミーティングにて動作に関する測定データの整理および検討する。
・ データを把握しやすいようグラフ化する。
・ 結果に対する考察を行い、疑問点があれば問題提起を行う。
<結果一例>:2S、3S、4S と接続数を増やすと 2S、3S までは速度も増加するが、4S
で一気に減少する現象(図4)や並列接続では速度の高速化が殆ど望めない現象が現れた。
⑦ 実験結果の理論的検証:これまでの学生実験や講義などで学んだ知識により、数式などを用
いて理論的に解析し実験結果を検証する。その過程を以下に示す。
1)解析に必要な知識を調査整理し、確認する。
2)数式(一般の直流モータの静特性式)を実験条件に見合うよう変形する。
<実施例>一般の参考書にある上記のような特性式は、殆どが安定化電源を用いモータ
の端子電圧を一定にした場合のみで、燃料電池などを電源にした場合などない。よって
本実験では一般の式をそのままでは使えないので、n個直列m個並列接続した場合や電
池の内部抵抗などを考慮した以下のような式を導出させた。なお上式の厄介な微分項が
消えているのは⑤で行った工夫によるものである。
3)数式計算に必要な諸定数(モータの電気抵抗 Ra[Ω]および誘導起電力定数k[V/rpm],
燃料電池の内部抵抗 r(Ia)[Ω])を算定するための実験を別途行う。
4)特性式と算定した諸定数を用いシミュレーションを行い、実験結果との比較を行う。
5)実験結果を理論的に説明できることを確認する。
⑧ 以上の実験結果と理論的推測から、最終目標に到達するための手法を検討整理し、必要であ
-34-
れば再び実験を行う(例えば、2P-2S など)。そして最後に結論をまとめる。
学生らが最終到達した成果の一例(図5)を示す。
<結果一例>4S の場合、搭載電池の重量が増大するため電池の電力供給能力において
過負荷となり、安定供給の目安である定格電流を大きく超えたことから速度が落ちたこ
とが判明した。よって本実験では最高速度は3S 接続にて得られる。また理論計算より
2P-2S 接続時が3S あるいは2S 接続時よりも負荷電流変化に対する速度変動が小さく
なることが予測された。さらに 2P-2S 接続にて実走行させたところ、その速度は計算
値とほぼ一致し、走行状態は最も安定していた。よって、並列接続では速度向上は望め
ないが、路面状況の変化などに対してより安定した走行性能を期待できると確認した。
4.指導方針
電気電子工学実験 D は実施期間半ば 8 回目と最終回の 15 回目にそれぞれ中間報告会と最終報
告会がある。学生らは発表までの期日内で、自らが設定した目標を達成すべく計画を立てなけれ
ばならない。よって、最初に実験目的と実施すべきことを大まかに理解させてから立案させるが、
計画自体に不十分もしくは不明な点が多く、その分は当方で準備した上述の実験内容と整合する
ように補充ならびに軌道修正を施す。計画は概ね実験内容①~⑥と⑦~⑧の 2 段階に区分し、
それらの成果報告を中間報告会と最終報告回にそれぞれ割り当てている。製作と実験の試行錯誤
を繰り返す第1段階は破損事故防止のため燃料電池の取扱方法などを伝えるだけで、自主性、創
造性を促すために基本的に指示は出さない。第 2 段階では実験データの解析が主となるので、
データのまとめ方や数式の扱い方などの助言や指示が必要となる場合もある。しかし学生らが既
に習得しておくべき知識に関する助言は必要最小限に留め、
“習うより慣れろ”という考えから、
定期的に報告される結果とそれに至る過程の妥当性を議論することに重点をおいた。また、毎回
実験終了時に提出される定期報告書から、実験の進行状況や学生らが直面している課題や問題点
などを把握しておくよう心がけ、次回以降の実験準備の基盤とした。
5.学生の反応〔定期報告書を通じての所感〕
本実験は指針となるテキストもなく実験装置も最低限のパーツ類しか用意されていないので、
資料調査をはじめ計画の立案、装置の設計製作かつ改善、実験データの評価などを学生ら自ら考
えながら取組まないと実験の遂行はできない。よってそれまでの学生実験とは大いに違い、当初
は戸惑うところも多い。しかし、一つ一つの課題をクリアする度に達成感が得られることや、そ
れが次のステップへ進もうとする動因となることを学び取り、蛇行しながらも自ら工夫し次第に
目標へと向かおうとする姿勢や意欲が学生一人一人に強く感じられた。
6.おわりに 〔自己評価〕
デジタル機器が横溢している現況で、その技術の根幹を成す電気電子工学分野の総括的な学生
実験としては、本テーマは題材的に少々物足りない部分があったかもしれない。また実験予算と
時間の制約から実施内容が十分でなかったところもある。しかしながら、授業を通じて、学生が
実験の進め方や装置開発の創意工夫またデータ処理の意義そして第三者への伝達法などに関す
る基本的な知識を少しでも学べるよう自分なりに配慮したつもりである。それゆえ、結果として
本テーマの学生全員が発表会にて非常に高い評価を得たことで、自己の目標も達成できたとも思
う。本テーマは実験 D の改編に伴い今年度で最後となったが、旧カリを含めて平成 17 年度以来、
一実験テーマに関する内容の設定・立案から実施までを一任できる機会を与えて頂いた電気電子
工学科学生実験検討委員会に感謝している。
-35-
+
–
水素供給口
図1.燃料電池の構造
図2.PEM 型燃料電池(Horizon 社製)
図3.完成した燃料電池搭載模型自動車
(a)直列接続での比較
図4.実走行実験結果(直列接続)
(b)並列接続での比較
図5.シミュレーションと実験結果の比較
-36-
7
コンクリートの強度試験について
山内
直利
体を用いスパン 300mmで下図のように
3 等分 2 点載荷を行う。
曲げ強度fbは
Pl
P:最大荷重
fb  2 (N
)
mm 2
bd
1.はじめに
教育支援業務の建設材料実験演習
(3 年生対象)における担当項目のコンクリ
ートの強度試験について発表を行う。
l:スパン
2.実験実習の概要
コンクリートの強度試験は、圧縮、引張、
