保護者の成長を支える子育て支援 ~たくさん愛して子育てしよう~ 相模原市立相模湖幼稚園 Ⅰ はじめに 大野 計子 園ができる子育て支援にはどのようなもの 子ども達一人一人のよりよい育ちを支えて があるか。また、それをどう取り組めばより いくためには、保護者の子育て支援をするこ 意義のあるものとなるかを、全職員で話し合 とが不可欠である。なぜならば保護者は、私 った。その話し合いの中では、保護者は自分 達教師にとって、子ども達を一緒に見つめ、 の子に対して否定的に捉える傾向が強い、も 支え、育てていくパートナーだからである。 っと肯定的にかかわってほ しい等の意見がだ 幸いなことに当園では、全園児が保護者の 送迎である。 「おはようございます」と元気な された。そこで、 “たくさん愛して子育てしよう” を合い言葉とし、取り組んでいくことにした。 挨拶から幼稚園生活の一日がスタートする。 そんな中、ニコニコと「いってらっしゃい」 と子どもに声を掛けている保護者もいれば、 しずんだ顔をしている保護者もいる。思わず Ⅱ 取り組みの観点 全職員で保護者を理解し、保護者が自分で 課題を解決していく過程を支えていく。 「どうしたの」と声をかけると「着替えに時 そのためには、日々子育てに奮闘する保護 間がかかるんです。」「私の言うことを聞かな 者の頑張りを認めることを出発点とし、子育 いんです。」等、自分の子に対しての不安を話 て力を信じ支えながら、保護者自身が今すで してくれる。特に、初めて子どもを育てる保 にもっている力に「気づき」、 「自信」がもて 護者は、子どもの気になる行動に、不安を抱 るようなかかわりをしていくこととする。 きがちのように感じる。言葉の遅れ、片づけ 具体的には、次の4つの観点から、保護者 ができない、着替えができない、トイレトレ の成長を支える子育て支援を進めていくこと ーニング等、直面する不安は子どもの発達に にした。 伴い変化するが、 「 うちの子ばかりができなく (1) 幼児の育ちの見通しを伝える て、私の子育てが悪いのでは…。」と、涙を見 ① 日常の会話の中で せ自分を責めている保護者もいた。 ② げんきっこだよりを通して そこで今年度は、今まで以上に子育て支援 (2) 保育の中に巻き込む を充実させていかなければならないと感じた。 ① 保育参加 保護者が成長し変化していかなければ、親子 ② 保育ボランティア 関係の質は変わらない。保護者が保護者であ ることに自覚と自信をもち、子育て力を高め (3) 家庭内のコミュニケーションを支え る ていけるような成長支援に取り組む必要があ ① ムギュ~週間の実施 る。幼稚園だからこそできる支援、教師の専 ② 「ありがとう」の絵本づくり 門性を生かし、幼稚園という場を生かした保 護者の成長を支える支援を行いたいと考えた。 (4) 地域と繋がって ① 子育て支援教室 ② 保護者に対する読み聞かせ これらの時期、目的、内容、成果等を考察 たね。」と子どもを誉めた。その際、保護者と 子どもの満面の笑顔が見られた。 しながら進めていくことにした。 ウ Ⅲ 取り組み内容 1 育ちの見通しを伝える 家庭訪問・個人面談・個別相談 5月に家庭訪問を行い家庭の様子を知ると 共に保護者の思いを聴いた。個人面談は7月 保護者と話をする時には、表情や発言の一 に希望者を対象に、12月は全家庭を対象に つ一つを丁寧に分かりやすく伝える。そして、 行った。また、保護者の希望により随時行っ 保護者の心をあるがままに受けとめ、温かい たり、毎月定期的に行ったりした。 関心を寄せる姿勢を大切にしながら、信頼関 子どもの成長を共に喜んだり、不安に思っ 係を構築していくことであると考えた。 ていることを尋ねたりし、気持ちに寄り添っ ① 日常の会話の中で たり共に考える姿勢を心がけたりしたことで、 ア 登園時に 様々な話をすることができた。また園だけで 朝の登園時、門に立ち挨拶をしながら話を なく『家庭と共に』の思いも伝えた。 する。なにげない会話をしながら話しやすい 雰囲気を心がけ育児相談も受けるようにし エ クラス懇談会 た。不安をもっている保護者には、あいづち 入園式、始業式、7月、2月に行う。 をうちながら話を聴き、頑張って子育てして 子ども達の成長の様子を伝えながら、家庭 いるところを認めたり誉めたりしながら、一 でのかかわり方を誉めたり、子育てアドバイ 緒に考えた。