週刊穀物

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毎週水曜日夕方発行
発行日
コーンと小麦が下落、大豆は続伸
:
2012/3/7
3月6日のシカゴトウモロコシ5月限は6.75セント安の654.00セント。ドルの上昇や原油、株式相場の下落を映
して反落。前日に4カ月ぶりの高値まで上昇したことから利食い売りも出た。ユーロ圏債務への懸念が改めて台頭し
たほか、中国の成長が事前予想を下回る兆候も、圧迫要因となった。中国の穀物管理当局高官は、十分な備蓄があり、
中国は今年、大規模な輸入は必要としないだろうと述べた。ただ、中国は買い付けの前に値切ろうとしている可能性
が高いとの見方もある。米農務省によると、民間輸出業者は今年度渡しの韓国向けで12万6000トンを成約した。
米国では今春に大規模な作付けが予定されており、来年には在庫が大きく膨らみ相場を圧迫するとみられるものの、
今後6カ月間は米国と世界の穀物在庫は減少し、相場を押し上げると予想されている。南米での暑く乾燥した天候を
背景に、米農務省が9日に発表する需給報告では、南米の生産見通しが引き下げられると予想。そうなれば米国産の
輸出需要拡大のシグナルになるだろう。
3月6日のシカゴ大豆5月限は10.25セント高の1335.25セント。未確認ながら中国からの需要に関するうわさが
広がったことに加え、ブラジルの生産高見通しが引き下げられたことを受けて反発。トウモロコシとのスプレッド取
引に絡む買いも、相場の押し上げ要因となった。ドイツの油実専門誌オイル・ワールドは、干ばつの影響を考慮し、
2012年のブラジル大豆生産高見通しを、従来に比べ150万トン引き下げ6800万トンとした。アルゼンチンの労組
関係者によると、同国では港湾労働者がストライキを続けており、穀物を積載した150隻の船舶が、ロサリオに入港
できない状況となっている。またこの日の市場では、9日の需給報告発表を前にしたポジション調整の動きが目立っ
た。需給報告では、2011〜12年度の米期末在庫が下方修正されると予想されている。
3月6日のシカゴ小麦5月限は14.25セント安の657.75セント。ドルの上昇が需要低下につながり続落、約1週間
ぶりの安値で引けた。出来高は低調だった。カンザスシティー商品取引所(KCBT)の硬質赤色冬小麦相場とミネア
ポリス穀物取引所(MGEX)の春小麦相場も、世界経済の混乱を受けて、最終需要家が買い付けを縮小するとの懸念
が台頭し大幅下落した。オーストラリア農業資源経済科学局(ABARES)は、2012〜13年度の同国小麦生産高が、
過去最高の2950万トンを記録した前年度比で13%減になるとの見通しを示した。9日に発表される米需給報告では、
11〜12年度の米小麦期末在庫は8億3600万ブッシェルとなり、2月の8億4500万ブッシェルから下方修正される
と予想。また同年度の世界の期末在庫は2億1260万8000トンとなり、2月の2億1310万トンから引き下げられる
と予想されている。
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1 -
TOPICs コーンも大豆も輸出検証高は前年割れとなっている。
3月1日までのコーン週間輸出検証高は3097万7000Buで、前週改定値(2850万Bu)から増加した。今市場年
度(9月~8月)累計は8億3556万Buで、前年同期の8億5022万Buを1.7%下回った。主な成約先は、メキシコ
931.9 万Bu、日本799.9万Bu、中国252.5万Bu。米農務省の年間輸出見通しは前年度比7.4%減少の17億Bu。
トン
トン
米国産トウモロコシの累積輸出成約高
米国産トウモロコシの累積輸出検証高
50,000,000
50,000,000
2009
年
2010
年
2011
年
2012
年
40,000,000
30,000,000
20,000,000
10,000,000
2009年
40,000,000
2010年
30,000,000
2011年
20,000,000
2012年
10,000,000
0
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1月第1週
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5月第2週
5月第5週
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12月第1週
12月第4週
0
出所:USDA
3月6日寄り付き後に米農務省が発表した3月1日までの大豆週間輸出検証高は3255万2000Buで、前週改定値
(3943万4000Bu)から減少した。今市場年度(9月~8月)累計は9億0777万Bu で、前年同期の11億8065