曲げ試験の 3 種類の試験を行う。
コンクリートの強度は、打設日から 28 日後
の試験によって得られた値を強度としてい
る。
b:破壊断面の幅
d:破壊断面の高さ
P
2-1 圧縮強度試験
直径 100mm
高さ 200mm の
円柱供試体を用い、
P
右図のように載荷する。
同時にヤング係数を求めるため縮量を測
定する。
圧縮強度σc は
P N
P:最大荷重
c 
(
)
mm 2
Ac
Ac:断面積
2-2 引張強度試験
P
直径 100mm
高さ 100mm 以上の
円柱供試体を用い、
右図のように載荷する。
引張強度ftは
2-4 ヤング係数
圧縮試験時に 1tおきに縮量を測定し
下図のような応力-ひずみ曲線より求め
る。
応
力
S1
S2
50×10-6
ε1
ひずみ
ヤング係数 E1 は
P
ft 
2P N
(
2)
dl mm
P:最大荷重
d:供試体直径
l:供試体長さ
3.最後に
学生が自分たちでコンクリートの配合
設計を行い、実際にコンクリートを打設し
強度試験で得られた値と設計値との違いに
ついて考察を行わせている。
2-3 曲げ強度試験
100mm真四角長さ 400mmの角柱供試
参考文献:建設材料実験(日本材料学会)
-37-
8
支援業務について
工学系研究科技術部 環境情報部門
野口剛志(Takeshi NOGUCHI)
1.所属研究室の紹介
現在、理工学部都市工学科の流域水工学研究室に所属してい
る.所属研究室の構成員は大串教授と私の 2 名であり,学生は
博士後期課程 3 名,博士前期課程 3 名,学部生 7 名の計 13 名が
在籍している.研究室の専門は主に流体の流れについて研究を
行っている水理学という分野であり,主な研究テーマは河川や
海洋の流れ解析,陸・海域の現地調査,実験設備を利用した模
型実験などと多岐にわたる.また,本庄キャンパスに 2 棟の実
験施設があり,研究室で管理を行っている.今回,私が携わっ
図-1 現地調査
ている研究支援と教育支援ならびに学科の業務に関する支援に
ついて紹介する.
2.研究支援について
佐賀県の中東部を流れる一級河川の嘉瀬川で行っている現地
調査について紹介する.嘉瀬川ダムを対象に現地調査を定期に
行っている.調査対象地点は,嘉瀬川ダムの上流側に 1 地点(小
関),下流側に 4 地点(古湯,道の駅大和,川上頭首工,嘉瀬川
大堰)の全 5 地点である.調査内容は,河川の表層水及び土砂
図-2 水質分析
の採取と水質測定である.採水は基本的に表層の水を採取する
が,地点によってはバンドーン採水器を用いて鉛直方向に 3 点
(表層,中層,下層)採取する(図-1).採水した水は研究室に
持ち帰り,分光光度計を用いて栄養塩を測定する(図-2).現地
での水質測定は多項目水質計を用いて水温,溶存酸素,pH 等を
測定する.また,採取した土砂は持ち帰り粒度試験を行う.
3.教育支援について
図-3 管路実験装置
今年度の支援科目は,前学期 2 科目,後学期 3 科目である.
各科目の支援内容は以下の通りである.
(1) 前学期の支援科目
1) 水工学実験演習(専門科目)
専門分野に関する 2 つの実験「管路の摩擦損失の測定実
験(図-3)
」
,
「水門流出と開水路水面形計測実験(図-4)
」
と 1 つの演習「管の中の流れについて」の説明や実験機
器の操作指導とレポートのチェックならびに評価を行う.
図-4 開水路実験装置
2) 情報基礎概論(教養教育科目)
Office 関連ソフトの操作指導とレポートのチェックならびに評価を行う.
-38-
(2) 後学期の支援科目
1) 情報基礎演習Ⅰ(教養教育科目)
VBA プログラミングの指導補助とレポートの確認を
行う.
2) 大学入門科目Ⅱ(教養教育科目)
Office Word の操作指導とレポートの確認を行う.
3) 測量学実習(集中講義)
測量機器の操作指導を行う.
図-5 就職用掲示板
4.学科業務支援について
2 年程前から学科の就職業務の支援を行っている.支援内容は,
学科に来る求人情報をデータ化し,対象となる学生(修士 1 年
と学部 3 年)にメールならびに掲示(図-5)にて就職活動に関す
る情報を定期的に配信している.理工学部 2 号館 1 階にある学
科就職対策室(図-6)に保管している資料(求人票や企業パンフ
レットなど)と就職に関連した図書の管理や学科の就職用ホー
ムページの更新作業を行っている.
図-6 学科就職対策室
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9
機械部門における新人育成の体系整備
工学系研究科技術部 機械部門 川平雅彦(Masahiko KAWAHIRA)
1. はじめに
現在、機械部門の新人育成は人事課による OFFJT と職場での OJT がある。しかし効果を十分に発揮できて
いないと感じていた。
そこで新人の育成方針である「ファーストキャリアプラン」の設定、先輩職員が新人にマンツーマンでつく
「ブラザー・シスター制度」
を導入し、
現状の育成制度を最大限に活用するための新人育成体系整備を行った。
2. ファーストキャリアプラン
新人育成期間を 3 年間とし、採用 3 年後の※「あるべき姿」を示し、その達成に向けて意図的・計画的・継
続的な育成を OFFJT、OJT を併せて実施する。
※・・・
「自ら学ぼうとする姿勢を持っていること」 「担当業務において“自立”していること」
「自律した行動に踏み出した状態でいること」
2.1
1 年目 : 「キャリアマインド」
採用 1 日目より、ブラザー・シスターを中心として機械部門独自のビジネスマナー等の勉強会を行う。これ
は 8 月ごろ行われる大学の新採用職員研修までの下準備を兼ねており、重複する内容に関しては、必要最低限
に留める。
1 年目の育成目標は、大学・組織を理解し、自己を結びつける。就業・就労「観」の醸成である。
2.2
2 年目 : 「能力・スキル」
2 年目最初月にブラザー・シスターによってまとめられた「能力・スキルデザインシート」を使って、フィ