そして、その時だけではなく継 スをしたりした。また、懇談会の中で自分の 続的に、具体的な話ができるようにした。 子が成長してきている様子や、困っているこ また「子どもはお母さんのことが大好き。 と等を話す時間も確保した。ベテランお母さ 否定的に捉えないで、肯定的にみていこう。 んの話を聞くことで、自分の子育てのヒント 誉めながらかかわってみよう。発達には個人 になったり、悩んでいるのは自分だけではな 差あるので焦らずに。」等の話をしたり、子 いと気づいたりすることもあり、保護者同士 どもの発達の見通しを伝えたりした。 で学び合い、育ち合うことができていた。 会話をすることで「少し安心しました。」 「○ ○してみます。」等と言い、保護者の表情が明 <考察> るく見えた。 保護者から悩み相談を受けたり、話を聴い たりしたことで、保護者の意識の変化が見ら イ 降園時に れた。子育ては、育児書通りにならなくても 毎日の降園時、幼児を引き渡す前に担任か いいという気持ちや、自分の子のよさを見つ ら、クラスの取り組みや子ども達の姿、連絡 けて受け入れていこうという前向きな気持ち 事項等を話した。また、一人一人の子どもを に繋がっていったように感じた。また、教師 引き渡す際には、その日の様子(できるよう 自身も保護者と共に子どもの気持ちを考えた になったこと、頑張っていること、遊びの様 り、子どもに対する捉え方を聞いたりするこ 子、友達関係等)を伝えたりしながら、共に とで、子どもの見方を広げることができた。 成長を喜んだり、家庭での様子を聞いたりし ながら丁寧にかかわるようにした。 ② げんきっこだより(通信) できるようになったことを伝えると「そう 園生活の中で、環境とかかわり主体的に遊 ですか。嬉しいです。」と言い、「○○頑張っ んでいる子ども達の写真、遊びを通して学ん でいる姿、成長していく過程、 きたと感じた。子ども達から「写真撮って。」 園の教育方針、教師のかかわり、 「げんきっこだよりに載せてね。」とアピール 子育てアドバイス等を載せた。 する姿もあり楽しみにしている様子が伺われ 自然に手に取り読みたくなるよ た。いろいろな内容を発信したことで保護者 うな工夫をし、週1回発行した。 は、『子どもの理解を深めること』『幼稚園教 ~げんきっこだよりに載せた子育てアドバイス~ 育への理解を深めること』 『自分自身を振り返 ること』ができたように思う。 子どもの『体験や学び』に気づき、受けとめて、 2 『見守ることや待つ』ことが大事です!! 保育の中に巻き込む 100回喧嘩した子は、100回仲直りする「チャ 子育ての不安やストレスは、子育てに対し ンス」があるように、100回転んだ子は100回起 てもっているイメージと自分の子の発達との き上がる「練習」ができます。100回泣いた子は、 ギャップの大きさから来るケースが多い。そ その数だけ「泣き止む」(心をコントロール)ことができ こで、保護者を保育に巻き込むことで子ども ます。子ども達は、生活の中で『貴重な体験』をして 理解や発達の様子を知ってほしいと考えた。 いるのです。子どもにとって無駄なものはひとつもな ① 保育参加 く「生活体験」の中から様々なものを「学び・練習」し 保育参加を通して、子どもの変化していく ているのです。我が子に対して、いろいろな心配もあ 様子を見ながら、子どもの育ちを実感するこ ることでしょう。でも焦らずに、また他の子と比べず とができる。また、自分の子や自分の子以外 に成長を見守っていきましょう。子ども達は、一歩一 の園児とかかわることで、保護者の子育てに 歩成長しているのです。 対する意識を変えることができるのではない H23,5,9発行 №5 かと考えた。子育ての楽しさを知るには、保 お友達大好き! だからけんかもいっぱい! 護者自身が楽しめることも大切なのである。 「あの子が私のこと、仲間に入れてくれないの」 「嫌い って言ったの」などの理由で、あちらこちらでけんか ア 親子交通安全教室(4月) をしたり、泣いたりする場面が見られます。子どもた 交通安全指導員の ち同士、お互いがとても気になり始めていて、かかわ 方から「道路を歩く時 りを持ちたいと思っているからこそ出始めたトラブル は、どこを歩けばよい だと思います。