万Buを23.1%下回った。主な成約先は、中国 1910.6万Bu、日本249.5万Bu。米農務省の年間輸出見通しは、前
年比 15.1%減少の12億7500万Bu。
トン
米国産大豆の累積輸出成約高
米国産大豆の輸出累積検証高
40,000,000
50,000,000
2009年
30,000,000
2010年
40,000,000
2009年
30,000,000
2010年
20,000,000
20,000,000
2011年
10,000,000
2012年
2012年
0
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11月第5週
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0
出所:USDA
トン
2011年
10,000,000
トン
米国産小麦の累積輸出成約高
40,000,000
米国産小麦の輸出検証高
40,000,000
2009年
2009年
30,000,000
30,000,000
2010年
2010年
20,000,000
20,000,000
2011年
2011年
10,000,000
10,000,000
2012年
1月第1週
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5月第2週
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2012年
出所:USDA
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2 -
出所:USDA
TOPIICs
ブラジルとアルゼンチンの大豆生産予測
ブラジル農業コンサルタントのセレレスは5日、国内11/12年度のブラジル大豆生産見通しを一段と引き下げ
た。最新予測は6983万トンで、従来から 3.1%の下方修正。前年からは6.7%減少になる。ほぼ全て生産地におけ
るイールド予測を引き下げ、南部のパラナとリオ・グランデ・ド・スルの修正幅が最大という。しかし、マットグ
ロッソと最北のロライマの生産は引き上げた。
セレレスによると、大豆収穫はこれまでに38%終了した。前年同期の29%を上回る。ブラジル農業コンサルタント
のサフラスは5日、11/12年度の国内大豆収穫を6823万トンと見通していることを発表した。従来予測から2.9%
下方修正。前年比較で8%減少になる。2月のほとんどが乾燥していたことを引き下げの理由にした。また、中部の一
部のうちではアジアさび病被害があったことを指摘している。同社の大豆作付推定は前年比3%増の2497万ヘク
タール。しかし、イールドが一年前の3077キログラムから2733キログラムに落ちるのを見越す。
米穀物調査会社INFORMA ECONOMICS社は、2日、ブラジ
ルの2011/12年度の大豆生産量を前回の7000万トンから
6800万トンに200万トン引き下げた。原因は南部ブラジル地
方における大豆着サヤ時期の虫害と干ばつによるという。
一方同社は、アルゼンチンの2011/12年度の大豆生産高を
100万トン上方修正し、前回の4650万トンから4750万トン
にした。2月の降雨が寄与したという。2月のUSDAによる需給
報告では、ブラジルの大豆生産は7200万トン、アルゼンチン
ブラジルの大豆
2月USDA
セレレス
INFORMA
7,200万トン
6,983万トン
6,800万トン
▲400万トン
USDAとの差
▲5.6%
ブエノスアイレス穀物取引所
アルゼンチンの大豆
4,800万トン
4,750万トン
▲50万トン
▲1.0%
4,620万トン
ブエノスアイレス穀物取引所は、2011/12年度のアルゼンチ
ンの大豆生産量を4620万トン、トウモロコシを2130万トンと
予想している。
TOPIICs
エルニーニョとラニーニャによる南米の作物への影響
アルゼンチンの農家では、今年のトウモロコシと大豆の生産はラニーニャの影響が無くなり、エルニーニョに向
かっているので、これまでにないほどの豊作になるだろうという楽観的な見通しを立てている。今年の干ばつを言
い当てたブエノスアイレス大学のEduardo Serra気象学者は、2012/13年度のアルゼンチンの大豆生産は、エル
ニーニョだったニ年前の時の豊作時の5270万トンを上回るだろうという。アルゼンチンは米国に次いで世界2番目
のトウモロコシ輸出国で、3番目の大豆輸出国である。同氏は、今年はエルニーニョがやってくる年であり、エル
ニーニョは10月以降に雨を降らせるため作物にとっては良い天候となる。エルニーニョは太平洋側のチリ沖海上の
海面水温が上昇することを言い、南米には降雨をもたらす。エルニーニョの最後の年であった2010/11年にはア