ードバックを行う。フィードバックを受けることで、大学のフォローアップ研修における効果を高める。
2 年目の育成目標は、様々な分野に共通する能力・スキルの核を築くことである。
2.3
3 年目 : 「行動」
3 年目最初月にブラザー・シスターによってまとめられた「能力・スキルデザインシート」を使って、フィ
ードバックを行う。
3 年目の育成目標は、自立と自律の違いを認識し、自律へ向けた「行動」を促していくことである。
3. ブラザー・シスター制度
新人一人に若手職員一人がサポートし、職場全体で連携・協力しながら計画的に育成する「ブラザー・シス
ター制度」を導入する。この制度は、以下のメリットを持つ。
(ⅰ) 年齢の近い職員が担当することで、お互いのコミュニケーションが取りやすく、効率的に育成計画を進め
ることができる。
(ⅱ) 新採用職員を計画的に育成することで、業務で必要な人間力・基礎知識の平準化を図る。
(ⅲ) ブラザー・シスターにとっても PDCA サイクルを一緒に回すことにより、自身の成長の機会へと繋げる。
4. まとめ
採用後 3 年間は育成期間と定め、
「ファーストキャリアプラン」を実施していくこととした。
ブラザー・シスターと呼ばれる教育係を若手職員から任命し、OJT中心の育成を行うこととした。
-40-
10
手仕上げ実習の紹介
工学系研究科技術部
機械部門
河端亨 (Ryou KAWABATA)
1.はじめに
佐賀大学理工学部機械システム工学科では,機械工作実習が行われており, 機械工作実習Ⅰの 1
テーマとして手仕上げ実習が行われている. 機械加工された部品を組立時に微調整して正しく動
作させるため,その場で巧みに直すのが手仕上げの役目である.本稿では,手仕上げ実習の内容につ
いて述べる.
2.機械工作実習Ⅰについて
機械工作実習Ⅰは, 自分の手で,道具や機械を扱い,「ものづくり」の難しさや楽しさを味わうこ
と,工作機械に慣れ・親しむことを目的としている.それは,学部 2 年次に行われ, 1 班は 7~8 名にて
構成される.各班はローテーション方式で表 1 のテーマについて実習を行う.各テーマは 2 週で行わ
れ,学生(定員 90 名)を 2 分割し,水曜日 3・4 校時と木曜日 3・4 校時に振り分ける.2 分割するのは人数
の問題であり,両日とも同様な内容が提供される.
表 1 機械工作実習Ⅰ テーマ一覧
No.
実習名
実習内容
1
鋳造実習
木型の製作,鋳型の造形作業を行う
2
溶接実習
鉄板の突き合わせ溶接,曲げ試験を行う
3
旋盤実習
段付き軸の加工を行う
4
フライス盤実習
ブロックの加工を行う
5
手仕上げ実習
ヤスリ作業,キサゲ作業,ケガキ作業,穴あけ作業を行う
6
マシニングセンタ
二次元図形を G 言語で記述し,アルミ板に図形を彫る
7
エンジン分解・組立
農耕用エンジンの分解・組立作業を行う
3.手仕上げ実習について
(1) 概要
手仕上げ実習は,正しいケガキの仕方を身につけること,基本的なヤスリがけ作業やねじ立て作
業を体得すること,キサゲ作業によって正確な平面を仕上げる方法を理解することを目的として
いる(図 1,図 2).
図 1 ヤスリ
図 2 キサゲ
-41-
本実習では,1 週目に,鋳物の表面をヤスリがけし,ヤスリ仕上げされた面をキサゲによって仕上
げる.2 週目に,図 3 で示すように,大きさ 80mm 角で厚さ 4.5mm の鋼板を,ケガキ作業をして穴あけ・
ねじ立て作業を行い,製品を製作する.
図 3 製作図面
(2) 1 週目作業手順
ⅰ)荒目,中目,細目,油目の順にヤスリを使い,鋳物の表面を削る(図 4,図 5,図 6).
ⅱ)キサゲを使い,工作物の表面を仕上げる(図 7).
ⅲ)定盤に光明丹を塗り,摺り合わせを行い,赤当たりをみる(図 8,図 9).
図 4 荒目,中目,細目,油目
図 7 キサゲ作業
図 5 材料 (鋳物)
図 8 摺り合わせ
-42-
図 6 ヤスリ作業
図 9 製品
(3) 2 週目作業手順
ⅰ)ヤスリ,スコヤーを使い,鋼板の面を直角に仕上げる(図 10,図 11,図 12).
ⅱ)ケガキ工具にてケガキ線を引き,穴あけ位置にポンチを打つ(図 13,図 14,図 15).
ⅲ)ボール盤を使い,ねじの下穴をあける(図 16).
ⅳ)タップを使い,M8P1.25 のねじを立てる(図 17,図 18).
図 10 スコヤー
図 13 ケガキ工具
図 16 穴あけ作業
図 11 材料 (鋼板)
図 14 ポンチとハンマー
図 17 ねじ立て作業
図 12 直角出し
図 15 ケガキ作業
図 18 製品
4.まとめ
機械工作実習Ⅰにおける手仕上げ実習について述べた. 本学に採用されて2年目となり,手仕上
げの知識・技術を順調に習得,体得している.
実習終了時,各班にアンケートを記入してもらっている.それによると材質など学生が初めて見
聞きする物事は,なかなか理解することが難しい様子である.どのように説明すれば理解してもら
えるのかが,今後の課題である.
-43-
6 学生実験「電気電子工学実験D」における担当内容について
電気電子工学科学生実験に関わる技術職員の任務
学生実験委員会
学生実験「電気電子工学実験D」
における担当内容について
○学生実験A,B,C,Dの教育支援
A: 全員
B: 1名
C: 5名
D:3名
○大学入門周辺科目: 実技指導支援:3名
○実験委員会の各種委員
・予算管理
工学系研究科 技術部 電気部門
・機器類管理
築地 浩
・文書管理
平成25年度 電気電子工学実験D テーマ一覧
電気電子工学実験Dの位置づけ
到達目標(シラバス概略)
実験A : 回路と電磁気学に関する諸現象の実験的理解と機器取り扱い方の習得
実験B : 実験結果の処理法習得、論理的考察・デザイン基礎能力、表現力、協調性の育成
番
号
担当者
定員
集合場所
01
杉・松田・
永渕
ロボットアームの製作と制御
18
理工学部8号館8階811室
02
堂薗・田中
(徹)
ペルチェ素子を用いた温度制御実験
18
理工学部8号館7階709室