そんな時大切なのは、泣くだけ、プン のか」「信号の見方」 プン怒るだけでなく、自分の気持ちを相手に言葉で伝 「横断歩道の歩き方」 えようとすることだと思います。けんかのとき、 「ごめ 等を教わる。保護者の行動が子どもの鏡(モ んね」と言葉で謝ることも大切ですが、言葉だけでか デル)となることを伝えたことで、子どもの たちを整えてしまうのではなく、お互い、相手の気持 目線に合わせ信号を見たり、横断歩道を歩い ちに気づいていくことが大事です。私達大人がうまく たりしながら参加していた。 伝えにくい心の言葉を伝えていくお手伝いをしていき たいですね。(ケンカするほど仲がいいですよね) H23,6,20発行 №11 イ 親子遠足 (5月) 親子で「サンリオピ ューロランド」に行く。 <考察> 毎週楽しみにし、お便りを見ながらいろい ショーを見たり、乗り 物に乗ったり、お弁当 ろな話ができた等の話を聞くことができ、 時にはおしゃべりやお菓子交換をしたりと、 親子のコミュニケーションに役立つことがで いつもの幼稚園では味わえない開放感の中で、 親子のふれあい、保護者同士の親睦が深めら て、「おいしいね。」と言いながら食べている れた。 姿は、とても微笑ましく見えた。家庭では包 丁を触っていない自分の子が、上手に包丁を ウ 土曜参加 (6月) 扱うことができる姿を見て、子どもの成長に 年長は竹馬作り、年中 気づく保護者もいた。 は竹ぽっくり作りを行 う。子ども達、保護者の カ 誕生会 (7・12・3月) 方の真剣な顔、笑顔がと 誕生月の園児の保 ても素敵であり、楽しい 護者が誕生会に参加 思い出の一つとなった し、子どもの成長を喜 ように感じた。作った竹 んだり、ケーキを食べたりした。和やかな 馬、竹ぽっくりは、日々 雰囲気を心がけ、頑張って子育てをしている の園生活の中で子ども達が主体的に使い遊ん 姿を認め誉めるかかわりをした。会話の中で でいた。特に年長の竹馬は、うまくのれるま 「私は子どもに育ててもらっています。」と話 でには時間と練習が必要であったが、根気強 す保護者もいた。その言葉から保護者の子育 く練習に取り組む自分の子を励ましたり、で て力の高まりを感じることができた。 きた時には大喜びしたりして、子どもの成長 を喜んでいた。子ども達も保護者、友達、教 キ 親子で絵本を借りる 師に認められたことで大きな自信となった。 (7・12・2月) 子ども達は、毎日喜 んで本を借りていく。 エ 親子野外体験活動「やませみ」(7月) カレー作り、川遊び、T しかし、借りて行って も家庭で読んでもら シャツ作りを通して、目で えない子もいる。そこで学期に 1 回は、親子 見て、鼻で匂いを嗅ぎ、口 で絵本を借りる日を設けた。本の読み聞かせ で味わい、耳で音を聞き、 をすることで親子の絆が深まったり、心の安 手・足で触れ確かめ、そし 定につながったりすることを伝えながら啓発 て、頭で考える等の豊かな した。親子で借りた日は、貸出カードを持ち 体験ができた。子ども達に 帰り読んだ後に子どもの感想を書くように呼 本物の生活体験を通して学 びかけた。 「○○が楽しかった。」 「○○が怖か べる機会を保障していくこ った。」「お父さんが読んでくれてうれしかっ とが、私達大人の務めであ た。」等が書かれていた。 ると気づくことができた。 <考察> オ 親子調理活動 (12月) 保育参加を通して、これまで自分の子に対 わかな会の方か して否定的にしか捉えなかった保護者も、自 ら「うどんの作り 分の子どものよさを発見し、肯定的にみるこ 方」を教わり会食す とができるなど、子育てのイメージの改善に る。できるまでの過 つながったように感じた。また、子ども達が 程を親子で楽しみ 遊んでいる様子も自然にみることができ、子 ながら参加していた。保護者は、見守る姿勢 ども達が主体的に環境にかかわって遊んでい で子どもとかかわることができていた。そし くことが大事であることも理解できたように 思う。 くれた。終了後お父さんに感想を聞くと「大 保護者に参加してもらう事で活動がより安 全になり、丁寧に援助や指導することができ 勢の子ども達とふれ合うことができて楽しか った。」と話していた。 た。