ルゼンチンはトウモロコシ生産で2300万トンという記録的な豊作となった。
逆にラニーニャになると南米は2月に雨が降るまで
の、12月と1月に干ばつになりやすい。ことに2年続
いてラニーニャが続くと、2年目の作物には大きなダ
メージが与えられる。なぜなら、地中深くの土壌水分
まで乾いてしまっているからだ。
エルニーニョとラニーニャは今世紀初めから、おお
むね3年周期で繰り返している。2年ラニーニャが続い
て1年エルニーニョとなる。そのサイクルから言えば、
2012/13年度はラニーニャの年であり、その意味から
豊作の年である。2013/14年も良いだろう。
2014/15年度はラニーニャのニ年めとなり凶作が予想
される。
アルゼンチンの農民にとって関心の高いのが霜害で
ある。南半球の霜は今月辺りの夜から始まる。一期作
目は10月~11月に作付され、1月~2月の干ばつに遭
遇した。そのためニ期作目の作付は早められている。
これは干ばつを避けるためには良かったが、霜害の恐
れが出ている。霜害がなければ、4800万トンの大豆
が見込まれるが、3月に霜が降りれば4000万トンにな
るだろう。
アルゼンチンのトウモロコシと大豆の生産高
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3 -
TOPICs 中国はトウモロコシ供給潤沢という
中国国営Cofcoの幹部は5日、米通信社ダウ・ジョーンズに対し、2011年の記録的な生産により2012年の国内
コーン供給は潤沢との見方を示した。また、国際価格上昇の一方で国内価格は落ち着いていることから、輸入需要
が低調とみていることも明かした。このため、同社のコーン輸入も不透明とコメント。国内の価格次第という。国
内消費が増加していることを指摘して長期的なコーン需給は逼迫であると見通す。中国発展改革委員会(NDRC)
は5日、農産物輸入の拡大を計画していることを発表した。需給逼迫への対策である。飼料向け以外のコーン加工規
制を強化する意向も示した。
TOPICs 中国はトウモロコシ供給潤沢という
枚
ファンドのネット買い残
+500,000枚
+400,000枚
トウモロコ
シ
+300,000枚
大豆
+200,000枚
小麦
+100,000枚
+0枚
▲100,000枚
出所:CFTC
ファンドのネット買い残はコーンが2月28日の週に買われて増
加し、24万枚となった。大豆は4週連続で買われており、13
万5千枚と昨年9月以来の水準である。小麦は売り越しだが、
28日は買い戻された。
11月1日
11月8日
11月15日
11月22日
11月29日
12月6日
12月13日
12月13日
12月20日
1月3日
1月10日
1月17日
1月24日
1月31日
2月7日
2月14日
2月21日
2月28日
ファンドのネット買い残増減
トウモロコシ
大豆
+10,590枚 ▲10,438枚
+14,903枚
▲6,223枚
▲18,381枚 ▲21,103枚
▲47,989枚 ▲17,880枚
▲12,956枚
+1,676枚
▲18,164枚
▲1,271枚
▲1,811枚
+8,619枚
▲5,704枚
+3,191枚
+24,102枚 +18,387枚
+46,217枚 +10,831枚
+34,787枚 +10,045枚
▲42,238枚 ▲10,700枚
▲15,004枚 +12,950枚
+33,470枚
▲5,109枚
+17,995枚 +24,195枚
▲4,626枚 +19,431枚
▲20,339枚 +15,267枚
+35,844枚 +20,357枚
小麦
▲5,399枚
+12,285枚
▲9,470枚
▲11,989枚
+4,228枚
+3,703枚
▲4,678枚
+0枚
▲1,025枚
+15,957枚
▲10,572枚
▲10,561枚
+2,718枚
+21,128枚
▲885枚
▲12,877枚
▲8,966枚
+8,217枚
穀物の今後の価格予想
今週金曜日の9日にはUSDAから3月の需給報告が出される。これまで主張してきたとおり、昨年5月からの
需給報告は、生産が落ち込んだ分だけ需要も減らして調整してきた。それには輸出が昨年よりトウモロコシは
▲10%、大豆は▲15%落ち込むことが前提となっていた。本当にそうなるかは8月までの実際の輸出が証明す
る。実際の輸出は未だ昨年なみかそれを少し下回っており、USDAの言う通りになっているが、南米の大豆生
産が落ち込み、トウモロコシも予想より少なくなっているので、その分米国産穀物の引き合いにつながり、3月
の需給報告以降、毎月輸出が上方修正されて、その分在庫が少なくなるのではないかと思っている。果たしてそ
うなるか9日の結果を早く見たい。
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