03
佐々木・
西山・上地
インテリジェント型移動ロボットの開発
15
理 工 学 部5号 館1 階学 生
実験室105室
04
原
簡易コンピュータ・ネットワークの構築と
解析
6
理工学部5号館3階308室
05
和久屋
ニューラルネットワークを用いた連想記
憶
6
総 合 情 報基 盤セン タ ー 1
階小演習室,8号館5階環
境科学セミナー室
06
築地
小形模型によるクリーンエネルギー(燃
料電池)の実験
6
理工学部8号館5階509室
07
田中(高)
LC発振器の設計製作
6
理 工 学 部5号 館 北棟1 階
学生実験室104室
実験C : 専門分野における実験結果に対する思考能力と第三者への伝達能力の育成
実験D : PDCAサイクルの実施と問題解決能力、創造性、自主性、発表能力の育成
*PCDA(Plan-Do-Check-Action) 計画-実行-評価-改善のサイクルを
繰り返し継続的に業務の品質を向上させるシステム
実験テーマ
75
出典 :平成25年度電気電子工学科学生実験Dガイダンス資料
平成25年度 電気電子工学実験D 日程(予定)
実施日
小形模型によるクリーンエネルギー(燃料電池)の実験
主な内容
第 1週目
10月04日(金)
ガイダンス
第 2週目
10月11日(金)
実験計画の立案、資料収集
第 3週目
10月18日(金)
実験の準備等
第 4週目
10月25日(金)
実験(1)
第 5週目
11月01日(金)
実験(2)
第 6週目
11月08日(金)
実験(3)
第 7週目
11月15日(金)
実験(4)
第 8週目
11月22日(金)
中間報告会
第 9週目
11月29日(金)
実験(5)
第10週目
12月06日(金)
実験(6)
第11週目
12月13日(金)
実験(7)
第12週目
12月20日(金)
実験(8)
第13週目
01月10日(金)
実験(9)
第14週目
01月24日(金)
最終レポート作成、最終報告会資料作成
第15週目
01月31日(金)
最終報告会
出典 :エヌビーエスアイ(株)エンジニアリング事業部情報
出典 :平成25年度電気電子工学科学生実験Dガイダンス資料
http://www.nbskk.co.jp/engineering/solution/battery.html
-44-
実験内容と指導内容
本実験で行うこと
当方が行うこと
学生が行うこと
○燃料電池の原理を理解
①計画の立案 : 製作物の提案
○燃料電池の電気的特性を測定
・燃料電池4個付与(付属品含む)
・実現性の確認
・電流電圧特性
②実験装置の製作
・最終目標の設定
キットやパーツなど使用
・効率などの算出
③動作実験
・必要最小限の助言
・設計と製作品の動作特性
④実験結果の検討
・結果考察の議論
・特性向上の工夫
⑤再実験
○燃料電池による電動模型の製作と動作実験
人数: 3人/班 × 2班
・理論的解析方法の説明
・解析結果の議論
: 6名
⑥最終結論
・最終目標を達成したか確認
出典 :平成25年度電気電子工学科学生実験Dガイダンス資料
実験内容と指導内容
実験内容と指導内容
学生が行うこと
学生が毎回行うこと
当方が行うこと
実験終了後:
①計画の立案 : 製作物の提案
・燃料電池4個付与(付属品含む)
定期報告書の提出
改善のアイデア
・実現性の確認
②実験装置の製作
・最終目標の設定
今回までの実験状況
キットやパーツなど使用
③実験
課題の解決に用いた知識
・必要最小限の助言
中間発表
④実験結果の検討
当方が毎回行うこと
工夫したポイント
・実験進行状況
・学習状況
実験の評価
・結果考察の議論
把握
・心理状況
・理論的解析方法の説明
感想・自己分析
・次回への準備
⑤再実験
・解析結果の議論
⑥最終結論
次回への準備・目標
・最終目標を達成したか確認
最終発表
PEM型燃料電池とその燃料
実験内容と指導内容
学生が行うこと
①計画の立案 : 製作物の提案
到達目標の設定
②実験装置の製作
当方が行うこと
・燃料電池4個付与(付属品含む)
・実現性の確認
+
・最終目標の設定確認
キットやパーツなど使用
③実験
・必要最小限の助言
④実験結果の検討
・結果考察の議論
–
水素供給口
・理論的解析方法の説明
⑤再実験
・解析結果の議論
⑥最終結論
・最終目標を達成したか確認
Horizon社製PEM型 定格/個:0.6[V],0.4[A] 重量:27[g] × 4個
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実験に用いた電動模型自動車
実験内容と指導内容
学生が行うこと
①計画の立案 : 製作物の提案
当方が行うこと
・燃料電池4個付与(付属品含む)
・実現性の確認
②実験装置の製作
・最終目標の設定
キットやパーツなど使用
③実験
・必要最小限の助言
④実験結果の検討
・結果考察の議論
・理論的解析方法の説明
⑤再実験
専用ギアボックス内臓 ギア比 4.2:1
・解析結果の議論
⑥最終結論
*回転数はタイヤで計測する
・最終目標を達成したか確認
最終目標の設定
○最高速度と安定性を得るために最適な燃料電池の接続手法の確定
本実験での安定性とは : 速度が一定かつ尐々悪路(でこぼこ道)でも走破可能
学生らの考え:
○電池を直列接続させすれば、きっと速くなる! なんだ簡単じゃん!
○並列なら電圧は1個分と変わらないから、意味はない
学生らによる模型製作や資料調査の作業風景
○安定性ってなに??走り出したら、燃料無くなるまで走るでしょ!
○でこぼこ道のことまで考えなきゃいけないの?
燃料電池搭載状態
実験内容と指導内容
学生が行うこと
燃料電池
①計画の立案 : 製作物の提案
当方が行うこと
・燃料電池4個付与(付属品含む)
・実現性の確認
②実験装置の製作
・最終目標の設定
キットやパーツなど使用
③実験
・必要最小限の助言
④実験結果の検討
・結果考察の議論
・理論的解析方法の説明
⑤再実験
・解析結果の議論
⑥最終結論
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・最終目標を達成したか確認