教師だけでは、連れて行けない所まで出 かけることができ、子ども達の経験の幅も広 イ 図書館ボランティア げることができたと感じた。 (10月~) 絵本の貸出や本の 子ども達も様々な保護者と出会いかかわる 修繕、図書コーナーの ことで、驚いたり、親しくなったり、尊敬し 環境構成を行う。子ど たり、何より多くの大人の眼差しに守られて もの姿を見守ったり いることを実感することができたように思う。 話を聞いたりしながら優しくかかわってく れた。本の修繕では「この本おもしろいです ② 保育ボランティア ね。」 「うちの子がよく借りてきます。」と言い ボランティア活動を通して、孤立している ながら丁寧に修繕してくれた。その姿を見て 保護者同士のつながりを支えたいと考えた。 子ども達の本を大切に扱う意識が高まった。 また、なにげない会話の中で、子育てにつ いても自然に話せる雰囲気作りをすることが <考察> 大事であると思う。 ア ボランティア活動をする中で、子育てにつ 夕涼み会ボランティア ◇出店の品物作り いて自然に話をすることができ、保護者同士 (6・7月) の繋がりがもてたように感じた。 夕涼み会のお店の 保護者にボランティア活動をしてもらった 品物となるお面や魚 ことで、園の環境がより豊かになり子ども達 作り等を行う。作業を の育ちにつながったように思う。 しながら子育てを含 父親にも参加してもらったが、仕事等の都 め、いろいろな話を楽 合で参加者が少なかった。母親の育児負担を しむ姿が見られた。 「○○ちゃんのお母さん色 軽減するためには、もっと父親が育児参加で 塗りが上手だね。」 「絵が上手に描けるね」等、 きるよう呼びかけていく必要があると感じた。 保護者同士認め合う姿も見られた。 また、アイデアも豊富で品物作りに貢献し 3 家庭内のコミュニケーションを支える てくれた。夕涼み会では、お面や魚釣りコー この取り組みは、 “ たくさん愛して子育てし ナーが盛り上がり、子ども達も大喜びで参加 よう”を意識しながら、忙しい日々を過ごし していた。 ている保護者に少しでも子どもに目を向ける 時間をもってもらえるように、職員間で知恵 ◇ 出 店 の 看 板 お父 さん (7月) お父さんには積極 を出し合い、意図的に啓発した活動である。 ① ムギュ~週間の実施 (6月) ❤❤❤<ムギュ~と強く抱きしめて>❤❤❤ 的に子育てに参加し 指しゃぶり、おねしょ、登園拒否、外に出ない、幼 てほしい、お母さんには子どもと一緒に夕涼 い者いじめをする、怒りっぽい、反抗的である…など。 み会を楽しんでほしいという願いから、当日 このような様子が見られますか…。こんな姿が見られ はお父さんに出店の売り手になってもらった。 た時、親から「私は愛されている」という、明らかな お父さんは「いらっしゃい、いらっしゃい」 と言いながら、丁寧に子ども達とかかわって 確信を得ることが何よりの特効薬になるそうです。そ こで一番容易にできることとして…「ムギュ~と抱き しめる」ことです。一日一回、その子を強く抱きしめ と戸惑っていた感じの娘も、ホッとした笑 て、耳元で次のような言葉をささやいてあげてくださ 顔でムギューとしてくれたので「甘えてい い。…「○○ちゃん、○○○○ができたね、えらいね。 いんだ」という安心感を与えてあげられた お母さん、○○ちゃんが世界で一番好きよ」…と。ま と思います。 ずは一週間、一日一回これをやってみませんか。 ❤❤❤❤❤❤❤❤❤ ムギュー週間結果 3日 7% 4日 10% 2日 0% 1日 0% 5日 7% 6日 10% 7日 66% 日数 名 割合 7日 19名 66% 6日 3名 10% 5日 2名 7% 4日 3名 10% 3日 2名 7% 2日 0名 0% 1日 0名 0% 0日 0名 0% 回収率88%(33名中、29名提出) 実施後に、クラス懇談会で取り組みの様 子を紹介し、保護者の頑張りを誉めた。 <考察> 実施後の結果から、保護者が前向きに取り 組んでいた様子が分かった。 懇談会の中で保護者の頑張りを認め、誉め るかかわりをする中で、親としての「気づき」 と「自信」を支えていけたらと思ったが、ど う捉えたかは、保護者の思いに任されるよう に感じた。 しかしこの取り組みは、教師が園児を思う 気持ちから、園児を第一に考えてしまい、兄 弟姉妹関係等のかかわりはどうだったか、保 護者に注文しすぎたのではないだろうかを、 振り返る機会となったように思う。 ≪実施後の保護者の感想≫ ★毎日ムギューを楽しみにしているようで ②『ありがとう』の絵本づくり (夏休み) した。抱きしめられている時の表情は、こ 夏休みに親子の取り組みとして1枚の紙を のうえない笑顔で、その顔を見ている私も 配付し、 「ありがとう」と思うことを家族で話 とても幸せな気分になりました。お金も時 し合い絵や文字にするよう呼びかけた。 この 間もかからないので、これからも続けてい ことをきっかけに、家族の絆がより深くなるこ きたいと思いました。 とを願い、行った。 夏休み後、それぞれの家 ★いつも心がけていますが、あらためてムギ 庭から素晴らしい「ありがとう」のメッセー ュー週間があると、より強い気持ちでムギ ジが寄せられたので、一冊にまとめ、 『ありが ューができます。不思議なもので泣いてい とうの本』にして各家庭に配付した。本を見 る時ほど、始めはムギューを嫌がりますよ た後、保護者間でお互いの様子を聞き合う姿 ね。でも、本当はムギューをまっている、 も 見 ら むりやりムギューするともっと泣いて収 まっていく、言葉はいらないってこのこと だと思います。 ★ムギューすると温かくて私も気持ちがい れた。 いし○○も喜びます。穏やかな気持ちの時 でないとする気にはなれないので、いつも そうでなくちゃいけないなぁと思います。 ★忙しくて少しの時間をとることも下の子が みてないタイミングというのが難しく、毎 <考察> それぞれの家庭の温かさを感じさせる素晴 らしい絵本が完成したことを嬉しく思う。 日は出来ませんでしたが、最初のうち照れ この本を通して子育てしている保護者に温 たり「何でムギュ~してくれるんだろう」 かい眼差しと声かけをすることができたよう に感じた。 4 者の笑顔が輝いて見え 地域と繋がって た。この機会だけでなく、家庭でも親子で遊 地域の方と連携しながら、保護者の成長支 ぶことを促した。 援の場と機会を提供していきたいと考えた。 ① 子育て支援教室 テーマ ウ、第3回 6/22 ~ママの笑顔が一番よ!~ 公民館と共催し、子育て支援教室を 講演「子育てで大切なこと ~親子の良い関係~」 講師:大畑眞由 美氏(子育てアドバイザー) 3回開催した。 幼児期の子育てが この教室は公民館の職員、保護者会 将来の子どもの姿に の役員、ちびっ子クラブの役員、ファ 繋がっていること、大 ミリーサポート夢・民、青少年委員、園の6 人の眼差しやしぐさ、 団体で共催し運営された。参加については、 立ち振る舞いが子ども達のモデルになってい 自由参加とし、地域に呼びかけた。 ること、ゲームは 1 週間に一回 1 時間がベス この教室の発足は、前年度の2月に公民館 トであること、耳を傾けて聴く大切さ、等を 長さん(22年度の学校改善支援委員)から 学ぶことができた。また、 『話を聴く』の演習 声がかかり、共催の6団体が園に集まり話し もあり他の人と話し合うこともできた。 合いを行ったことから始まった。内容につい 子育ての参考となるよう、講演で紹介され ては、保護者の意見を聞きながら決定した。 た本は、園で購入し保護者に貸出を行った。 また、前年度の保護 また、教師も子育て支援の手立ての引き出 者会の役員さん、地 しを増やすことができた。 域の青少年の方や、 夢・民の方が乳幼児 の保育を担当して ≪保護者の感想≫ 全3回参加させていただきましたが、体を 動かしたり、親子で遊んだりとても心に響く てくれたことで、保護者は、ゆとりをもって お話を聞かせていただいたりと、それぞれが 支援教室に参加することができた。 子育て中の私達に必要で、大切な内容で、す ごく良かったと思います。ピラティスではす ア.第1回 5/11「ピラティスで自分の体と ごくリフレッシュできましたし、親子遊びで 向き合おう!」講師:阿部弘美氏(ピラテ は自宅でも楽しんでおります。最後の講演で ィスインストラクター) は本当に、今まさに育児で悩む私の心に、深 中学校の体育館を く響いてとても勉強になりました。お話を聞 借用し行う。短い時間 いているうちに涙が込み上げてきたと同時に、 ではあったが子育て 子どもを愛おしいと感じることができました。 