実験①接続電圧②空転回転数の結果とその整理と考察
実験項目
①電動模型がスイッチOFF時(燃料電池負荷なしの時)
無負荷電圧E0[V] (電流が流れない状態 Ia=0)
②スイッチON時のタイヤ空転時(燃料電池負荷ありの時)
モータ端子電圧E[V],モータ電流Ia[A],タイヤ回転数N[rpm]
③実走行速度v[m/s] = 走行時間から算出
助言:後の理論的検証を簡易化するため、実験方法を工夫させる
無負荷電圧と接続個数
<工夫例>平坦な床で直線経路10[m]を数回走行させ、加速を経てほ
ぼ等速となると思われる経路後半5[m]分の速度の平均値を実走行速
度v[m/s]とする。
空転の回転数と接続個数
①直列では個数分で電圧が上がるが、並列では電圧は一定
②空転回転数もそれに応じている
予想通り!
楽勝パターンだ♪
実験③の結果とその整理と考察
予想外!
予想外!
速度と直列接続個数
速度と並列接続個数
走らせると3個、4個と直列にしても速度は思うように上がらない
並列なら速度は上がらないが4個めで速度が下がる!
実走行試験のスタート準備
なぜだ!?説明できない!
実験内容と指導内容
学生が行うこと
①計画の立案 : 製作物の提案
実験内容と指導内容
当方が行うこと
学生が行うこと
・燃料電池4個付与(付属品含む)
①計画の立案 : 製作物の提案
・実現性の確認
②実験装置の製作
当方が行うこと
・燃料電池4個付与(付属品含む)
・実現性の確認
・最終目標の設定
②実験装置の製作
キットやパーツなど使用
③実験
課題が発生!
・最終目標の設定
キットやパーツなど使用
・必要最小限の助言
③実験
・必要最小限の助言
・結果考察の議論
④実験結果の検討
・結果考察の議論
中間発表
④実験結果の検討
・理論的解析方法の説明
・理論的解析方法の説明
⑤再実験
⑤再実験
・解析結果の議論
⑥最終結論
・解析結果の議論
・最終目標を達成したか確認
⑥最終結論
最終発表
-47-
・最終目標を達成したか確認
直流モータの電気回路
直流電源
課題突破へのヒント
モータ M
モータの抵抗
Ra
r
走行中の電流を知ること!
電源の内部抵抗
L
E0
学生の疑問
コイル
電源電圧(無負荷)
Ia
Ec
走行中にどうやって電流計つなぐの?
安定化電源:r = 0
誘導起電力
直列接続時の回路
Ec = kN
並列接続時の回路
燃料電池の内部抵抗
燃料電池の内部抵抗
合成抵抗
M
nr(I)
M
合成抵抗
I
E0
nE0
全電圧
全電圧
燃料電池
燃料電池
導出した特性式(電流Iaと回転数Nの関係)
速度一定の場合
学生の考え
○特性式は形式的に導出できた。でもいろいろな定数が不明
・直列個数: n個
助言:問題の整理
・並列個数: m個
・特性式と諸定数の意味の理解
(算術だけでは役立たず)
・諸定数の求め方(これまでの学生実験の成果)
・直列個数: n個,並列個数: m個の組み合わせ
-48-
I
実験内容と指導内容
実験項目
当方が行うこと
学生が行うこと
①計画の立案 : 製作物の提案
②実験装置の製作
・実現性の確認
①モータの内部抵抗 Ra
・安定化電源を用いた直流モータ拘束実験(回転を拘束)
(ヒント:学生実験A,B,Cでの知識)
・最終目標の設定
②誘導起電力定数 k
・燃料電池4個付与(付属品含む)
キットやパーツなど使用
③実験
・必要最小限の助言
④実験結果の検討
・結果考察の議論
・安定化電源を用いた直流モータの無負荷特性
(ヒント:学生実験Aでの知識)
③燃料電池の内部抵抗 r(Ia)
・理論的解析方法の説明
⑤再実験
・可変抵抗を用いた電圧降下の測定実験
・実験手法のヒント
必要な諸定数を求め理論的に解析
⑥最終結論
(ヒント:学生実験A,Bでの知識)
・解析結果の議論
・最終目標を達成したか確認
:実走行
①拘束実験
②誘導起電力定数
―:1個
―:1個
―:2個
―:2個
―:3個
―:3個
―:4個
―:4個
③内部抵抗の測定
・モータ抵抗R = 1.146 [Ω ]
直列接続の速度特性
並列接続の速度特性
学生らの考え: 走行中の電流をどう扱うか?
これで特性式から回転数Nと電流Iaの関係が分る!
ヒント:燃料電池にも限界がある
走行中の電流が分る!!
学生らの最後の?疑問
電流定格値 0.4[A]
との関連付け
学生らに学習して欲しいところ
・なぜ電流が増えると回転
数が下がるのか?
モータの機械出力PMとは
・なぜ電池搭載個数が増え
ると電流が増えるのか?
トルクTと出力PM の関係
PM = EcIa
PM = Tω ω:角速度
トルクと電流の関係(上記2式より)
力学的な考えができない
ヒント
重量と電流
T =(EC/ω)Ia = (Ke/α)Ia
ω=α・N
ただし
2P2S接続との比較
○重量が増えるとトルクがより必要となり線形的に電流が増える。
○電池1個当りの電流が0.4[A]付近であれば動作は安定
α = 2π/60
○1個当りの電流容量は直列3個で限界なので、電流を2分でき
る2P2Sならば余裕がある! 図より3Sや2Sよりも安定である。
モータ電流Iaの力学的な意味 積載個数の重量と電流の関係
実験で求める
○トルク変化に対して回転数の変動率が小さいと、悪路でも安定
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実験内容と指導内容
当方が行うこと
学生が行うこと
①計画の立案 : 製作物の提案
・燃料電池4個付与(付属品含む)
・実現性の確認
②実験装置の製作
・最終目標の設定
キットやパーツなど使用
③実験
・必要最小限の助言
④実験結果の検討
・結果考察の議論
・理論的解析方法の説明
⑤再実験
・実験手法のヒント
必要な諸定数を求め理論的に解析
・解析結果の議論
⑥最終結論
成果報告(兼発表練習)の様子
・最終目標を達成したか確認
実験内容と指導内容
学生らの到達結論
学生が行うこと
①4S接続では搭載電池の重量が増大するため電池の電力供