から解放され、リラッ クスして生き生きし ていた保護者の顔や笑顔が印象的であった。 <考察> この子育て支援教室は、地域のネットワー クが相互性をもち、共同して取り組んだこと イ、第2回 6/1「親子で遊ぼう!」 で、大きな成果が得られたように感じた。園 講師:篠原真氏(総合学習センター) 独自では到底ここまでできなかったと思う。 親子遊びのヒントを また、保護者が子育て教室の運営を役割分 たくさんもらうことが 担(司会・受付・お礼の言葉)したことで、保 できた。子ども達や保護 護者自身が主体的に取り組んでいることが実 感できたように思う。入園は子どもだけでな 全職員で“たくさん愛して子育てしよう” く、保護者にとっても社会への参加となる。 を合言葉に、ありのままの保護者の心を受け 子どもを育てる時に誰かと協力できたという とめながら真剣に考え取り組んできたことは、 ことは、他者を信頼し応答できる経験になり、 私たち教師にとっても大きな学びとなった。 自分の存在を確認することにもなると感じた。 そして、保護者の成長を支える子育て支援 また、幼稚園の保護者として人や物とかか とは、保護者の成長だけでなく、子どもも教 わり、様々な経験をしたことで、卒園後もそ 師も共に育ち合う、一連の共同体であったこ れぞれの地域で幼稚園教育の話をしたり、今 とが分かった。 回のようにボランティアを引き受けてくれた 子どもが一人一人違うように、保護者もそ りし、幼稚園教育の充実に力を貸してくれる。 れぞれ違う。その人なりの方法で様々な活動 そう考えると子育て支援は、長いスパンでは に参加したり、いろいろな人とかかわったり あるが、地域づくりに繋がっていくように感 することを通して、いつの間にか子育てに自 じた。 信をもち、成長していたように感じた。その 姿を見ていると幼稚園の役割は、地域と連携 ② 保護者に対する読み聞かせ (11・12月) しながら成長の場と機会を提供し、一緒に考 おはなしクレヨンさ えていくことが大切だと確認できた。それゆ んから「子どもは、絵本 え今後も地域との連携を図り、子育て支援を 等のお話を聞くことが 充実させていかなければならないと痛感した。 大好き。物語の世界に浸 る体験は心を育てる。 Ⅴ おわりに 読んであげるひと時は、親と子の気持ちがと 保護者の子育て力を高めるには、保護者自 ても自然に寄り添い通い合う。子どもは、言 身が人とかかわることに自信をもち、自分ら 葉を耳で覚える。耳からどんどん新しいこと しく生きることができるよう、全職員で支え ばを吸収していく。」等の話を聞いたり、絵 ていくことで必要である。 本の読み聞かせをしてもらったりした。保護 子育て支援を進める中で「いつも自分のこ 者は、本を読んでもらうことの心地よさを味 とを受け止めてくれる」 「ありのままの自分で わっていた。そして、自分が読み聞かせをす いられる」 「見守られている」 「安心感がある」 ることで、子どもとの心の繋がりがもてるこ このような心の状態のとき、保護者は子育て とが実感できたように思う。 力を発揮することができると感じた。私達教 師は、その力が発揮され自信をもって子育て <考察> ができるよう保護者に対して「受け入れる」 地域との連携を図りながら計画的、継続的 「受けとめる」「心を傾けて聴く」「一緒に考 に交流することで、大勢の人・物と出会い、 える」姿勢をもち続けることが大切であると いろいろな体験をすることができた。その中 思う。そしてなにより、保護者に信頼され相 で、保護者や教師も子育てのヒントや方法を 談したくなるような教師となれるよう、自分 知ることができたように感じた。 自身の資質の向上を図っていかなければなら また地域の方との繋がりを通して、保護者、 ないと感じた。そのためには、積極的に研修 子ども、園が地域の方に見守られ支えられて に参加したり文献を読んだりして自己研鑽を いることを実感することができたように思う。 していかなければならないと思う。 <参考文献> Ⅳ 成果と課題 保護者サポートシステム(フレーベル館) 保護者支援スキルアップ講座(ひかりのくに)
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