給能力において過負荷となり、安定供給の目安である定格電流
を大きく超えたことから速度が落ちたことが判明した。よって本実
験では最高速度は3S接続にて得られる。
①計画の立案 : 製作物の提案
・燃料電池4個付与(付属品含む)
・実現性の確認
②実験装置の製作
②理論計算より2P-2S接続時が3Sあるいは2S接続時よりも負
荷電流変化に対する速度変動が小さくなることが予測され、実
走行状態は直列接続の中で最も安定していた。
・最終目標の設定
キットやパーツなど使用
③実験
・必要最小限の助言
中間発表
③並列接続では速度向上は望めないが、路面状況の変化など
に対してより安定した走行性能を期待できる。
④実験結果の検討
・結果考察の議論
・理論的解析方法の説明
⑤再実験
現象が理論的に説明されており、当初の疑問が解決され、
・解析結果の議論
○最高速度と安定性を得るために最適な燃料電池の接続手法の確定
という目標が達成されている。
当方が行うこと
⑥最終結論
任務完了!
・最終目標を達成したか確認
最終発表
実験Dを担当しての感想
重要:学生の学習意欲損なわない!
○苦労と達成感 =面白み
ご清聴ありがとうございました。
目標までの途上に障壁があってこそ、それを乗り越える達成感
次の段階へのモチベーション
課題
学習・習得
挑戦
解決 (満足)
失敗(不満)意欲喪失の恐れ
○学生の向学心と指導者側の理想とのバランスに留意
・学生に期待しすぎてはいけないし、あきらめてもいけない
・常に状況を把握し最適な対応策を講じられる努力
学生に努力を求めるなら、指導者側も努力しなければならない!
達成感の共有ができる
-50-
7 コンクリートの強度試験について
はじめに
コンクリートの強度試験について
教育支援の建設材料実験演習(3年生対象)で担当してい
るコンクリートの強度試験について、発表を行う。
強度試験はアムスラー型万能試験機を用いコンクリート供
試体の圧縮、引張、曲げ試験および静弾性試験を行う。
環境・情報部門
山内 直利
実験の流れ
実験目標
実際に打設したコンクリートの品質を知り、設計に仮定した
圧縮強度、その他の性質を有するかを調べる。
設計基準強度の設定
水セメント比
粗骨材の最大寸法
単位セメント量
空気量
配合設計
引張強度は直接曲げを受けるコンクリート道路床版、水槽
などにおいては、重要である。
コンクリートの打設
養生
舗装コンクリートの強度は曲げ強度を基準としている。
強度試験
強度試験用供試体
試験機
アムスラー型万能試験機
圧縮試験
直径100mm高さ200mmの円柱供試体
3本
(試験前に直径、高さ、質量を測定する)
コンクリートの圧縮試験
引張試験
引張試験
曲げ試験
直径100mm長さ100mm以上の円柱供試体
3本
静弾性試験
(試験前に直径、質量を測定、試験後長さを測定)
曲げ試験
100mm真四角、長さ400mmの角柱供試体
3本
(試験前に載荷・支点位置を記入、試験後、破断面の幅・高さを測定)
-51-
材料の練り混ぜ
スランプ試験
空気量試験
型枠詰め
圧縮、引張、曲げ試験
静弾性試験
圧縮試験、静弾性試験
・圧縮強度
𝑃
𝜎𝑐 =𝐴
𝑐
𝑁
𝑚𝑚2
P: 最大荷重
Ac: 断面積
(N)
(mm2)
・静弾性係数
𝐸1 = 𝜀
試験機に供試体をセットし
た状態。
(N/mm2)
縮量を計測する。
曲げ試験
・引張強度
2𝑃 𝑁
(
)
𝑚𝑚2
𝜋𝑑𝑙
−6
データロガーで1tおきに
引張試験
𝑓𝑡 =
𝑆1 −𝑆2
1 −50×10
・曲げ強度
d: 円柱供試体の直径
l : 供試体の長さ
(mm)
(mm)
𝑓𝑏 =
最後に
学生がコンクリートの配合設計を行い、実際にコンクリートを
打設し、強度試験で得られた値と設計値との違いについて
考察を行わせる。
圧縮強度の実測値が設計値以下なら水セメント比等の補正
を行い補正した配合表を提出させる。
引張強度、曲げ強度が、それぞれ圧縮強度の1/10~1/15、
1/5~1/8であるか確認をさせる。
-52-
𝑃𝑙 𝑁
(
)
𝑚𝑚2
𝑏𝑑2
l : スパン
b: 破壊断面の幅
d: 破壊断面の高さ
(mm)
(mm)
(mm)
8 支援業務について
研究室紹介
研究室名:流域水工学研究室
研究室研究分野:
支援業務について
水理学,水に関わる自然現象の解明
主な研究テーマ:
河川・海洋の流れ解析,現地調査等
工学系研究科技術部
野口 剛志
研究支援① 現地調査
研究支援② 現地調査
調査目的:嘉瀬川ダムが河川環境に
及ぼす影響
調査地点:5地点
ダム上流1地点:小関
ダム下流4地点:
古湯,道の駅大和
川上頭首工,嘉瀬川大堰
調査前日までの業務:
調査日の選定と人員の確保,
水質計の校正,試薬・器具等の確認
調査内容:
河川水の採水,土砂の採取
水質計測(水温・pH・濁度・溶存酸素等)
北山ダム
St.1(小関)
嘉瀬川ダム
St.2(古湯)
St.3(道の駅大和)
川上頭首工
官人橋
嘉瀬橋
St.4(嘉瀬川大堰)
研究支援③ 現地調査
教育支援① (前学期開講科目)
現地調査後の業務:
採水した河川水のろ過,
浮遊物質量(SS)の測定,
分光光度計による水質分析
6項目(T-N,No2,No3,NH4,T-P,Po4)
土砂の粒度分布試験
水工学実験演習(専門科目)
管路の摩擦損失の測定実験
水門流出と開水路水面計計測実験
管の中の流れ(演習)
情報基礎概論(教養教育科目)
文書作成,表計算ソフトの操作指導
-53-
教育支援② (後学期開講科目)
学科支援業務① 学科就職支援
情報基礎演習Ⅰ(教養教育科目)
VBAプログラミングの指導と課題の確認
求人情報のデータ化
求人,会社説明会等の情報配信
メールと掲示(2/25現在の求人情報
117社)
大学入門科目Ⅱ(教養教育科目)
文書作成ソフトの操作指導
課題の確認
測量学実習(集中講義)
測量器具の操作指導
学科就職対策室
就職用掲示板(理工学部4号館)
学科支援業務② 学科就職支援
学科就職対策室と就職用掲示板の管理
学科就職用HPの更新
就職対策本の購入と管理
ご清聴ありがとうございました
学科就職対策室(理工学部2号館)
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9 機械部門における新人育成の体系整備
工学系研究科 技術部 機械部門
川平 雅彦
ビジネスマナー
新人育成の成果
仕事をするうえで必要とされるマナー
OJT
OFF-JT
人事課による
新人育成の体系に問題
 新採用事務系職員研修
新人育成
OFF-JT(職場外研修)
 フォローアップ研修
OJT(職場内訓練)
職場から離れ、外部の講師など
実際の現場で業務をどんどん
からのトレーニングを受ける
教え、早く仕事に慣れてもらう
技術部業務
 支援業務
 運営業務
機械部門業務
 教育支援業務
 研究支援業務
☆ 現状の育成制度を最大限に活用するための体系整備
佐賀大学大学院工学系研究科 技術部機械部門
佐賀大学大学院工学系研究科 技術部機械部門
 新人1人に、若手職員1人がサポート
ブラザー・シスター
 ブラザー・シスターを中心に、職場全体で連携・協力
フォロー
連携
フォロー
※似たような制度 : OJTリーダー制度・エルダー制度・新人指導者制度 etc
佐賀大学大学院工学系研究科 技術部機械部門
佐賀大学大学院工学系研究科 技術部機械部門
-55-
回数
 人間力・基礎知識の平準化
 将来の作業負荷軽減
 コミュニケーション力向上
 ベーシックスキルの再確認
 指導育成のスキル向上
 コミュニケーションの気軽さ
 業務の習得を促進
成長の機会
テ ー マ
第 1回
OJTとは
第 2回
育成計画作成方法
第 3回
配属前の事前準備
第 4回
新人との人間関係構築方法
第 5回
業務の教え方
第 6回
成長促進フィードバック方法
第 7回
後輩の質問対処法
第 8回
相手を伸ばす褒め方
第 9回
上手な叱り方
第10回
専門スキルとマネジメントノウハウの身につけ方
佐賀大学大学院工学系研究科 技術部機械部門
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
佐賀大学大学院工学系研究科 技術部機械部門
3月
業務日誌
事務
 人事課
日常業務
実習
(講義)
各テーマ見学
課題の遂行
『新採用事務系職員研修』
 機械部門 『ビジネスマナー勉強会』 ・ 『大学職員の基本知識勉強会』
各テーマ見学
課題の遂行
加工依頼品の製作
機械加工
旋盤3級対応
 人事課 『フォローアップ研修』
その他
職員基礎
勉強会
新採用時手続き
新人
研修
配置図
作成
予定
 機械部門 『能力・スキルデザインシート』によるフィードバック
4月頃
5月頃
9月
部門別研修
・学内便受けの設置
・ 図書カード入館認証機能追加
1月
センター試験対応
・ メールアカウント作成
① 図書館にて図書カード作成
3月
大学入試対応
・ メールアドレス登録
② 事務室にて入館機能を追加
他
技術研究会
 機械部門 『能力・スキルデザインシート』によるフィードバック
・職員証、職員名札の作成
佐賀大学大学院工学系研究科 技術部機械部門
項目
昨年度目標
今年度目標
コメント
・ 実習工場の設備(役割)を理解する
・ 実習工場の設備(特徴)を理解する
知識力 ・ 技術部の情報を迅速に集約できる
情報力 ・ 必要なことを知っている人に聞くことが
できる
設備の理解は進んでいる。
しかし、技術部や機械部門の役割(仕組み)の
理解がまだ不十分である。
来年度は、機械部門を中心に利益に関する
知識を深めてほしい。
・ 実習工場内機械の基礎技術を習得
する
・ 手仕上げ場の管理方法を習得
(メンテナンス)
実習に関してはそつなくこなし、知識、技術とも
に 習得できたと思われる。
来年度は、今年度得た技術を深めつつ、新た
な技術の習得も目指してほしい。
・ 機械工作実習を技術習得する
技能 ・ 実習内容より深い仕上げ技術を習得
ノウハウ する
・ 上司、先輩への報告・連絡・相談が毎
・ 教員とスムーズにコミュニケーションを
コミュ力 日行える
育成力 ・ 業務外のコミュニケーションに積極的に 取ることができる
参加できる
・ 業務の優先順位や課題を把握できる
課題発見 ・ 自分の業務の問題点や自分の苦手を
形成力 把握する
課題 ・ 与えられた課題を遂行できる
遂行力
・ 問題点に対し、自分で出来ることを
改善する
・ 上司や皆と相談し、皆で出来る改善を
考える
佐賀大学大学院工学系研究科 技術部機械部門
計画的な教育実施の基となる
 育成期間を3年間とする
 採用3年後の「あるべき姿」
を示した
たどたどしいが、報告・連絡・相談を行えている。
業務外のコミュニケーションが消極的なので、
もっと積極的に行い、今以上に協調性を高めて
ほしい。
教育係を先輩職員から任命し、
OJT中心の育成を行う
 『ブラザー・シスター勉強会』導入
 ブラザー・シスターによるFB
徐々に業務遂行のコツを掴んできている。
今年度は、業務遂行で手一杯だったようなので
来年度は、業務の見直しや改善を図れるよう
に なってほしい。
・ 業務改善を考え、上司や先輩と相談
与えられた課題を遂行できている。
しながら、課題を設定、解決に向け実行 記載通り、来年度は自ら課題の設定や解決を
できる
実行できるようになってほしい。
上司、ブラザー・シスター、新人の3者で採用3年後の「あるべき姿」、育成目標
を設定し、定期的に進捗をチェックしながら、一人一人の育成段階にフィットした
・ 大学の概要、方針を理解できる
基礎
・ 一般常識、社会環境
スキル ・ 基礎能力、基礎ノウハウ
教育が行われる仕組みになっている
佐賀大学大学院工学系研究科 技術部機械部門
佐賀大学大学院工学系研究科 技術部機械部門
-56-
10 手仕上げ実習の紹介
機械工作実習Ⅰの紹介
手仕上げ実習の紹介
機械工作実習Ⅰ 項目一覧
No.
実習名
1
鋳造実習
2
溶接実習
3
旋盤実習
4
フライス盤実習
5
手仕上げ実習
6
マシニングセンタ実習
7 エンジン分解・組立実習
佐賀大学 大学院工学系研究科
技術部 機械部門
河端 亨
手仕上げ実習の紹介~1週目~


手仕上げ工具等の紹介~1週目~

ヤスリ作業
材料:鋳物 (鋳鉄)
キサゲ作業
手仕上げ工具等の紹介~1週目~

手仕上げ工具等の紹介~1週目~
ヤスリ
荒い目から始め,
次第に細かい目のもの
を使う.
荒目
-57-
中目
細目
油目
手仕上げ工具等の紹介~1週目~

手仕上げ工具等の紹介~1週目~
キサゲ
表面を少量ずつ
削り取って,
工作物の面を
さらに精度の高い平面に
仕上げる.
平面に
平キサゲ
手仕上げ実習~1週目~

曲面に
ささばキサゲ
手仕上げ実習~1週目~
基本的なヤスリがけ作業を体得する.

基本的なヤスリがけ作業を体得する.
右手にヤスリを持ち,左手はそえるだけ
足は「レ」の字に開く
手仕上げ実習~1週目~

手仕上げ実習~1週目~
キサゲ作業によって正確な平面を仕上げる
方法を理解する.

右手で中ほどを持ち,左手はそえるだけ
-58-
キサゲ作業によって正確な平面を仕上げる
方法を理解する.
手仕上げ実習~1週目~

手仕上げ実習~1週目~
キサゲした面を定盤に摺り合わせる.

手仕上げ実習~1週目~

学生の製品(赤当たり)
手仕上げ実習の紹介~2週目~
見本(赤当たり)

ケガキ作業


手仕上げ工具等の紹介~2週目~

穴あけ作業
ねじ立て作業
手仕上げ工具等の紹介~2週目~
材料:厚さ4.5mm,およそ80mm角の鋼板

-59-
スコヤー (直角定規)
手仕上げ工具等の紹介~2週目~

手仕上げ工具等の紹介~2週目~
製作図面(ケガキ線等を記入)

ケガキ工具
スケール
片パス
コンパス
手仕上げ工具等の紹介~2週目~

手仕上げ工具等の紹介~2週目~
フォグ(ケガキ用スプレー)

ケガキ工具
ポンチ
ハンマー
手仕上げ工具等の紹介~2週目~

手仕上げ工具等の紹介~2週目~
ボール盤

タップ,タップハンドル
タップ
-60-
タップ
ハンドル
手仕上げ工具等の紹介~2週目~

手仕上げ実習~2週目~
タップの先端

ヤスリとスコヤーを使用し,
厚さ4.5mmの鋼板を80mm角に仕上げる.
1.5やま
5やま
9やま
手仕上げ実習~2週目~

手仕上げ実習~2週目~
ヤスリとスコヤーを使用し,

厚さ4.5mmの鋼板を80mm角に仕上げる.
穴あけ位置にポンチを打つ.
手仕上げ実習~2週目~

ケガキ工具にてケガキ線を引き,
手仕上げ実習~2週目~
ボール盤を使用し,

ねじの下穴をあける.
タップを使用し,
M8 P1.25のねじを立てる.
-61-
手仕上げ実習~2週目~

手仕上げ実習~2週目~
学生の製品

手仕上げ実習~アンケート~

学生の製品
手仕上げ実習~アンケート~
アンケート表

アンケート結果グラフ
平成25年度 前期 機械工作実習Ⅰ(手仕上げ) アンケート記入表
2013.6.12(Wed)
当てはまる理解度に○を付けて下さい。
問
実習内容
理解度
理解できた
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
タガネ切れ刃の材質について
ヤスリの材質について
ヤスリの種類について
ヤスリの使い方
ドリルとリーマの違い
キサゲの種類について
キサゲ切れ刃の材質について
キサゲの使い方
赤当たり,黒当たりについて
油溜まりについて
平面の作り方について
片パスの使い方
ポンチの種類について
ケガキ工具の種類について
ケガキ作業について
ボール盤の使い方
タップの1,2,3番の違いについて
タップ作業(ねじ立て)について
スコヤー(直角定規)の使い方
やや理解できた
少し難しい
分からなかった
16タガネ切れ刃の材質について
11
平面の作り方について
キサゲの種類について
27ヤスリの材質について
12
片パスの使い方
キサゲ切れ刃の材質について
16
ボール盤の使い方
38ヤスリの種類について
13
ポンチの種類について
キサゲの使い方
17
タップの1,2,3番の違いについて
49ヤスリの使い方
14
ケガキ工具の種類について
赤当たり,黒当たりについて
18
タップ作業(ねじ立て)について
5 ドリルとリーマの違い
10
15
油溜まりについて
ケガキ作業について
19
スコヤー(直角定規)の使い方
ご自由に
5 ドリルとリーマの違い
6 キサゲの種類
7 キサゲ切れ刃の材質
その他:ご自由にご意見,ご感想をお書き下さい。
まとめ・今後の課題

手仕上げ実習の紹介をした.

採用2年目となり,手仕上げの知識・技術について
順調に習得,体得している.

学生は,初めて見聞きする物事は,
なかなか理解することが難しい様子である.
どのようにすれば理解してもらえるのか,
今後の課題である.
-62-
17 タップ1,2,3番の違い
技術部報告
第5号
2014 年 5 月
佐賀大学大学院工学系研究科技術部
編 集 工学系研究科技術部編集委員
所在地 〒840-8502
佐賀市本庄町一番地
TEL 0952-28-8485
ホームページ http://tech.se.saga-u.ac.jp/index.html
発
行